アラームの鳴り響く音で目が覚めた。
昨夜の夜更かしで重い瞼を擦りながら周囲を見渡す。
金属の壁、窓の外に見える荒野…そして、隣で寝ているリーベリ。
ここでは、潮の香りがすることも襲い来る恐魚も心配しなくて良い。
その安心感に身を任せながら隣に寝ているアイリーニに抱き着く。
ほんのりと暖かい体温を持つ彼女を抱き枕とするのは心地が良い。
起きていたら、こんな風にしていると怒るだろうが寝ている時に行ったことになら特に文句は言わないのだ。
まぁ、起きたら白い綺麗な顔を真っ赤にするだろうが、それも乙ものだろう。
その彼女とは一夜の間違いから出来た関係だが、意外と良好な関係を築けている。
そのお陰で、ロドスへたどり着くことが出来たのだから彼女には感謝をしているのだ。
そして、落ち着いた心で目の前の表示に目を向ける。
転生してから俺には特異な力がある。
今回用があるのはその中の一つの色んなゲームでよく見るステータス画面だ。
下にスクロールしながら追加されたステータスを確認していく。
ネーム:ユーリ
力:69->75
敏捷:45->55
耐久:28->32
器用35->42
魔力:11->15
魅力:80->88
スキル----
魅了、誘惑、夢操作、媚薬生成、性技強化、幻術、癒しの手、射撃、剣術、深海の捕食者、エーギルの深奥、歌唱、跳躍(New)、浄化の剣(New)
力と敏捷が多く伸びているのは彼女がリーベリだからなのと彼女のステータスで元々高い部分だからだろう。
こう見ると意外に育ってきている。俺の初めのステータスは魅力以外はほぼ無いものだったからな…。
あっ、ちなみに訓練していない一般人のステータスは魔力、魅力以外全部30ぐらいで訓練したら50を越える感じ。魔力、魅力はその人によって変わるからなんとも言えないけどね。
うおっ、てか2つもスキルが生えてる!
なになに…跳躍はジャンプ時に補正がかかるだけか…まぁ使えるか?それで、浄化の剣は…攻撃速度増加?それも海の怪物がいるとさらに増加か。
もうあいつらと戦うことはない筈なんだが…。
まぁ、戦うことになってもアイリーニとあいつらに任せよう。
俺じゃ援護ぐらいしか出来ないしなぁ…サキュバスは夜以外よわよわな種族なのだよ。
「…ユーリ、そろそろ離れて」
ステータスに集中していたため、アイリーニが起きたことに気がつかなかったようだ。
「うん、直ぐ離れる。ごめんね」
顔を赤く染めながら注意するアイリーニははだけた服を直しているので、その内に俺は癒しの手で彼女が付けてきた傷跡を治療する。
だが、特に肩や背中に重点的にある傷を直すと彼女はどんどんと機嫌が悪くなる。
多分、これは本能的に行うマーキングなのだろう。
それが治されるという行為は彼女にとって裏切りに近い。
ただ、俺の衣装的に目立ってしまうのだからしょうがないのだ。
「アイリーニ、そんな顔しないで?別に君から離れることはないんだから」
「ふん、でも貴方は強くなるために色んな人と身体を重ねるんでしょ?あの時みたいに」
「…そうだね、でもそれは許してほしい。俺の種族はそうしなきゃ生きていけないんだ」
「私の初めてを…奪っておきながら─んっ」
誘惑を使いながら彼女の唇を奪う。それだけで彼女の瞳はとろんとほどけていく。
自分が屑なのは自分が良く分かっている。種族を言い訳に色んな人と身体を重ねるのだから。
だから、せめて彼女達のメンタルケアはしなければいけない。
「ふぅ、んんっ♡こんなので…許さないから♡」
片手で頭の羽を触り、もう片方でお腹を撫でキスを続ける。
「っ…いやっ、そこは…ダメっ♡放して…♡」
だが、いやいや言いながら彼女の身体は火照っていく。それに、お腹を擦る手を放そうとすると触ってほしそうに腰を動かすのだ。
本人は気がついてないようだけどね。
「本当に…イヤなの?ここはこんなに欲しがってるのに?」
トントンと指で子宮を叩く。それで、アイリーニは自分が無意識に腰を動かしていることに気がついたようだ。
顔を真っ赤にしながら彼女は言い訳を言いながらもその動きが止まることはない。
「貴方の…んっ♡せいじゃない♡貴方が私のここを触ってくるから…♡」
「へぇ?じゃあ分かったよ、もう触らないからね?」
ピタッと全ての行為をやめて、彼女から少し離れる。そうすると寂しそうに俺の手を掴み引き留めてくるのだ。
「えっ…?その…本当にやめてって事じゃないの…!」
「ふーん?じゃあどうして欲しいの?言葉で言ってくれないと分からないな?」
「…っ!分かった、分かったわよ!その…貴方の手でし、子宮を撫でて欲しいの…っ」
「うん、分かった。これでいい?」
顔を真っ赤に染ながらおねだりするアイリーニにイタズラ心を刺激されわざと優しくお腹を擦る。
「んっ…ユーリ、これじゃあ足りないの…もっと激しくして…」
「分かった…って言いたいところだけど、潮の香りが近づいてきてる…誰か来るよ」
今では薄くなったこの香りはロドスでは基本あの四人の誰かにしか漂わない。
その中で俺の部屋に来るのはローレンティーナかスカジだろう。
つまりこんな姿を見せたら拗れることは確定だ。
「なんで…ここでやめるの…?イヤ、もっとして」
「ダメ、アイリーニも他の人に見られたくないでしょ?」
だけれど、興奮して制御の効かないアイリーニは俺の身体をベッドへ押し倒そうとする。
「ちょっ…!アイリーニ?」
抵抗したものの力でアイリーニに勝てるわけもなく、成すがまま押し倒されて、彼女の顔が近づき彼女の舌が俺の口に入ってくる。
「んちゅっ…ふふっ、久しぶりに…ユーリに勝った気がするわ…んっ、ふぁっ♡私の事弄ってたけどユーリも大きくなってるじゃない」
貪るようにベロを交えながら服の上から膨張した股間を撫でてくるアイリーニはそのまま服を脱ごうとした。
だが、運悪くそのタイミングで扉の開く音が鳴った。
「あら、小鳥ちゃんって意外と大胆なのね?」
ブリキの人形のようにギリギリと音を立てながらローレンティーナの方を見たアイリーニは彼女のことを認識した瞬間、湯気が出るほど顔を真っ赤にして布団にくるまった。
「な、なんで、ローレンティーナがいるのよ!ユーリ、もしかして呼んでたの!?」
「いや、呼んでないよ?用事があったんでしょ。それで、ローレンティーナ、何かあったの?あっもしかしてドクターから呼び出しでもかかった?」
「えぇ、ドクターに呼んでくるように言われたわ。なんで呼ばれたかまでは知らないけれど」
「ちょっと、なんでこんな状況で貴方達は平然と話が出来るの!?非常識よ!」
「小鳥ちゃん?仕事があるのにそんなことをしている方が非常識じゃないかしら?」
「…っ!私からじゃないわ!ユーリがし始めたの!」
「あら、それは事実なのかしら?小悪魔ちゃん?」
そう問い詰めるローレンティーナの顔は、笑っている筈なのに何処か恐ろしいものを感じた。
その顔は恐魚を前にしている時のようにも感じられて、生命の危機を感じられるほどである。
「…いやぁ、ドクターに呼ばれてるなら早く行かないとなー?それじゃ、俺は失礼するね!」
ローレンティーナの横を過ぎ去るように走った瞬間、耳元で彼女の囁きが聞こえた。
「今日の夜は私の部屋にいらっしゃい?それも、あの夜の姿でね」
有無を言わさぬ圧を感じ、コクりと頷いてからドクターの元へ走る。
後ろから聞こえるアイリーニの叫びを無視して。
「その、疲れているみたいだけど何があったの?」
部屋に入った直後、俺の顔を見たドクターが書類に埋もれながら話し掛けてきた
「いや、何でも…ないよ。それで?ドクター、用事って何かな」
「あれ、忘れてるの?今日はユーリが秘書の日だよ?」
その言葉に机のカレンダーを確認すると確かに俺の名前が書いてあった。
海にいたから曜日や日にちを確認する癖がないのだ。あそこでは生きていれば御の字だったから。
「ああ、そっか。ごめん忘れてたよ。じゃあさっさと仕事を終わらしちゃおうか」
ドクターとたわいのない会話をしながら、仕事を進めていく。
だが、その内に俺の過去の話へと話は逸れていった。
プロフィールにまともに書いてないから気になったのだろう。
サルカズなのにイベリアに何故いたのか。
何故オリパシーに感染しやすいサルカズなのに源石融合率が0%なのか。
あまり関係のないような話から俺の出自に関することまで根掘り葉掘り聞いてくる。
基本的にはケルシーさんに口止めされていないことは話していたが、ドクターはあまり触れてほしくない話題も触れてきた。
それは、俺がまだアイリーニにもローレンティーナ達エーギルとも会っていない頃の事件の話。
俺の心の傷であり、罪である話だ。
「ドクター…何処からその話を耳にしたのか分からないけれど、その話は話すほどの内容ではないよ。もう、過去の事なのだから」
「…分かった、気を悪くしたのならごめん。配慮が足りていなかった」
仮面で顔が隠れているのにそのドクターの申し訳なさそうな表情が容易に想像が出来る程しょんぼりとしているドクターは、無理やり話題を変えるように次の作戦の相談を始めた。
「あー、えっと明後日の作戦はユーリに隊長をして貰いたいんだ。だから君にとって組みやすい人がいるなら教えて欲しいな」
「ふむ、確かその作戦は龍門でのやつだよね?それなら、チェン、ホシグマ、エクシア、テキサスがいればいいかな。この作戦なら基本的に少数精鋭の方がいいもんね?」
「うん、そうだね。私も5人から6人にしようと思ってたんだ。それに君が挙げた皆、予定は空いてるみたいだね。よし、じゃあその編成で決定!」
なんだか、少し適当な気もするがまぁ、よしとしよう。
それにしても、チェンとホシグマは元気にしているだろうか?最後に会ったのは数ヶ月前に飲みに誘われたときだった気がする。
あの二人とは馬が合うから、この作戦がうまく進むのならば飲みに誘うのも悪くないな。
「よし、ドクター。これで今日のノルマは終わったよ。そろそろ休憩にしよう」
「えっ!?本当だ…あんなにあったのに意外と直ぐ終わったね」
「そうだね、まぁ、早く終わったのはドクターが頑張ったからだよ。お疲れ様、それで紅茶を淹れてくるけどいつものでいいかい?」
「うん、お願いします。私はその間、ケルシーに届ける書類を出してくるよ」
そう言って立って歩くドクターはやはり木の枝の様に細い。ただ…女性なのだからあれぐらいが普通なのだろうか?
俺の周りにいる人でもドクターのように不健康そうな人は居ないだろう。
いや、強いていうならウィスパーレインとかか。
まぁ、とりあえずついでにお菓子でも作っておこう。
ささっと作るならホットケーキかな。今日は確か、グムがいる筈だし場所を借りるのは楽だろう。
メモを書いてささっと行くことにしよう。俺も夜のために体力を蓄えないと…じゃないとローレンティーナに補食されてしまうからな。
初めてのR18作品のため、是非ともアドバイスや感想を送ってくださると助かります。