寝取らせマッチングアプリの相手が妻の高校の先輩だった話『上原晴香編』 作:統真
ラブホテルが見えてきた。
車のスピードは保ったままだが、俺の鼓動は加速し始めている。
嬉しい気持ちと不安な気持ちが交差している。
(晴香と一緒に裕樹もいるんだよな)
二人の世界に入る。
いや、俺と晴香の世界に裕樹を迎え入れているのだ。
俺が土足で履いても良いはずだ。
裕樹はあくまでも部外者であり、俺が晴香との二人の世界に入れただけ。
入れるも出すも俺と晴香次第だ。
彼の幕はないはずだ…
(晴香が裕樹を離さなかったら…)
彼女は俺と同様に裕樹のことも知りつくしている。
それを考えると俺と裕樹との愛情の差はあるのか?
身体の差はあっても、愛情は俺の方が上だと思っている。
晴香だってそう言ってくれる。
それでも、どこか不安が残るのは彼女を信じ切れていない自分が片隅にいるからだ。
もし、マッチングの相手がどこの誰かも分からない人であったら、こんな気持ちにはならなかったかもしれない。
運命の悪戯で晴香との関係が濃い人がマッチングの相手になっている現実。
不安と焦りが大きくなるのも無理はない。
同時に、興奮も大きくなるアドバンテージもある。
(晴香とどんなセックスをしたのか?晴香はどんな感じ方だったのか?)
早く晴香から聞きたくてしょうがない。
俺とシている時より激しいのは、電話越しの喘ぎ声で分かっている。
セックスの体位とどんな感じだったのか?
これは、晴香の口から聞かないと分からない。
彼女からの報告で俺は興奮と嫉妬が身体を熱くさせる。
(あの快感がたまらないから、寝取らせをしているんだよな)
寝取らせ性癖の俺にしかわからない甘美な快感なのだ。
ラブホテルの入り口が見え左折し中に入る。
入り口付近に二人を発見した。
(いた。晴香だ!)
手を振ってる晴香に安堵した。
だが、その安堵は一瞬にして終わった。
(えっ!?手繋いでいる…)
二人の姿を見て身体が冷たく感じた。
その繋ぎ方は恋人繋ぎだ。
どっちが手を繋ごうと言ったか分からない。
裕樹の方だと思いたい。
俺は車をバックで駐車し始める。
二人は歩いてこちらに向かってくるのが見える。
(まだ手を離さなないのかよ)
手は繋いだまま近づく、俺の冷や汗が出てきた。
(ふぅー、平常心で行かないと)
深く呼吸をし落ち着かせる。
ドアを開けて二人を出迎える。
「お帰り晴香」
「ただいま。あなた!」
晴香は裕樹と繋いでいる手を放して、俺のところに来た。
「旦那さん。今回もありがとうございました」
「いえいえ、こちらこそありがとうございます」
「また、機会があればお願いします。では、自分はこれで」
「先輩、また」
晴香は小さく手を振った。
裕樹も手を上げ答え、俺たちに背を向け歩き出す。
その背中は俺より大きく見えた。
晴香はずっと見ている。
眼はどこか寂しさが混じっていたような気がした。
「じゃあ、私たちも帰りましょう。あなた」
その顔は一瞬にして消え去り、俺に可愛い笑顔を見せてくれた。
「ああ。帰ろう。俺たちの家に」
俺と晴香は車に乗り込み家路に向かって走り出す。