その男傲慢につき 作:アマチュアダックスフンド
半年ぶりの超絶リハビリ投稿。
追記 アンケートが拮抗しているので後々全て書きます。ただ物語の都合上、松下は遅れます。申し訳ございません。
番外編 坂柳有栖 ♡
体育祭が終わり、彼を侮る生徒は完全に消え去った。口だけ、学力だけ、雰囲気だけ、多種多様に中傷紛いの言葉が飛び交っていた日常は一変。学年問わず学校全体が彼を完全に認めた。
『怪物』だと。
サボり魔であった彼が真面目に試験に取り組み、その実力を遺憾無く発揮したのは今回が初めてと言ってもいい。
本来の立場ならクラスでの活躍や彼が認められたことを誇るべきなのだろう。表向きではクラスに貢献するよう私が説得したことになっており、そのことも相まって彼と比例して私の評価も上がっている。
私よりも彼の評価が高い。今となってはそんなことどうでもいい、あの日あの場所で既に勝敗は決している。
『この私が放置されている』この現状が何より気に入らない。
「最近は真面目に授業を受けていて文句の付けようがありませんね…強いて言うならばレディに対する接し方が成っていないぐらいでしょうか」
「…あっそ、じゃあお先」
HRが終わるや否や神楽は席を立ち教室を後にした。そして連日別の女と帰路を共にする。
「…良かったんじゃない?相手するの疲れるでしょ」
「…」
坂柳は視線を神楽から移すことはない。尚、当の本人は教室の外で一之瀬と談笑しているが、この光景は今に始まったことではない。その結果クラスでは坂柳さんが一之瀬さんに男を取られたなんて噂が立つ始末。
「あー姫さん思ったよりも重症だな」
側近の2人など目も暮れない。姫様と慕う橋本と嫌々従う神室には獲物を狙う狼にでも見えているのだろうか。実際は牙を抜かれ、リードを付けられた愛玩動物が餌を貰えないことに腹を立てているだけなのだが。
「はぁ、いつまでそうしてんの?」
「…いつまでもです。私は理解が出来る側の人間なので。あぁ噂のことですか?大して気にしていませんよ」
どちらにせよ、あの坂柳が行動せずに黙っているだけという事実に2人は驚いていた。
「押してダメなら引いてみろ…それでもダメなら押し倒せ。坂柳有栖、あの手の人間は想定外のハプニングに弱いのは常識です」
「森下さん…どうしたんですか」
森下藍。Aクラス随一の不思議ちゃんで周囲からは煙たがれている。悪い人間では無いのだが、触らぬ神に祟りなしと言うべきか。ただこうして坂柳に臆せず物申すことが出来る人材は貴重であり、話していて退屈しない為、2人にはそれなりに接点がある。
「どうもこうもないです坂柳有栖。あの男は危険です、もう1人の私がそう告げています」
「貴女を信頼してない訳ではありませんが、根拠のない発言は…」
「唐揚げ定食のレモンをかけずに齧ってました」
「…さっぱりしたかったんじゃないですか?」
本来は唐揚げにかける為に用意されている筈だが、一般常識を知らない神楽は食後のデザートか何かと勘違いしたのだろうか。
「ともかく危険です。あの男の手綱を握れるのは貴方だけです坂柳有栖。私はお先に失礼します、相棒の再放送が見たいので」
意味不明な発言を繰り返して荒らすだけ荒らして颯爽と去っていく。まさに嵐のような人間だ。ただ変わり者同士は惹かれ合う、森下の助言で坂柳はとある決断を下した。
「真澄さん手伝ってくれますか」
坂柳は不的な笑みを浮かべ、神室は溜息混じりに返答した。
「…まさかこの俺が寝首を掻かれるとはな」
思い立ったが吉日。坂柳は森下の助言通りに神楽の寝込みを襲った。週末になると坂柳は半ば強引に神楽の部屋に押しかける。神楽は来るもの拒まずの精神で迎え入れ、食事をし、汗を流して共に眠る。従順な愛玩動物となっていた坂柳有栖の謀反は流石の神楽も予想だにしなかった。
「どうですか?これが私が普段されていることです」
「サイズが合わねぇからまあまあ痛いな」
普段のプレイで使用する手錠を四肢に装着されて神楽は身動きが取れずにいた。
「本当に牙が抜けたのは貴方だったという訳です。ホワイトルームで育った人間がこうもあっさり拘束されるなんて、正直拍子抜けですね」
「チワワに甘噛みされてキレるか?お前如きに拘束されてもどうってことないだけだ」
寝巻き姿のまま拘束されているにも関わらず神楽は表情を変えることはない。涼しい顔をして坂柳を見つめる。
「強がれるのも今だけですよ。これまで私がされたことをそっくりそのままお返しします。まずは…情けない姿を晒して貰いましょうか」
坂柳は神楽の胸元に手を伸ばし、ゆっくりと上着を脱がすと、月明かりに照らされた筋骨隆々な素肌が顕になっていく。本来なら坂柳の様な華奢な少女を押さえ込むことなど、文字通り赤子を捻るに等しい。
「手が震えてるぞ?何度も体を重ねたといえ、お前は常に俺の玩具だったことを忘れんなよ」
神楽の挑発を鼻で笑い坂柳は神楽の肌に指を這わせる。少し汗ばんだ胸元をなぞった後、坂柳は自分の所有物だと言わんばかりに首元に吸い付いた。
「んっ…っん」
神楽は慣れない感覚に多少の戸惑いこそあれど、不快感は全く無く、猫に舐められてる感覚で性的興奮も感じ無い。
「無反応…まあ想定の範囲内です。一之瀬さんや堀北さんには毎日のようにマーキングされているでしょう?」
「お前は出来てないけどな」
「そう焦らないで下さい。夜は長いですよ」
坂柳は再度息を整え首元に吸い付く。何度も何度も繰り返していく内に神楽の首周りには無数のキスマークで埋め尽くされた。
「っ…ぷはぁ♡これで完全に私のモノ。少し鼓動が早くなっているようですが…まさかこの私に興奮しているのですか?」
「喉は人間の急所だ。チワワとは言え噛みつかれたら只事じゃ済まねぇからな」
神楽は徹底して強気な姿勢を取り続ける。所詮強がり、虚勢を張るだけ、この時はそう思っていた。
「私に支配されることを恐れているだけでしょう?強がりは辞めたらどうですか?…おや?何やらズボンが膨らんでいるように見えますが」
「俺の本能が叫んでるんだよ、お前を徹底的に支配しろってな」
「ものは言いようですね。私に興奮し、射精したくて堪らない…叶えてあげましょうか?」
坂柳は腹部をなぞりながら下へと手を動かす。一目見ただけでも明らかに興奮していることが分かる程、大きく膨らんだ神楽の肉棒。局部へと近付くにつれて神楽は必死に抵抗するように腕を動かす。
「その手錠が如何に頑丈かは私が1番理解しています。ああ…辛そうですね、今楽にしてあげますよ♡」
坂柳は手を掛けてゆっくりとズボンを下ろしていく。はち切れんばかりに反り勃った男根が姿を現すと坂柳は笑みを浮かべながら息を吹きかけた。
「フーっ♡あら?どうしました神楽くん?汗が凄いですよ?オマケに…早く触って下さいって懇願しているように見えますが?」
神楽はガチャガチャと腕を激しく動かして必死に抵抗している。言葉を発することは無く、坂柳を睨み付けながら足掻く事を辞めない。
「貴方は最後まで抵抗を辞めないのですね。はぁ…仕方ありません」
坂柳は満を辞して神楽の陰茎に手を添えた。触れられた瞬間、ビクビクと脈打つ裏筋を人差し指で焦らすようになぞる。
「最後の警告です。私に何か言うべきことがあるのでは?」
「愛玩動物と揶揄して優しくし過ぎたツケか…俺からも最後の警告だ、これ以上舐めた真似するならあの時の宣言通りにお前の立場を分からせてやる」
傲慢に立ち振る舞い自分が優位に立たなければ気が済まない神楽にとって、これ以上の屈辱はは死と同等。これまでの警告とは訳が違った。
「…ならこうしましょうか。あの時私にしたように今から徹底的に攻め続けます。貴方がどれだけ泣き叫ぼうとも辞めることはありません。制限時間は3時間14分くらいにしましょうか…」
「お前端数まで覚えてんのか」
「当然です。あの日の屈辱を忘れたことはありません。…では始めましょうか」
坂柳はスマホでタイマーを設定した後に再度神楽の肉棒に手を添える。触れるか触れないかギリギリのフェザータッチで神楽を少しずつその気にさせていく。そのまま充血した亀頭をなぞるとカウパー腺液で既に濡れていた。
「口ではああ言っていましたが…体は正直ですね。このまま前立腺を刺激すれば数分も保たずに射精してしまうでしょう」
神楽は心底機嫌が悪そう顔をしている。坂柳はその顔が見れただけでご満悦のようだ。
「流石の貴方でもポーカーフェイスを維持するのは難しいみたいですね。あの時私にしたことを覚えていますか?」
「忘れた」
「そうですか、なら思い出させてあげます。恥辱の限りを尽くして」
坂柳は神楽の耳元まで口を近付けて優しく息を吹きかけた。神楽はしかめ面で舌打ちをしている。そんな神楽を気にもせず坂柳は耳元で囁きながら、肉棒を優しく握り上下に動かしていく。
「しーこ♡しーこ♡神楽くん我慢しなくていいですよ。私の手の中で無様にイって下さいね♡フーっ♡フーっ♡」
耳元にを吹き掛けて一定のリズムで神楽の陰茎を刺激する。西洋の人形の如く麗しき美貌を持つ坂柳からこんなことされるなんて最高級の褒美でしかない。ただ神楽のプライドがそれを許さない。
「天才と自称するお前が勝つ為に売女に成り下がる…親父さん泣いてるぜ?」
今神楽に出来るのは坂柳の心を蝕むこと。完全な実力勝負であったチェスと始まる前から圧倒的に優位な立ち位置から始まったこの勝負。同じ勝ち点である筈がない。
「培った頭脳を捨てて男を興奮させる為に媚を売るか…お前が必死に解いた参考書よりも薄っぺらい本の方が役に立ってるじゃねぇか」
本当にお前がしたかった事なのか、これで勝って満足出来るのか?そう坂柳に問いかける。
「少女に股間を弄られながら言われても説得力ないですね。風俗で説教するおじさんのようで見ていられません…」
「まあ立場は逆だがな。お前が俺に依存してるんだろ?自分を放って他の女と遊んでるのが気に食わねぇか?恨むならその貧相な体を恨め」
「怠慢で怠惰で傲慢が故に生まれた隙。形はどうであれ少女に寝首を掻かれて無様な姿を晒しているのは貴方です」
言い争っている間も坂柳は手の動きを休めることはない。
「俺の隣に相応しい高尚な女だと思っていたんたけどな」
「今更何を言っても遅いです。私を放置して一之瀬さんや堀北さんに現を抜かすなど…あっていい筈がありません。私が最も貴方を理解しているというのに」
「なら辞めてくれると助かるな、これ以上好き勝手されると後が怖いと思わないか?」
ここに来て泣き落としなど通用する筈もなく、神楽の言葉をスルーして坂柳はスパートをかける。指先で亀頭を覆うように撫で回しすとかぐらの肩がビクッと動いた。
「ご心配無く、これから貴方が晒す情けない姿はしっかりと録画させて頂きますので」
神楽の弱みを握れる千載一遇のチャンス。坂柳はそれをしっかりと保存する為に仕掛けを施していた。
「…あの時計に仕掛けたのか?」
「流石気付いていましたか、ですが…」
「お前以外に協力者がいるな?誰だ」
「…我慢出来たら教えて差し上げます。もう出そうなんでしょう?手の中でビクビクと動いているのが分かります」
こんな状況でも神楽の洞察力は衰えない。時計の配置的に坂柳1人で仕掛けることは極めて困難。坂柳は協力者がいることを瞬時に見抜かれるも、特に気にしていない様子。
「さて、そろそろですね。私の手で無様に射精して下さい♡はぁはぁ♡その顔です、その顔が見たかったんです♡」
「チっ…」
必死に我慢するも人間の三代欲求には敵わない。どれだけ頭脳明晰でも完全無欠な身体能力を誇る神楽でも眠くなるし腹も減る。勿論のこと性欲も存在する。
神楽は遂に我慢することが出来ずに坂柳の手の中に射精した。身体を一瞬震わせて顔を見られないように必死に逸らしながら。
坂柳はその瞬間を見逃さなかった。しっかりと目に焼きつた後、自分が僅か一瞬でもこの男を完全に支配したことを実感し、激しく息を切らす。
「私を完膚なきまでに叩き潰した貴方が…あの部屋で英才教育を施された貴方が…私のこんな小さな手でイってしまうだなんて♡ああこの精液にどれ程の価値があることか、私の膣内へ注ぎ込まれれば優秀な遺伝子を持った未来ある赤子が産まれていた筈なのに…」
様々な感情が一気に込み上げて来た坂柳は自我を無くし目の前の神楽の唇に貪りついた。坂柳は首元に腕を回して無我夢中に舌を絡ませる。嫌がり抵抗していた神楽も諦めたのか、流れに身を任せ唾液を交換する。
「んんっ…ちゅあ♡ぇぁっ♡はぁはぁ…失礼しました。貴方が余りにも可愛かったもので、つい。あぁ…そんな顔をしないで下さい。一之瀬さんも堀北さんも、これから貴方に誑かされる女性たちも永遠に見ることの出来ない情けない姿♡しっかりと堪能させて頂きます」
坂柳は唇を離した直後、射精して敏感になっている亀頭に舌を押し当てた。
「…一種のプレイだと思って割り切れば問題ねぇ。敗北の味は知ってんだよ阿婆擦れが」
「その阿婆擦れに可愛い声を聞かせてください。はぁ…♡んんっ♡」
髪を耳にかきあげ、音を立てながら下品に咥える。大きな肉棒は口膣に入り切らず顎が外れそうになりながらも懸命に奉仕をする。不慣れな舌使いだが射精直後ということもあり、神楽は苦悶の表情を浮かべてしまう。
「下っ手くそが…」
「腰が浮いてますよ♡んんっ…れぇ♡」
ちろちろと徹底的に亀頭を攻め続け、カリを舌でなぞるように刺激しつつ神楽の反応を楽しむ坂柳。
「…っ」
「どーひまひたぁ♡らひていーれふよ♡」
ガチャガチャと手錠の擦れる音と共に神楽の抵抗が更に激しくなる。そんな神楽の様子を見て悦に浸ったのと同時に、最も屈辱的で未だ冷静な神楽の化けの皮を剥がしてやる算段を思い付いてしまった。
「…クソがっ」
「んんっ…っく♡ふふ♡」
神楽は抵抗虚しく坂柳の口膣に射精した。若干の不快感から今すぐ吐き出してしまいたかったが、グッと堪えてそのまま神楽の頬に手を添える。
このままキスをしたらこの男はどんな反応をするのだろうか。
言うまでも無いがこの2人は似たもの同士。知的好奇心、探究心の塊で自分の欲に正直。自分の女に主導権を握られるだけでここまで腹を立てているこの男に、アブノーマルプレイを仕掛けたらどうなるのか。
「…♡」
不敵な笑みを浮かべ唇を重ねようとした時だった。木材が折れたような音が部屋に響いた。訳も分からず坂柳は体勢を崩して神楽の胸元に倒れ込む。喉元を強く打ち付け我慢できずに嗚咽する坂柳を神楽は右腕で抱え込んだ。
「ゲホっ…うっ…いったい何が…」
「お遊びはここまでだ。どうやら躾が足りてなかったようだな」
脚を壊され倒れかけたベッド、自分を抱える右手、そして神楽の勝ち誇ったような笑み。一瞬にして坂柳は全てを理解した。
「か、簡単に壊れるような素材では…」
「ああ、お陰で見ろよ。手首がズタズタだ」
手錠を嵌められた手首は皮が抉れ、血が滴り、素人目でも今すぐ止血するべきだと分かる程に酷い有様だった。
「馬鹿力…いえ、恐ろしい程の執念ですね。肉が抉れても尚抵抗を辞めないなんて…」
「攻守交代だな」
「何を言ってるんですか?片腕しか使えない貴方では私を抑えるのがやっとでしょう?」
「今はな、これから反対も同じようにぶち壊してやる。血だらけでやるのも悪くねぇな」
「…痛くないんですか?」
「いてぇに決まってんだろ慣れてるだけだ」
「…貴方のを咥えたせいで口の中が気持ち悪くて仕方がないです。少しだけ洗面台をお借りします。5分くらいで戻ってきますので」
5分猶予をやるからその間に手錠を外せとでも言っているのだろう。流石の坂柳も血だらけの手首を見て肝が冷えたようだ。癪に触るが今の内に拘束を外すしかない。とは言え鍵は無く、別の手段を探さなければならない。
すぐに目に入ったのはヘアピンだった。恐らく坂柳のだろう。器用に片手で分解した後、鍵穴に差し込むと数秒で拘束が外れた。元々プレイ用の為、針金があれば外すこと自体は容易い。片腕、そして両足と瞬時に拘束を外してようやく神楽は自由の身になることが出来た。
「…チェックメイトですね。私の脚では貴方から逃げることも出来ませんし」
「その通りだ」
5分経った後に戻ってきた坂柳。そこに待っていたのは解放された神楽の姿。2度目の敗北を悟った坂柳は潔く神楽の隣に腰を下ろした。
「さあ…主人に逆らったのです、それ相応の罰があるのは当然のこと。お好きにどうぞ」
あの時と同様にベッドに倒れ込む。そしてこの男と出逢うまでの自分なら真っ先に湧いてくる筈の喪失感や虚無感、劣等感などといった様々な感情の波が全く訪れないことに驚愕する。
「私は心の何処かでこうなることを望んでいたのでしょうか」
一之瀬さんや堀北さんが神楽に盲信している姿を見て鼻で笑っていたが、1番彼に依存していたのは自分だった。あの日以降全ての行動及び言動に神楽真央の存在がチラついてしまう。
「…さあな」
神楽は汚れた身体を拭きながらの素っ気ない返答。未だに手首の血は止まっておらずベッドには赤い沁みが数箇所出来ていた。
「何もしないのですか?」
「お前は謀反を犯した家臣をそのまま隣に置いておくとでも?」
神楽の目が変わった。まるで始めてあの部屋で見た彼のような全てを諦めた無気力な目。
「…どういうことですか」
「お前なら言わなくても分かるだろうに…用済みだ。失せろ坂柳」
用済み。その言葉を理解するのに数十秒掛かった。この私が用済み?貴方を理解している私が?ここまで貴方を支えた私が?
「酷い面だな坂柳有栖。テメェの足りない頭で考えろ、今何をすべきなのか」
今、何をすべきか…そう問われてようややく坂柳は神楽の意図を汲むことが出来た。同時にこの男の意地の悪さを侮っていたこと、そして彼の隣に立つにはまだ早いということを理解した。
「…少々お待ちください」
坂柳は身に付けている衣類を全て脱ぎ去り、彼の前に跪いた。そして高度な忠誠と重大な過ちを犯したことに対する謝罪の意を込めて床に頭を付ける。
「…申し訳ございませんでした」
「自分の立場を弁えろよ?」
神楽は坂柳の頭を踏みながら呆れた様子でそう呟く。無造作に脱ぎ捨てられた寝巻きを手に取ると、神楽は脱衣所へ放り投げた。冷蔵庫から水を取り喉を潤すと土下座している坂柳の顔を覗くようにしゃがみこむ。
「無様だな、奴隷が主人に依存するなんてよ。正直に答えろ、何故こんなことをした」
「…貴方を支配したかったんです。私だけのモノに」
身も心も奪われた人間を自分だけのモノにしたいという独占欲。誰しもが心の奥底に秘めている感情であるが、坂柳は特にその想いが大きかった。
「馬鹿が」
「っ!?な、何を…」
神楽は坂柳を抱き上げてベッドに放り投げた。腕を押さえて倒れ込む坂柳に覆い被さるとそのまま唇を奪う。
「んっ…♡」
「俺はお前に甘すぎた。だから今日から接し方を改める」
飼い犬の躾がなってないのは主人の落ち度。子供の育ちが悪いのは親の落ち度。神楽はこの一件から坂柳有栖という最初のペットに対して甘さを完全に捨て去った。
「え…」
「表でも裏でも、俺に逆らうことの出来ないペットとして指導してやる。永遠に俺の奴隷として人生を歩むんだ、分かったな有栖?」
「はい…♡」
坂柳は彼と出会い勝負を挑んでから2つ大きな誤算があった。1つは実力を見誤ったこと。
そして神楽真央の支配欲と独占欲を甘く見積もっていたことだ。1度この男の毒牙に掛かったら抜け出すことは困難。鎖で縛られ、2度と離れることが出来ず、生まれてから死ぬまでの全てを時間を捧げる。
坂柳有栖は今日この日をもって正真正銘、神楽真央の奴隷となった。
「神楽くんっ♡愛していますっ♡♡」
完全に吹っ切れた坂柳は神楽の首元に腕を回して何度も唇を重ねた。蕩けた目で必死に舌を絡ませ唾液を交換し合う。押し潰されるような重圧も心地良く感じ、足と足を絡ませて神楽の全てを堪能する。
数分体を重ね続けた2人は息継ぎの為に唇を離す。神楽は拘束されていた疲れからか、これから始まる長い夜に備える為か、再度無言で水を取りに行こうと上体を起こした。
「何処に行くんですか…」
捨てられた子犬のような目で神楽を見つめる坂柳。普段の彼女からは想像も出来ない程に憂いに満ちている姿を見て少しばかり唖然とする神楽。
「水取ってくる…『待て』だ。出来るな?」
「はい…♡ずっと待っています♡」
ずっとこれくらい従順なら苦労しないが、恐らく数日経てばいつも通りに戻るだろう。冷蔵庫を開けて半分程残っていた水を飲み干した後、手付かずのペットボトルを片手に坂柳の元へ戻る。
「指示通り待ちましたよ…ん♡」
坂柳は戻ってきて早々神楽の膝に頭を乗せ褒美を強請る。ペットの躾の根本は飴と鞭である以上、命令に従ったら褒美を上げなかればならない。
「いい子だ」
神楽は坂柳の頭を優しく撫でた。艶があり指通りの良い髪の毛は撫でている側も気持ち良く感じる。
「こっちに来い…よし、足を開け。アレに見えるようにな」
坂柳は抵抗することなく神楽に背を預けて足を開いた。自分が設置したカメラを逆に利用されるとは考えてもいなかっただろう。ただ性行為を撮影されるのは慣れている坂柳。そこに羞恥心は存在せず、とにかく神楽と同衾することしか考えていない。
「神楽くんっ…身体が疼いて仕方がないんです…早くっ♡」
「違ぇ''お願いします''だろ?」
「はぁはぁ…♡貴方が欲しいですっお願いします♡」
今までの坂柳からは想像も出来ない甘く媚びた声。薄ら残っていた挑発的な態度も完全に消え去り、発情した小さな雌犬のように媚び諂う。
「こんな貧相な身体で俺を支配する?笑わせるなよ」
「申し訳っ…ありませんっ♡」
坂柳は乳首を指で引っ掻かかれると可愛らしい嬌声を上げながら悶え始めた。
「お前も帆波や鈴音に負けず劣らずのマゾメスだってそろそろ自覚しろ」
「違っ…私はあの2人の様にはっ♡んんっ…あぁっ…や…めっ…♡」
「素直じゃねぇな。まあ、そっちの方が躾する甲斐がある」
腰をヘコヘコ動かし悶える坂柳だが神楽の元から離れようとはしない。それもその筈、時折重ねる唇と近距離だからこそ聴こえる神楽の心音が心地良く、離れたくても離れることが出来なかった。
「お前みたいな奴ほど意外とMの気質がある。鈴音と似た様なもんだ」
「…っ♡私とする時はぁっ…他の人の名前は出さないでっんんっ…はぁ」
「ここまで堕ちても独占欲が消えねぇプライドの高さは褒めてやるよ」
乳首責めを辞めない神楽と久々の性行為に興奮が冷めやまない坂柳。とうとう我慢出来ずに自信の恥部に手を伸ばす。だがそれは神楽によって遮られる。
「今何をするつもりだった?」
「もう我慢がっ…ぁ♡」
「主人の許可無しに勝手に動くな」
神楽は先程までの行為を根に持っているのか、とことん焦らすつもりだ。自分を慰める為に伸ばした手を止めるだけでなく、キスをしても舌を絡めることもせず、坂柳が何かと行動を起こす度に神楽はそれを静止する。
「こんなのっ…あっ♡」
「何かの対価として褒美をやるのが普通だろ?お前は俺に何を捧げるんだ?」
「す、全てっ…私の人生を♡」
人間の生涯を捧げるから自らを抱いて欲しいと懇願する坂柳。
「それは既に俺のモノだろ?」
だが残念なことにソレは既に神楽に所有権を奪われており、これから坂柳がどう生きるかは全て神楽の手によって決められる。よって対価とは言えない。
「ならお前の尊厳を奪うか」
「そ、そんなものとうの昔に…」
「俺の前ではな。お友達…神室真澄の前でもこんな姿でいられるか?」
「な、何をっ…」
神楽は深夜0時過ぎた真夜中にも関わらず神室に電話をかけた。坂柳の従者である神室は実質俺の従者。そんな謎の理論で事前に連絡先を交換しており、時折愚痴を聞かされる仲ではあった。
ただ神室視点では半信半疑であり、本当に神楽の立場が坂柳より上だとは思っていない。あくまで対等、そんな認識だった。
「…うっさいな、誰?」
眠い目を擦り神室は目を覚ました。深夜帯だというのに相手のことなど一切考慮しない無神経な着信、こんなことする相手は2人しかいない。
「…神楽?」
神楽真央、クラスの問題児であり坂柳の彼氏…的な存在。2人とも決して交際しているとは明言していないが、誰がどう見ても彼氏彼女の仲。ただ神楽はBクラスの一之瀬とも親密な関係にある為、真相は闇の中。
私自身も何度かメールでやり取りをしたことがあるが、そこまで仲が良いとは言えない。理由は単純で私の方から距離を置いているから。
そんな神楽からこんな時間に連絡が来ることは相当珍しい。しかも着信だなんて…何かあった。もしくはとんでもない無茶振りをされる可能性がある。
「出たくない…」
神室は聞かなかったことにして再度眠りにつこうとするが、未だ着信は止まない。
「…っ!ああ、もう!『もしも…』」
神室は声を荒げながら電話を取った。
『あぁっ♡やっ…めて♡聞か…れたらぁ』
聴き飽きた女の猫撫で声、軋むベッドの上で肌をぶつけ合う音。
一瞬にして神室の目が覚めた。
『誰に口答えしてんだ?』
『ですがぁ♡んんっ…あぁ♡』
神室は耳を疑った。頭の整理が追いつかず現状を理解するのに時間が掛かった。その間も2人の行為は終わることなく、寧ろ激しさを増している。
『……ね、ねぇ聴こえてんだけど』
意を決して言葉を発する神室。自分でも分かるくらいにか細く震えた声。
『ん?ああ、起こして悪い。良いもん見せてやろうと思ってな』
それに対して堂々と耳元で響く男性の声。遠くで聴こえる坂柳の喘ぎ声。頭がどうにかなりそうだった。
『待ってぇ下さい♡そんな…ことしたらっ♡私の威厳がぁ♡』
『無理。…見えるか神室。お前を顎で使ってる女のイキ顔だ』
突如画面が切り替わる。初期アイコンと名前だけの殺風景な画面から全裸の少女が涎を垂らし、焦点の合わない目で喘ぎ乱れている濡れ場へと変わる。
顔を見合わせた2人が汗に塗れて性に没頭している。坂柳の色白の肌が全て晒され、その端麗な容姿と汗ばむ肌を見た神室は同性にも関わらず目を奪われそうになる。少しブレている映像もより一層リアリティがあり、フィクションしか見たことのなかった神室にとって余りにも刺激が大き過ぎた。
『ま、ましゅみしゃん♡通話ぁあ゛っ…切ってぇくださっ…♡』
スマホを構える神楽に必死に腕を伸ばすも、軽くあしらわれる坂柳。それどころか、片手で簡単に押さえ込まれて顔をアップで映されてしまう。
『こっからが本番なのによ…良いもん見れたろ?まあ、切りたかったら切っていいぞ』
神楽は神室の返事も聞かずにそのままスマホを放り投げた。通話は未だ繋がっており、何やら声が聴こえるが2人にはもう届かない。
『は…な、なに今の』
余りの出来事に呆気に取られた神室は手が震えて通話を切ることが出来なかった。
「あぁっ…♡はぁはぁ…」
数分神室が唖然としている一方で坂柳は1度目の絶頂に達した。直接注がれた精液が膣内から溢れている。まともに身体を動かすことも出来ず肩で息をする坂柳だが神楽の手を掴んで離さない。愛らしさすら感じるその少女を横目に神楽はスマホを弄っていた。
「あの女、ムッツリだな」
トーク履歴を遡ると通話時間は約17分と表示されていた。神室と直接会話をしたのはほんの僅かな時間である為、わざわざ通話を切らずミュート状態で2人の行為を聴いていたと考えられる。
「神楽くんっ…もっとぉ♡お願いします…♡」
坂柳は神楽の腕に絡み付き甘えた声で強請り始めた。
「休憩だ、風呂入るぞ。それにこのままヤれば酸欠で失神する」
坂柳の身体は既に限界に近い。本人が1番理解していると思っていたが、欲に溺れてしまったせいか、正常な判断が出来ていない。
「お願いしますっ♡その感覚が忘れられないんです…だからぁ♡」
脳に電流が走り一瞬気を失うあの感覚。1人で慰めてもその感覚を再現することは出来ず、神楽の所持している玩具でも不可能。
「…死なねぇように頑張れよ」
神楽は坂柳の腰を掴み赤子の様に持ち上げた。待ってましたと今んばかりに坂柳は首元に手を回す。
「貴方の匂い、声…♡そして逞しいペニスじゃないと達せないあの感覚♡お願いしますっ♡滅茶苦茶にしてっ…あがっ…あ…♡」
神楽は膣口に亀頭を当てがった後、奥まで一気に挿入した。その瞬間、坂柳の脳に電流が走る様な感覚が襲い掛かる。目をパチパチと点滅させ口を閉じることもままならない。
「あ゛…あぁ♡え、遠慮ぉ…なさらずにぃ♡もっど激しぐっ♡」
普段の上品さからは程遠い低く重く濁った声。全てを曝け出した坂柳にとって今更声を我慢する必要など無く、ただ快楽に身を任せる。
激しい運動を禁じられている坂柳にとって性行為で得られる疲労感と快楽は余りにも刺激的だった。脳が疲れることがあっても、身体が疲れることはない。夏の暑さで汗ばむことはあっても運動して汗をかくことはない。
圧倒的な頭脳を持っており誰も彼女に敵う者はおらず、その端麗な容姿から数多の人に持て囃された。だがそのオーラから友人として手を伸ばしてくれる人はおらず、孤高の存在。
そんな人生だった坂柳にとって全てを曝け出せる相手と愛を育み汗を流す…神楽とのセックスが1番の幸せと言っても過言では無い。
だが欲深い坂柳はまだ満足していなかった。
「神楽くんっ♡あぁっ…♡好き…愛してます…♡」
シャンプーの匂い、逞しい身体。整った容姿、物怖じしない度胸。傲慢な性格、少し抜けているところや意外と情が深いところ。
自分の欲に正直で本能のままに動く神楽を心から愛していた。
だからこそあの『言葉』を一度で良いから彼の口から聞きたかった。
「神楽くんっ♡私にもっ…愛を…♡」
「ああ、言ったこと無かったな。傲慢な女や欲深い女も悪くねぇが…素直な女が1番良いな。…愛してるぜ有栖」
「あっ♡あぁ…んんっ♡ちゅ…っぁ…かぐぁくんっ…♡」
坂柳にとって人生で最も忘れられない、記憶に残る夜となった。
特別試験も書いた方がいいですか?
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はい
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軽く触れる程度で
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いいえ エ口のみ希望