※この作品はR-18です。

モブおじ精液でレベルアップ!? ~でも好みのショタっ子しか手助けしません!!~   作:とけそうだら

14 / 65
第十四話 とある少年冒険者グループ”金獅子団”の短すぎる英雄譚②

「う……」

 

 どれほどの時間が、意識の底に沈んでいたのだろう。

 最初に暗闇の岸へ打ち上げられたのは、ノエルだった。

 

 鼻を刺すのは、屠殺場じみた血と汚物、獣の濃い汗が混ざった悪臭。

 肌を撫でるのは、墓穴のように冷たい洞窟の湿気。

 耳の奥では、水滴が石を打つ、ぴちゃん、ぴちゃんという無機質な音だけがしつこく響いていた。

 

「……う、あ……痛っ……ここ、どこ……? え……なんで、鎖が……」

 

 朦朧としたまま身を起こそうとして、ノエルは二つの現実に気づく。

 全身を走る鈍い痛み。

 そして、足首に食い込む錆びた鉄の冷たさだった。

 

 視線を落とす。

 三人は粗末な木の牢へ押し込められ、壁に打ち込まれた枷で繋がれていた。

 

「うそ……そんな……ヒッ……! まさか、僕たち……オークの巣に……」

 

 牢の外。

 焚き火を囲む数体のオーク。

 脂の爆ぜる音。

 咀嚼する音。

 そして、火に炙られた何かの黒ずんだ肉塊が、骨ごと乱暴に引きちぎられている光景。

 

 胃の底が、ひくりと痙攣した。

 

「ふぁーあ……おいノエル、早く着替えを用意しろ……朝の茶はダージリンでいい。まったく、どこの宿か知らないが、ここのベッドは硬くて最悪だ……」

 

 間の抜けたうわ言が、すぐ隣から聞こえた。

 フェリクスが呻きながら目を開け、まだ夢と現実の境目をさまよっている顔で身じろぎする。

 

「フェ、フェリクス様……! ダメです、どうか静かに……!」

 

「あぁ? 誰に向かって口を利いている。ただの従者が、この俺様に指図する気か。身の程を――」

 

 言葉が止まった。

 

 フェリクスの視線が、牢の木格子と鎖、そして炎の向こうで蠢く影を捉えて、ぴたりと凍りつく。

 遅れて思い出したのだ。

 オークに追い詰められ、叩き伏せられ、意識を失ったことを。

 

「お、おい……冗談だろ……? なんだこの吐き気のする悪臭は……まさか……ここ……オークの巣、なのか……!?」

 

 顔色がみるみる蝋のように白くなり、瞳の奥に恐怖が浮かぶ。

 ついさっきまで当然のように信じていた“自分だけは大丈夫”という特権階級の幻想が、音を立てて崩れていった。

 

「へへへぇ……いやぁ、参ったなぁ。いくら俺がオークを百匹斬り捨てて村を救ったからって、そんなに娘たちに囲まれたら、フェリクス様に嫉妬されちまう……へへっ……」

 

 今度はリックが、にやけた寝言を垂れ流した。

 次の瞬間、フェリクスの手が容赦なくその頭をはたき飛ばす。

 

「起きろこの駄犬! 脳天気な夢を見ている場合かッ!」

 

「いっっっつ!? な、殴らなくたっていいじゃな――ひゅっ……」

 

 リックは涙目のまま顔を上げ、木格子の外を見た瞬間、喉を引きつらせた。

 

「ひ、ひぃぃぃっ……! な、なんだよあのバケモン……! さっきまで俺が倒してたはずじゃ……ち、違う、本物だ……! 喰われる、俺たち生きたまま喰われちまうぅぅ……!」

 

「くそっ……! このフェリクス・フォン・シュタイナーが、よりにもよって豚に捕まるなど……! 名門シュタイナー家、末代までの恥だ……!」

 

 怒鳴る声は威勢だけで、中身は見事に上擦っていた。

 ノエルは焚き火の上の肉塊から目を逸らせない。

 あれが何なのか、考えたくもないのに、脳は勝手に最悪の答えへ辿り着こうとする。

 

 その時だった。

 

 ギィィ……。

 

 耳障りな音を立てて、牢の扉が開いた。

 数体のオークが、ぬらりとした目つきで三人を見下ろしながら入ってくる。

 

 それは仲間や敵を見る目ではない。

 壊れるまで遊ぶ玩具を前にした、残酷な子供の目だった。

 

「な、何をする気だ!? 来るな! 俺様を誰だと思っている、気安く近づくな豚どもッ!」

 

「ひっ……! や、やめてくれぇ……! なんでも、なんでもしますからぁ……お助けをぉ……!」

 

(ああ……終わった)

 

 ノエルは死を覚悟し、固く目を閉じた。

 リックは鼻水混じりの声で、意味にならない命乞いを漏らしながら床に這いつくばっている。

 

 後ずさるフェリクスの背中が、冷たい石壁にぶつかった。

 逃げ場はない。

 見上げるほどの巨漢が、凶悪な牙を剥き出しにして迫り――その濁った瞳と視線が交差した、次の瞬間だった。

 

「……くっ……ふ、ふふっ……」

 

 極限の恐怖に歪んでいたフェリクスの顔に、突如として不自然な笑みが浮かんだ。

 震えていた唇が、引き攣るようにゆっくりと吊り上がっていく。

 

「……あはは……はははははっ!」

 

 ノエルがぎょっとして目を開く。

 あまりの恐怖についに気が触れたのかと思った、その直後。

 

「なるほど……そういうことか。そうかそうか、わかったぞ」

 

 フェリクスの瞳には狂気ではなく、ひどく歪んだ『確信』が宿っていた。

 一人で納得したように何度も頷き、荒くなっていた呼吸を無理やり整える。

 オークたちはもちろん笑わない。

 ただ、怯えていた獲物が急に奇妙な鳴き声を上げ始めたのを、不気味に首を傾げて眺めているだけだ。

 

「お前たち……金か。金が欲しいんだろう?」

 

「へ……?」

 

 ノエルが間抜けな声を漏らす。

 フェリクスはそんなことお構いなしに、腰のポシェットを乱暴にまさぐり始めた。

 

「当然だ。考えてみれば単純な理屈じゃないか。竜が財宝を溜め込み、魔物すら光り物を好む。ならば、いかに豚のなりをしていようと、強欲な下等生物の思考などたかが知れている。ふふっ、いやはや……危うく野蛮なだけの獣だと見誤るところだったわ」

 

「フェ、フェリクス様!? ま、まさか……オークと交渉を……!? そんなの無茶ですよぉ……」

 

「黙れ、腰抜け。金貨の輝きは万国共通だ。損得の勘定ができるのなら、話は通じる」

 

 そう言って、フェリクスは金貨袋に手を入れる。

 

「いいか。お前たちがいくら頭が鈍くても、この価値くらいはわかるはずだ。俺様はシュタイナー家の跡取り。つまり、俺様を生かして帰せば、莫大の富をそっくりそのまま引き出せるということだ」

 

 フェリクスはエクス金貨の一枚を指先でつまみ上げ、豚どもの濁った目の前でチカチカと揺らしてみせた。

 

「ほら、見てみろ。金だぞ。泥まみれの生活から抜け出せるぞ。欲張って俺様を喰うより、賢い選択だろう? ん?」

 

 ちゃりん、と乾いた音が響く。

 投げられた金貨が焚き火の光を弾いて、オークの足元へ転がった。

 

 オークの一体がしゃがみこみ、それを拾い上げる。

 鼻先へ近づけ、くんくんと嗅ぐ。

 ぺろりと舐める。

 そして無造作に荷袋へねじ込んだ。

 

「え……?」

 

 ノエルが目を白黒させる。

 

「え、えっ……ま、まさか……拾った……?」

 

 リックの顔が、ぱぁぁっと明るくなった。

 

「た、助かる……? 助かるんですね俺たち……!? さ、さすがフェリクス様! 化け物にまで“格と知恵”を見せつけるなんて! す、すげえです……!」

 

「ふん、当然だ」

 

 フェリクスは一気に調子を取り戻し、鼻で笑った。

 

「言ったはずだ、俺様はいずれ英雄と呼ばれる男。この程度のピンチ、俺様の『偉大なる知略』の前にはただの余興に過ぎん。豚どもも、ようやく俺様の価値を理解する知性を身につけたようだな。安心しろ。お前たちの身代金の端数くらい、この俺様がスマートに払ってやる」

 

「おおっ、なんと慈悲深い……! 聡明! 高貴! しかも大金持ち! まさしく理想の主君ですぜぇ!」

 

 フェリクスは得意満面で前髪をかき上げる。

 

「感謝するがいい。そして生還した暁には、改めてこの俺様への忠誠を骨の髄まで刻み込め。そうだな……まずは朝夕の2回、街の広場で俺様を称える『金獅子讃歌』を全裸——いや、全力で合唱するところから始めろ」

 

「や、やります! やりますとも! 俺、一日三回でも五回でも腹式呼吸で腹から声出しますぜぇ!」

 

「うむ。では発声練習だ。後に続け。『ああ、気高き金獅子フェリクス様。その無双の魔法は千の軍勢を塵と変え、その涼やかな眼差しは凶竜をも平伏させる』……おい、ノエル! 貴様もアルトのパートでハモれ!」

 

 

(……ハモれじゃないですってば! こ、こんな状況でなに音楽の時間始めているんですか……!? フェリクス様、正気ですか……!?) 

 

 ノエルが本気で戦慄していることなど露知らず、リックは主人を讃えるために声を張り上げた。

 

「あ、ああ〜〜ッ! 気高き金獅子フェリクス様ぁ〜〜! そのむそぉの魔法は千の軍勢をチリと変えぇ、そのす、涼やかな眼差しはぁ、凶竜をも平伏させるぅ〜〜っ!!」 

 

 カビ臭い牢屋の中に、裏返った涙声のテノールが虚しく響き渡る。

 

「そうだ! だがビブラートが甘いぞリック! もっとだ、もっと心からの崇拝を声に乗せろ! そう、圧倒的な強者にひれ伏し、ただ無様に尻尾を振る哀れな犬のように、美しく、従順な——」

 

 

 ——ブモォオオオオウ!!! 

 

 その歪んだレッスンを遮るように、群れの奥から一体の巨大なオークが、うるさいと言わんばかりに足を踏み鳴らして前へ出た。

 

 ひときわ大きい。

 火傷の痕が分厚い鎧のように盛り上がり、片目の上には古い裂傷が走っている。

 他の個体よりも、明らかに空気が違った。

 ――長だ。

 

 フェリクスの顔が、勝ち誇ったものへと整う。

 

「貴様が長か。よし、話のわかる相手のようだな。光栄に思え。この俺様が直々に、今後の待遇について交渉してやる。まずは牢の改善からだ。ふかふかのベッドに羽毛布団を用意しろ。それと食事も、せめて牛肉のステーキくらいは――」

 

 その貴族的要求が最後まで形になることはなかった。

 

 ドゴッ、と。

 鈍く、嫌な音が洞窟に響く。

 

 オークの長の蹴りが、フェリクスの腹へ容赦なくめり込んだのだ。

 

「がっ――ぁ……!」

 

 肺の中の空気が一息に搾り出され、フェリクスの身体がくの字に折れる。

 掌からこぼれた金貨が、ちゃり、ちゃり、と虚しい音を立てながら転がり、泥と血の中へ沈んでいった。

 

「フェ、フェリクス様……!」

 

 ノエルが思わず身を乗り出す。

 だが、鎖がじゃらりと鳴ってその身体を引き戻した。

 助けたくても、手が届かない。

 

 オークの長は、足元に転がった金貨を拾いもしなかった。

 ただ、それを無造作に踏みつける。

 

 ぐしゃり。

 

 泥にまみれた金色が、何の価値もない石ころみたいに沈んだ。

 

「……え?」

 

 リックが、間の抜けた声を漏らす。

 金に目がくらむどころか、興味すら示さない。

 フェリクスが当然のように信じていた“金で動かせぬ相手などいない”という前提が、そこで音を立てて崩れた。

 

 長は片手でフェリクスの髪を鷲掴みにすると、その顔を無理やり上へ向かせた。

 フェリクスは苦痛に顔を歪め、目尻に涙を滲ませながら、かろうじて虚勢を保とうとする。

 

「こ、この……下等生物どもが……ッ! よくも俺様をこんな目に……! 覚えておけ、絶対に、お前ら全員……皆殺しに――!」

 

 だが、その声は掠れ、下唇が震えていた。

 怒声の裏に潜むのは、どうしようもなく拭い切れない“恐怖”だった。

 

 オークの長は、それを嗅ぎ取ったのだろう。

 にやりと人間の模倣のような笑みを浮かべると、まるで新しい玩具を検分する子どものように、鷲掴みにしたままの顔に鼻先を寄せ、じっくりと匂いを嗅ぐ。

 

 ひとしきり弄ぶと、長は後ろの仲間に顎をしゃくった。

 その合図だけで二体のオークが動く。

 蹴りのダメージでぐったりとしたフェリクスの両腕を乱暴に掴み、冷えた洞窟の壁へ叩きつけた。

 

 じゃらり、と足首の錆びた鎖が鳴る。

 華奢な身体が石壁に縫いつけられ、逃げ道は一つも残されていなかった。

 背中に伝わる冷たさが、じわじわと恐怖に変わっていく。

 

「フェリクス様! やめろ! 汚い手で……そのお方に触れるんじゃねえ!」

 

 リックが金切り声を上げる。

 オークの一体が振り向き、鬱陶しそうに手の甲で頬を払った。

 

 パン、と乾いた音。

 

「ぎゃっ!」

 

 リックの悲鳴は喉の奥で潰れ、嗚咽に変わる。

 頬が赤く腫れ、言葉にならない涎が垂れた。

 

「離せぇ! だ、誰に向かって……! 栄えあるシュタイナー子爵家の跡取りだぞ! 俺様は冒険者として名を成し、いずれゴールド級にも昇格して……カヴェナを支配し、やがてはイングラジアも――女帝エリザだって俺様の手に――!」

 

 フェリクスは必死に身をよじった。

 次に何が起こるかを本能で悟り、プライドの残骸をかき集めて抵抗する。

 だが子どもの細い腕では、鋼のような獣の筋肉を振り払えるはずもない。

 

 ノエルとリックは鎖に繋がれたまま、震える瞳でその地獄絵図を見守るしかなかった。

 叫びたくても声は出ない。

 喉の奥が凍りつき、息の音さえうまく立てられない。

 

 長が、ゆっくりとフェリクスの衣服へ手を伸ばす。

 次の瞬間――

 

 ブチブチッ! ビリィッ!!

 

 オークの巨大な手が、高級な布地を紙切れのように引き千切った。

 帝都の一流店で採寸し、贅を尽くして仕立てられた特注のズボンが宙を舞い、あっけなくただのゴミとなって泥に沈む。

 

「な、なにをする!? 俺様の服は帝都の一流店で仕立てた……! そ、それ一着で平民の給料三十年分なんだぞ! 醜い獣なんぞが気安く触れていい代物じゃ――くそっ、べ、弁償しろ! 弁償しろぉっ!」

 

 フェリクスの怒声は、どこまでも空虚だった。

 声を張り上げてはいるものの、もはや威厳など微塵もない。

 怯えと絶望が入り混じり、言葉の端々から無様な震えがこぼれ落ちている。

 その哀れな叫びを、オークたちは言葉として理解するでもなく、ただ『獲物が面白い鳴き声を上げている』とでも言うように、楽しげに耳を傾けていた。

 

 やがて長は煩わしそうに鼻を鳴らすと、太い指を残った布地へと乱暴にねじ込んだ。

 

「ひっ……! や、やめ――」

 

 制止の言葉すら最後まで紡がせることなく、無慈悲に衣服が引き剥がされる。

 

 露わになったのは、貴族の血統が育んだ、汚れを知らぬ白く滑らかな下腹部。

 そこに控えめに佇むペニスは、フェリクスの傲慢で高慢な性格とは正反対の、驚くほど慎ましく純粋なものだった。

 まだ誰にも触れられたことのない包皮に優しく包まれ、柔らかく垂れ下がるそれは、焚き火の揺らめく橙色の光を受けて、まるで絹のような艶を帯びて淡く輝いている。 

 

 その下に続く、柔らかな曲線を描く双丘――完璧な白磁を思わせる臀部。

 中心に潜む桃色の小さな蕾は、恥じらうように固く閉ざされ、微かな収縮を繰り返していた。

 焚き火の光がその秘められた部分を撫でるたび、陶器のような滑らかな肌がほのかに湿り気を孕み、妖しい光沢を浮かび上がらせる。 

 

「オークのくせに、よくもフェリクス様に……! け、けど……」

 

 リックの言葉が、ふっつりと途切れた。

 見開かれた彼の瞳に映っているのは、蹂躙への怒りではない。

 露わになった憧れの主君の、汚れを知らない白く滑らかな肌だった。

 

「ああ……なんてお美しいんだ……。今まで隠されていたお体が、こんなにもあらわに……」

 

 恐怖で支配されていたはずの瞳に、とろりとした熱が帯びる。

 ごくり、と。

 理性を凌駕して這い出た淫猥な欲望が、抑えきれない唾液の音となって漏れ出た。

 

「……み、見るな! この、汚らわしい畜生どもが! 俺様の玉体を……醜い獣風情が目にするなど、あってはならん……っ! 今すぐ離れろ、目を逸らせ――!」

 

 味方からの異常な視線にすら気づけないほど、フェリクスはパニックに陥っていた。

 彼が声を枯らして叫べば叫ぶほど、オークたちは喜劇を鑑賞するように喉の奥を鳴らして笑う。

 

 ドスン、と。

 オークの長が重い足取りで歩み寄り、焚き火の光を完全に遮った。

 這い寄るような巨大な影が、フェリクスの華奢な輪郭をすっぽりと飲み込んでいく。

 

「ひ……っ!」

 

 声にならない悲鳴が漏れた。

 最後の一滴まで絞り出していたプライドが、完全にへし折られた音がした。

 長は、大儀そうに、だが確かな意志を持ってフェリクスの足元に膝をついた。

 燃えるような濁った双眸が、少年の股間へと縫い付けられる。

 

「な、何をする気だ……! まさか……その……喰う気か……!? 俺様を……!」

 

 声が震えていた。

 恐怖で顔全体が強張り、眼球が細かく震える。

 オークは答えない。

 代わりに、その巨大な頭部を、ゆっくりとフェリクスの股間へ近づけていく。

 

 鼻息が、少年の敏感な肌にかかる。

 熱い。

 獣の体温が、こんなにも近くにある。

 

「や、やめ……! やめてくれ……! 近づけるなその汚らわしい鼻面を……! 俺様は貴族だ……! 高貴な血を引く者だぞ……! 貴様の涎などかけてよい身体では……!」

 

 フェリクスは必死に身をよじるが、鎖がじゃらりと鳴るだけで、逃げ場はない。

 オークの長は、その濡れた鼻先を少年の下腹部、慎ましいペニスのすぐ横へと近づける。

 

 くんくん、と。

 

 獣が獲物の匂いを確認するように、呼吸をする。

 熱い息が、柔らかな産毛を撫で、皮膚が粟立つ。

 

(ああっ……! フェリクス様が喰べられてしまう……!)

 

 ノエルの頭の中を、死の想像が駆け巡る。

 オークの牙で太腿の肉を引き裂かれ、内臓を食い荒らされるフェリクスの姿が、鮮明に浮かんでしまう。

 

 フェリクスは恐怖のあまり、口からは悲鳴すら出ず、ただ空気を啜るような音だけが漏れた。

 

 オークの長は、ゆっくりと口を開けた。

 その巨大な顎が、少年の太腿の内側へと近づく――

 

「や、やめろぉおおおおおっ!!!」

 

 限界に達したフェリクスの絶叫が洞窟を劈く。

 

 その時だった。

 

 べろり。

 

 フェリクスの身体が、びくりと大きく跳ねた。

 

「……へ?」

 

 痛みがない。

 牙が食い込む感触も、肉が裂ける衝撃もない。

 

 代わりに感じたのは――

 熱く、ざらついた、異様なまでの“柔らかい”感覚だった。

 

 オークの長は、牙を立てなかった。

 その巨大な舌で、少年の太腿の内側を、下から上へとゆっくりと舐め上げたのだ。

 

「な……に……?」

 

 フェリクスは呆然と、自分の下肢を見下ろす。

 そこには、ぬらりと光る唾液の痕が、太腿の柔肌に一条の川のように残されていた。

 

 オークの長は、その反応を確かめるように、一呼吸置いて、再び顔を寄せる。

 今度は、舌先をフェリクスの鼠蹊部へと這わせる。

 

 ちゅる、ちゅる、と。

 丹念に、丹念に、舐めていく。

 

「ひぁ……! な、何を……! 舐めて……いるのか……!? 俺様の体を……!」

 

 信じられない光景だった。

 オークは、フェリクスを“食べて”いなかった。

 まるで、貴重な品物を検分するように、あるいは新しいおもちゃの感触を確かめるように――舐めているのだ。

 

 フェリクスの白く滑らかな肌の上を、オークの分厚く荒い舌が、念入りに這い回る。

 

 まずは脚の付け根。

 次に、下腹部全体。

 そして、へその周りをぐるりと。

 その動きはゆっくりで、一箇所を舐めるたびに、舌の表面の無数の突起が、繊細な肌を引っかくように擦る。

 

「あ……ぁ……! や、やめろ……! 不届き者が……! 気安く触れるんじゃない……! 気持ち悪い……!」

 

 くすぐったさと、未知の感触。

 そして何より、化け物の唾液で身体中を濡らされるという屈辱が、フェリクスの羞恥心を限界まで刺激する。

 

 彼の慎ましいペニスは、恥ずかしさと恐怖ですっかり縮み上がり、包皮の中へと引っ込んでしまっている。

 オークの長は、そんな反応など気にする様子もなく、ゆっくりと顔を少年の股間の中心へと寄せていく。

 

 そして――

 

 ちろり。

 

 舌の先が、縮こまったペニスの先端を、軽くなめた。

 

「ひぁああっ!?」

 

 フェリクスの身体が、びくんと大きく跳ねる。

 そこは、彼自身もほとんど触れたことのない、最も敏感な場所だ。

 

「な、何を……!? そこは、ダメ……っ、そんなとこ舐めるなぁ……!」

 

 オークは答えない。

 代わりに、その巨大な舌を、今度はペニスの根元から先端へと、ゆっくりと這わせる。

 

 ちゅううう、ちゅる、と。

 まるで味わうように。

 

「あ……! あ……! や、やめ……! そんな……気持ち悪い……! 汚らわしい……!」

 

 フェリクスの声は震えている。

 オークの舌は、包皮に包まれた亀頭の形を確かめるように、何度も何度も往復する。

 時折、舌先が包皮の縁に引っかかり、めくれるように押し上げる。

 

「んぐっ……! ひぅ……!」

 

 彼のペニスは、恐怖と羞恥で萎縮したまま、オークの唾液でぬらぬらと光っている。

 本来ならば決して触れさせてはならない部分を、獣の舌で丹念に舐め回される。

 その事実が、フェリクスの誇りを徹底的に踏みにじる。

 

「やめ……! 俺様の……そんな場所……! 高貴な……俺様の……!」

 

 言葉にならない嗚咽が漏れる。

 オークはしばらくペニスを舐め続けた後、ゆっくりと顔をさらに下へと移動させた。

 

 目指すは、あの場所だ。

 

 フェリクスの双丘の間。

 焚き火の光が、かろうじてその奥の様子を照らし出す。

 桃色の小さな蕾は、これから始まることを予感してか、小刻みに震えている。

 

「な……!? まさか……そこも……!?」

 

 フェリクスの声が、裏返る。

 オークの長は、何の躊躇もなく、その大きな手をフェリクスの両膝の裏に差し入れると、ぐいと持ち上げた。

 

「ひっ!? な、なにを……!」

 

 華奢な両脚が、無理やり高々と掲げられる。

 膝が胸の近くまで折り曲げられ、フェリクスの双丘が完全に押し開かれた。

 

 その奥にあるすべてが、焚き火の光に照らし出される。

 閉じたばかりの蕾が、ひくひくと震えながら、無防備に晒されていた。

 

「や、やめ……! そんな……見るな……! そんな格好で……晒すな……!」

 

 フェリクスは羞恥のあまり首を振るが、オークに抑えつけられた腕では何も隠せない。

 彼の最も秘められた場所が、オークたちの眼前に、丸裸でさらされている。

 

 オークの長は、その光景をじっくりと眺めた後――

 何の躊躇もなく、その舌を少年の尻の割れ目へと差し入れた。

 

 べろり、と。

 

「あひぃいいいっ!!!」

 

 フェリクスの身体が、弓なりに反り返る。

 熱く、ぬめる舌が、丸見えになった肛門の周りの敏感な皮膚を、ゆっくりと舐め上げる。

 

「や、やめ……! そこ……お尻の穴ッ……!! やめろ……! そんなところまで……舐めるなぁ……!」

 

 涙がぼろぼろと溢れ、フェリクスの顔は羞恥と屈辱で真っ赤に染まる。

 オークは構わず、小さな蕾の周りを丁寧に舌でなぞる。

 閉じた蕾のしわの一本一本を、ほぐすように。

 

「んぐぅ……! ひぅ……!」

 

 感じたことのない刺激に、フェリクスの身体は小刻みに震え、無意識に腰が引ける。

 しかし脚を高く掲げられたままでは、逃げようとする動きはかえって自身の秘部をさらけ出すだけだった。

 

 そして、さらに追い打ちをかけるように――

 

 オークの長は、舌の先を尖らせると、閉じた蕾の中心に向かって、ぐぐっと押し込んだ。

 

「うぁあああああっ!!?」

 

 フェリクスの絶叫が洞窟に響く。

 オークの舌が、狭い窄まりをこじ開け、少年の内部へと侵入していく。

 

 ずぷずぷ、と。

 

 舌は口内の器官でありながら、まるで別の生き物のようにうごめきながら、フェリクスの腸内へと潜り込む。

 舌の表面の無数の突起が、敏感な粘膜を擦り、かき混ぜる。

 

「や、やめ……! 中まで……入って……くる……! 舌が……お尻の中に……!」

 

 フェリクスは泣き叫ぶが、オークは止まらない。

 舌を出し入れしながら、内部を丹念に舐め回す。

 時折、舌を丸めて、腸壁を押し広げるように動かす。

 

 ずる、ずる、ずぷっ。

 

「あ……! ああ……! お腹の奥……まで……! そんな……! 畜生……! 俺様の……!」

 

 唾液が内部に流し込まれ、腹の中でじゅわじゅわと音を立てる。

 フェリクスは、自らの肛門が化け物の舌によって犯されている現実に、頭がおかしくなりそうだった。

 

「や、やめてくれ……! もう……! 頼む……! 舌を……抜いてくれ……!」

 

 懇願にも似た声で、フェリクスは泣きながら訴える。

 だが、オークの長は、むしろその反応を楽しむかのように、さらに舌の動きを激しくする。

 

 ぐちゅ、ぐちゅ、ずぶっ。

 

「んがあああっ!? んっ……! ぐっ……!」

 

 声にならない悲鳴。

 舌が腸の奥深くまで潜り込み、何かを探るように動く。

 そして――

 

 ある一点を、ぐりりと押された瞬間。

 

「んひぃいいいいいっ!!!」

 

 フェリクスの身体が、びくんびくんと激しく痙攣した。

 目玉が裏返り、口からは泡のような涎が溢れ出す。

 

「な……に……これ……! おかしい……! おかしくなる……!」

 

 未知の感覚が、彼の身体を駆け巡る。

 オークはその反応を面白がったように、何度もその場所を舌の先で突き、擦り、舐め回す。

 

「やめ……! そこ……だめ……! なんか……変になるから……!」

 

 フェリクスの拒絶は、もはや意味を成さない。

 オークは執拗に、内部を隅々まで舌で犯し続ける。

 唾液が溢れ、太腿を伝って床に滴る。

 少年の肛門は、何度も舌を飲み込み、引き抜かれるたびにひくひくと収縮を繰り返す。

 

 その時だった。

 

「っ……あ、フェリクス様の……ちんちんが……」

 

 リックの掠れた呟きが、洞窟の湿った空気を震わせた。

 

 その言葉に、フェリクスの意識が一気に現実へと引き戻される。

 彼は、自分の身体に起きている異常に気づいてしまった。

 

「……え……? な、んで……?」

 

 震える視線を下ろす。

 そこには、信じたくない光景があった。

 

 恐怖と羞恥で縮み上がっていたはずの自身のペニスが。

 ゆっくりと、しかし確かに、張りを取り戻しつつあったのだ。

 

「ち、違う……! これは……違うんだ……! 俺様は……気持ちよくなど……!」

 

 

 慌てて否定するが、オークの舌が肛門の奥の敏感な場所を再び舐め上げた瞬間。

 彼のペニスは、見苦しくも硬く勃ち上がってしまった。

 

「ひゃあああっ……!♡♡♡ いや……! 違う……! 俺様の身体が……勝手に……!」

 

 フェリクスの頬が、羞恥と屈辱で真っ赤に染まる。

 精神はこれ以上ないほど嫌悪しているというのに、彼の身体は、オークの舌による刺激を“快楽”として受け入れ始めていた。

 

 オークの長は、その変化を見逃さなかった。

 喉の奥で低く笑うと、さらに執拗に、勃起したペニスを無視するかのように、肛門のみを責め続ける。

 

「あ……! ああ……! やめ……! そんな……舐められたらぁ……!♡」

 

 自らの意思に反して、フェリクスのペニスは先端から透明な雫を零し始める。

 肛門を舐められているだけで、彼は感じてしまっていた。

 その事実が、彼の誇りを完全に打ち砕く。

 

「う……っぐ……! いやだ……! こんな……化け物に……俺様が……!」

 

 フェリクスの意識は、快楽と嫌悪が混ざり合い、混沌としていた。

 プライドが砕け散り、残されたのは無力な少年の肉体のみ。

 その身体が、オークの舌によって、着実に変えられていく。

 

 フェリクスの身体は、自らの意思とは関係なく、オークの舌を受け入れていた。

 肛門は、既に拒絶することを諦め、舌の出入りに合わせて緩やかに開閉している。

 まるで、それが自然な行為であるかのように。

 そして、彼のペニスは、そんな身体の裏切りの証として、淫らに天を向いて屹立していた。

 

「あ……あぁ……! 何故……俺様の身体が……!」

 

 フェリクスの声は、もはや絶望ではなく、混乱と諦めに染まっていた。

 オークの長は、その反応を完全に把握したのか、満足そうに鼻を鳴らすと、ようやくその舌を引き抜いた。

 

 ずるり、と。

 大量の唾液が糸を引き、少年の肛門から滴り落ちる。

 

 解放された安堵で、フェリクスの身体から力が抜け、壁にだらりと寄りかかった。

 呼吸は荒く、目は虚ろに開かれたまま、焦点が合っていない。

 肛門はわずかに開いたまま、そこから唾液がとろりと垂れている。

 そして、彼のペニスは、未だ勃起したまま、羞恥の証として先走りを光らせていた。

 

「……はぁ……はぁ……な……んで……俺様の……身体が……感じる……んだ……」

 

 掠れた声が、洞窟の冷たい空気に溶けた。

 

 食べられると思った。

 だが、実際に行われたのは、舌による徹底的な蹂躙――ペニスを舐められ、そして肛門の内部まで舌で犯された。

 

 その声には、怒りも、虚勢も、もう残っていなかった。

 ただ、自分の身体に裏切られた少年の、混乱と狼狽だけが、むき出しになっていた。

 

 ――感じてなどいない。

 ――感じるはずがない。

 ――相手は豚だ。下等な、醜い、穢らわしい獣だ。

 

 そう言い聞かせれば聞かせるほど、舌の感触が、腹の奥でじわりと広がる熱が、生々しく蘇る。

 

「くそ……くそ……! ふざけるな……! 未来の英雄たる高貴なる俺様を、お前のような下等生物が辱めていいと思っているのか……! 喰うなら喰え! だが、その代償は高くつくぞ……!」

 

 怒りの言葉とは裏腹に、その声は細かく震え、唇はわなわなと動いていた。

 瞳の奥では、これまで一度も感じたことのない“未知の恐怖”が、黒い泥のように蠢き始めている。

 

 オークの長は、そんなフェリクスの様子を、まるで面白い獲物を見つけた狩人のように、しばし観察していた。

 その濁った瞳に、ぬらりとした粘液質な欲望の色が浮かぶ。

 喉の奥で、下卑た笑い声が低く鳴った。

 

 そして、ゆっくりと、焦らすように。

 囚われた矮小な少年たちに見せつけるように。

 

 自身の薄汚れた腰巻きへと手をかけた。

 

「オークは……一体なにを……?」

 

 つぶやいたリックは、ただ固まったまま、目を見開いてその光景を見つめている。

 その瞳の奥で、わずかに、何かがぎらついたような気がした。

 ――誰も、それに気づかなかった。

 

 ノエルの背中を、冷たいものが伝い落ちる。

 全身の毛穴が開き、息が浅くなる。

 彼は知っていた。

 文献で読んだだけでなく、冒険者としての経験の中で、耳にしたことがあった。

 オークが捕らえた人間に何をするのかを。

 

 やがて、その獣じみた股間から、ゆっくりと、巨大な存在が姿を現した。

 

 人間の腕ほどもある、醜悪なまでに巨大な男根。

 赤黒く怒張し、浮かび上がった血管が、焚き火の光を受けて脈打っている。

 先端からは、透明な粘液が糸を引いて垂れ、鈍い熱気と共に、獣臭い麝香の匂いを周囲にまき散らしていた。

 

 それは、それ自体が一個の凶器のように。

 あるいは、少年たちの常識を嘲笑う、異形の象徴のように。

 

 そこに在った。

 

「ひっ……!」

 

 フェリクスの喉から、ひきつけるような音が漏れた。

 彼の顔が、一瞬で青ざめる。

 さっきまで感じていた「舌」とは比べ物にならない。

 あれが。

 あの肉塊が。

 自分の——。

 

 思考が、そこで凍りついた。

 

「おい、ノエル! あのオーク……フェリクス様に、なにをするつもりだ……?」

 

 リックが掠れた声で言う。

 その声は、自分でも気づかぬうちに、恐怖で裏返っていた。

 だが、その恐怖の裏側で、彼の瞳は、じっとあの巨大な肉塊から逸らせずにいた。

 

 ノエルは答えようとして、唇が震えるのを感じた。

 口を開きかけて、閉じる。

 もう一度、開く。

 やっとの思いで、搾り出すように、言葉を紡いだ。

 

「……食べるため、じゃない」

 

「な、なんだって? じゃあ、オークどもはフェリクス様に、いったい何を……?」

 

 リックの問いに、ノエルはゆっくりと首を振る。

 代わりに、彼の脳裏に甦ったのは、冒険者ギルドの古い図書館で読んだ、あの文献の一節だった。

 

 

 ――オークは時に、捕らえた人間の雌雄を問わず、その肉体を性欲処理の道具とする。対象は弱れば弱るほど好まれ、泣けば泣くほど愉悦を感じるという。これは食欲ではなく、支配欲と嗜虐性に根ざした行為であり――。

 

 

「たぶん……これから僕たちは、オークたちに……」

 

 そこまで言って、ノエルは言葉を呑み込んだ。

 喉の奥が張り詰め、それ以上、声が出なかった。

 

 焚き火の火が、わずかに明滅する。

 その度に、オークどもの牙と舌が照らし出される。

 獲物を前に笑う、異形の獣の顔が。

 

 全身の血が、氷のように冷たくなっていくのを、ノエルははっきりと感じた。

 

「な……!? や、やめろ! 近寄るな、その下劣なモノをはやく仕舞え! 汚らわしい豚めがッ!」

 

 フェリクスの甲高い悲鳴が、洞窟に響き渡る。

 しかしそれは、もはや威厳に裏打ちされた命令ではなかった。

 ただの、本能的な恐怖の叫びだった。

 焚き火の炎が、オークのぬらつく肌を踊るように照らし、その笑みをより一層、醜悪なものへと変えていく。

 

「……お、おい! リック! ノエル! 誰か……助けを呼べ! ギルドに……父上に――!」

 

 フェリクスの叫びは、もはや命令ではなくなっていた。

 威厳も、傲慢さも、誇りも。

 それら全てが剥ぎ取られ、そこにあったのは、ただ震えるだけの、一人の幼い子どもの懇願だった。

 

 オークの長は答えない。

 ただ、無言で。

 その赤黒い凶器を、震える獲物へと向けて、一歩、踏み出した。

 

 ——ずるり、と。

 

 足音ではなく、肉槍が空気を切るような、粘つく音がした。

 オークの長が、先ほどよりもさらに硬く、凶暴に怒張した肉槍を握りしごきながら近づく。

 その手つきは、自らの獲物を確かめるかのように、ゆっくりと、丹念に。

 

 赤黒く血管が浮き出たそれは、人間の腕ほどもある凶器。

 熱気を放ち、先端から透明な雫を滴らせながら、フェリクスの小さな蕾へと——ぴたりと押し当てられた。

 

「ひっ……!? ま、まさか……ここに……挿れるつもりなのか……!?」

 

 フェリクスの声が、裏返る。

 その先端が、まだ舌で舐められたばかりの、ひくつく蕾に触れている。

 ぬるりとした粘液が、入り口を滑らかに汚していく。

 

 熱い。

 恐ろしいほどに、熱い。

 

「そんな……無理だ……! 入らない……! 大きすぎる……! やめ……やめてくれ……!」

 

 フェリクスの涙が、ぽたぽたと頬を伝い、床に落ちる。

 初めて見せる、完全な降伏の表情だった。

 あれほど誇り高かった眉は下がり、唇は震え、瞳からは矜持の光が完全に消え去っていた。

 

 だが、オークの長は——嗤った。

 

 その嗤いには、明確な意味が込められていた。

 (これから始まるのだ)

 (お前の本当の——絶望が)

 

 ぐりぐりと、愉快そうに擦りつけられる。

 粘つく前垂れが入口に絡みつき、少年の腰がびくんと跳ねる。

 

「いや……! それ以上は……! そんな太いもの……入るわけが……!」

 

 声は震え、涙が頰を伝う。

 プライドの最後の砦が、今まさに崩れ落ちようとしていた。

 

 オークの長は、少年の悲鳴を愉しむようにゆっくりと腰を沈める。

 熱く脈打つ巨根の先端が、小さな蕾に押し当てられ、ゆっくりと——沈み始める。

 

 メリメリメリッ!

 

 粘つく音と共に、入口が無理やり拡げられる。

 フェリクスの身体がびくびくと痙攣し、冷や汗が額を伝う。

 

「頼む……! それだけは……! 俺様の……貴族の誇りが……! 初めてが……豚なんかに……!」

 

 だが、獣に慈悲などない。

 オークの長は、フェリクスの怯えを見下ろしながら、自らの凶器を少年の窄まりに押し当てる。

 その先端は、既にオークの唾液と少年自身の体液で濡れていた。

 

 そして――躊躇なく、一気に。

 

 ずぶぅうううううううううっ!!

 

 肉が引き伸ばされる生々しい音が洞窟に響き渡り、未成熟な少年の狭い窄まりが、無理やり拡張されていく。

 熱い圧迫感が内側から押し広げられ、薄い腹壁の下に、オークの巨大な肉茎の輪郭がくっきりと浮かび上がる。

 

「あがあああああああああああっ!!!」

 

 あまりの圧迫感と痛みに、フェリクスの絶叫は人間のそれではなかった。

 喉の奥から絞り出される獣じみた悲鳴が、洞窟の壁に反響し、ノエルとリックの耳を容赦なく抉る。

 

 オークはすぐに腰を振り始めた。

 ゆっくりと、深く、少年の内側を抉るように。

 

 ずっぷ、ずっぷ、ずっぷ、ずっぷ、ずっぷ

 

 引き抜かれるたびに腸壁が引き攣り、内臓が圧迫されるような鈍痛。

 再び突き入れられるたびに、腹の奥が押し広げられ、息が詰まる。

 

「ひぐぅっ……! やめ……て……! 拡がる……! お腹の中が……拡がっていくぅ……!」

 

 フェリクスの声はもはや呂律も回らず、ただ悲痛な断末魔のように洞窟に響く。

 

 涙が止まらず、鼻水が垂れ、口からは涎が糸を引いて床に落ちる。

 端正だった顔は苦痛に歪み、額に青筋が浮かび、歯を食いしばって耐える姿は惨めで哀れだった。

 高慢な貴族の面影はすでに消え、ただ壊されていく少年の姿だけがそこにあった。

 

「やべで……じぬっ! じんじゃう!」

 

 呂律の回らない言葉で、涙をぼろぼろ零しながら必死に許しを請う。

 これまで他人を見下してきた傲慢な口が、今はただ泣きじゃくるだけ。

 しかし、オークの長が動きを止めるはずもない。

 むしろ、少年の苦悶が獣欲に火を点け、鼻息を荒げながらさらに激しく腰を打ち付け始めた。

 

 ぱんっ! ぱんっ! ぱんっ! ぱんっ! ぱんっ!

 

 肉と肉がぶつかる湿った音が洞窟に響き渡り、少年の小さな腹が毎回の突き上げで不自然に膨らむ。

 薄い腹壁の下に、オークの巨大な肉茎の輪郭がくっきりと浮き上がり、内側から異物が蠢く様がはっきりと見て取れた。

 

 鎖がじゃらじゃらと鳴り、華奢な腕が悲鳴を上げるたび、フェリクスの身体が壁に叩きつけられる。

 

「ぐぅ……! あぁっ……! 痛い……痛いよぉ……! 抜いて……抜いてくれぇえええ……!」

 

 腸の奥を抉られるたび、身体が弓なりに反り返り、足先がびくびくと痙攣する。

 血と汗が混じり合い、肌がべっとりと濡れ、栗色の髪が額に張り付いていた。

 快楽など微塵も感じない。

 ただ、焼けるような圧迫感と、内側から拡げられる恐怖だけが彼を支配していた。

 

 

(オークの……生殖器が……フェリクス様の中で……乱暴に……! そんな……! そんなことが……!)

 

 ノエルは自分の口を塞ごうとした。

 だが、あまりの光景に声も出せず、ただ見開かれた瞳から涙が流れ落ちるだけだった。

 主君が、目の前で醜い獣に犯されている。

 その現実は、ノエルの心を完全に打ち砕き、胃液が逆流する感覚に襲われた。

 

 一方、リックは――

 最初こそ目を見開いて唖然としていたが、今やその視線は敬愛しているフェリクスの肛門へ釘付けになっていた。

 彼の下半身からは、熱い液体がじわりと染み出ていた。

 それは、恐怖による失禁ではなかった。

 

 彼は――興奮していたのだ。

 オークに犯されるフェリクスの苦悶と絶望を見て、彼の中で何かが壊れ始めた。

 脳裏に焼き付くのは、拡げられた肛門の生々しい様子と、少年の悲痛な叫びだった。

 

 

『ブヒィ……ブヒィ……』

 

 オークは満足げに鼻を鳴らすと、フェリクスを乱暴に四つんばいへと転がした。

 壁から引き剥がされ、冷たい床に手をつかされる。

 膝が震え、崩れ落ちそうになるのを、獣の巨手が腰を掴んで強引に支える。

 背後から、さらに荒々しく腰を打ち付けられる。

 腸壁が容赦なく擦られ、熱が生まれるが、それは快楽などではなく、ただの炎症のような焼ける痛みでしかなかった。

 

「ひぃっ! ぐぁぁ……! やめ……後ろからなんて……まるで動物の交尾じゃないかよぉ……!」

 

 フェリクスの苦悶の声は、もはや人間のものではなかった。

 喉の奥から絞り出されるような、獣じみた悲鳴。

 その声に、オークは満足そうに喉を鳴らした。

 

『ブヒッ……グヒッ……グヒヒヒヒ……』

 

 低く、粘つく笑い声が洞窟の岩肌に反響する。

 まるで、壊れゆく高貴な玩具を眺めるかのような、嗜虐に満ちた哄笑だった。

 

 やがて、オークの呼吸が変わる。

 荒く、熱く。

 腰の動きが、規則的な律動から、激しい打ちつけへと変わっていく。

 

 その変化に、フェリクスは本能的に理解した。

 

「待て……! 中は――中はダメだ……! 絶対に……そこで出すな……! 貴様の汚らわしい種を……俺様の中に……!」

 

 叫びは懇願に変わり、懇願は絶叫へと変わる。

 しかし、その必死の訴えも、獣の耳には届かない。

 

『ブヒッ、ブヒッブヒッ、ブヒィイイイイイイイイ!!!』

 

 勝利の雄叫びのように、オークは咆哮した。

 そして、腰を限界まで押しつけ、巨根を少年の最奥で爆発させた。

 

 びゅるるるるるるるるるっ! ぶびゅるるるるっ! どくん、どくん、どくん、どくん――

 

「い、いやだあああああっ!!」

 

 灼熱の奔流が、腸壁を焼き焦がすように注ぎ込まれる。

 フェリクスの腹の奥が、熱く、重く、膨張していく。

 量は信じがたく多く、少年の平坦だった腹部が、妊婦のように不自然に膨らみ始める。

 入りきらなかった白濁液が、結合部から噴き零れ、肛門を伝って太腿へと流れ落ちる。

 血と混じったそれは、どろりと粘度を増し、床に濁った水たまりを作った。

 

「ぁ……あ……は……っ……。そ、んな……はじめてが……化け物の……精なんか…………」

 

 フェリクスは四つんばいのまま、その場に崩れ落ちた。

 華奢な身体が、びくびくと痙攣している。

 虚ろな瞳からは涙が止め処なく零れ、口の端からは、泡立った涎が垂れている。

 もはや、言葉にならない。

 ただ、荒い息だけが、洞窟の冷たい空気を震わせていた。

 

 だが――獣たちの欲望は、まだ満たされてはいなかった。

 

 次の一体が、すぐに交代する。

 血と精液に塗れた少年の穴に、新たな巨根が、容赦なく押し込まれる。

 

「ひゃぐぅっ……!」

 

 一度目の射精で滑りが良くなった分、二度目はより深く、より容易く、少年の内部へと沈み込む。

 フェリクスの身体が、再び大きく跳ね上がった。

 

「も……もう……やめて……! 死ぬ……本当に……死んじゃうから……!」

 

 しかし、獣は止まらない。

 二度目、三度目、四度目――オークたちは、まるで輪になるように、次々と交代しながらフェリクスを犯し続けた。

 

 少年の悲鳴は、いつしか泣き声へと変わり、泣き声はやがて、掠れた喘ぎだけになった。

 痛みは増すばかりで、身体は高熱を帯びるが、それは決して快楽の熱ではなかった。

 ただ、傷口が焼けるような、炎症の熱だけが、彼の意識を灼き続ける。

 

「いやぁああ……! お腹……熱い……壊れる……! 助けて……! 誰か……父上……!」

 

 プライドは、もう完全に砕け散っていた。

 そこにいたのは、ただの一人の子どもだった。

 痛みに泣き叫び、助けを求める、弱い少年だけが、そこにはいた。

 高慢だった貴族の面影は、もうどこにも消えていた。

 ただ、壊されていく哀れな肉塊だけが、オークたちの欲望を受け止め続けている。

 

 ノエルとリックは、鎖に繋がれたまま、その全てを目の当たりにしていた。

 目を逸らしたくても逸らせない。

 耳を塞ぎたくても塞げない。

 自分たちにも、やがて同じ運命が待っている――その予感が、彼らの心を絶望で凍り付かせていた。

 

 ――やがて、何度目かの絶頂が、フェリクスの身体を貫いた時。

 

 彼の意識は、静かに、闇の底へと沈んでいった。

 

 身体は白濁と血にまみれ、肛門はぱっくりと開いたまま、そこからオークの精が、滝のように絶え間なく垂れ流されている。

 かつて「高貴なシュタイナー子爵家の跡取り」と自称する高慢な少年は、もうどこにもいなかった。

 

 ただ。

 使い潰され、壊された、ひとつの肉人形だけが。

 冷たい洞窟の床に、無残に転がされていた。

 

 

「あ……あぁ……」

 

 次は、リックだった。

 

 オークたちは、満足げに鼻を鳴らしながら、赤髪の少年へとゆっくり歩み寄る。

 焚き火の揺らめく光が、獣たちの影を長く伸ばし、リックの震える身体を覆い隠すように迫っていた。

 壁に反射する巨大な影が、獲物を囲むように蠢く。

 重量感のある足音が、一歩ごとに近づいてくる。

 

 少年は腰を抜かし、がたがたと歯の根も合わないほど震えていた。

 フェリクスが犯されている光景に興奮して、思わず射精してしまったのも束の間。

 今度は恐怖のあまり、股間から生温かい黄金色の液体がじわりと滲み、ズボンを伝って床に染みを作る。

 それすらも構わず、彼は這いつくばるようにして命乞いを始めた。

 

「ご、ごめんなさい……! 俺が……俺が悪かったんです……! 住処を荒らして、本当にごめんなさい……! 俺には家族がいるんです……弟も、病気の妹だって……だから、どうか……命だけは……どうかご勘弁を……!」

 

 媚びへつらう声で、獣たちにすがる。

 これまで世渡りの術に長け、どんな相手にも頭を下げ、笑顔で切り抜けてきた——その最後の処世術だった。

 脂汗が額に浮かび、引きつった笑みを必死に貼り付けて、彼はオークたちの足元に額を擦りつける。

 

「どうか……どうかお願いします……! 俺なら……役に立ちます……! 荷物持ちでも、料理でも、何でもしますから……! だから……お願いです……!」

 

 声は震え、涙と鼻水で顔はぐちゃぐちゃだった。

 これまでのどんな場面でも、笑顔と謝罪と機転で乗り切ってきた。

 今回は、それで——通じるはずだった。

 

 だが、その哀れな姿は、獣たちの嗜虐心をさらに煽るだけだった。

 

 高価な白銀の長剣が、無造作に蹴り飛ばされる。

 がしゃん、と乾いた金属音が洞窟に響き、鎧が紙屑のように乱暴に剥ぎ取られる。

 

 びりびりっ!

 

 布が裂ける音が続き、リックはあっという間に全裸にされ、無様に冷たい床を転がされた。

 

「ひぃっ……! いやだ……! 助けて……! フェリクス様ぁ……!」

 

 かつて媚びへつらった主人の名を、絶叫するように呼ぶ。

 その声は洞窟の天井に吸い込まれ、虚しく木霊する。

 

 だが、返事はない。

 

 フェリクスは地面に突っ伏したまま、血と白濁に塗れて、ぴくりとも動かなかった。

 彼の救世主は、もう、どこにもいなかった。

 

「そ、そんな……フェリクス様……! 俺を……見捨てるんですか……!?」

 

 絶望に顔を歪めるリックの上に、一頭のオークが獣のように覆い被さる。

 巨大な身体が少年を完全に覆い隠し、逃げ場を奪う。

 獣の体臭——汗と血と生臭い雄の匂いが、息苦しいほどに降り注いだ。

 

「や……やめて……! 俺……こんな汚い豚どもに犯されるなんて……絶対にいやだ……!」

 

 細い手足で必死に押し返そうとする。

 これでもパーティでは剣士として鍛えてきた体だ。

 肩をぶつけ、腕を振り回し、足を蹴り上げる。

 

 しかし、その抵抗も、オークの怪力の前では赤子のそれと変わらなかった。

 

「ひっ!? 離せ……! 離せよ……!」

 

 鉤爪のような手が少年の腰を掴み、無造作に両脚を広げさせる。

 指が肉に食い込み、痛みにリックの身体が強張る。

 

「いや……! いやだ……! 俺は……まだ……! 初めては……フェリクス様にとっておいて……」

 

 その言葉は、オークの耳には届かない。

 いや、届いたとしても、意味などなかった。

 

 そして——準備も慈悲もなく。

 

 ずぼぉおおおおお!

 

「ひぎぃいいいいいいいいいいっ!!!」

 

 喉が張り裂けんばかりの絶叫が洞窟に木霊する。

 リックの身体が弓なりに反り返り、爪がごつごつした床を掻きむしり、血痕を残す。

 脳髄を直接焼かれるような激痛が全身を駆け抜けた。

 

 オークは間髪入れずに荒々しく腰を振り始める。

 

 ずっく、ずっく、ずっく、ずっく

 

 腸壁を擦り、奥を容赦なく抉る。

 肉と肉がぶつかる湿った音が、洞窟にぱんっ、ぱんっと響き渡る。

 

「ぎゃうっ……! 痛い……痛いよぉ……! 乱暴にしないで……お願いですからぁ……!」

 

 最初から最後まで、ただの激痛だった。

 血が流れ、身体が熱くなるのは炎症による熱でしかない。

 

 リックは泣き喚き、声が枯れるまで叫び続けた。

 これまで他人に頭を下げ、へつらい、笑顔で生き延びてきた少年のプライドが、獣の凶器によって粉々に踏み砕かれていく。

 

 一頭が終わると、すぐに次のオークが交代する。

 二体目、三体目、四体目……まるでオークたちの性処理人形のように、ただただ犯され続ける。

 毎回、異なる大きさの凶悪な肉棒によって窄まりがずっぽりと開かれ、そのたびに血が飛び散り、少年の悲鳴が洞窟を満たした。

 

「うぅっ……! もう……やめて……ちゃんと……奉仕しますからぁ……! 俺を……フェリクス様を……殺さないでぇ……!」

 

 命乞いの言葉は、次第に意味を失い、ただの嗚咽に変わっていった。

 何度も何度も灼熱の白濁を注ぎ込まれ、腹部が妊婦のように膨らむ。

 入りきらなかった分が尻穴から逆流し、太腿を伝って床に水たまりを作る。

 

 やがて、オークたちが満足し、リックを地面に打ち捨てた。

 

「はひっ……はひぃいいい……♡」

 

 フェリクスに金魚の糞のようにくっついて平民からの立身出世を目指した赤髪の剣士は、床に転がされ、腹を膨らませ、拡張された尻穴から白濁と血を垂れ流していた。

 虚ろな瞳は天井の一点を見つめたまま、焦点が合っていない。

 

 彼の唇が、かすかに動く。

 うすら笑みが浮かんでいた——それは、気でも狂ったかのような、壊れた人形の微笑みだった。

 

 

 ──最後に、ノエルだった。

 

「神よ……どうか……僕たちをお守りください……神の使いを……どうか遣わしてください……」 

 

 ノエルは、涙で滲む視界の中で、二人の仲間が次々と穢され、壊されていく光景をただ見つめ続けるしかなかった。

 聖魔法士として神に捧げた祈りは、今は己の無力さを呪うだけの虚しい響きに成り果てていた。

 何もできない。

 ただ、次は自分だと知りながら、鎖の中で身を縮め、待つしかない。 

 

 ――そして、その時は来た。 

 複数のオークが、ゆっくりとノエルの前に立ち塞がる。

 粘つく欲望に満ちた肉槍を、誇示するように少年の顔前で握りしごき、熱気を吐き出しながら突き出してきた。

 

「ひっ……!」 

 

 ノエルは恐怖で引きつった声を漏らし、ずれ落ちそうな丸いメガネ越しに獣どもを見上げた。

 レンズが曇り、視界がさらに歪む。

 

(いやだ……こんなの……絶対に嫌だ……! 神よ……どうか……) 

 

 だが、この魔窟に神の耳など届かない。 

 鉤爪のような手が、純白の聖魔法士のローブを乱暴に掴む。

 

 ビリビリビリビリッ!

 

 乾いた破砕音が連続し、聖衣が粉々に引き裂かれ、ぼろ布のように床に散った。 

 冷たい洞窟の空気が、これまで神の加護に守られてきた柔らかな素肌を直接撫でる。

 雪のように白く、穢れを知らぬ肌――細い肩、華奢な胸、平らな腹、震える太もも――に、獣たちの粘つく視線が何本も突き刺さった。 

 喰われるのではない。

 ――穢されるのだ。 

 

 その事実を三番目にして悟った瞬間、ノエルの心は、死の恐怖とは別の、底なしの絶望へと堕ちた。

 魂そのものを蹂躙され、信仰も尊厳も未来も、すべてを根こそぎ奪われる――絶対的な屈辱と喪失。

 

「や……やめて……! ねぇ……もう、こんな乱暴なこと……やめようよ……みんなで……話し合おうよ……?」 

 

 か細く、優しい声で抵抗を試みる。

 これまで人々を癒し、諭してきた聖少年らしい、穏やかで理性的な言葉。

 だが、それはオークたちの嘲笑を誘うだけだった。

 低く喉を鳴らす笑い声が、洞窟に響く。 

 

 華奢な身体は力ずくで床に押し倒され、ごつごつした岩肌が剥き出しの背中を容赦なく削った。

 鋭い痛みが走るが、それすらこれから始まる悪夢に比べれば、ほんの序章に過ぎない。 

 

 一頭のオークがノエルの細い腰を抱え上げ、軽々と持ち上げる。

 熱く脈打つ肉槍を、小さな菊門へとぐりぐりと押し当てる。

 先端の粘液が入口を汚し、少年の身体がびくんと震えた。

 

「いや……いやだよ……! 天におわす我らのヴァルクリア神よ……どうか弱き信仰の民を……お守りください……!」 

 

 子供のように泣きじゃくりながら、必死に祈りを捧げる。

 だが、神の奇跡は起こらない。

 ただ、獣の荒い息だけが耳元で響く。 

 

 そして、ズブリッ! という湿った音と共に、純潔が無惨に散らされた。

 

「あ……ぅぅ……」 

 

 痛みは、すぐには来なかった。

 衝撃があまりに大きく、身体が感覚を一時的に麻痺させたのかもしれない。

 だが、その代わりに――魂にぽっかりと大きな穴が空いたような、絶対的な喪失感が彼を襲った。

 神に捧げたはずの身体が、獣に奪われた瞬間。

 信仰の基盤が、音を立てて崩れ始める。

 

 

『ぶひひひひひぃ……』 

 

 オークが獣のように腰を振り始めると、ノエルの口から、もはや悲鳴にすらならない、空虚な息が漏れ出した。 

 

 ずぶっ……ずぶっ……ずぶっ……ずぶっ…… 

 

 ゆっくりと、深く、少年の内側を抉るように。

 腸壁が無理やり拡げられ、熱い摩擦が生まれる。

 

「い……ぁ……! も……やめて……ぁ……!」 

 

 かつて神に捧げた清らかな声は、今や獣の欲望を煽る媚薬と化していた。

 ひたすらに、機械的に、腰を打ち付けられるたび、ノエルの魂はガラスのように砕け散っていった。 

 一頭が終わると、すぐに次のオークが交代する。

 絶え間なく犯され続け、身体の奥が熱くなり、腸壁が獣の形に馴染んでいく。

 

「んぁ……あっ……! いや……こんな……神様……どうして……」 

 

 信仰が崩壊する。

 祈りの言葉が、次第に喘ぎに変わっていく。 

 何体目かのオークが、特に深く突き上げた時――

 ノエルの身体がびくんと跳ね、慎ましい先端から透明な雫が零れた。

 

(いや……こんな……僕の身体が……どうして……) 

 

 聖なる身体が、獣の凌辱に反応している。

 心が拒絶しても、肉体は正直に生理的な反射を示してしまう。 

 やがて、灼熱の白濁が何度も何度も体内に注ぎ込まれ、入りきらなかった分が太ももを汚して滴り落ちる。

 腹が少しずつ膨らみ、熱い液体が内側を満たす感覚が、ノエルの精神をさらに蝕んだ。 

 そのたび、ノエルの中で何かがぷつり、ぷつりと切れていった。 

 

 虚ろな瞳で洞窟の天井を見つめるノエル。

 純白だった魂は、繰り返される陵辱によって、もう汚れることすらやめていた。

 腸壁を削る肉槍に、ただ生理的に反応するだけ。 

 

 漏れる「あ……ぅ……はぁ……」という甘い息は、苦痛と快楽の境界が完全に溶け、ただの反射と化した、壊れた聖少年の残響だった。 

 

 三人の少年たちは、夜通し獣たちの玩具として弄ばれ続けた。 

 朝の光が洞窟に差し込む頃、彼らの身体は白濁に塗れ、穴は開いたまま収縮を繰り返し、瞳は虚ろに虚空を見つめていた。 

 

 高慢な貴族、世渡り上手な従者、清らかな聖魔法士――

 すべては、獣の欲望の前に等しく砕け散った。

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。