シズに導かれ、石の廊下を歩いていくうち、足元から伝わる空気の感触が次第に変化していった。冷たい石肌の硬さが和らぎ、鼻腔にはほのかに木と布の香りが混ざった、乾いた匂いが忍び込んでくる。
廊下の先――そこには扉ではなく、厚手の暗い布が、空間の入口を覆うように垂れ下がっていた。木枠に打ちつけられたその幕は、風のないはずの空間でわずかに揺れており、その向こう側にある「異質な静けさ」を予感させた。
シズは立ち止まると、こちらを振り返り、目線だけで小さく合図を送った。そして、布の端を静かに捲る。まるで神殿の帳を開くような、慎重で丁寧な動作だった。小田は無言のまま、その暗い裂け目の向こうに足を踏み入れた。
中は静かだった。しん、と音が吸い込まれるような静寂。だが、その静けさは落ち着いたものではない。かすかな寝息、布の擦れる音、低く交わされる囁き――それらが、空間の奥でまるで水のように溜まっている。
柔らかな灯りが、くすんだ天井に吊るされたランタンから零れていた。炎の揺らぎが布地に反射し、部屋全体を淡く染めている。その明かりに照らされていたのは――整えられた寝床の列。
藁ではなかった。草の香りや土の粗雑さはなく、代わりに薄い織物が重ねられ、丁寧に敷かれている。簡素ではあるが、明らかに手入れされた清潔さと秩序がそこにあった。
(……商品、の寝床が、これか)
小田の足が思わず止まる。頭では理解しようとしても、目に映るものとの乖離に、心が追いつかない。
寝床のひとつに腰掛けていた者が、小田に気づいて静かに顔を上げた。肌は白く、頬にはかすかな紅。目元は長くしなやかで、唇はやや潤んでいる。その横顔は、まるで飾り人形のように整っていた。視線が一瞬、重なった。
途端に小田の胸がかすかにざわつく。
小田よりも少し低い程度、身長はおそらく160cm台半ば。だが身体つきは丸みを帯び、胸も尻もふっくらとしていた。顔立ちはどこまでも繊細で、女のようにしか見えない。
そして、その人物だけではなかった。
寝床のあちこちに、同じような者たちがいた。若く、肉付きが良く、肌には艶があり、どこか熱を帯びた眼差しでこちらを――小田を、見ている。
(……女性用の施設か?)
疑問が湧く。だがすぐに打ち消される。カザラが言っていた、「雄の商品」という言葉。それが今、目の前にある現実と繋がっていく。
この空間にいる彼らは――全員、“雄”なのだ。
「この匂い…誰だろ?」
「新入り……?で、でも、おっきいよ……?」
「まさか……竜人様の雄……?」
「……うそでしょ。聖域の奴なんて、ここに来るわけ……」
声を潜めた囁きが、布と布のあいだをくぐるように響いてくる。だが、ひそめた声にしては――あまりに熱がこもっていた。
彼らの視線には、明らかな興味、そして……微かな欲情があった。
小田は唇を引き結び、無言のまま視線を落とす。喉の奥が、妙に乾いていた。
「ここは……比較的『良い場所』です」
隣に立つシズが、そっと口を開いた。
「商品たちは、丁寧に扱われています。粗末にされるようなことは……少なくとも、今のところはありません」
その言葉は慰めだった。だが、「今のところ」という言葉が、やけに重く響いた。
「……小田様のお布団はこちらです」
シズが示したのは、壁際の一角。そこには他と同様、丁寧に敷かれた織物の寝具があり、枕には香草の匂い袋が編み込まれていた。
香りは柔らかく、甘く、それでいてわずかに湿ったような、深い森の中にいるような芳香。
「今夜はここで寝てもらいます。」
その言葉には、静かな決意が滲んでいた。
小田は無言で頷き、ゆっくりと腰を下ろした。布の感触は柔らかく、身体の熱をじんわりと受け止める。だがその優しささえも、なぜか「所有されることの証」のように感じられてならなかった。
部屋の空気は柔らかく、それでいて湿っている。
温もりはある。だが、それは自然な安らぎではない。清潔で、丁寧で、整った空間――けれど、それはあくまで「商品として価値を保つための環境」でしかない。
(まさか…奴隷扱いとはな…)
小田は目を閉じた。
今この瞬間も、同じような視線がどこかから自分を見ていることを、肌で感じながら。
眠りの中に逃げることすら、誰かの許可が必要になる――そんな場所に、彼は今、いたのだ。
⸻
空気は動かず、ただ、静かに溜まっていた。
それは目に見えないぬかるみのようで、踏み込めば音もなく沈み込んでしまいそうな、湿った静けさだった。
誰も声を上げない。だが視線が、呼吸が、吐息の温度が――小田の皮膚に貼りついて離れない。
小田はゆっくりと腰を下ろし、示された寝床に身を預ける。布団は薄いが柔らかく、敷かれた織物の感触は驚くほど丁寧で、何よりも「手がかけられている」ことがわかる。
しかし、それは居心地の良さとは少し違う感覚だった。
「……おやすみなさい、小田様」
その声だけが、空気のなかに静かに落ちてきた。
聞き慣れた声――シズ。
彼女の声音は変わらず冷静で、どこか遠い。
小田は、それに返事をしなかった。
ただ、まぶたを閉じる。
瞬きの裏で、記憶のような熱が立ちのぼる。
見上げた空の青。
石造りの廊下の冷たさ。
硬い布の匂い。
“商品”たちの眼差し。
それらの断片が、じわじわと意識の底を滲ませていく。
だが、それでも眠りはすぐには訪れなかった。
空気は動かない。
けれど、その静けさの中に、わずかに、何かが“溶け込む”ような気配があった。
寝床に沈む小田の耳に、そっと、水音のような声が届いた。
「……あの……」
ショートカットの毛並みが、汗に濡れて額へと張りついていた。
伏せた睫毛がふるりと揺れ、潤んだ瞳が、小田を見上げている。
その目には、不安と期待、そしてほんのかすかな熱――、雌のように色づいた気配が潜んでいた。
その身体は、少年と呼ぶにはあまりにも艶やかだった。
丸みのある頬、繊細な首筋、なだらかにくびれた腰――
そして何よりも、小田の目を惹きつけたのは、彼の胸元だった。
衣の布地からこぼれ落ちそうなほどに盛り上がった胸の肉。
細身の上衣は本来、性別を隠すためのものであるはずなのに、
その布は張り詰めたようにふくらみを押さえつけきれず、乳房の肉がはみ出さんばかりに盛り上がっていた。
呼吸のたびに、布の隙間から柔らかく上下する谷間がのぞく。
わずかな動きで衣が擦れ、その弾力が、肌越しにでもわかるような錯覚すら呼び起こす。
(……女にしか見えん)
小田は思わず、息を詰める。
しかしこの犬人は、雄なのだ。
雄でありながら、雌のような身体を持ち、女よりも女らしい肉体のラインをしている。
くびれた腰から、やや突き出た尻へのラインは滑らかに曲線を描き、
太腿はむっちりと肉がついており、布越しでもその柔らかさが想像できた。
胸、腰、尻――
三点が強調されたその身体は、あまりに淫らで、それを雄が持っているという矛盾が、さらに倒錯的な色気を生み出していた。
犬人の少年は、小田の視線に気づいているのかいないのか、
かすかに頬を染め、伏せ目がちに言う。
「その……ぼくと……一緒に寝よ?」
おずおずと差し出されたその言葉に、艶やかな響きはなかった。
むしろ、まるで頼るように紡がれた、祈るような声。
「不安だと思って……知らない場所で、ひとりで眠るのって……こわいでしょ?」
その声には、慰めようとする響きよりも、慰められた記憶の滲んだ残響が混じっていた。
言葉の選び方も、語尾の震えも、誰かから受け取ったものをそのまま返しているような、そんな素直さだった。
小田はわずかに首を横に振る。
「……いや、大丈夫だ」
犬人の少年は、ぴたりと動きを止める。
肩が、すとんと沈んだ。
だが次の瞬間、唇を噛むようにして顔を上げ、あわてたように言葉を重ねた。
「え、えっと……遠慮しないでっ…ほんとに、となりで寝るだけだから……」
声は軽やかで、柔らかく、甘やかだった。
それなのに、その奥に潜む焦りのような執着が、妙に重くのしかかっていた。
小田は何も返さなかった。
喉の奥が重く、まぶたもずしりと沈んでいた。
考えることすら、億劫だった。
疲れていた。
心も、体も、あまりに多くを削られていた。
だから彼は、無言のまま、息をひとつ吐いて――
毛布の端を、無造作に、ほんのわずかだけずらす。
許可とも、無視とも取れる、その曖昧な仕草。
犬人の少年は、それを見て――小さく息を止めた。
そして、次の瞬間、声を震わせながらも囁いた。
「……ありがとうね」
その声はやはり、女のように甘かった。
そして、まるで安心したような、熱を含んだ吐息が耳に触れた。
小田は顔をそむけ、枕に頬を埋めた。
もう目を開くつもりも、返事をするつもりもなかった。
それでも、気配は確実に近づいてきた。
薄布をそっとめくる音。
身体が床を這う、柔らかな衣擦れ。
そして、温もりのある影が、すうっと布団の中に滑り込む。
背中越しに、わずか数センチの空間を残して、犬人の少年はそこに収まった。
身体を触れさせず、それでも確かにそこにいた。
柔らかな毛並み。
浅く緊張した呼吸。
微かに震えるような、遠慮がちな体温。
もう言葉は、発せられなかった。
ただ、ふたり分の呼吸だけが、布の中でゆるやかに重なっていた。
小田は、目を閉じたまま、そのぬくもりを拒まなかった。
ただ、眠る。
それ以上は、何も考えない。
部屋の灯りは、まだ消えていない。
けれど、小田の意識は、その光を遠ざけるように、ゆっくりと夜の底へと沈んでいった。
⸻
布団の中は、静かだった。
小田の呼吸は深く、ゆるやかで、もう夢の中へ沈んでいるようだった。
美しい犬人の少年は、背中越しにそっと耳を傾けたまま、小さく息を飲む。
「……寝たかな……?」
囁きは、漏れないほどの声量。
けれど、そこに含まれた熱は、肌の奥まで染みるようだった。
「……寝たよね……?」
言いながら、そっと頬を小田の背中に寄せる。
一度、ふわりと深く息を吸い込む。
そして——吐息混じりに、蕩けた声が漏れた。
「……はぁ…♡……この匂い、ほんとすごいなぁ……」
背中に鼻先を押し当て、くん……くん……と浅く、繰り返し嗅ぐ。
濃く甘い、匂い。
服の繊維越しでも感じる、皮膚の下からにじみ出るような体臭。
「同じ雄なのになんでこんなにいい匂いなんだろう…?」
囁きながら、犬人の少年は太腿をすり寄せるようにして、小田の脚にそっと触れた。
擦れる毛布の音すら、淫らに響いた。
「まだ、大丈夫。まだ…」
熱を帯びた吐息が、小田の背中に濡れて落ちる。
その唇はわずかに開き、名を知らない「彼」の首筋を見つめながら、再び深く鼻を埋める。
「ん……ふふ……もっと近づいたら、気づかれちゃうかな……」
ただ、吐息の熱だけが、布団の内側にじんわりと広がっていく。
小田は、微動だにしなかった。
眠っているのか、眠ったふりをしているのか――
それは、夜の闇だけが知っていた。
「……意地悪しちゃおっかな♡」
⸻
深夜―
それは、ごく小さな違和感から始まった。
寝具の中、胸元に触れる微かな湿気。何か柔らかく、温かなものが、乳首のあたりに――そっと、這うように忍び込んでくる。
(……なんだ……?)
眠気と微熱の狭間で、思考は濁っていた。だが、確かに感じる。ぬめるような舌先が、乳首をゆっくりと――ねっとりと、なぞっていた。
「……っ……」
ぴくん、と身体がわずかに反応する。だが、声にはしない。ただ、まぶたの裏で熱が滲む。
ちゅ……ん、ちゅっ……れろ……
やがて、その動きは迷いを失っていく。
舌が円を描き、乳首の先端をちろちろと刺激する。ときに唇で優しく挟み、ちゅっと吸いつくような音が、ぬるく静かな空気に染み渡っていく。
チュパ……チュッ……チロ……
音はいやに生々しく、下品だった。だがそのたびに、小田の胸に甘く痺れるような快感が広がっていく。
(……な……っ)
理性が拒絶を叫ぶ。けれど、身体は逆らえなかった。乳首はじわりと硬くなり、舌の動きに合わせてびくつく。
息が浅くなる。
ただの刺激ではない。どこか癖になる甘さがそこにあった。
まるで、乳首から直接、快感の蜜を吸われているかのような――そんな錯覚さえ起こす、ねっとりとした舌の愛撫。
犬人の少年が、小さく息を吹きかける。
「……ふふっ……寝てても、感じてるんだね……スケベだなぁ……」
その囁きに、心がざわつく。
だが、小田は目を開けない。ただ、眠ったふりを続ける。
その間にも、ぬるりとした舌は、右から左へとゆっくり移動し――もう一方の乳首へ、舌が忍び込んでくる。
「……ちゅ……ちゅる……れろ……」
また、あの音がする。
甘く、下品で、気づかぬうちに深く身体に刻まれていく――夜の静けさの中、ひとつの快感が、ぬめりながら小田の意識をゆっくりと蝕んでいく。
そして突然、むにゅ、と音がしそうなほど、柔らかな膨らみが小田の胸元に押し当てられた。
犬人の少年――とは名ばかりの、どこまでも女性的なその身体は、布越しでもはっきりと伝わるほどに豊満だった。張りのある胸が、甘く押し付けられ、しっとりとした体温が肌へと染み込んでくる。
「ん……ちゅ、れろ……ここ……すっごく敏感なんだね……」
湿った舌が、小田の乳首をゆっくりと舐め回す。
くちゅ、ちゅぷ、と水音が立つたびに、舌先が円を描きながら乳頭をなぶり、時折ちゅっと吸いついてくる。
甘さと熱に満ちた接触が、肌の奥にじわじわと痺れるような快感を送り込み、思考よりも早く、小田の身体が反応していく。
(……クソッ……)
堪えようとした理性を裏切るように、性器が熱を帯び、下着の内側でむくりと頭をもたげた。
そして――
むにゅ、と、犬人の柔らかい腹部に触れた。
それは決して誤魔化せる偶然ではなかった。はっきりと、明確に、硬く脈打つものが、そのやわらかい腹の肉に当たっていた。
「……え……?」
犬人の動きが止まり、視線がそっと下がる。
そして、小田の性器を視界にとらえたその瞬間――
「……すごッ」
目を見開き、顔をぱあっと輝かせる。驚きと興奮が一気に弾けた。
「……僕の、倍くらいじゃないかな……?」
頬を赤らめたまま、目をきらきらさせて見上げてくる。
「……すごいな〜……♡」
その声は、無垢であるはずの顔にそぐわないほど甘く濡れていた。あどけなさと淫靡さが同居するその響きに、小田の喉が思わず鳴る。
少年の手がわずかに動き、触れたくて仕方ないというように、空気をなぞる。
「こんなの、見たことないよ……君、すごいね…♡」
とろけるような笑みと、潤んだ瞳。
小田の理性の膜に、静かに、しかし確実にひびが入りはじめていた。
⸻
「……ね、もう我慢しなくて、いいよね……?」
囁くような声とともに、犬人の細い指がするりと滑り込む。布越しに包まれていた小田の性器が、そっと――露わにされた。
空気に触れた瞬間、熱が一気に肌を撫でる。張り詰めた肉棒は、汗ばんだ根元までしっかりと勃起していた。
「わあ……ほんとに、すごい……♡」
犬人の瞳が潤んで揺れる。嬉しそうに、いやらしく唇を歪めて笑いながら、そっと指先を添えた。
ひたり……と、最初の一撫で。
「ぁっ…」
小田の喉から、短く息が漏れた。
無意識に腹筋が跳ね、脚が微かに震える。だが、犬人の手は止まらない。
指先がゆっくりと亀頭をなぞり、茎を上下に優しく撫で、時折くすぐるように先端を擦りあげる。
「……ふふ、……寝たふり、もう限界かな〜?♡」
耳元に落ちたその囁きは、あまりにも甘く、あまりにも意地悪だった。
犬人の指先が、露わになった小田の性器をぬるりと撫で上げる。すでに先端からは透明な蜜が溢れはじめ、指に絡んだその粘液がぬちゃりと淫らな音を立てる。
「だって、ほら……こっちは正直だもんねぇ? こんなにビクビクして、ピンッて跳ねちゃって……♡」
舌を含ませるような声音で、くすくすと笑う。
「ねえ、ほんとは起きてるんでしょ……? 眠ってるフリして、こんなことされて……気持ちよくなって……♡」
ちゅぷ、くちゅ、ちゅる……指が裏筋をなぞり、茎を優しく揉みながら、時折ぐに、と根元を擦り上げる。
「それとも……こんなことされながら無反応でいられる、すっごい訓練でも受けたの?ねえ、君って……実はこういうの、好きなんじゃないの?♡」
吐息が熱い。言葉がねっとりと肌を舐めるように絡みついてくる。
「見て見て……おちんちん、こんなに赤くなって……先っぽ、つんって涙こぼして……♡苦しい元をしっかり出してあげないとね♡」
声も、指も、笑みさえも、小田の理性を試すように挑発してくる。
「……ほら、『寝たふりのスケベ君』にもっと教えてあげよっか? 自分がどれだけえっちなのか……♡」
親指の腹で、敏感な先端をくにゅ、と押し込むように弄ぶ。
「ねえ、起きてよ……起きたら、君のこと、いっぱい気持ちよくしてあげるのに……♡」
じゅる、ちゅる、ぬちゅっ……
再び乳首に口を当て、強く吸い上げる。
濡れた音が布団の中でいやらしく響き続ける。
喉の奥に熱が滲む。息が漏れそうになる。寝たふりをしているはずの小田の身体は、すでに限界を超えていた。
それを知っていて――女性にしか見えない彼は、なおも笑う。
「惚けるんだ……どこまで我慢できるかな……♡」
⸻
「……ちゅぅ〜……ん、んふ……♡」
犬人の唇が、じっくりと小田の乳首を吸い上げる。
ちゅ、ちゅう……と、いやらしく甘い音が布団の中に落ちる。
舌先は乳首の先端をゆるやかに転がし、唇の内側でぷるんとした肉を包み込むように吸い上げていく。
ねっとりと絡む舌が、吸って、啜って、舐めまわして――まるで、とどめを刺すように。
その間も、手は休まない。
小田の性器をぬるりと握り、根元から亀頭まで、丁寧に、淫らに擦りあげていく。
時に柔らかく撫でるように、時に小刻みに、焦らすようにリズムを変えながら、
乳首をちゅうっと強く吸うその瞬間に、亀頭をぐりぐりと押し潰すように刺激する――
「……んふふ……ねぇ、どっちの方が気持ちいい……?」
熱のこもった吐息と、舌と、指と。
あらゆる感覚が交錯し、快楽の波が絶え間なく押し寄せる。
与える側の「彼」は、まるでそれを熟知した職人のように、緩急を操り、快感を重ねていった。
「……っく……はぁッ……」
堪えていた声が、とうとう漏れた。
身体が小さく跳ねた瞬間だった。犬人が、小田の腰へと自らの身体をぐっと沈め、性器を――そのやわらかな腹部へと、押しつけてきた。
むにゅ、と濡れた音と共に、張り詰めた性器の先端が、ちょうど――へそのあたりに当たった。
むにゅん。
「……あぁッ……!」
その瞬間、頭の奥が白く染まる。
反応はあまりに早かった。あっけないほどだった。押し当てられた熱と、乳首を啜る執拗な舌の刺激、肉棒への刺激、すべてが重なった一瞬の中で――
どくん、と。
小田の性器はぴくりと震え、次の瞬間にはーー
びゅっ、びゅるう、びゅるっ……と熱い精液を吐き出していた。
「……あ……♡」
犬人の腹に、生ぬるい飛沫が跳ねた。
「……出ちゃったね……いっぱい……♡」
嬉しそうに頬を赤らめ、犬人の少年が小田の腹にぬるりと擦り寄る。美しいへその上には、白く濁った滴が熱を持って広がっていた。
「こんなに、我慢してたんだ……♡」
ぴくぴくと痙攣する性器。残滓がなおも零れ落ち、犬人の肌を静かに汚していく。
その感触さえも、犬人は恍惚とした表情で受け止めていた。
「……でも、これで終わりじゃないよね?まだ……」
⸻
小田は、犬人の柔らかな腹に無様なほどに精液をぶちまけた。
白濁は熱を帯びて毛並みに広がり、細い腰のくびれを伝って、しずくが横にぽたりとに落ちる。
小田は荒く息を吐きながら、呆けた目で天井を見つめていた。
そんな彼の上に跨がるようにして、犬人の少年は、ふふっと笑う。
「んふふ……いっぱい出したね。」
そう囁きながら、犬人はゆっくりと、胸を下ろしていく。
まろやかに弾むその乳房は、小田の性器に押し当てられ、むにゅ〜と肉が沈み込んだ。
「……あ〜〜交尾したいな〜♡」
むにゅりと肉が擦れる。反応した小田の肉棒は、胸の突起からずれて濡れた谷間に押し込まれた。
「でも……だめなんだよぉ……」
彼は乳房を軽く押しつぶし、包むようにしながらゆっくりと上下させる。
「こんな精液、絶対妊娠しちゃうからさ……♡」
「だから今日は……「兜合わせ」で、がまん……するね……?」
そう言いながら、谷間にぬめる肉棒を挟み込み――
滑らせ、押しつぶし、撫で、沈め、また引き上げた。
たっぷりと汗ばみ、熱をもった乳肉が、肉棒の根元から亀頭までをやさしく包み込み、密着するたびにくちゅ、ぬちゅ、と湿った音を奏でる。
「……うふ……♡」
小田の顔を見上げたその瞳は、蕩けるように潤んでいた。
耳をぴくりと揺らしながら、首を傾け、乳房の圧を微妙に操る。
「……ん……中、ぴくぴく……♡ ぜんぶ……分かっちゃう……♡」
胸の奥に伝わる脈動を、彼は嬉しそうに受け止めながら、小さく腰を揺らした。
谷間に沈んだ肉は、むにゅ、むにゅと押し広げられ、汗と分泌液をまとって艶やかに滑る。
肉球のついた細い指先が、時折その熱い先端をそっとなぞり、きゅっと摘まむように撫でた。
「……ふふっ……ぴゅって、しちゃう前に……」
そう囁いていた犬人は、谷間に挟んでいた小田の肉を名残惜しげに解放した。
乳肉の弾力が離れ、性器がぬるりと押し出されて——
ーーーヌポンッ
濡れた音を残して、湿った空気の中へと晒される。先端には彼の汗と小田の精液の混じった液が絡みつき、脈打っていた。
彼女は、それから視線を逸らさずに自分の下腹部へと手を伸ばした。
そして、するりと腰布をたくしあげると、そこから現れたのは小ぶりな、だが確かに男根と呼べる突起。
「見て……ぼくにも……あるんだよ?」
犬人の——その露出された性器は、小田のものに比べると半分ほどの大きさしかなかった。
だがその先端は紅く滲み、ぷくりと膨らんで、小田の肉棒を欲しがるように震えていた。
彼はゆっくりと身を沈め、小田の肉棒に自身の小さな肉棒を押し付ける。
ぬるぬると濡れた先端同士が擦れ合い、ぬちゅっ……と水音が漏れた。
「ん……あったかいぃ♡ボクのより、ずっと……ずっと太いぃ……♡」
「うぁぐ…」
擦り合わせられる感触に、二人の性器はぴくりと跳ね、二人は声を漏らす。
異なる熱と質感、雄と雄。
交じらぬはずのそれらが、ねっとりと擦れ合い、互いをまさぐるように脈を重ねる。
「ねぇ……このまま、おちんちん同士で……いっちゃったらどうなるんだろうね……?」
彼は耳をふるふると震わせ、少し恍惚とした目で小田を見つめながら、肉と肉のぬめりを増していった。
ぬちゅり……ぬるり。
肉と肉が擦れ合い、互いに体温を交換し始める。
それは挿入でも、口淫でもない。だが、確かに――
『性器同士が交わっている』ということが、否応なく伝わってくる。
ふたつの怒張が、そっと重なり、
互いに温もりと、鼓動と、ぬめりを伝えあう。
「……んっ、ぁ……」
犬人が喉の奥で甘く声を漏らした。
恍惚と羞恥と、それでも逃れようとしない静かな欲望が、彼の目に浮かんでいる。
そして――彼は自分から、少し腰を押しつけた。
「ね、……おちんちん、くっつけてこすりあうの……」
唇が震えながら言葉を紡ぐ。まるで知らない遊びをそっと口にするような、けれど興味と本能に満ちた声だった。
「……気持ちいい、ね……♡」
彼の腰が、こくりと前に傾いた瞬間――
ぬちゅっ……ぬるんっ……。
柔らかい感触のなかで、小田の怒張がぐにゅりと押し潰される。
そのすぐ隣にある犬人の肉は、小さく、だが確かに熱く、敏感で、じわりと滲む透明な露を絡めていた。
「く……っ」
小田は思わず、息を詰める。
腰が跳ねそうになるのを、理性の残骸でかろうじて抑えた。
だが、その間にも亀頭の先端が、彼の先と擦れ合う。
ぴちゃっ、と柔らかい音がして、ふたりの汁がはじけた。
「んぁ……ふふ、ぬるぬる……いっぱい……♡」
犬人の彼はその指先で、ふたりのぬめりをすくっては伸ばし、また擦り付ける。まるで粘液を混ぜ合わせるように、何度も、何度も。
くちゅっ、くちゅ、ぬるん……くにゅっ。
粘膜の音が、ゆっくりと空間に広がっていく。
湯の熱も、肌の火照りも、すべてが『性』へと収束していくなかで――
ふたりの性器だけが、中心で静かに、だが濃密に、交じり合っていた。
「……君の…ぴくってしてる……すごい……っ」
「だめ……だ……っ、……」
声が掠れる。だが、もう遅い。肉棒は既に反応している。
快楽に抗えず、逃げられず、そして――
「んふっ、ねえ……いっちゃおっか……♡」
彼が甘く囁いた瞬間、彼は自らの指を添えたまま、ぐいっと腰を前に押しつけた。
先端と先端が、ぴた……っと重なる。
そのまま――
にゅこ、にゅこっ、ぬぷっ……
亀頭と亀頭が擦れ合い、先端の割れ目同士が、互いの汁を舐め取るようにぬめり、蕩ける。
「うっ……あ、あぁ……ああああっ……!!」
小田の喉がひくりと痙攣し、そこから漏れた声は、空気を震わせるような断末魔にも似た喘鳴だった。
腰が勝手に跳ね上がり、犬人の小さな肉棒にぬるりと擦れた瞬間——
「んぁ、あっ、あああぁっ……♡」
犬人もまた、痺れたように声を上げた。
そして、互いの性器が擦れ合ったその接触面から、濃厚な白濁が——
びゅるるっ、びゅるるるるっ……!
飛沫ではなかった。
それは、噴き出す。溢れる。終わりの見えぬ粘液が、どろりと連続して迸った。
びゅっ、びゅるぅっ、びゅるるっ……びゅるるるっ……!
犬人の腹と股に、精液がねっとりと絡みつき、まるで泥のようにこびりついていく。
既に一度濡れていたその肌に、さらに白い層が塗り重ねられ、じゅくじゅくと音を立てて滴り落ちていった。
彼はは笑いながら、自分の小さな肉を彼の根元にすりつける。
「……すごいよ、こんなに出るなんて……♡」
5度目だった。
絶え間なく吐き出し続けた小田の肉棒は、脈動するたびに痙攣を繰り返し、ついにはぷるぷると震えるばかりとなった。
びゅるっ……びゅるるっ
「んっ……ちゅ、ちゅる……ふ、ふふ……まだ、出てる……」
射精の余韻に震える小田の唇に、犬人の舌が深く差し込まれる。
彼の柔らかな胸が自分の胸に、湿った腰が自分の濡れた腹部にぴたりと貼りつき、
ぬちゅ……ぬちゅぬちゅ……と、卑猥な水音が肌の隙間で鳴った。
「……んちゅ……ちゅぅ……っ、んっ……♡」
深く、舌を差し入れる。
とろけるような体温の中で、舌が絡み、唾液と熱が溶け合ってゆく。
彼の豊満な胸は小田の胸に、腰は彼の濡れた下腹部にぴったりと押しつけられ、肉棒と肉棒がぬちゃ、ぬちゃ、と音を立てて擦れ合った。
ぬめる。
吸いつく。
密着した豊満な乳と柔らかい腹、股間のすべてが、水音と粘音を響かせながら、小田の余韻に寄り添う。
小田の身体はもう限界だった。
精も、力も、思考さえも、すべて搾り取られてしまったような脱力感。
「……はぁ……ん……っ……」
「あぁぁ…」
(今日…だけで、5回目……ッ……もう、出ない……)
体が重い。
精も、力も、まるで骨の芯から搾られていくように抜けていった。
彼女の舌が絡みつくたび、喉の奥から意識ごと引き抜かれていくような錯覚がある。
(ちくしょう……もう、何も考え……)
5度目の、あまりにも濃く長い射精の果てに、彼のまぶたは静かに閉じられた。
力なく、ゆっくりと。息だけが、かすかに残っている。
その様子を見届けた犬人は、くすりと笑い、まだ舌を離さずに彼の口内に甘く巻きつけた。
それと同時に身体を添うように優しく寄り添い、白濁で濡れた股を密着させたまま、彼の胸元にすり寄る。
「んちゅ……ちょっと、疲れたね……一緒に、寝よっか……」
唇を離さず、舌を絡めたまま。
濡れた吐息と一緒に、まぶたを閉じる。
静かな部屋。
ぬるんだ熱。
粘り気を残した肌が絡まり合い、汗と精と唾液の匂いだけが、満ちていた。
犬人の美しい少年は、満ち足りたように喉を鳴らし、小田と同じ夢の中へと沈んでいった。