友人以上、セフレ未満 作:ナナナ
「あらあらあら……」
『にやけ面』という言葉をこれ以上ないくらいに表現したおばさんの顔。
口元に手を当てているものの、三日月型に歪んだ目と、指の隙間から見え隠れする上がりきった口角。
何?と言いたくなった。
「どうしたの?瑞樹君?」
「いえ、この間樋口が俺の部屋に忘れ物をしていったので、それを届けに……」
「私も樋口なのよ?」
「……円香が」
「あらあらあら……」
何だ、この人は。そう言いたくなったが、訊いたらさらに面倒なことになりそうなので、喉まで出かかったそんな台詞を飲み込む。
代わりに円香がいつもつけている髪留めを見せると、おばさんはにやけ面のまま俺を家に招き入れてくれた。
「円香ならそろそろ帰ってくると思うから。部屋で待ってて」
「はぁ……そうですか?なら遠慮なく……」
「シャワー浴びる?今日暑かったでしょ?」
「いえ、結構です……」
「じゃあ何飲む?コーヒー?紅茶?アイス?ホット?砂糖は?ミルクは?」
「無糖のアイスティーで……」
まさか、円香と付き合い始めたことがバレたか?
そんな恐ろしい可能性が頭をよぎるが、とりあえず否定しておく。
バレたら、気まずいなんてものじゃない。
あまりおばさんと顔を合わせないようにしながら二階へ上り円香の部屋に入る。
相変わらず、女子高生らしくない部屋だ。
「アイスティーここに置いておくからね」
「あ、ありがとうございます」
盆に乗せた二つのグラスを机に置いたおばさんは、後ろ手に部屋のドアを閉めると、床のクッションに座った。
そしてグラスのひとつに口を付け、アイスティーを飲む。
俺と円香の分だと思っていたが、どうやら自分のものだったらしい。
逃げたい。髪留めだけ返す予定だったのに、どうしてこうなってしまったのだろうか。
「で、どうなの?」
「どう、とは」
「もう!カマトトぶらなくたっていいじゃない!」
「今時カマトトぶるとか使わないですよ。今風に言うなら……」
「話を逸らす気?」
『その手には乗らないわよ』と言いたげな目で、にこにこと笑うおばさん。
円香はアレで結構騙せるのだが、経験値が違い過ぎる。
どうしよう、本当に逃げ出したい。お腹が痛くなってきた。
「円香とはどこまで?A?B?C?もしかしてD!?」
いちいち若干古い言い回しに、頭が痛くなってくる。
というか、Dって何だよ。
「…………いや、そんな関係じゃないですけど」
「えぇ?」
おばさんの反応を見るに、円香はまだ言ってないのだろう。
それなら、ここで俺が勝手に喋るのも、おかしな話だ。隠し通させてもらおう。
「忘れ物、髪留めよね?」
「えぇ」
「あの子、髪留め外すことなんて滅多にないのだけど。それこそ……シャワー浴びたりする時くらい?」
心底面白そうな目に、言葉が詰まる。
確かに、この髪留めは脱衣所の床に落ちていた……。
「アイドルも、何かきっかけがないと始められない子だし?瑞樹君も知ってると思うけど、あの子結構臆病じゃない?」
「あ、それは知らないです」
「それは?じゃあ髪留めを忘れた理由は知ってるってこと?」
やられた。
自分の愚かさに頭を抱えたくなる。
「で?円香とはどこまで?」
「もう勘弁してください……」
土下座でもしようかと思った瞬間、玄関のドアがガチャリと開く音がした。
そして一瞬の静寂の後、どたどたと慌てて階段を駆け上がる音が聞こえてくる。
「お母さん!」
「あら、円香。おかえり」
「助けてくれ……」
「……何してるの」
「何も?じゃあ私、五時間くらい買い物行ってくるから」
部屋の出入り口で立ち尽くす円香と入れ替わるように、おばさんは妖しい流し目で俺を見ながら出て行った。
そして玄関の開閉音と、遠ざかっていく車のエンジン音。
「……お母さんと何話してたの?」
「いや……お前とどこまでシたって話だよ」
「な……」
ボッと顔に火が付いた円香は、俺の胸倉を掴み上げた。
「おかしなこと言ってないでしょうね……!」
「言ってねぇよ……」
「……じゃあ何で、五時間買い物に行くとか言ってたの?本当は何か言ったんでしょ?早く本当のことを喋って謝って」
あんまりな物言いに、俺もカチンときた。
「だーかーらー!何も言ってねぇって!どうせお前がしくじったんだろ!」
「は?言いがかりも大概にしてもらえる?射精は早い割に謝罪は遅いのね」
「人を早漏扱いしやがって……!」
一人の日本男児として、今の暴言を許すことはできなかった。
「……あったまきた。お前、先にイったら負けな」
俺はそう宣言すると、有無を言わさず円香をベッドに突き飛ばす。
そしてスカートをたくし上げパンツを脱がせつつ自分も肉棒を出し、まだ半勃ちのそれに無理矢理ゴムをはめる。
そして腰を前後に動かし割れ目に肉棒を擦り付け、ギンギンに勃起させる。
「……そんなに必死に腰をヘコヘコさせてどうしたんですか?挿れる穴も分からない童貞なんですか?」
煽るようにニヤニヤしながら言う円香だが、その実、膣穴からは凄まじい量の愛液が漏れ出していた。
ただの強がり。そんな判断を下し、勢い良く腰を突き出して肉棒を挿れる。
「くっ……!」
「うッ……!」
円香より先にイくもんか、と意識すると、何故だか普段よりも気持ち良く感じられてしまう。
ヌルヌルで生温い肉壺のヒダがカリに絡みつき、子種を求めて竿を離さない。
薄いゴム一枚を隔てて鈴口と子宮口がキスをしている。
油断すれば、すぐにでもイってしまいそうだ。
「あぁ……はぁ……!」
余裕がないのは円香も同じようで、喘ぎ声を隠すこともせず、ベッドシーツをぎゅっと握りしめている。
俺は何も言わず肉棒をほんの少しだけ引き抜くと、円香の膣壁のザラザラとした部分をカリ裏で小刻みに擦る。
「あああああああああっ……!」
これだけ身体を重ね合っているんだ。弱い所を知らないわけがないだろう。
さらに俺は、円香の頭の両側に手をついて上から顔を覗き込み、強引に唇を重ねる。
「~~~っ!」
バタバタと暴れる脚と、俺の顔を引き剝がそうとする手。
しかし、その手に力はほとんどこもっていなかった。
コイツは結構無理矢理されるのが好きだということに気付いたのは最近だった。
暴れていた脚は次第にピンと伸び、膣壁がビクビクと痙攣を始める。
「やだ……!」
そう言いながらも、俺の首筋に噛みつく円香。
ピリッとした痛みと共に、俺は円香の子宮口に肉棒を思い切り叩きつける。
「~~~っ!」
首筋に歯をたてたまま絶頂を迎えた円香。
一瞬遅れて俺も、ゴムへ精液を吐き出した。
「はぁ……はぁ……お、俺の勝ちだな……」
「う、うるさい……」
精液の溜まったゴムの口を縛りながら勝ち誇ったように言うと、円香は悔しそうにそう吐き捨てた。
口を縛ったゴムをゴミ箱へ投げ捨てると、円香にベッドへと押し倒される。
何を、と言いかけたが、精液のついた肉棒をしゃぶられ強制的に勃たされ、ゴムを付けられる。
「……さっきは瑞樹が主導権を握ってたから。今度は私がする」
「いや、射精したばっかりなんだけど……」
「いいから……!」
すっかり臨戦態勢の肉棒に跨った円香は、俺に背を向けるような体勢で腰を下ろす。
ヌプ、とさっきよりも滑りの良い膣内に吸い込まれていく肉棒。
円香の腰使いに、俺はあっさりと果ててしまうのだった。
☆☆☆
「も、もう何も出ねぇ……」
ゴムを外すどころか膣穴から肉棒抜く気力すらなく、汗まみれの円香の背中に圧し掛かる。
正常位、騎乗位、バック、駅弁、エトセトラ……様々な体位でヤりまくった俺達だったが、最後は寝バックだった。
最早射精した回数など覚えておらず、ベッドや床には口が開きっぱなしで精液の零れたゴムが散乱している。
円香も電池切れか、肩を上下させて息をしているだけで、クッションに顔を埋め一言も発していない。
「……なぁ」
「……何」
「俺達、何でこんなことになってるんだっけ……」
「……知らない」
ああ、何かムキになった理由があった気がしたんだけどな。
グチャグチャの頭ではどうせ思い出せないので考えることを放棄し、遠くで聞こえるエンジン音をバックグラウンドミュージックに、俺と円香は眠りへと落ちていった。
☆☆☆
「若いって凄いわね~……」
凄まじい性の匂いが充満した部屋。
少なく見積もっても箱ひとつ分は使い切ったであろう使用済みゴム。
重なり合って寝息を立てる娘とその彼氏。
付き合っていることは薄々感づいていたけれど、買い物とお茶を終えて帰ってきたら、こんなことになってるなんて。
「あの二人に限って間違いはないでしょうけど……今度こっそりゴムを机の引き出しに入れておいてあげないと」
まぁ、妊娠したらその時はその時のような気もするけど。
私は独りごちると、薄く開いたドアを音をたてないように閉めた。