※二人目のターゲット
中学高校と生徒会長を務め、学生時代から変わらずの黒髪ロングで、見た目通りの真面目で堅物な性格。
職業は大手女性ファッション誌の出版社に勤める副編集長。
数か月前までは編集長だったが、不祥事を起こして編集長から副編集長になった。
その不祥事というのが、別の部署で編集者として勤務していた夫が、職場の女性と不倫して逮捕されたというもの。
今も逮捕されている夫の愚痴も吐かず真面目に職務に励む彼女だが、毎日のように同僚や部下から陰口を叩かれ、時に笑い者にされてかなりストレスを溜めている。
そのため、浮気・不倫を毛嫌いしており、接触した場合は通報する恐れがある。
恋愛経験は乏しく、交際人数は三人だけ。
その内、性行為をしたことのある相手は職場で出会って結婚した旦那のみ。
けれど性欲は強く、結婚生活で旦那よりも彼女の方から誘う回数は多かった。
お堅い見た目だがベッドの上では大胆で、一度発情すると自分を抑えられなくなる。
お酒に弱く、付き合いの席では呑まないか断ることが多い。
日常的に溜まったストレスを愛用のおもちゃを使って解消しているが、溜まる一方で、愚痴を吐ける気の置ける友人はいない。
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日頃からストレスを溜めて、それを発散できる場所もない女性が久しぶりに他人と話せて、自制もせず酒を呑んだらどうなるか?
「んん……」
目的地に到着するなり、麗子はすやすやとベッドで横になりながら寝息をたてる。
ここは彼女の家、彼女の寝室。
ベッドの横には夫婦の写真が。
きっとこの頃は幸せだったのだろう、理想のような笑顔を浮かべた夫婦だ。
「旦那が馬鹿なことをしなければ、俺が接触してきてもこんな風に弱みを見せることはなかっただろうに」
俺はそう言い残し、彼女の部屋を出る。
──プルルルル。
その瞬間、着信が鳴った。
『良かったのですか、既成事実を作っておかなくて』
電話相手は予想通りレイジだった。
今夜の一部始終を、というか、麗子の自宅も監視済みなのだろう。
「ああ」
『せっかく弱みを握れるチャンスだったのに。脱がせて、写真を撮って、それで脅してやれたじゃないですか』
「まあ、そうかもな。だけどそれで堕とすのは俺の流儀に反している」
『流儀、ですか……?』
「そんなのは脅し──レイプと同じだ。レイプして、最初は俺のことが嫌いでもセックスが気持ち良くて堕ちる……なんてことはフィクションのお話だ」
一時的に従わせられたとしても、それはお互いにとって最高のセックスとはいえない。
寝取りというのは心を堕としてから身体を堕とすことだ。
抵抗できない女を無理矢理に犯しても、俺が渇望しているものは得られない。
「それに、ああいう堅物な女は脅されてレイプされた時点で相手に嫌悪感を抱くだろ。旦那への罪悪感で気を病んで、罪の意識から自殺されても目覚めが悪い」
『まあ、そうかもですが』
「それに視聴者だって、ただのレイプ動画を見ても興奮しないだろ?」
『ふむ』
そう問いかけると、レイジは深く息を吐く。
『わかりました。そもそも、この件に関しては全てあなたにお任せしているので。じゃあ、これからの進行もお任せして大丈夫ですね?』
「ああ。ただ一点だけ頼みたいことがある」
俺はレイジに頼み事をしてから電話を切った。
♦
※麗子視点
「え……え……?」
温かい陽射しを浴びて目を覚ました。
痛みのある頭を抑えながら、普段と変わらない寝室を眺める。
そして気付く、私の意識は居酒屋から無かったことを。
「どう、して……えっ、あ!」
自分の衣服を確認する。
服装は昨日のまま。
脱いだ跡も、脱がされた痕跡もない。
だけどここに自力で帰ってきた記憶はない。
「一人で帰ってきた……?」
歩いて?
それともタクシーで?
慌てて財布の中を確認するが、昨日の財布に入れたお金からいくら減っているのかはわからなかった。
そして、ずっと頭に残っていた可能性を口にする。
「彼が、ここまで送ってくれた……?」
それがもっともらしい答え。
だって彼は同じマンションの住人だから。
話してみて、酔っぱらって眠ってしまった私を居酒屋に放置して帰る人にも思えない。
だったら彼が私をタクシーに乗せ、自宅まで送って、ベッドで寝かせてくれた。
「それだと、私が家の鍵を開けて彼を招き入れたことに」
その瞬間だった。
不意にインターホンが音を鳴らす。
まだ早朝、仕事の出勤前の時間。
彼が様子を見に来てくれたのかもしれない。
私は急いで玄関へと向かった。
もし彼が送り届けてくれたとして何を言うかも考えていない。
『昨夜、何もしてないわよね?』
それを聞いて、もしも不貞行為をしていたとしたらどうするのか。
しかも私は酔っていて記憶が無い。
だから誘われたかどうかなんてわからない。
もし自分から誘っていたとしたら……。
取り返しのつかない過ちを犯したことに青ざめる中、玄関の扉を開けた。
「あっ、おはようございます~!」
そこにいたのは彼ではなく佐代子さんだった。
想像もしない来訪者に挨拶が遅れた。
「ど、どうも」
「麗子さん、具合は大丈夫ですか~」
「え、具合?」
もしかして彼女が送り届けてくれたの?
そんな有り得ない想像をしたが、すぐに現実に戻された。
「だって昨夜、玄栖くんと一緒に帰ってきたとき、麗子さんすっごく酔っぱらって辛そうにしていたから」
「え、あ、その……」
「でもビックリしました! 麗子さんが玄栖くんと仲が良かっただなんて~」