空を切り裂く音を聞きながら離れていく龍門の景色を眺めていた。
あの日ミュルジスとの逢引の後、チェンやホシグマと合流した時には既に爆弾の回収と後始末をしてくれていた。というかなんなら、ペンギン急便の二人は解散していたし。
二人から話を聞いたところ意外とあっさりと制圧できたようだった。
そもそも今回の取引を行っていたのはスラムに逃げ込んだとても小さなギャングだったようで活性源石の爆弾を用意していたのも単にギャング同士の争いで負けた復讐のために共倒れしようとしていたのだろう。
そして、そこに運悪く俺を狙う夢魔協会が手を貸していたのだ。
あいつらは運良く俺が現れれば良し、現れずともロドスからの注意を引ければ何時の日か俺が来るだろうからその時にサンプルを取れれば良い。
その為、この小さな火花を焚き立てることにしたのだろう。
相変わらず俺は非常にめんどくさい相手に目を付けられたようだ。
まぁ、終わったことを考えてもしょうがない。
とりあえずステータスの確認をしておこう。
今回はリンとミュルジスのスキルを貰えてればいいんだけど…
ネーム:ユーリ
力:90->93
敏捷:65->68
耐久:38->45
器用47->50
魔力:20->25
魅力:100->113
スキル----
魅了、誘惑、夢操作、媚薬生成、性技強化、幻術、癒しの手、射撃、剣術、深海の捕食者、エーギルの深奥、歌唱、跳躍、浄化の剣、身替り、太古の血族、龍との契り(New)、最古の誓い(New)
うーん、あんまり実りはなかったみたい。両方とも元々俺が持っていたスキルが記憶と共に戻ってきた力のようだし。
龍との契りに関しては会いたい人と会えるだけだしね。
んでー、最古の誓いは…?
最古の誓い:ユーリの最も古い誓い。その誓いを貴方は覚えられない、だが何時の日かその誓いを彼女達、彼達との絆をもう一度やり直す度、思い出すだろう。
そして…全てを思い出した貴方は、最古の誓いをやり遂げれる筈だ。
だって貴方はそう、彼女に誓ったのだから。
ふむ…単純な強化ではなく、俺の目的を示すものか…。
まぁ、何時の日か思い出すならその時に考えればいいかな。
俺は皆に与えてしまった傷を癒したいし、その行程で誓いとやらも勝手に思い出していくらしいからね。
それに、きっと最古の誓い以外にも破ってしまった誓いは幾つもあるのだから、それも償わないといけない。
そうでないと、ミュルジスのように死を選んでしまうかもしれないからね。
「…リ?…ユーリ!もう、ユーリ!あたしの話、聞いてる?!」
声に反応して目を開いたら少し不機嫌そうなミュルジスの顔が目の前まで近づいていた。
どうやら、俺がスキルについて考え事をしていた間にミュルジスは話しかけていたようだ。
「えっ…あぁ、ごめん。少し考え事をしてて、どうしたの?」
「…聞いてなかったのね。…はぁ、ユーリてばあたしが近くにいても直ぐ他の何かに夢中になるわよねぇ?あたしの事はいっつも大切にするって言う癖に、話は聞かないし、約束は破るし。この浮気者ぉ…」
「…まぁ、否定はしないよ。確かに他のものに目を良く移してるからね。でも、大丈夫…ちゃんと君の元にも戻るから…ね?」
不機嫌そうに、口を曲げるミュルジスの頭を撫でながら呟くとミュルジスは、少し悲しみながら、でも嬉しそうに微笑んだ。
だが、それを見ていたチェンとホシグマはまるで女の敵を見るかのような視線を向けてきた。
「なぁ、ホシグマ…今の発言を聞いたか?あいつ堂々と目移りするって肯定してたぞ。それに、浮気者ってのも自覚があるみたいだ」
「ええ、流石ですね。ですが…それより小官は何故あんな浮気性で、勝手に無茶をして、急に姿を眩ませる馬鹿者が色んな人に好かれるのか教えて貰いたいですね」
わざと俺に聞こえるように二人は文句を言う。だけど、反論が出来ない。
だって事実だもん…だけど、俺だって望んでそんなことしてるわけじゃないし!
それに、聞こえるように言わなくてもよくない!?事実だとしても言われると少しは傷付くんだよぉ!?
「ねぇ、聞こえてるからね?少しは小さな声にするとかして?俺の心意外とガラスと引けに取らない脆さしてるからね?」
「ええ、分かってますよ?でも小官は事実を言ってるだけですから」
「ぐぅ…ねぇ、ミュルジス~。ホシグマが虐めてくる~!」
「あぁ…もう。ちょっと、ユーリ?ホシグマさんも言う通り事実を言ってるだけだからちゃんと受け止めなさい?でも、甘えてくるユーリも、これはこれで良いわね…?」
急に抱きつかれて少し困った顔をしながらも嬉しそうに俺の頭を楽しそうにミュルジスは撫でる。
これはちょっと盲愛過ぎない…?今なら壺も買ってくれるレベルじゃないこれ??
「…ねぇ、ミュルジスの好感度は何をしたら下がるの?これで嬉しそうにされるの何か嫌なんだけど…」
「ええ?あたしからのユーリの好感度が下がることは無いわよ?どんなユーリでもあたしは受け止めてあげる。だから、あたしの事をちゃんと見ててね…?」
「あっ、ハイ」
何だろう、今ミュルジスの瞳を見たくない。だって、絶対ハイライト無いもん、絶対病んでるもん。
受け止めるって言っても正面から全部受け止める必要はないよね。うん、差し込みで対処してこ…俺、特殊オペレータだし。
「あー…そろそろロドスに着くので降りる準備しといてくださいねぇ?」
「はーい、あっ、三人は着いたらゆっくりしてて良いよ。俺がドクターに報告しておくからさ」
「そう?ならあたしは少しやるべきことがあるから先に失礼するわね?…あ、ユーリ?だからって羽目を外しすぎちゃダメよ?あたし、ずっと見てるから」
ミュルジスは微笑みながらも相変わらずハイライトが無い目をしている。
俺、本当に傷を直せるかなぁ…何だかもう全てが遅い気がぁ…まぁ、諦めた所で何かが起きるわけではないんだけど…。
「…大丈夫、俺から求めることは多分ないから…うん」
基本的に襲われる側だし、というかほぼ無理矢理やられてるし!まぁ、記憶を失くしている俺が悪いんだけどね…。
「どうだろうな、求めさせることはあるんじゃないか?ユーリは無防備だからな」
「あぁ、確かに。それにユーリは人を誘惑して強暴化させるフェロモンとかを持ってそうですよね」
ない、とは言いきれない…!確かにスカジとかローレンティーナとかは無理矢理襲ってくるし…。いやでも、スキル欄にそんな力ないしな…うん、俺は悪くない!よし!
「ないから…そもそもそんな力あっても使わないからね?…だからさ、ミュルジス?そんな目で見ないでよ!怖いからさぁ!」
「チッ、着きますよー、気を付けてくださいねぇー」
「なぁ、今舌打ちしましたよねぇ?!おぉい、無視すんなぁー!俺だってこんなことになるなんて思ってもないから!なんなら助けて欲しいくらいだからさぁ!てか今すぐ昔の俺を殴りたぁい!」
「はいはい、迷惑ですから降りますよ?すみません、お騒がせしました」
「すまん。アイツは何時もああなんだ、許してやってくれ」
「なあ!?偏向報道だ!俺はいつもはもっとクールだから!というか、ホシグマ力強いってぇ!むぐっ…うぅー!」
「はーい、静かにしましょうね~?ほら、あたし特製の飴でも舐めましょう?ユーリはこの味好きだったものね?」
「はぁ、やっと嵐が過ぎ去ったかぁ…。」
ミュルジスと別れ、チェンとホシグマと一緒に話しながら部屋へ向かっていると角から口角を上げながら近づいてくるサルカズがいた。
「はぁーい、ユーリ?今暇かしら?」
白い髪に赤い角の彼女…ウィシャデルはケルシーさんから出来るだけ会わないようにと警告されていたから、俺は言い訳をするように早口で返した。
「げっ、ウィシャデル…。すまない、今は忙しいんだ、この後ドクターに報告書を提出しないといけなくて」
それを見てウィシャデルは、つまんなそうに横にいる二人を見て…嗤った。そして、俺のすぐ側まで近づいて耳元で囁いた。
「つれないわねぇ?ねぇ、ユーリ?あんた、ロドスに秘密にしてること、あるんじゃない?バラされたくなかったら大人しく着いてきた方がいいわよ?」
彼女の甘い声と吐息が耳を擽り、俺の動悸が速くなるのを感じた。だって俺の秘密は、最悪ロドスを離れなければ行けなくなる秘密だったから。
「…分かった、分かったよ。降参だ、二人とも先に行っててくれ。あとドクターにあったら報告書遅れるって伝えといて」
「またか…分かった。伝えておく、だが余り拗らせるなよ?ホシグマに無理矢理された時みたいになりたくなかったらな」
「…えっ、待ってくれ。チェン、見ていたのか!?あの時泥酔していたはずだろ!?」
「あんな激しくヤっていたら物音で目も覚めるさ。じゃあユーリまたな」
「チェン、待て!」
二人の騒がしい声を聞きながら、鋭い眼光でこっちを睨むウィシャデルは、今さっきと違い恐ろしい笑顔で俺の手を取った。
「じゃ、大人しく着いてきなさい?それとも、秘密をバラされてからこの爆弾で吹き飛ばされたい?」
「…何か機嫌悪くなってないか?はぁ、まあ大人しく着いていくよ。ウィシャデル」
ウィシャデルの小さな手に連れられて来られたのは、ロドスの厨房だった。
何のようで寄ったのだろうと、考えているとウィシャデルは、冷蔵庫から生のじゃがいもを取り出し、俺へ投げた。
「うわっ、とと。んで、結局何の用なんだ?こんなところに連れてきて」
「そうねぇ、それはあんたが気が付くまで黙っていることにしたの。取り敢えず、それで料理をしてくれない?あたし、お腹が空いたのよね」
面白くなさそうにウィシャデルはそう言って、厨房の一角に座った。俺は取り敢えず従っておこうと、献立を考えながら道具を取り出した。
「じゃ、注文はございますか…お嬢様?」
「はっ、何よそれ?似合ってないわね…まぁいいわ。あたし、茹でじゃがいもがいいわ。味はあんたが決めて」
少し、笑いながらウィシャデルは質素な注文をした。何で茹でじゃがいも?と思いいつつ、俺は出来るだけ美味しくなるように、下準備を始めようとじゃがいもを洗うために水道へ向かった。
そして、俺がじゃがいもを洗ってる最中…ウィシャデルは俺へ抱きついてきた…俺の胸を手で撫でながら。
「えっと、どうしたんだ?ウィシャデル…?」
「…振り返らないで、あんたは料理することだけを考えてればいいの。分かった?」
背中に感じる柔らかさとウィシャデルの甘い匂いがジリジリと俺の理性を溶かしていく。一体何を考えているんだ?そんな疑問を口に出すことは出来なく、ただ俺は料理をする為に動いた。
その最中もウィシャデルの悪戯は続いた。ふぅーと、俺の耳に吐息を吹いたり、首に顔を近づけて匂いを嗅いだりと。
そんな悪戯を堪えながら、俺は料理を作り終え、椅子へ座ったウィシャデルへ出した。
ウィシャデルは、それを少し眺めてから以外にも美味しそうに食べ始めた。
そんな姿を俺は懐かしく感じていた。それは、失ってしまった記憶からなのだろう。
もしかしたらウィシャデルは、俺に記憶を取り戻して欲しくてこんなことをしているのだろうか?
そんな風に考え込んでいると、気がついたら目の前にウィシャデルの綺麗な顔があった。
「何考え込んでんの?あんた、遂に呆けちゃった?それとも、あたしに夢中にでもなっちゃったかしら?」
「どっちでもないよ…ただ、何でウィシャデルはこんなことしてるのかなって考えていただけさ。で、次は何をするんだ?」
「そうねぇ、じゃあ次は庭園にでも行きましょ?あんた、昔からあんなちっぽけな花が好きだものね」
当たり前のようにウィシャデルは俺の趣味を言い当てた。意外と、いつかの俺はウィシャデルと仲がよかったみたいだ。
「そうか、じゃあ…ウィシャデルにだけ、俺の育てた子達を見せて上げるよ。今度は俺が案内する番だな」
「ええ、そうね。じゃあ、素敵なエスコートをお願いするわ」
「あぁ、任せて」
こちらに、手を差し伸べ笑うウィシャデルは噂で聞いた残酷なイメージを吹き飛ばす程に、美しく写った。
だが、綺麗な花ほどとげがあると言われるように、その笑顔は俺を陥れる罠だったと気が付くのはずっと後だった…。
庭園へとたどり着いた俺達は、密かに俺が育てている花達の花壇へ向かった。
その道中、ウィシャデルはずっと俺を眺めていた。声を掛けてきた他の人と俺が話していても、気にせずに。
だが、花壇へ着いたとたん、ウィシャデルはその視線を俺が何も言わずとも俺の花壇へ向けた。
そして、そこに咲き誇る白い花を見て驚いたような表情になった。
「どうしたの、ウィシャデル?そんな驚いたような顔して」
気になってそう喋り掛けてもウィシャデルは、反応しなかった。
だから、取り敢えず俺はその花を幾つか摘み取り、それで花冠を作りその頭へそっと乗せた。
「うん、可愛い。ウィシャデルに凄く似合うね」
「…あんた、馬鹿にしてるの?あたしにこんなの似合うわけ無いじゃない…でも、そうね…ありがと」
少し、泣きそうな顔で頬を染めながら小さな声でそう呟く彼女は、酷く魅力的だった。
「で、なんでそんな泣きそうになってたの?」
ウィシャデルが少し落ち着き、二人で花壇の前に座っている時に、俺は彼女の心へ手を伸ばした。
だが、彼女から返ってきたのは俺を傷つける当たり前の言葉だった。
「ふん、あんたが思い出したら分かるんじゃない?それとも、あんたはあたしがヒントを出さないと…過去すら思い出せないのかしら?」
「ははっ、その通りだ。ただ…俺も思い出すトリガーがまだ分かっていないんだ。だから、出来れば教えて欲しい。そうすれば君との記憶も戻ってくる気がするから」
だけど、ウィシャデルは心底軽蔑したような顔をして、俺に抱きつき呟いた。
「いーや。あんたが、思い出すの。あたしに何をしたのか…。あたしにどれだけの傷を与えたのかをね。…そうだ、あんたが思い出せないって言うならあたしはあんたを何回も何回も追って殺してやるわ。だから、あんたはあたし以外に殺されないことね?また探すのはめんどくさいもの」
俺の首を手で弱く絞めながらウィシャデルは壊れたように笑う。
そしてその手はゆっくり、ゆっくり力が入っていき、息が苦しくなっていく。
ウィシャデルはそんな俺の息が漏れる音を聞きながら、貪るようなキスをした。
無理矢理俺の舌と自分の舌を絡め、犯されるような音が響く。俺はそんな彼女の甘い匂いと白くきめ細かい肌に魅了されながら、ただ死にたくないと踠くことしか出来なかった。
どんどんと薄れ行く意識の中、何故か俺の一部が盛り上がってるのを感じた。
ウィシャデルはそれに気が付き口を離してわざと見せびらかすように自分の陰部で擦りながら更に楽しそうに顔を緩めた。
「ふふっ、相変わらず変態ね…?"先輩"?」
その一言が俺の意識が落ちる前の最後の記憶だった。
赤い炎が、暗い夜を照らす。その側で白いサルカズと一緒に、俺は何かを話していた。話してた内容は、夢…だったかな?
そして、次の作戦…バベルとかいうところの護衛の任務で俺は白いサルカズと黒いサルカズと一緒に捕まっていた。
その窮地から脱出する為に、大きな赤い炎が舞った。俺達は必死にそいつらを殺しながら、逃げ出した。
でも、その最後…白いサルカズへ向けられた刃を無理矢理俺が割り込んで防いで、俺は切られた。
どくどくと流れる血、薄れていく意識…そして、叫ぶ二人の声を聞きながら、死ぬことを知った俺は唯一の力を使った。それは、師にもリーダーにもあまり使うなと言われた、氷の力だった。
その瞬間、舞っていた火花すらも、強い強い敵すらも全て凍りついた。一面雪景色になって、真っ白なその空間で俺は、唯一凍らなかった片手で、白いサルカズへ大好きな白い花を託した。
あの時…俺は、何を託したんだっけ…?
あぁ、そうだ。俺は…俺の夢を託したんだ。
誰もが白い花畑で笑いあえる平和な日が来ますようにって夢を。
いや、でも…他にも何か…言った気が…?
長い長い夢から覚め、酷く痛む頭を支えながら、起き上がろうと力を込める。だけど、じゃらじゃらという音だけが響くだけだった。
何が、あったんだ…?まだ、回らない頭を無理矢理動かしながら、思い出そうと目を閉じようとした時、側から甘い声が聞こえた。
「はぁーい?寝坊助はやっと起きたのね?そのまま起きなかったら殺しそうなところだったわよ。相変わらず運がいいのね~?」
あぁ、そうだ。俺は彼女…ウィシャデルに気絶させられたんだ。
「…何が、したいのさ。殺したい、なら…さっさと、殺しなよ」
酷く乾いた喉からは、途切れ途切れの言葉しか出なかった。そんな様子の俺を見ながらウィシャデルは下着姿でのし掛かり俺の体を弄くり始めた。
両手で乳首を撫で、陰部で俺の陰茎を擦り…俺の口を舐め、挑発するように笑う。
何がしたいのか、そんなことを考えることすら出来ず、俺はその淫靡な空気に飲まれていく。
そこで、気が付いた。この渇きは、この飢えは精気が足りていないんだと。
あぁ、つまり…彼女は俺の精気を搾り取って殺す気なのだろう。
料理中に悪戯をしたのも、本番はせずに俺を興奮させるのもそれが理由なのだろう。だって、サキュバスは交尾する時は元々持っていた精気を吐き出し、新しい精気を得るために腹を空かせるのだから。
「あ、やっと気が付いたみたいね?ほらほら、それなら抗わないとねぇ?ここには美味しそうな女がいるもの、その鎖を無理矢理壊して、押し倒して入れれば生き残れるわよ?幸い、ほらあたしも興奮してるもの、直ぐに入れれるわよ?」
嗤いながらウィシャデルは自分のパンツを脱ぎ、それに付いた染みを見せびらかせる。
それと同時にブラジャーも外して、その体を見せびらかせた。
そこには白い肌と、程よく大きな胸の中心にこれ見よがしにピンクの実が触ってと言うように大きく主張していた。
だが、それを触ろうと手を伸ばそうとしても、鎖は千切れない。
ただただ、俺は俺の上で挑発するように喘ぐ素振りをするウィシャデルを眺めることしか出来なかった。
「ほら、頑張れ…頑張れ~?まだ、死にたくないわよね?なら、もっと目の前の女を犯すために抗わないとねぇー?じゃないと本当に死んじゃうわよ?」
ムクムクと強まってくる性欲が、ほんの少し残っていた理性を打壊し、俺はサキュバスの本能で鎖を千切ろうと暴れた。
そして、意識すら性欲に支配されそうになった時、何かが折れる音が響いた。
鎖がついていたベッドの柵が折れたのだ。それに気が付いた瞬間、俺はウィシャデルへ飛び付いていた。
「わっ…あらあら、壊れちゃったみたいね…?それで、どうするの?"先輩"?」
余裕綽々に嗤うウィシャデルを押し倒し、飢えを凌ぐ為にその体に無理矢理突き刺す。
そこには少しの抵抗があったが、彼女の愛液のお陰で直ぐ様、貫いた。
ウィシャデルは、その顔を少し歪ませながら優しく俺を抱き締める。
そして、少し涙を浮かべた瞳を優しい微笑みへ変え、呟いた。
「やっと、やっと繋がれたわ。ふふっ、ほんといつまで待たせるのよ…。バカ先輩っ」
その瞬間気が付いた。彼女の部屋の隅に月明かりに照らされながら悠々自適に白い白い花が咲く花壇があることに。
あぁ…あの花だ。俺が彼女に託した、あの花だ。
そうだ、俺は…彼女に師の名前を継がせ、共にあの日々を歩んだんだ。
そして、最後に花と共に…愛してると伝えたんだった。
「…W、W…!愛してる、君のことを愛してる!やっと、やっと思い出した…!」
「…バカ先輩、やっと思い出したのね…それに、今のあたしはウィシャデルよ。もう、あの時のあたしじゃないの。あんたが、他の女にうつつをぬかしている間にね。だけど、ええ。あんたにだけはその名前をまだ呼ばせてあげる。二人の時だけ…ね」
白い肌を赤く染めながら、彼女は目を逸らしてそう呟く。
その肌から流れ落ちる雫を拭き取り、無理矢理俺の方へ彼女の顔を向ける。
そして、赤い瞳を見つめながら口づけをする。
前と違い貪るようなキスではなく、愛を紡ぐような優しい優しいキスをする。
彼女の舌と、俺の舌で混ざり合い…溶けるようにそのまま動き出す。
「…んふっ…はっ、んじゅ…ふふっ、初めてってこんなに気持ちいいものなのね…あっ、んんっ…急にっ、激しく…しないでよっ、バカぁ…」
時々漏れる彼女の声と、とろんと蕩けている瞳が更に俺の興奮を引き立てる。
その上、彼女の豊かな胸部がぐにっと俺が動く程に変形し俺を刺激する。
もう、我慢は出来なかった。俺は果てるために彼女の様子を確認することもせずに動き続けた。
「んんっ…ふぁ…これ、おかしくなるっ…だめ、だめ…とまって…ユーリ…っ!もう、イッちゃうから…ばか、ばかっ…一緒にイきたい…のにぃ…っ」
「…W、Wっ、ごめん…っ、気持ちよすぎて…止まれない…っ」
びくんびくんと跳ねるウィシャデルを抱き締めながら、更に早く動く。ウィシャデルは動く度に可愛い声を更に漏らしていく。
「…だめ、だめ…もう、イク…出して、出して…ユーリっ!」
「あぁ…出る、出るよ、W…っ!」
二人の嬌声が合わさり、響く。少しの間抱きつき合い、ゆっくりと抜くと白濁した液体が彼女の秘所から溢れ出てくる。
その光景に更に大きく反応する俺の陰茎を見て、ウィシャデルは、嬉しそうに俺に抱きつき押し倒す。
「良くも、好き放題してくれたわね?あたし、やられっぱなしって嫌いなのよねっ!」
そして、ウィシャデルは、ガニ股で俺の上で淫らに動き始める。キツキツなその中は出せ出せと、俺を刺激する。
「っんぁ…!ちょっ、Wっ!出したばっかっ!…はげし…過ぎるって、あぁっ!」
「ふふっ…いいわ、いいわねこれ…っん、ねぇ…好き放題、されて…んんっ、悔しくないのぉ…?」
煽るように笑う彼女に煽られ、俺はムキになって彼女の腰を掴み突き上げる。それを、待ってたかのようにウィシャデルは更に動きを早くし始める。
「W…っ!生意気、いって…っ!…あぁ、っ…本当は…動いて欲しい…だけなんだろ…ぉっ!」
「…あぁっ、そうよ…!あたし…動いて欲しいから…煽ってるのぉ…♡…んっ、あはっ…でも、先輩も…煽られるの…好きみたいねぇ…?」
妖艶に笑う彼女の言葉通り、俺はウィシャデルの言葉に更に硬くしてしまう。まるで彼女の甘い声が脳みそを犯しているんじゃないかと錯覚する程、射精感が高まってゆく。
「あらあら…もう、出そうなの…?先輩…んぁ♡…弱いのねぇ?…じゃあぁ…せっかくだから、カウントダウン…してあげるわ…っ!」
パンパンと破裂音が鳴る程、激しく腰を動かしながらウィシャデルは、俺の耳元で囁くように呟き始めた。
「ごぉ…ぉっ〝…ぁ、まだまだ…イッちゃダメよ?あたしも…一緒にイきたいの…ね、先輩…頑張ってくれるわよね…?」
「よぉーん…ふふっ…必死に耐えてるのね…?…あぁ…♡まだまだ…大きくなるの…ねぇ?…この、変態…♡」
「さぁーん…そういえば…先輩…?あたしたち、生でヤってるわ…妊娠…しちゃうかも…?それとも…妊娠させようと…あっ♡大きくしてるのかしらぁ…?」
「にぃーい…んぁ…あぁっ♡はげし…っ、孕ませようと…頑張ってるのね?…いいわよ、あんたなら…あんたのぉ〝…子なら欲しいもの…ねっ、だから…びゅーって、中にいっぱい…出してぇ?」
「いーち…っ♡…はぁ…んんっ、ほら…あとちょっとよ…もっともっと…激しく…してぇ?…絶対、孕ませるんだって…その、熱いのを…あたしの、奥で…いっぱい出すのよっ…おぉっ♡」
「ぜろ、ぜろ、ぜーろっ…おっ〝──♡あっ……びゅーっ…びゅぅーっ…あはっ♡熱いの…どんどん、入ってくるわぁ…♡あたし…危険日なのに…二回も…あっ♡出しちゃったわねぇ…?…先輩はぁ…どうやって、責任…取ってくれるのかしらぁ?」
あまりの気持ち良さに、頭が真っ白になってる俺にウィシャデルは悪魔のような笑顔で、鮮血とどろどろと秘所から流れ落ちる精液を見せびらし、幸せそうに抱き付いてくる。
だから、俺はウィシャデルの頭を撫でながら…顔を上げさせ、中指を立てながらわざと大きな声で叫んだ。
「取るわけねぇだろぉ、ばぁーか!お前が襲ってきたんじゃねぇか!好きだし、愛してるけどなぁー?!お前、俺を殺そうとしたの忘れてねぇぞっ!この、くそ後輩っ!!」
ウィシャデルは、急な俺の変貌に驚くように一瞬止まり、そして大きな声で笑い出した。その顔には軽蔑や怒りなど無く、少しの涙と喜びで埋まっていた。
「…ふふっ…あははっ─!そうねぇ、そうよねぇ…あんたって本当はそんなやつだったわよねぇ!てことは、もしかして記憶が戻って悪いところも引き継いだのかしら?くそ先輩さん?」
「あぁーん?んなわけないだろ!これも、何時もの俺もちゃんと俺だわ!ただお前にはこの態度の方がいいかと思っただけ!じゃなきゃお前調子に乗るからよぉ?んで、もう満足したのか?さすがに報告書出さなきゃ行けないんだがよ」
「あら、満足したと思う?あんたが、あの日死んでからあたしどれだけこの日を待ってたと思ってんの?だから今日1日は、ずっとあんたはあたしと一緒にいるのよ?拒否権はないからね、先輩っ?」
そう言いながらウィシャデルは、啄むようなキスを繰り返しながら俺の手を自分の胸に押し付け、妖艶に笑った。
まだまだ─淫らな夜は終わりそうにない。
えー、皆さんお待たせいたしました。何故、こんなに遅くなったのか…それは見ての通り最推しのWもといウィシャデルの話を書いたからですが、実は何度もこのお話を書き直していたんですよね。
ウィシャデルらしさを表現できなかったり、曇らせが多すぎたりと色々ありまして…まぁなので、もしこれにウィシャデルらしさを感じて下されば作者として、スッゴく嬉しいです。次いでに感想とかお気に入りして下されば次のお話が早くなるかもしれません…。多分…。
ではでは、また次のお話で。