※この作品はR-18です。

異界の性奴隷   作:Henon

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第十五話 密約

 

「ほら…早く決めたまえ…♡」

 

ガラン伯爵の熱い息が、小田の耳朶を直接くすぐった。

次の瞬間、柔らかい唇が耳たぶを捕らえ、優しく、甘噛みする。

 

歯が軽く食い込み、舌先で耳の裏側をねっとりと舐め上げられた。

 

「っ……!」

 

小田の身体が跳ねる。

 

同時に、ガランの長い指が、服の上から小田の硬く張りつめた肉棒を鷲掴みにし、ゆっくりとこね回し始めた。

 

もにゅっ……ぐにゅぐにゅ……♡

 

布越しでもはっきりと伝わる熱と硬さ。指の腹が竿の形を確かめるように上下に擦り、親指で亀頭の先端を特に念入りに円を描いて刺激する。

服の生地が肉棒に擦れる感触が、妙に卑猥で、小田の腰が勝手に小さく揺れてしまう。

 

目の前の犬人の雄も、小田の反応に煽られたように腰をくねらせていた。

 

しかしその視線は、小田の顔から離れない。恥じらいと期待を混ぜた瞳で、じっと見つめてくる。

 

その時――

 

はぁ……はぁ……んれぇ……

 

甘く、だらしのない吐息が聞こえた。

小田は思わず目を見開いた。

 

目の前の犬人の雄が、口を大きく開け、舌をだらしなく伸ばしていた。

ピンク色の舌が、ねっとりと光りながら、小田の方へと差し出されている。

 

唾液が滴り落ち、顎を伝って胸元を濡らす。耳がぺたんと伏せられ、尻尾が小さく震えながら、まるで「お願いします」とでも言わんばかりの表情で、小田を見つめていた。

 

「はぁ?な、なにを――」

 

「キスしてあげればいいじゃないか♡可愛らしいこの子が望んでいるんだよ?」

 

ガラン伯爵が、耳を甘噛みしたまま、甘く囁いた。

尚も指の動きは止まらない。

 

服の上から肉棒を容赦なくこねくり回しながら、小田の身体を後ろから密着させ、逃げられないように固定する。

 

(なんだって…こんなことに)

 

小田の頭の中で、理性が悲鳴を上げた。

もう限界だ。この淫乱で狂った世界に、どうやって耐えろというのか。

例えあのオークの食人行為を目の当たりにしても、この甘すぎる誘惑に、どう抗えというのか。

 

そんな思考を他所に犬人が、さらに舌を突き出して、小田に近づいてくる。

 

んッ……♡んれぇ……ぴとぉ…

 

小田の唇に、熱く湿った舌が触れた。

 

ちゅぅ……♡ 

 

甘い吸着音と共に吸い付かれる。

 

優しく、ねっとりと歯茎の裏側を舌先で丁寧に舐め回されるたび、小田の肉棒が大きく跳ね、ガランの掌の中でびくびくと脈打った。

 

「ふぅ…♡すごい匂いだ……どれ、確認してみようか。」

 

ガラン伯爵は小田の耳から唇を離し、満足げに息を吐いた。

次の瞬間、器用に小田のベルトを外し、スーツのズボンと下着を一気に引き下ろした。

 

「――おお?!♡これはすごいッ……カザラ殿もこれは大喜びじゃないかい?」

 

ガランの声が、興奮で弾んだ。

露出した小田の肉棒は、すでに限界まで硬く怒張し、先端から透明な我慢汁を溢れさせていた。

 

ガランの指が即座にそれを捉え、皮をゆっくりと剥きながら、亀頭を親指で優しく擦り上げる。

 

カザラは無言のまま、その光景を見ていた。

 

金色の瞳がわずかに細められ、唇が固く結ばれている。商人の仮面は保たれているが、その瞳の奥に、微かな怒気と熱が宿っているのが、小田にははっきりとわかった。

 

ガラン伯爵は小田の耳に再び唇を寄せ、熱く囁いた。

 

「ふぅー♡さて…もう我慢も限界だろう?」

 

彼女の指が、肉棒の裏筋をゆっくりと擦り上げながら、甘く笑った。

 

「さぁ…交尾をしようか♡」

 

小田の理性は、もう完全に崩れかけていた。

 

目の前の犬人の舌が再び絡みつき、ガランの指が容赦なく肉棒を刺激し、後ろから豊満な胸が押しつけられ、甘い吐息が耳をくすぐる。

 

このままでは、本当に何もかも、失ってしまう。

そんな理性の崩壊の前にーー

 

「ーーガラン卿。そろそろ商品を連れてきますか?」

 

カザラの声がそれを防ぎ止めるように部屋に響いた。

 

カザラの声は、いつもの商人のそれに戻っていた。低く、冷静で、感情を一切込めない平板な調子。

 

しかしその瞳だけは、わずかに細められたまま、ガラン伯爵の顔から離れていない。

 

ガランは小田の肉棒をまだ指で軽く弄びながら、満足げに目を細めた。

 

「んく…あぁそうだそうだ。カザラ殿、是非連れてきてくれ」

 

彼女は小田の耳たぶをもう一度甘噛みし、舌でねっとりと舐め上げてから、ようやく後ろに下がった。

 

小田の肉棒から指を離すとき、わざと先端を親指の腹で軽く弾く。

 

「うッ…」

 

カザラは一歩前に出ると、ガランの前で軽く頭を下げた。

 

「…ではその者は邪魔になりましょう。別の部屋で待機させても?」

 

声は静かだった。

しかしその言葉の端々に、微かな棘が混じっているのを、ガランは見逃さなかった。

 

「……ふむ」

 

伯爵は面白そうに片方の眉を上げ、紫の瞳でカザラをじっくりと見つめた。

 

視線が、小田の身体とカザラの顔を交互に往復する。

まるで何かを確かめるように、ゆっくりと笑った。

 

「……ふふ。どうやら随分と大事な商品らしいね…」

 

カザラが小田に対して、ただの「商品」以上の感情を抱いていること――それが、この短いやり取りで、はっきりと見えてしまった。

 

「まあそこまで言うのなら、そうしようか」

 

伯爵は肩をすくめ、銀色のポニーテールを優雅に揺らした。

そして小田の方へ視線を移し、にこりと微笑む。

 

「では君。」

 

「…はい」

 

後ろに控えていた犬人のメイドが、すぐに反応した。

彼はまだ乳房を搾られた後の余韻で頬を赤らめたまま、恭しく頭を下げた。

 

ガランは小田の背中を軽く押すようにして、犬人のメイドに告げた。

 

「彼を別室で宥めてやりなさい。甘えたがりのようだしね…」

 

「……はい♡」

 

メイドの返事には、わずかな喜びが混じっていた。

 

メイドは小田の乱れた下着とズボンを手早く引き上げると、小田の腕をそっと掴み、柔らかい掌でその手首を包み込むようにしながら、甘く囁いた。

 

「こちらへ……どうぞ…♡」

 

小田はまだ立ち尽くしたまま、状況を飲み込めずにいた。

肉棒はまだ硬く疼き、服を押し上げたままであり、耳にはガランの熱の跡が残っている。

 

(……別室?)

 

頭の中が混乱していた。

ガラン伯爵の甘い誘惑と、カザラの静かな拒絶。

 

そして今、自分が「甘えたがり」呼ばわりされて、別の部屋に連れ去られようとしている。

 

カザラは小田の顔を一瞬だけ見た。

金色の瞳に、何か言いたげな色が浮かんだが、すぐに商人の無表情に戻す。

 

「……では、商品の方を。」

 

「ええ、頼むよ、カザラ殿」

 

ガランは満足げに笑いながら、別の犬人の雄の方へ視線を移した。

カザラは一礼すると、部屋の奥へと歩き出していく。

 

その背中は、いつものように堂々としていたが、小田にはわずかに肩が張っているように見えた。

 

そんな中でも犬人のメイドは、小田の腕を優しく、しかし確実に引きながら、応接室の横にある小さな扉へ淫魔のように導いていった。

 

ーー

 

扉が閉まる音が、やけに重く響いた。

 

小田を連れた犬人のメイドが隣室へ消え、応接室には再び、甘く湿った空気と、妙に張りつめた沈黙だけが残る。

 

ガランはゆっくりと息を吐いた。

先ほどまで小田に触れていた指先を、名残惜しむように自分の唇へ運び、舐りながら薄く笑う。

 

「……随分とお熱じゃないか。君らしくもないね」

 

その声は柔らかかったが、紫の瞳の奥には、獲物を見つけた肉食獣じみた光が揺れていた。

 

彼女はソファへとどかりと腰を下ろした。

 

豊かな胸が、深く開いた衣の内側でゆるく揺れ、組んだ脚の動きに合わせて、なめらかな太腿の線がちらりと覗く。

 

銀色の長い髪を高い位置で結ったポニーテールが背へ流れ、その下で細い首筋が白く際立っていた。

 

気だるげな姿勢でありながら、全身から滲むのは、上位者の余裕と、相手の一挙手一投足を見逃さぬ捕食者の気配だった。

 

カザラは、その向かいに立ったまま一礼した。

 

「いえ。ただ、まだ売りに出ていない商品なだけです」

 

声音は丁寧で平坦だった。

だが、ガランは喉の奥で小さく笑った。

 

「ふむ…そうかな?それにしては随分と熱の入った中断のさせ方だね」

 

カザラは答えず、金の瞳を細くするだけにとどめた。

 

ガランは肘掛けに頬杖をつき、衣の上から胸のふくらみを軽く持ち上げるように姿勢を直した。

 

だがその艶やかさと裏腹に、彼女の視線は冷たく研がれていた。

 

「……しかし、不思議なものだね。彼は、どこの種族だい?」

 

カザラはほんの僅か、間を置いた。

 

「大陸中央の種族……としか、今は申し上げられません」

 

「大陸中央、か」

 

ガランの目がすっと細くなる。

 

「確かに、あそこは雑多だ。獣も虫も、半端な亜人も、名もない部族もいくらでもいる。だが――」

 

彼女は言葉を切り、先ほど小田が消えていった扉をちらりと見た。

 

「あんな種族は聞いたこともないね」

 

「……そうですか」

 

「ああ、そうとも!」

 

ガランはくつくつと笑った。

 

「骨格が違うしね…匂いも、肌の質も、筋のつき方も違う。あれは中央の種族というより、どこか『別』の土地の生き物だ。……あるいは、今まで誰も見つけられなかっただけか…」

 

カザラは黙っていた。

その沈黙を楽しむように、ガランはさらに言葉を重ねる。

 

「…それで?疑問なんだがね。なぜ彼をわざわざ私のところへ連れてきたんだい?…私に奪ってくれと言っているようにも見えるが?」

 

「……いえ、違います」

 

「では何故だい?」

 

ガランの声が少しだけ低くなった。

カザラはそこで、ようやく視線を正面から合わせた。

 

「…お聞きしたいことがあったのです」

 

「ほう?」

 

「近頃、大陸東部で起きている異変についてです」

 

その一言で、ガランの表情がわずかに変わる。

笑みは消えていない。だが、遊び半分の色が少しだけ薄れた。

 

「東部……?あの未開地域かい?」

 

「はい」

 

カザラはゆっくりと言葉を継いだ。

 

「中央方面から流れてくる隊商の話、ケンタウロスどもの証言や目撃談…どれも曖昧ではありますが、無視できないものです。」

 

「…たとえば?」

 

「例えば…ハーピーではない何かの飛行物体、です」

 

ガランの眉がわずかに上がる。

 

「飛行物体?」

 

「はい。翼の羽ばたきが見えぬにもかかわらず、空を裂くように移動するもの、だと…金属質の音を引き、遠目には黒い鳥のようにも見えるが、ハーピーの群れとは明らかに異なると言っていました。」

 

「…ふん」

 

「加えて、東部で見慣れぬ光や爆音が観測されたという話もあります。私は当初…単なる誇張か、ハーピーの亜種でも現れたのかと考えておりました。ですが――」

 

カザラは懐から布に包まれた長物を取り出した。

ガランの視線が、ぴたりとそこへ吸い寄せられる。

 

カザラは慎重に布を解いた。

 

「これを見て、噂もあながち誇張ではないと思いました。」

 

現れたのは、黒い金属光沢を持つ長い何かの器具だった。木と鉄でできた彼女たちの『鉄砲』とは、まるで造形が違う。

 

表面には妙な均一さがあり、継ぎ目は異様なほど精密で、どこにも粗い鍛造の跡が見えない。

 

「これは……」

 

ガランが身を乗り出した。

 

豊満な爆乳が衣の上から強く押し上げられ、その谷間に落ちた影が濃くなる。伯爵はそれにも構わず、細い指先で慎重に銃身へ触れた。

 

「我々の技術よりも……遥かに高度に作られた『鉄砲』のようなものです」

 

カザラの声は静かだったが、その中に警戒が混じる。

 

ガランは器具を受け取り、重さを量るように手の中で返した。

その目つきが変わる。艶やかな貴婦人の顔が、軍事技術を知る貴族の顔へと切り替わっていく。

 

「……これは。鋳造で作ったのかい?」

 

「いえ……鋳造では不可能とのことです」

 

「不可能?」

 

「知己の鍛冶職人に見せました。…ドラケンフェルドでも上位の職人です。ですが、外側だけならまだしも、この内部の刻みや噛み合わせは、鋳型では再現できないと…」

 

ガランは黙って器具を眺めた。

やがて、横に添えられていた小さな箱状の部品を取り上げる。

 

「これは……弾か?こんな何発も……」

 

「はい。一発ごとに火薬と弾を詰める我々の鉄砲とは違い、続けて放てる仕組みのようです」

 

「馬鹿な」

 

ガランの声が、初めて本気で低く沈んだ。

 

「まさか…こんなものを、あの駄馬共が作ったのか?」

 

「いえ。ありえません」

 

カザラは即座に否定した。

 

「ケンタウロスどもは鍛冶も軍備も一定水準にありますが、これは別次元です。ヤツらの武具は粗悪品ですから。こんな精密さはありません」

 

ガランは無意識に唇を舐めた。

彼女の指先が、異様な精度で削り出された部品の角をなぞる。

 

「……恐ろしいね」

 

「ええ」

 

「…そしてこれを、あの雄が持っていた、と?」

 

「…はい。」

 

小田へ話題が戻った瞬間、ガランの視線がすっと持ち上がった。

 

「……あの者は『雄』だろう?」

 

彼女は鼻で笑ったが、その笑いには先ほどの余裕がなかった。

 

「確かに、雄にしては体格が随分と良い。あの肉体…並の雌よりよほど鍛えられている。…だが、いくらなんでも、それを兵士などとは馬鹿げているよ?」

 

「……私も、最初はそう思いました」

 

カザラは静かに答えた。

 

「ですが、あの者は私の護衛を務めるライザを――油断していたとはいえ――素手で組み伏せています」

 

ガランの眉が、わずかに持ち上がった。

 

「君の護衛を?」

 

「ええ。ライザは元王国騎士です。正式な軍事訓練を受けており、並の賊やならず者に遅れを取るような腕ではありません」

 

「……なるほど。武器を拾っただけの雄が、元騎士を素手で制圧できるはずもない、か…そうなると、本当に彼が兵士だという可能性が出てくるね」

 

ガランは膝の上の銃をもう一度ゆっくりと眺めた。

 

豊かな胸が呼吸に合わせてゆるく上下する。だが、その瞳はもう小田の身体を面白がっていた時のものではない。

 

「…つまり君は、東部に『何か』がいると?」

 

「はい」

 

黒い金属の表面は、応接室の灯りを鈍く弾いている。

木と鉄を継ぎ合わせた見慣れた鉄砲とは、あまりにも違う。まるで神業で削り出されたように、全体が静かに噛み合っていた。

 

「……これほどのものを作り上げる何か、か」

 

ガランは銃身を指先でなぞりながら、ゆっくりと目を細めた。

 

「少なくとも、名もなき部族や辺境の集落ではないだろうね」

 

「断定はできませんが……私も、そのように考えております」

 

「ふぅん……まあ考えるならーー」

 

ガランはソファに深く身を預けた。

先ほどまでの軽薄な笑みは、もう消えていた。

 

「――国家だろうね」

 

紫の瞳が、膝の上の銃へ落ちる。

 

「それも、ただの小国ではない。これを安定して作り、兵に持たせられるだけの工房と資源、そして技術者を抱えた国家……」

 

そこで彼女は顔を上げた。

 

「下手をすれば、五大列強に匹敵する。いや――技術力なら、それ以上の可能性すらあるね」

 

彼女の瞳に宿る光は、既に商売人のものではない。獲物の腹の内を裂いてでも確かめようとする、貴族の、そして狩人の目だった。

 

「なるほどね……君の狙いが分かったよ」

 

 ガランは頬杖をつき、紫の瞳を細める。

 

「あの雄を『パイプ』にしたいわけだ。それで邪魔が入らないように、太客である私に庇護を求めた……そんなところかな?」

 

カザラは一礼した。

 

「……その通りです」

 

言い切った声は丁寧で、無駄な飾りがなかった。

だが、ガランはそれを聞いて口元を緩めた。

 

「素直でいいねえ」

 

伯爵は銃を机の上に置き、細い指先で軽く叩く。

 

「しかし、難儀なものだね……」

 

その声音は、先ほどまでの戯れめいた軽さを失っていた。

 

「貴族院の連中から守れるかい?彼を」

 

沈黙が落ちた。

カザラの肩が、ほんの僅かに強張る。

 

ドラケンフェルドの貴族院。

 

あの欲深い獣どもに、異界の雄が存在するなどと知れればどうなるか。

 

考えるまでもない。交渉だの保護だのという段階では済まない。王国一つで抱え込もうとし、他国に察知される前に囲い込み、必要なら軍まで動かすだろう。

 

そしてその先は…正体不明の国家との戦争だ。

 

ガランはそんなカザラの沈黙を楽しむように、ゆっくりと目を細めた。

 

「……それに」

 

紫の瞳が、からかうような熱を帯びる。

 

「君はどうやら、パイプ以上に彼を見ているらしいしね」

 

カザラの金色の瞳が、ぴくりと揺れた。

 

「いえ…ありえませんね」

 

即答だった。

だが、その速さがかえって、ガランの笑みを深くする。

 

「…まあ、いいよ」

 

彼女は肩をすくめた。

銀の髪がさらりと流れ、豊かな胸が呼吸とともに静かに上下する。

 

「どちらにせよ、私は彼にぞっこんだ」

 

その言い方は冗談めいていたが、冗談では済まない響きがあった。

 

ガランは立ち上がると、そのままカザラの目前まで歩み寄った。

長身の影がすぐ目の前に落ちる。上から覗くその体の圧は明らかに上位者のものだ。

 

「取引をしようじゃないか」

 

カザラは黙って彼女を見上げた。

 

「彼の背後にあるものを明らかにした時――」

 

ガランの唇が、ゆっくりと吊り上がる。

 

「彼を私にくれるかなぁ?」

 

ーー空気が、張り詰めた。

 

応接室の奥で、火の音が小さく鳴る。

遠く、隣室からかすかな物音が聞こえた気がした。小田か、犬人のメイドか、それともただの気のせいか。

 

カザラは何も言わない。

 

ガランは急かさない。

むしろ、その逡巡を味わっているようだった。

 

カザラの胸中では、いくつもの計算が同時に回っていた。

 

ガランの庇護があれば、少なくとも今すぐ貴族院の鼻先に小田を晒さずに済む。

 

東部の異変を探る時間も得られる。

 

だが、その代償は明白だ。

 

小田という個体そのもの。

 

交渉の窓口…未知の国家に繋がる鍵。

そして――自分が、まだ認められずにいる執着の対象。

 

金の瞳が、わずかに伏せられる。

 

「……いいでしょう」

 

その言葉は、静かだった。

 

だが、ガランはすぐに見抜いた。

承諾の形を取っていても、それが完全な譲渡の意思ではないことを。

 

「へえ…」

 

伯爵は楽しそうに笑った。

 

「ずいぶん思い切った返事だね」

 

「ただし」

 

カザラはそこで顔を上げた。

 

「奴の背後にあるものを、確かに明らかにできた場合に限ります」

 

「それは、もちろん」

 

ガランは軽く頷いた。

だが、その目はまるで「今はね」とでも言いたげに細められている。

 

カザラもまた、それを理解していた。

 

これは合意ではない…猶予だ。

互いに牙を隠したまま結ぶ、一時の契約にすぎない。

 

ガランは再びソファへ戻り、優雅に腰を下ろした。

先ほどまでの重い話題を、まるで指先で払うように笑みの端で流す。

 

「さて……そろそろ商品が来る頃かな?」

 

カザラは一拍だけ間を置き、扉へ視線を向けた。

 

「……ええ。ネルヴィ、入っていいぞ」

 

扉の向こうで、かすかに衣擦れの音がした。

続いて、控えめな足音。扉が静かに開き、小柄な鼠人が室内へ足を踏み入れる。

 

灰色がかった短い毛並みは丁寧に整えられ、長い尾は緊張したように衣の陰で細かく揺れている。

 

大きな耳はぴんと立っていたが、その先端だけがわずかに震えていた。伏せがちな赤い瞳は、まずカザラを見て、それからソファに座るガランへとそろそろと移る。

 

「失礼、いたします……」

 

声は細く、よく通った。

商品として磨かれた気配がその立ち方や指先の揃え方にまで滲んでいる。

 

ガランはその姿を見るなり、ぱちりと軽く手を打った。

 

「いいね!実にいい!」

 

彼女は楽しげに笑い、脚を組み直す。豊かな胸がゆるやかに揺れ、その目だけが鋭くネルヴィを品定めしていた。

 

「さあ、辛気臭い話はよして――楽しい商談を始めようか!」

 

重たく沈んでいた空気が、そこで少しだけ形を変える。

だが軽くなったわけではない。むしろ、別の種類の緊張が部屋に満ちた。

 

ネルヴィは小さく肩をすくめたものの、すぐに姿勢を正した。

カザラはその様子を一瞥し、いつもの商人の顔で前へ出る。

 

「こちらがネルヴィです。従順さ、清潔さ、礼儀、いずれも仕込み済みです。今まで同様…扱いに手はかかりません」

 

ガランは喉の奥で楽しげに笑った。

 

「なるほど。君の商品は、いつも上物ばかりだ…」

 

「恐れ入ります」

 

表情のない丁寧語。

だがカザラの声には、先ほどまでの会話を引きずる硬さがまだ僅かに残っていた。

 

ガランはそれを聞き逃さなかったらしい。

紫の瞳が、ネルヴィではなく、ほんの一瞬だけカザラへ向く。

 

「……けれど、今日は少しばかり出された商品より、別の“掘り出し物”が気になってしまってね…」

 

その言葉に、カザラの金の瞳がわずかに細まる。

 

「本日はまず、こちらの商談を優先していただければ幸いです」

 

「もちろん、もちろん」

 

ガランは上機嫌のまま頷く。

けれどその笑みは、どう見ても納得している者のそれではなかった。

 

ネルヴィはそのやり取りの意味までは分からぬまま、ただ部屋の中央で静かに立っている。

 

小柄な体は従順に整えられているのに、その赤い瞳だけは落ち着かずに揺れ、室内の見えない刃の気配を敏感に感じ取っているようだった。

 

ガランはゆっくりと身を起こした。

 

「では見せてもらおうか、カザラ殿。君の“商品”を――味見と行こうか?」

 

その声には、商談を楽しむ響きがあった。

けれどカザラには分かっていた。

 

今この部屋で値踏みされているのは、ネルヴィだけではない。

自分も、そして扉の向こうにいる小田もまた、すでにこの女の秤の上に載せられているのだと。

 

ーー

 

同じ頃――隣室では。

 

小田は、半ば引かれるようにしてその向こうへ足を踏み入れた。応接室よりもひと回り狭い空間だったが、柔らかな絨毯と落とされた灯りのせいで、妙に空気が近い。

 

犬人のメイドは小田の腕を離さなかった。指先は柔らかいのに、力のかけ方だけは妙に確かで、ここまで連れてこられたのが偶然ではないと分かる。

 

(……できれば、カザラとガランとか言うやつの会話は聞きたかったが……)

 

小田は扉の向こうを振り返りそうになるのを、かろうじて堪えた。

 

ガラン伯爵。

 

恐らく…こういう身分制度の社会なら、軍事にも政治にも相当食い込んだ立場のはずだ。あの女が何を知り、何を欲し、カザラが何を隠しているのか――本来なら一言も聞き漏らしたくなかった。

 

(なんとかして情報を得たいが……)

 

だが現実には、自分はその輪の外へ押し出された。

連れ出され、隔てられ、会話の中心から切り離される。商品として扱われたまま、肝心の話だけが手の届かないところで進んでいく。

 

小田は奥歯を噛んだ。

 

(どちらにせよ…今は名前や肩書き、関係……見たものを忘れないようにするしかない。どうせこの先、使えるのは自分の頭だけだ)

 

背後で扉が閉まる。重い音だった。応接室の気配がそれで完全に断ち切られた気がして、小田の胸の奥に鈍い焦りが沈んだ。

 

そのまま、小田は犬人の雄に腕を絡められたまま、部屋の中央へと導かれていた。

 

「……っ」

 

小田は思わず息を呑んだ。

そこには、応接室とは明らかに趣の異なる空間が広がっていた。

柔らかな絨毯、薄暗い照明、そして部屋の中央にどっかりと鎮座する、大きな天蓋付きのベッド。

 

白いシーツがふんわりと広がり、まるでこの部屋が「客間」ではなく「私室」として使われることを前提に作られているかのようだった。

 

(ベッドだ…なぜ応接室の横に?)

 

そんな小さな疑問が一瞬、小田の頭をよぎった。

 

しかし、その疑問はすぐに吹き飛ばされた。

犬人の雄が、小田の腕を優しく、しかし確実に自分の胸に引き寄せながら、甘く微笑んだ。

 

彼の豊満な乳房が、小田の腕に柔らかく押しつけられる。まだ少し湿った乳首が、布地越しに熱い感触を伝えてきた。

 

「お名前は、あるのですか?♡」

 

声が、甘く溶けるように耳に届く。

恥じらいと好奇が混じった瞳で、小田をじっと見つめてくる。耳がぺたんと伏せられ、尻尾が小さく左右に揺れていた。

 

「いや…ああ、小田だ。」

 

「……では小田様」

 

犬人の雄は、小田の名前を繰り返すように口の中で転がし、満足げに目を細めた。

 

「お話が終わるまで…私がお世話致しますね♡」

 

次の瞬間、彼は小田をソファに座らせ、自分はその前に跪いた。

そして、ためらいなく小田のズボンを下ろし、すでに半勃起状態の肉棒を優しく包み込む。

 

「お、おい…」

 

「んっ……はぁ……」

 

熱い吐息が肉棒にかかり、すぐに湿った舌が這い始めた。

犬人の雄は、まるで大事なものを味わうように、小田の肉棒を丁寧に舐め上げていく。

 

先端から根元まで、ゆっくりと、ねっとりと。

 

尿道口に舌先を押し当てて、残っていた我慢汁を吸い取り、裏筋を長く舐めながら、時折睾丸の方へも舌を這わせる。

 

ベロベロぉ……れろれろっ……♡ ちゅぅ、ちゅぅ……♡

 

その感触は、さっきまでのガラン伯爵の激しい刺激とは全く異なり、優しく、ねっとりとして、まるで「甘やかす」ことを目的としているかのようだった。

 

「はぁ♡小田様ぁ……」

 

犬人の雄は、肉棒を片手で優しく扱きながら、潤んだ瞳で小田を見上げた。

 

「先ほどは私のお乳に興味があったご様子でした…どうでしょう…? 甘えられてはいかがでしょうか?♡」

 

彼はそう言いながら、自分の豊満な乳房を両手で持ち上げ、小田の顔の前に差し出した。

 

出産を終えたばかりの乳肉は、まだ熱を帯びて重く張りつめ、乳首は硬く尖って、わずかに白い母乳を滲ませている。

 

甘い、濃厚な匂いが、小田の鼻腔を直接刺激した。

 

「うぉっ……」

 

小田は思わず息を呑んだ。

 

目の前に突き出された乳房と、優しく肉棒を舐め続ける舌の感触。

そして、この部屋に置かれた大きなベッドが、何を意味しているのか――その答えが、はっきりと見えてきた。

 

じゅぽッ……♡

 

先端に絡みついていた唾液が糸を引く。

肉棒が自由になると、彼はそれを自分の豊満な乳房に押しつけるようにした。

 

「ん♡……身体は大きいのに、まだ親離れができないご様子ですね……」

 

彼は甘く微笑みながら、小田の肉棒を自分の乳房で優しく挟み込んだ。

乳肉が形を変え、乳首が肉棒の裏筋に擦れ、母乳が少しずつ滲み出してくる。

 

白い液体が肉棒の表面を伝い、滴り落ちる様子は、どこか卑猥で、しかし甘く淫らだった。

 

「交尾も交えて、矯正しましょうか?」

 

小田の顔が一瞬で赤くなった。

 

「いや、結――」

 

「遠慮なさらないでください♡」

 

犬人の雄は小田の言葉を遮るように、優しく、しかし確実に彼の身体をベッドに押し倒した。

 

熱く湿った唇が、首筋から鎖骨へ、胸から腹部へとゆっくり下り、やがて太腿へ這っていく。

 

そして再び太腿へと、ねっとりと這い回る。

 

ちゅぅ……ちゅっ……♡れろっ……

 

唇と舌が小田の肌を優しく、しかし執拗に刺激していく。

特に乳首の周りを丁寧に舐め回され、時折軽く歯を立てられると、小田の腰がびくんと跳ねた。

 

「はぁ……っ……!」

 

甘く痺れるような感覚が、全身をゆっくりと侵食していく。

痛みはない。まるで「溶かされる」ような快楽だった。

 

犬人の雄は小田の耳元に顔を寄せ、熱い息を吹きかけながら囁いた。

 

「ふぅ〜♡このままぴゅっぴゅッしちゃいましょうか?♡」

 

彼はそう言いながら、再び小田の肉棒を自分の乳房で挟み、ゆっくりと上下に擦り始めた。

 

乳首が肉棒を刺激し、母乳が飛び散って小田の腹や太腿を汚していく。

 

「…お望みなら……子作りもいたしましょう♡」

 

その言葉とともに、彼は小田の肉棒を自分の乳房でさらに強く挟み、激しく上下に擦り始めた。

 

むにゅむにゅっ……♡

 

母乳と先走りが混じり合い、卑猥な水音を立てながら、小田の理性は甘く、ねっとりと溶かされていく。

 

(身体も、状況も……何一つ、思いどおりにならないな…)

 

閉ざされた扉の向こうから、カザラたちの声はもう聞こえなかった。

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