※三人目のターゲット
石破大学に通う二年生。
家族構成は父と母と三奈の三人家族。
父と母は小さな工場を営む。
経営状況はそこまで良くはなく、いつ倒産してもおかしくなかった。
それでも今日まで続けてきたのは、他に行き場のない従業員がいる為、なんとか踏ん張っている状況。
三奈は大学進学と共に上京。
大学にて、
三奈の両親の営む工場は、石嶋グループと呼ばれる大企業から融資を受けていた。
この融資が断ち切られると工場はあっという間に倒産する。
そのことを知った石嶋から、工場への融資をネタに恋人(セフレ)になるよう脅され、従うことに。
容姿は快活な雰囲気のある茶色のポニーテール。
学生時代はテニス部ということもあって、健康的な体型。
大学でつるんでいる連中が派手で騒がしい者が多いが、三奈自身は誰にでも優しいことから、大学でのファンも多い。
依頼人は大学の学友で、寝取るだけでなく石嶋と別れさせてほしいという要望。
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「さっきのって、高収入のバイトのこと?」
「そうです! えっと、柏原さんなら今のバイト先よりいいとこを紹介してもらえるかなーと思って」
「そうなんだ。ちなみに、美奈ちゃんの今のとこはどれぐらい?」
「えっと、居酒屋のバイトで……」
都内でもそこそこ高い時給の居酒屋バイトを選んだ。
深夜手当に交通費支給、そしてまかないは全品250円。
はっきり言って、ここよりも高待遇のとこは他にない。
「え、これで、一時間?」
それなのに、柏原さんは困惑したような表情を浮かべた。
「えっ、は、はい、そうですけど」
「居酒屋のバイトって、これだけしか貰えないのね……」
少しイラッとした反応。
そりゃあ、お金持ちの人からしたらちっぽけかもしれないけどさ。
私は顔に出さず、作り笑顔で返す。
「あはは、まあ」
「そうね、これなら美奈ちゃんのお眼鏡に叶う働き先を紹介できるかも」
歩きながら色々と紹介された。
大手企業の働き口で、表示は日給のところが多いけど、時給換算だと居酒屋のバイトの数倍ほどのとこばかり。
ただ勤務時間を考えると、大学に通いながらだと難しいのがほとんど。
「一般的な企業だとこの辺ね。前みたいに、ホステスやキャバクラ、ガールズバーみたいな夜の仕事の方が楽に大金を稼げたんだけど」
「今はそういうお店は禁止ですからね」
「ほんと、面倒な時代よね。ちなみに美奈ちゃんは、こういう働き方に抵抗とかってある?」
「え、どうでしょう。やったことないのでわからないですけど、やりたかったなあ、とは思います」
聞いた話だと、キャバクラとかだったら大学生でも頑張れば月に数百万とか稼げたらしい。
そんな大金を稼げるんだったら、普通に居酒屋でバイトするのが馬鹿らしく感じるんだろうな。
「ふぅん」
柏原さんは頷く。
「ちなみに、美奈ちゃんって処女?」
「は、はあ!? い、いきなり、なに聞いてるんですか!」
「その反応だと、もしかして処女なの?」
「違います! 経験はちゃんとあります! まあ、少しですけど……」
いきなり聞かれたから驚いただけ。
きっと顔を真っ赤にしている私を見て、柏原さんは笑いながら謝る。
「ふふ、ごめんなさい。じゃあ、そういう仕事も紹介できるけど……どう?」
「そういう、って……え、でも」
「公には、こういうお店は禁止されちゃったけど。個人的にね」
「でもそれ、違法ですよね……?」
「現代の法に従うならね。でも、お宅に行って家事代行をする家政婦の仕事は今もあるじゃない?」
「それはそうですけど」
「お金持ちの家に行って”色々な”お世話する仕事。行き先によって金額も変わるけど……」
誰にも聞かれないように耳元で囁かれた金額は、居酒屋のバイトの数倍、いや、十数倍だった。
その金額を聞いただけで目を大きく見開く。
「えっ、それ、月収じゃなくてですか?」
「もちろん日給よ。あと、人によってはチップもくれたりするけど」
「……でもその、あれ、しないとですよね?」
「セックス?」
私は何度も頷いた。
「もちろん、誘われたならね。そういうお世話も込みの金額だから」
たぶん、こんな時代じゃなかったら私はキャバクラとかガールズバーとかで働いていたと思う。
別に男性への接待が嫌いというわけではない。時給がいいなら。だけど性接待のある風俗で働いていたかといえばNOだ。
自分の体を安売りしたくはないと思っている。
まあ、実家の工場の為とはいえ、今も心から好きでもない風雅とセックスしているんだけど……。
「えっと、それはやっぱり……怖いので」
「そう? 貴女の望んだ高収入の働き口だけど?」
「それでもやっぱり」
知らないおじさんと、お金が貰えるとはいえセックスするのは少しだけ抵抗がある。
それに、風雅にこの仕事のことを知られて、もし嫌われたりしたら、工場の融資も無くなっちゃうかもしれない。
魅力的な提案だけど、さすがにね。
「そっか。じゃあ、普通の家事代行サービスはどう?」
「え、普通のですか? まあ、料理とか掃除とかは実家でもやっていたからそこそこ得意なので、お給料がいいならやってみたいですけど」
「それならいい案件があるけど」
「ご年配の男性の家に行って……ですか?」
事前に性接待が無いと言われても、家に入ってもし襲われたらどうしようもない。
身体能力には自信あるけど、成人男性に力で勝てるかどうかは不安だ。
「ご年配の男性がいいならそっちも紹介できるけど、中には、お金持ちの若い男の子もいるわよ?」
「え、そうなんですか?」
「お給料は年配よりも落ちるけど。プロフィールあるけど、見る?」
「いいんですか? えっと、お願いします」
何名かのプロフィールを見せてもらった。
顔写真付きで、確かに私と大して年齢の変わらない男性もいる。
それに、
「彼なんていいんじゃない? プロのボクサー選手なんだけど、私のお気に入りなのよ」
指差された男性の顔写真を見て、私は素直に頷いた。