※この作品はR-18です。

モブおじ精液でレベルアップ!? ~でも好みのショタっ子しか手助けしません!!~   作:とけそうだら

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モブおじ精液は、世界(美少年)を救う!的な話です笑


※2025/12/27に誤字脱字を修正し、再度改稿しました。


※本作は2025/12/26、ハーメルンR18オリジナル日間ランキングで5位にランクインしました。
読んでくださった皆さま、そしてブックマークや評価を入れて感想をくださった皆さま、本当にありがとうございます!


第一話 モブおじ精液でレベルアップ!!

 かつて、世界が深き闇の底に沈んでいた時代があった。

 万物を恐怖で染め上げ、その圧政の下で人々が「希望」という言葉すら忘れ、ただただ絶望に喘いでいた――そんな時代が。

 

 永劫にも感じられた夜。

 それを打ち破るべく、ついに五つの光が灯った。

 

 あらゆる悪を断つ『剣』。

 世界の理(ことわり)を操る『魔法』。

 何者にも屈せぬ『剛力』。

 精霊と共鳴する『弓』。

 そして、万物を癒やす『信仰』。

 

 それぞれが人ならざる才を輝かせた五人の英雄たち。

 彼らは、か細い祈りの糸をその身に束ね、不死と謳われた魔王へと挑んだのだ。

 

 激闘、死闘、血戦の果て――英雄たちは魔王を打ち滅ぼし、ついに世界へと光を取り戻した。

 歴史は彼ら五人の偉業を、眩いばかりの言葉で語り継ぐ。

 

 だが。

 その輝かしい叙事詩の影で、歴史の闇へと葬られた者たちがいた。

 意図的にか、あるいは必然としてか。その功績ごと名を抹消された者たちが。

 その事実を知る者は、現代においては極めて少ない。

 

『レベル師』――。

 

 かつて人々がそう呼んだ、世界でも類を見ない異能の一族。

 彼らが魔王討伐という未曽有の大事業において、いかなる役割を演じたのか。

 その真相は、もはや伝説や伝承の中にすら、曖昧な輪郭を残すのみとなっている。

 

 魔王が滅び、英雄たちが各地に礎(いしずえ)を築き、新たな王国時代が幕を開けると、世界には千年の長きに渡る平和が訪れた。

 勇者アレクスティアの剣、賢者イングラジアの魔法、戦士ストーンブラッドの剛力、射手エルヴァルトの弓、聖女ヴァルクリアの祈り。

 人々はその繁栄を、五人の英雄がもたらした奇跡として謳歌した。

 

 そうして、いつしか『レベル師』の名も、彼らが操ったとされる力も、歴史の澱(おり)へと沈み、完全に忘れ去られていったのである。

 

 ――それから、一千年。

 

 長すぎた平和は、人々の目を新たな欲望へと向けさせていた。

 魔王統治時代、あるいはそれ以前の超古代文明が遺したとされる、謎多き建造物群。

 世界各地に点在する『遺跡』や『迷宮』――人々はそれらを畏敬と野心を込めて、こう呼んだ。

 

『ダンジョン』、と。

 

 富、名声、失われた超技術(アーティファクト)、あるいは抗いがたい知的好奇心。

 理由は様々ながら、各国は競い合うようにして、危険極まりないダンジョン探索へと莫大な資源(リソース)を注ぎ込み始めていた。

 その熱狂の根底には、まことしやかに囁かれる一つの伝説があった。

 

 ――ダンジョンの最深部には、この世界の成り立ちに関わる『根源の謎』を解き明かす鍵が、そして、神々の座へと至る道が眠っている。

 

 探求と欲望の時代が、再び産声を上げようとしていた。

 

 

♦

 

 禁忌の森の奥深く。

 一人の男が、誰に聞かせるでもなく、抑えきれない含み笑いを漏らしていた。

 

「よしよし、今日も上々の収穫だ! これでアイテムを仕込めば、冒険者どもから小金がごろごろ転がり込んでくるぞ!」

 

 油断した古狸のように目を細め、ジンジ・モーブルは己の『戦果』の値踏みをしていた。

 丸々と肥えた中年男の肩には、希少な鉱石や光る苔などが詰まった革袋が重く食い込んでいる。

 指先で袋の感触を確かめるたびに、じゃらり、と硬いものが擦れる音と、微かな土と魔法の匂い。

 その一つ一つが金貨に換算されるのを想像し、彼の口元は自然と緩んでいた。

 

 

 ここはイングラジア魔導国の北東に広がる、『ファビュラスの森』。

 錬金術師たちが涎を垂らす希少素材の宝庫である一方、凶暴な魔獣や悪魔すら徘徊する、通称『死の森』。

 手練れの冒険者でさえ、迂闊に踏み込めば骨も残らないとされる呪われた領域だ。

 

 だが、この胡散臭い商人は、そんな死地をまるで自宅の裏庭のように闊歩していた。

 彼が命知らずの馬鹿と違うのは、この森に隠された『秘密』――古代文明ラピュタスの地下水路跡を知る、数少ない人間だからだ。

 地下を巡る蜘蛛の巣のような道を使えば、危険な魔獣を回避し、安全に森の深奥まで潜り込める。それこそが、モーブル商会の“仕入れ”のからくりだった。

 

「さて……そろそろ引き上げるとするか。ここの夜は、わしのような善良な市民には毒が強すぎる」

 

 夕陽が木々を血のように赤く染め上げ、森が死んだように静まり返る中、モーブルは上機嫌に袋を担ぎ直した。

 夜の帳(とばり)が下りると、月光に狂った魔物たちが活性化する。

 そうなれば、いかに抜け道を知るモーブルとて、無事に帰れる保証はない。

 

 ふと、モーブルは足を止めた。

 獣のように素早く、しかし音もなく視線を左右に走らせる。

 

 日頃の美食と怠惰で弛緩しきった腹の肉が揺れるが、その奥底で眠る野生の勘――幾度となく商売と死線を潜り抜けてきた『危険察知の本能』は、今もなお鋭敏に息づいていた。

 風が葉を揺らす音、遠くの鳥の声、空気の湿り気。

 そのすべてに、異変の兆候がないか。彼は慎重に、そして的確に嗅ぎ取ろうとする。

 

「……よし、大丈夫そうだな」

 

 安堵の息をつき、隠された遺跡への入り口へと足を向けた、その瞬間だった。

 

「――ぶもぉぉおおんッ……!!」

 

 森の底から、大地そのものが悲鳴を上げるような轟音が響き渡った。

 それは巨大な獣の咆哮であり、地底の巨人が目覚めたかのような、物理的な圧力を伴う衝撃波だった。

 

「ひぃっ!? な、なんだこの不気味な声は……!?」

 

 背筋を氷塊が滑り落ちる。

 これは、いつもの森の音ではない。もっと異質で、途方もなく強大な何かが、すぐそこにいる。

 呼応するように、森の鳥たちが一斉に空へ逃げ惑い、遠くで獣たちの恐慌の叫びが木霊した。

 

 バキバキバキッ! ドォォォンッ!

 

 巨木が、まるで枯れ枝のようにへし折られる音が迫る。

 

「な、あれは……!?」

 

 モーブルは轟音の方向を凝視し――そこに現れた異形の姿に、呼吸を忘れた。

 

 夕日を背に、森を割り裂いて現れた漆黒の巨躯。

 その体表は、生物の皮膚ではなく、鈍く輝く鋼鉄の鱗に覆われている。

 山のような威圧感と共に、爛々(らんらん)と燃える赤い双眸(そうぼう)が、冷たくモーブルを捉えていた。

 

(いや、待て……嘘だろ……!?)

 

 脳裏に、埃を被った古い魔獣図鑑のページがめくられる。

 

「アイアン……『鉄獣(アイアン・ビースト)』だと……!?」

 

 Aランク指定危険種。ギルドの精鋭部隊が総出で当たるべき、生きた災害。

 本来なら戦士の国の険しい山岳地帯に棲むはずの怪物が、なぜか今、モーブルの目の前に鎮座している。

 

「……ッ、まずい! 来る! 死ぬッ! 逃げろ、わしぃッ!」

 

 思考より早く、生存本能がモーブルの贅肉を蹴り上げた。

 荷物をひっ掴むや否や、彼はもつれる足で森の中を死に物狂いで駆け出す。

 絡みつく蔦も、顔を打つ枝も最早どうでもいい。

 ただ前へ、一歩でも遠くへ!

 

「はっ、はぁっ……! げほっ、おぇぇ……! こ、このわしが、こんな化け物の餌になってたまるか! まだ一儲けも二儲けもするんだ! 倉庫に眠る大量の不良在庫を売りさばくまでは、死んでも死にきれんわぁぁっ!」

 

 肺は灼(や)けつくように痛み、心臓は早鐘を打つ。

 口から漏れるのは苦悶の喘ぎと涎(よだれ)だけ。

 普段、高級蜜酒を舐め、ふかふかの寝台で惰眠を貪る運動不足の彼にとって、この全力疾走は拷問に等しい。

 

 だが、無情にも背後の地響きは近づいてくる。

 相手はA級の魔獣だ。

 捕まれば、一瞬で――ミンチだ。

 

(ああ、わしは……こんな人知れぬ場所で、金貨一枚残さず死ぬのか……? せめて、あの隠し金庫の場所だけでも誰かに――いや、誰にも教えたくないッ! わしの金はわしだけのものじゃぁ! 死んでも渡さんぞぉぉ!!)

 

 絶望と強欲が、鉛のように心臓を握り潰す。

 その刹那、背後で重低音の咆哮が炸裂し、彼は吸い寄せられるように振り返ってしまった。

 

『……ブモォオオオオオゥゥゥゥ!!』

 

 振り返れば、視界を埋め尽くす鋼鉄の顎。

 獣の吐く生臭い熱気が、顔にかかる距離に迫っていた。

 

「うひぃいいいいいいいっ!?」

 

 恐怖に足がもつれ、モーブルは顔面から地面に突っ込んだ。

 ボールのようにゴロゴロと転がり、泥まみれになって止まる。

 

 鉄獣は、もう獲物を追う必要がなくなったと悟ったのだろう。

 愉悦に歪んだ瞳で見下ろしながら、ゆっくりと、確実にモーブルへ歩み寄ってくる。

 

「だ、誰かぁぁぁ!! 助けてくれぇええ!!」

 

 絶叫は虚しく木霊するだけだ。

 ここは誰も近寄らない死の森。

 助けなど来るはずがない。

 喉から搾り出したような呻きを漏らし、必死に後ずさるが、体は鉛を飲み込んだように動かない。

 

 ――万事休す。

 

 鉄獣が大きく口を開けた。

 夕陽に赤黒く染まったその牙は、まさしく死神の鎌。

 モーブルの頭蓋を砕かんと、無慈悲に振り下ろされる。

 

「ひぃいいいいいいい! 神様ぁぁ、お助けぇえええええ!!」

 

 断末魔の絶叫が森に響き渡った、まさにその時。

 世界が、真っ白に染まった。

 

『――ドォォォォォンッ!!』

 

 鼓膜を破るごとき轟音と共に、凄まじい破壊の炎が天地を引き裂いた。

 直後、凄まじい衝撃波がモーブルを襲う。

 爆風に枯れ葉のように吹き飛ばされた彼の巨躯は、無抵抗に宙を舞い、地面を三回転半した末に大木の根元へ叩きつけられた。

 

「がふっ……!」

 

 全身を走る激痛。

 だが――まだ、生きている。

 

 霞む視界の中、モーブルは震える手で顔の泥を拭い、恐る恐る目を開けた。

 

 そこには、先ほどまで鉄獣が立っていた場所があるはずだった。

 ――しかし、その巨体は影も形もなかった。

 

 代わりに存在したのは、巨大なクレーターだ。

 抉られた地面からは白煙が立ち上り、周囲には融解した岩石が飴細工のように赤くドロドロと光っている。

 鉄獣だったものは、文字通り『蒸発』していた。

 

「な、なんじゃこれは……? どうして、わしは無事なんじゃ……?」

 

 モーブルは震える足でなんとか身体を起こし、呆然と立ち尽くす。

 彼の理解を超えた破壊の跡が、ただ静かに硝煙を上げていた。

 

 その時――。

 まるで銀の鈴を転がしたような、場違いに明るい声が頭上から降ってきた。

 

「おーい、生きてるかー?」

 

 弾かれたように顔を上げる。

 ぽっかりと空いた森の天蓋。

 そこから覗く碧空を背に、一本のホウキに跨って優雅に浮かぶ少年の姿があった。

 

 風に金糸の髪をなびかせ、空よりも深く蒼い宝玉のごとき瞳を輝かせた、完璧な美少年。

 腰まで届く長髪が奔放な気品を漂わせ、白磁の肌には、人を食ったような知性と小悪魔的な魅力が同居している。

 

 地面で無様に転がるモーブルを認めると、少年は楽しげに口の端を吊り上げた。

 まるで散歩のついでに見つけた知人に挨拶でもするように、颯爽(さっそう)と降下してくる。

 その姿は、破壊された焦土の風景とはあまりにも不釣り合いで――そして、残酷なまでに美しかった。

 

「モーブル。お前、こんな辺鄙(へんぴ)なとこで、何してるんだよー!」

 

「お、おおおお! て、天使様……じゃなくて……キミはニーシャくんか!? ど、どうして、こんなところに!?」

 

 モーブルは思わず両手を合わせ、天啓を受けたかのように少年を見上げた。

 

「んー? そんなのどうでもいいだろ。それより見てよこれ! あの鉄獣が一撃で木っ端微塵だ! うーん、やっぱりボクってば、天才以外の何者でもないなぁ♪」

 

「ああ……まさか、本当に……ニーシャくん? あぁ、やはり神はわしを見捨てなかった……」

 

 まさか、救いの主が、モーブルが日頃から恋焦がれ、毎晩その艶姿をオカズにするほど愛おしく思っている極上の美少年だったとは。

 これも日頃、彼が信じる神(と歪んだ性癖)に感謝を捧げている信心の賜物(たまもの)か。

 

「もしや、このわしを心配して……わざわざ助けに?」

 

 涙ぐみ、震える声で尋ねる。

 感動的な再会。恩人と、救われた哀れな商人。

 そんな美しい絵図を期待した彼だったが――返ってきたのは、無邪気な嘲笑だった。

 

「モーブルを助けるため? なんでボクがそんな無駄なことしなきゃいけないんだ?」

 

「……え? いや、そんなことあるでしょう? だってあなたはわしの大事なビジネスパートナーで、それに、わしが目に入れても痛くないほど愛おしく思ってる大じ……」

 

「相変わらずおめでたいな、お前」

 

 モーブルの湿っぽい愛の告白を、ニーシャは虫でも追い払うように冷淡に切り捨てた。

 

「たまたま頑丈そうな【デっかいオモチャ】がいたからさ、”ドッッカン!!”って派手に壊してみただけだよ! ねぇ、ボクの魔法すごかったでしょ? 跡形もなくなっちゃった! ねぇねぇ、見てた!?」

 

「そ、そんなぁ、あんまりだよ、ニーシャくん……」

 

 あまりにも率直で、慈悲のかけらもない言葉に、モーブルはあんぐりと口を開けた。

 

「それにしても一体どうしたんだよ、その煤(すす)まみれの哀れな姿は。無様に鼻血まで垂らして地面に這いつくばってるなんて、見物人がいなくて幸いだったねぇ、あはははは!」

 

 爆風で黒ずみ、泥と血に汚れたモーブルの惨状を指さし、ニーシャは腹を抱えてケラケラと笑う。

 その天使のような容貌とは裏腹に、彼の本性は無邪気に他人の醜態を見て笑う、タチの悪い小悪魔そのものだった。

 

(ぐぬぬ……! 人が必死に命からがら逃げ延びてきたというのに、そこまで言わずとも良いだろ! お前の暴力的な魔法のせいでわしは鼻血まで流しているというのに!)

 

 胸中で沸き立つ憤慨を押し殺し、モーブルは乱れた衣服を手で払いながらよろよろと立ち上がる。

 破れた服の隙間から覗くのは、揺れる贅肉と、死線を潜り抜けたばかりの脂汗にまみれた疲労感だけだった。

 

 対するニーシャはといえば、モーブルの心中などまるでお構いなしといった様子だ。

 まだ熱を帯びているクレーターの縁を軽やかに歩き回りながら、白磁のような顎に人差し指を当ててブツブツと独り言を漏らしている。

 

「それにしても、威力は及第点だけど……発動の時の音がちょっと野暮ったかったなぁ。爆音は演出としては派手でいいけど、もっとこう、ガラス細工が砕けるような繊細さが足りない。エレガントじゃないんだよなぁ……」

 

「は、はぁ……ニーシャ坊っちゃんは、相変わらず研究熱心でございますね……」

 

「当たり前だろ。ボクは完璧じゃなきゃ気が済まないの。それに、標的も悪かったかな。A級指定? 笑わせるよ。ただ硬いだけの肉塊(スクラップ)じゃ、ボクの魔法の『美しさ』を測る物差しにもなりゃしない」

 

「さ、左様でございますか……。わしには、十分に凄まじい威力に見えましたが……」

 

 おずおずと同意を求めようとしたモーブルに対し、ニーシャは侮蔑を隠そうともしない冷ややかな視線を向けた。

 

「ふぅ……これだから嫌なんだよ」

 

「……え?」

 

「お前みたいな【魔法不適合者(ドロップアウト)】と話してると、自分のレベルまで下がっていく気がするんだよね。魔法の『ま』の字も解さない凡夫に美学を語ったボクが馬鹿だったよ。時間の無駄、無駄」

 

 まるで路傍の石ころでも見るような、興味のない目。

 その言葉が、モーブルの理性の最後の留め金を弾き飛ばしかけた。

 

(くそっ、このガキ……! このまま森の奥に連れ込んで、 その生意気な口を塞ぎ、泣いて許しを請うまでケツ穴ぶち犯してやろうかぁぁ!!)

 

 脳裏に浮かぶどす黒い加虐的な妄想と、喉元まで出かかった罵詈雑言。

 モーブルはそれらを必死に飲み込み、魂を削る思いで平静を装った。

 ここで怒りに任せて怒鳴りつけ、襲いかかるわけにはいかない。

 なぜなら、目の前の少年はただの生意気な子供ではないからだ。

 

 

 『ニーシャ・オブライエン』。

 その名は、ここイングラジア魔導国の魔法使いの間で、畏怖と敬意、そして若干の困惑と共に囁かれる、若き伝説そのもの。

 

 わずか七歳にして帝国魔法大学院へ入学し、『魔力共鳴理論』を引っ提げて三年で飛び級卒業。

 弱冠十二歳にして母校の教壇に立ち、冒険者ギルドではゴールド級(ランク)に君臨する『爆炎の貴公子』。

 学内ではその美貌で年上の女子学生を狂わせ、その苛烈な魔法で敵を消し炭に変える、百年、いや下手すれば千年に一人の逸材。

 

 それが、このニーシャ・オブライエンなのだ。

 

(冷静になれ……結果的には命を救われたのだ。それに、彼はかのオブライエン伯爵家の次男坊。そして、わしに魔法アイテムを卸してくれている大事な商売相手。下手に機嫌を損ねれば、今後の商売にどんな影響が出るか計り知れない。ここはぐっと堪えて、大人の対応をせねば……)

 

 モーブルは腹の底で煮え繰り返る屈辱を、深く、静かな呼吸と共に飲み込む。

 そして、顔面に完璧なまでの【営業スマイル】を貼り付けると、媚びを含んだ甘ったるい声でニーシャに擦り寄った。

 

「あ、あははー! いやはやニーシャ坊ちゃん! この度はまことに、この卑しい商人の命を救っていただき、感謝の言葉もございません! このモーブル商会、今後ともオブライエン伯爵家と、そして輝ける未来が約束されている天才ニーシャ坊ちゃんを誠心誠意お支えいたします!」

 

 その過剰なへりくだりっぷりに、自分でも吐き気がする。

 だが、これが力なき平民商人が、魔法が全てを支配するこの国で生き抜くための、惨めだが必須の処世術なのだ。

 

 しかし、そんなモーブルの渾身のおべっかなど、天才少年の耳には届いていないようだった。

 ニーシャは鼻歌交じりの気楽さでモーブルの横を通り過ぎ、地面に落ちていた素材袋を興味深そうに拾い上げる。

 

「へえ、これがお前が集めてたやつ?」

 

「は、はぁ……さようでございます! 本日丸一日、文字通り命がけで集めた逸品でしてな! どうです、ご覧になりますか!? これらはどれも、街の錬金術師どもが涎を垂らして欲しがる、超級の貴重素材ばかりでございますよぉ!」

 

 モーブルはここぞとばかりに胸を張り、声を張り上げる。

 少しでもこの苦労と価値を分からせねば、という一心で。

 

「ふーん」

 

 だが、返ってきたのは、温度の欠片もない、気の抜けたような相槌だけ。

 そして次の瞬間――ニーシャはこともなげにその袋を逆さまにし、中身を無造作に地面へとぶちまけた。

 

「………………あ…………」

 

 ドサッ、バラバラバラ……。

 虚しい音を立てて泥に沈んでいく最高級素材たち。

 

「あ゛あ゛あ゛あっ!? わ、わしの……わしの大事な素材がぁっ! て、てめぇ、このクソガキぃぃぃ! なにしやがるんだ!」

 

 ついに理性のタガが外れ、喉が張り裂けんばかりに絶叫した。

 目の前で起きている光景が信じられない。

 あれほど苦労して、命の危険を冒して集めた貴重な素材が、まるでゴミのように地面に散らばっていく。

 この光景は、彼のけち臭い……いや、堅実な商人魂にとって、耐え難い侮辱だった。

 

 しかし、ニーシャは全く悪びれた様子を見せず、貴族らしい優雅な仕草で肩をすくめた。

 

「そんなに大声出すなって、モーブル。ただでさえ不細工な顔が、興奮でさらに醜く歪んで、まるでオークみたいになってるぞ? それよりさ、ちょうど良かった。その素材、全部ボクがもらってあげるよ」

 

(こ、こいつ……! 人の苦労も知らずに、いきなり現れて、素材をよこせだと!? 盗人猛々しいにもほどがあるぞ!)

 

 怒りで腹の底が煮えくり返り、全身がわなわなと震える。

 だが、そんなモーブルの内心など露知らず、ニーシャはさっさと自分の都合を語り始めた。

 

「いやー、助かったよ。来月、ボクが受け持つ魔導具作成の実践講義でさ、高品質な素材が大量に必要だったんだよね。まあ、お前みたいな”持たざる者”には想像もつかないだろうけど、未来の魔法使いを育てるっていうのは、それなりにコストがかかるわけ」

 

 ニーシャは得意満面に胸を張り、モーブルの燃えるような殺意のこもった視線など、道端の石ころ同然に無視して、散らばった貴重な素材を手際よく自分のリュックに詰め始めた。

 その動きには一切の躊躇がない。

 

(いやいやいやいや! 待て待て待て! 誰がくれてやると言った!? 一言も許可なんかしとらんぞ、わしは! このっ……常識も礼儀も、人の心ってもんが完全に欠落してる、ガチの性格破綻者めがぁぁ!!)

 

 モーブルは内心で絶叫するしかなかった。

 天才であるがゆえに甘やかされ、歪んでしまったのだろう。

 人の痛みなど理解せず、世界は自分中心に回っている――そんな傲慢さが透けて見える。

 しかも頭脳明晰ときているから、たちが悪い。

 

 それでも――モーブルはかろうじて、最後の理性の糸を手繰り寄せた。

 ここで逆上しても状況は悪化するだけだ。

 相手は子供の姿をした魔王のようなもの。

 伯爵家の権力と、それを遥かに凌駕するであろう本人の才覚と魔法。

 下手に不興を買えば、この国で商売を続けるどころか、存在そのものが危うい。

 彼は震える息を整え、ねじ切れたプライドを糊で貼り合わせるように、必死で媚び笑いを浮かべた。

 

「お、おい、ニーシャ坊ちゃん! ……そ、それならばせめて、御父上のオブライエン伯爵様には、このモーブル商会のことを、なにとぞ、なにとぞ良しなにお伝えくださいね! うちはオブライエン家のお力添えあっての、しがない店なのですから! どうかひとつ、よしなに!」

 

 それは、利益を骨の髄までしゃぶり尽くす商人としての、ギリギリの妥協点だった。

 死ぬ気で集めた素材をタダでくれてやるわけにはいかない。

 せめて恩だけでも売りつけねば。

 転んでもタダでは起きない、やり手の商人が放つ起死回生の一手――のつもりだった。

 

 だが、現実は非情だ。

 

「は? 何それ? なんでボクが、わざわざそんな面倒なことを父上に報告しなきゃいけないわけ? お前の店の経営状況なんて、ボクの知ったことじゃないんだけど」

 

「っ―――!?」

 

(……この腐れ外道がぁぁ!! このクソガキ、今度こそ本当にぶち犯してやる! わしのデカチンをその綺麗なケツマンコの穴にブチ込んで、泣いて謝るまで奥の奥までガン突きしてやる!! その後も、わしの店に連れ帰って、セックス、セックス、セックス!! 『モーブル様のチンポ奴隷になりたいです』と言うまで、徹底的に調教してやるからな!! 覚悟しやがれぇぇ!!)

 

 反射的に、そんな物騒かつ破廉恥極まりない思考が脳を駆け巡る。

 一言、いや百言、千言、この生意気な小僧に言ってやりたい言葉が喉まで出かかった。

 しかし――。

 

 ふっ、と。

 ニーシャが唐突に、優雅な仕草で人差し指を振った。

 

「ん? な、なんですか……?」

 

 モーブルが不審に眉をひそめた、その直後だ。

 ぷすり、と何かが焦げるような嫌な臭いが鼻をついた。

 同時に、お尻のあたりにチリチリとした熱さを感じる。

 

「あちっ!? あ、熱っ!?」

 

 慌てて振り返ると、なんと自分のズボンのお尻の部分から、小さな火の手が上がっているではないか。

 

「う、うわぁぁぁ!? ひ、火がっ! 火がぁぁっ!!」

 

 モーブルは悲鳴を上げ、無様に尻を叩きながら地面を転げ回った。

 必死の消火活動により、なんとか火は消し止められたものの、ズボンには無残な穴が開き、少し焦げた生白い尻肉が露出してしまった。

 

 息も絶え絶えに顔を上げると、そこには冷ややかな笑みを浮かべたニーシャが、まるで虫でも見るような目で見下ろしていた。

 

「なんかさぁ……すごい不快な気配がしたんだよね。気のせいかな?」

 

「ひっ……!」

 

「もしボクに対して、その反抗的な態度を取ったら、今度はそのブヨブヨの脂肪ごと燃やし尽くしちゃうからね。分かった?」

 

 読まれていた。

 心の中の罵倒も、劣情も、全て見透かされていたのだ。

 

(はぁっ……あぁ、もうだめだ……こいつには、何一つ敵わない……)

 

 もはや、まともな対話など望むべくもない。

 モーブルは力なく肩を落とし、完全に心を折られた敗残兵のようにうなだれた。

 これ以上ここにいても、プライドがずたずたにされるだけだ。

 せめて、地面にわずかに残ったクズ素材だけでも拾い集め、今日の損失を少しでも補填するしかない。

 

 彼は諦めて、よろよろとその場を去ろうとした。

 

「あっ……そうだ、忘れてた。モーブル、お前にちょっと頼みたいことがあったんだ」

 

 モーブルは心の中で、これ以上ないほど深くため息をつき、もはや屍(しかばね)のような足取りで、億劫(おっくう)そうに振り返った。

 

(……もう勘弁してくれ。今日は厄日だ。命からがら逃げ延びたと思ったら、素材は奪われ、尻は焼かれ、尊厳は踏みにじられ……これ以上、この悪魔はわしに何をしろって言うんだ? 靴磨きか? それとも魔法の実験台か?)

 

 どうせまた理不尽な命令だろう――

 そんな鬱々(うつうつ)とした想像をしていたモーブルの耳に、彼の予想とは全く異なる言葉が飛び込んできた。

 

「ボク、たぶん、またレベル上限まで上がったっぽいんだよね。だからさ、ちょっと確認してくんない?」

 

 ――レベル、上限?

 

 その単語を聞いた瞬間、モーブルの心臓が、止まりかけていたゼンマイを急に巻き戻されたかのように、ドクン と大きく跳ね上がった。

 さっきまでの燃えるような怒りも、泥にまみれた屈辱感も、一瞬にして思考の彼方へと消し飛ぶ。

 

「………………おほっ♡ おほほほほっ♡ そ、そ、そういうことでございましたかぁ! それならそうと、早く仰ってくださいませよぉ、ニーシャ坊っちゃま~♡」

 

 現金ここに極まれり。

 彼の態度はコンマ一秒で豹変した。

 さっきまでの死んだ魚のような目から一転、粘りつくような媚びと、隠しきれない下心がその瞳にギラギラと宿る。

 声のトーンも、ねっとりと甘く、聞いている方がむず痒くなるほどだ。

 

 その常軌を逸した態度の変わりように、今度はニーシャの方がドン引きしたように眉をひそめた。

 

「うわっ……なんだよ急に、その媚びた声。……マジで気持ち悪いんだけど」

 

「いえいえ、滅相もございません! どうぞお気になさらず! では、ご要望のとおり、早速拝見させていただきますぞ……!」

 

 言われたことなど気にも留めない。

 モーブルは両手を恭しく広げ、何やら儀式めいた動作で呪文を唱える準備を始める。

 表面上は極めて冷静沈着を装いながらも、その内心は期待と興奮で沸き立っていた。

 

「スキル――『レベル鑑定』!!」

 

 彼がそう唱えると、指先から淡い青色の光が放たれ、ニーシャの体をふわりと包み込んだ。

 まるで不可視のインクが浮かび上がるように、ニーシャの頭上に、半透明の青いウィンドウが出現する。

 

 

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【ニーシャ・オブライエン】

 

年齢:12歳

性別:男

職業:魔法使い

レベル:72(+3)

体力:215(+20)

攻撃力:17(+2)

防御力:30(+1)

魔力:2382(+200)

魔法耐性力:95(+5)

知力 :77(+10)

素早さ:51(+5)

運:33(+1)

 

経験値:12550/12550

特性:【天賦の魔才】【揺るぎなき傲慢】

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(おお! なんと素晴らしい! 前回の確認時から既にレベルが3つも上昇し、各能力値も軒並み見事に伸びている。だが、やはり特筆すべきは、その途方もない魔力量だ!)

 

 モーブルは内心で感嘆の声を上げた。

 

 魔力値2382――

 

 王国の中枢を担う上級貴族、いや、公爵位の大貴族すら凌駕する規格外の値だ。

 しかも、それをわずか十二歳の少年が叩き出している。

 

(ふっ……この少年の……これほどまでに常軌を逸した数値を正確に読み解き、その真の意味を理解できる者が、この世界にどれほどいるだろうか? いや、おそらくは存在しないだろう……このジンジ・モーブルを除いてはな!)

 

 彼が今まさに行使している『レベル鑑定』の力。

 それは、歴史の闇に葬られたはずの伝説――『レベル師』の一族にのみ伝わる禁断の秘技だ。

 

 そう、この卑屈な中年商人モーブルこそが、人々から忘れ去られ、時に忌み嫌われた一族の、最後の末裔なのである。

 

 

 『レベル師』――。

 森羅万象に宿る根源的な力を見通す『レベル鑑定』と、定められた限界を強制的に打ち破る『レベルブレイク』。

 かつて世界の危機を救った英雄たちの影には、必ず彼らの導きがあったと失われた古文書には記されている。

 

 だが、光が強ければ影もまた濃くなる。

 人の序列を可視化し、際限なく力を与えるその能力は、権力者たちにとって両刃の剣であり、世界の秩序を揺るがす危険因子そのものだった。

 ゆえに一族は争乱の渦中に置かれ、利用され、恐れられ、そして――歴史から抹消されたのだ。

 

 だからこそ、モーブルはただの守銭奴商人を演じている。

 この広大な世界で、『爆炎の貴公子』が秘める真の潜在力を見抜き、その限界すら超えさせることができるのは、自分ただ一人――。

 

 その優越感と、孤独な誇りが、彼の胸の奥で静かに燃えていた。

 

 改めて、ウィンドウに表示されたステータスに目を戻す。

 レベル72。

 イングラジア魔導国の長い歴史の中でも、片手で数えるほどしか到達者のいない領域。

 「天才」という言葉すら、この少年の前では陳腐に響く。

 

 レベル師の末裔として、背筋が打ち震えるほどの興奮が込み上げる。

 だが、それ以上に――今のモーブルの頭の中は、もっと別の、よこしまで甘美な期待でパンパンに膨れ上がっていた。

 

(なるほど、なるほど。つまりニーシャくんは、"アレ"をわしに頼みに来たかもしれんというわけか。むふふ♡ 今日はとんだ厄日になるかと思ったが、これは思いがけない幸運! まさに大吉日となりそうだ♡)

 

 心の奥底で、黒く、粘つくような欲望が、永い冬眠から目覚めた飢えた獣のように、むくりと鎌首をもたげる。

 

「で、どうなのさ、モーブル? ボクのレベル、ちゃんと限界(カンスト)まで上がってる?」

 

 期待にキラキラと輝く、無垢な蒼い瞳が問いかけてくる。

 

(くっ……この無防備な眼差し! たまらん!)

 

 モーブルは内心の醜い高揚を悟られぬよう、鉄壁のポーカーフェイスを被って、芝居がかった口調で告げた。

 

「ええ、ええ、素晴らしい! 実に素晴らしいですぞ、ニーシャ坊ちゃん! バッチリ、レベル72で頭打ちになっております! これはまことに、我が魔導国の歴史においても稀代の傑物! 百年に一人の逸材……いえ、千年、いや、それ以上の存在やもしれませんな!」

 

 多少どころではないお世辞と誇張をたっぷりと含んだ商売トーク。

 しかし、少年はそれに素直に反応した。

 

「ホントか!? やった! じゃあ、今のボクって、この国で向かうところ敵なしってことじゃん!」

 

 目を輝かせ、その場で子供のようにぴょんぴょんと飛び跳ねて喜びを爆発させる。

 その無邪気な姿には、先ほど鉄獣を蒸発させた冷酷な魔法使いの片鱗など微塵もなく、ただ褒められて喜ぶ年相応の子供そのものだった。

 

(ぐぅっ……! なんだ、この愛くるしい生き物は! 無邪気に跳ねる姿、弾ける笑顔……なんたる破壊力! この国の叡智の結晶たる美少年天才魔法使いが、ここまで無防備な姿を晒す相手など、世界広しといえどもこのモーブル以外におるまい……! ああ、たまらん……! わしの理性が……飴細工のようにドロドロと音を立てて溶けていく……!)

 

 反射的に、その華奢(きゃしゃ)な体を組み伏せ、泣き叫ぶのを無理やり捩じ伏せて貪り尽くしたい――

 そんな暗く、暴力的な衝動が、またしてもモーブルの脳髄をジリジリと焼いた。

 

 だが、同時に理解もしていた。

 もしその手を出せば、次の瞬間には自分がこんがりとウェルダンに焼き上げられているであろうことを。

 

(……我慢だ。我慢しろ、わし。ご褒美はすぐ目の前まで迫っている。慌てるな、急いては事を仕損じる。慎重に、慎重に……)

 

 少年への歪んだ偏愛を抱きつつも、彼は単なる変質者ではない。

 常に損得を計算し、最適なタイミングを見極める、したたかな商人。

 その冷徹な理性が、かろうじて獣に首輪をつけていた。

 

「ふーむ……わしのレベル師としての勘によるとニーシャ坊ちゃんにはどうやら、まだまだ潜在的な”伸びしろ”がたっぷりとありそうですな。この調子でいけば、次のレベルブレイクで限界値が80の大台に乗るやもしれませんぞ」

 

「ホント!? よーし、このままレベル上げまくって、魔王だって倒せるくらい強くなってやる! 建国の英雄イングラジアクラスのね!」

 

 無邪気に拳を握りしめ、天を仰ぐニーシャ。

 そのあまりに物騒で、あまりに強大な言葉に、モーブルは思わず眉根を寄せた。

 

(……魔王、ねぇ。この少年がこのまま順調に成長すれば、本当に世界の秩序くらいひっくり返しかねんのが、恐ろしいところだ)

 

「坊っちゃん、残念ながら魔王は千年前に建国の英雄方が討伐済み。もはや、そこまでの力は不要かと。過剰な力は身を滅ぼしますぞ? それはこの世界の理(ことわり)です」

 

 経験豊富な大人の、そしてその存在を秘匿し続けてきたレベル師の末裔の立場から、やんわりと釘を刺す。

 

「むぅ……そんなこと知ってるよ!」

 

 しかし、ニーシャは子供扱いされたのが気に食わなかったのか、ぷいとそっぽを向く。

 そして、夕焼け空を背景に両手を広げ、高らかに宣言した。

 

「だからボクの目標は別にある! この国の最難関、未踏のダンジョン『深淵の魔法遺跡カタコンベ』を攻略することだ! ボクは絶対に、誰よりも先に、それを成し遂げるんだ!」

 

 『深淵の魔法遺跡カタコンベ』――魔導国最深部に眠る伝説の迷宮。

 古代文明の王が築いたとされ、未だ踏破者ゼロ。

 最奥には世界の理を解き明かす鍵となる【特別なアーティファクト】が眠ると噂される、まさに冒険者の最終目標(ラストフロンティア)の一つだ。

 

「ほう……カタコンベ攻略とは、また大きく出られましたな。その志、まさに現代における勇者。実に素晴らしいですなぁ」

 

「つまらない世辞はいい。だが、ボクの目的は名誉なんかじゃない。あくまでもボクの最終目標は――」

 

「女帝エリザ様を我がモノにする――そうですよね?」

 

「っ!? モ、モーブル!? おい、へ、変なことを言うんじゃない! ち、違う! 全然違うんだ! ボクはただ――!」

 

 図星を突かれたニーシャは、ゆでダコのように顔を真っ赤にして叫んだ。

 怒りながらも照れているその反応は、まさに恋する乙女――いや、少年のそれだった。

 

(この国の女帝、エリザ・フィオレか……)

 

 魔導国最強の魔法使いにして、第12代大魔導帝の称号を持つ少女。

 そしてニーシャの幼馴染でもある彼女の美貌は、『月下の銀蓮』と讃えられるほどだ。

 この国の魔法使いが未踏のダンジョンに挑むのは、名誉のためだけではない。その圧倒的な実績をもって、魔導帝である彼女を娶るための『挑戦権』を得るためだ。

 

 ニーシャもその例外ではない。

 もっとも彼の場合は、権力目当ての有象無象とは違い、オムツ時代からの筋金入りの純愛らしいが。

 

「いまさらですよ、坊っちゃん。別に隠さなくてもわしの『鑑定』でバレバレですから。それにしても……カタコンベ攻略とは、また大きく出られましたな。その志、実に素晴らしい!」

 

 モーブルは芝居がかった感嘆の声を上げ、そして、ここぞとばかりに本題へと誘導する。

 

「――しかし、そのためには、今のレベルでは少々心許ない。限界値を超える『アレ』の儀式が、やはり必要になりますなぁ?」

 

 モーブルは意図的に「アレ」を強調し、ねっとりと舌なめずりをした。

 その瞬間、彼の下卑た本性が僅かに顔を覗かせる。

 

 案の定、ニーシャは「うっ……『アレ』かぁ……」と、途端にバツが悪そうな顔になった。

 視線を泳がせ、モジモジと自分のローブの裾をいじり始める。

 

「……やはりな、ちょっと……恥ずかしいんだよなぁ、アレは……」

 

 夕陽に金色の髪がきらめき、完璧な造形の頬が、熟れた果実のようにほんのりと色づく。

 その、あまりにも無防備で、いじらしい反応。

 先ほどまでの傲慢さはどこへやら、羞恥に染まる美少年の姿は、モーブルの歪んだ性癖をこれでもかと刺激した。

 

(くくっ……たまらん! 実に、たまらんぞ!)

 

 モーブルは内心で喝采を上げた。そうだ、この反応が見たかったのだ。

 ニーシャが躊躇するのも無理はない。

 レベル師である彼が誇る秘技『レベルブレイク』。それを成し遂げるための「アレ」の儀式というのは――なかなかに、特別で背徳的な代物なのだから。

 

 『アレ』というのは、つまり……【肛門性交】をすること―――。

 つまりは、モーブルと【アナルセックス】をすることだ。

 

 だが、ただセックスをすればそれで終わりというわけではない。

 限界突破の秘訣は、その先にある。

 

 彼の精液――レベル師の血に宿る特別な力が凝縮された【聖なる雫】を、相手の腸内へとたっぷりと注ぎ込む。

 そうして初めて、魂に刻まれた成長の枷(かせ)は砕け散り、無限の可能性への扉が開かれるのだ。

 

(ふふふ……まさに禁断の秘技よな。人の限界を弄り、際限なく力を与える……これが世に知られれば、わしは世界中の権力者に狙われ、玩具にされ、最後は搾りかすのように捨てられるだろう。危険すぎる? 承知の上よ!)

 

 だからこそ、この力は決して乱用しない。

 いや、できない。

 ジンジ・モーブルがこの身を危険に晒してまで『レベルブレイク』を施すのは、ただ一つの理由においてのみ。

 

 ――相手が、彼の心を鷲掴みにするほどの【極上の美少年】である場合、だ。

 

(そう、美少年こそ至高! このわしの魂を震わせ、燃え上がらせる唯一の存在! 女? 興味ないね! わしのこの熱いパトスはな、純粋無垢で、それでいて儚げな輝きを放つ美少年にしか反応せんのだよ!)

 

 能力の壁に悩み、窮地に立たされ、助けを求める美しい少年たち……。

 彼らにこの身を賭して力を与え、その才能を開花させ、成長を見守る。

 それこそが、このジンジ・モーブルの生きがいであり、歪んだ愛の形であり、そして何より……最高の性的興奮(ごほうび)なのだ。

 

 彼は微笑みを深め、ニーシャに視線を戻した。

 ニーシャのような絶世の美少年を導けることは、レベル師としての誇りであり、彼の秘められた願望を満たす瞬間でもある。

 

 

「はー、レベル72かぁ……どうしようかなぁ……やっぱ一回、このままカタコンベに潜ってみるべきか? どんな場所か、自分の目で確かめなきゃ、攻略の糸口も見えないだろうし……」

 

 天才ゆえの自信と、未知への好奇心が、無謀な考えを囁きかける。

 しかし――

 

「おやおや、坊ちゃん。それはあまりに無鉄砲というものですよ。このジンジ・モーブル、しがない商人ではありますが、レベル師の末裔(まつえい)としての目は節穴ではございません。わしの見立てでは、あの『深淵の魔法遺跡カタコンベ』の深層に至るには、少なくともレベル80は必要でしょう。今の坊ちゃんのレベルで不用意に足を踏み入れれば……遭遇する魔物によっては、文字通り、塵芥(ちりあくた)と化す危険性すらありますぞ?」

 

「無鉄砲……か。お前の言うことはいつも取るに足らんが、これについては同意だ。なんせこの千年もの間、誰も深層に到達できなかったのだからな」

 

「でしょう!? だからこそ! 『アレ』をしてレベルを上げることに価値があるのです! 考えてもみてください。もし未踏のダンジョン、かの『深淵の魔法遺跡カタコンベ』を踏破なされば、それは歴史を塗り替える偉業! 国中、いや世界中の人々が『オブライエンの麒麟児』とあなたを称賛し、一族には侯爵…いえ、公爵位すら転がり込むやもしれませんぞ!」

 

 富、名声、そして一族の栄達。

 モーブルは甘い言葉を並べ立てる。

 

「公爵? オブライエン公爵か。まあ、響きは悪くないかな」

 

「でしょうでしょう! お父上も喜ばれますとも! そして、もちろんエリザ様も……」

 

「え、エリザも! 本当か!?」

 

 食いついた。

 モーブルは「よし、ニーシャの落とし所はここだ」と内心でほくそ笑み、これ以上ないほど理解のある顔を作って頷いた。

 

「もちろんですとも……! エリザ様はきっと、熱い吐息で坊っちゃんのことをお待ちかねですよ! 『ああん! ニーシャぁ、私をはやく迎えに来てぇん! 私、もう我慢できないっ! はやくニーシャの太いので抱かれたいのぉん♡』とか!」

 

 裏声を使って、なよなよと腰をくねらせながら、渾身の演技を披露する。

 しかし、その直後――

 

「うーん……エリザって、そんな下品なキャラじゃないんだよね」

 

 絶対零度の声が、場の空気を一瞬で凍らせた。

 見れば、ニーシャの美しい瞳からハイライトが完全に消失している。

 その手には、ゆらりと不穏な赤い炎が灯っていた。

 

「おい、モーブル。ボクの聖女(エリザ)を汚さないでくれる? お前のこと、いま本気で原子レベルまで分解して焼き尽くしたいと思ったんだけど」

 

(し、しまった! 特大の地雷を踏んでしまったか! 純愛拗らせ少年には刺激が強すぎた! だが、ここで引いては商人の名折れ! 死中に活あり、ここからがわしの腕の見せ所よ!)

 

 迫りくる赤い炎。

 死の恐怖に喉が引きつるが、モーブルはそれを強引に飲み込み、両手を前に突き出して叫んだ。

 

「お、お待ちくだされ! ニーシャ坊ちゃん! 早まってはなりませぬぞ! わしを殺せば、この世から『レベル師』の血脈は絶えることになるのです!」

 

「だから何? 代わりなら探せばいるでしょ」

 

「いいえ、おりませんとも! 断言します! もう二度と! 未来永劫! 坊ちゃんはレベルの限界を超えることができなくなるのですぞ!?」

 

 その言葉に、ゆらめく炎がピタリと止まる。

 

「……脅し?」

 

「とんでもない! 事実を申し上げているのです! レベル80の壁……これを超えるには、わしの『レベルブレイク』が不可欠。もしここでわしが灰になれば、坊ちゃんの成長はそこで止まり……永遠にエリザ様の隣に並ぶことは叶わなくなるでしょう」

 

 モーブルは一気に畳み掛ける。ここが勝負どころだ。

 商人の常套手段、相手の不安を煽り、需要を生み出す。

 

「それに……坊ちゃんはご存知ないのですか? 今、宮廷で渦巻くどす黒い陰謀の数々を」

 

「陰謀?」

 

 ニーシャが眉をひそめる。

 

「ええ。エリザ様の美貌と、魔導帝としての絶大な権力……それを狙っているのは、何も坊ちゃんだけではございません」

 

 モーブルは声を低くし、まるで怪談でも語るように囁いた。

 

「……この国には、ハイエナのような貴族どもが、腐るほど巣食っておりますからなぁ」

 

 モーブルはわざとらしく声を潜め、指を一本ずつ折りながら、禍々しい響きを込めて家名を挙げていく。

 

「手段を選ばぬ冷酷非道な『ヴァルディス伯爵家』……。陰で糸を引く狡猾なる老獪『ルブルース公爵家』……。そして、広大な領地と圧倒的な武力を背景に君臨する『アラナ公爵家』……!」

 

「そ、そんなに……?」

 

「ええ、その他にも有象無象! 血肉に飢えた獣どもが、可憐なエリザ様を取り囲み、今か今かとその柔肌に牙を突き立てようと、虎視眈々と狙っているのですぞ!」

 

「なっ……!?」

 

「彼らの狙いは、生易しい『結婚』などではありません。エリザ様を意のままに操る傀儡(かいらい)とし、あるいはその高貴な座から引きずり下ろし、魔導帝の権威そのものを奪い取ろうと考えているのです!」

 

「そ、そんな……エリザが……」

 

「想像してみてください、坊っちゃん。あの気高いエリザ様が、薄汚い欲望にまみれた貴族どもの毒牙にかかり、涙を流しながら助けを求める姿を……!」

 

 ニーシャの顔色がサッと青ざめる。

 無敵の天才魔法使いといえど、政治の闇やドロドロとした権力争いには疎い。そこを突く。

 

「可憐なエリザ様は、今まさに危険な狼たちの群れに囲まれているも同然。いつその地位を追われ、非業の運命を辿るか分からぬ状況なのです」

 

 モーブルは一歩踏み出し、ニーシャの目を見据えて力強く断言した。

 

「そんな彼女を、誰が守れるというのです? 自分の欲望しか考えない有象無象の貴族どもに? いいえ! 圧倒的な力と、誰よりも深い愛を持つ坊ちゃん、あなたしかいないではありませんか!」

 

「ボク……しか……」

 

「そうです! そのためには力が必要だ! 誰にも文句を言わせない絶対的な力が! わしを殺している場合ではありませんぞ、ニーシャ坊ちゃん!」

 

 モーブルの熱弁に、ニーシャの瞳に迷いが生まれ、やがてそれは強烈な決意の光へと変わっていった。

 手の中の不穏な炎が、すぅっと消えていく。

 

(……勝った!)

 

 モーブルは内心でガッツポーズをした。

 純愛と危機感。この二つを刺激されれば、純粋な少年は動かざるを得ないのだ。

 そして、その力への欲求こそが、モーブルの歪んだ欲望を満たすための鍵となる。

 

「……分かったよ、モーブル。ボク、やるよ」

 

 ニーシャは、どこか吹っ切れたような、しかし微かに頬を染めた表情で言った。

 

「エリザを守るためなら……『アレ』だって我慢してやる! もう迷ってられない。やるしかないんだ! ……モーブル! 『アレ』をやろう! 今すぐにだ! ボクには、絶対に負けられない……負けたくない相手がいるんだ! そのためには、どんな手を使ってでも、最強の力を手に入れる!」

 

「おお、そうでなくては!」

 

 モーブルは満面の笑みを浮かべた。

 表向きは少年の熱い決意に心打たれたふりをしながら、内心ではどす黒く舌なめずりをしていた。

 

(ふふっ……ぶひゃははははははは!! ちょろい!! ちょろすぎるぞぉおおお!! やはり天才といえども、所詮はケツの青いガキよ! こうやって不安を煽り、正義感をくすぐってやれば、ネギを背負ったカモ……いえ、極上のお客様になってくれるわい! 見よ、この手腕! やはりわしはカヴェナきっての商売人! こんな生意気なクソガキに、この海千山千のわしがチンコロしてられっかい! わしがチンコロしてやるっつーの!! たっぷりと、ねっとりと、骨の髄までなぁぁぁ!! ぶほほほおほほほ!!)

 

 腹の底からマグマのように込み上げる汚い笑いを必死に押し殺し、あくまで平静を装って、もみ手をしながら商人の顔に戻った。

 

「それでは、商談成立ですな。つきましては、儀式の代価として……今回は特別価格、総額1000エクス金貨となります。まずは着手金として、半額の500エクスを頂戴いたします」

 

「せっ、せんっ!? 1000エクスだって!? た、高すぎるだろ! 屋敷が一軒建つ値段だぞ! 前回より倍近く値上げしてないか!?」

 

 提示された法外な金額に、ニーシャが素っ頓狂な悲鳴を上げた。

 庶民なら一生遊んで暮らせる大金だ。

 

「おや、高いと感じますか? しかしこれは、あなたの『譲れない願い』を叶えるための、未来への投資ですぞ? 愛するエリザ様をお守りするための『力』……。その価値を考えれば、むしろ破格の安さかと」

 

「くっ……! この、足元を見やがって……悪徳商人が……! わかったよ! 払えばいいんだろ、払えば! あとで店に届けさせるから!」

 

 ニーシャは悔しげに唇を噛んだが、反論の余地がないことは自分でも分かっていた。

 エリザを守る力。

 それは金で買えるなら安いものだ。

 

「いいか、このことは絶対に秘密にしろよ! ボクの目的のことも、絶対にだ! エリザを狙う悪党どもにボクの手の内を知られてはいけないからな!」

 

「もちろんですとも、坊ちゃん。レベル上げの秘術はトップシークレット。あなたの『個人的なご事情』も、このモーブル、墓場まで持っていくとお約束いたしましょう」

 

 モーブルは恭しく一礼し、完璧な商人の顔を作る。

 そして、さも当然の業務連絡であるかのように、サラリと続けた。

 

「――では、契約成立ということで、さっそく始めましょうか。いつものように、まずはそのズボンを脱いでくださいな」

 

 ニーシャは「うん……」と僅かにためらいを滲ませた声で応じると、草原の柔らかな草の上でショートパンツをゆっくりと下ろし始めた。

 陽光に照らされた彼の肌は、白磁のように輝いている。

 やがて、濃紺のスパッツ一枚になった姿が露わになった。

 

 ニーシャは無造作に地面へ寝転がると、華奢で引き締まった脚を軽く持ち上げ、無防備にデリケートな部分をさらけ出した。

 ぴたりと肌に吸い付くスパッツの薄い生地が、彼の丸みを帯びたヒップの曲線をくっきりと浮かび上がらせ、布地を微かに、しかし確かに押し上げる未成熟な膨らみが、夕陽の光に淡く影を落としていた。

 

 

(おおっ……この光景、何度見てもたまらん♡ スパッツ越しに浮かぶ、桃のように愛らしい小さなお尻の曲線♡ 生地をぷっくりと押し上げる、いじらしいほどの小さな主張♡ そして、青地にうっすらと浮かび上がる秘められたショタアナルの窪み♡)

 

 モーブルは、まるで市場で極上の宝玉を見定める宝石商のような真剣さで、ニーシャの股間に視線を注いだ。

 

(ああっ、この少年を早く、わしのモノにしたい……! この高貴な顔を快楽でぐしゃぐしゃに歪ませ、欲望のままに貪り尽くしてやりたい……!)

 

 モーブルの脳内では、既に幾度となくこの美少年を蹂躙し、快楽の虜にする甘美な妄想が繰り広げられていた。

 早くも股間が熱く滾(たぎ)り、理性のタガが今にも弾け飛びそうだ。

 

 ニーシャの体勢はあまりに無防備で、モーブルにとってはまさに絶好のシチュエーション。

 もし彼が今、獣のように襲いかかれば、ニーシャは抵抗する間もなく犯されてしまうだろう。

 

 だが、モーブルは必死に欲情の手綱を引き絞る。

 まだだ。まだ早い。

 まずは、この少年を限界以上の存在へと昇華させ、より美味な果実へと熟成させるのが先決だ。

 

「モーブル、早く済ませてくれよ。ボクはダンジョン攻略が控えてるんだ。一刻も早くレベルを上げなきゃならないんだからな!」

 

 まるで照れを隠すように、ニーシャはぶっきらぼうな口調で急かす。

 だが、その頰は僅かに紅潮し、彼の内心の興奮を如実に表していた。

 

「わかっておりますとも! お急ぎの坊っちゃんのお気持ち、よぉく分かっておりますよぉ!」

 

 雲の上の存在である伯爵家のご令息から、直々のおねだり。

 平民たるモーブルにとって、それは本来あり得ない、夢のようなシチュエーションである。

 込み上げる興奮と、腹の底から湧き上がるドス黒い欲望に、思わず鼻息が荒くなる。

 

 彼は恭しく少年の前に跪くと、震える指先を、ためらいがちに、しかし確かな意思をもって、あらわになったその滑らかな太ももへと伸ばした。

 

 ひんやりと、それでいて弾力のある若々しい肌の感触。

 モーブルは恍惚の吐息を漏らし、まるで稀代の芸術品を愛でるかのように、あるいは神聖な儀物(ぎぶつ)を確かめるかのように、ねっとりとした指つきで、その柔肌を執拗に撫でさすり始めた。

 

(おおっ! なんてきめ細やかな肌なんだ! 吸い付くような潤いと、若さゆえのハリ……まさに極上の美少年に相応しい聖なる肉体!)

 

 心の中で絶賛の言葉を並べ立てながら、その指先はさらに大胆さを増していく。

 太ももを撫でていた手が、徐々に、しかし確実に上へと這い上がり、ニーシャのデリケートな中心部へと迫る。

 

「んっ……あ……♡」

 

 ニーシャがくすぐったそうな声を漏らし、僅かに身をよじった。

 

「おやおや? 坊っちゃん、どうかなさいましたか?」

 

 モーブルはわざとらしく尋ねながら、ニーシャの股間を円を描くように撫でさすり始めた。

 

「んっ……あ……いや、別に……」

 

(ふふ……やはりな。もうすでに、反応しておる)

 

 少年の陰部を覆うスパッツが、もっこりと不自然に膨らんでいる。

 その小さな丘の先端には、早くも小さな染みが滲んでおり、彼が隠しきれない興奮を覚えていることを如実に物語っていた。

 

「いいですよー、ぜーんぶこのモーブルにお任せください。坊っちゃんを、最強のレベルへと導きますとも!」

 

 モーブルはニーシャの股間を掌全体で包み込むように撫で回すと、人差し指と中指でスパッツ越しの膨らみを挟み込み、そのまま布地ごと押しつぶすように強く揉みしだき始めた。

 

「あっ……んっ♡ はぁ……♡ 最強、だって?……んっ♡ よく言うよ、まったく……♡」

 

 ニーシャはくすぐったそうに身をよじるが、その吐息には甘い熱が混じり始めている。

 それに気をよくしたモーブルは、さらに大胆かつ卑猥な手つきで少年の股間を弄り回した。

 

(くくくっ! さすが性欲旺盛な年頃だけあって、すーぐ硬くなりおるわい! よしよし、すぐにわしがニーシャくんを天国に連れていってやるからな!)

 

 モーブルはスパッツの生地を盛り上げる、まだ未成熟だが熱を持ったペニスを指先でつまみ上げ、布地ごと擦り上げるように上下にしごき始めた。

 

 

「ちょっ……お前! 触り方がいやらしいぞ! んっ……あっ、はぁ……♡」

 

「おやおや、これは失礼いたしました。ですが坊っちゃんもいけないのですよぉ? このモーブルに『アレ』を求めておきながら、こんなに感度良好ないやらしいお姿を晒すなど……」

 

「そっ……そんなつもりじゃ……! あっ♡ んっ!……♡」

 

(いいね、いいねぇ……口では嫌がっていても、スパッツの先にはもう愛液が染み出しておるわ! まったくはしたない子だ♡)

 

 そんなドス黒い心の声とは裏腹に、モーブルの手つきはあくまで優しく、丁寧だった。

 まるで愛しい恋人を扱うような甘い手つきで、ニーシャに快楽を与え続ける。

 

「んっ♡ はぁっ……♡」

 

(ああ……この感触! たまらんな! いつまでも触っていたいが、もう日が暮れてしまう。あまり時間をかけるわけにもいかんか)

 

 モーブルは名残惜しみながらも、ニーシャの熱い股間からパッと手を離した。

 

「あ…………」

 ニーシャが、どこか残念そうな、間の抜けた声を上げた。

 

「ん? もしかしてこのまま続けてほしかったんですかな? おやまあ、坊っちゃんはとんだ変態さんですな」

 

「ちっ……違うよ! そんなんじゃないっての! お前のような変態と一緒にするな!」

 

 ニーシャは顔を真っ赤にして、慌てて否定する。

 しかし、その表情には快楽の余韻が色濃く残り、全身から立ち上る甘い色香と相まって、その言葉に説得力など欠片もなかった。

 

(ふふ……本音が隠しきれていないぞ。可愛い奴め♡)

 

 モーブルは内心でほくそ笑むと、今度は彼の本当の弱点――後ろの穴に狙いを定めた。

 

「さて、坊っちゃん……次はお待ちかねの『アレ』をしますよ?」

 

「わ、わかってるよ……! さっさとやってくれ……!」

 

 ニーシャは潤んだ瞳でモーブルを見上げ、熱っぽい吐息を漏らしながら促した。

 

「よろしい。では、少々失礼して……尻穴の部分を破らせてもらいますからねー」

 

 モーブルはニーシャの返事など待たずに、濃紺のスパッツの股ぐらに指をかけ、一気に引き裂いた。

 

 ――ビリッ!!

 

「あっ……!」

 

「おや? 何か問題でもありましたか?」

 

「……いや、別にないけどさ……」

 

「そうですか。それはよかったです」

 

 モーブルは白々しく答えると、露わになったニーシャの秘部に顔を寄せた。

 引き裂かれた布地の隙間から覗くのは、白磁の肌に咲いた一輪の花。うっすらと桜色に染まった、小さく愛らしい蕾だった。

 

(むほほ~♡ 天才魔法使い美少年おまんことの久しぶりの再会じゃ~♡ 元気しておったかの~♡ 相変わらず色変わりもしていない、穢れなきベビーピンクのお顔をしておるな~♡)

 

 その小さな穴は、まさに無垢なる美の象徴。

 誰にも触れられたことのない乙女の秘所のように、小さく、慎ましく閉じている。それでいて、見る者の劣情を煽るような、どこか淫靡な雰囲気を漂わせていた。

 

「坊っちゃんのお尻の穴はいつ見ても綺麗ですなぁ。無垢な少年らしい、穢れを知らぬ初々しい桜色のままで♡」

 

「お前……ボクのことを子供だと思ってバカにしてないか? ……まったく、いいから早くしろよ!」

 

「いやいや、本当にお綺麗なんですよぉ? 坊ちゃんの初めてを頂いたあの頃と、色艶も、その愛らしさも変わっていない……いやはや、実に素晴らしい!」

 

 そう言いながら、モーブルはさらに顔を近づける。

 すると、吐息がかかったニーシャの尻穴はピクッと小さく痙攣し、途端にふわりとした甘い香りが鼻腔をくすぐった。

 

(おうおう、熟れた果実のような匂いをぷんぷんさせおって! そんなにわしの子種が欲しいのか♡ この欲しがり屋さんめ♡)

 

 モーブルは舌なめずりをしながら、その可愛らしい穴に狙いを定める。

 そして、おもむろにズルリと舌を伸ばした。

 

「あぁっ!♡ ちょっ……馬鹿! そんなとこ舐めるなって!」

 

 ニーシャが頬を紅潮させて、モーブルの頭を手で押しのけようとする。

 しかし、快楽に腰が抜けているのか、その抵抗はあまりにも弱々しい。むしろ彼にとっては「もっとやれ」というご褒美にしか感じられなかった。

 

「このままでは儀式が進みませんよ。大人しくしててください。坊っちゃんも早くレベルを上げたいでしょう? それとも、ここで諦めますか?」

 

「ううっ……わかったよ……」

 

 ニーシャは渋々といった様子で抵抗をやめる。

 モーブルは、それを同意と受け取り、遠慮なく少年のお尻の穴にしゃぶりついた。

 

「じゅるるっ! れろぉ、ちゅぱっ♡ くぽっ、ちゅっ♡」

 

 わざとらしくニーシャに聞こえるように大きな水音を立てながら、桜色の蕾を堪能する。

 少年の尻穴は、まるで最高級のビロードのように柔らかく、それでいて吸い付くような弾力があり、そしてほのかに甘い味がする。

 

「んっ♡ あっ♡ ちょっ……モーブル! それ、くすぐったいって……!」

 

 ニーシャが抗議の声を上げるが、もちろん無視だ。

 彼はさらに激しく舌を動かし、唾液で濡らしながら少年を追い詰めていく。

 

「あっ♡ んっ♡ はぁっ……♡ やぁっ♡」

 

(ふふ、坊っちゃんはお尻が敏感ですなぁ♡)

 

 ニーシャの可愛らしい嬌声を聞きながら、モーブルはさらに激しく責め立てた。

 舌先を尖らせ、閉ざされた括約筋のひだをこじ開けるように侵入させる。

 そして、たっぷりと唾液を流し込みながら、舌で激しくかき回すように腸内を蹂躙した。

 

「れろんっ! じゅるっ、ずぽっ! ちゅぱっ、じゅるるるるっ!」

 

「ひっ♡ だめぇっ! そんなところ、汚いって!」

 

 ニーシャは恥ずかしそうに身を捩らせ、必死に逃れようとする。

 しかし、モーブルは逃がさないとばかりに少年の華奢な腰をがっしりと抱え込むと、さらに強く、深く舌をピストンさせた。

 

「あっ♡ ふぁっ♡ やっっ!?♡ モーブルっ! お前っ……いい加減にっ……んんっ♡♡」

 

 ニーシャがたまらず叫ぶが、それも無視してひたすら責め続ける。

 理性が飛びそうなほどの快楽が、少年を襲う。

 

「やぁっ♡ あんっ♡ はぁっ♡ だめぇっ!♡ お尻の穴っ!♡ 舐め回すの、だめぇっ!♡♡」

 

 ニーシャは目に涙を浮かべながら必死に訴えかける。

 だが、その潤んだ瞳と紅潮した頬は、完全に逆効果だった。

 

(ああ……可愛いなぁ♡ そんなこと言われたら、余計苛めたくなっちゃうじゃないか♡)

 

 モーブルは心の中でサディスティックにほくそ笑みつつ、さらに激しく、執拗に舌を動かし続ける。

 そしてついに、その時が来た。

 

「んぁああっ♡ あぁっ♡ 出るぅっ!!♡♡ ボクの……精液出ちゃううううっ!♡♡♡♡」

 

 ぴゅっ!♡ びゅくっ!!♡ ぷぴゅっ!!♡

 

 限界に達した瞬間、少年の小さなペニスから白濁した液体が勢いよく迸った。

 スパッツ越しに放たれたそれは、ジワジワと紺色の布地に白く濃い染みを作っていく。

 

「んっ♡ はぁっ♡ はぁ……っ♡ くっ……こんなこと……っ♡ する必要ないのにっ……!♡ 酷いぞ……!」

 

 肩で息をしながら、涙目で睨みつけてくるニーシャ。

 モーブルは口元を淫らに拭うと、悪びれもせずに答えた。

 

「いえいえ、わしはただ、坊っちゃんの大事なお腹の中が傷つかないように、丁寧にほぐしてあげただけですよぉ? それに、ほぐれ具合は上々のご様子」

 

 そう言ってニヤリと笑うと、今度はモーブル自身のズボンをずり降ろす。

 バインッ! と音を立てんばかりの勢いで、彼の股間から血管の浮き出た、赤黒く太った男根がにょきりと顔をのぞかせた。

 

 

「うっ…………相変わらず、お前のはデカくてグロテスクだな……」

 

 目の前に聳え立つ肉塊を見て、ニーシャが顔を引きつらせる。

 

「光栄の至りですな♪ わしの自慢の息子ですよぉ♪」

 

 モーブルの股間に鎮座するのは、常人のそれとは比べものにならないほど凶悪なモノだった。

 太く、黒く、血管が脈打つその様は、人間のモノというより、野生のオークのそれに近い。

 特に先端のカリ首はパンパンに腫れ上がり、まるで巨大な鶏卵が詰め込まれているかのような威圧感を放っている。

 

「さて、坊っちゃん。それでは本日の『レベルブレイク』の儀式……始めさせていただきましょうか」

 

 そう言いながら、唾液で濡れそぼった少年の小さな肛門に、亀頭をあてがう。

 

「おっ……ちょ、ちょっと待って! まだ心の準備が……」

 

「ご安心を。すぐに良くして差し上げますよ♪」

 

 抵抗などさせぬとばかりに、モーブルはゆっくりと、しかし力強く腰を押し進めた。

 

 メリメリッ! ミチミチィ……ズブズブズブッ!!

 

「あっ♡ ああぁっ!!♡♡ 入って……くるぅっ!♡♡ モーブルのぉッ♡♡」

 

 入口を無理やり押し広げられた瞬間、ニーシャの華奢な体がビクンと跳ね、頬が一気に桜色に染まる。

 あまりに不釣り合いな大きさ。

 しかし、ニーシャの小さな桜色の穴は、メリメリと音を立てんばかりに広がり、巨大な男根を少しずつ、確かに飲み込んでいく。

 

 ニーシャは苦し気に息を吐き出すが、モーブルの巨根は容赦なく侵入し、内壁を押し広げながら最奥へと到達した。

 

「ふぅ……。おやおや、相変わらず坊っちゃんのお尻はキツキツですなぁ。わしのちんぽを食いちぎる気ですか?」

 

「う、うるさい! 別にお前を喜ばせるために、やってるわけじゃないんだぞ!」

 

「わかっておりますとも。これはあくまで坊ちゃんに強くなってもらうための『神聖な儀式』に過ぎませんからな。だから坊ちゃんも安心して、わしのちんぽを存分に味わってください」

 

「う、うん。そうだ、これはただの儀式なんだ。だから、何も気に病む必要はないんだ……」

 

 ニーシャが自分に言い聞かせるように、震える声で呟く。

 その姿は、生贄の子羊そのものだ。

 

「さて……では、そろそろ動きますぞ」

 

 モーブルは腰をガッチリと掴み、ゆっくりとピストンを始めた。

 

 ズブブッ! グチュッ! ヌチャッ!

 

 先ほど注ぎ込んだ大量の唾液が潤滑油となり、淫らな水音と共に巨大な男根がスムーズに出入りする。

 

「んっ……んんっ……♡」

 

 モーブルの巨根が敏感な腸壁をこすり上げるたびに、ニーシャは唇を噛み締め、甘い吐息を漏らす。

 どうやら、喘ぎ声を出さないように必死に堪えているようだ。

 

「おやや、坊ちゃん。口を閉じてどうしたんですか? もしかして、気持ちいいのを我慢しているんですか?」

 

「ち、違うっ! 別に気持ちよくなんて……ない!」

 

 ニーシャが顔を真っ赤にして反論する。

 だが、潤んだ瞳と荒い息遣いは、明らかに快感を隠しきれていなかった。

 

「そうですかぁ? 別に強がらなくてもいいんですよぉ。坊ちゃんとわしの仲じゃないですかぁ。もっと正直になってもバチは当たりませんよ?」

 

「う、うるさいな! もうさっさと終わらせろよ!」

 

 ニーシャは顔を背けて、ぶっきらぼうに言い放つ。

 そんな強がりな態度とは裏腹に、彼の小さなちんぽは、お腹にくっつきそうなほどカチカチに勃起し、先端から我慢汁をポタポタと垂れ流していた。

 

「ふふ……坊っちゃんも素直じゃないですなぁ♡」

 

 モーブルはそう言うと、挿入したままの体勢からニーシャを強引に四つん這いにさせた。

 お尻を高く突き出し、無防備に秘所をさらけ出す格好だ。

 

「も、モーブル!? こ、この体勢は……ちょっと恥ずかしいんだけど……!」

 

 ニーシャが顔を伏せ、不安げに抗議する。

 

「心配いりませんよ。この方が奥まで届くし、坊っちゃんが一番気持ちいいところを、わしが探して差しあげられますからねぇ」

 

 そして、背後から覆いかぶさるような体勢で、体重を乗せて根元まで一気に深々と突き入れた。

 

 ずぐぅっ! ズブブッ!!

 

「あがっ……あああっ♡♡♡」

 

 ニーシャは目を白黒させ、背中を大きくのけぞらせて喘ぐ。

 

「くくくっ、さぁて……坊っちゃんが一番気持ちいいところは、どこでしょうかねぇ?」

 

 モーブルは意地悪く笑いながら、ゆっくりと、しかし確実に腰を動かしていく。

 ピストン運動ではなく、腰をぐりぐりとグラインドさせ、少年の敏感な腸内を隅々まで探索するように責め立てていった。

 

「くっ……んんっ!♡ ば、馬鹿なことは……やめて、真面目にやれよっ……!」

 

 ニーシャが涙目で睨みつけるが、モーブルはお構いなしに、ねちっこく、少年の急所を探るように腰を小刻みに動かす。

 

「んっ……あっ♡ そんな……お腹の中、かき混ぜないでっ……♡ んんっ♡」

 

 そしてついに、その凶悪な先端が、彼の一番弱い部分――前立腺を捉えた。

 その瞬間だった。

 

「ひぃっ!?♡♡ そ、そこぉ!!♡♡♡」

 

 ビクンッ! と少年の華奢な体が大きく跳ねた。

 

「おや? どうしました坊ちゃん? 急に大きな声を出して……もしかして、ここが気持ちいいんですかねぇ……ほら、ここでしょう?」

 

 モーブルはわざとらしく尋ねる。しかし、その歪んだ笑顔は明らかに確信犯だ。

 彼はニヤリと笑うと、獲物を追い詰めるように、さらに激しくそこを一点集中で責め立てた。

 

 ずぶっ! ぬちゃあっ!! パンッ! パンッ! パァンッ!!

 

「やだぁっ!♡♡ だめぇっ!!♡♡ そこ、弱いんだってばぁっ!!♡♡」

 

 モーブルの巨根が前立腺を容赦なく打ち据える。

 その度に、ニーシャの口からは理性を失った甲高い喘ぎ声が上がった。

 

「おやおやぁ? そんなメスのようなエッチな声を出してしまって……やっぱり気持ちいいんじゃないですか?」

 

 モーブルは愉悦に浸りながら、さらに強く、深く腰を打ち付ける。

 

「くっ、くそっ!♡♡ 調子に乗るなぁっ!!♡♡♡ ボクが……お前なんかに負けるはずないじゃないかぁっ♡♡♡」

 

「坊っちゃん、まだこれからですよぉ? ほら、わしのちんぽでもっと気持ちよくなってください」

 

「んぎぃっ!♡♡ あっ♡ ああぁぁっ!♡♡」

 

 モーブルの巨大な男根が前立腺をゴリゴリと擦りあげながら、さらにその奥、未開の領域まで侵入していく。

 快楽に耐えかねてか、ニーシャの腸内がうねうねと生き物のように動き、モーブルの肉棒をきゅうっと締め付けた。

 

(むほほー♡ たまらん! ニーシャのきつきつおまんこが、まるで触手のように絡みついてきて、わしのを離さんと締め付けてきよる! やはり、ニーシャのおまんことわしのちんぽの相性は、前世からの運命レベルで最高だのぉ♪)

 

 モーブルは自分の男根に吸い付いてくるような極上の感触を楽しみながら、快楽と魔力を練り上げるように、ゆっくりと抽挿を繰り返す。

 

 そして、ふと視線を宙に投げると、そこにぼんやりと浮かび上がってきたのは、秘術師にしか見えぬ神秘のステータス画面だった。

 

 

-----------------------------------

【ニーシャ・オブライエン】

 

 年齢:12歳

 性別:男

 職業:魔法使い

 経験人数:1人

 性的レベル:81

 感度:72(↑5)

 興奮度:71(↑3)

 性的欲求:79(↑4)

 耐久度:13(↓3)

 

 

 性的経験値:752/1550

 

特性:【開発途上のアナル】【羞恥心の裏の興奮】

 

----------------------------------

 

 

 画面に映し出された淫らな数字の羅列が、モーブルの目を楽しませる。

 感度、興奮度、性的欲求、そして耐久度――これらは、いわば「裏ステータス」と呼ばれる秘められた力の指標だ。

 ダンジョンの深奥で魔物を討つ冒険者としての表のステータスとは異なり、この数値はニーシャのもう一つの成長、すなわち「メスとしての才能」を示していた。

 そして、その成長を促す鍵を握るのは、他ならぬモーブル自身との性交のみ。

 

(ふふっ、この数字が上がるたび、こやつがどんどんエロエロに染まっていくのが手に取るように分かるぞぉ。こいつとは何度も体を重ねたものだが、性的レベルがもう81まで上がっておるとはなぁ。さすがは天才と呼ばれる魔法使い……男を悦ばせる才能も超一流というわけか!)

 

 ニーシャの体が小さく震え、モーブルの剛直に内壁が絡みつくたび、ステータス画面の数値が微かに、しかし確実に跳ね上がる。

 まるで彼の秘術の効果が、少年の内に眠る性の獣を呼び覚まし、次のレベルへと無理やり押し上げているかのようだ。

 

「うっ……くぅんっ♡♡  わかった……もうわかったからぁ……♡♡ ……もう負けでいいから、さっさと終わらせてくれよぉ……♡♡ でも、一つ教えてくれ……これで、本当にレベル上がるんだよな?♡」

 

 ニーシャが涙で濡れた瞳で見上げてきた。

 その、あまりにも無垢で、それでいて情欲に塗れた表情に、モーブルは慈悲深い笑顔を返した。

 

「おお、疑うでないよ、坊ちゃん。この秘術は、キミをダンジョン攻略の英雄へと導く唯一の魔法。これを乗り越えれば、きっとあなたを更なる高み(と絶頂)へと押し上げてくれますぞ♪」

 

「そ、そうなのか……? んっ♡ なら……いい……♡♡ でも、もっと優しくしてくれよぉ……♡♡ ボク、もう……限界なんだよぉ……♡♡」

 

 ニーシャが切なげに訴える。

 しかし、その懇願はモーブルの暴走する嗜虐心に油を注ぐだけだった。

 

「おやおや、それは大変ですなぁ。では――お望み通り『激しく』して差しあげましょう!」

 

 モーブルは歓喜の声を上げると、ニーシャの華奢な腰をガッチリと掴んだ。

 そして、遠慮も容赦もなく、激しく腰を打ちつけ始めた。

 

「えっ! ちょっ……嘘っ!?♡♡ 待ってくれ、待ってよモーブル!!♡♡♡ 今、そんなことされたらっ!♡♡♡」

 

 ニーシャの制止の声などお構いなしに、モーブルは野獣のごときピストン運動を繰り返す。

 

 パンッ! パァンッ! パンッ! パァンッ! ズブブッ!!

 

「ああぁっ!!♡ そんなぁっ!!♡♡ ああぁぁっ!!!♡♡♡」

 

「はぁはぁ! 坊っちゃんのおまんこが気持ち良すぎて腰が止まりませんぞー!」

 

 モーブルは巨体をニーシャの小さな背中に押し付け、完全に覆いかぶさる『種付けプレス』の体勢を取る。

 その圧倒的な肉厚と重量感に組み伏せられたニーシャは、息も絶え絶えになりながら、それでも必死にモーブルの巨根を全身で受け入れていた。

 

「いやぁっ!♡♡ だめぇっ!♡♡ こんなの無理ぃ……っ♡♡♡ お腹の中、壊れちゃうぅっ!!♡♡♡」

 

 モーブルの巨根が腸壁をゴリゴリと強引に押し広げながら、最奥を小突く感覚に、ニーシャは泣き叫ぶことしかできない。

 小さな体を内側から食い破らんばかりの勢いで、彼の巨根が腸内を蹂躙(じゅうりん)する。

 

「ふほほーっ! 坊っちゃんのお腹の中は最高に気持ちいいですなぁ! 熱さと締め付けで、わしのちんぽが溶けてしまいそうですぞ!」

 

 モーブルは容赦なく腰を打ち付ける。

 そのたびに、スパッツ越しに浮かび上がる少年の小ぶりな尻肉が、肉と肉がぶつかる衝撃でプルンプルンと波打った。

 

 ズプッ! ヌチュッ! グチャッグチャッ!!

 

 大量の愛液とローション代わりの唾液が混じり合い、卑猥極まる水音を森に響かせる。

 

「んっ!♡♡ ああぁっ!!♡♡♡ くぅうんっ!!♡♡♡ こんなのっ……おかしくなるぅっ!!♡♡♡」

 

 普段は高慢で、プライドの高い貴族の少年の、あまりにも淫らな乱れっぷり。

 そのギャップに、モーブルの興奮は沸点を超えた。

 彼の男根はさらに硬度と大きさを増し、ニーシャの腸内を限界まで圧迫していく。

 

「うっひょぉ~♡ たまらん! わしだけの美少年まんこ!♡ 卑しい平民の極太ちんぽで、高貴な坊ちゃんのケツ穴をほじくり回してイかせまくるこの征服感! 王様になった気分だぞぉ~っ!!♡」

 

 ニーシャの肛門はだんだんと彼の特大の男根に馴染み、奥に溜まった腸液と先走り汁が混ざり合って、じゅぷじゅぷと卑猥な水音を奏で始めた。

 

 ズプッ……ヌチュッ……パァンッ!♡♡ パンッパァアンッ!!♡♡♡

 

「んっ……!♡ んああああっ!!♡♡♡ モーブル……!♡ モーブルっっ……!!♡♡♡」

 

 モーブルが腰を振る度に、ニーシャの華奢な体がビクンビクンと快楽に跳ね上がる。

 その振動で、彼の小さなペニスもスパッツの中に先走り汁をまき散らしながら、ぷるんぷるんと可愛らしく揺れていた。

 

 ニーシャはモーブルの巨根で体内を蹂躙されながら、まるで発情期の仔猫のように激しく体をくねらせ、無意識に腰を振っている。

 その仕草は、もはやモーブルの巨根に媚び、もっと突いて欲しいとねだっているようにも見えた。

 

「ほっほ~! そろそろわしも限界が近くなってきましたぞ! 坊っちゃんのお尻の中に『レベルアップの種』をた~っぷり出してあげますからなぁ!」

 

 モーブルはラストスパートをかけるように、獣のような荒い息遣いで、さらに激しく腰を打ち付ける。

 

 バチュンッ……!♡♡♡ ジュブッ……♡ ジュブッ……♡ バチュッ……!♡♡♡ グチョォッ……!!!♡♡♡

 

「ひぎぃっ!!♡♡♡ あっ!♡ あああぁぁっ!!!♡♡♡ すごぃいいいいいっ!!♡♡♡」

 

 ニーシャは涙と鼻水でぐしゃぐしゃになりながら泣き叫ぶ。

 それを見たモーブルは、底知れぬ優越感に浸りながら、さらに容赦なくニーシャの腸内を犯し続けた。

 

「おほほーっ!! イってくだされ!♡ わしのちんぽでケツ穴をほじくり回されて、坊っちゃんの可愛いお尻がイキ狂う無様な姿を、わしに見せてくだされ!!♡♡ もっと激しく! もっといやらしく悶え苦しんでくだされ! 貴族の坊っちゃんが、平民の極太ちんぽでメスイキする様を、存分に見せてくだされ!!♡♡♡」

 

「はぁっ!♡♡ はぁっ!!♡♡ やだっ……!♡♡ やだやだやだぁっ!!♡♡ そんなの……絶対に見せたくないぃっ!!♡♡♡ ボクは……負けないぃっ!!♡♡♡」

 

 ニーシャは必死に抗おうとするが、モーブルのピストンは止まらない。

 むしろ、より速く、より深く、彼の最も弱い部分を的確に攻め立てる。

 

「では仕方ないですな! こんなにも我儘な坊っちゃんにはお仕置きですぞ!」

 

 モーブルは少年の小さな尻を鷲掴みにすると、まるで所有物をわからせるように両側にグイッと割り開く。

 そして、少年の肛門が限界まで引き延ばされるその状態から、一気に奥深くへと巨根を突き刺した。

 

「んおおおおっ!!♡♡♡ おぉおおんっ!!♡♡♡ それ、らめぇええええええっ!!♡♡♡♡」

 

 今まで以上の衝撃がニーシャを襲い、彼は絶叫と共に、瞳がぐりんと上を向く。

 意識が飛びそうになるほどの強烈な刺激に、彼の小さなペニスはスパッツの中でビクンビクンと痙攣し、その先端からは透明な潮が勢い良く噴出する。

 

「うっひょぉ~!♡♡ 最高だ! 最高に気持ちいいぞ! これが坊っちゃんのケツまんこか!♡♡♡ 今までで一番の締め付け具合だぞ!!♡♡♡ そろそろわしもイきますぞ! 坊っちゃんのお腹の中にたっぷり注ぎ込んであげますから、一滴残らずしっかり受け止めてくだされぇ~っ!!」

 

 モーブルはニーシャの小さな体にのしかかり、一際大きく腰を引くと、全体重を乗せて一気に少年の小さな尻穴に男根を根元まで突き入れた。

 そして、次の瞬間には大量の熱い白濁液が、ニーシャの腸内へと爆発的に注ぎ込まれていた。

 

 ドピュッドピューッ!!♡♡♡ ビュルルルーーッッ!!!♡♡♡ ビューッ!♡ ビューーーッッ!!♡♡♡ ブピュルルルルーーッッ!!!!♡♡♡♡

 

「ふああぁぁっっ!!♡♡♡ 熱いっ!♡♡ モーブルの精液、いっぱい入ってくるぅううぅっ!!♡♡♡♡♡」

 

 腸内を焼くような凄まじい量の精液を受けて、ニーシャは全身を激しく痙攣させて絶頂を迎える。

 同時に、スパッツに浮かび上がった幼い男性器からも、びュッ! びュるるるる!! という音を立てながら白濁液が勢いよく迸った。

 

「ふほぉぉおお~っ!!!♡♡♡ おほっ♡ おほっ♡ 坊っちゃんのお腹の中がわしでいっぱいですぞぉ~っ!!♡♡」

 

 モーブルはニーシャの体を押しつぶすかのように体重をかけ、彼の腸内へ最後の一滴まで精液を絞り出す。

 それはまさに種付けと呼ぶに相応しい、圧倒的で背徳的な光景だった。

 

 やがて、長い射精が終わると、モーブルは余韻を楽しみながら、ゆっくりとニーシャのアナルから男根を引き抜いた。

 

 ヌプッ……♡♡♡

 

「んっ……♡ あぁっ……!♡」

 

 ポッカリと開いた少年の小さな尻穴から、溢れんばかりの白濁液がトロリと流れ出し、ニーシャは甘い吐息を漏らす。

 

「はぁ……はぁ……♡ モーブル……♡ これでレベルは上がったか……?♡」

 

 ニーシャが力なく、しかし縋るように問いかけてきた。

 その潤んだ瞳と上気した頬には、疲労感とともに期待の色が滲んでいる。

 

「ええ、もちろんですとも。わしのザーメンで、お尻の中をた~っぷりと満たしてあげましたからねぇ! さあ、そろそろ始まりますよぉ!」

 

 次の瞬間、ニーシャの全身からカッと眩い光が放たれた。

 ニーシャはその様子を見て、驚きに目を見開く。

 その光はまるで体の内側から湧き出すようにあふれ出し、薄暗くなりかけた周囲の森を神々しく照らしていく――

 まさに、レベル限界値が上がった証であり、『レベルブレイク』の儀式が完了したことを示す光だった。

 

「うむ、どうやらレベルブレイクの儀式、今回も大成功したようですな」

 

「本当か!? やった! で、次の限界値はどれくらいになっている!?」

 

 その無邪気な表情に、彼は思わず微笑みを返した。

 さっきまでの淫乱な痴態はどこへやら、今のニーシャは純粋な少年そのものに戻っている。

 

「はいはい、今ステータスを確認しますからな」

 

 彼は『レベル鑑定』のスキルを発動させ、ニーシャのステータスを確認した。

 予想通り、少年のレベル上限値は上がっていた。

 

「うむ、今のレベル上限は『74』です。これだけ上がれば、まぁ今回は十分でしょう」

 

「えーっ、たったの2か? 意外としょぼいなぁ」

 

「仕方ないです。レベルが高ければ高いほど、その限界値が上がる数値も小さくなるのです」

 

 彼は諭すように説明した。

 

「例えば、レベル10の冒険者なら、一度の儀式で上限が7、下手したら10も上がることもある。しかし、あなたのようにすでにレベル70を超えている場合は、2や3しか上がらないのが普通なのです」

 

「ふーん、ま、いっか。また限界になったらまた儀式をして上げればいいだけだしな。モーブル、次も頼むぞ」

 

「もちろんですとも」

 

 彼は丁寧に頭を下げながら答えた。

 

(げへへへ、『また儀式をして上げればいいだけ』だと? なんと嬉しいことを言ってくれる! 儀式と称して金儲けができる上に、平民では手の届かない貴族の坊ちゃんと極上のアナルセックスまで楽しめる。こんな美味しい商売ができるなんて、レベル師になれてつくづくよかったわ♡)

 

 心の中でほくそ笑むと、彼はニーシャに向かってズボンを差し出した。

 

「よし、早速モンスターを狩ってさらに強くなるぞ!」

 

 ズボンを履き終えたニーシャは、パンパンと威勢よく土を払い、犬のようにお尻をブルブルッと振って立ち上がった。

 その瞳は、新たな力を試したくてウズウズしている子供のように輝いている。

 

「はは、まことに頼もしい限りですなぁ……ですが坊ちゃん、いつものように無茶な試運転は程々になさってくださいよ? いくらレベルが高くなろうと、油断すれば命取りになるのは同じですからな」

 

 モーブルは呆れ半分、諦め半分で忠告する。

 しかし、その顔には満足げな笑みが浮かんでいた。

 

「むっ、うるさい! そんなこと言われなくてもわかるよ! ボクはもう十二歳だ! 子供扱いするな!」

 

 ニーシャはぷくりと頬を膨らませ、そっぽを向いた。

 その反応自体が完全に子供なのだが、本人は気づいていないらしい。

 

「へへへ、これは失礼いたしました。では、わたくしはこの辺で退散させていただきます。日が暮れる前に帰らねば……またさっきのようなA級の魔獣が出てこないとも限りませんしねぇ」

 

 彼はそそくさと帰り支度を始めた。

 その様子を見て、ほうきに跨がろうとしたニーシャが、ふいに悪戯っぽい笑みを浮かべて振り返った。

 

「あ、心配しなくても大丈夫だよ、モーブル。アレはもう二度と出てこないから」

 

「……へ? どうして、そんなことが断言できるんです?」

 

 彼が訝しげに眉をひそめると、ニーシャは得意満面の、とびっきりの笑顔で爆弾を投下した。

 

「ああ、聞いて驚くなよ。アレはな、実はボクが錬金術と魔法で作った【特製キメラ・モンスター】なんだ。いやー、今回の魔獣の合成は少し難しかったなぁ。レッドボアとアルマジロンをベースに色々混ぜたんだけど、なかなか理想の『鉄獣感』が出なくて苦労したよ。でも、ストーンブラッド王国の特殊鋼を触媒に加えたら、一気に上手くいったんだ!」

 

「………………は…………?」

 

「それで、ボクのレベル上げ用の実験体として育ててたんだけど、予想以上にデカくなっちゃってさ。研究室じゃ飼いきれなくなったから、ちょうどいいサイズに育つまで、この森に放牧しておいたんだよ」

 

「な、……なんだってぇぇぇぇぇーーーーーっ!?」

 

 モーブルは抱えていた荷物を落としそうになるのをこらえ、驚愕に目を見開いたまま立ち尽くした。

 あの死ぬかと思った恐ろしい魔獣が……目の前のこのクソガキ、いや、美少年が作り出したただの【ペット】だったと!?

 じゃあ、わしが命からがら逃げ惑い、恐怖に震え、大変な目に遭ったのは、全部こいつのせいだと!?

 

「な、なんてことしてくれたんだ、このバカガキがぁ! 森の生態系はどうなる!? もし他の冒険者がいたらどうするつもりだったんだ! いや、現にこのわしが喰われかけたんだぞ、分かってるのか!?」

 

「あー、その辺は大丈夫だ。ちゃんと位置特定と監視魔法は仕込んであるし、万が一、想定外の行動をとったら、体内に埋め込んだ魔石で遠隔自爆させる予定だったから。どう? すごいでしょ、ボクの危機管理能力!」

 

「……そうなんですか? それは確かにすごい魔法で……って、ことは、だ……」

 

 モーブルの顔から、さーっと血の気が引いていく。

 

「坊ちゃん……も、もしかして……わしがアイツに襲われて、死にそうになってたのも……全部、知って……」

 

 恐る恐る尋ねるモーブルに、ニーシャは天使のような笑顔で、残酷すぎる事実を肯定した。

 

「もちろんだ! いやー、本当に間一髪で助かってよかったな、モーブル! お前があそこで死んでたら、ちょっと後味悪かったかもな!」

 

「だったら!! なぜすぐに自爆させなかったんですか!? なぜギリギリまでわしを見殺しにしようとしたんですかっ!?」

 

「ふふ、それは……」

 

 ニーシャは悪びれる様子もなくペロリと舌を出し、小悪魔のようにニヤリと笑った。

 

「……お前が必死こいて逃げてる姿が、豚みたいですっごく面白かったから! つい、最後まで見届けちゃったんだよね! いやぁ、いい見世物だったよ、モーブル!」

 

(こ、この……ガキ……ッッ!! なんっ……て性格してやがるんだ……ッッ!! 悪魔だ……! こいつの正体は、美少年の皮を被った本物の悪魔だ……!!)

 

 その邪気のない笑顔の奥に潜む、底知れない闇と狂気。

 モーブルは背筋に氷柱を突き立てられたような、ぞっとする寒気を感じた。

 

「それじゃ、またな、モーブル! 次にレベルが詰まったら、また【アレ】、頼むよ!」

 

 少年はそう言い残すと、軽やかにほうきを操り、あっという間に夕焼け空の彼方へと消えていった。

 

「…………」

 

 その場に一人残されたモーブルは、しばし呆然と立ち尽くしていたが、やがて全身から力が抜け、へなへなとその場に座り込んだ。

 手から滑り落ちた荷物が、ボトリと鈍い音を立てる。

 

「はぁ〜〜……。……こりゃあ……とんでもない悪魔に、わしの秘中の秘を知られてしもうたかもしれんなぁ……」

 

 自分の運の悪さと、これから始まるであろう面倒ごとを思い、モーブルは誰もいなくなった茜色の空を見上げ、深ーーーーい、深ーーーーいため息をつくのだった。

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