「いやぁ~二人とも治してくれてありがとうなぁ?」
何処とは言わないがキツイ服を無理矢理着て、呼び出した二人に感謝を伝える。
「いえ、ユーリさんから頂いた恩に比べれば大したことありませんよ。それより、あんな傷…何があったんですか?」
心配そうな顔でこちらを覗くジョディに、何と話そうか考えていると、更に心配そうにする。
…ぐぐっ、こんな心配してくれるジョディに痴情のもつれのせいなんて言えないっ!
なんと誤魔化したらいいんだ…?はっ…!そうだ!
「いやぁ、訓練してたら張り切りすぎちゃってな?それにこの姿だと、勝手が違うから」
「…そうですか。無茶はしてはいけませんよ?ユーリさんはただでさえ、自らの事を軽んじるですから」
「そうよ!とりあえずユーリは死んでも殺すなんて戦い方やめなさい!」
何故か顔色が悪くなる二人に困惑しながら、立ち上がろうと力を入れる。
すると、普段は着なれない服だからかバランスを崩した。
何とか、目の前にいるジョディへ抱きつくことで転ばすにすんだ。
「ええ…?そんな戦い方してないよ─っとと…!あっぶな!ごめん、ジョディ。…てか、この姿だとジョディがでかく見えるなぁ」
「…ユーリさん、離れてください。その、当たっ、当たってるので!」
そう叫びながらリンゴのように顔を真っ赤にして恥ずかしがるジョディが面白くて逆に、抱きつく。
「ユーリさん!?離してください…!」
「え~?どうしよっかな~?ジョディが本当に嫌がっているなら離れようと思ってたんだけど…違うみたいだねっ?」
「そ、そんなことありませんから!アイリーニさん、助けてください!」
すると、その様子が癪に触ったのかアイリーニが俺を後ろから引っ張り俺を抱きしめる。
…ジョディと違って怒りで頬を赤く染めながら。
「…ユーリ、私以外にそんな姿しないで」
これもしかして、ジョディに嫉妬してる?可愛いなぁアイリーニは。
「…ふーん?そっか、分かったよ。必要なとき以外はしない。それで満足してくれる?」
「ええ…っ、頭撫でないで!ふんっ、もう元気そうなら行くわ…ジョディも早く行くわよ?」
「はい、その…お大事にしてくださいね?ユーリさん」
「うん、ありがとうね~。お仕事頑張って~」
二人の背中を見送り、続いて近づいてくる潮の匂いに嫌な予感が走る。
─逃げるか…?いや、もし逃げたことがバレれば何をされるか分からない。
今は、ただまな板の上の魚のようにその時が来るまで待つしかない…。
嫌な音を立てながら、開く扉に怖がる心臓を落ち着かせる。
だが、その姿が見えた瞬間、俺の人生の終わりが今日なのだと感じた。
「ユーリ、もう起きたかしら?」
だって、俺を昨日殺しかけたスカジがそこにいたのだから。
─やめてね、本当にさぁ!まだローレンティーナとかグレイディーアとかなら良かったのにさぁ!?なんでよりによってスカジなのさぁ!?死ぬよ?本当に!
「うん、起きたよ…うん、でどうしたの?」
「あら、昨日のこと忘れたのかしら?私の心はこんなにも傷ついているのだけど…ふふっ、もしかして貴方にとっては些細なことなのかしら?」
笑っているのだろう、多分。でも、その笑みを前にすると何故か震えが止まらない。
恐怖というか、命の危機を感じている、そんな気がするのだ。
「ええっと、その…怒ってる?」
「そうね、この気持ちは怒りなのかもしれないわ。浮気性な貴方に対してのね」
「はは…浮気なんてしてないよ…?そもそも、俺達そんな関係じゃ─ひっ!?」
ヒュンと風の切る音が聞こえ目の前の机が切り捨てられた。
まるで、次こうなるのはお前だぞと警告するように。
「あら、何故か机が壊れてしまったわ。どうしてかしらね?」
「ドウシテダロウネ…その、スカジ、とりあえず部屋を移動しない?ここじゃあ皆の迷惑になっちゃうからね?」
「…そうね。分かったわ、それじゃあ私の部屋へ行きましょうか」
「えっ…嫌、別のとこでも─」
「早く、行くわよ?」
鋭く光の灯ってない瞳が睨む。否定をしたら、俺は死んでしまうのではないか。そう思わせる圧があった。
「あっはい。お供させていただきます」
くそぅ、何でこんな目に!俺はただ強くなりたかっただけなのにぃ!
「あの、さ。何で、俺ベッドに押し倒されてるの?てかその手錠なに?」
抵抗するように身を動かしてもじゃらじゃらと鎖が鳴るだけで動けない。
俺、監禁される?
「あら…本当に私がなんでこんなことをしているのか分からないのかしら?」
何処か滴を貯めた悲しそうな赤い瞳が俺を覗き込む。それは、卑怯だろう。
「いや、あのその…ごめん。ただ、俺の種族はああいうことしなきゃ生きていけないというか、そもそも俺はああいうことするって説明しただろ?」
「そうね、ただ私は…嫌だって言った筈だけど?貴方のは私だけの物だとも言ったわね」
上に覆い被さった彼女のさらさらな髪が俺を覆う。少し見えた光も闇に閉ざされた。
今見えるのは、彼女の苦しそうな顔と濁った瞳だけだ。
「俺だって種族的にそれは出来かねるって言ったじゃんか。それに、スカジにはもう俺がいなくてもドクターやローレンティーナがいるんだから、俺に固執する必要ないだろ?」
「─っ!ねぇ、私が貴方を愛しているのは貴方だからなのよ?それがどうしてあの二人が入れば平気なんだって考えになるのかしら?それとも、何?貴方はまだあの時のように私のこの感情が孤独と焦燥感によるものだとでも言うの?」
何故彼女がこんなに悲しんでいるのか、俺には分からない。それに、あの時とはいつの事だ?俺にある記憶ではそんなことはなかった筈だ。
でも、彼女の悲壮な顔が、垂れ落ちる雫がそれを嘘だとは思わせない。
「…すまない、俺にはその記憶がないんだけど…」
「─っ、そうよね…貴方は、あの時…。─なら、もう忘れないように身体に刻み込んであげる」
「えっ…?ちょっ待っ─」
無理矢理迫るスカジの唇が俺の唇と重なり、味わうように二度三度軽い口づけをし、それから長い長い口づけをする。
貪るように入ってきた彼女の舌が俺の舌を絡める。俺の意思など関係なく、ぐちゅぐちゅと淫靡な音を立てる。
「んぐっ─…っふ、んんっ♡」
息苦しくて暴れてもじゃらじゃらと鎖の撓る音がなるだけで、スカジは離してはくれない。
酸素が欲しくて、踠くように舌を動かすと彼女は舌を絡め、動けないようにする。
苦しくて、気持ち良くて…頭が真っ白になる。
やっと酸素を吸えたのはそれから1分程たった頃だった。
彼女が離れ、俺と彼女の間に銀色の糸が伸びる。カーテンの隙間から漏れた光に照らされたそれを、舐めとる彼女に見惚れてしまった。
俺の視線に気がついた彼女は、フフッと微笑み服を脱ぎ始める。
純白の肌は少しの桃色を帯びて彼女を染める。だが、それでも俺に見て欲しいかのように服を脱いでいく。
どんどんと彼女の匂いが強くなる。大好きで大嫌いな匂いが鼻腔をくすぐる。
「駄目だ、スカジ…これ以上は…」
「─あら、何か思い出したかしら?それとも、怯えているのかしら」
何を─そう言おうとした。だけれど、脳裏に走る記憶の断片がその口を閉ざした。
全てを呑み込んだ日、たしか─俺は…彼女とっ!?
俺の脳みそが思い出すことを許さないかの如く鋭い痛みが走る。
記憶の断片は、その痛みに流され、残ったのは最後に抱いた彼女の暖かさだけだった。
「スカジ─?いや、Ishar-mla…?」
だけど、彼女だったものの名前が俺の口から漏れた。その名を聞いたスカジは、真っ赤な瞳を大きく開き…そして、俺に抱きついた。
「ええ、やっと…思い出してくれたのね。ユーリ、愛しているわ」
─分からない、分からない。何故、俺はこんな記憶を?だって、俺は…あの村で目覚めて…?いや、俺は…俺はなんだ?
ぐちゃぐちゃになった頭はただ、信じられる彼女の暖かさを求める。
でも、その熱を求めようにも鎖が邪魔をする。
「Ishar-mla、手錠を外してくれ…寒いんだ、酷く…寒い」
「そうね、今のユーリなら、私から逃げることはないもの。こんなもの要らないわ」
彼女が鎖を外している間、俺は極上の飯があるのに待てと言われている戌のように、落ち着けなかった。
彼女の匂いが、彼女の顔が…彼女の暖かさが俺を狂わせる。
そして、鎖がほどかれた俺は、そのまま…彼女へ覆い被さった。
「スカジ…Ishar-mla、好きだ…愛している…?いや、俺は…僕は…?分からない、怖い。Ishar-mla、落ち着く」
何を言っているのか俺にも分からない、俺の意思がそこにはないかのように漏れ出ていく言葉と共に、彼女をまさぐる。
それでも、彼女は…まるで最愛の人を見守るように俺の頬を撫でながらその身を任せてくれる。
「─いきなりね♡でも、落ち着いて…ユーリ。私はちゃんとここにいるわ…んっ♡ふふっ、今日は一段と乗り気ね?」
かの記憶の姿になった俺は獣のように激しく彼女から漏れ出た蜜と混ざりあいながら彼女を求める。
「んんっ♡だめよ、そんなにっ…っん“─激しくしちゃ」
ぐちゅぐちゅと音を立てる暖かな中を貪るように動かす俺をエスコートするようにスカジは嬌声を漏らしながら、腰を動かす。
「そうよ、ゆっくり…味わって?んふっ…ちゅ、んんっ♡」
彼女の熱がもっと欲しくて彼女の唇を奪う。味わう程度の軽いものから、彼女を求めて激しいものへと変わっていく。
「んふっ♡あむっ…じゅる…んんっ〝─はぁ…はぁ…ユーリ、もっと、もっと奥までっ♡来て欲しいわっ♡」
彼女から汗と涙が流れ、匂いが強くなる。美味しそうな、でも食べたら、危なそうな匂いが。
でも、俺は止まれなかった。
彼女を持ち上げるようにして、突き刺し、抜き…また突き刺す。
その度に離れたくないというように、吸い付いてくる。
「あぁっ♡だめ、これはっ…んっ゛…奥まで来てっ♡気持ち良すぎるわっ♡」
コツコツと奥で何かに当たり、止まる腰を無理矢理奥まで突き上げる。するとスカジは乱れ、快楽に涙を浮かばせ顔を歪ませる。
「─おっ゛…そこはっ、犯しちゃっ♡だめっ♡ユーリっ!もう、私っ!イクっ、イクわっ♡」
ぎゅっと身体を抱きよせられ、スカジの身体が震える。それに伴ってぎゅっと締め付けられる中に声が漏れ、腰が止まる。
だが、俺から離れたスカジの焦点のあっていない赤い瞳と唇から垂れる唾液が俺の理性を吹き飛ばす。
「あっ〝だめっ♡まだ、イッたばっかなのに♡─動いちゃっだめよっ♡」
ぐたりと倒れるスカジは快楽に喘ぐことしか出来ない。美しいその姿が汚されていく。
それに興奮した俺の動きが速くなる。それと共に、スカジの声も大きくなっていく。
「あぁっ♡速いわっ♡あなたのがっ、私の奥をっ゛─叩いてっ♡だめ、またっイクわっ♡」
「イケっ!俺もっ…イクからっ♡」
「っ♡奥にっ出して♡ユーリ!」
体重をわざと載せたスカジの奥に突き刺さり、彼女の大切なところへ流し込む。
「んっ〝…ふふっ、私の奥に、あなたがいるわ♡」
快楽と記憶の混濁で沸騰しそうな頭がオーバーヒートして嬉しそうに微笑む彼女に倒れ込む。
─ああ、また…一緒に…なれた。
誰かは分からないが幸せそうな声が、聞こえた気がした。
スカジってこれでいいのか…?なんだか、R18だとキャラ崩壊がしやすい気がっ!