※一人目のターゲット
元大人気AV女優。
当時は清純派AV女優として活躍していた彼女。
一緒に仕事をした男優が撮影を終えたあと、必ず「まだしたかった」と語るほど魅力的で、多くの年代から人気を得ていた。
けれど24才の頃に突如として引退。
その後、資産家であった柏原源蔵の愛人として生きてきた彼女は、40才も離れた源蔵と30才の頃に結婚した。
結婚したとはいえ愛人の延長線上のようなもので、源蔵とは別に若いセフレが数人いた。
だが結婚して数か月後、女性総理大臣の誕生によって生まれた法律によって浮気や不倫が厳しく禁止されたことで異性との性行為を禁止された。
彼女に魅了された男たちも法に触れることを恐れあっという間に離れていき、手元にあるのは裕福な生活と枯れて老いた夫だけ。
女の幸せを求めて離婚することも考えたが、歳を重ねるごとに女としての幸せを諦めて平穏な生活を送ることに。
子供はなし。
最後にした性行為は3、4年ほど前。
現在は清純派からおっとり系のエロい人妻となった。
現役時代の頃から彼女のフェラとパイズリは人気で、一度されたら最後の一滴まで搾り取られるんじゃないかと言われていた……。
細身の筋肉質な男性に弱く、Мっ気があり、若い男に強引に迫られることを好む。
性欲が強く、かなり欲求不満で、毎日欠かさずオナニーをして自分を慰めている。
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「はい、できました~」
それからも彼女が料理中、他愛もない会話をしていた。
ここでの生活はどうか。
最近見たテレビで何が面白かったか。
近くにこんなお店があった。
そういった軽い話をした中で踏み込んで「旦那さんとはどういう風に知り合ったんですか?」だとか「結婚前は何をしていたんですか?」という質問をしてみたが、笑って誤魔化された。
おそらく聞かれたくないのだろう、元AV女優で愛人妻だったことを。
「「いただきます」」
彼女の作ってくれたパスタを一口。
年相応の喜び方を見せると、彼女は嬉しそうにしてくれた。
その表情は息子に見せるものとは違い、どこか男を喜ばせたときにする女の顔にも似ていた。
カメラの向こうで見ている老いた旦那は、妻の今の顔をどういう気持ちで見ているのだろうか。
そんなことをつい考えてしまった。
「──ごちそうさまでした。凄く美味しかったです!」
会話を楽しみながらの食事が終わると、佐代子さんは口元を拭いながらにっこりと微笑む。
「そう言ってもらえて良かった~。私も久しぶりにこうして誰かと一緒にお昼ご飯を食べれて楽しかったです」
「もしかして、旦那さんとはいつも一緒じゃないんですか?」
「あ、えーっと、まあ……あの人、お仕事とかであちこち飛び回ってますから」
つい口にしてしまった不満を誤魔化すような笑い。
だが上手く誤魔化せないとわかったのか、慌てて立ち上がり「コーヒー淹れますね」とキッチンへ向かった。
さて、そろそろ仕掛けるか……。
俺はそう考え、少し待ってから何も言わずにキッチンへ向かった。
彼女が二人分のコーヒーを運んでくるタイミングを合わせ、丁度お互いが見えなくなる柱の陰で──。
「佐代子さん、運ぶの手伝いま──」
「──えっ、きゃ!」
マグカップに注がれたコーヒーを俺にだけかかるように抑えて、彼女にぶつかった。
お盆とマグカップを掴んだが、注がれていた熱々のコーヒーが俺の上半身から下半身にかけられた。
「熱……ッ!」
「ご、ごめんなさい!」
「いえ、こっちこそ……佐代子さん、火傷してないですか?」
「私は大丈夫……それより玄栖くんの方が」
「俺のことはいいんです。佐代子さんが怪我してなくて良かった」
少女漫画の主人公みたいなセリフを言うと、佐代子さんは微かに瞳を潤ませた。
だがすぐに我に戻り、
「い、いま、冷たいタオル持ってきますね!」
慌ててキッチンへと戻っていく佐代子さん。
火傷の感覚なんてもう感じないほど傷だらけの体だから平気だが、痛がっている感じを出した方がいいだろう。
周囲を濡らしたら悪いだろうと立っていると、佐代子さんにソファーに座るよう促された。
「本当に、本当にごめんなさい……私の不注意で」
「いえ、俺が何も言わずに手伝おうとしたのが悪いんです。佐代子さんは何も悪くありません」
「でも……」
「俺は平気ですから。それより、佐代子さんに怪我が無くてほんと良かった」
「私のことなんて……あっ、体を冷やさないと。冷たいタオルを持ってきたから、これで体を拭いてください」
「ありがとうございます。じゃあ」
俺は彼女の前で上半身の服を脱ぐ。
二人掛けのソファーで一緒に座っているから、俺の裸を見た佐代子さんの「あ……っ」と小さく漏らした声が聞こえた。
「すみません、タオル貰っていいですか?」
「あっ、ええ……はい」
「ありがとうございます。あっ、もしかして気になりますか?」
「え、あの、ごめんなさい、ついその……」
ジッと体を見つめられている視線について触れると、慌てて顔を背ける佐代子さん。
「この傷、ボクシングの試合でできた傷じゃなくて、子供のころにできた傷なんですよ」
「えっ、ああ、傷の方……」
肉体を見ていたのだと気付かれなくて良かったという安堵のため息を漏らす彼女に、俺の退屈な昔話をした。
子供の頃に父親に虐待されていたというエピソードは、今の俺にとってはもうどうでもいいことなんだが、初めてこの話を聞く相手からは同情を買える。
俺のクソみたいな人生で得た、楽に生きていく為の一つの知恵だ。
そして何より女性、特に佐代子さんのように優しい母性ある女性には十分過ぎるほどの効果がある。
「……そう、大変だったんですね」
「まあ。なので父親も母親も小さい頃から知らなくて」
「もし、その……玄栖さんが嫌じゃなかったら、いつでもご飯食べに来てくださいね。お母さんの代わりとかではないですけど、少しでも助けになれたらいいなって」
「佐代子さん……。ありがとうございます! でも、そんなこと言われたら毎日きちゃいますよ?」
「ふふっ、じゃあ毎日二人分のご飯を用意しちゃおっかな!」
素で旦那の存在が忘れられている、可哀想に。
彼女は代えの冷たいタオルを持って来てくれた。
「大丈夫? 火傷とかになってないですか?」
「はい、なんとか。ただすみません、下にもかかっちゃったので冷やしますね」
「えっ、下……あっ」
彼女の前でズボンを脱いでソファーに座る。
目を大きく開いた佐代子さんは、大きく唾を飲み、俺の体を食い入るように見つめていた。
「……私、その、他の部屋にいた方がいいですよね」
「いや、すみません、佐代子さん。体を曲げてタオルで冷やそうとすると火傷が痛むので──代わりに冷やしてもらってもいいですか?」
「え、私が、来栖さんの……?」
再びゴクリと力強く唾を飲み込む佐代子さん。
自分では気づいていないのだろう、既に俺の体を見る顔が女の顔になっているって。
「やっぱり、駄目ですよね……痛いけど、自分でやりますね」
彼女はこの申し出を断れない。
コーヒーをかけて火傷させてしまった罪悪感と、幼い頃に父親から虐待を受け両親がいないという悲しいエピソードを聞かされ、俺の下心の一切無いお願いを無下に断れない。
それが彼女の優しい本質だから。
なにより忘れかけていた女としての本能が、俺の身体を見るのを止めさせてくれないでいるのだろうから。
「いい、ですよ……」