※二人目のターゲット
中学高校と生徒会長を務め、学生時代から変わらずの黒髪ロングで、見た目通りの真面目で堅物な性格。
職業は大手女性ファッション誌の出版社に勤める副編集長。
数か月前までは編集長だったが、不祥事を起こして編集長から副編集長になった。
その不祥事というのが、別の部署で編集者として勤務していた夫が、職場の女性と不倫して逮捕されたというもの。
今も逮捕されている夫の愚痴も吐かず真面目に職務に励む彼女だが、毎日のように同僚や部下から陰口を叩かれ、時に笑い者にされてかなりストレスを溜めている。
そのため、浮気・不倫を毛嫌いしており、接触した場合は通報する恐れがある。
恋愛経験は乏しく、交際人数は三人だけ。
その内、性行為をしたことのある相手は職場で出会って結婚した旦那のみ。
けれど性欲は強く、結婚生活で旦那よりも彼女の方から誘う回数は多かった。
お堅い見た目だがベッドの上では大胆で、一度発情すると自分を抑えられなくなる。
お酒に弱く、お酒の付き合いは断ることが多い。
日常的に溜まったストレスを愛用のおもちゃを使って解消させているが、溜まる一方で、愚痴を吐ける気の置ける友人はいない。
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※麗子視点
「でも副編集長って顔はいいけどマグロっぽくね、エロいことは不健全で嫌いみたいな」
「いやいや、ああいう堅物な女ほどベッドの上ではド淫乱になんだよ。しかもあのエロい身体だぞ?」
「確かにあれはヤバいな。ずっと前に副編集長と怒られたときとか、地味女モノのAVめっちゃ見て抜いたもんな」
「まじかよ、お前やばいな!」
「ったく、旦那に不倫されてから部下を叱ることもなくなったし、AVも禁止されて。あーあ、もうあの楽しみが味わえないのが残念だぜ」
「まっ、窓際で寂しそうにしているあの堅物な副編集長のエロい身体眺めてオナろうぜ」
そんな下衆な会話をしたまま、部下たちが廊下を歩いて行く。
会話も足音も消えたのを確認してから、自動販売機で飲み物を買う。
「好き勝手言われて、気付かないフリして……なんで、なんで私がこんな目に──」
泣き言を吐こうとして口を閉じる。
あの人が帰ってくるまで我慢しないと。
そして、あの人が帰ってきたらちゃんと話し合うんだ。
不倫したのも、何か私に原因があったのかもしれない。
それを話し合って、そして……そして。
「やり直すのよ、全て……」
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会議が終わって会社を出る。
私のことを散々言った二人は、何も無かったかのようにいつも通り私に接してきた。
当然だ。
だってみんなそうやって私を陰で笑い者にするのだから。
みんな表には出さない。私も気付いていないフリをして仕事をする。
こうやってずっと仕事だけして生きていく。
あの人が戻ってくるまでずっと、ずっと、ずっと──。
「──熱ッ!?」
「え、あ……すみません!」
ついボーっとしていて、目の前から人が来ているのに気付かずぶつかってしまった。
大柄な男性は持っていた飲み物を自分の服にこぼす。
熱いコーヒーが入っていたのか、バタバタと暴れる彼を周りの友人たちが心配そうにしていた。
「す、すみません、ボーっとしていて……」
「ボーっとしてたじゃねえよ、ババア! 俺の大事な服がコーヒーまみれになっただろ、どうしてくれんだよッ!?」
「すみません、クリーニング代をお支払いしますので」
何度も頭を下げて謝る。
男性は「へえ」と落ち着きを取り戻す。
「この服さあ、高かったんだよ……ブランド物でさ、たぶんクリーニングじゃ染み落とせねえんだわ」
「じゃ、じゃあ」
「新しいの買ってもらわないとなあ?」
「……」
「……50万」
「え……?」
何を言っているのかわからなかった。
それぐらい頭の悪い値段だった。
「この服、50万なんだわ」
「さすがにそんな金額──」
「ああッ!? 着てる俺が50万だって言ってんの! だから50万なんだよ、そうだよなお前たち!?」
「ああ、50万だな!」
「そうだな!」
周りの友人が私を囲う。
見ている通行人は我関せずで通り過ぎていく。
「えっ、もしかして払わないの? さっき謝ったくせに? 謝ったってことは、自分が悪いって認めたよな?」
「それは──」
「ああ、言い訳ですか! あっ、痛え痛え、もしかしたら火傷したかも、やっべ、これ病院行かないとだわ!」
「おいおいまじかよ……おいおばさん! お前が言い訳すっから拓ちゃん火傷しちゃったじゃねえか!」
「そんな……」
「痛ぇ、痛ぇ、痛ぇ、痛えなあ、おいッ! これは日常生活にも影響するわ、誰かに看病してもらわねえといけねえなあ?」
男性はしゃがむと、私の身体を足の先からゆっくりと見上げていく。
「仕方ねえから、ババアで我慢してやるよ」
「へへっ、良かったなおばさん、これから若い男の看病ができるぞ?」
「もしかしてそれ狙ってた? まじっすかおばさん!」
「あなたたちね……」
こちらの不注意でぶつかったから何も言わなかったが、ここまで好き勝手言われて黙っていられなかった。
「ああん、何? 何か言いたいわけ?」
「……」
だけど問題は起こしたくない。
あの人の件もあって、これ以上の問題を起こせば会社にいられなくなってしまう。
「はあ、逆ギレっすか。まじっすか、えっ、なに、せっかく俺が譲歩してやったのに文句あんの?」
「何が、譲歩よ……。あなたたちね──」
「──ああ、うるせえなッ! コーヒーぶっかけておいて舐めた口聞いてんじゃねえよッ! 一回、痛い目にあわせねえとわかんねえみたいだなッ!」
男性が拳を突き上げる。
咄嗟に私は顔を背け目を閉じた。
だけど痛みはいつになっても襲ってこない。
恐る恐る目を開けると、突き上げられた拳がぷるぷると震えて止まっていた。
「お前らさ、こんな街中で何してんの?」