※この作品はR-18です。

友人以上、セフレ未満   作:ナナナ

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#12

「最近、瑞樹と仲良いらしいじゃん」

 

「……は?」

 

夏休み最終日。

毎年恒例透の「宿題って何やればいいんだっけ」に付き合わされていた私だったが、雑誌をめくる手が止まる。

 

「さっき樋口がトイレ行ってる時におばさん言ってたよ」

 

「は?」

 

「この間、幼稚園の時みたいに一緒のベッドで寝てたって」

 

「は?」

 

不覚だった。そりゃあ見られてもおかしくない。

そういえばここ最近母がニヤニヤしていたが、今ようやく理由が分かった。

痛む頭を指で抑えながら、この状況を切り抜ける道を探す。

 

「……浅倉には関係ないでしょ」

 

「うん。でも面白いし」

 

「……誰かに言った?」

 

「まだ。雛菜と小糸ちゃんにも伝えた方がいい?」

 

「やめて」

 

そんなことをされたら、地獄の果てまで雛菜に追及される。

スマホを取り出した透に、雑誌を投げつける。

 

「好きなの?瑞樹のこと」

 

「……」

 

「好きなんだ」

 

「……浅倉には関係ないでしょ」

 

「まぁ、そうかも?」

 

すっとぼけたすまし顔が妙に憎たらしい。

 

「まぁ、何となく分かってたけど」

 

「……え?」

 

喉まで出かかった「まさか」。

私の顔が面白かったのか、透はクスクスと笑った。

 

「大丈夫。雛菜と小糸ちゃんは多分気づいてない」

 

「……」

 

「あれだけ瑞樹の家に入り浸ってるの、流石に気づくよ」

 

「……はぁ」

 

どこかで何度か見られていたらしい。

細心の注意を払っていたつもりだったが、詰めが甘かった。

自分の馬鹿さ加減に、ため息しか出ない。

 

「付き合ってるの?」

 

「付き合ってない」

 

「……ふぅん」

 

「何。さっさと宿題やったら?」

 

「それどころじゃない。宿題は忘れても、樋口が一緒に怒られてくれるし」

 

「私はもう終わってる」

 

「そう言っても毎年一緒に怒られてくれるじゃん」

 

今年は絶対に怒られてたまるか。

胸に誓う。

 

「好きって言わないの?」

 

核心を突く、透の問いかけ。

真っ直ぐに私を見据える透き通った瞳は、いつ見ても瑞樹のものとよく似ている。

どす黒く濁りきった私にはない、ビー玉のような綺麗な瞳。

 

「……浅倉は?」

 

「ん?瑞樹は友達だよ?何で?」

 

「……」

 

悲しい程、哀れだ。

昔もこうして、告白されたことすら気づかなかったのだろう。

 

「……もうちょっと、周りに目を配ったら?」

 

「そうかな。配ってるつもりだけど。昨日もプロデューサーにジュース買ってあげたし」

 

「……はぁ」

 

そうじゃない。

言っても無駄だと分かりきっているから、口には出さない。

当の本人は何も分かっていないように、シャープペンをくるくると回して遊んでいる。

 

「あっ」

 

指から飛んだシャープペンが床に落ちる。

透はそれを拾うそぶりすら見せず、数学のドリルをぱたんと閉じた。

 

「……一緒に怒られないから」

 

「大丈夫。樋口は怒られてくれるって」

 

「……はぁ」

 

きっと、透の言う通りになるだろう。

どうせ明日の今頃、私は透と一緒に担任に叱られている。

 

「瑞樹。私のこと好きじゃないよ」

 

透は鞄を肩にかけ、そう言い残して部屋を出た。

残酷。それ以外の言葉が、出てこなかった。

 

 

 

 

 

 

瑞樹は意外と器用だ。

しっかりと縛られた精液入りのゴムの結び口を見ながら、ふとそう思った。

 

「……どうした?」

 

Tシャツだけを着た瑞樹が、不思議そうにこちらを見ている。

私はゴムをゴミ箱に捨て、ブラジャーを付ける。

 

「別に」

 

「……そうかい」

 

疲れでホックが上手く付けられず苦戦していると、スッと瑞樹がつけてくれた。

やっぱり、器用だ。

恋愛は不器用なのに。

透という、絶対に叶わない相手の背中を追い続けているだけなのに。

 

「……明日から学校かぁ」

 

「宿題は終わってるの?」

 

「あー、そんなの最初の週に終わらせたよ。残しとく方がダルイだろ」

 

何でもないように言うが、瑞樹はそれなりに頭の良い進学校に通っている。

宿題の量も私達よりも多いはずだ。

要領だって良い。

 

「お前は?」

 

「……終わってる」

 

だが、全部終わったのはつい先週のことだ。

泥沼、いや、底なしの毒沼。

一度踏み入ったら逃げられない劣等感の毒沼に、私はもう両肩まで浸かっていた。

太ももまで履いたパンツを脱ぐと、私は瑞樹を押し倒した。

 

「……」

 

何も言わずゴムを装着し、瑞樹の肉棒を膣で咥え込む。

 

「んっ……!」

 

「うわッ……!」

 

重なる喘ぎ声。

私に気を遣ってか、瑞樹は自分の目を腕で隠そうとした。

 

「……浅倉のこと、好き?」

 

「……は?」

 

片目だけ隠れた瑞樹の目。

腕が被さっていない左目が、スゥと細くなる。

 

「それ、今関係あるか?」

 

「……ないけど」

 

「じゃあ訊くなよ」

 

透と同じ、透き通る瞳。

私の濁った瞳とは違う、透き通る瞳。

毒沼になんて浸かっていない、綺麗な身体。

 

「好きなの?」

 

やはり私は、薄汚く醜い。

この透き通る美しい瞳を、私と同じ濁った瞳まで墜としてやりたい。

毒沼へ、一緒に沈んで欲しい。

こうして性器同士が繋がったまま。温もりを感じながら。

 

「……何が言いたい?それとも、馬鹿にしてるのか?」

 

瑞樹の身体を黒いオーラを纏う。

鋭い眼光が、私の心臓を射抜く。

掴まれている太ももに、爪が食い込む。

 

「……好きだったら?」

 

「……私には関係ないけど」

 

「あぁ……そうかい」

 

その瞬間、私の身体は瑞樹に抱えあげられた。

肉棒が抜け、あっという間にベッドへ組み伏せられる。

両方の手首はまとめて片手で押さえつけられ、超えられない性の優劣をまざまざと教え込まれる。

 

「……俺と透が付き合ってくれた方が、都合が良いか?」

 

「……」

 

都合なんて、良いわけがない。

瑞樹と透が付き合えば、この関係は終わりだ。

瑞樹が私と交わる理由がなくなるから。

でも、そんなことを言えるわけがなかった。

 

「……あぁ、そうかい。あぁ、そう」

 

真っ黒に染まった瞳。

私の両手を抑えている手とは逆の手でゴムを外した瑞樹は、生の肉棒を膣穴に擦り付ける。

 

「ちょっと……!」

 

「うるせぇ」

 

やばい、生でする気だ。

私が気づいた時にはもう遅く、瑞樹は私に圧し掛かるように体重をかけ、生の肉棒を力任せに膣穴へとねじ込んだ。

 

「ち、ちょっと……!洒落に……!」

 

言葉は、最後まで出なかった。

私の口は瑞樹の唇で塞がれ、重なり合った唇の隙間から言葉にならない空気が漏れる。

 

「……!!!」

 

舌が無理矢理入ってくる。

私の口内で何かを探すように動いていた舌は私の舌を捕まえると、不器用に絡みついてくる。

ジタバタと暴れてみるが、瑞樹は全く意に介さず腰を振る。

それどころか、明らかにわざと、私の口内へ唾液を流し込む余裕すらもあった。

尋常じゃない愛液が、瑞樹が腰を振る度に飛び散る。

 

「ぷはぁ……!」

 

唇が離れる。

しかし、瑞樹は息継ぎをするとすぐに、再び唇を重ねてきた。

突然のことで息継ぎができなかった私は、酸欠で頭がぼうっとしてくる。

暴れる気力もなくなり脚で瑞樹の腰を抱え、射精を待つただの一匹の雌へと成り下がる。

好き、好き、好き、好き。

もう、どうなってしまってもいい。妊娠したら駆け落ちでもしたらいい。

ただ今は、狂った雄のように本能の儘腰を打ち付ける瑞樹と、繋がっていたい。

何度絶頂したか、もう分からない。

何もかも、分からない。

好き。愛してる。

 

「……ッ!!!」

 

私の一番深い所まで肉棒を叩きつけた瑞樹の身体が震える。

勢い良く吐き出される熱い精液が子宮口にかかる。

何度も、何度も、強く脈打つ肉棒。

 

「はぁ……!はぁ……!」

 

瑞樹が荒い息を吐きながら肉棒を抜くと、膣に収まりきらなかった精液が膣口から溢れ、肛門を伝ってベッドに滴り落ちる。

 

「わ、悪ぃ……」

 

「……いいから」

 

呆然とする瑞樹の瞳は、いつものように透き通ったものへと戻っていた。

罪悪感が、私の心を蝕む。

そんな悲しそうな顔をして欲しかったわけじゃないのに。

 

「……ごめん。本当にごめん」

 

声を震わせて謝る瑞樹の声は、私の耳にへばりついて離れなかった。

 

 

 

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