その男傲慢につき 作:アマチュアダックスフンド
まずは謝罪をさせて下さい。
松下との絡みが全く浮かびませんでした。その為に急遽路線を変更させて頂きます。本当に申し訳ございません。
「絶っっっ対に騙されてるよ!!」
季節は変わりすっかりと寒くなってきた今日この頃、カラオケを満喫した2人はガールズトークに花を咲かせていた。
「むー誤解されやすいだけです!それに朝比奈先輩も南雲先輩と仲が良いじゃないですか!」
「仲は良いけど恋人じゃないから!それにアイツのそういうとこは普通に嫌いだし!」
朝比奈なずな。一之瀬と仲の良い1つ上の先輩であり、義理堅く恩義を忘れない"昔"の一之瀬の様な性格。向日葵の髪飾りが特徴的で容姿も整っているので男性人気も高い。ただ南雲が狙っているので手を出す生徒はいない。
「てかさ、雅みたいな子なの?神楽くんは」
度々会話に出てくる南雲という生徒、現生徒会副会長でこのままいけば次期生徒会長の最有力候補である。文武両道で優秀な南雲は既に2年生全体を牛耳っており、様々な噂が流れている。
「真央くんは南雲先輩程優しく無いですよ!寧ろ…♡」
「雅よりも優しく無い!?最早興味すら湧いてきた…」
南雲雅という生徒は表では成績優秀スポーツ万能のカリスマ的存在だが、裏では他クラスの逆転の目を潰し、女を囲って王様を気取っている。一方で神楽は圧倒的な実力こそ持っているが人望がある訳ではない。可愛い後輩から度々聞かされる惚気話の内容、生徒会まで届く噂等々、朝比奈には贔屓目で見ても雅の方がマシに思えた。
「あ、噂をすれば…え?」
噂をすれば影がさす。朝比奈が神楽真央に興味を抱き始めたその瞬間、彼の姿が視界に入る。あれだけ否定しておきながら、彼の姿を遠目に見ただけで朝比奈は心が奪われてしまいそうになる。横に並べば南雲雅すら霞んでしまうそれ程までに圧倒的なオーラを放っていた。
そして朝比奈はそのオーラに圧倒されて彼が堂々と浮気している事に遅れて気が付いた。浮気と決めつけるのは良くないかも知れない、ただあの雰囲気は明らかに…
「あ、真央くーん♡!!…あぁ行っちゃった。今日は坂柳さんかー…良いなぁ」
目の前で別の女性と仲良くしているにも関わらず、特に気に病むこともない。そんな後輩の姿に朝比奈は目を疑った。
「…ねぇ、帆波」
「朝比奈先輩?どうかしましたか?」
首を傾げ不思議そうな表情を浮かべる。目の前で自分の男が浮気しているのにどうして…
「良かったらさ、神楽くんの連絡先教えて」
とにかく調べる必要がある。実のところを言うと雅も目を付けている。神楽くんと雅が勝手に喧嘩するだけならいいが、私や帆波が巻き込まれたらたまったもんじゃない。
「えっ!?…まさか」
「あ、違うよ!少しお話っ…」
「先輩も真央くんのカッコ良さに惚れちゃいました?あぁ罪な人だな真央くんっ♡」
「ほ、帆波…」
連絡先が欲しいと言われて狼狽したので、少しでも普通の感性を持ってると思ったが間違いだった。雅が誑かしている女性たちと同じ眼をしてる…もし、あの子たちみたいに他の男子生徒に宛てがわれたら?考えただけでも腹が立つ。
絶対にそれだけは阻止しないといけない…朝比奈は意を決して神楽真央と接触する事を決めた。
「…早く来すぎたかな」
3日後の放課後。一之瀬を経由して連絡先を交換した朝比奈は紆余曲折あり、カラオケルームで神楽の姿を待っていた。
『はじめまして朝比奈です!帆波の彼氏さんって聞いて話してみたくて連絡先貰っちゃった!よろしくー』
暇潰しに彼とのトーク履歴を遡る。自分から初対面の男性に連絡したのは意外と初めてかも知れない。今思えば逆ナンみたい…
『よろしくお願いします、あと彼氏じゃないです』
数分も経たずに彼からの返信。意外とマメなタイプ?
『えー?帆波は彼氏って言ってたよ笑』
『てか、堅苦しいよ!もっとフランクに!』
とにかく懐に入るべく親しみやすさを重視して返信したが、我ながら結構馴れ馴れしい。
『一方的に知られている人間と接触することに戸惑うのは普通では?』
そのせいでファーストコンタクトは大失敗。滅茶苦茶警戒されてる。
『君は有名人なんだから知ってるに決まってるよ!カッコよかったよー体育祭!!』
『お褒めに預かり光栄ですが、本題に入って下さい』
『何が目的ですか朝比奈先輩?』
何とか距離を縮めようとするもこれも大失敗。というか聴いてた性格と全然違う、もっとこう…俺が1番!みたい感じだっと思ってた。
『女子とのDMなのに淡白過ぎないかな?』
『帆波に嫌われるよー』
『申し訳ないんですが意味の無い会話をするつもりはありません。本題に入らないならこれ以上返信しませんので』
今見返しても超冷たいんですけどこの人。初対面の女子にこの言い方は絶対に良くないよね。…まあこの学校の生徒としては100点なのかな?自分の情報は流さず、無駄な会話をしないのは。
『ちょっとーフランクでいいって言ったけど無碍に扱えとは言ってないよ!』
『神楽くん?』
男としては50点だけどね。イケメンじゃなかったら赤点だったよ普通に。ここから本当に既読スルーされるんだもん。
『マジか』
『おーい』
『♡』『♡』『♡』
スタンプ連打も意味無し。見返せば見返す度に腹立って来た、雅が可愛く見えるねホント。
『帆波と仲良くしてる朝比奈なずなって言うんだけど』
『帆波が生徒会入ってるのは知ってるよね?』
『私は生徒会に入って無いけどさ結構仲良いんだよね。だから君がどんな生徒なのかをある程度把握してるの』
『神楽くんさ、色んな女の子と関係持ってるよね?』
『私としては見逃せないんだよねー』
凄く嫌な先輩じゃんここだけ見たら…後輩に自分の立場を利用して理屈責めしてさー。雅と仲良くしといてどの口がって言われても仕方ない。それでも強気にいかないとダメだよね、帆波を口説き落とした人だもん。
『別れろとでも?』
本音を言うと別れて欲しい。でも今の帆波にそんな事を言ったらヤバい様な気がする。なら神楽くんを説得するしかない、というか帆波1人を愛してくれるなら胸を張って送り出せるのに!何でこうパッと見優良物件に限って訳アリなの?
『あ、やっと返信来た』
『そういうことじゃなくてね笑…帆波に何をしたの?』
『相談に乗っただけです』
『濁してるよね?』
『随分と帆波を気に入ってるんですね』
『12月10日17時30分カラオケ201号室』
これ以降彼からの返信は無い。どれだけスタンプを連打しても、返信を煽っても連絡は無し。そもそも相談に乗ったくらいであんなベタ惚れする訳がある?
「よくよく考えたら男子と2人きりでカラオケって殆ど経験無いかも…」
神楽くん視点だと私は厄介な先輩な訳で無視しても良かった筈。それでも会話の機会を作ってくれたなら利用するしかない。それが罠であっても。
「…っと。早いっすね先輩」
履歴を確認している内に待ち合わせの時間となった。満を辞してカラオケルームの扉が開かれると、そこには神楽真央の姿。軽く会釈をした後に内側から鍵を掛けて真向かいのソファに座る。
「えっと…改めて私は朝比奈」
「俺の事を調べた上で接触し呼び出しに応じた…ならそんな社交辞令要りませんよ」
神楽はスマホを眺めながら舐め腐った態度を見せる。
「ふーん…じゃあ単刀直入に聞くね。帆波とはどんな関係?」
朝比奈は改めて神楽を問い詰める。舐め腐った態度を注意してやろうかとも考えたが、馬耳東風と聞き流されるに違いない。
「セフレっすね」
「はぁ!?…ねぇ、ふざけてるの?」
朝比奈は思わず勢い良く立ち上がった。急にセクハラを受けたからでは無い。あれだけ神楽を慕っている帆波を、ただのセフレと言い捨てた事に憤りを感じたからだ。
「事実ですよ。というか寧ろ俺が呼び出される回数の方が圧倒的に多いです。履歴見ますか?」
神楽はスマホの履歴を見せ付ける。
『今日したいなぁ…』
『見てエッチな下着買っちゃった♡』
朝比奈は絶句した。普段の一之瀬帆波とはかけ離れた姿に言葉が出ない。自分から誘うことは無い、その言葉は真実だった。
「嘘……じゃ、じゃあ他の子は!?銀髪の子とか、あと会長の妹さんとか!!」
「似た様なもんですね。恋人では無いですが肉体関係はあります」
「っ…」
こいつも雅と一緒だ。もし…雅みたいにこいつも帆波を他の男に宛てがったら。想像しただけで腑が煮え繰り返る。
「では改めて聞きます。別れる…いや関係を断った方が良いですか?」
「当たり前でしょ!女性をなんだとっ!!」
そんなの言うまでも無い。雅も目の前のこの男も圧倒的な力があれば何故こうも欲に溺れてしまうのか、朝比奈には到底理解出来なかった。
「俺の話をしている時の帆波の表情は明るかったのでは?」
「そ、それはっ…」
朝比奈の脳裏には幸せそうな顔で神楽の話をする一之瀬の顔が思い浮かぶ。確かに帆波は神楽真央に対する不満を打ち明ける事は愚か、他の女性の悪口も言った事は無い。
「それに他の女性も同様、基本的に俺から誘う事はありません。会いたい、話したい、触れ合いたい、俺はアイツらの欲望を叶えてやってるだけです」
自分はあくまでも求められているだけだと主張する神楽。
「百歩譲って俺が浮気性の屑だとします。それでも帆波は幸せそうに日々を過ごしている。幸せなど人それぞれ、経験や価値観で変わります。失礼ですが?先輩は男性経験はありますか?」
「ない…けど」
「なら尚更烏滸がましいですね。エゴを押し付けているだけです。俺は関係を持った時から恋人では無いと念を押して伝えました。アイツらはそれでも良いと身を預けたんですよ。何の経験も知識も持ち得ていない先輩が偉そうに語れる事など無いのでは?」
「でも…」
何も言い返す事が出来ない。普通は、一般的には…そんな言葉はエゴだと言い放つ神楽。私に男性経験が無い以上、恋愛観を語っても説得力は皆無で当人同士が満足しているなら私は邪魔な存在。
明らかに間違っている…そう思っていても、他人の恋愛に口出しするのは野暮であると諭され朝比奈は黙り込んだ。
「…分かりました。なら少し帆波と距離を置きます。ただ条件として…俺とデートしましょうか朝比奈先輩」
「は…?」
朝比奈が諦め掛けた時だった。神楽は意見を変えて条件を飲めば考えてやると言い出した。
「俺がどんな人間か先輩が見極めて下さい」
「…普通に良かった」
約束通り神楽真央と3日間、放課後デートに勤しんだ朝比奈。映画館、カフェテリア、ゲームセンターにショッピング。ごくごく普通のデートプランでそこそこ楽しめた。…いや、ムカつくが結構楽しかった。
完璧な存在に見える神楽だが、意外と抜けている所が多い。UFOキャッチャーを知らなかったり、大人気の漫画やアニメを知らなかったり、本当に高校生かと疑うレベルだ。
デートプランに関しては学校の敷地内で限られているので割愛するとして、女性や店員に見せる態度は寧ろ文句の付けようが無かった。私のペースに歩幅を合わせ、目を見て話す。鼻の下を伸ばしたり不快な視線を送る事も無く、配慮に欠ける発言もしない。
おまけに店員には敬語で腰が低い。女性の扱い方が上手いと言うよりは社交的と言うべきかもしれない。もしくは人をエスコートする事に長けている?良いとこのお坊ちゃん?
「だからって女遊び許します…そんな訳なく無い?」
それとこれとは話が別。幾ら優れた人間でもたった3日間デートしただけで帆波と幸せに!なんてなる訳が無い。彼が何故私をデートに誘ったのか、結局その意味が分からないまま終わってしまった。
「ん、帆波からだ」
ベッドでスマホを眺めてゴロゴロしていた朝比奈に一之瀬からメールが届く。
『今から部屋で映画見ませんか?』
「…良い機会だし本人に聞いてみよう」
神楽真央という人間を少しでも理解した今なら、帆波も何か話してくれるかもしれない。そう考えた朝比奈は軽く支度をして一之瀬の部屋に向かった。
「お邪魔しまーす。うん、綺麗な部屋!そして良い匂い…」
「急に呼び出してすみません…」
「良いよー久しぶりに2人で話したかったし!」
朝比奈は迷っていた。自分のしている事は本当に正しい事なのか否か。だから帆波の口から直接聞きたい、後悔はしていないか?騙されていないのか?
「お茶出します!ゆっくりしてて下さいね」
「ありがとー」
雅に騙されて心を病んだ生徒も知ってるし、未だに心酔してる生徒も知ってる。何が正しいかなんて部外者の私には分からないし、自己満やエゴだと言われても言い返す言葉が無い。
「これ真央くんが好きな映画らしいんですよー」
「そ、そうなんだ」
探られてる…訳では無いよね?急に緊張して来た朝比奈は一之瀬が用意した麦茶を一気に飲み干した。
「…真央くんと何か話せました?」
「え!?軽く挨拶程度かな?案外良い子だったよー」
一之瀬の声のトーンが変わった。普段の様子とは違い明らかに落ち込んでいる。
「そうですよね!最近真央くんが冷たくて…先輩何でだと思います?」
「な、何でだろう…」
私のせいですとは言えない。…やっぱり余計なお世話だったのかな?どんな形であれ後輩の恋は応援するのが役目なのかな。ああ…考えが纏まらない。急に頭の中がぼんやりして…
「…当分会う事はないって突き放されたんです」
「そ、それは酷いっ…ね」
「…センパイ真央くんに変な事言ってないですよね?」
明らかに一之瀬の雰囲気が変わった。そこには太陽の様な笑みを浮かべる愛らしい後輩の姿は無い。
「え…ほ…なみっ……?」
激しい眩暈に襲われた朝比奈はそのままテーブルに伏せる様に倒れた。
特別試験も書いた方がいいですか?
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はい
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軽く触れる程度で
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いいえ エ口のみ希望