2日目、陵辱と屈辱
あたりは、静まり返っていた。
羽音も、囁きも、熱い吐息も、どこか遠くに退いたように思えた。
濃密な快楽の残滓が肌にまとわりつきながらも、空気だけはひどく冷たく感じられた。
まぶたを持ち上げると、天井はなかった。岩棚の上空、薄雲のかかる蒼白い空が広がっていた。
——朝だ。
光はまだ弱く、遠くの稜線が白くにじむように浮かんでいる。冷えた空気に、微かに小鳥の声が混じっていた。
俺は、寝てしまっていた。
いや、正確には意識が途切れていたのだろう。
そして今、冷えた岩肌の上に仰向けで寝転がり、まだ生温かい何かが身体に貼りついたまま——ようやく我に返った。
「……俺は……」
……俺は、何をしていた?
何を、されていた?
肌に刻み込まれた唾液のぬめり、羽毛の感触、そして太腿に垂れる透明な液体が、容赦なく起こった現実を物語る。
右手を動かすと、さらりと何かを撫でた。
羽だった。誰かの——ハーピーの小さな羽が、俺の腕に絡むように巻きついていた。
顔を横に向けると、そこには眠る小型個体の姿。
あの、小さく、よく甘噛みをしてきた個体だ。俺の胸元に額を寄せ、頬をすり寄せるようにして、目を閉じていた。
吐息は穏やかだった。まるで、何もかもが終わったあと、心地よい満腹感の中で眠りについた、満ち足りた獣のようだった。
……そうだ。
俺は、群れに貪られていたんだ。
味わわれ、貪られ、射精させられ、そして——眠った。
「……ッどうなって……」
言葉が喉の奥で揺れた。
どうしてこんなことに。
いや、どうしてこうなったかなんて、わかっている。
攫われて、囲まれて、力で押さえつけられて——
その結果が、あの有様だ。
身をよじる力すら奪われるほど、何度も、繰り返し、喰われた。
そして今——
なんとか身体を動かそうと、わずかに指先を持ち上げる。
痺れた筋肉が鈍くきしむ音を立てるような気がした。
そろりと、羽根の隙間を縫うように手を伸ばす。
少しでも、隙間を見つけて、体勢をずらすために。
だが——
「……っ」
指先が、沈んだ。
もにゅん、と。
温かく、湿り気を含んだ柔肉が、指先を包み込むように潰れた。
弾力があり、吸い付くようなぬめり。脂肪の下にかすかな鼓動を感じる。——生きた肉の感触だった。
「……キュゥン……♡」
艶のある吐息と共に、隣の影が微かに揺れた。
——大型個体。
俺を攫い、押し倒し、ねっとりと貪った女の身体。
眠っていたはずの女が、反射的に身体を捩り、腕……いや、翼を俺の腰へ絡めてくる。
まるで、手を伸ばした俺の動きに反応したかのようだった。
そのまま、ぴとりと顔を寄せ、太腿に頬を押し当ててくる。
吐息が、股間の肉棒にかかる。
(っ、くそ……ッ)
焦りが込み上げた。
このまま目を覚まされれば、また、始まる。
逃げなければ。
この場を離れなければ。
(……どうにか、脱出しないと…)
そう、わかっている。
今ならまだ、群れは深く眠っている。
夜の冷気に包まれ、羽音すら止んだ静寂の中、わずかに残る体力を振り絞れば——
だが。
足元に目をやると、脱出の糸口はすぐに潰された。
むっちりと湿った肌理の太腿が、俺の首筋へと近づき、すり寄るように押し当てられる。
その一方で大型個体は俺の太腿を枕にするかのように頭を乗せた。
その仕草は甘く、淫靡で、どこか狂おしいほどに『雌』の色を滲ませていた。
そして背中には、小型の個体の体が重なっていた。
二羽は互いに絡み合うようにして、俺の身体を中央に抱き込む構図を作っていた。
まるで、挟まれている。
檻のような羽根と、柔らかな肌の束縛。
ぬくもりに包まれているのに、凍るような焦燥が胸を焼いた。
「……っ……」
身じろぎひとつにも、慎重さが求められる。
この密着の中で動けば、どちらかの個体が反応するだろう。
わずかな羽ばたきだけで、群れ全体が目を覚まし、再び俺に喰らいついてくるかもしれない。
そうなれば脱出など、夢物語。
いや、それでも——動かなければならない。
目を閉じたまま、ゆっくりと呼吸を整える。
心臓の音が、なぜかさっきからやけにうるさく感じた。
皮膚に、羽毛が触れている。
唇に、汗の塩味が残っている。
この静寂の中で、音を立てないことこそが、生き延びる鍵だった。
だが、その時。
「……ん、ぅ……キュ……」
小さな呻きと共に、小型個体の太腿が、俺の脛にすり寄った。
甘ったるい熱が、ぴたりと肌に触れた。
(……っ……やば……)
横に目をやった瞬間、視界が奪われた。
——でかい。
大型個体の身体が、すぐそこにある。
羽毛の間から露出した肌は、月光を受けて仄かに光り、肉感を強調していた。
身長は軽く180を超え、腰が締まり、尻が張っている。
胸に至っては、もはや重力に逆らって主張する凶器のようで……それでいて、形は完璧だった。
グラビアアイドルどころではない。
人間の女性では到達し得ない、異様に洗練された肉体。
この群れのハーピーたちは総じてそうだった。皆、異形でありながら、女としての完成度が異常に高い。
首筋のラインがくっきりと見え、鋭い目元、柔らかな唇との対比が際立つ。
野性と理性、美と暴力、すべてが同居したような顔立ち。
目を細めて眠るその表情には、昨夜の淫靡な姿とは別の、どこか無垢な気配すら漂っていて——
視線を外そうとした。だが遅かった。
太腿から腹部、胸元へと続く曲線を、目が勝手に追っていた。
皮膚がざわつき、心拍が跳ね上がる。
(……ッ、やべえ……)
意識すればするほど、皮膚の奥で血が集まる音がした。
まだ癒えていないはずの肉が、ぴくり、と熱を帯びて疼きはじめる。
(余計なこと考えると……ッ)
息を殺す。
思考を切り替える。
だがすぐ隣には、媚肉の塊が眠っている。ぬくもりと匂いが、皮膚を越えて染み込んでくる。
(あー…ちくしょうっ)
しかし、記憶が肌の内側から蘇ってくる。
昨夜、何度も繰り返された粘膜の擦れ合い。
舐められ、吸われ、包まれ、注ぎ込まれた肉の記憶が、身体に染み付いていて離れない。
それを思い出してしまった瞬間、すでに遅かった。
下腹に、血が集まっていく感覚。
ぴく、ぴく……と脈打つように、性器が硬さを取り戻していく。
必死で意識を逸らそうとするが、目の前の現実がそれを許さなかった。
視線を落とした先——
大型個体が、俺の太腿に頭を置きながら、じっとこちらを見つめていた。
(ッ?!)
いつから目を覚ましていたのかはわからない。
だがその瞳は明確な意志を帯び、まるで「気づいていた」と言わんばかりに、わずかに細められていた。
そして——
彼女の視線が、下へと滑る。
すでに半ば屹立した肉棒が、主張を始めていた。
その瞬間、唇の端が——ゆっくりと、ねっとりと持ち上がる。
にやり。
獲物を見つけた肉食獣の笑み。
あるいは、弄び甲斐のある玩具に出会った時の顔。
「ゥ〜♡」
湿った、甘くくぐもる声が、唇の隙間から漏れた。
そして——
ふう、と。
吐息が、むき出しの肉棒にかかった。
ぬるい風が、肉の表面をなぞるように流れていく。
皮膚がぴくりと跳ねた。
勃起がさらに強くなり、皮が張り、先端が布を押し上げる。
「ぅッ……」
思わず声が漏れた。
必死に声を殺したつもりだったが、それはすでに届いていた。
彼女は嬉しそうに目を細め、くすくすと喉を鳴らしながら、さらに顔を近づけてくる。
「ふぅ〜……♡」
またしても、ぬるい吐息がかかった。
ハーピーは、俺の肉棒のすぐ上で口を尖らせ、わざとらしく、じっくりと息を吹きかけてくる。
温かく湿った風が、先端に触れた瞬間——
「ッ……ぅ、く……」
肉棒がぴくん、と跳ねた。
拒否の意志とは裏腹に、皮膚の奥で血が逆流するような感覚が走る。
それを見て、彼女はまた——くすり、と笑った。
艶やかに細められた瞳で、俺の性器と顔を交互に見比べ、まるで「どこまで我慢できるの?」と試すように、唇の端を持ち上げる。
「ふぅ〜……♡」
二度目。
今度はわずかに距離を縮めて、吐息がより濃密に包み込んできた。
ぴく、ぴく……と、肉棒が自律的に反応する。
(……やめろ……頼むから……)
心の中で叫ぶも、声にならない。
ハーピーの目は楽しげで、けれど、どこか色を帯びていた。
意地悪に弄びながらも、じっと、熱のこもったまなざしで——俺を、見ている。
「ふぅぅ〜〜……♡」
三度目の吐息。
先端にまとわりつくような濡れた風。
熱と湿度が重なり、皮膚に粘りつく。
「ぁ……っ……」
喉の奥から、こぼれるような声が漏れた。
それと同時に、肉棒が、ぶるりと震えながら——完全に、勃ち上がった。
理性ではどうにもならない。
反射的な生理反応。
羞恥と屈辱の狭間で、肉が自らの意志を持ったように、屹立していた。
ハーピーは、それを見て——満足げに喉を鳴らした。
「…ュゥ〜〜♡」
嬉しそうに瞳を細め、今にも舌を伸ばしそうな顔で、俺の勃起を見ながら、そっと腰を揺らしてみせた。
⸻
ぬるく湿った風が亀頭を撫でるたび、肉棒がびくりと跳ねる。
だがなんとか心だけは平静を保っていた。
心が折れれば、もう自分が自分でなくなる気がしていたからだ。
……だが。
……ペロぉ
舌が、触れた。
「……ッ!!」
ぬめった感触が、亀頭の先端を一筋、撫で上げた。
たった一舐め。
それだけで、性器がぴくんと跳ね、皮膚が張り裂けそうなほどに硬さを増す。
まるで、脈がその一点に集中したかのように、血管が膨らみ、先端が痙攣する。
「ぅっ……ッ……ッ!」
訳のわからない声が漏れた。
理性とは関係なく、肉が、本能が、女の舌に反応してしまっている。
その様子を見て——
ハーピーは、うれしそうに瞳を細めた。
艶を含んだその目に、熱が宿っている。
そして彼女は、ゆっくりと、俺の首に太腿を絡めた。
滑らかで、それでいて野性味のある肉付きの良い太腿。
羽毛の根元から伸びる生肌が、しなやかに俺の首を挟み込んでくる。
——ぐっ、と圧がかかる。
逃れられない。
そしてすぐさま、ハーピーの股間の奥から熱と匂いが降ってきた。
ぬとぉ…
肉唇が、俺の顔に押し付けられる。
唇と鼻筋がぬるりと濡れ、割れ目が顔の中心を跨ぐように擦れていく。
その瞬間、鼻腔を満たしたのは——
女の香りと、獣の匂い。
湿った羽毛の香り。汗と興奮が混ざった肉の匂い。
そして何より、女としての甘く、熱を帯びた淫臭。
「……う……っ……」
思わず目を閉じる。
だが、視覚を閉ざしても、匂いが、吐息が、粘膜の接触が容赦なく襲ってくる。
むしろ、感じてしまう。
女の匂いを、はっきりと「性器の匂い」だと認識してしまっていた。
肉棒がさらに脈打った。
嬉しそうに、ハーピーが喉を鳴らす。
「キュゥ〜?♡」
彼女はそのまま、腰をゆっくりと動かしながら、ぬり、ぬり……と肉ビラを俺の顔に擦りつけた。
「……っ!」
太腿の内側に、力が込められた。
がっちりと首を挟まれたまま、逃げ場はどこにもない。
唇の上に、ぬるんと濡れた性器が密着し、熱と匂いと粘膜の重さがじわじわと押し寄せる。
——それでも、俺は目を閉じていた。
絶対に負けてたまるか。
この女の性器に、顔を沈めて舐めてしまったら、それはもう、俺じゃなくなる気がしていた。
だが。
「……ヴぅ〜♡」
低く湿った鳴き声と共に、ハーピーが顔を沈めた。
次の瞬間、ぬるりと舌が這った。
「ぅっ、く、う……ッ!」
玉袋の表面に、ぬめった舌が滑ったのだ。
ベロリ……と唾液がまとわりつき、皮膚が引きつるような快感が下腹から突き上げる。
たまらず、脚が震えた。
「ちゅぅ……ベロぉ、ぢゅるるっ…こりゅ……♡」
片方の睾丸が、ぬるりと吸い込まれた。
「……っ、は、あ……ぅッ……!」
ぴたりと密着する唇の柔らかさ、じっとりとした口腔内の熱。
舌が、その球体の裏面から側面へと、ぬめりと蠢きながら——
ぐりぐりと、まるで意図的に快感の芯を探るように、粘膜の上を転がっていく。
びくん、と下腹が跳ねた。
奥から突き上げるような感触に、喉が勝手に声を震わせる。
「……ぅ……く、ぁ……ッ!」
反射的に、口から漏れたかすかな喘ぎ。
その瞬間、俺は咄嗟に——
自分の口を、手で塞いでいた。
指先が震える。唇の上に当てた掌に、自分の吐息の熱と荒さがじかに伝わる。
(……声なんか……出したらまたッ……!)
——脳裏に、あの光景が甦る。
昼間、快楽に打ちのめされ、息も絶え絶えに横たわっていた自分の身体を……
まるで甘露でも啜るかのように、夢中で啄んでいたハーピーたちの姿。
唇を押し当て、舌を這わせ、喉を鳴らしながら。
肉棒も、乳首も、首筋も、果ては尻穴の皺つ本に至るまで——
羽毛に包まれた身体が群がり、ちゅう、ちゅう……と小鳥のような音を立てて啄んでいた。
ここで声を漏らせば——また、あの惨劇が繰り返される。
快楽に沈められ、肉体が晒され、理性も誇りも羽音に掻き消されていくあの地獄のような時間が、再び訪れるのは明白だった。
あのときのように。ちゅうちゅうと、執拗に啄まれ、舐められ、吸い尽くされて。
だから、耐えなければならない。
今、たった一声でも大声を出してしまえば——
奴らは、きっと逃さない。
だが、唾液に濡れた舌は容赦なく、玉をくちゅくちゅと揉みしだき、吸いつくように唇をすぼめて、さらに深くへと呑み込んでくる。
ちゅ……こりゅ、ぺちゅっ……
甘く淫らな水音と共に、羞恥の熱が肌の奥にじわじわと広がっていった。
「ヴぅ〜♡」
甘ったるく艶を含んだ喉鳴りが、鼓膜を震わせた。
舐めろ。舐めないなら、もっと吸う。
そう言わんばかりに、唇が睾丸をこりゅ、こりゅ……と吸い込み、舌先が裏筋にまで這い寄ってくる。
「ぅぅっ、………ぅぅ……ッ」
逃げられない。
目を閉じていても、熱と舌の粘りがすべてを奪っていく。
息が荒くなり、喉の奥からこぼれ落ちる声は、もう理性で抑えきれなかった。
熱と湿り気を帯びた粘膜が、ぬるりと這い、唇を押し広げていく。
その臭気と体温が鼻先を支配し、呼吸すら淫靡に染まっていく。
一方その下では、舌で睾丸を丹念に舐め回していたハーピーの口腔内に――突如、ぴたりとした圧が走った。
ぺろり、と這っていた舌が急に強く絡みつき、睾丸を包んでいた柔肉がきゅう、と蠢くように締まったその瞬間――
「……ッ!やめ——っ」
——噛まれている。
はっきりと意志を持った「甘噛み」だった。
睾丸を、唇で包んだまま。
その中で、舌が片玉をころりと持ち上げ、歯列の丸みに押しつけるように——そっと、圧をかけてきたのだ。
「ッぉあ゛……ぅ……ッ!」
皮膚越しに押しつけられる、ぎりぎりの柔圧。
痛みと快感のちょうど境目。
じわじわと神経を締め上げるような、生ぬるく、恐ろしい優しさ。
まるで、「いい加減にしろ」と告げるかのような、明確な意思を帯びた——躾の噛みつき。
「ヴ〜〜♡」
甘く、くぐもった唸り声が彼女の喉の奥から漏れた。
それは明らかに、苛立ちと愉悦を同時に孕んだ音。
拒絶に対する答えではなく、服従を促す音色だった。
そして太腿の締め付けがさらに強まり、まるで首を絞める蛇のように、ぴたりと俺の動きを封じる。
そのまま、唇に包んだ睾丸に絡みついていた舌が、いやらしく、執拗に前へ、後ろへとぬるりと、水音を立てながら蠢き始める。
粘膜がぬめり、舌が撫でるたびに、玉袋の裏から背筋にかけて、じわりと痺れるような戦慄が這い上がる。
もう限界だった。
「……った……わかった、わかったッ舐める……ッ、舐めるら……!」
喉の奥から絞り出すように吐き捨てたその声は、もはや懇願だった。
理性も矜持も、脚の締めつけと甘噛みに削られ、悲鳴寸前の言葉しか残っていなかった。
——その瞬間。
ハーピーの太腿に込められていた圧が、わずかに緩んだ。
それが「理解」なのか、「許可」なのか、あるいは「躾の成功」なのかはわからない。
だが確かに、逃れようのないその身体が、静かに、満足げに力を抜いたのがわかった。
(……くそ……こんな……)
歯を食いしばり、目を伏せる。
俺は、首をほんのわずかに持ち上げ、ぬるりと湿った熱気の中にあるその柔肉へ、唇を押し当てた。
——ペろ…くちゅ。
粘膜が唇に触れた。
れろ……れぉ……ちゅ……
湿った音が、静かに空間に漏れた。
恥ずかしくて、頭がおかしくなりそうだった。
それでも、舌を動かさなければ終わらないと、そう理解していた。
ぬめりと湿りを含んだ割れ目を、ゆっくりと、舐め上げる。
甘い匂いと、熱と、愛液のぬるさが舌に絡む。
動かすたび、唇がぬちゅりと濡れ、舌が肉の襞を撫でていく。
そんな俺の様子を、彼女は——
「……ゥン♡キュゥ〜♡」
満ち足りたように目を細め、喉をころころと鳴らした。
互いの身体が密着し、熱と湿り気が絡み合う。
俺の唇が、彼女の割れ目をぬるりと舐め上げるたび、ハーピーの舌もまた、執拗に俺の睾丸と亀頭を這い回ってくる。
ぺろ、ちゅ、ぬる……と下から這い上がり、柔らかく収まった玉袋を、まるで蜜柑でも味わうかのように転がし、そのまま、ぬめる舌先を亀頭の先へ——鈴口の裂け目へと差し込もうとしてきた。
「っ……あ……!」
びくりと腰が跳ねる。
肉が吸い込まれそうになる感覚に、背中がこわばった。
それでも、俺の舌を止めるわけにはいかなかった。
唇を押し当て、舌先で彼女の柔肉を撫でる。
ちろ……とクリトリスを掠め、割れ目に沿ってなぞり、恥を押し殺して舌を動かし続けた。
——なぜなら。
少しでも緩めれば、すぐさま警告が来るからだ。
その証拠に、一瞬だけ舌の動きを緩めたとき、「がぷっ」と睾丸に軽く歯が当たった。
「ッ、くぅ……!」
それは明確な、威嚇であり警告だった。
“さぼるな”。
そんな意味を、唇と舌と甘噛みに込めて——
ハーピーは、涎混じりの愛撫を、舐めるように、じっとりと続けていた。
⸻
舌と舌、粘膜と粘膜が貪り合うように絡み合い、互いの性器から、ぬるぬるとした蜜が滴り続けていた。
——もう限界だった。
鈴口をぐりぐりと舐め回す舌先。
睾丸を優しく転がしながら、時にちゅう……と吸い上げるハーピーの唇。
その生温い口腔の蠢きに、耐えていたものが——音を立てて崩れた。
「——っ、あ……ぁッッ!!」
爆ぜるような快感が、背骨を駆け上がる。
次の瞬間、俺は反射的に、彼女の尻へと両手を伸ばしていた。
鷲掴みにしたのは、豊かに張り出した尻。
ぐにゅぅっ、と掌に食い込むその弾力を確かめる間もなく、肉棒が脈打ち、限界を迎えた精が一気に——
びゅるっ、びゅるるるっ……!!
迸った。
喉を突くような呻きと共に、熱く濃い精がハーピーの喉奥へと叩きつけられる。
それに合わせるように、ハーピーの身体がぶるりと震えた。
「ンちゅぅ…キュ、キュルゥウゥ〜〜……ッ♡♡」
口元から甘い嬌声を漏らしながら、俺の唇のすぐ先で——
ぴしゃっ、と。
彼女の秘所から、温かく濡れた液体が弾け飛んだ。
ぶしゅっ、ぴゅるるっ……
明確な“潮吹き”。
甘く濃密な匂いを伴って、粘度のある飛沫が太腿を濡らし、岩の床を叩いた。
二人の呼吸が荒く、熱く、交差する。
ハーピーは射精の痙攣が伝わる俺の肉棒を、まだ名残惜しげに啜っている。
…ちゅ〜ぢゅるる……ちゅぽんっ
何分か経った後、淫靡な水音を最後にようやくハーピーの唇が俺の性器を解放した。
とろりと唾液が糸を引き、空気に晒された肉棒がじんじんと快楽の余波に脈打っている。
ぬめりと熱と羞恥に塗れたまま、俺はようやく——
(……終わった……のか……)
そんな油断にも似た安堵が、脳裏に滲んだ。
気だるくなった身体を、彼女の膝から頭を外そうと、わずかに背をずらした
その瞬間だった。
「っ……!」
かぷっ……
——尻に、走る鋭い痛み。
低く、湿った音が耳に届いた。
まさか、と思った時にはもう遅い。
背後から、柔らかくもはっきりとした“歯”の感触が、尻の肉を抉っていた。
(まさか……小型の……!)
振り返らずともわかる。
あの、膝枕をしていた小柄なハーピーだ。
無邪気な顔のまま、こちらの尻に噛みつき、その噛み跡を、ぺろ……ぺちゅ……と、まるで味を確かめるように——舐めている。
「ぬちゅ……ちゅる……ぺろ……♡」
舌の先で、噛み痕をなぞるたびに、ぬるく濡れた感触が肌を這い、尻の奥から、じわじわと寒気にも似た悪寒が這い上がってくる。
声も出せなかった。
もう終わったと思った矢先に……まだ、終わってなどいなかったのだ。
(……声、出しすぎたか……ッ)
荒れた呼吸を整える間もなく、背後で気配が動いた。
小型のハーピーが、おもむろに体勢を変え——
——ぴとっ。
自分の尻に、湿った何かが触れた。
「……っ?」
ぞくり、と背筋に走る違和感。
それは、ただの体温ではない。
熱い、やわらかい、そして……脈打つ何か。
本来、女の身体には存在しないはずの——異物。
にもかかわらず、その“もの”は、俺の尻の割れ目に、ぬちりと密着するように押し当てられた。
重さがある。
硬さもある。
微かに動く。
そして、脈を打つたびに、形が変わるようにすら感じる。
「っ……?!な……っ」
声が掠れる。
逃れようと腰を引こうとしたが、すでに遅かった。
明確な輪郭を持ち、熱を持ち、肉の杭が、俺の尻を、そっと狙っていた。
背中に、むにゅ……と柔らかな圧がのしかかる。
小型ハーピーの胸部——小柄な身体に似合わぬほど豊かに膨らんだ乳房が、
体重をかけるたびに潰れ、むにゅ、むちゅ……と生々しく形を変えながら、俺の背筋に貼りついた。
そのぬくもりと柔らかさは、間違いなく『女』のものだった。
なのに——
「っ……ぁ」
尻の割れ目に、異質な感触が擦れた。
ぬるり、と。
粘膜に触れそうなほどの距離で。
生温かく、弾力を伴い、なおかつ硬質な芯を持った何かが、俺の尻の谷間をなぞったのだ。
(なんで、だよ……!こいつ……女、だろ……?)
脳が拒絶している。
なのに、身体が……感覚が……追いついてこない。
柔らかな胸に包まれ、腰には確かな突起物の感触。
その不一致が、脳内で歪んだ混乱を生む。
「……っぅ、ゔ」
思わず、喉の奥から短い声が漏れる。
反射的な震え。それは恐怖でも嫌悪でもない、もっと本能に近いものだった。
触れたのはほんの一瞬。
尻の割れ目に、ぬるりと押し当てられた『それ』
自分の肌よりもはるかに熱く、硬くなっている『それ』は、まるで獣の息が直接肌に這ったかのような、火照りと脈動を帯びた体温だった。
逃げようとする体が、じわじわと硬直していく。
じわ、と肛門の奥に広がる痺れるような感覚。
拒絶しようとする理性をよそに、神経の先端が勝手に反応していた。
(本当にッなんなんだよ、こいつらッ)
困惑をよそに突起物がぬちゅりと擦れる。それが穴に掠めるたびに腰がわずかに震える。
押しつけてくる力がじわじわと増し、潰れた胸の弾力とともに、柔肉と肉塊の挟み撃ちが俺を押さえ込んでくる。
小型個体の鼻息が荒くなり、熱い吐息が俺の首筋にかかった。
その呼気が肌を撫でるたび、ぞわりと背筋が逆撫でられる。
次の瞬間、ぬるりと湿った舌が、耳の裏を這っていく。
「ッ……く、ぅ……」
ばさりと羽音。
何が起こったのか理解する前に、翼の“指”が俺の腕を押さえつけてきた。
見た目は軽やかな羽根でも、その力は強く――疲れが抜け切ってない俺の動きを完全に封じ込めた。
「離せ…っ」
声にならない抗議が喉の奥でかすれた。
そして、背後から――
くにゅぅ、とぬめる音とともに、熱いものが俺の尻に押し付けられた。
間違いなく、勃起した肉棒。
女の身体をした小型個体の、股間からぶら下がる『それ』が、ぴったりと尻穴に当たっている。
くにぃ……くにゅぅっ……
割れ目に沿って擦られるたび、いやらしい音が肌に残り、ぬるぬるとした感触が尻を這う。
「……うッ……なんで……俺が……こんな、こと……」
悔しさが喉を詰まらせ、思わず腰が震える。
でも逃げられない。脚も、腕も、押さえつけられている。
そのとき――
……はむ、はむ……
奴が俺の首に噛みついてきた。
牙を立てるでもなく、まるで発情しているかのような、甘えた舌と唇。
耳の下から後ろ首の辺りまで、ぬめるような口づけと、ちゅっちゅと湿った音。
「いれて……たまるかッ!」
俺は必死に尻穴に力を込めた。
奥を締め上げ、侵入を拒むように、意識のすべてを一点に集中させる。
腹筋が震え、汗がじっとりとにじむ。
背後では、押し当てていた小型個体の腰がピタリと止まる。
「ヴ〜……♡」
小さく、不満げな唸り声が俺の背中越しに響いた。
甘ったるく、どこか子供のように拗ねたその声。
だが、ぞくりとした。背中が、無意識に汗ばむ。
(……大型個体ほどの力は、ない……!)
かすかな希望が胸をよぎる。
だが――その瞬間だった。
「ッ……!?」
今まで一切動かなかった大型個体が、不意に顔を近づけたかと思うと――
ぴと、と俺の性器の根元に舌先が触れる。
「っ……な……」
ぬる、と。
そこから一気に、性器の裏筋、竿の腹、そして腹部をなぞるように、長い舌が這い上がってきた。
ぬちゃっ、ぬるっ、ぬにゅっ――
その動きはいやらしく、ねっとりと熱を持っていて、まるで体を味わうようだった。
そして――
「うお゛ッ…」
へそに、ぐっ、と突き刺すように舌がねじ込まれた。
舌先が穴の奥にねっとりと潜り込み、まるで探るように蠢く。
粘膜を押し広げられるような異様な感触に、腰が跳ね、思わず悲鳴が漏れた。
「う、うあっ……くそ……そんな……!」
へそから腹の奥に響くような刺激。
皮膚の内側を舐め回されているような、気味悪い、けれど否応なく敏感な快感。
大型個体は無言のまま、舌をぬちゅぬちゅと捩じ込んだまま動かし続けている。
その間も、小型個体の肉棒は尻穴にじっと押し当て、熱を絶やさずにいた。
どちらの動きも止まらない。
背も腹も、俺の穴を挟むように、淫らな圧が押し寄せ続けていた。
⸻
「や、やめろ……ッ!」
へその奥に捩じ込まれた舌が、じゅるり、と蠢いた瞬間だった。
腰の奥が跳ね、尻に込めていた力が――
「……っ、あ」
抜けた。
それまで必死に締め上げていた肛門の力が、わずかに緩んだのだ。
舌先が腹腔の裏から、奥の神経を“内側から”撫でたせいだった。
腹と背を挟み撃ちにされた身体は、もはや自分の意思通りに動かなかった。
そして――
ぬる……ぷちゅっ……
押し当てられていた小型個体の肉棒が、ぬるりと、俺の尻穴に入り込んできた。
「ッあ゛――あああっ……ッ!!」
焼けるような熱が、内壁を裂くように突き刺さった。
細く、けれどしっかりと脈打つ肉の杭が、ぬちゅりと直腸を割って侵入していく。
「くっ、ぅ、…はぁっ!はぁあっ」
叫びにも似た喘ぎが漏れた。
だがハーピーは愉しげに鼻を鳴らすだけだった。
それどころか――
……んぅ……くちゅ、ちゅぴぃ……♡
腹の上では、大型個体が俺のへそに舌を這わせ続けている。
舌先が円を描き、唾液とともにくちゅくちゅと音を立てながら、へそ穴の中をじっくりと舐め回していた。
音を立てながら、その粘膜が肉の窪みを這い、舌先の丸みが、へそ穴の底に何かを突き止める。
(やめろ……そこは……っ)
だが、止まらなかった。
舌の根がわずかに沈みこみ、ぬち……と粘膜が引きつる感覚が伝わってきた――そして。
ーーごりゅっ
鈍く、生々しい音が腹の底から響いた。
舌の力で、こびりついた“それ”が剥がれたのだ。
その瞬間――
「……ぁ゛あ゛ッ……」
喉の奥から、低く濁った悲鳴が漏れた。
歓喜でも、痛みでもない。
内臓の裏を抉られ、へそごまを強引に“掘り抜かれた”快感。
それは、臓腑の奥から引きずり出されるような――えぐる悦びだった。
「ン〜キュゥ〜♡」
小さな声が上がる。
ハーピーは、剥ぎ取ったへそごまを舌に乗せ、満足げにその唇で巻き取った。
「……ぴちゃ……ン、ンっ♡」
口腔の中で舌がそれを転がし、やがて――ぬちゅ、と音を立てて噛み潰す。
(……く、そ……俺の……っ!)
だが、吐き出すべき怒りも羞恥も、声にならなかった。
腹の奥にじんじんと残る“剥がされた感覚”が、熱を孕んで脳髄を蕩かしていたからだ。
「キュ……♡」
ハーピーは舌を唇から覗かせたまま、もう一度、俺のへそ穴をぺろりと舐めた。
しかしその間にも、背後では小型個体の肉棒がじゅるり、じゅるりと俺の腸内を掻き回している。
ずちゅっ、ぬちゅっ、と水音が大きくなり、肉の摩擦音が骨盤に響いた。
「っ、うああああっ……!」
声にならない絶頂感が喉の奥から突き上がる。
羞恥と嫌悪と、理性の崩壊と、無様な快楽。
それらがへそからも尻穴からも同時に押し寄せ、俺の中身をぐちゃぐちゃにかき混ぜていく。
そして、背後からの動きは容赦がなく激しくなる。
ぱんっ……ぱんっ……ッ
乾いた音が、寝たままの俺の腰に反響する。
小柄なはずの個体が、尻へ腰を打ち付けるたびに、体重がそのまま乗り、臓腑の奥までずぶずぶと押し込まれる。
腸内をこすられるたび、じわりと熱が背筋を這い上がってきた。
「く、ぅう……やめッ……」
呻きのような懇願も、羽根の檻と柔肉に阻まれて空気に溶けていく。
だが——
さらに最悪だったのは。
「……ッ、あ゛…っ……!」
俺の性器が、勃っていた。
腹の奥を抉られ、敏感な粘膜を打たれ続けた肉体は、勝手に反応してしまっていた。
ぐっ……と勃起した肉棒が、下腹をぴくぴくと脈打っている。
「キュ……♡」
それに、気づかれてしまった。
へそに舌をねじ込んでいた大型個体が、ふと顔を上げる。
その目が、下腹にある屹立した性器へと滑った。
数秒の静寂ののち――
「……ふぅ……♡」
彼女の口元が、淫らに緩んだ。
ぴとり。
唇が、俺の亀頭に触れた。
「っ……ぅあッ……!」
ぬるく濡れた熱が、ちゅるちゅると吸い上げる。
舌先が鈴口に這い寄り、その裂け目を、まるで蜜を啜るかのように吸い込んでくる。
「……んちゅぅ……♡」
唇が締まり、舌が先端を巻き取る。
陰茎全体がぶるりと跳ね、股間が熱を持って膨張していく。
「んちゅ……ぷちゅ……ちゅる……♡」
大型個体の唇が、俺の亀頭に吸いついたまま、熱い吐息を漏らしながら舌先を鈴口にねじ込む。
ぴく、ぴくんと肉棒が跳ねたその瞬間――
「ッ、……あ゛っ……!」
――カプッ。
「ぅあ゛ッ!!」
鋭くはない、けれど確かに歯を立てた。
大型個体が、俺の亀頭を、ゆっくりと――甘噛みしてきた。
皮膚の奥にじわりと沈むような、熱と圧。
亀頭の裏側に、上下の歯がぬめりながら沈み込んでくる。
「ぅぅッ……ぅ゛ッ……!」
少しの痛みと快感。
それらの感覚に堪らず喉の奥から、獣のような声が漏れた。
そのときだった。
ぱんっ、ぱんっ、ぱんっ……!
背後で、小型個体のピストンが激しさを増した。
動きが荒く、挿入のたびに尻肉がばちんばちんと打たれ、体内を掻き回されるような感覚が腹の奥に突き刺さってくる。
「ふぅっ……ふっ……キュッ♡ キュッ♡」
吐息が熱く、鼻先にかかる。
背中に押しつけられる胸の圧が高まり、小さな体に不釣り合いなほどの欲望が腰の奥から溢れ出していた。
(まさか…ッ)
背筋を汗が伝う。
「……キュゥウウ♡」
びくん、と小型個体の身体が震え――
――どびゅるるっ、どびゅるるるっ!!
「ぅ゛、っああっ……!」
尻の奥に、熱い液体が叩きつけられた。
細く、長く、ぬるぬるとした精液が、直腸の壁に押しつけられながら、ぴゅるっ、ぴゅっ、と断続的に注がれていく。
「ゔっ……あ……ッ……く……!」
――どびゅっ、どびゅるっ、どびゅっ!!
射精の衝撃が、そのまま俺の体を引きずり込んだ。
腰が跳ねた。
肛門を押し広げられ、腸内でどろりと満たされる感覚に、耐えきれず――
俺も絶頂してしまった。
「ンッ♡ちゅるるるっ♡んぢゅぅっ♡」
大型個体が、ぴちゃぴちゃと音を立てながら肉棒を咥え、先端から迸る精液を啜り上げていく。
唇に絡みつくような射精。
どろりとした精が、鈴口から噴き出し、彼女の舌に塗り広げられながら、喉奥へと飲まれていく。
「ちゅぅぅ……くぷっ……んぅ♡」
啜るたびに喉が鳴り、肉棒の根元まで舌が絡みつく。
下腹から押し出されるような快感に、意識が白く滲んだ。
背後ではまだ、小型個体がゆるく腰を動かしながら、ぬるりと尻穴に精液を擦りつけている。
中はどろどろで、奥の奥まで熱く濡れていた。
「はぁ…はぁッ…ふぅ…」
――もう、何も言えなかった。
快楽の渦に呑まれ、熱と粘液と白濁に溺れながら、俺の身体は二羽のハーピーに完全に、喰われていた。
⸻
ぬぽぉ〜……
鈍く、粘ついた音を残して、小型個体が性器を俺の尻から引き抜いた。
途端に、どろりとした熱が尻穴から溢れ出す。
「……ぅ……」
腸内に残された異物感。
押し広げられたままの粘膜のヒリつき。
そして、精液のぬめりが体内から逆流してくる、気持ちの悪い温かさ。
そのどれもが、快楽の余韻だけでなく、疲労と屈服の証として身体にこびりついていた。
俺は、ただぼーっとしたまま、空を見上げていた。
頭が重い。
まぶたが下りそうになる。
体が、もう動かない。
隣では、小型個体も同じようにぐったりと横たわっていた。
射精を終えたばかりの肉棒が、白濁に濡れたまま、脚の間にだらしなく垂れている。
目元は蕩け、肩で浅く呼吸しながら、うわごとのように小さく鳴いていた。
「……キュ……ぅ……♡」
——そのときだった。
音もなく、大型個体が起き上がった。
ゆっくりと、なめらかに。
まるで水面から浮かび上がるような動きで、背筋を起こす。
羽毛がかすかに揺れ、月白の肌が空の光を映して光った。
彼女は、まず小型個体のもとへと身を屈めた。
両手で小柄な顔を包み込み、濡れた唇を――そっと重ねる。
「……ん、ちゅ、んぅ……ぢゅる、ちゅ……♡」
小型個体は目を閉じたまま、吸い込まれるように舌を差し出した。
濡れた音が響く。
唾液が垂れ、舌が絡み、まるで精を分け合うような、淫靡で深いキスだった。
夢の中で喘ぐように、小型個体が微かに脚を引きつらせた。
そして次に――
俺の番だった。
「……っ」
身体が、動かなかった。
唇に、熱が触れる。
「……んぅ……ッ」
舌が、ぬるりと差し込まれた。
上顎、歯茎、舌の裏。すべてを舐め回され、巻きつけられ、唾液を流し込まれる。
ちゅぷっ……ぢゅる……ん、ちゅぅ……
呼吸が奪われ、脳が痺れる。
視線の端で、彼女の目が細められていた。
それは、まるで——
「よくできました」と褒めるような目だった。
俺と、小型個体の唇を啜ったあと、大型個体はゆっくりと顔を離し、二人を見下ろすように視線を落とした。
その顔には、薄く微笑むような影が浮かんでいた。
支配と満足。
そして……この状態が「当然である」という、圧倒的な余裕をその姿からは感じた。
大型個体の唇が名残惜しげに離れた直後、隣に横たわっていた小型個体が動いた。
まだ頬を上気させたまま、蕩けた目つきで俺の身体に密着してくる。
「……ん……キュ……♡」
細い身体を胸元に重ねるように押しつけ、脚を絡ませながら、ゆっくりと翼を広げた。
その柔らかく細い羽根が、ふわりと腹の上に落ちる。
さらさらとした羽根先が、汗ばんだ皮膚の上を滑るように撫でていった。
くすぐったさと、薄い快感が交じったその感触に、思わず息が詰まる。
そして、更に小型個体は俺の両脚の間に、太腿をすっと差し入れた。
その脚がぴたりと睾丸に押し当てられる。
潰すのではない。ただ、くっつけているだけ。
だがそれが逆に、生々しい。
睾丸の柔らかな球面に、温かく、しっとりとした太腿の内側が密着し、
熱と湿度がじわりと伝わってくる。
「……ッ……」
びくり、と下腹が反応する。
擦られるでも、揉まれるでもない。
ただ、温もりで味わうように、触れているだけ。
それなのに、妙に神経を逆撫でされるような、濃密な感触だった。
「……っ」
そんな中、小型個体が俺の頭にに顔を近づける。
そして、後頭部に鼻を押し付け、喉を鳴らしながら、深く、深く、鼻から息を吸い込んだ。
「すぅ……ふ、ぅ……♡」
俺の体臭を、自分の中に取り込む行為。
汗、皮脂、唾液、そして精液と一緒に混ざった、“雄”としての俺の匂いを、染み込ませるように嗅ぎ取っている。
「ふぅ〜……っ……♡」
吐息が熱く、俺の耳にかかる。
消耗した身体を包み込むように絡みつきながら、彼はまだ、俺を愛撫していた。
⸻
何分経っただろうか。
気づけば、背後に密着していた小型個体は、かすかな寝息を立てていた。
「……すー……キュ……ぅ……」
頬を俺の髪に埋めたまま、わずかに唇を緩め、静かに吐息を繰り返している。
太腿はまだ睾丸に寄り添い、羽根の一部が腹を優しく撫でていたが、それすらも今は動きが止まり、眠気の中へと溶けていた。
(……クソが……)
朝を迎えて間もないはずの身体はもう二度も貪られ、泥のように疲れていた。
(起きたばっか…だってのに………)
唾液を含んだ舌が乾いた音を立て、虚空に苛立ちを打ちつける。
そんな彼の表情を、大型個体がじっと見つめていた。
隊員の顔を覗き込むように身を傾け、口角をわずかに上げる。
その双眸には、確かな満足と、何かを観察するような冷たい光が宿っていた。
そのままゆるやかに身体を起こし、翼を広げる。
ざっ……と羽根が擦れる乾いた音。
そして次の瞬間——
一気に跳躍するように、空へと舞い上がった。
風を裂きながら旋回し、巣の周囲をぐるりと弧を描いて飛ぶ。
その身は大きく、鋭く、堂々と空を支配するかのようだった。
そして、空中で羽ばたきのリズムを一瞬だけ止めると——
「キュアアアァアアァッ!!」
高らかな鳴き声が、空と森に響き渡った。
艶やかで力強い、どこか誇示的な鳴き声。
その声はどこか命令のようであった。
直後。
「キュッ!」「キュキュッ……!」「キュア……!」
巣のあちこちで、ぱさっ、ぱさっ、と羽音が立つ。
羽毛が舞い、岩棚の奥で眠っていたハーピーたちが、いっせいに目を覚ます。
空気が動く。熱と匂いが、再び羽ばたきの中に混ざり始めていた。
そして——ばさり、ばさり、と風を裂いて舞い上がる。
次々に空へ跳ね上がるハーピーたち。
その数は、群れの半数にも及ぶ。
さまざまな個体が、半醒のまま目を光らせ、朝靄に包まれた空へとじわじわ昇っていく。
羽根の先が白んだ空をなぞり、淡く差し込む朝陽に一瞬だけ銀白の光を帯びる。
羽ばたくたびに残るのは、羽毛に染みついた寝汗と、昨夜の名残を宿した匂い。
冷えた朝の空気と混ざり合い、それは薄い風となって——
ひゅう……と、耳の横を掠めて過ぎた。
大型個体はそれを、ただ黙って見ていた。
空中を旋回しながら、飛び立つ個体を一羽ずつ確認するように眼を走らせ、やがて満足げに翼をひとつ強く打った。
——バサアァッ!
風が、冷えた空気ごと岩棚の上にまで注ぎ込んでくる。
羽ばたきの余波が肌を撫で、白んだ空に向かって、大型個体は進路を変えた。
巣の外へ。
朝焼けの空へ。
ゆるやかな弧を描きながら旋回し、朝日を背に浴びながら、その身を反転させる。
そして、背後に従うハーピーたちを従え、朝の風を切って——
すう、と、飛び去っていった。
淡い陽光の中に、次第にその姿は溶けていき、ただ羽音だけが、わずかに残響のように耳に残った。
「ッなんだ?何が起こったんだ?」
大型個体が、鋭い金属音のような鳴き声を放った。
その瞬間、群れの半数を超えるハーピーたちが、一斉に羽ばたき、土埃を巻き上げながら空へと舞い上がっていく。
翼が風を裂き、地面の静寂を引き裂くように。
統率された一団が、まるで見えない命令に従って隊列を組み、旋回しながら空の地平線へと消えていった。
なぜ飛んだのか。どこへ行くのか。何のために。
唐突すぎるその行動に、思考がまるで追いつかない。
だが、ぽっかりと空いた空間を見上げた瞬間、心の奥にほのかな甘い期待が芽生えた。
逃げられるかもしれない——
そんな思いが脳裏をかすめた瞬間、背骨を這うような視線がそれを冷たく削ぎ落とした。
(……残ってるか)
確かに、飛び立った数は多かった。
だが、その残りもまた、無視できない数だった。
岩棚のそこかしこに、まだ視線を感じる。
茂みに身を潜めるように羽を畳んだ個体。
羽音ひとつ立てず、じっとこちらを見つめている個体。
翼を身体に巻きつけたまま、瞳だけを光らせている個体。
——そして、俺の髪に顔を埋めたまま、寝息を立て続ける小型個体。
見張り。監視。
あの大型個体が、明確に「逃がさないように」と配置していったのだと、直感でわかる。
(……俺が逃げる可能性なんざ、とっくに見越してるということか?)
自分を中心に視線が集まっている。
それが、欲情なのか、それとも監視なのか——判断がつかない。
ただひとつ、確かなのは。
——何も終わってなどいない。
朝の空は静かに白みつつあるが、岩棚の上には、妙な熱と緊張が、まだ確かに残っていた。