グムに許可を貰って誰も使っていないキッチンへと入る。
そして、自身の道具を取り出して、卵をかき混ぜている時…背後から裾を引っ張られた。
「今日はハチミツクッキーじゃないよ」
そこには、目をキラキラと輝かせながら尻尾を振るケオベがそこには立っていた。
その背後で申し訳なさそうにしているグムを見て、匂いに釣られて無理やり入ってきたことが分かる。
とりあえず、問題ないとグムに手で伝えて
「そっかぁ、でもおいらはユーリが作るなら何でも食べるよ!それで、今日はなに作るの??」
「今日はホットケーキだよ。ドクターに軽食をとって貰おうと思ってね。ケーちゃんは一枚でいい?」
「ホットケーキ…?それってあの大きくて真ん丸いやつ?それならおいら、2枚食べたい!」
はしゃぐケオベの頭を撫でながら、危ないからはしゃがないように注意してホットケーキを焼いていく。
ひっくり返すだけで目を輝かせるケオベの反応に癒されながらケオベの分だけを先に焼く。
ちゃんと盛り付ける際にハチミツと果物、アイスを乗っけて差し出す。
「わぁ!これ全部食べていいの?!ありがとう、ユーリ!」
拙いナイフ使いでガツガツと食べるケオベを尻目に残りの分を焼き上げる。
そのタイミングで潮の香りが近づいてくる。…今日は少し早いな?
まぁ、出来上がっているからいいか…。
「ケーちゃん、口の周りが汚れてるよ。拭くから動かないでね?」
「うん、分かった!」
少しくすぐったそうに大人しく拭かれるケオベを褒めながら、スカジの分のホットケーキにアイスと粉砂糖を振りかける。
「おかえり、スカジ。今日はホットケーキだよ」
「ええ、ただいま。それじゃ、頂くわ」
人形のような表情が和らいだの確認し簡素な会話をこなしながら、まだ食べたりないケオベを帰す。
そして、誰もいなくなったことを確認するとスカジは剣を降ろした。
「スカジ、ロドスならそんなに警戒する必要ないでしょ?」
「あなたと私がいるのだから、脅威が来るかもしれないから。それに、あなたが私の目に届かないところでまた無茶をするかもしれないから手放せないのよ」
「…いやぁ、まぁあの時はごめん。でも、俺ならもう大丈夫だよ。自衛は出来るようになったし」
安心させるように言った言葉はスカジにとっては不機嫌を増幅させるだけのようだった。
そして、ジトッと不機嫌そうな目で近づいてきたスカジは俺の首元で匂いを嗅いできた。
「ふん、あなたから何時もより潮の匂いがすると思ったら…サメの匂いね…何をしたのかしら?」
彼女の鋭い真っ赤な瞳が、こちらを見て離さない。まるで捕食者が獲物を狙うときのように。
どうして俺は、この二人に執着されているのか分からない。
俺はただ許可をとって一夜を共にしただけの筈なのだが。
「はは…ローレンティーナとは何もしてないよ。それより、ドクターにあげる分のホットケーキが冷めちゃうから渡しに行ってもいい?」
「…分かったわ。私も少し用事があるの、ねぇ…ユーリ?今日の夜…覚悟しておくのね」
「えっ…?いや、ちょっと用事が─!」
その言葉を紡ぐ前にスカジはさっさと外へ出ていってしまった。
俺はどうすればいいのさ…。はぁ、まぁ後の事は後で考えよう。
「グム、キッチン貸してくれてありがとう。グム達の分も置いてあるから食べて貰えると嬉しい。食べ終わったのは置いといてくれたら洗うから」
「やったぁ!何時もありがとう、ユーリ!」
グムのとびっきりの笑顔に心が浄化される音を聞きながら、その場を後にする。
結構時間掛かったなぁ。ドクターはもう戻ってきちゃってるかも…。
俺が戻ってきたタイミングで、ドクターも丁度戻ってきた。
どうやら、何処か疲れた顔をしているドクターもケルシーさんにコッテリと絞られたらしい。
直ぐに紅茶とお菓子を並べるとドクターは直ぐに食べ始める。
疲れていたのだろう、ペロッと完食したドクターは、そのついでに理性回復剤も飲み始めた。
「ふぅ、ご馳走さま。ユーリはお菓子作り上手なんだね?あぁ、そういえばスカジがいつも食べてるお菓子はユーリが作っているんだっけ?…これなら私も毎日食べたいなぁ」
紅茶で一息ついたドクターは、期待するような瞳でこちらを見ていた。
…そんな目で見られると答えたくなっちゃうんだよなぁ。これが奉仕精神ってやつか…。
「それなら、スカジの分を作る時に一緒に作ろうか?1つ2つ増やしたところで大した負担にもならないからね」
「えっ、本当?ならお願いしちゃおうかな」
覆面なのに喜んでいる顔が浮かび出るようなドクターを見ていると、人に好かれやすい人なのが分かる。
ほんと、罪な人だなぁ。いつの日か誰かに刺されるんじゃない?
「ふふっ、任せて。それでドクターももう少し健康になるかもね?」
「あっー!何処見て言ったの!結構気にしてるんだからね!?」
「大丈夫、俺とはそんなに変わらないし…それぐらいが一番可愛いよ。それじゃあ、俺はここら辺で失礼するね」
「あっ!ちょっ、待てー!」
急いで追いかけようとしてきたドクターを避けて食堂へ戻る。
ふふっ、ドクターにはちょっと悪いことをしちゃったなぁ。でも、こうやってふざけられるのはここに来れたからだし、もう少し羽目を外してもいいだろ?
あんな地獄にいたんだから…さぁ。
─ポタポタと雫のような何が手に触れる。
そしてそれは、騒音と共に徐々に波立つように激しくなる。
それは懐かしい感触で、思い出したくもない記憶だ。
そこにはぎゃあぎゃあと煩い恐魚と、お世話になった人がいて…それを床下から眺める俺がいた。
ポタポタと俺の掌に落ちてくるその雫は、彼女の真っ赤な血と俺の涙が混じったもので、騒音は喰われないように抵抗する彼女の剣が振るわれる音だ。
だが、それは長くは続かなかった。
だって彼女には戦う力などないのだから。
その現実に目を伏せた俺には恐魚が何かを食らう音と徐々に薄れゆく苦悶の声だけが鳴り響いた。
なんで彼女がこんな目に遭うのかと泣き出したかった、こんなことをする恐魚を殺してやりたかった。
だが、俺にはそのどちらも出来なかった。
ただ、ただ彼女の言うことを聞いて音を立てないように隠れることしか…出来なかったのだ。
悔しかった、憎かった。成長できる力があるのに何もせず目の前の幸せを逃してしまう、そんな俺のことが、俺は大っ嫌いだ。
だから、俺は力を求めた。
二度とこんなことが起きないように。
でも、どれだけ強くなったって彼女を助けることも守ることも出来ない。
だって起こってしまった過去を変えることは出来ないのだ。
あぁ、でも…でももう一度あの日に戻れたのなら─
「…はぁ、くそっ、なんでまだあの頃の夢を見るんだよ…」
汗だくな身体を拭きながら、気持ち悪い感覚を消すために癒しの手を使う。
それだけで、少しはマシになった。
だが、顔色はすこぶる悪い。まるで死人みたいだ。
だが、ローレンティーナが求めたあの頃の姿の俺には一番良く似合うだろう。
そう思い、あの頃の姿を思い浮かべる。
満月の月、その光に照らされて真実の恋を求める儚い少女のような、そんな姿を。
すると、俺の髪は腰まで伸び、少しの筋肉があった身体は華奢な少女へと変化した。
「あ、あー。うん、声も変わったな」
自分の口から出ているのを疑うほどの可愛くか細い声、これはサキュバスの先天的な能力によるものだ。
成りたいものに成れる。そして、そのどれもがこの世で美しいと評される芸術品へとなる。
最弱な種族が、唯一誇れる点でサキュバスが人を誘惑することが出来る理由だ。
それに、生殖器官も自由に変化させることが出来る。
だから、どんな性別でもどんな趣向でも…合わせることが出来るのだ。
「あら、本当にその姿になってくれたのね?」
その声に振り返る。ローレンティーナは、少し驚いたような表情でこっちを見ていた。
「嫌な…夢を見た。だから…ローレンティーナ、俺をめちゃくちゃにしてくれ、あの日みたいにさ」
「ユーリ、あなたは本当に私の精神を逆撫でるわね?手加減はしないわよ?」
「ああ、いっぱいしてくれ。ローレンティーナ、俺がお前以外見れないぐらいに─っ!」
喋っている途中に、我慢できないかのようにローレンティーナは、俺をベッドへ押し付けた。
そして、ローレンティーナは俺の服を無理やり破り捨て、口づけをしてくる。
「んっ、ふぅっ♡」
息を吸うことすら許さないキスは、やがて舌と舌で交わうものとなり、意識が遠くなるほど長く続く。
だが、抵抗することは出来ない。今出来るのは、彼女の愛を受け入れることだけだ。
そして、気持ち良くて苦しい感覚が頭を埋め尽くし、気絶しそうになった所で解放される。
俺とローレンティーナの舌が離れ、ローレンティーナはキラリと光る唾液の橋を舐めとり、歯でおれの肩へマーキングをする。
「ふぅっ、はぁっ…んっ♡」
その痛みすら気持ち良く、口を隠していても浮わついた声が漏れ出る。
「あら、もうこんなに濡れちゃったの?はしたないわね♡」
「ローレンティーナが、激しいから─っ!」
「私は言い訳を聞きたいわけじゃないの。ここがこうなってるのはあなたが変態だから、そうでしょ?」
さわさわと局部を撫でるローレンティーナは、わざと触って欲しいところを避けながら、濡れた手を見せてくる。
「違う…♡俺は変態なんかじゃ…んっ♡」
「へぇ?でも、あなたのここはこんなにも触ってほしそうにヒクヒクしてるわよ?それに、腰も動いてるじゃない?ねぇ、ユーリ?何をしてほしいか言えば、私はなんだってしてあげるのよ?ここをぐちょぐちょにするのも、あなたに痛みを与えるのも♡」
そう言いながら、ローレンティーナはずっと焦らしてくる。
俺は、気持ち良くても絶対イケない攻めに負けてつい、口を滑らした。
「ローレンティーナ♡お願いだから、イカせて!頭おかしくなるの!」
「あら、どうイカせてほしいの?そこまで言ってくれないと分からないわ♡」
妖艶な笑顔でこちらを見つめるその瞳にゾクリと荒ぶる心臓のままに欲望を口から漏らす。
「…おまんこ、ぐちゃぐちゃに弄って…っ♡」
「あらあら、良く言えたわね?ほら、ご褒美もあげる♡」
その瞬間、陰部と共にトントンとお腹を激しく触るローレンティーナの攻めで頭に電撃が走るような快感が流れる。
「ん゛っ♡これっダメ゛♡イッちゃう゛♡ねぇ゛イッてるから、やめてぇ♡頭ヘンになるぅ♡」
「あら、逃げようとしないの、ユーリ?これだけじゃ済まさないわよ?だってめちゃくちゃにしてほしいのよね?」
そう言いながらさらに激しくするローレンティーナに俺は泣きながら許しを乞うことしかできない。
「ごめんなざい♡それ、うそ、うそだから♡許じてぇ」
だが、イき続ける俺を押さえつけてローレンティーナはその言葉を無視するように胸へ歯形をつけ始めた。
「ひうっ♡やめへっ♡ローレンティーナぁ、もう無理なのぉ゛♡」
「まだ始まったばかりなのよ?やめる訳ないじゃない。だから、もっと激しくイって、その情けない顔を見せてちょうだい♡」
そして、ローレンティーナは口づけをし両手で俺の首を触り、ゆっくりと力を込める。
笛を吹くような音が喉からこぼれ出てどんどんと苦しくなって息も吸えずに死にそうなのに、チカチカと走る快感が流れ出て気持ちよく感じる。
薄れていく意識の中、こちらを覗くローレンティーナの赤い瞳と愉しそうに笑う顔が芸術品のように美しくて惚けてしまう。
だが、気絶しそうになるとローレンティーナは首を離す。
「げほっ゛…ふぅっ、ふぅ、ロー、レンティーナ…キス、して」
ローレンティーナに向けて手を伸ばして求めると直ぐに答えてくれる。
こちらの身体のことを気にしない貪るようなキスで。
「んぶっ゛♡─はぁっ、ぁっ゛♡んんっ゛♡」
「─ぢゅ♡ふふ、いい顔をしてるわ。ユーリ、もっと私を楽しませて?…そうだ、おちんちん生やしていいわよ。そうしたら、あなたも私ももっと気持ち良くなるわ♡」
無意識にその言葉に答えて身体を変化させる。
そして、生えきったら直ぐにローレンティーナは中へと誘導してくる。
「ほらぁ、ここはもう準備できているわよ?ここに入れたらさぞ気持ちいいでしょうね♡」
フリフリと尻を振り挑発してくる彼女の中へ勢いよく突っ込む。その中はグニグニと包みこんで離さないかのように吸い付いてくる。
「あっ♡ふふっ♡そんなに、焦らなくても…逃げないわよ♡」
四つん這いの彼女に打ち付けるたび、その中がきゅうきゅうと締め付けを増していく。それと共に彼女の喘ぎ声も大きいものへと変化していく。
「ん゛っ♡いいわよ♡もっと、もっと激しくっ゛♡」
「このっ♡今までよくもやってくれたな!ほら、イケっ!イケっ♡」
「やっ♡がっつきすぎよ♡これじゃ─ぁ゛直ぐイッちゃうわ♡」
彼女に覆い被さるように突き刺し続ける。そして、ついに来た限界を彼女の奥へ流し込む。
「んぉ゛っ─♡はぁっ♡…ふふ、一杯出したわね♡」
ゆっくりと引き抜くと、音を立てながら彼女から精液が流れ出る。
それを勿体無いかのように手で流れ出ないようにする彼女が愛おしくてキスをする。
今までとは違い軽くのキス。だが、それだけでも心が満たされる。
「ねぇ、ユーリ?これで終わりでいいの?私はまだ満足してないわよ?それに、ユーリのここもまだ元気みたいよ♡」
だが、ふぅーと息子へ息を吹き掛けて、挑発するような笑顔でこちらを見るローレンティーナは、ベッドへ寝っ転がり好きにするように求めてくる。
「ローレンティーナ、俺ももう我慢しないから…覚悟しな─!?」
そう言いながら覆い被さろうとした瞬間、大きな音を立てて何が飛んできた。
回避しようにも避けきれない速度のそれは俺の顔面へ突き刺さり、痛みと真っ暗な闇が視界を埋め尽くしていく。
そこで最後に見えた景色は、慌てて駆け寄る二人の美女の綺麗な銀髪がなびく姿だった─。
R18って難しいですね。今は取り敢えず性癖に従って書いてますが人に刺さるかが分からない…。