※この作品はR-18です。

モブおじ精液でレベルアップ!? ~でも好みのショタっ子しか手助けしません!!~   作:とけそうだら

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第二十九話 モーブルと冒険者ギルドからの特別依頼②

 ドスン、と重い扉が閉ざされ、外の世界との繋がりが断ち切られた。  

 その音が逃げ場のない檻の完成を告げる。

 

 『特別応接室』――そこは、上級冒険者や特権階級の貴族たちが、表では語れぬ欲望を吐き出すためだけの、地下の楽園(エデン)。

 

 靴が沈み込むほど分厚い深紅の絨毯に、鼻腔をくすぐる甘ったるい香油の匂い。  

 部屋の中央には、あからさまな情事のための巨大なベッドが置かれている。

 

 だが、ティオの美しい顔を恐怖で歪ませたのは、壁際に並ぶガラス棚の異様さだった。

 

 そこには、倒錯した性癖を満たすための「衣装」と「道具」が、ずらりと吊るされていたのだ。  

 裸同然の薄いレースの下着や、身体のラインを強調するエナメルのボディスーツ。  

 そして、それらの衣装と共に並べられた、凶々しくも淫らな玩具たち。

 

 人を犬のように繋ぐための首輪と鎖。  

 しなやかにしなる革の鞭。  

 そして、身体の穴という穴を開発するために作られた、大小様々な張形や、粘液のようなローションの瓶が、妖しい光を反射して並んでいる。  

 それはまるで、快楽を与えるための拷問器具のようだった。

 

 

「ほう……噂には聞いていたが、なかなかの装いだ。グレゴールのやつめ、お偉いさんへの『おもてなし』には金を惜しまん男と見える」

 

(うそ……ここ、本当に冒険者ギルドなの……? なんで、こんな卑猥な道具ばかり……ッ)

 

 

 ティオの視線が、壁際に陳列された凶々しくも艶かしい玩具の群れに釘付けになる。

 そこはもう、見慣れたギルドの空気など欠片もない、欲望だけが煮詰められた異界だった。

 

 

「ささ、ティオくん。そんなところに立ってないで、そこの長椅子に掛けておじさんとお話でもしようか」

 

 

 モーブルは、ここが自分の寝室であるかのように余裕たっぷりに振る舞い、肉厚な手でソファを指し示す。

 

 

「し、失礼、します……っ」

 

 

 ティオは捕食者に睨まれた小動物のように震えながら、長椅子の端へ恐る恐る腰を下ろした。

 

 ずぶり。  

 最高級のフェザークッションが、ティオの華奢な腰と臀部を深々と呑み込む。  

 腰が抜けるような浮遊感と、逃れられないホールド感。  

 まるで底なしの湿地に足を取られたような錯覚に、ティオは小さく喘いで息を呑んだ。

 

 現実感を失いかけているティオを、モーブルの品定めするような視線が、頭のてっぺんから爪先までねっとりと舐め回す。

 

 

「ふーむ……。近くで見れば見るほど、極上の素材だ。汗と筋肉臭い野郎ばかりのこの掃き溜め(ギルド)に、まさかこれほど清らかな一輪の花が咲いておるとはな。……その無垢な蕾(つぼみ)が、この淫猥極まりない部屋の空気に当てられ、怯えている様を見るだけで――たまらなくそそるわ」

 

「あのっ……そのっ……」

 

「よいよい、そう警戒するな。わしは慈悲深い男だ。君からの熱烈なラブコールだと言うから、こうしてわざわざ席を設けてやったのだぞ?」

 

 

 モーブルはニヤニヤと下卑た笑みを浮かべ、ティオの退路を塞ぐように、その巨体でソファの余白を埋めた。

 

 ズプンッ、と重苦しい音が響く。

 最高級の革張り長椅子が、巨漢の圧倒的重量に耐えかねて大きくひしゃげた。

 その物理的な余波で、軽いティオの身体は、抗う間もなく滑り落ち、モーブルの肉塊の方へと引き寄せられてしまう。

 華奢な肩と二の腕が、熱を持った分厚い肉体に、べとりと密着する。

 

 

「ひっ……!」

 

「それで……今日はどんなおねだりかな? ん? 欲しいオモチャでもあるのか? それとも、お小遣いが欲しいのか? いやいや、もしや……わしのような大人の男に抱かれたくて、うずうずしていたとか! ぐほほ! 優しいおじさんがぜーんぶ叶えてやるから、正直に言ってみたまえ!」

 

 

 鼓膜を撫でる吐息。

 鼻をつく甘ったるい香油とミントの混ざった匂い。 

 ティオは羞恥と恐怖で耳まで赤く染め、太腿の上で拳を固く握りしめた。  

 怖い。足が震える。  

 今すぐここから逃げ出して、シャワーでこの空気を洗い流したい。

 

 けれど、ここで引くわけにはいかない。

 引けば、リシア先輩が終わる。

 

 

(言え……! 言うんだ僕……! リシア先輩を守るんだ……!)

 

 

 モーブルは、そんな少年の悲壮な決意さえも、酒の肴のように楽しんでいる。  

 網にかかった蝶を眺めるような、残酷な笑み。  

 

 

「ん? どうした? 黙り込んでいては、商談にならんぞ。……ほら、君のその可愛い口で、欲しいものをねだってみたまえ」

 

「あ、あのっ……モーブル様っ……!」

 

 

 ティオは震える喉を叱咤し、腹の底から精一杯の虚勢を張り上げた。

 

 

「ギルドマスターの、依頼を……ッ! どうか……どうか、引き受けてくださいッ!! お願いしますッ!!」

 

「……ほーん? 依頼、か。あのハゲ狸の話など、鼻で笑って聞き流しておったからなぁ。もう一度説明してもらえんかね」

 

 

 モーブルの声から、先程までの甘い粘度が嘘のように消え失せる。  

 そこにあるのは、損得だけを弾く商人の冷たい響きだけだ。

 

 

「す、すみません……詳しいことは、僕も……聞かされてなくて……。でも、きっと……命懸けの、危ない仕事だと、思います……。でもっ、モーブル様にしか頼めなくて……お願い、しますっ……!」

 

 

 涙ながらの懇願。  

 しかし、返ってきたのは、底冷えするようなため息だった。  

 モーブルは「くだらん」と吐き捨て、興味を失ったようにソファから巨体を持ち上げ、ドスドスと歩き出す。

 

 

「……ティオくんよ。勘違いしてもらっては困るぞ。わしは商人だ。慈善家でも、正義の味方でもない。仮に首を突っ込んだとして、わしに何のメリットがある? 君のところのマスターが提示した報酬なんぞ、地獄へ飛び込む対価にしちゃあ、あまりに安すぎる……わしの命を張るには値せんゴミ屑だ」

 

「う……それは……でも……モーブル様は……凄くて、立派な方だから……マスターも貴方を頼って……」

 

「頼る? フン、あんな筋肉ダルマのハゲ親父に頼られても、ちっとも嬉しくはないわい。迷惑なだけだ。……それに何より、今回の『助ける対象』が気に食わん」

 

 

 モーブルはニタリと皮肉な笑みを浮かべ、人差し指を立てた。

 

 

「わしはな、あきんどだ。長いものには巻かれるし、金のためなら悪魔の靴裏だって喜んで舐める。プライドなんぞで腹は膨れんからな」

 

 

 モーブルは自嘲気味に鼻を鳴らすと、ぎらりと目を光らせた。

 

 

「……だがな。たった一つ、どうしても譲れん『一線』がある」

 

「え……?」

 

「『ゼノンへの服従』だ。……いいか、かつてあの男はわしの尊厳を、それこそ汚物のように扱い、嘲笑い、踏みにじり尽くした。わしの人格を否定し、心まで殺そうとした相手だぞ?」

 

 

 吐き捨てる言葉には、煮えたぎるような憎悪が混じる。

 

 

「他の誰になら頭も下げよう、靴も舐めよう。だが……奴にだけは、死んでも尻尾は振らん! 過去のいじめを水に流し、命懸けで息子を救うだと? ……笑わせるな。わしの魂はな、あいつに安売りできるほど安くはないわ!」

 

「うぅ……っ」

 

 

 ティオは絶望に打ちひしがれた。  

 単なる損得勘定なら、お金で解決できたかもしれない。

 でも、これは「感情」の問題だ。

 積年の恨みを、僕なんかが覆せるわけがない。

 

 

(やっぱり僕は……何もできない……。大人の事情も、過去の因縁も……ただの役立たずの見習いには、重すぎるんだ……)

 

 

 ティオは俯いたまま、自分のあまりの不甲斐なさに拳を震わせた。  

 モーブルはそんな少年を鼻で笑い飛ばすと、隣室の扉――リシアが待つ方向へ、いやらしい視線を向けた。

 

 

「あーあ、とんだ時間の無駄だったな。……わしは向こうへ戻って、リシアちゃんに『慰めて』もらうとするよ。あんな美人に泣いて縋(すが)られながら奉仕されれば、過去の古傷も少しは癒えるだろうからなぁ!」

 

「……え、そ、そんな……」

 

 

 ティオの思考が真っ白に染まる。  

 だが、直後に脳裏をよぎったのは、地獄のような光景だった。  

 裸で震えるリシア。

 この下卑た男に犯され、過去の恨みの捌け口として慰み者にされる姿。

 

 ――『お前が逃げれば、リシアは今夜、モーブルの玩具になる』

 

 

(嫌だ……っ! あんなに優しくて綺麗な人が、復讐の生贄にされるなんて……ッ!)

 

 

 恐怖よりも、嫌悪よりも、大切な人を守りたいという想いが、少年の震える膝を叱咤した。  

 ティオは弾かれたように顔を上げ、立ち去ろうとするモーブルの丸太のような腕に、必死にしがみついた。

 

 

「だ、ダメっ……です! 行かないで……リシア先輩のところへ行っては、ダメです!」

 

「ああん?」

 

「お……お願いです、モーブル様。過去に何があったかは……僕には分かりません……。でも、リシア先輩は関係ないじゃないですか……! お金なら……僕の貯金、全部出します……! これからの給料も、一生分、全部差し上げます……。だから……リシア先輩に手を出さないでください……!」

 

「はっ、笑わせるな。子供の小遣い銭を集めたところで、何になる? わしが背負うリスクは『命』、そして飲み込むべきは『プライド』だ。金貨が何枚積まれようと、割に合わん」

 

 

 冷徹な拒絶。  

 金でも、情でも動かない。  

 それでも、ティオは引かなかった。

 ここで手を離せば、リシアが終わる。その事実が、臆病な少年に最後の勇気を与えた。

 

 

「だったら……っ! お金でも、意地でもないなら……何を捧げればいいんですか!? 僕に何ができるんですかッ!?」

 

 

 ティオはモーブルの胸倉を掴まんばかりの勢いで叫んだ。

 

 

「ぼ、僕にできることなら……ッ、何でもします! 下働きでも、奴隷でも……い、命だって構いません! 僕の身体、なんでも差し出しますから……っ! だから……お願いですから、リシア先輩を……僕たちのギルドを見捨てないでくださいッ!」

 

 喉が裂けんばかりの絶叫。

 モーブルは、涙で顔をぐしゃぐしゃに濡らしながら、それでも一歩も引かずに懇願する少年を、値踏みするような熱っぽい瞳で見下ろした。

 

 絶望に揺れる、濡れた瞳。

 感情の高ぶりで朱に染まった、桜色の頬。

 か弱き少年が、自らの身を挺して大切な人を守ろうとする、その儚くも美しい姿。

 

 それはまさに、折れる寸前の剣を掲げる、誇り高き「小さな騎士」。

 その気高くもいじらしい姿に、モーブルは「ほう」と感嘆の吐息を漏らさずにはいられなかった。

 

 その瞬間、モーブルの心の中で、厳格だった天秤がガシャンと音を立てて傾いた。

 

 

(よし…………ティオくん、合格ゥッ!!)

 

 

 表情こそ鉄壁のポーカーフェイスを崩していないが、その分厚い腹の奥底では、煮えたぎるような欲望と計算が渦巻いている。

 

 モーブルの視線が、震えるティオの肢体に釘付けになる。

 

 

(この極上の純真無垢(ピュア)が手に入るとなれば、話は別だ! 見ろ、この一点の曇りもない瞳を! 愚かしいほどの自己犠牲、他者への無償の愛! ……金貨などという無機物では決して買えない、生きた宝石がここにある!)

 

 

 モーブルにとって、「美少年」とは単なる性的な対象を超えた、信仰に近い絶対的価値を持つ存在だ。

 それがこれほどの逸材ともなれば、自身のプライドや過去の因縁など、喜んでドブに捨てられる。

 

 

(本来なら、あの憎きゼノンの頼みなど、金貨を山と積まれても断るつもりだった。あいつの下につく屈辱は、死にも勝る苦痛だ。……だが!)

 

 

 モーブルの視線が、震えるティオの肢体に釘付けになる。

 

 

(この極上の純真無垢(ピュア)が手に入るとなれば、話は別だ! 見ろ、この一点の曇りもない瞳を! 愚かしいほどの自己犠牲、他者への無償の愛! ……金貨などという無機物では決して買えない、生きた宝石がここにある!)

 

 

 モーブルにとって、「美少年」とは単なる性的な対象を超えた、信仰に近い絶対的価値を持つ存在だ。

 それがこれほどの逸材ともなれば、自身のプライドや過去の因縁など、喜んでドブに捨てられる。

 

 ゼノンへの憎しみは深い。

 だが、この少年を我が物にし、自分色に染め上げる快楽は、その苦痛を補って余りある「黒字」だ。

 

 

(よし、取引成立だ。……わしの憎悪も、商人の矜持も、すべてこの子の『対価』として飲み込んでやろうじゃないか!)

 

 

 無垢なる美少年の魂を手に入れること。

 それは彼にとって、世界のどんな財宝よりも優先される「生きる意味」そのものなのだから。

 

 モーブルは腹の底で舌なめずりをし、震える「商品」へと一歩近づいた。

 

 

「――今、『何でも』と言ったな?」

 

「え……?」

 

「ティオくん。そこまで言うのなら……商談を再開しよう。わしは君のような、一途で健気な子が、大好物でなぁ……」

 

 

 ガシッ、と岩のような掌が、ティオの華奢な肩を捕らえた。  

 モーブルは顔を近づけ、硬直する少年の鼓膜へ、甘い毒のような声を注ぎ込んだ。

 

 

「商売の鉄則は『等価交換』だ。わしが危険を冒すのなら、君もそれに見合う対価(・・)を支払わねばならん。……そうだな。わしの言うことを、“何でも”聞いてくれるというのなら――特別に助けてやっても、いいぞ?」

 

「……本当ですかッ!」

 

 

 ティオの顔にパァッと希望が差す。  

 地獄に降りた蜘蛛の糸。  

 それに無心で縋り付こうとする少年の顔は、神々しいほどに無防備だった。

 

 モーブルは、獲物がかかったことを確信し、ねっとりとした笑みを浮かべた。

 

 

「ああ。ただし条件がある。――リシアちゃんの代わりに、君がわしの『性処理係』になることだ」

 

「……え?」

 

 

 ティオの時が止まる。  

 今……なんて言った……?  

 僕が……このおじさんの……性処理係になる……??

 

 

「……あ、あのっ、それは……」

 

「分からんか? わしは無類の美少年好きでな。……君のような極上品を、性の捌け口として求めているのだ」

 

 

 ぬるり、と。  

 モーブルの分厚い手が、ティオの腰から柔らかい尻へと這い回り、肉を鷲掴みにした。  

 まるで市場に並ぶ果実の熟れ具合を確かめるような、下卑た手つき。

 

 

「ひぅっ……! や……ッ」

 

 

 背中をナメクジが這うようなおぞましさ。  

 ティオの華奢な身体がビクリと跳ね上がる。  

 耳の奥で、ギルドマスターの命令がリフレインする。

 

 

『彼がその身を味見したがったら――乳首も、股間のイチモツも、後ろの窄まりも……すべて捧げて、たっぷりと可愛がってもらうんだ』

 

 

 ティオは小刻みに震え、唇から血が出るほど噛み締めた。  

 怖い。気持ち悪い。逃げたい。

 

 

「さぁ選べ。わしのベッドで可愛がられるか、それともここを出てリシアちゃんを地獄に落とすか……。答えは決まっているだろう?」

 

(そんなこと……されるなんて……。嫌だ、怖い…………でも……)

 

 

 本能が警鐘を鳴らしている。  

 だが、ティオは動けなかった。  

 ここで拒めば、この汚らわしい欲望は、あの大切な人へと向けられる。  

 その絶望的な事実が、彼をその場に縛り付けていた。

 ティオは溢れる涙を振り払うように強く目を閉じ、震える喉を必死に開いた。

 

 

「……わかり、ました……。モーブル、様。……ぼ、僕を……好きに、使ってください……。僕が……リシア先輩の、代わりになりますから……っ」

 

 

 掠れたその声は、少年の無垢な心が死んだ音だった。

 それは、自らの尊厳をドブに捨て、自らを「玩具」として差し出す敗北の言葉。  

 普通の男の子としての人生への、終わりの合図。

 

 その瞬間。  

 モーブルの顔が、抑えきれない劣情でドロリと歪んだ。

 

 

「おほほほ♡ そうかそうか、ティオくんは実に聞き分けのいい子だ! よくぞ決心した! ……ならば善は急げだ。さっそく君の肉体性能(スペック)を、たっぷりと味見させてもらおうか……!」

 

 

 モーブルは愉悦に染まった声で囁くと、両手でティオの小さな身体を軽々と抱き上げた。  

 ふわり、と身体が浮く。  

 それは地獄の祭壇へと運ばれる、生贄の浮遊感だった。  

 抵抗する気力すら奪われたティオは、されるがままに部屋の奥――煌びやかな天蓋付きベッドへと運ばれた。

 

 ドサリ。  

 ギィィ、と重厚なベッドが軋みを上げ、ティオの華奢な身体を深々と飲み込む。  

 反転した視界を、圧倒的な質量の「肉」が覆い尽くした。

 

 

「くっくっく。では、ティオくん。君の覚悟の程、しっかりと見せてもらおうかね」

 

 

 モーブルの脂ぎった巨体が、岩のようにティオの上にのしかかる。  

 逃げ場はない。  

 鼻をつく香水と、雄の臭いが混じった濃厚な空気が、物理的にも精神的にもティオを押し潰していく。

 

 

「ひうっ……」

 

 

 ベロリ、と。  

 分厚く湿った舌が首筋を這い上がり、ティオは喉の奥で悲鳴を殺した。  

 軟体動物が這うような感触に、総毛立つような悪寒が走る。

 

 

「ほほう……甘い鳴き声だ。身体も……なんと頼りない。まるで『極上の砂糖菓子』のようだ」

 

 

 モーブルのイモムシのような指が、ティオのペラペラの腹部を、あばら骨の鍵盤を弾くように這い上がる。  

 市場で果実の熟れ具合を確かめるような、ねっとりとした手つき。  

 食われる。

 その本能的な恐怖が、胃袋を冷たく握りつぶす。

 

 

「こんな小枝のような腰じゃ、わしの愛(巨根)を受け止めたら……ポキリと折れてしまいそうだな? ん?」

 

 

 耳元に吹き込まれる、加虐的な愛の言葉。  

 その意味を理解した瞬間、ティオの思考が真っ白に弾けた。

 

 

(こ、怖い……! 潰される……壊される……っ!)

 

 

 過呼吸に陥り、薄い胸が激しく上下する。  

 震えるティオを嘲笑うように、モーブルの手がズボンと下着へ伸び――容赦なく引き下ろした。

 

 

「ひゃっ……!」

 

 

 シュッ、という衣擦れの音と共に、秘部が外気に晒される。  

 無防備に露わになったのは、まだ未成熟な薄紅色の性器と、誰にも暴かれたことのない清らかな蕾。

 

 

「やっ……! み、見ないでくださ……っ!」

 

 

 あまりの恥辱に、ティオは反射的に両手で股間を隠そうとした。  

 だが、ガッ!と両手首を頭上で縫い付けられる。  

 完全な拘束。絶対的な晒し者。

 

 

「なーにを隠す? これからもっと恥ずかしいことをするんだぞ? リシアちゃんはもっと際どい格好で奉仕しているというのに……君にはプロ意識というものがないのかね?」

 

「そ、そんな……。で、でも……」

 

 

 モーブルは、骨董品を鑑定するような目で、じっくりとティオの股間へ顔を寄せた。

 

 

「ムホホホ♡ これはこれは……。ティオくんの下半身は、実に可愛らしい『お子様サイズ』だなぁ」

 

 

 モーブルが鼻息荒く、ティオのペニスを指で弾いた。

 

 

「この皮被りの幼い陰茎……たまらん。先端の皮が余り、まるで『上質な薄絹』のように細く余っておるわ。皮を摘めば、ビローンとどこまでも伸びそうだ。……ああ、今すぐこの皮ごとしゃぶり尽くしてやりたい」

 

「ひぅっ……あ、あ……」

 

「それにこの尻穴、うむ。使われていないだけあって、色も形も綺麗だ。窄まりも小さく、純粋なピンク色をしておる。素晴らしい『特級品』だ。わしの極太を突っ込めば、裂けるほど広がって……さぞかしイイ声で鳴くのだろうなぁ♡」

 

 

 その瞳には、おぞましいほどの所有欲が宿っている。  

 言葉で犯されているような感覚に、ティオは涙を流して首を振った。

 

 

「お願い……です……! 見ないで……そんな恥ずかしいとこ、見ないでください……っ!」

 

「ん? 断る。……わしはな、君という『新商品』に欠陥がないか、チェックせねばならんのだよ。これは遊びじゃない。れっきとした仕事……厳正なる『検品作業』だ」

 

 

 もっともらしい理屈だが、その顔は欲望でドロドロに溶け、獣のように歪んでいる。

 

 

「ひっ……!」

 

 

 ヌプリ、とモーブルの分厚い手が、ティオの小ぶりな尻を鷲掴みにした。  

 熱い掌が柔らかな肉にめり込み、その弾力を味わうように、執拗に、乱暴に揉みしだく。

 

 

「うぐっ……! んっ……や、め……!」

 

 

 ソーセージのような指先が、割れ目の最奥へと侵入し、固く閉ざされた門を無理やりこじ開けようと蠢く。  

 内側に侵入してくる異物の感触。  

 ティオは本能的な恐怖で身体を強張らせ、悲鳴を押し殺した。

 

 

(嫌だ……怖い……っ! 犯される……ッ!)

 

 

 だが、少年のささやかな抵抗など、暴走する商人の前では無意味だった。  

 モーブルの指は、より深く、より卑猥に侵略を開始する。  

 

 くにゅ、くちゅ、にゅぷ

 

 愛撫という名の蹂躙。  

 処女地であるアナルを、穿(うが)つようにまさぐり始めたのだ。

 

 

「ひゃっ、あっ、だめっ! そこ、入ってくるぅっ!」

 

「ほう、良い吸い付きだ。……ほら、もっと力を抜け。そう緊張していては、奥まで指が入らんぞ?」

 

 

 ティオは首を振って拒絶したが、モーブルは意に介さない。  

 むしろその抵抗をスパイスにするように、グリグリと乱暴に指を回転させ、狭い入り口を蹂躙していく。

 

 

「ふむ……狭いな。小指一本で悲鳴を上げるとは。……だが、その狭き門をこじ開ける瞬間こそが、男の至福というものだ」

 

 

 モーブルは下卑た舌なめずりをし、ティオを捕食者の瞳で見下ろした。

 

 

「よーし。指慣らしは十分だ。……では、ティオくんのその穢れなき穴に、わしの『特大棍棒』をご馳走してやろう」

 

 

 モーブルはズボンを引き下げ、股間から獰猛な肉食獣を解き放った。

 バゥンッ!と質量のある音が響く。

 現れたのは、少年の常識を覆すほどの、圧倒的な暴力装置。

 赤黒く充血し、浮き出た血管が脈打つその様は、まるで生き物のような威圧感を放っている。

 

 

「ひっ……!?」

 

(うそ……何あれ……。あんなの……入るわけない……! 壊れちゃう……内臓まで壊されちゃうよぉ……ッ!)

 

 

 突きつけられた物理的な「死」の恐怖。

 だが、それ以上にティオの精神を蝕んだのは、あまりに強烈な「雄」の現実だった。

 

 目の前にあるのは、夢見ていたような、白く柔らかな女の子の肌ではない。

 黒々と生い茂る剛毛。鼻をつく獣のような体臭。そして、ドス黒く濁った、醜悪な肉の塊。

 生理的な嫌悪感が、胃の腑から酸っぱいものをせり上がらせる。

 

 

(やだ……気持ち悪い……ッ! 僕、男なのに……男の人と、こんなことするなんて……ッ!)

 

 

 モーブルはその巨根を握りしめると、ティオの怯える肛門に、容赦なく亀頭を押し当てた。

 焼けるような熱と、鋼鉄のような硬度が、粘膜越しに伝播する。

 

 

「……ふぅっ、いい子だ。力を抜いて……受け入れるんだ……」

 

 

 モーブルは悦に入った顔で、ティオの耳元に荒い息を吹きかける。

 獣の鼻息と、むせ返るような加齢臭と香水の混ざった匂い。

 ティオの脳裏に、リシアのような「いい匂いのする、柔らかい女の子」との甘い初体験の妄想が過り――そして、この残酷な現実に掻き消された。

 

 そして、モーブルは慈悲なく侵略を開始した。

 ヌプッ、と神聖な領域が、太すぎる肉塊によって無理やり拡張される感覚。

 

 

(む、無理……絶対無理だよぉ……っ)

 

 

 ティオの潤んだ瞳が、恐る恐る股間の凶器を見る。

 そこにあるのは、快楽を与える道具ではない。人間を破壊するための杭だ。

 こんなものが、体内を貫通したら?

 裂ける。血が出る。死ぬ。

 

 そして何より――僕の人生の「初めて」が、こんな汚いおじさんに奪われてしまう。

 

 ティオは恐怖と絶望のあまり過呼吸を起こしかけた。

 覚悟は決めていた。リシア先輩を守るためなら、男としての尊厳などドブに捨ててもいいと。

 なのに――本能が、生物としての矜持が、けたたましく警報を鳴らし続ける。

 

 

(嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だッ! 女の子がいい! こんな太ったおじさんじゃなくて、可愛い子とキスしたい! こんな痛いのじゃなくて、優しく愛し合いたい……ッ!)

 

「さぁ、ティオくん。愛の儀式だ。……痛いのは最初だけだぞ? すぐに気持ちよくておかしくなるからねぇ♡」

 

 

 愛の儀式。その言葉が、ティオの中の何かを決定的に汚した。

 ググッ、とモーブルが腰に力を込め、さらに深く杭を打ち込もうとする。

 

 メリッ、メリメリッ。

 

 入り口の皮膚が悲鳴を上げ、極限まで引き伸ばされる音が頭蓋に響く。

 肛門が裂ける痛みと共に、彼が大切に守ってきた「純潔」と「ノーマルな男の子としての未来」が、音を立てて崩れ去っていく。

 

 その絶望を感じた瞬間、ティオのリミッターが外れた。

 

 

「――ッ、い、いやぁぁぁぁぁぁッ!!」

 

 

 本能の暴走。

 ティオは火がついたようにシーツを蹴り、侵入しかけていた先端から逃れるように、ヘッドボードへ向かって這いずった。

 ポンッ!と間の抜けた音が響き、結合が解かれる。

 

 

「ひっ、ぐすっ、うぅ……っ! むり、むりぃ……っ!」

 

「……ん?」

 

 

 行き場を失った怒張を持て余し、モーブルが呆気にとられた声を出す。

 ティオは壁の隅で膝を抱え込むと、両手で顔を覆い、子供のように泣きじゃくった。

 

 

「ご、ごめんなさい……っ! やっぱり、できません……っ! 僕、怖い……っ! こんな大きいの……入るわけないですぅ……っ!」

 

 

 英雄的な自己犠牲の精神はどこへやら。

 そこにいるのは、ただの等身大の少年だった。

 ティオは涙と鼻水でぐちゃぐちゃになった顔を上げ、これまで蓋をしてきた本音と、魂の叫びをぶちまけた。

 

 

「ぼ、僕まだ、女の子と手も繋いだことないのに……大事にとっておいた童貞なのに……っ! 前より先に、お尻の初めてを捧げるなんて……そんな残酷な運命、耐えられませんっ! うわぁぁぁぁんっ!」

 

 

 あまりに情けない、けれど本人にとっては魂の叫び。  

 ティオは小動物のように丸まり、わんわんと涙を流し続けた。  

 男としての尊厳。

 守るべき生物学的順序。  

 それらが理不尽に蹂躙される未来に耐えきれず、子供のように泣きじゃくる。

 

 これでは交渉決裂だ。

 激昂されても文句は言えない。  

 リシア先輩を救うどころか、自分の情けなさで全てを台無しにしてしまった。  

 

 絶望に打ちひしがれるティオだったが――。

 

 

「……くく、あっはっはっは!!」

 

 

 頭上から降ってきたのは、予想外の爆笑だった。

 

 

「え……?」

 

 

 ティオが涙目で、恐る恐る顔を上げる。  そこには、目尻に涙を浮かべ、腹を抱えて笑い転げるモーブルの姿があった。

 

 

「傑作だ! 実に傑作だぞ、少年! まさか土壇場で泣き出した理由が、『前か後ろか』の順序問題とはな! いやはや、その青臭さ……まさに収穫前の果実そのものよ!」

 

「モ、モーブル、様……?」

 

 

 モーブルはひとしきり笑うと、ふっと表情を戻し、膝をついてティオと視線を合わせた。  

 その瞳から、先程までの暴力的な獣の色が消えている。  

 代わりに宿っているのは、損得勘定を弾く冷徹で、かつ楽しげな「商人」の光だ。

 

 

「安心したまえ、ティオくん。わしも鬼ではない」

 

 

 モーブルは大きな手で、ティオの濡れた頬を乱暴に、しかしどこか親愛の情を込めて拭った。

 

 

「泣き叫ぶ子供を力ずくでねじ伏せる趣味はない。性愛とは、互いの魂と肉体を貪り合うコミュニケーションだ。恐怖でガチガチに萎縮した穴を犯したところで、そこにあるのは苦痛だけ。……そんな不味い食事、わしの美学に反する」

 

「じゃ、じゃあ……」

 

「うむ。無理強いはせん。今夜の『開通式』は延期だ」

 

 

 ティオの表情に、パァッと希望の光が差す。  

 助かった。

 お尻は守られたんだ。  

 そう安堵したのも束の間、モーブルはニヤリと意地の悪い笑みを浮かべ、人差し指を立てた。

 

 

「――ただし、条件がある」

 

 

 その一言で、緩みかけた空気が再び張り詰める。

 

 

「わしは商人だ。タダで契約を結ぶほどお人好しではない。……そこでだ、ティオくん。君に一つ、魅力的な提案をしよう」

 

「て、提案……ですか?」

 

「そうだ。……君はリシアちゃんに惚れているな?」

 

「う……あ、あの……」

 

「隠しても無駄だ。男の欲望など手に取るように分かる。……無理もない。このギルドの男連中は皆、あのたわわに実ったリシアちゃんの身体を、一度でいいから好きにしたいと願っておるからな」

 

「み……皆さんが……そんな……」

 

 

 モーブルの口から語られる身も蓋もない真実に、ティオはショックで固まった。  

 あの聖女のような先輩が、周囲の男たちからそんな卑猥な視線を浴びていたなんて。

 

 

「さっき、小耳に挟んだが……どうやらキミは、そのリシアちゃんと一夜を共にできる権利を与えられたそうだな?」

 

 

 モーブルは、蜘蛛が獲物を巣へ誘うように、甘く、ねっとりと囁いた。

 

 

「ならば、男の順序(ケジメ)を守らせてやろう。まずは君がリシアちゃんと結ばれ、本物の男になりなさい。……彼女と愛し合い、前の筆おろしを済ませてくるのだ」

 

「えっ……? で、でも……本当に、それでいいんですか……?」

 

 

 ティオの瞳が見開かれる。  

 断頭台の露と消える寸前、恩赦が与えられたかのような衝撃だった。

 

 

「うむ。一流の商人は契約を違(たが)わん。――だが、条件がある」

 

 

 モーブルは意味深に口角を上げ、獲物を絡め取る蜘蛛のように囁く。

 

 

「今後わしがここに来るたび、君はわしを『接待』するんだ」

 

「せ、接待……ですか?」

 

 

 聞き慣れない言葉に、ティオがきょとんと首を傾げる。そのあどけない仕草が、かえってモーブルの嗜虐心を煽り立てる。

 

 

「そうだ。安心したまえ、いきなり後ろを貫いたりはしない。……世の中にはな、挿れなくとも極上の快楽を得る方法は山ほどあるのだよ。君はそれを使って、わしをご奉仕するんだ。回数は……そうだな」

 

 

 モーブルは肉厚な指を五本、ティオの目の前に掲げた。

 

 

「あと五回。……たったの五回だ。その五回、君がわしを昇天させるほど満足させられたなら――君のお尻を狙うのは、きれいさっぱり諦めてやろう」

 

「ほ、本当ですか……!?」

 

 

 あまりに好条件な提案に、ティオは我が耳を疑った。  

 それでは、モーブルにとっては何の利益もない。

 むしろ、チャンスをドブに捨てるようなものではないか。

 

 

「で、ですが……それじゃ、モーブル様が損をするだけじゃ……」

 

「損得ではないさ。わしとて鬼ではない。君のような可憐な蕾を、無理やり散らすような真似はしたくないのでね」

 

「モーブル様……」

 

 

 じわり、とティオの瞳に熱いものが込み上げる。  

 それは安堵と、悔恨の涙だった。  

 なんて紳士的な人なんだろう。  

 外見が怖いからといって、酷い人だと決めつけていた自分が情けない。

 

 ――だが。  

 その内側で、モーブルの腹の底は、どす黒い歓喜で満たされていた。

 

 

(カカカッ……! 容易い。容易すぎるぞ、無垢な子羊め! 恐怖で強張った穴を犯したところで、三流のオナホールにも劣る。わしが食らいたいのは、快楽に蕩け、自ら腰を振るようになった『極上の雌(メス)』なのだ!)

 

 

 モーブルは内心で、ネチャリと舌なめずりをする。  

 五回。  

 それは、白紙の少年の身体に、逃れられない淫らな回路を刻み込むには十分すぎる期間だ。

 

 

(五回もあれば十分だ。『やっぱりモーブルさんともしてみたい』……そう君自身の口からねだらせるまで、じっくりたっぷりと、骨の髄まで開発し尽くしてくれるわ!)

 

 

 そんなモーブルの邪悪な計算など知る由もなく、ティオの顔には安堵の色が広がっていた。

 

 

「……わ、分かりました。その条件、受けさせてください……!」

 

 

 ティオは力強く頷いた。  

 これで、リシア先輩も、自分の純潔も守り通せる。  

 そう信じて疑わなかった。

 

 

「うむ! 契約成立だな!  では早速、第一回目の研修を始めようか。……わしは『挿入以外』と言ったが、君はその方法を知っているかね?」

 

「あ……あの……僕は……その……誰とも、そういうことをしたことがなくて……」

 

 

 ティオは耳まで赤くして押し黙る。知識はあっても、経験など皆無だ。

 

 

「図星か。……だが、いかにウブなキミとて、夜な夜な自分自身を慰めるオナニーをしたことくらいはあるだろう?」

 

「ッ……!?」

 

 

 秘密を暴かれた衝撃に、ティオの華奢な肩が跳ね上がる。

 

 

「う……あ、あり、ます……」

 

「ふふっ、良いことだ。精通を迎えた男なら当然の生理現象だ。だが……悲しいかな、それは『独奏』に過ぎん。自分を処理する方法は知っていても、愛する人を奏でて悦ばせる術は、何一つ知らんということだ」

 

「……」

 

「そんな自己満足のオナニーしか知らぬ子供が、あのように成熟したリシアちゃんを抱いたとして……果たして、彼女を昇天させてやれるかな? 『下手くそ』だと呆れられ、振られるのがオチではないか?」

 

「あ……」

 

 

 ティオの表情が凍りつく。  

 盲点だった。  

 そうだ、リシア先輩は大人の女性だ。

 僕みたいな子供の、独りよがりのセックスなんかで、満足してくれるはずがない。  

 「守る」どころか、ガッカリされて捨てられる未来が脳裏をよぎる。

 

 

「だ、だからこそ、経験豊富なこのわしが、特別に『事前講習』をしてやろうと言うのだよ」

 

「じ、事前……講習……?」

 

「そうだ。セックスとは奉仕の心だ。ただ欲望のままに腰をへこへこさせるだけでは、女性は喜ばん。ムード作り、前戯、そして指使い……。それらを学ばずして本番に挑むのは、剣の握り方も知らずに戦場へ出るごとき自殺行為だぞ?」

 

「で、でも……モーブル様は、今日は手を出さないと……」

 

「無論、キミを抱いたりはしない。これは商談とも別の、個人的な『授業』だ。どうすれば相手が声を上げて喜ぶのか――その極意を、わしの身体を練習台として、たっぷりと叩き込んでやろう」

 

 

 セックスはしない。  

 それどころか、リシア先輩を喜ばせるための技術を、無償で教えてくれるという。

 

 

(……怪しい……でも……)

 

 

 モーブルの提案は、溺れるティオにとって掴める唯一の藁(わら)だった。  

 これを受け入れれば、リシア先輩を守れる。  

 それどころか、先輩をメロメロにするテクニックまで学べるというのなら――これはチャンスなのかもしれない。

 

 ティオに、拒否権など端からなかった。

 

 

「……はい。モーブル様。ご指導、お願いします」

 

「うむ! 実によろしい。飲み込みが早くて助かるぞ。では善は急げ、講習の準備だ」

 

 

 モーブルは満面の笑みを浮かべ、ゆらりと立ち上がった。  

 その笑顔は、獲物が自ら檻に入ったことを喜ぶ、狡猾なハンターのそれだった。

 

 モーブルは上機嫌で、妖しい道具が並ぶ飾り棚へと近づく。  

 彼はそのコレクションの中から、指先で摘むようにして一点の「紐」を選び取った。

 

 

「何事もまずは形から入らねばな。これを着たまえ」

 

 

 フワリと投げられた白い何か。  

 ティオは慌ててそれを受け止め――広げた瞬間に凍りついた。

 

 

「こ、これは……?」

 

 

 それは、衣服の概念を根底から覆す、極小布面積のマイクロビキニだった。  

 清楚な純白のレース。

 だが、その構造はあまりに破廉恥だ。  

 トップを隠すだけの三角形と、秘部を隠すだけの極小の布。

 それらを繋ぐのは、ミシン糸のように頼りない極細の紐のみ。  

 

 これは水着ではない。

 裸よりも扇情的に見せるための、淫らな拘束具だ。

 

 

「『マイクロビキニ』という代物だ。聞くところによれば、ヴァルクリア神聖王国の高位聖職者たちが、プライベートビーチでの『秘密の保養』において愛用している、最新流行の水着らしいぞ。……まさか、そんな背徳的なレア物がこのギルドに眠っているとはな。ふふ、これは幸運だ」

 

「で、でも……これって、どう見ても女性用ですよね……? こ、こんな紐みたいなの……僕、男なのに……」

 

「馬鹿を言え。ティオくんのその美貌は、性別の壁などとうに超越しておる。そこらの雌(メス)よりも余程そそるわ」

 

 

 ティオは手の中に収まってしまうほどの頼りない「紐」を凝視し、じわりと嫌な脂汗を滲ませた。

 こんな隙間だらけの布切れ一枚で、大人の男の前に晒される?

 正気じゃない。

 想像するだけで、恥ずかしさで心臓が破裂しそうだ。

 

 

「嫌かね? だがな……これは必要な『演出』の勉強でもあるのだよ。いいかね、普段と違う衣装は、互いの感情を高めるための最高のスパイスだ。……想像してみたまえ。もしこれを、あの清楚で堅物なリシアちゃんが身にまとい、夜の寝室で君の帰りを待っていたら……?」

 

「先輩が……これを、着て……待っている……?」

 

 

 モーブルの巧みな誘導尋問に、ティオの純情な脳内回路が火花を散らしてショートする。

 まぶたの裏に、鮮明すぎる幻影が浮かび上がった。

 普段は制服に包まれている、リシアの豊満な肢体。

 あのたわわに実った大きな果実が、この極小の布きれごときに収まりきるはずがない。

 布から溢れ出し、重力に従ってこぼれ落ちる柔らかな肉の雪崩。

 食い込んだ紐が白磁の肌に赤い刻印を刻み、それを恥じらいながら、潤んだ瞳で見つめてくる憧れの先輩。

 

 

 ――『おかえりなさい、ティオくん……。早く、いじめて……』

 

 

 そんな幻聴まで聞こえてきそうだ。

 憧れの聖女が、娼婦のような格好で、股間を濡らして自分を求めている――。

 

 

 ドックンッ!!

 

 理性を吹き飛ばす刺激に、ティオの股間で眠っていた息子が、元気よくピョコンと産声を上げた。

 

 

「むほほ♡ なんと素直なイチモツか。女の痴態を想像しただけで、そんなにカチカチにして……可愛い奴め」

 

 

 若さゆえの即・勃起。

 それを目の当たりにし、モーブルがねっとりと口元を歪めた。

 

 

「さぁ、ティオくん。早く着替えたまえ。わしの気が変わらんうちにな」

 

「は、はいっ……!」

 

 

 追い立てられるように、ティオは震える指先で服を脱ぎ捨てた。  

 晒された透き通るような白い肌。

 それが、室内の冷たい空気と、モーブルの粘着質な視線に触れ、ゾクリと粟立つ。

 

 顔から火が出るほどの恥ずかしさに耐え、渡された「紐」に足を通す。  

 肌を滑り上がった白い布は、腰骨でピタリと止まり、ティオの身体を拘束した。

 

 

「うぅ……モーブル様……これ、きついです……」

 

 

 サイズはあつらえたようにジャストフィットしている。  

 だが、その構造は悪魔的だ。  

 極細の紐が腰の肉に深く食い込み、股間の膨らみを強調するように締め上げる。  

 

 臀部に至っては、布が割れ目の最奥まで沈み込み、歩くたびに尻穴を刺激する構造になっている。  

 上半身も、小さな突起が薄布一枚越しに主張し、裸でいるよりも遥かに無防備に見えた。

 

 

「おお……これは……!」

 

 

 変身を遂げた少年を見て、モーブルが恍惚とした溜息を漏らす。  

 白のマイクロビキニは、少年の華奢な肢体と、穢れのない肌を残酷なまでに引き立てていた。

 

 

「素晴らしい……! その純白こそが、君の無垢な魂の色そのものだ! あぁ、なんという背徳的な光景か。……まるで、邪神の祭壇に捧げられた、哀れで美しい生贄の子羊のようだ!」

 

 

 モーブルは興奮を隠そうともせず、寝台の縁にどかりと腰を下ろすと、丸太のような太腿を手招きするように叩いた。

 

 

「さあ、こっちへ来たまえ。ここが君の『教室』だ」

 

「え……ひ、膝の上、ですか……?」

 

「そうだ。リシアちゃんを抱く時のイメージトレーニングだ。愛する者を背後から包み込む安心感……それを肌で学ぶ必要がある。ほら、遠慮せず座らんか」

 

 

 ティオは断れない圧力に押され、おずおずと足を運ぶ。

 そして、覚悟を決めて――モーブルの丸太のように太い太腿の上に、無防備なお尻を預けた。

 

 むにゅり。

 伝わってきたのは、予想していた骨の硬さではなかった。

 たっぷりと脂の乗った、生温かい肉塊が、ティオの小さなお尻を包み込むように沈み込んだのだ。

 薄いビキニの紐が食い込んだお尻に、ブヨブヨとした男の脂肪が波打って押し寄せてくる。

 まるで巨大なスライムの上に座らされたような、不安定で気持ちの悪い浮遊感。

 

 さらに背中には、樽のように突き出たモーブルの腹が、べとりと張り付いた。

 汗ばんだ脂身の熱と、衣服越しにも伝わる柔らかな弾力が、ティオの背骨を圧迫する。

 

 

「うむ、なんと芳しい……。子猫のように愛らしい体温だ」

 

 

 むんず、と。

 モーブルのクリームパンのように分厚い腕がティオの腰を背後から抱き込み、逃げ場を塞ぐように肉に埋め込んだ。

 完全な密室の中の、さらなる密室。

 背中を焼くような体温と、首筋に降り注ぐ荒い呼吸音に、ティオは小動物のように縮こまった。

 後ろからホールドされたことで、背後の「捕食者」がどんな舌なめずりをしているか確認できない恐怖が、ティオの心臓を締め上げる。

 

 

「では授業を始めようか。リシアちゃんをメロメロにするための、愛の実技指導を」

 

 

 耳元に流し込まれる、ねっとりとした声。  

 湿度の高い吐息が鼓膜を震わせ、ティオの全身に悪寒が走った。

 

 

「心して聞け、ティオくん。いきなり本丸を攻めるのは素人の悪手だ。女性は、雰囲気と手順を重んじる。まずはこうやって、身体の外側から優しく攻め入り、女のスイッチを強制的に入れてやるのだ」

 

 

 講釈と共に、モーブルの大きな手が、ティオの肢体を侵略し始めた。  

 まずは二の腕。

 陶器のように滑らかな肌を、節くれだった指先が、ナメクジのように這い回る。  

 鎖骨のラインを親指でなぞり、首筋の敏感な動脈を、味わうように撫で回す。

 

 

「ひ、ぅ……」

 

「そうだ。うなじや首筋は、防衛本能が働く急所であり、最大の性感帯でもある。ここをこうして、蜘蛛が糸を張るように指で搦めとってやると……ほら、ゾクゾクしているな?」

 

 

 執拗で、計算された指使い。  

 ただ触るのではない。

 まるで値踏みするように、神経の集まる場所を的確に狙い、いやらしく指を這わせてくる。  

 生理的な嫌悪感と、拒絶できない愛撫の快不快が混ざり合い、ティオはたまらず身をよじった。

 

 

「そ、そんな……くすぐったい、です……」

 

「動くな。我慢も勉強のうちだ。リシアちゃんを抱く時、君がオドオドしていては興醒めだろう? これは君が自信を持って触れるようになるための、必要な訓練なのだよ」

 

 

 耳元で囁きながら、モーブルの侵略の手は止まらない。  

 平らな腹部を愛おしむように撫で回し、くびれのない脇腹の肉を甘噛みするように摘む。  

 そして――薄い布一枚に隔てられた胸へと、太い指が這い上がった。

 

 

「ひゃっ……!」

 

「声を殺せ、勉強中だぞ。……リシアちゃんの胸はずっと大きいが、扱い方は同じだ。いきなり掴むのは三流だ。こうやって、周囲からじらすように攻めて……」

 

 

 クリクリ、と。  

 武骨な指先が、布越しにティオの桜色の突起を探り当て、摘み上げた。

 

 

「あ、あっ! そこぉっ……!」

 

「どうだ? 電気が走るようだろう? 君が感じているその痺れを、リシアちゃんにも与えてやるのだ。……想像しろ。君の指先で、彼女の蕾をこうやって開かせてやるんだ」

 

 

 モーブルは執拗に、右へ左へと乳首を転がし始めた。  

 ザラついた指と、滑らかなビキニの布地が擦れ合う感触。  

 コリコリと未成熟な突起をこねくり回されるたび、背骨の髄までとろけるような感覚が広がる。

 

 

「うぅっ、くぅ……! や、やめ……てください……変な感じ、しますぅ……!♡」

 

「変な感じではない。『快感』だよ。……ほら見ろ、乳首だってこんなに正直じゃないか。いやらしく尖って、自己主張しておるぞ」

 

 

 モーブルの言葉通り、ティオの突起は刺激に反応してぷっくりと充血し、白い布をいやらしく押し上げていた。  

 その淫らな変化を目の当たりにし、背後の捕食者の体温が一段階跳ね上がる。

 

 

「上は合格だ。……では、下はどうなっているかな?」

 

 

 胸を弄っていたもう片方の手が、蛇のように下へ滑り落ちる。  

 ティオの白い腹をなぞり、腰骨を乗り越え――ビキニの紐が肉に食い込む、股の部分へ。

 

 

「っ……!」

 

 

 太ももの付け根。

 神経が集中する急所に、熱く湿った指が潜り込む。  

 直接触れはしない。

 けれど、薄い布のキワをなぞるその動きは、直接触られるよりも遥かに煽情的だ。

 

 

「うぅ……っ……!♡」

 

「脚を閉じるな。リシアちゃんに拒まれたら、君も興醒めだろう? ……力を抜け。相手をリラックスさせるのも、テクニックのうちだぞ」

 

 

 モーブルはティオの閉じようとする膝を、万力のような力で掴んで無理やり割らせた。  

 M字に開かれた無防備な股間。  

 そこへ、モーブルの指が毒蜘蛛のように這い寄る。  

 内太ももの吸い付くような柔肌を、ねっとりと、粘膜を愛でるように撫で上げる。  

 やがて指先がクロッチの布地に触れ、中で脈打つ「モノ」の輪郭を確かめるように、じわりと圧をかけた。

 

 

「ここも、攻略の要(かなめ)だ。内股は、本丸への回廊だからな……。すぐに触らず、こうして焦らすように、際どいラインを攻める。……こうやって全身の感度を高めて、相手が我慢できなくなるまで、たっぷりと可愛がってやるのだよ」

 

 

 相手が見えない、背後からの愛撫は、触覚を残酷なまでに鋭くする。  

 予測不能な恐怖と、的確に急所を突く「授業」に、ティオの理性が熱に溶かされていく。  

 頭では拒絶しているのに、身体の芯が痺れて止まらない。

 

 

「はぁ、はぁ……んっ……モーブル、様……♡」

 

「そうだ、いい声だ。潤んだ瞳、上気した肌、乱れた呼吸……こうして相手の理性が飛びかけたら――トドメに唇を奪うのだ」

 

 

 モーブルの手が、ティオの顎を万力のように固定し、強引に振り返らせた。  

 視界いっぱいに広がる、欲望に歪んだ男の顔。  

 ニヤリと笑ったその口元を見て、ティオは悟った。  

 捕食される、と。

 

 

「仕上げだ。……テクニックを、身体で覚えろ」

 

「んっ、ふぁっ!?」

 

 

 唇が、蹂躙された。  

 それはロマンチックな口づけではない。  

 愛撫で抵抗力を奪い、骨抜きにした獲物への、一方的な侵略行為だった。

 

 

「んんっ、ふぁ、ぁむっ……! んぐぅっ……!」

 

 

 こじ開けられた歯列の隙間から、ぬるりと湿った舌が入り込んでくる。  

 モーブルの分厚い舌が、ティオの無垢な口内を洗うように舐め回す。  

 まるで掃除機のように吸われ、逃げ惑う舌を絡め取られ、唾液を混ぜ合わされる。  

 強制的な口内性交。

 

 

「ん……じゅる、ちゅぅ……れろ……♡」

 

 

 耳元で響く卑猥な水音。

 背中にへばりつく圧倒的な体温。

 口の中を満たす雄の味。  

 

 息ができない。  

 鼻をつく香水と体臭のブレンドが、ティオの思考回路をショートさせる。  

 目の前が白く弾け、意識が飛びそうになる。

 

 

「ぷはっ……! はぁ、はぁ、げほっ……!」

 

 

 永遠にも思える時間が過ぎ、ようやく唇が解放される。  

 二人の口元を、銀色の糸が切れることなく繋いでいた。  

 ティオは酸欠の金魚のように口を開閉し、肩で息をする。  

 だが、肉体的な苦痛よりも、精神的な衝撃が彼を打ちのめした。

 

 

「いい顔だ。たかがキスで腰が抜けるとはな。……リシアちゃんはもっと手強いぞ? くくっ、もしかしてティオくん、これがファーストキスだったか?」

 

「……あ、ぅ……」

 

 

 肯定の代わりに、涙が溢れた。  

 こんな脂ぎったおじさんに、初めてを奪われてしまった。  

 リシア先輩のために取っておきたかった。神聖なものだったはずなのに。  

 その絶望が、ティオの心を黒く塗りつぶしていく。

 

 モーブルはサディスティックに笑いながら、膝の上で震えるティオの下腹部へと手を這わせた。  

 純白のビキニの下で、主の絶望とは裏腹に、パンパンに張り詰めている少年のイチモツへ。

 

 

「ほほう……。初めてを散らされて泣いておきながら、ここは随分と正直じゃないか。口では拒んでも、身体は続きを期待しているようだな?」

 

「そ、それは……ちがっ、勝手に……ひぅっ!♡」

 

 

 言い訳は、情けない悲鳴に変わった。  

 モーブルの大きな手が、ビキニ越しにティオのペニスを鷲掴みにしたからだ。  

 ゴリッ、と親指の腹で、一番感じやすい亀頭を容赦なく擦り上げる。

 

 

「あ、あっ……! モーブル、様……っ!」

 

「心して聞け。キスで理性を溶かしたら、次はいよいよ『下』だ。リシアちゃんを天国へ連れて行きたいなら、口(・)を使ってあげるのが一番だからな」

 

 

 モーブルは背後からティオの股間を布越しに愛撫しながら、耳元に甘い毒のような言葉を流し込む。

 

 

「リシアちゃんの秘められた花園……『おまんこ』を、舌でたっぷりと味わい尽くしてやるのだ」

 

「えっ……お、おまんこ、を……?」

 

 

 冒涜的な響きに、ティオの思考が真っ白になる。

 あの清らかな先輩の、一番大事な場所を舐めるなんて。

 

 

「そうだ。だが、素人の舌使いでは彼女を満足させるどころか、不快にさせるだけだぞ? ……練習もなしに本番に挑むつもりかね?」

 

「そ、それは……」

 

「だろう? だからリハーサルが必要だ。……だが、あいにくと君には女性器がない」

 

 

 言うが早いか、モーブルはティオを拘束していた腕を解き、ヌラリと背後から離れた。

 解放された安堵も束の間、ドス、ドス、と重い足音が響き――モーブルの脂ぎった巨体が、ティオの正面へと回り込んでくる。

 ティオはベッドに座らされたまま、目の前に立ちはだかる肉の壁を見上げ、息を呑んだ。

 

 モーブルは芝居がかった仕草で肩をすくめ、次いで、ねっとりとした視線を、目の前の高さにあるティオの股間へと落とした。

 

 

「仕方がない。……君のこの張り詰めた『ペニス』を、リシアちゃんのクリトリスに見立てて代用するとしよう」

 

「えっ!? だ、代用って……」

 

「理屈は同じことだ。わしが手本を見せてやる。わしの絶倫の舌技で君を天国へ送ってやるから……君は自分の身体で、『愛撫される女の気持ち』を理解するんだ」

 

 

 モーブルは膝をつき、ティオの開かれた股の間に顔を潜り込ませた。

 至近距離に迫る、欲望に歪んだ男の顔。

 その分厚い手が、食い込んだビキニのクロッチに掛けられ、乱暴に引きずり下ろされる。

 

 ビロンッ、と音を立てて、怒張したペニスが弾け出た。

 熟れた果実のように赤黒く充血し、我慢汁を滲ませたそれは、期待と恐怖に小刻みに震えながら、モーブルの鼻先で揺れている。

 

 

「さぁ、リシアちゃんになったつもりで、しっかり感じるんだぞ?」

 

 

 モーブルが大きく口を開ける。

 糸を引く唾液、白い歯、そしてピンク色の肉厚な舌が、ティオの視界いっぱいに広がる。

 

 

「――いただきまぁす……!」

 

 

 ねっとりとした食前の挨拶と共に、モーブルが目の前の獲物に喰らいついた。

 ズズッ! とバキュームのような吸引力が、ティオの分身を根元まで一息に飲み込む。

 

 

「ひあぁぁぁぁっ!!?♡」

 

 

 瞬間、ティオの視界が白くスパークした。

 熱い。そして、信じられないほどに気持ちいい。

 ペニス全体を包み込む口腔の肉壁は、煮えたぎるように熱く、そしてとろとろに濡れている。

 その感触は、ティオが毎晩オナニーをしながら妄想していた、リシア先輩の「中」のイメージと、恐ろしいほどに合致してしまった。

 

 

(うそ、熱い……っ! ぬるぬるして、吸い付いて……まるで、本物の女の子の中に挿れてるみたいだ……ッ!)

 

 

 脳髄を直接殴りつけるような快感に、現実と妄想の境界線が曖昧になる。

 

 

「んむぅ……んんっ……! んぐ、んぷ……(ふふ、さすが少年の初物ちんぽだ……実に味わい深い、高級なミルクのような匂いがするわ……)」

 

 

 モーブルは頬をこけさせ、排水溝並みの吸引力でティオの肉棒を吸い上げると同時に、頭を激しく上下させ始めた。

 口腔内という密室で、舌と頬肉が生き物のように蠢き、敏感な竿を攻め立てる。

 

 

「じゅぼっ! ぶちゅっ! ぐぽっ! ずぞぞっ!!」

 

「あぐっ!?♡ あ゛っ!♡♡ あ゙ああぁあっ!!♡♡」

 

 

 凄まじい口撃。

 部屋中に響き渡る卑猥な水音。

 モーブルの口が上下するたび、強烈な締め付けと吸い付きが襲いかかり、ティオは無意識に腰を突き上げてしまう。

 逃げようとしているのか、それとももっと奥へねじ込もうとしているのか、自分でも分からない。

 

 すると、ちょうど良い深さに肉棒が収まった瞬間、モーブルの動きが変化した。

 太く、ザラついた舌先が、一番敏感な裏筋を根本から先端まで、ゾリゾリと舐め上げてきたのだ。

 

 

「んひぃっ!?♡♡ あ゛っ!♡ あぐっ!♡ あ゛ぁぁあああっ!!♡♡」

 

 

 ジュルルッ、チュポッ、という水音が室内に反響する。

 口腔の灼熱、絡みつく舌の巧みな動き、そして喉の奥でギュウギュウに締め付けられる圧迫感。

 未知の快楽が、ティオの理性の回線を一本ずつ焼き切っていく。

 

 

「んんっ、じゅるっ、れろ……ッ! じゅぷ、ちゅるぅっ……!」

 

 

 モーブルの舌技は老獪にして完璧だった。ただ吸うだけではない。

 裏筋を舐め上げ、カリの首をくすぐり、先端の鈴口をクリトリスのように執拗に転がし、弾く。

 それは擬似的な性行を超え、少年の神経を破壊する拷問に近い。

 

 

「ああっ、だめぇっ♡ モーブル様っ、舌、ざらざらするぅっ!♡ ああっ、んぁっ!♡♡♡」

 

(こ、これが……女の子が感じていること……!? だめだ、こんなの……気持ちよすぎて、頭がおかしくなっちゃうよぉ……!)

 

 

 もう訳がわからない。

 視界が涙で滲み、目の前で自分の股間に顔を埋める醜悪な男が、時折リシア先輩に見えてしまうほどの錯乱状態。

 

 さらに、口で奉仕を続けるモーブルの空いた手が、ティオの無防備な尻へと伸びる。

 ローションもつけず、口元から溢れた唾液で濡らしただけの武骨な指先が、きつく閉じた菊門へと宛がわれた。

 

 

「ひっ!? そこ、お尻のあなっ……!」

 

 

 ヌプッ、と。

 抵抗する間もなく、中指の第一関節が、きつく閉じた蕾を無理やりこじ開け、侵入した。

 

 

「あっ、ああぁっ! 異物っ、なんか入って……!♡」

 

「んぐ、んむ……(力が入っているぞ。リラックスだ。……ほら、気持ちいいところを探してあげよう)」

 

 

 一旦口の動きを緩めたモーブルは、侵入者を拒もうとする括約筋の抵抗を楽しみながら、指をじわじわと奥へ進めていく。

 くちゅ、くちゅ、と粘着質な音を立てて、未開発の内壁を撫で回し、そして――ある一点を、グイと押し上げた。

 

 

「――ッ!!??♡♡♡」

 

 

 声にならない悲鳴が、喉の奥で凍りついた。

 前立腺。

 男の急所を的確に捉えられ、ティオの視界がスパークしたように真っ白に弾けた。

 痛みではない。排泄感とも違う。脳髄を直接焦がし、全身の神経を逆撫でするような、暴力的なまでの痺れ。

 

 

「んんっ? (ここか? ここが好きなのか? よしよし、後ろだけじゃなく前も楽しませてやろう)」

 

 

 モーブルは白目を剥きかけたティオの反応を見て取り、再び口でペニスを根元まで咥えこんだ。

 指先で前立腺をグリグリと抉りながら、同時に口内でのバキュームを限界まで強める。

 

 前の敏感な鈴口と、後ろの弱点である前立腺。

 前後からの同時責め。

 逃げ場のない快楽の嵐が、ティオの理性を粉々に粉砕し、彼をただ快楽に喘ぐだけの雌へと変えていった。

 

 

「あ、あひっ!?♡♡ なに、そこ、やっ、おかしいですっ!♡♡ せーえき、漏れちゃいますぅっ!♡♡」

 

「むふーっ、んぼぉれろれろれろれろんっ!」

 

 

 モーブルが喉を鳴らし、さらに激しく頭を振る。  

 ズズッ、ズズズッ、とペニスが喉の奥深くまで出し入れされるたび、ティオの頭の中は真っ白な光で塗りつぶされていく。

 

 

「あっ、だめっ、もうっ、むりぃッ!♡♡♡ いっちゃうっ!♡♡♡ リシア先輩じゃなくて、モーブル様でイっちゃうぅぅッ!♡♡♡」

 

 

 罪悪感と背徳感。  

 それらが最高のスパイスとなり、ティオを一気に絶頂へと押し上げる。

 

 

「むぷーっ、ずぼぼぼぼぼぼぼぼっ!!」

 

 

 限界点を超えた瞬間、モーブルが指で急所を突き上げ、同時に根元まで強く吸い上げた。

 

 

「ひゃっ、アッ、アァァァァァァァッ!!♡♡♡♡」

 

 

 ティオの身体が弓なりに反る。  

 ビクンビクンと痙攣するペニスから、白濁した精液が勢いよく噴き出した。

 

 ドピュッ! ドクンッ!

 

 若い命のほとばしりが、モーブルの喉の奥へと直撃する。  

 独特の青臭い匂いと味が口いっぱいに広がるが、モーブルはそれを至上の美酒として受け止めた。

 

 

「んぐっ、ごくっ、んっ……ぷはぁっ」

 

 

 喉を鳴らして飲み干す音が、静まり返った部屋に生々しく響く。  

 強制絶頂の余韻にガクガクと震えながら、ティオは糸が切れた操り人形のように天井を見上げていた。  

 焦点の合わない瞳からは、生理的な涙がとめどなく溢れ、シーツに染みを作っている。

 

 口の中を少年の精気で満たしたモーブルが、顔を上げる。  

 その口元は白濁で汚れ、唇の端からは飲みきれなかった一筋の銀糸が、あごへと伝い落ちていた。

 

 

「ぷはぁ……。ご馳走様。……ふふ、どうだね? リシアちゃんより先に、おじさんの口に全部出しちゃった気分は」

 

「あ……ぅ……♡」

 

 

 ティオは顔を沸騰させ、涙目で顔を背けた。  

 身体の芯が熱い。

 お尻の奥が、まだ疼いている。  

 

 悔しいけれど――気持ちよかった。  

 その背徳の事実が、ティオの心に消えない刻印を焼き付けていた。

 

 だが、地獄の釜の蓋はまだ開いたままだ。  

 賢者タイム特有の倦怠感に浸るティオの上に、再び巨大な影が落ちる。

 

 

「さて、ティオくん。……まさか、これで終わりだと思っていないだろうね?」

 

「え……?」

 

 

 ティオが反応するよりも早く、モーブルの巨体が覆いかぶさってきた。  

 

 ドサリッ!  

 

 ベッドが悲鳴を上げ、ティオの肺から空気が強制的に押し出される。  

 重い。熱い。苦しい。  

 

 そして何より――下腹部に押し当てられた、焼けた鉄杭のように硬く熱い「異物」の存在感が、ティオの思考を凍りつかせた。

 

 

「ま、待ってください……! 僕、今、出したばっかりで……すこし、休み……」

 

「ノン、ノン。甘えるんじゃない。むしろ出した直後の、その力の抜けた状態こそが、女の受け入れ態勢ができたってことなんだ」

 

 

 モーブルはティオの両腕を頭上で押さえつけ、逃げ場を完全に封じる。

 そして、ボロンッ、と暴れだした凶悪な肉棒を、ティオの太腿にペチリと当てる。  

 先程ティオの精液を飲み込んだことで、その怪物は興奮の頂点に達し、赤黒く脈打ちながら反り返っていた。

 

 

「ひっ……! い、入れるのは無しって、約束……!」

 

 

 ティオが引きつった悲鳴を上げる。  あんな規格外のサイズをねじ込まれたら、間違いなく身体が裂けて壊れてしまう。

 

 

「ああ、約束は守るさ。商人に二言はない。……だがな、本番の腰使いを教えてやらねば、君がリシアちゃんを抱く時に困るだろう?」

 

 

 モーブルはニタリと笑うと、ティオの足をM字に開かせ、自身の腰を沈み込ませた。  

 逃げようとするティオの膝裏を、分厚い手でガシリと掴んで固定する。

 

 

「――挿入するとは言っていない。……上から『擦(こす)る』だけだ」

 

 

 言うが早いか、モーブルは自身の亀頭を、ティオの股間――マイクロビキニの薄い布地の上から、アナル付近へと強く押し当てた。

 

 

「あっ、うぐぅっ……!♡」

 

 

 布一枚。  

 そのあまりにも頼りない障壁越しに、カリの硬さと熱、そして血管のドクドクという拍動がダイレクトに伝わってくる。  

 先端から溢れるカウパー液が布に染み込み、じっとりと生温かい湿り気が広がる。  

 まるで高熱の鉄棒を押し付けられているような質量感に、ティオは息を呑んだ。

 

 

「ほら、これなら文句あるまい? 中は犯していない。……ただ、こうやって……」

 

 

 ズズッ、ズリッ。  

 

 モーブルが腰をゆっくりと、石臼で何かを磨り潰すように回し始めた。  

 ビキニの細い紐が、ティオの割れ目にさらに深く食い込み、その上から巨大なペニスがしごくように擦りつけられる。

 

 

「いいか、腰の使い方をよく覚えておけ。最初はこうやって、ゆっくりと……焦らすように入り口をノックするのだ」

 

「んっ、んぐぅっ……! おもっ、重いですっ、圧迫感が……っ!」

 

 

 アナルを直接貫いているわけではない。  

 だが、その圧倒的な圧力で、閉じられた入り口が布越しにグリグリと押し広げられ、陥没していく感覚は、挿入される恐怖と紙一重だった。  

 

 括約筋が悲鳴を上げ、異物を拒もうと収縮するが、モーブルの腰使いはその抵抗さえも楽しむように、執拗に蕾をこねくり回す。

 

 

「そうだ、その調子だ。リシアちゃんも最初は痛がるかもしれん。だが、こうやって優しく粘膜を擦り合わせてやれば……ほら、じわじわと濡れてくる」

 

 

 グチュ、ヌチョ、と粘り気のある音が響く。  

 二人の汗とローション、そして先ほどティオが放出した白濁液が混ざり合い、結合部で白く泡立っている。  

 

 モーブルの剛毛が、ティオの陶器のような柔肌を無遠慮に擦り上げ、ジョリジョリとした刺激が背筋を駆け上がる。

 

 

「や、やぁっ、そんなに押し付けたらっ、入っ……入っちゃうぅっ!」

 

「大丈夫だ、入らんよ。……ほら見ろ、君のこの薄い水着が最後の砦として守ってくれているだろう? これがある限り、君は処女だ。……安心したまえ」

 

 

 悪魔的な詭弁だ。

 だが、その「布一枚」というあまりに頼りない境界線こそが、逆にティオの神経を極限まで過敏にさせていた。

 入り口を強引にこじ開けようとする、亀頭の容赦ない圧迫感。

 布越しに伝わる、内壁を直接擦り上げられるようなリアルすぎる錯覚。

 

 そして何より――圧力がかかるたびに、内部の前立腺が外側からゴリゴリと刺激される、脳髄を揺らすような圧迫快感。

 

 

「あ、あ、あっ……!♡♡ そこっ、ぐりぐりって……!♡♡ お尻の穴、響くぅっ……!♡♡」

 

「いい声だ。……相手がこうやって鳴き始めたら、それは『壊して欲しい』の合図だ」

 

 

 モーブルの瞳に、昏い嗜虐の光が宿る。

 腰の動きが、ねっとりとした愛撫から、獣じみた暴力的なピストン運動へと豹変する。

 

 

「相手が感じ始めたら、手加減は無用。……こうやって、獣のように激しく突いてやるんだ!」

 

 

 ガツンッ! ガツンッ!

 容赦のない腰打ちが開始される。

 素股とはいえ、全体重の乗った衝撃がティオの華奢な骨格をきしませる。

 モーブルの分厚い恥骨がティオの臀部に衝突し、パンッパンッという淫らな破裂音が部屋を支配する。

 

 

「ひぐっ!♡♡ ああっ、ムリですっ、激しっ、壊れちゃうぅっ!♡♡♡」

 

「そうだ! もっと啼(な)け! そして感じろ! リシアちゃんを昇天させるつもりで、腰を打ち付けろ! 彼女の子宮を突き上げるイメージだ!」

 

「ひうぅっ!♡♡♡ 突き上げ、る……? あ、あっ、ああんっ!!♡♡♡」

 

 

 ティオは激しく揺さぶられながら、無意識のうちにモーブルの腰のリズムに身を委ね始めていた。

 リシアを昇天させるイメージで……。

 その言葉が甘い毒のように脳髄に染み渡った瞬間、彼の中で音を立てて理性が崩壊した。

 

 ティオの頭の中で、鮮烈な光景が弾ける。

 憧れのリシア先輩の膣内に、自身の張り詰めたペニスを容赦なく打ち付けるイメージ。

 彼女の濡れた内壁を抉り、子宮を叩き、快楽で泣かせる自分の姿。

 

 その妄想に突き動かされるように、ティオ自身もまた、モーブルのピストンに合わせて腰を動かし始めた。

 お尻を押し付け、自ら快楽を貪り食うように。

 

 

「あっ、あぐっ♡ りしあ、せんぱいっ♡♡ ごめんなさいっ、僕っ、もっとせんぱいと……したいですッ……!♡♡」

 

「そうだ、イメージが大事だ! わしを手本にそれをなぞれ! 腰を突き出して、全力でリシアちゃんに打ち付けろ!」

 

「んんっ♡ あぐぅっ♡♡ ああんっ♡♡」

 

 

 ティオは目を見開き、ガクガクと身体を震わせながら、狂おしいまでの快楽の奔流へと身を投じた。

 もう、倫理も羞恥も考えられない。ただ気持ちいい。もっと深く、もっと激しく揺さぶられたい。

 動物的な本能だけが、今のティオを支配していた。

 

 

「あっ♡ ああっ♡♡ すごいっ、モーブル様っ、これすごすぎますっ!♡♡♡」

 

 

 ティオの淫らな嬌声に呼応するかのように、背後の剛直がさらに質量を増し、熱く脈打つ。

 モーブルはティオの腰を万力のように掴み、さらに深く、重く体重を乗せた。

 逃げようとするティオを完全にロックし、その耳元で、トドメの一撃となる呪いを悪魔のように囁いた。

 

 

「最奥まで突き刺して、リシアちゃんの『子宮』を抉るように、思いっきり突いてやれ! ――そして、リシアちゃんになったつもりで、わしのちんぽも感じろッ!!」

 

 

 ズドォォォンッ!!

 モーブルが渾身の力で、脂肪の乗った重い腰を突き上げた。

 

 

「――ッ!!!???♡♡♡」

 

 

 ビキニの布を限界まで巻き込み、亀頭の先端がアナルの中へと数センチめり込む。

 完全な挿入ではない。

 だが、その質量を伴った衝撃は、ティオの内臓を突き上げ、存在しないはずの「子宮」を幻視させるほどの破壊力を持っていた。

 

 

「い、いくっ!♡♡ また、イっちゃうぅっ!♡♡ 僕、子宮っ、ないのにっ、奥が抉られてイっちゃうぅぅぅッ!♡♡♡」

 

 

 脳内で、理性のヒューズが焼き切れた。

 男であるはずの自分の中に、女の器官が無理やりこじ開けられるような錯覚。

 攻めているはずなのに犯されているという矛盾。

 それらが爆発的なスパークとなり、脳髄を白く焼き尽くす。

 

 

「イケ! そのあさましい姿を、リシアちゃんに見せつけるつもりで、派手にブチまけろッ!」

 

「あ、アッ、アアアァァァァァーーーッ!!!♡♡♡♡♡」

 

 

 二度目の絶頂。

 ティオはのけぞり、白目を剥いて激しく痙攣した。

 

 ビクンッ、ビクンッ!

 

 先ほどより量は少ないが、それでも薄い精液が、ピュッ、ピュッとビキニの繊維の隙間から染み出し、純白の布を汚していく。

 

 

「はぁ、はぁ、あ、がぁ……♡♡♡」

 

 

 完全に虚脱し、糸の切れた操り人形のようにぐったりと崩れ落ちるティオ。

 その腸内では、幻の子宮を突かれた余韻が、まだチリチリとスパークし続けている。

 

 

「くっ……わしも、限界だ……ッ!」

 

 

 ティオのあられもない絶頂を見届けたモーブルもまた、獣の咆哮を上げて腰を固めた。

 ティオの尻の割れ目に、極限まで膨張した楔を押し付ける。

 

 

「ぬぉっ、おおおおおおっ!!」

 

 

 ドピュッ、ドピュッ、ドピュッ!

 

 大量の白濁液が、モーブルのイチモツから機関銃のように噴射される。

 それはティオの白いビキニに降り注ぎ、お尻の谷間を伝い、太腿へとダラダラと垂れ落ちていく。

 

 熱い。

 火傷しそうなほど熱い粘液が、自分の太腿を、そして最後の尊厳を汚していく。

 そのあまりに生々しい熱量に、ティオは薄れゆく意識の中で、ただ音もなく――敗北と、甘い快楽の涙を流すことしかできなかった。

 

 

「ふぅ……。素晴らしい。我ながら実に、完璧なレッスンだったな」

 

 

 モーブルは満足げに息を吐くと、ティオの臀部に押し付けていた自身の分身を、ゆっくりと引き離した。

 ヌチッ、と粘膜同士が剥がれるような音が、静まり返った部屋に響く。

 その瞬間、太腿の間にせき止められていた大量の白濁液が、決壊したダムのようにダラリと糸を引き、シーツへと零れ落ちた。

 

 

「あ、ぁ……♡」

 

 

 拘束から解放されたティオは、糸が切れた操り人形のようにシーツの上へ崩れ落ちた。

 純白だったマイクロビキニは、二人の体液でぐしょぐしょに濡れそぼり、透明になるほど肌に張り付いている。

 その姿は、嵐に打たれて散った花びらのように哀れで――そして、残酷なまでに艶かしかった。

 

 

「ほら、じっとしていたまえ。汚れたままでは可哀想だ」

 

 

 モーブルは枕元の高級なシルクのタオルを手に取ると、ティオの股間や太腿にこびりついた汚れを拭い始めた。

 優しく、丁寧な手つき。

 

 過敏になった肌をタオルで擦られるたび、ティオの身体がビクンと跳ねる。

 拭き取られるのは、自分が出した恥ずかしい汁と、おじさんの出した白濁の混合物。

 そのドロドロとした現実と、鼻孔に残る雄の匂いが、事後の頭にジワジワと染み込んでくる。

 先程まで自分が腰を振り、嬌声を上げていた記憶がフラッシュバックし、ティオは顔を両手で覆い、耳まで真っ赤にして身をよじった。

 

 

「んっ、ひぅ……っ! も、モーブル様ぁ……っ! こんなことしてしまって……僕、恥ずかしい、です……っ♡」

 

「なにを言うんだ。これは純粋な授業、ティオくんのためのレッスンなんだぞ? 恥じることなんて一つもないんだよ」

 

「でもぉ……っ」

 

「よし、綺麗になった。……よく頑張ったな、ティオくん。これだけ感じて、これだけ腰を触れ合わせることができたんだ。これならもう大丈夫だ。……リシアちゃんとの『本番』も、きっとうまくいく」

 

「え……? ほ、本当ですか……?」

 

 

 ティオが潤んだ瞳を、すがるように向ける。

 

 

「ああ。今の感覚を忘れるんじゃないぞ? どう攻めれば相手が濡れるか、どう突けば相手が喜ぶか……身体で覚えたはずだ。今の君なら、あの堅物なリシアちゃんも、メロメロにできるだろうよ」

 

 

 モーブルは、さも「これは神聖な儀式だったのだ」と言わんばかりの真剣な眼差しで、力強く頷いた。  

 狂った理屈だ。  

 だが、快楽の濁流にのまれ、思考回路がショートした今のティオには、それが救いの言葉のように響いてしまう。  

 あんなに恥ずかしいことをされたのは、全てリシア先輩との未来のためだったのだ、と。  

 そう信じ込むことで、ティオはこの耐え難い恥辱を、歪んだ達成感へとすり替えていくのだった。

 

 

「さあ、服を着たまえ。風邪を引いてしまうからな」

 

 

 モーブルは床に散乱していたティオの服を拾い上げ、ポンと渡した。  

 ティオは震える手でそれを受け取り、汚れた身体を隠すように大急ぎで身につける。  

 早く、隠さないと。  

 白濁で汚れ、開発されてしまった淫らな身体を、誰かに見られたらどうにかなってしまいそうだ。

 

 ふらつきながら着替えるティオの背中に、モーブルの低く粘りつく声が追い打ちをかけた。

 

 

「――ああ、そうだ。最後に一つ、大事なことを言い忘れていた」

 

 ティオがビクリとして振り返る。

 そこには、獲物を巣に絡め取った蜘蛛のような、冷たく、それでいて粘着質な光を宿した瞳があった。

 

「忘れるなよ? わしへの接待はあと『四回』……たっぷりと残っているからな」

 

「ッ……! は、はい……」

 

 

 その言葉は、逃れられない呪いのようにティオの心臓を鷲掴みにした。

 これで終わりではない。

 あと四回。

 あと四回も、この地獄のような、けれど甘美な快楽に身を任せなければならない。

 

 ティオはカッと顔を沸騰させ、恥ずかしそうに唇を噛み締めて俯いた。

 恐怖よりも、「またあんな恥ずかしいことをされるのか」という羞恥と、胸の奥を焦がす微かな期待が渦巻く。

 

 

「なに、心配せんでもよい。接待と言うよりも、わしはただ可愛いティオくんに、経験豊富な大人であるわしが『指導』をしてあげるだけだ。……今日は己の肉体を使った奉仕だったが、世の中にはもっと奥深い技術がある」

 

 

 モーブルは部屋の壁際に並ぶ、怪しげなガラス棚へと視線を流した。

 妖しい光を反射するエナメルの拘束具や、凶悪な形状をした張形が、主人の出番を待っている。

 

 

「次は、そこにある『道具』を使った快楽の与え方を教えてやろう。……リシアちゃんを満足させるには、指や舌だけでなく、大人のオモチャの使い方も知っておかねばならんからなぁ?」

 

「ど、道具……ッ!?」

 

 

 ティオの視線が、棚に並ぶ教育用具(凶器)へと吸い寄せられる。

 あんな異物を、僕の身体で使う気なのか。

 

 怖い。

 怖いのに――お尻の奥が、キュンと切なく疼いたのはなぜだろう。

 

 

「くくっ、いい反応だ。……ああ、それともう一つ」

 

 

 モーブルは一歩近づき、凍りつくティオの耳元に唇を寄せた。

 

 

「もし、レッスン中に……わしのイチモツを本当に尻穴に挿れてほしくなったら、遠慮せずにちゃんと言うんだぞ? そのときはわしが、優しーく処女をもらってやるからなぁ。くふふふふ……」

 

 

 ティオの身体が、電流が走ったようにビクリと跳ねた。

 耳の奥を犯すような嘲笑を残し、モーブルは悠々と部屋を出ていった。

 バタン、と扉が閉まる音が、ティオの世界を閉ざす音のように重く響く。

 

 少年は、熱に浮かされたように壁際へズルズルと座り込んだ。

 服の下、汚れたマイクロビキニの冷たい湿り気と、次回への想像に、ティオは膝を抱えて小さく震えた。

 

 

(どうしよう……。怖いのに……次はどんなことをされるんだろうって……身体が、熱い……っ)

 

 

 それは絶望の震えではない。

 次はどんな快楽を与えられ、どんな恥ずかしい姿にされてしまうのだろうかという、底なしの羞恥と期待による震えだった。

 

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