─ここは、医務室か?
何で、俺はここに?確か昨日は、ドクターと仕事をして…その後、ローレンティーナとヤってて…くそっ、頭が痛くてその後のこと考えてられねぇ。
ズキズキと痛む頭を振り、周りを見渡す。
殺風景な部屋に誰かのいた痕跡と医療機器、それに少しの潮の残り香。
なんだか、無茶をしていた頃を思い出す風景だ。
凝り固まった身体を伸ばし立ち上がろうとした時、扉が開いた。
そこには、ジョディとアイリーニがいた。
多分、ジョディが俺のことを治してくれたのだろうか?まぁ、特異な俺の体質ゆえ事情を知らないものでは治せないのだからジョディかローレンティーナ達のどちらかだろうが。
だが、なんだか二人の様子が変だ、アイリーニはジョディの目を手で覆っているし、ジョディはまるで湯がいたタコのように真っ赤になっている。
「あれ…?アイリーニ、何でジョディの顔を隠してるんだ?それにジョディは顔も赤いし、もしかして熱でもあるのかい?」
思わず出た質問にジョディを追い出したアイリーニが顔を真っ赤にして叫ぶ。
「ユーリ、貴方服も着ないで動かないで!?それも、女性の状態で!ジョディに悪影響でしょ?!」
「へっ?あっ、本当だ、ごめんごめん。直ぐ男に戻るから…」
あー、なんか涼しいなと思ったらそういう事か。すまない、ジョディ…。
「ちょっと!それじゃあ私がユーリの裸を見ることになるじゃない!はぁ…直ぐ、私の着替え持ってくるから待ってて!」
「あっ、ちょっとアイリーニ?!俺の着替え持ってくればいいか─って、もう行っちゃったか。はぁ、部屋に着替えを取りに行くまでこの姿でいるしかないかぁ」
まぁ、別にいいか。特に用事もないし…久しぶりにこっちの姿で遊ぶのもまぁ楽しいだろうし。
あ、そうだ。昨日の成果を確認しなきゃね?
ネーム:ユーリ
力:75->82
敏捷:55->60
耐久:32->35
器用42->45
魔力:15->18
魅力:88->95
スキル----
魅了、誘惑、夢操作、媚薬生成、性技強化、幻術、癒しの手、射撃、剣術、深海の捕食者、エーギルの深奥、歌唱、跳躍、浄化の剣、身替り(new)
おっ、身替りって一回致命的ダメージ受けても死ななくなるやつじゃん!
いやぁ、無茶し放題だな。ロドスじゃすることないだろうけど、まぁお守りが増えたと思えばいいし、当たりだなぁ!
ローレンティーナからは、結構戦闘技術も教わったし本当に頭が上がらないんだよなぁ、たださぁ?俺が逆に何かしたわけではないのに何であんなに好まれてんだよぉ。
ふざけるなよぉ、俺は一回だけって約束したのに何度も迫ってくるし、大体無理やりだしさぁ?
「ほんと、俺が何をしたっていうんだよぉ。そりゃ、あんな美人に好かれて嫌なことはないけどさぁ、グラベルはなんかあいつらが言ってたの聞いてたりしない?」
誰もいないように見える部屋でそう呟くと天井にあるダクトから、グラベルは物音と共に飛び降りて抱きついてくる。
「ふふ、この姿のユーリは新鮮ね~?可愛くて食べちゃいたいわ~。それと、二人きりの時は本名で呼んでって言ったじゃない」
「ちょっ、くすぐったいってぇ…分かった分かったよ、セノミー、これでいい?」
「ふふっ…ええ、それで彼女達がユーリのことについて言ってたことねぇ~?あたしが知ってるのはたまに話す時に、ユーリが無茶してないかとか聞いてくるって事ぐらいよ?」
「そっかぁ、本当になんでこんな俺があいつらに好かれてるんだ?もっといい人いるだろうにさぁ、てかセノミーはドクターを守ってなくていいの?」
「あら、確かにドクターも大切だけど、ドクターを守ってる子は他にもいるもの。それに、あたしはユーリも大切なのよ~?怪我をしたってなったら見守るぐらいするわ」
椅子に座りながらこちらを真っ直ぐと見つめる彼女の視線に答えながら、何故彼女が俺をこんなにも心配するようになったのか、その出来事を思い出そうと頭を回す。
あれは彼女との初めて組んだ任務だった。
不審な実験を行う施設への潜入任務だったが、たった二人での作戦で当時は不安だったのを覚えている。
それに、彼女と関わりも特になかったから何故一緒に組まされたのか良く分からなかった。
取り敢えず、簡単なコミュニケーションをして潜入を開始したのだが、何処からか情報が漏れていたのか、はたまた特殊なアーツや機器によってバレたのか数時間もしない内に施設内を警備隊が跋扈するようになった。
撤退も出来ず、通信も遮断されているという絶体絶命な状況で、何とか情報だけは取ることが出来たのだが…運の悪いことに気絶させていた兵士が見つかってしまったのだ。
それも、脱出まで後一歩の所で。
出口は封鎖され、追い詰められた俺達は一先ず息を潜めることにしたのだが、程なくして見つかってしまった。
数の差に圧倒され徐々に追い詰められた時、グラベルがある作戦を話し始めた。
それは、グラベルが気を引いている間に俺に逃げろというものだった。
確かに、脱出するの出口をこじ開けるには時間も掛かるためどちらかが囮にならなければいけない。
それに、もしもの時のために周辺に忍ばせている仲間へ報告さえ出来れば援軍を呼ぶことも出来るからと。
だが、その作戦には明らかな欠陥があった。
それは、その間にグラベルが死なないという保証がないことだ。
只でさえ、2対20人の所を一人で抑えきる事など不可能だ。
それを指摘するとグラベルは、ふふっ…気づいちゃった?と覚悟を決めたような顔でこちらを見た。
「あなたのような子供を死なせちゃったらカジミエーシュの騎士としてドクターにも大旦那様にも見せる顔がないのよ」
それは、彼女の誇り高き騎士としての覚悟で美しく誇り高いものだった。だが、俺はそれに答えるが出来ない。誰かを犠牲にしてまで生き残るなど、もう嫌なのだ。
「そっか、だけどさ…俺としてもこんな綺麗な騎士様を見殺しにするわけにはいかないんだ。だから、ごめんね」
懐から取り出した筋肉緩和剤を素早く彼女へ打ち込む。一瞬にして、身体を支えられず崩れ落ちる彼女を抱え、ソファーへ寝かせる。
「っ!あなた、何をっ!?」
「…もう仲間を死なせるなんて後悔はごめんなんだよ。あぁ、後その薬は数分で消えるから、その後は直ぐに逃げてね?道は開いておくからさ。それと、ドクターにこれを渡しといて」
それだけ伝え、後ろから聞こえる彼女の声が聞こえないようにヘッドホンを掛ける。
そして、ローレンティーナに習った歌を口ずさみながら体内の血を活性化させる。
その影響で激しくなる鼓動と全ての感覚が鋭くなっていく気持ち悪さに耐えながら銃と刃を構え、警備隊に立ち向かう。
「ゴミクズども、一曲踊りましょう?」
目前の奴らに微笑みながら、一歩踏み出し兵士の一人の頭をつかんで頭を撃ち抜き死の花を咲かせる。
そのまま踊るように、くるくると回りながら銃弾と刃で命を刈り取っていく。
だが、四人目を切り裂いた頃、数の差に押されていく。
矢が肩に突き刺さり、刃が脇腹を裂き、ポタポタと垂れ出る血を無視しながら動き続けた。
でなければ彼女が進むべき道が出来ないから。
─どれ程、時間がたっただろう?
もう、弾も切れて刃も折れた。そして、活性化した体内を駆け回る血は暴走を始め、自らの身体を傷つけていく。
そして、目に写るのは、恐怖で顔を青白くしながらこちらへ武器を向ける数名だ。
やっぱり、限界が来るまでに全てを倒しきることは出来なかった。
ただ、グラベルはもう居ないようだ…多分、逃げれたのだろう。
もう頑張る必要はないのだ、だってもう疲れたのだから。
それに、この歌も終わりを迎える。
踊る必要はもうないのだ、なにかを殺す必要もないのだ…。
ただ、このまま…海の底へ沈むだけで、幸せに─。
「ユーリ、貴方はまだ沈む時ではありませんわ。非才なのですから、まだ抗いなさい」
「…あれ、まだ、許されないのかい…?貴方は、厳しいなぁ…」
グレイディーアの手から赤い雫が口元へ垂れ、体内へ流れる。
そして、その血に影響された活性化した血は暴れることをやめ、鼓動も感覚も普通へと戻り、全身から流れ出ていた血は凝固し、傷を塞いでいく。
「ユーリのこと任せましたわ、私は彼らに罪を償わせなければなりませんの」
俺をソファーへ寝かせ、グレイディーアはゆっくりと威圧するように警備員へ足を向ける。
「これは、何が起きてるの…?」
いつの間にか、戻ってきていたグラベルは俺の変化を不思議そうに眺める。
白銀の髪が元の黒い髪へ、赤く鋭い瞳も元の青い瞳へ。
そして、病人のように白い肌は少しずつ色を取り戻していく。
だが、再生とはそれら全てに痛みを伴うのだ…。
「ユーリ、あなたどれだけの無茶をしたの…?」
口から漏れ出る苦悶の声にグラベルの鋭いピンクの瞳が揺れながら、こちらを覗き込む。
そうやって、揺れ動く彼女の心を落ち着かせるために少しだけ見栄を張りながら事実を述べた。
「無茶なんて、してないさ。ただ…君に怪我をして欲しくなかったのと、君が怪我するとドクターが心配するだろう?それに、身寄りのない俺なら死んだってロドスに不利益はないだろうからね」
だが、その言葉は彼女の心を癒すことはなく、どちらかというと傷つけてしまったようだった。
「ねぇ、貴方は自分の命にどんな価値をつけているのかしら?」
「ん?そんなのゴ─っ!いたっ!何するのさ!グレイディーア!」
「あら、ごめんなさいませ?見間違えましたわ」
「はぁ!?俺とアイツらの何処が同じに見えるのさ!グレイディーアの目は悪─ちょっ、痛いっ!ごめん、ごめんってぇー!」
「ふふっ、貴方達仲がいいのね?」
「何処を見て言ってるの!?殴られてるだけだよ俺!?でも、やっと笑ってくれたね?可愛い笑顔じゃ─ってさ!なんでまた殴るのかなぁ!?」
「ふぇっ─?」
真っ赤な顔をしたグラベルを眺める暇もなくグレイディーアの拳が軽く頭を叩く。
「あら、節操のない獣には躾をしなければいけませんもの」
「誰が獣だ!?もういい!今度から一緒に踊ったり歌ったりしないからね!?ドクターにでも頼んで!」
「…分かりましたわ」
「ねぇ!なんでそんな悲しそうな顔するのさ!分かったから、一緒に踊るから、元気だして!?」
「ふふっ、グレイディーアさん、ユーリ。そろそろ迎えが来るから早く行かないと」
「はーい。じゃ、助かったよグレイディーア」
「ええ、私はこれで失礼しますわ」
グレイディーアは直ぐに外へと駆け出した。というか、グレイディーアってこの依頼に関わってなかったような?
そんなことを考えながら歩き出した瞬間、ふらつきそのまま、地面へと転んだ。
そして、目が覚めたらロドスの病室だったのだ。
あれは、恥ずかしかった…。それに、あの後来たグラベルが心配そうにするから余計に…。
そんな思い出を思い出していると椅子に座りながらこちらを真っ直ぐと見つめる彼女の視線がこそばゆくて、そっぽを向いてしまう。
「ふふっ、やっぱりまだ褒められるの苦手なのね?可愛いわ…」
「もういいから!ほら、グラベルはドクターの方に戻って!」
「ふーん…分かったわ~?それじゃあ、ユーリ?…チュッ♡また後でね~?」
イタズラをするようにほっぺへキスをして、微笑んでくる彼女に呆気に取られる。
「…うん」
…慣れない、あんなにプッシュしてくるタイプは前世ではあんまり関わったことないからなぁ。
というか、肉食系な人が多すぎるんだよ!俺だってサキュバスなのに!
「ユーリ、服持ってきたわ…って、なんで疲れているの?」
「あぁ、いや…なんでもないよ。ありがとうね」
不思議そうにこちらを見てくるアイリーニを無視しながら、服を貰う。
「って、メイド服じゃねぇか!アイリーニ!?なんでこの服選んだのさ!」
「しょうがないじゃない!私あんまり服持ってないの!」
「ええ…?後でローレンティーナとかと買いに行きなよ…可愛いんだから勿体ない」
「…っ!」
「ちょっ、何さ?痛くはないけど心に来るのそういうの!」
ポカポカと、身体を叩いてくるアイリーニは、可愛いけども嫌われているのかと精神的にダメージがある。
「知らない!私は外に出てるから早く着替えなさい!ジョディも待ってるんだから!」
「は~い」
あっ、胸のサイズがちょっとキツい─?
アークナイツは魅力的なキャラが多すぎる!
無限に書きたいキャラが増えていくよぉ!
もし書いて欲しいキャラがいれば感想とかなんでもいいので書いてくれると助かります!
後、感想、アドバイスなどもろもろくれたらやる気が出るのでオナシャス!