※この作品はR-18です。

友人以上、セフレ未満   作:ナナナ

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#3

「はあっ……はあっ……バカ……!」

 

普段以上に荒い円香の呼吸音。

もう何度目か分からない射精。

最早どちらの何の体液か分別が付かない程に混ざり合った、粘性を持った液体。

 

「さ、さすがに……しんどいな……」

 

肉棒を引き抜く力すら残っておらず、ぐったりと円香に全身を預けてのしかかる。

重なり合った胸からダイレクトに伝わる心臓の鼓動。

汗の香りと甘い香りの混じった円香の首筋に、顔を埋める。

 

「……重くないか?」

 

「……平気」

 

「……そうかい」

 

身体をぴったりとくっつけたまま、俺達は静かな部屋の中で互いの鼓動だけを聞いていた。

僅か十秒だったか、はたまた一時間は経っていたか。

時間感覚を失った俺は、いつまでもこんな時間が続けば良いと思ってしまった。

 

「……手。離して」

 

「え?あぁ……悪い」

 

グッパーと動く円香の左手。

そういえば、ずっと掴んでいた気がする。

円香の左手首を離す。

 

「……退いて」

 

「無理」

 

「……」

 

「……悪い」

 

「……はぁ」

 

諦めたような円香のため息。

鉛でも詰め込まれたかのように、俺の身体は動かなかった。

 

「……何回した?」

 

「さぁ……」

 

頭の中で数えてみるが、所々記憶が抜け落ちているせいで正確な数は分からなかった。

とりあえず、俺の部屋に残っていたゴム八個は全て使い切った。

その後、円香の鞄に入っていたゴムも使ったが、あれが一体幾つだったのだろうか。

 

「というか、お前ゴム持ってるんだな」

 

「……もしもあなたがきらしてた時、避妊なしでされたら困るから」

 

「そこまで性欲に忠実じゃねぇよ」

 

「この惨状を見ても同じことが言える?」

 

「……まぁ、生ではしねぇよ」

 

「……そう」

 

ふと窓の外を見ると、空が白んでいた。

朝まで円香と一緒、というのは、何気に初めてかもしれない。

いつも、終わった後はすぐに帰宅か睡眠。

余韻、はたまたピロートーク。そんなもの、俺達の間に存在しているとは思ってもいなかった。

 

「……寝ないの?」

 

「眠いのか?」

 

「……少し。でも、暑くて眠れない」

 

「俺も」

 

さっきまで掴んでいた円香の手と自分の手を重ね、指を絡めて手を握る。

 

「冷房。付けるか?」

 

「……いい」

 

円香が、控え目に握り返してくる。

 

「……俺達、付き合ってたっけ」

 

「……さぁ」

 

「そうだよなぁ……」

 

扇風機のプロペラが回る。

朝早くから出勤している人の車のエンジン音。

心臓の激しい鼓動。

 

「……何で付き合ってると思ったの」

 

「……何となく」

 

汗の香り。

布団の香り。

甘い匂い。

世の中のカップルは、毎度こんなにも幸せな気分を味わっているのだろうか。

 

「幸せ者だな……」

 

「……そうかもね」

 

俺はひとつ息を吐くと、深い眠りへと落ちていった。

 

 

 

 

 

 

目を覚ますと、樋口はいなくなっていた。

つい何時間か前のことであるはずなのに、まるで夢だったかのように。

だが、濡れたベッドシーツと枕についた茶色の髪の毛が、あれは夢ではなかったと証明していた。

 

「身体痛ぇ……」

 

身体中、特に、下半身がどんよりと痛い。

今何時か知らないが、土曜日なので少しくらい生活が破綻しても許されるだろう。

そんな自分への言い訳と共にベッドに寝転がる。

 

「あー……」

 

思えば、昨日の俺は少しおかしかったかもしれない。

樋口がアイドルをやると聞かされ動揺し、乗り気ではない樋口を家に呼びつけ朝まで抱き、挙句の果てには恋人ごっこ。

何故か、樋口がアイドルになるのが、俺は凄く嫌だった。

その感情は嫉妬か、はたまた違う感情か。

分からないし、分かりたくもない。

 

「寝るか……」

 

綺麗に畳まれ枕元に積まれた服から、下着だけを取って履く。

そして冷房を付けると、少し湿ったタオルケットを頭まで被って目を閉じた。

 

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