※三人目のターゲット
石破大学に通う二年生。
家族構成は父と母と三奈の三人家族。
父と母は小さな工場を営む。
経営状況はそこまで良くはなく、いつ倒産してもおかしくなかった。
それでも今日まで続けてきたのは、他に行き場のない従業員がいる為、なんとか踏ん張っている状況。
三奈は大学進学と共に上京。
大学にて、
三奈の両親の営む工場は、石嶋グループと呼ばれる大企業から融資を受けていた。
この融資が断ち切られると工場はあっという間に倒産する。
そのことを知った石嶋から、工場への融資をネタに恋人(セフレ)になるよう脅され、従うことに。
容姿は快活な雰囲気のある茶色のポニーテール。
学生時代はテニス部ということもあって、健康的な体型。
大学でつるんでいる連中が派手で騒がしい者が多いが、三奈自身は誰にでも優しいことから、大学でのファンも多い。
依頼人は大学の学友で、寝取るだけでなく石嶋と別れさせてほしいという要望。
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※渚美奈視点
柏原佐夜子さん。
私は知らなかったけど、今回の『世の中を女性が上手に渡り歩く方法』という講演会の講師で呼ばれて、有名人だったらしい。
「……あの人って、元AV女優なんでしょ?」
「ええ、そうなの? AV女優って、前まであったエッチな動画に出てる女性のことだよね?」
「そうそう。で、法律で禁止? されたとかなんとかをきっかけに、お金持ちの老人と結婚したんだって」
「玉の輿かあ、いいなあ」
同じ講演会に参加している女の子たちがひそひそと話しているのが聞こえてくる。
この講演会は女性の為の講演。
その影響から、こういう女性が女性がという講演会が開かれることも多い。
ただこの会場にいるのは女性だけじゃない。
「うわ、マジでヤバいな! あれで三十代とか、エロすぎだろ」
「ほんとそれな! いやあ、規制される前に一度でいいからあの人のAVとか見ておくんだったなあ!」
「もし見れたら、見方も変わっただろうな!」
元AV女優だからだと思うけど、絶対にこの講演会の内容に無関係な男子までちらほらいる。
普段の女性向けの講演会には一人もいないのに。
もしかしたら私、選択する講演会を間違えたかもしれない。
「玉の輿に成功した女の人の成功体験を聞かされてもなあ……」
ノートとシャープペンを前に大きくため息をつく。
こんなことなら、風雅と同じ講演会を選択して、少しでも媚びを売っておけば良かったと後悔する。
「いや待てよ、この講演会は今の私にピッタリだったりする……?」
金持ちのボンボンに媚びを売って生き抜く術。
そうか、これこそ私が求めていた『世の中を女性が上手に渡り歩く方法』なのかも。
私は前のめりになり、この講演を一言一句聞き逃さないようにする。
だけど……。
「……」
一時間経ったけど、講師である柏原佐夜子さんは、大して実用性のないことばっかり喋ってる。
顔を良くする、体型を良くする。
愛想良く、親しみやすく、いつまでも綺麗に。
そんなのわかってるわー!
と、突っ込みを入れたくなることばかり。
それに、
「あのあの、柏原さんって元AV女優って聞いたんですけど、それってその、やっぱり大勢の前でアレするんですか!?」
「んー、ちょっと君、それって今回の講演とは関係ないんじゃないー?」
「いえいえ、みんな気になってるんです!」
「ほんと? まあ、君の想像通りかなー?」
「うおっ、マジ、すっげ!」
ちょこちょこ男子の横やりが入って話が脱線する。
柏原さんも聞かれることに悪い気してないのか、少し乗り気に見える。
他の女子たちも為にならないと判断したのか、机の下でスマホを見てる子がいっぱい増えた。
どうしよ、私も少し寝ようかな。
昨日は居酒屋のバイトで、寝る時間少なかったし。
「──で、私が一番大切だと思うことはコネクション。要するに、お金持ちの男性と知り合うことだと思うの」
それができれば苦労しないってば。
私の心の声を、他の子が代弁してくれた。
「えー、でも柏原さん、わたしたち普通の大学生ですよ? そんな機会ってありますか?」
「ないなら自分の足で探さないと。待ってたって、富裕層との出会いなんてやってこないんだから」
「でも」
「そうそう、もしこの中に働くことに興味があったら、そういった男性のとこで働けるお仕事を紹介してあげるわよ」
頬杖を突き、眠気に襲われた体がピンッと芯を得たように立つ。
「とはいえ、ほとんどは大企業でのバイトみたいなものだから、お偉いさんと会うのは難しいかもだけど」
「えー、それなら普通のバイトと変わらないじゃないですか!」
「うふふ、そうかも。でも、高収入のバイトとかもあるから、そういうのに興味があったら言ってね」
みんな興味無さそうに返事をした。
そこで、講演会の終わりを告げるアナウンスが響く。
柏原さんはそそくさと出て行き、周りの子たちも見送った。
私は慌てて追いかけ、声をかけた。
「あ、あの!」
「ん? あなたは……」
「えっと、渚美奈っていいます。その、さっきの話し、詳しく聞きたくて」