その男傲慢につき 作:アマチュアダックスフンド
前編エロなし
中編微エロ
後編???
ついにその日がやって来た。長い1日になるであろう『体育祭』の幕開け。全校生徒がグラウンドに集まると3年の男が開会宣言を行う。周囲には見物客の姿もチラホラ見られた。
皆が注目する最初の競技は100メートル走。基本的に競技は全て1年生からスタートする。事前に提出したプリントを基に、決められた組み合わせで競技がスタートしようとしていた。
「マジかアイツ1組目かよ…」
そんな100メートル走で最も注目を集めていたのは事前の練習から圧倒的な走りを披露していた神楽真央だった。
「あん時の赤髪くんじゃねぇか。お手柔らかに」
「ぐっ…負けねぇ」
隣に並ぶ須藤は自分に気合を入れる様にそう呟く。Dクラスは須藤を1組目に選出して他のクラスの出鼻を挫く作戦らしい。
だが、奇しくも同じ考えのAクラス。
「お前が勝ったらノリに乗る…まあ、分からんでもない。ただ相手が悪かったな。上には上がいるんだよ」
「あぁ!?始まってもねぇのにうるせぇよ!」
須藤は体育館での出来事もあってか、神楽を明確に意識していた。ただそれは神楽にとっては好都合。須藤の焦燥感を煽ること、それが神楽の真の狙いだ。
クラウチングスタートの体勢を取る。1年でもトップクラスの身体能力を持つ須藤と神楽の直接対決を1年生たちは固唾を飲んで見守る。
合図が鳴ると走者たちが地面を蹴り上げ走り出す。完璧なスタートを切ったのは神楽だった。須藤はそれを追い掛ける形でゴールを目指す。
距離は100メートル。短いようで長い、加速力があれば追い上げることは可能。スタートこそ負けたがまだこれから…そう意気込む須藤であったが、一向に距離は縮まらない。それどころか見る見るうちに離されていく。
「はあはあ…嘘だろ…」
須藤はそのまま敗北した。スタートを除いて一度も横並びになることなく、完膚なきまでに。
「ふう…あれ?居たんだお前。走ってる時見えなかったからよ、転んだかと思ったわ」
「こ、この野郎…」
負けた上に煽られた須藤は苛立ちを隠せない。だが腐ってもスポーツマン、怒りを抑えてテントへ戻る。始まる前の自信に満ちた姿が嘘かの様に須藤の足取りは重かった。
続く2種目のハードル走も須藤と神楽のマッチアップとなり、100メートルと同様に神楽が圧倒。堀北もCクラスの生徒に敗北し、Aクラスとの差は少しずつ開いていた。
本来、前評判ではAクラスはそこまで脅威ではなかった。だが、いざ始まってみると、組み合わせの運が良かったのか効率良く勝利を重ねている。
「クッソ!」
須藤が声を荒げる。クラスの順位は現時点で最下位、そして自分の成績も振るわない。完全にフラストレーションが溜まっていた。
「落ち着いて須藤くん…」
平田が宥めるも怒りは収まらない。そしてその怒りは更にヒートアップしていく。
続く棒倒しではCクラスに完敗。Aクラスには辛勝するも不幸なことに怪我人が出てしまう。そのせいか綱引きでは他クラスに完敗。
DクラスとAクラスの差は一向に埋まらない。
続く障害物競走。何度目のマッチアップだろうか、またしても須藤と神楽の直接対決が訪れる。
「もう挨拶はいらねぇだろ。あ、ハンデやろうか?」
「黙ってろ!」
結果は神楽の圧勝。最早言うまでもないだろう。整備されて定められたコースを走るだけの100メートル走とは違って、障害物が立ちはだかる競技だ。焦りに焦った須藤は情けない姿を晒してしまった。
「くっ…」
障害物競争を終えた堀北はクラスから離れ1人で行く末を見ていた。脚を押さえて悔しそうに下を向く堀北に励ましの言葉を掛ける生徒は居なかった。
「孤独と孤高を履き違えてんなお前」
「っ…神楽くん。私を笑いに来たの?」
「もうちょいマシな勝負が出来ると思ったんだがな…とんだ期待外れだ」
堀北は俯き何も言わない。現に自分の順位もクラスの順位も下から数えた方が早い。勝つ事を義務付けられた彼女にとっては最悪の状況だ。
「勝負の内容忘れてねぇよな?」
「…クラスが負けたら私が貴方の言う事を1つ聞く。…貴方の女になれだったかしら?」
「ああ、その通りだ。契約書も書いた。茶柱と真嶋にも伝えた。無かったことにして下さい…そんなこと言わせねぇ」
神楽も傲慢だが、堀北もまた傲慢であった。練習期間にAクラスの実力を把握した上で勝てると判断して勝負に乗った。最後の最後までとある生徒に反対されたが、それを押し切ってまで。
Dクラスが勝てば永久的に生徒全員に月々多額のPPが送られる。
負けたら自分が彼の女となる。
神楽の実力が飛び抜けていてもAクラスの身体能力は平均的に低い。その上Dクラスには男子に須藤、平田、女子には自分。
そして彼もいる。
負ける筈がない。そう思っていた。
「見えるか?お前のクラス。須藤は結果を出さないことに苛立ち、女子たちは大口を叩いたのに結果を出せない須藤に苛立ち、男子たちは俺は関係ないと知らん顔。小さなキッカケで爆発するぜアレ」
Dクラスは崩壊寸前だった。
「堀北鈴音。お前に選択肢をやる」
神楽はニヤケ面でそう呟いた。
「今ここで俺の女になることを誓えば体育祭は勝たせてやる。AとDの差は大きく縮まるし、クラスが崩れていくこともない」
堀北は目を見開いた。自分を差し出せば負けてやる。彼はそう言っているのだ。
「…もう勝ったつもりでいるのかしら?点差は開いていても個人競技で貴方に勝ったらそれで…」
「勝てると思ってんのか?頼みの綱の須藤は俺に3タテ喰らってるけど?」
再度下を向く堀北。この女は落ちたらとことん落ちるタイプ。打たれ弱過ぎる。
「おかしいとは思わねぇのか?何でこうも須藤と俺が同じ種目で被ってんのか?何で効率良く俺たちが勝てているのか、何故お前がCクラスの生徒と接触し怪我をしたのか」
「…まさか」
堀北も馬鹿ではない薄々勘付いてはいた。ただ明確な根拠が無いので黙っているしかなかった。
「ああ、そのまさかだ。俺と龍園はお前を潰す為に手を組んでいる。そしてDクラスの中に情報を漏らした裏切り者がいる。俺と勝負に乗った時点で負けてんだよお前」
彼は悪びれることもなく罪を自白した。ボイスレコーダーがあれば逆転の一手となったかもしれないが、堀北の競技が終わってからすぐの接触であった為、スマホすら所持していない。
「…」
堀北は黙って何も喋らない。自責の念に苛まれているのだろう。
「堀北、俺はなAクラスとかどうでもいいんだよ。お前が欲しいだけだ。お前が俺の女になるならクラスを勝たせる手伝いもするし、裏切り者の正体も教えてやる。龍園もついでに潰してやるよ」
神楽は事前に用意していたのか契約書を手渡す。
内容は単純。前回の契約を破棄した後、何の見返りもなく堀北は神楽の女となる。
「断るなら別に断ってくれてもいい。その時は俺が実力で勝ち、お前を手に入れる。先に言っておくが龍園も動いてくる。どうやらお前と接触した女が怪我したらしい、故意にやられたって喚いてるぜ?」
冤罪だ。ただ証明する術も時間もない。
神楽の誘いを断ろうが、受けようが、堀北自身の処遇は変わらない。
自分はこの男のモノとなる。
ただクラスは違う。
「龍園も俺と同じでお前に興味がある。ただタチが悪いことに、見せびらかしたいらしい。俺はそんなことはしないがな」
「…あや」
「綾小路ならいない。二人三脚の待ち時間でここには来ない」
絶望。その一言に尽きる。彼の存在を把握していたという事実に驚いたのも束の間、彼が絶対に介入出来ない状況に追い込まれていた。
「今ここで決めろ。戦って負けるか、勝ったように見せかけるか。お前のプライドが傷付かない方を選べ」
前者は彼の女になった上で敗者にもなる。
後者は彼の女にはなるが仮初の勝者にはなれる。
自分のリーダーという面子を保つ為に道化となるか、希望を求めて絶望に抗うか。
「私は…戦うわ。貴方みたいな下衆には負けない」
流石に道化を演じることは選ばなかったか。失望せずに済んだよ。
「…そうか。じゃあ遠慮なくやらせて貰う」
自暴自棄になっている訳では無さそうだ。散るなら美しく散る、大和撫子の血が騒いだのか?ああ、それでいい..それじゃなきゃ面白くない。
俺が勝つのはハナから決まってる。じゃあ後はどうやって勝つかだ。
「お前が2度とリーダーを名乗れないように徹底的に壊してやる。降伏ではなく屈服を選んだんだ。恨まないでくれよ?」
特別試験も書いた方がいいですか?
-
はい
-
軽く触れる程度で
-
いいえ エ口のみ希望