※この作品はR-18です。

モブおじ精液でレベルアップ!? ~でも好みのショタっ子しか手助けしません!!~   作:とけそうだら

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②はHシーンです


第六話 モーブルと天才美少年教授の危険なポーション開発②

 研究室の最奥。

 何重もの結界が空気を歪ませる区画へ足を踏み入れた瞬間、モーブルの膝から、ふっと力が抜けた。

 

 次の瞬間、両手両足に冷たい金属輪が噛みつく。

 ガチン、と無機質なロック音が響き、床に描かれた魔法陣が一斉に覚醒。

 黄金色の魔力鎖が虚空から編み上げられ、彼の四肢を拘束した。

 

「……な、なんだこれは!? 手足が……動かんッ!?」

 

 身をよじっても、鎖はびくともしない。

 

「無駄だ。暴れるほど締まる魔術拘束だ」

 

 振り返りざま、ニーシャが氷のように平板な声で告げる。

 その手には、銀の短杖。

 先端に嵌め込まれた制御宝珠が、淡青色の光でゆっくりと脈動している。

 

「ほう……随分と物騒なお出迎えですな、坊ちゃん。願わくば、この鎖の意味を説明願えませんかね」

 

「簡単だ。お前の安全のためだよ。これからお前は“変わる”。お前自身の意思では止められない衝動に抗うには、外部からの制御が必要だ」

 

 氷の指が背筋を撫で上げるような、悪寒が走った。

 

「さっきの肉……あれは、まさか……」

 

「察しがいいな。さっき食わせたのは、魔獣の肉だ。深層域に棲む捕食系スライムの前駆腺を加工した、試作品。名付けて『変態肉(メタモル・ミート)』。摂取者の体内に、短時間だけ魔性の因子を強制接続し、該当種に擬似変態させる」

 

「な、なんてものを食わせやがった! わしを魔獣にする気か!?」

 

「一時的に、だ。一時間前後で効果は切れる。――理論上はな」

 

「『理論上はな』じゃねえ! 事後承諾どころか、説明もなしかよ!」

 

「だから拘束しているんだろう。暴走を避けるためだ。文句は変態が終わってから聞く。後で慰謝料の請求書でも持ってくるがいい」

 

 ニーシャは鼻で笑うと、杖を操作して鎖の出力を一段階上げた。

 黄金の光が深みを増し、拘束環が皮膚に食い込む。

 

「だ、だからって……人の身体を、好き勝手に……!」

 

 抗議は、そこで途切れた。

 

 胸の奥で、鈍い泡が一つ、弾ける。

 胃の底がじわりと熱を帯び、背骨がぐにゃりとした軟骨に置き換わるような、おぞましい錯覚。

 皮膚の内側で、何かが蠢き、芽吹こうとしている。

 

「――あギッ……!」

 

 脈拍が異常な速度で跳ね上がり、全身の毛穴が一度に開く。

 指の骨がゆっくりと溶け、関節が本来ありえない方向へと軋みながら反転していく。

 肩甲骨の下あたりが、じんじんと痒い。

 痒みが痛みに、痛みが熱に変わり、熱がやがて、冒涜的な快感の縁を舐め始めた。

 

「始まったな。呼吸を浅く保て。深呼吸するな、意識が呑まれるぞ」

 

 ニーシャの声が遠のいていく。

 代わりに、床の湿り気が甘い芳香を放ち始め、石畳の冷たさが皮膚ではなく“粘膜”で感じられるようになった。

 視界の端がぐにゃりと歪み、空気中の光の粒子が、まるで意志を持つ生き物のようにゆっくりと動いて見える。

 

「う、うぅ……っ、腕が……腕がぁ……!?」

 

 モーブルの悲鳴は、もはや人の声ではなかった。

 彼の腕は、肘から先がどろりと溶解し、半透明の粘液と化して床に広がる。

 指が指であることをやめ、一本のしなやかな肉塊へと融合し、ぬらりと床を舐めた。

 

 背中が大きくうねる。

 肩甲骨の左右から、細い芽のような突起が皮膚を突き破り、瞬く間に鞭のような柔肢へと変貌していく。

 一本、二本、三本――。数えるそばから増殖し、やがて八本の触手が気怠げに蠢いた。

 表面を覆う粘膜が、魔導灯の光をぬらぬらと反射する。

 

「触手八本、変態第一段階は成功。体表粘液の分泌量も許容範囲内」

 

 水晶板にメモを取りながら、ニーシャは短杖の角度を微調整し、鎖の配置を変える。

 触手が反射的に鎖へ絡みつこうとするたび、拘束環が「ピン」と微かな音を立て、逆位相の魔力波でそれを弾き返した。

 

「が、ぐるる……っ、や、めろ……っ……! こ、こんな……モノに……!」

 

「我慢しろ。下手に抗えばお前の“意識”が霧散するぞ。制御札に意識を集中させろ。ほら、ここだ」

 

 ニーシャは左手に挟んだ銀の札を、モーブルの視界の中心にかざす。

 札の縁が脈を打つように明滅し、規則的なリズムを刻む。

 そこに焦点を合わせると、内側から突き上げる暴虐な衝動が、わずかに後退した。

 

「……ッ、は、はぁ……っ……」

 

 変態は、次の段階へ移行する。

 胸郭の内側で、見知らぬ臓器がゆっくりと鼓動を始めた。

 強烈な圧迫感。

 そこから染み出す未知の液体が、体表へと運ばれ、表面で虹色の光を弾く。

 甘く、危うく、破滅的な粘性を帯びた匂いが、研究室に満ちていく。

 

「『深層触手獣(アビス・クラーケン)』――簡易形態、成立」

 

 少年の声が、どこか満足げに落ちた。

 鏡面加工された金属板に、黒紫色の怪物が映る。

 不定形に脈動する胴体、うねる八本の触肢、ぬらぬらと妖しく光る体表。

 かつての人の面影は、どこにもない。

 ただ、無数の鎖に縫い留められたその異形の中で、かろうじて揺らめく人の意識だけが、最後の抵抗を続けていた。

 

「いい子だ。そのまま動くな。採取に入る」

 

 ニーシャは器具台を引き寄せ、まるで精密機械を扱うかのように、冷静に、手際よく、目的の粘液を集め始める。

 

「うん、順調だ。やはりここで“変態”させたのは正解だった。深層域まで赴いて生体を捕獲・輸送するなど、時間もコストも論ずるに値しない。素材効率は、これが最適解だ」

 

 鼻歌交じりに、銀色の採取管へ次々と液体を満たしていく。

 その無邪気な横顔に憎悪の視線を注ぎながら、モーブルは必死に理性の綱を握りしめた。

 

(なにが最適解だ、この外道が……! わしを好き勝手にできる玩具だと思いやがって。ああ、そうだ、そうに違いない。だがな……覚えていろ。いつかその傲慢さが、お前の身を滅ぼす!)

 

 平民である自分と、大貴族の子息である少年。

 その圧倒的な立場の違いが、彼の牙を心の内にしか向けさせない。

 

「ふふ、でも少し安心したよ。本物のアビス・クラーケンを前にするのは初めてでね。この魔術拘束がどこまで通用するか不安だったが……杞憂だったようだ。お前もよく耐えている。後で褒美に、新しい服でも買ってやろう」

 

 ニーシャの指が、まるで忠実な使い魔を労うかのように、怪物の触手を――ぬるり、と軽く撫でた。

 

 その瞬間、モーブルの背骨を灼熱の矢が貫いた。

 言いようのない多幸感と、脳髄を焼き切るような圧倒的な充足感が、胸の奥底から噴火する。

 同時に、意識の奥で何かが爆ぜた。

 少年の声も、研究室の空気も、すべてが遠ざかり、ただ身体がびくん、と大きく痙攣する。

 

(う、ぉっ……! な、なんだ、この感覚は……!?)

 

 電撃などという生易しいものではない。

 もっと根源的で、冒涜的な何かが、身体の内側で弾け、意識を塗り替えようとしている。

 息を荒らげ、快楽に悶えるかのように身をよじるモーブルの姿に、ニーシャの鼻歌が止まった。

 彼の碧眼が、訝しげに細められる。

 

「……なんだ? この反応は予測データにない。想定外の変数か……?」

 

 訝しげに眉をひそめ、ニーシャは水晶板に新たな数式を走らせようと、無防備に一歩近づいた。

 それが、天才の犯した唯一にして、命取りの過ちだった。

 

 モーブルの中でかろうじて繋がっていた理性の綱が、ぷつり、と焼き切れる。

 

 快感の源。

 あの指先。

 あの声。

 あの匂い。

 

 もっと。

 もっと寄越せ。

 

 ――グ、ォオオオオオオオオオオッッ!!

 

 それは、もはや人の声ではなかった。

 深淵の底から響くような、純粋な渇望の咆哮。

 瞬間、モーブルの身体――アビス・クラーケンの巨体が爆発的に膨張した。

 

 バギンッ! ギャリリッ!

 

 黄金の魔術拘束が、ガラス細工のように砕け散る。

 理論上、A級危険種すら封じ込めるはずの光の鎖が、純粋な物理的膂力の前に何の意味もなさず、光の破片となって霧散した。

 

「なっ――!?」

 

 ニーシャの碧眼が、初めて純粋な驚愕に見開かれる。

 だが、彼は天才。

 思考はコンマ秒で次の最適解を弾き出す。

 

「術式展開! 第四階梯、焦熱――」

 

 詠唱は、完了しなかった。

 風を切る音もなく、濃い紫の影が空間を走り抜ける。

 それは、絶望的な速度でニーシャの華奢な身体に襲いかかった。

 

「ぐぁっ……!?」

 

 衝撃と圧迫感。

 数本のしなやかな触手が、彼の四肢と胴体に蛇のように絡みつき、抵抗を許さぬまま宙へと吊り上げる。

 床に落ちた銀の短杖が、からん、と虚しい音を立てた。

 

「くっ……離せッ! この……!」

 

 ニーシャは屈辱に顔を歪め、脳内で炎の術式を再構築する。

 だが、異変が起きた。

 体内の魔力循環が、まるで砂に吸われる水のように霧散していく。

 組み立てたはずの術式が、形を成す前に崩壊するのだ。

 

「魔力が……霧散する!? なぜだ!?」

 

 触手がさらに強く、肌に密着する。

 ぬるりとした粘液が、上質なローブの隙間から染み込み、彼の白い肌に直接触れた。

 その瞬間、ニーシャは悟った。

 己が弄んでいた、この魔獣の真の恐怖を。

 

「……絶縁効果かっ! この粘液は、魔力の伝導そのものを阻害して……! ボクは、自分の玩具だったはずの実験材料に、今、無力化されているというのか!?」

 

 魔法使いが、魔法を奪われる。

 それは、翼をもがれた鳥よりも、牙を抜かれた獣よりも、絶望的な状況だった。

 

「くっ……!」

 

 喉の奥から、焦りと屈辱に濡れた呻きが漏れる。

 アビス・クラーケン――モーブルは、その無力な獲物が二度と逃れられぬよう、四肢を粘つく触手で締め上げる。

 そして、勝ち誇るかのようにその顔を覗き込んだ。

 

 怪物の複眼に映るのは、恐怖と屈辱に歪む、神が作りたもうた美貌。

 理性の欠片もない。

 ただ、本能が囁いている。

 この獲物は、特別だ、と。

 

 ただ喰らうのではない。

 ただ殺すのでもない。

 このプライド高き魂を、その美しい器ごと、徹底的に屈服させ、支配し、自分のものだと刻みつけることにこそ、最高の愉悦がある。

 

 怪物の本能が、そう叫んでいた。

 

「放せッ! この下郎がッ……ぐぅっ!?」

 

 一本の触手が、少年の顎をくい、と持ち上げる。

 別の触手が、震える彼の頬を、まるで壊れ物を確かめるかのように、ぬるりと撫でた。

 そして、さらに数本が、乱れたローブの隙間から蛇のように侵入し、その柔らかな肌の上を冒涜的な軌跡で滑り始める。

 

「――ッ、やめろ……! その汚らわしいものでボクに触れるな……! ボクを、誰だと……! イングラジアが誇る名門貴族、オブライエンの血を引く者だぞ……ッ!」

 

 か細く、途切れ途切れに紡がれる言葉。

 それは、嵐の前の蝋燭の炎のように、あまりにも儚く、そして痛々しかった。

 だが、そんな人間の矜持など、異形の怪物に通じるはずもない。

 

 嘲笑うかのように、モーブルの触手は少年の薄い胸板を圧迫したまま、さらに上へ、上へと這い上がっていく。

 

 次の刹那、ビリビリ、と布が裂ける生々しい音。

 ぬらりとした粘液に塗れた触手が、容赦なくニーシャのシャツを引き裂いた。

 その下から現れたのは、まだ幼さの残る、男とは思えないほど白くきめ細かい肌。

 そして、朝露に濡れた花弁のように微かに震える、二つの桜色の突起だった。

 

「なっ、や、やめ……ッ!」

 

 ニーシャの頬が、羞恥と屈辱の炎に焼かれ、鮮やかな紅に染まる。

 瞳には涙が滲み、プライドの最後の欠片がひび割れていく。

 だが粘液にまみれた触手は、そんな抵抗など意にも介さない。

 その先端が、容赦なく片方の蕾(つぼみ)を的確に捉え、ねじり上げるように強く捏ねた。

 

 瞬間、ニーシャの華奢な背筋が、弓のように大きくしなる。

 

「――っ、ひぁんッ……!?♡」

 

 自分でも信じられない、少女のような悲鳴。

 反射的に漏れた声に、彼はさらに羞恥を煽られ、その頰を耳まで真っ赤に染め上げた。

 その無垢な響きは、部屋の空気を甘美に震わせ、触手と化したモーブルの奥底に眠る、昏い支配欲を容赦なく刺激した。

 

「ひぐっ……! お、やめろッ! そんなとこ、触るな……んッ……ああッ……!♡」

 

 触手が、ニーシャの二つの突起を執拗に嬲り続ける。

 ねじり、こね、弾き、そして、まるで焦らすかのように優しく撫でる。

 そのたびに少年の口から、抗いの言葉にならない悲鳴が漏れ、身体が小刻みに痙攣した。

 

 やがて、一本の触手が動きを変える。

 ぬるり、と蠢いたその先端の孔から、乳白色の粘液がゆっくりと吐き出された。

 それが肌に触れた瞬間、ニーシャの胸の突起は痛々しいほどに赤く腫れ上がり、まるで内側から熱い衝動に押し出されるように、硬く、硬く張り詰めていく。

 

「……ッ!? く、ぁ……ッ!♡  ふぁあああッ……!♡♡♡ な、なんだ……この液体は……!?」

 

 声が震え、ニーシャの瞳から理性の光が急速に失われていく。

 抵抗の言葉は、もはや甘い吐息に溶けていた。

 

 その絶望のさなか、彼の天才たる思考だけが、最後の抵抗を試みる。

 

(……この感触、単なる刺激ではない。神経系に直接作用している……まさか、この粘液は――)

 

 脳裏に、不意に一筋の閃光が走る。

 かつてモーブルの部屋の書棚から半ば強奪し、夜通し読み耽った分厚い魔獣図鑑の記憶が、鮮やかに蘇る。

 

 ――“深層触手獣の一部は、捕食よりも繁殖を目的とし、特殊な体液を分泌する。

 この体液には、対象の神経伝達を支配し、思考を快楽で塗り潰す凄絶な『媚毒』が含まれる。

 皮膚に触れるだけで理性は急速に希薄化し、本能の奴隷となる”――

 

 図鑑の一頁が、焼きつくように心の表面を走った。

 ページの余白には、モーブルの癖の強い文字で赤インクの走り書きがあった。

 

『※魔法使いは不用意に近づくな!』

『※異種姦性交により人間を苗床化――性別を問わず妊娠のリスク極大!!』

 

 そんな致命的な警告を、今さらになって、鮮烈に思い出す。

 

(――駄目だ、思考が回らない。この瘴気じみた甘い香りは精神を直接侵食する。魔力回路が死んだ今、この身に宿る誇りだけが、最後の砦……!)

 

 ぐにゃり、と脳髄が歪むような感覚。

 自らの内側から鳴り響く警鐘の音すら、遠く霞んでいく。

 神に選ばれたと信じて疑わなかったこの自分が、ただの獣が貪るような快楽に屈し、醜態を晒す。

 その未来予想図が、彼の精神を内側から食い破ろうとしていた。

 

 プライドも、知性も、これまで築き上げてきた全ての価値が、この名状しがたい怪物の前で汚泥にまみれる。

 その想像は、彼にとって死の苦痛すら生ぬるく感じるほどの、冒涜的な屈辱だった。

 

 だが、そんな彼の絶望を心底から嘲笑うかのように、ぬるり、と蠢く二本の触手が、ニーシャの華奢な両腿に蛇のように絡みつく。

 それはまるで、冷たい粘液に濡れた鉄の枷。

 一切の抵抗を許さぬ絶対的な力で、彼の脚をゆっくりと、しかし確実に左右へと開いていく。

 

「な、にをするッ! ボクをどうする気だ、この……下等生物がッ……!」

 

 怒りと羞恥に顔を真っ赤にして叫ぶ。

 しかし、その悲痛な叫びは、湿った研究室に虚しく響き、怪物の耳には甘美な前戯としてしか届いていない。

 触手はさらに大胆に、そして無慈悲に行動を移す。

 

 一本の触手がニーシャのズボンにぬるりと触れたかと思うと、次の瞬間、その繊維に食い込み、凄まじい力で一気に引き裂いた。

 ブチブチブチッ、と布が絶叫を上げる。

 彼のズボンが下着ごと無残に引き裂かれ、少年の秘された聖域が、白日の下に晒された。

 

「は……?」

 

 その瞬間、ニーシャの思考が凍り付いた。

 恐怖と屈辱に、身体は氷のように冷え切っているはずだった。

 だというのに、彼の中心にあるべき包皮に包まれたペニスが、その意思を完全に裏切り、熱を持って可愛らしく反り返っている。

 

「なっ……! ちが……これは、オレの意思じゃ、ない……ッ! 媚毒の、せいで……!」

 

 必死の否定は、言葉にならずに喘ぎとなって漏れた。

 そのみっともない言い訳を嘲笑うかのように、モーブルの触手の一本が、熱を持つ彼のペニスへとそろりと近づく。

 

 そして、まるで未知の、興味深い生物を観察するかのように、その先端で、熱く張り詰めた肌を、ぬるり、と撫で上げた。

 

「ひぅッ……!?♡」

 

 さっきまでのどんな刺激も比にならない、甘美な衝撃――それが背骨を根元から這い上がり、脳髄を白く溶かした。

 ニーシャの視界は眩しく霞み、まともに呼吸もできずに、思わず涙をにじませる。

 

「い、ぁっ……?!♡ やぁっ…!♡ あうっ……!♡ このっ……触るな化物ぉっ……!♡」

 

 モーブルは触手の先端からこぼれる粘り気のある分泌液を、妖しく滴らせ、そのしっとりとした表面で少年の幼い陰茎を包み込む。

 ぐちゅぐちゅ、にちゃにちゃと耳を犯す艶めかしい水音が、鼓膜へ、脳内へ、際限なく染み込んでくる。

 

「あっ……ああっ……!♡♡ やだっ……やめろっ!♡♡ こんなことで、お前に屈服するわけ……!♡♡」

 

 必死の強がりは、触手の動きを煽るだけ。

 まるで嗜虐心を煽られたかのように、モーブルの触手はさらに激しくペニスを嬲り始める。

 逃れようと腰を捻ったその動きは、逆に快楽を求めるような動きへと変わり、刺激は増していく。

 包皮に包まれた亀頭を執拗に包み込み、次いで裏筋へとねっとりとした魔手が這い寄る。

 

 その繊細なタッチで裏側をなぞられるたび、まるで神経そのものが直接玩ばれているかのような快感が背骨を伝って頭まで突き抜け、ニーシャはたまらず腰を浮かせてしまう。

 

「ひぁっ!♡ あ、ぁあっ……!♡♡ そこ、ダメだぁっ……!♡♡」

 

 触手の分泌液と、ニーシャ自身が溢れさせた先走り汁が混じり合い、ぐちゅぐちゅと卑猥な音を立てる。

 その淫靡な音までもが鼓膜を通して精神を冒し、少年は羞恥に耳まで真っ赤に染めた。

 

(やぁっ……このままじゃ、ボク……いっちゃう……!♡)

 

 追い詰められて自分でもどうしようもない破裂感――

 だが、少年が今にも決壊しそうになるのを見て取ったかのように、触手はふいと熱源から離れていった。

 

「あ……え……?」

 

 突然訪れた中断。

 物足りなさと脱力が吐息となって漏れる。

 快楽の底から引き離された不満――その余韻をしっかり確認したうえで、モーブルの別の触手が、不気味に蠢き始める。

 

 粘液に濡れた先端がぬるりと割け、中からさらに細く、神経を逆撫でする無数の突起が蠢くように生えてくる。

 それは、交合のためだけに存在する器官――おぞましいほどに巨大な、異形の肉棒だった。

 

「は……? そ、それって魔獣の……生殖器なのか!?」

 

 そのおぞましい変態を目の当たりにして、ニーシャの瞳から理性の光はみるみる消えていく。

 

「っ!? ま、待て……! お、お前、その汚らわしいものを、どこへ――向けているんだ……!?」

 

頬から血の気が失せ、ニーシャは残された力のすべてで身を捩じる。だが、その抵抗すら、怪物の嗜虐心を煽るだけの無意味なあがきに過ぎない。

 

「まさか……お前……ボクと……交わるつもりか……? 冗談じゃない……モーブル! まだお前に人間としての意識が残っているのなら、頼む、正気に戻ってくれッ!」

 

 最後の望みを託した叫び。

 しかし、返ってきたのは絶望だけだった。

 まるで「その気取った名前で呼ぶな」とでも言いたげに、凶悪な太さの肉塊がゆらりと揺れる。

 

 それはもう、一切のためらいを見せなかった。

 熟れた果実をもぎ取るかの如く、ゆっくりと、しかし確実に、ニーシャの後ろにある禁断の蕾へと、その先端を押し当てる。

 

「や、やめろ……! そんな、馬鹿げた大きさのものが、入るわけな――ッ!」

 

 哀願は、無情に踏みにじられた。

 冷たく、ぬめる異物が、固く閉じられた入口に押し付けられる。

 次いで、ためらいなど微塵もなく、肉をこじ開け、引き裂くように、強引にねじ込まれてきた。

 

 ズブッズズブズブ……

 

「ッ、が……!?」

 

 粘液の絡む音とともに、ニーシャのか細い腰がびくん、と大きく跳ねた。

 痛い、では表現しきれない。

 己という存在そのものを内側から否定され、理性も誇りも、すべてがぐちゃぐちゃにされる絶対的な圧迫感。

 内臓が押し上げられ、呼吸さえままならない。

 

「かはっ……! お、ごぉッ……! い、ぎぃ……ッ!」

 

 強引にねじ込まれる異物の感覚に、喉から濁った悲鳴がこぼれる。

 侵食は止まらない。

 むしろ、ますます容赦なく、彼の肉体の奥深く――その構造を確かめるように、内壁をじっくり、しつこく抉っていく。

 

「あぎぃいッ! ぐっ、ぅ……ぁあああ……ッ!」

 

 痛みと恐怖がブレンドされた涙が、次々と頬を伝う。

 だが、怪物はその涙すらも嬉々として舐め取り、凌虐の歓びに変えていく。

 絶望の叫びをBGMに、肉の杭はその動きを抽送へと変えた。

 これはもはや人間の交合ではない。

 暴力と快楽が渦を巻く、一方的な凌辱だ。

 

 ぐちゅっ、ぐちょ……じゅぽじゅぽじゅぽっ――!

 

 ぬめる肉の擦れ合う淫靡な音。打ち寄せる粘液の波が腸壁をこじ開け、奥の奥までまさぐりつくす。

 

「あぁっ……! や、やだ……あがぁッ! あ、ああッ……!!」

 

 触手が突き上げるたび、ニーシャの細い腰が派手に跳ね上がる。

 悲鳴とも喘ぎともつかない声が、喉の奥から思わずほとばしった。

 

 肛虐の衝撃が、彼の肉体を内側からバラバラに切り裂く。

 意志の力などまるで無力――全身が勝手に痙攣し、両腕も両脚もまるで空を掴むように宙をさまよう。

 だが、その有様に同情をかける気配など微塵もない。

 触手は、むしろ愉しむかのように、さらに無慈悲に深奥へと食い込んでいく。

 

「ひぎっ……! あッ、あぐッ……!」

 

 羞恥と悔しさ、それでも拭えぬ苦しみ。

 熱い涙が頬を伝うたび、その隙間を見逃すことなく、触手は巧妙に動きを変えてくる。

 

 その絶望のさなか、ニーシャの天才たる思考が、か細い冷静さを取り戻す。

 

(どういうことだ……ただの暴力じゃない……。この動きは、あまりに……計算されている……?)

 

 抜くときはゆっくりと穴の縁をなぞり、逃れられると錯覚させるほどの解放感を。

 そして次の瞬間には、躊躇のない硬さで腸の奥深くを穿ち、再び絶望の淵へと引き戻す。

 抜いては絡め、挿れては芯を撃つ――。

 まるで快楽の“急所”を探し当てるため、執拗に、的確に責め技を繰り返してくる。

 

(こいつ……ボクが感じる場所を――探し当てようとしているのか……!?)

 

 その絶望的な事実に気づいた瞬間、触手の先端が腸壁の一点――敏感な快楽の神経束を、正確にかすめた。

 電流のような衝撃が、脳天を真っ白に焼き尽くす。

 

「ひぁッ!♡♡ あ……あッ!♡♡ や、だめっ……そ、そこは……ッ、やめろぉおお……!♡♡」

 

(ダメだ……声を、殺せ……!♡ なぜ、こんな、化け物に……感じて……!♡ ありえない、ありえない、ありえないのにぃ……!♡♡♡)

 

 その祈りも虚しく、触手が震えるたびに、少年の声は抗いがたい嬌声へと変貌していく。

 奥深くから溢れ出した甘美な音色――それは、彼の魂そのものが、肉体の快楽に屈した証左だった。

 

 媚毒が、回る。

 侵入箇所から熱を帯びてじわじわと全身へ浸透していく。

 それはニーシャが最も軽蔑し、見下していたはずの「下劣な獣性」。

 恐怖も、誇りも、積み上げてきた知性さえも、熱い奔流の中で容易く溺れ、溶けていく。

 

(な、なんだ……これ……ッ!♡♡ こんな感覚、知らない、知らないッ……!!♡♡)

 

 ただの痛みと圧迫感しかなかったはずの侵略が、次第に質の異なる感覚へと飲み込まれていく。

 それは、身体の最奥から直接、優しく愛撫されるかのような、甘く蕩ける水音のような悦楽。

 背筋が粟立ち、腰の芯が、どうしようもなく熱を帯びていく。

 

「き、気持ちよくなんて……ッ、あるわけッ……!♡ ボクは……男だぞ……こんなッ、ことで……ッ!♡」

 

 無様な、そして最後の砦であったはずの強がりも、すぐに砕け散った。

 触手は、慈悲の欠片もなく、ただ執拗に同じ箇所を繰り返し抉る。

 腸の奥へ、波となって押し込まれる蕩けるほどの刺激に――ニーシャの喉から、本人ですら信じられないような甘い、溶けきった悲鳴が零れた。

 

(まずい、まずい、まずいッ……! ボクは、一体、何を感じているッ……!? 相手は人間じゃない、ただの魔獣なんだぞ……! それなのに、こんな……こんなぁ……♡♡)

 

 恐怖と焦燥に目を見開くニーシャ。

 しかし、その思考さえ、次の瞬間には白く塗りつぶされる。

 触手の先端が、彼の最も脆弱な一点――雄性の存在証明とも言うべき場所を的確に、そして容赦なく、ぐ、と押し上げたのだ。

 

「あひぃぃぃぃぃぃッッ!!♡♡♡♡」

 

 絶叫とともに、少年の身体は限界まで弓なりに反り返る。

 意思とは無関係に、彼の雄蕊の先端からは、白濁した屈辱が堰を切ったようにほとばしった。

 

「ひぐッ!♡♡ あがっ、あ、あぁあああッ……!♡♡♡」

 

 その無様な絶頂にこそ最高の愉悦を見出したかのように、触手はさらに獰猛に、獲物を貪るように、その律動を加速させていく。

 

 ズブッ! ドチュッ! グチャッ!! グチュッ!!

 

「や、やばいっ!♡ おぐっ、おごぉおおおおっ!!♡♡♡」

 

 苦痛と快感が脳内で混濁し、もはや言葉にならない絶叫が喉を突き破る。

 

(だ、だめだ……ッ!♡ こんなのが続けば――ボクの、思考回路が、本当に焼き切れてしまう……!♡)

 

 必死に理性の糸だけを頼りに、かろうじて自分でいようとするニーシャ。

 しかし、その抵抗の全ては、うねる肉塊の蹂躙の前には、あまりにも儚い。

 獣の律動が、さらに苛烈に加速してゆく。

 腸奥を執拗に這い回る異形は、もはや少年の急所を正確に見抜いたかのように、寸分違わぬ所作で快楽の頂点だけを的確に穿ち続ける。

 これは暴力ではない、狩人が獲物を仕留めるためだけに研ぎ澄ませた、熱と粘液の“蹂躙”だ。

 

(くる……ッ、なにかが、奥から――ッ!!♡)

 

 今やそれは恐怖さえ通り越した確信。

 肛門から下腹部にかけ、焼けつくような奔流が駆け抜け、脳髄の中心まで喝采のように貫いた。

 満たしきった肉杭が、ぶくりと一際大きく膨張し、ドクン、ドクンッと命を打ちつけるように脈打つ。

 その先端が腸の奥で跳ねた、まさにその瞬間――

 

 ――ドプッドプッ、ビュルルルルルッ!!

 

 灼熱の粘液が、奔流となって彼の内側を塗り潰していく。

 焼けつく感覚と同時に、全身の神経がガタガタと震え、心臓が裏返るほどの衝撃。

 

「ア、あはぁああッッ!!♡♡♡ ……あ、ああッ――!!♡♡♡♡」

 

 絶頂の咆哮は、崩れゆく精神をもろともに切り裂き、空間に響き渡った。

 己の陰茎もまた反射的に強烈な痙攣を繰り返し、制御もできずに、だらしなく白濁が噴きこぼれる。

 

「あ……あっ、あぁ……ッ♡♡♡」

 

(中に、出された♡ ……この、下劣な獣に。……ボクは、……孕ま、されるのか……?♡)

 

 名残惜し気に触手がじゅるりと引き抜かれると、ぽっかり開いた後穴からは、惜しげもなく注がれた液体がドボドボと逆流し、太腿をしたたかに伝った。

 そのぬめりの感触に、絶望も、快楽も、そしてどうしようもない羞恥も、一度に押し寄せ、ニーシャの頬を熱い涙が伝う。

 

…意識の端に、泥のような虚無感がじわじわと染み込んでくる。

 けれど、それでも――全てが塗り潰されてしまったわけじゃない。

 

 ニーシャは、快楽に震える両拳を握りしめ、最後の意地を籠める。

 惨めで、浅ましく、それでも――最期の、最後の「自分」だけは、まだ消えきっていない。

 

(……これで終わりなものか。ボクはまだ……まだ、負けてなんかいないっ!)

 

 滲む涙とともに、残り火のような気力がかすかに蘇る。

 零れ落ちそうな意識の残骸を、少年は必死に手繰り寄せた――地獄の底で、消えかけていた“天才”としての矜持が、もう一度だけ、彼を衝き動かす。

 

「はぁ……はぁ……♡ な、なぁ、モーブル……っ! もう、十分だろ? これ以上は……本当に勘弁してくれ……」

 

 喉の奥で掠れる声。それでも、小さな魂の残響を振り絞って、ニーシャは訴える。

 

「このままボクを解放してくれたら……今までのこと、絶対に誰にも言わない。……そうだ! お前の大好きな“金”だってやる。どうだ?」

 

 “金”――この単語が出た瞬間、怪物の動きがぴたりと止まった。

 

「あ、そうだ……金貨だ! いくらでも要求すればいい。百枚でも、五百枚でも――お前が欲しいだけ、全部払ってやるから……っ!」

 

 必死の取引。

 その言葉が届いたのか、蛇のように蠢いていた触手の動きが、ぴたりと一瞬だけ止む。

 そしてモーブルの複眼が、まるで獲物の価値を値踏みするように、無機質で冷たいきらめきをたたえてじっとニーシャを見据えた。

 

(……反応した? 考えているのか……? よし、まだだ。あいつの奥底には、強欲な商人の理性が残っているはずだ。交渉はできる。今なら……!)

 

「よし……千枚だ! な? 今ここで全部水に流して、お互い忘れよう――決して悪い話じゃないはずだ」

 

 提案に反応したのか、怪物の巨大な眼球が、ゆらりと宙を動く。

 ニーシャは――その目に怒りと、かすかな希望、そしてドス黒く煮えたぎる復讐の炎を宿して、真正面から睨み返した。

 

(あと一押しだ……! こいつが条件を呑んで、一瞬でも拘束を緩めたら――その刹那、この汚らわしい肉塊をボクの最大火力の爆炎魔法で、細胞の一片も残さず灰にしてやる……!)

 

 心に渦巻く殺意を笑顔の仮面の下に隠し、ニーシャは言葉を畳みかける。

 

「心配することはないさ、モーブル。ボクは“天才”だぞ? ――お前みたいな愚鈍で、魔法も使えない下等生物ごときに遅れを取ったなんて恥辱、わざわざ世間に吹聴して回るほど馬鹿じゃない。三流商人のノミみたいな脳みそでも、それが最大の“利益”だと理解できるよな?」

 

 その瞬間、触手の動きが完全に止まった。

 一本がぬるりと伸び、ニーシャの紅潮した頬を優しく撫で上げる。

 

「あ……わかってくれたのか……!」

 

 希望の色が、ほつれかけた心にかすかに差し込む。

 しかし、安堵の息が肺を満たすより早く――

 

 唐突に、巨大な触手がニーシャの顎をこじ開け、無理やり口腔を押し広げてくる。

 

「んぐっ……!? ん、んんん――!」

 

 熱く粘つく異物が口腔を蹂躙し、喉奥を無遠慮に貫いていく。

 にじり寄った“解放”への僅かな希望も、あっけなく吹き飛ばされていった。

 

 触手は喉奥へ鋭く迫り、限界まで貫かれた途端、熱く生臭い粘液が爆発するように胃の中へと流し込まれる。

 

「おごぉおおおおおおッ……!♡」

 

 喉奥を満たしきれぬほどの量。息が詰まり、食道を強引に逆流していく熱く重い異物。

 その生臭く粘つく臭気と圧迫感――なのに、それは絶望に染まる快楽となって、次の波のようにニーシャの全身を襲った。

 

「ん、んんっ……ンんん……ッ♡♡♡」

 

 耐えきれない悦楽に、己の屈辱が証明された。

 意思とは無関係に、勃起した陰茎から止めどなく白濁がほとばしる。

 その飛沫を、モーブルは躊躇なく伸ばした触手で絡め取り、一滴も逃すまいと貪欲にちゅうちゅうと吸い上げていく。

 まるで、その証そのものまで喰らい尽くすかのように。

 

「あ……ああ……♡」

 

 もう、抵抗するための力も残っていなかった。

 あらがう意志も、すべて指先から砂のように零れ落ちていく。

 ただ虚ろな目で天井を見上げ、全身をかすかに震わせて、か弱く喘ぐ――それ以外、何もできない。

 

 そんな無力な少年を、モーブルは興味しんしんとぎょろり複眼で眺めている。

 一本の触手が乳首を執拗にねぶり回し、同時に本体下部、ぽっかり開いた穴から、ぞっとする下卑た声が響いた。

 

『ぐへへ……生意気な小僧め……絶対に許さん……』

 

「………………なっ!? お、お前、声が……出せるのか……!」

 

『くくっ……なにが愚鈍だ、なにが“魔法も使えねえ三流商人のオツム”だと? 今まで、お前にどれほど見下され、馬鹿にされてきたか……このわしが忘れちゃおらんぞ……!』

 

 モーブルの触手が、ついとニーシャの尖った乳首を強くなぞる。

 びくりと大きく跳ねる身体――そこに滲む羞恥も屈辱も、もはや隠しきれるものではなかった。

 

「んぅっ……あぁッ……!♡♡」

 

『ふん、アビス・クラーケンか。触手の魔物になるってのも、案外わるくないもんだな。なにせなァ……ニーシャくんが“男”でも、もう関係ないんだ……』

 

 ねっとりとした声音と共に、背筋に氷のようなものが這い上がる。

 何か決定的な破滅がすぐ間近に迫っていると、本能が警鐘を鳴らし続けていた。

 

『これならなァ、確実に――わしの子を孕ませてやれるからなァ!!!』

 

「そんなっ……ぁああああっ…………!♡」

 

 その宣告と共に、ニーシャの心は奈落へと叩き落とされる。

 理性も誇りもすべてが届かぬ、異界の深淵。

 常軌を逸した怪物の欲望を前に、どんな抵抗も空虚な嘲笑にしかならなかった。

 

『そうだ……ニーシャくんのような生意気な小僧には、たっぷりと教育が必要だ。お仕置きとして、百人、いや百匹でも、わしの子を宿してもらおうか……ぐへへへへへへ、楽しいなぁ! 嬉しいなぁ!! 美少年と触手の夢の新婚生活の始まりだァ!!』

 

 あまりにおぞましい宣告。

 その一言が、鮮烈な悪夢となって意識を貫く。

 

(百匹……? まさか、こんな下劣な魔獣の“苗床”に、ボクが……!)

 

 掠めたイメージは、己の身体が怪物のためだけに辱められ、際限なく命を産み続けるという凄惨な未来。

 その想像の重みと恐怖に、理性の砦は音もなく崩れていく。

 

 それでも怪物はお構いなしに、ニーシャの身体を優しく持ち上げる。

 まるで愛玩するかのように──空中でゆらり、ゆらりと嬲り、支配を刻みつける。

 

『さぁ、大人しく“わしの妻”になるんだ。これからは、子を宿す苗床として生きていくのだからな――』

 

「や……やめて……! あっ――♡」

 

 抗議の言葉すら許さず、巨大な触手の男根が容赦なく再び彼の身体を貫く。

 

「あ、あああッ!!♡♡」

 

(また……ッ!♡ これが、ボクの中に、めちゃくちゃに……!♡ もう、いやだ……!♡♡)

 

 だが泣き声も、懇願も、この怪物には何の意味も持たない。

 ただ歓喜にうわずった獣のように、ニーシャの肉体を嬲り、蹂躙することだけが本能となり果てていた。

 

『ほれほれ……もっと締め付けろぉ。そうしたらもっとわしの精がたくさん出て“孕みやすく”なるぞぉ!』

 

「あっ……!♡♡ あひゃあぁぁっ……!♡♡」

 

 冷酷なピストン運動が激しさを増すたびに、ニーシャの奥底に残っていた意志の欠片までもが千切れていく。

 絶え間ない律動とともに、腸内でモーブルの粘つく白濁液が逆流し、少年自身の身体が分泌した淫らな蜜と混じり合う。

 結合部はぐちゅぐちゅと淫靡な音を立て、快楽と恥辱に塗れた“証”を容赦なく刻みつけた。

 

(もう、だめだ……!♡♡ ボクは、こんな……触手の魔獣相手に身も心も堕とされて――♡♡)

 

 絶望は意識を黒く沈め、最後まで強張っていた肉体すらも、もはや抗う力を失って脱力する。

 触手の動きに身を任せ、振り回されるまま、ただ喘ぎ声だけが外に溢れる。

 

『ぐははっ……! いいぞ、いいぞぉ! もっと締め付けて……わしの子種を搾り取るんだ!』

 

 触手の先端が唇にそっと触れ、何度も柔らかく吸い上げ、まとわりつく。

 まるで媚薬を塗り込められるかのような熱が、唇から直接、心の芯へと染み渡った。

 

「んん……ぅ♡ ふ……♡ や、めて……♡♡」

 

 それでも触手はさらに顔を覆い、深く、長く、逃れられぬ口づけを繰り返した。

 

「ん、ちゅッ!♡ くちゅ、れろ……!♡ やぁ、キスだめぇっ……!♡♡ またっ、身体の奥が……切なくなっちゃう、からぁっ……!♡♡」

 

 モーブルは触手の律動をさらに加速し、ニーシャの意識に烈しい快楽を叩き込む。

 その無慈悲で一方的な陵辱に、彼はもはや逆らうことすらできなかった。

 

『ぐふふ……!♡ もう限界か? ならば今度は――腹が膨れるまでたっぷりと、わしの子種を注いでやるからなァ!!』

 

 その宣告と同時に、触手が一際激しく蠢き始める。

 その暴虐な衝撃に、ニーシャの身体は木の葉のように翻弄されるしかなかった。

 

(もう……何も、考えられない……。ボクは、このまま……こいつの子を、孕むのか……?)

 

 絶望と快楽が脳内でせめぎ合う中、彼はふと、目の前にあるモーブルの複眼を見た。

 その瞳の奥に宿っていたのは、先ほどまでの狂気とは質の違う……はっきりと形を持った、昏い意志の光。

 それはまるで、獲物を狙う蛇のような――いや、違う。もっと粘着質で、独善的で……まるで、夫が妻に、あるいは恋人がその愛人に向けるような、歪んだ所有欲。

 

「あ……」

 

(そうか――こいつは……オレのことを、本気で……“妻”に、しようと……)

 

 その瞬間、ニーシャは悟ってしまった。

 モーブルの触手が、自分の腸内へ執拗に子種を注ぎ込もうとする理由――それはこの怪物にとって、“食事”でも“繁殖”でもない。

 ただ純粋な、一方的な“愛情表現”だったのだと。

 その理解が、彼の最後の理性を、粉々に砕いた。

 

「あっ……ああっ……!♡♡♡」

 

 絶望と快楽が、もはや区別のつかない奔流となって彼の心を押し潰す。

 抵抗する気力など、とうにない。

 ただ力なく喘ぐだけの少年を、触手は心底から愛おしそうに、何度も、何度も、貫き続ける。

 

『おほっ、出るぞ……! わしの赤子の素が、もう出る……! たくさん、だしてやる……! わしの子を確実に孕めるように、一番濃厚な子種汁を…………お前の身体の奥の奥まで注いでやるからなぁ……!』

 

「やめろ……ッ!♡♡ ボクは、お前の妻なんかじゃない……!♡♡ ボクには心に決めた人が……いるんだッ……!♡♡ だから……いらない……!♡♡ お前の子供なんて孕みたくない……!!♡♡♡ やめろ、やめて……ぁあああああああああああッ!!♡♡♡♡」

 

 触手の男根が、一際強く、深く、打ち込まれ、その先端から灼熱の白濁液が、堰を切ったように解き放たれる。

 

 ドピュルルルーーー!!!!♡♡♡♡ ビュッ!♡♡ ビュルッ!♡♡ ビュー!♡♡ ブビュァァッ!♡♡  ドボォ……♡♡

 

「んぁ、あぁッ……!♡♡♡ い、くぅ……!♡♡♡ ひゃあああぁあぁああんッッ!!♡♡♡♡♡」

 

 それと同時に、ニーシャもまた抗いきれない絶頂に達し、もはや色も薄くなった精を、だらしなく迸らせた。

 

「あ……あぁ……♡♡♡」

 

 意識の奥底で、何かが音を立てて崩れ落ちる。

 それは彼の心か、矜持か、あるいは希望という名の、か細い光そのものだったのか――。

 快楽と絶望が完全に混じり合い、ニーシャの自我を塗り潰していく。

 

「はぁっ……まだ出てるぅう……♡」

 

 触手はなおも、彼の内側へと命の奔流を注ぎ込み続ける。

 腹が内側から圧迫され、ありえないほどに膨らんでいく感覚。

 その感覚すら、もはや心地よい温もりとしてしか感じられなかった。

 

(……ボクは……こいつに……“魔獣の番(つがい)”に、されちゃったんだな……♡)

 

 もう、何も考えたくなかった。

 ただ、この狂おしい宴に身を委ねてしまえば、きっと楽になれる――そんな気さえ、していた。

 

 モーブルは、自身のありったけの子種をニーシャの胎内と、そしてその白い肌に穢れの刻印を刻むようにぶちまけた後、満足げにゆっくりと触手を引き抜いた。

 

 ごぽぉっ、と。

 水音を立てて、肉の杭が抜けていく。

 ぽっかりと開かれたアナルからは、受け止めきれなかった白濁が、勢いよく濁音を立てて溢れ出した。

 

『ぐふふ……ニーシャ。これで君はもう、わしのものだ。わしのお嫁さんになれて、嬉しいだろう?』

 

 その声は、どこまでも優しく、そして、どこまでも残酷に響き渡った。

 ニーシャの小さな身体には不釣り合いなほど、ぽっこりと膨らんだ腹。

 その白磁の肌には、注がれたばかりの精液が、まるで屈辱を刻み込んだ刺青のように禍々しく浮き出ている。

 

「あ、ああ……♡」

 

 虚ろな瞳は、ただ天井の一点を見つめたまま。

 ぴく、ぴくと微かな痙攣を続ける身体。

 その顔は涙と様々な液体で汚れ、もはや苦悶の色は消え去っていた。

 代わりに浮かぶのは、恍惚とした、どこか安堵したような表情。

 ――それは、自らの価値が、ただ与えられる快楽に奉仕することだけにあると悟ってしまった、新生の“雌”の顔だった。

 

『さあ……これから毎晩、毎晩、可愛がってやるぞぉ。わしの子を百匹、孕むんだからなぁ? 楽しみだぞぉ』

 

 性欲と支配欲を完全に満たしたモーブルが、勝ち誇ったように下卑た笑い声を上げる。

 だが、次の瞬間。

 その絶頂にあったはずの怪物の身体に、明らかな異変が起き始めた。

 

『ん? なんだ、これは――』

 

 蠢いていた触手の身体が緑色に発光し始め、まるで砂の城が崩れるように、その表面からぽろぽろと崩れ落ちていく。

 

『ぐ……うぉおお……! な、なんだこの痛みは! わしの、わしの身体が……消えていくッ!』

 

 モーブルが絶叫する。

 その悲鳴に呼応するように、ニーシャをあれほどまでに拘束していた触手も、一瞬で力を失っていった。

 まるで役目を終えた玩具のように力なく、彼の身体を硬い石の床へと放り出す。

 

「いッ……つ……!」

 

 解放された瞬間、鋭く全身を走った痛み。

 それが現実の感覚として脳に突き刺さり、快楽の霧の向こうに追いやられていた意識が、否応なく引き戻される。

 

「あれ……? ボクは……助かったのか? あの怪物は、どこへ――」

 

 あまりに突然の展開に、ニーシャはしばし呆然と呟く。

 虚ろだった瞳に、ぼんやりと理性の光が戻り始めていた。

 その目の前で、かつて巨大だった怪物が、軋むような呻き声を漏らしながらひたすら苦しんでいる。

 

「……なにが起きた? あ、これは……そうか、時間切れか……」

 

『ぐぬぅ……! 嘘じゃろ、わしのかっこいい触手ちゃんが、しぼんでいくなんて!』

 

 それは、もはや威厳も凄みもない。

 さっきまでの怪物の咆哮は消え、ただの中年男の魂から絞り出された哀れな悲鳴が響くだけだった。

 やがて、異形の身体はみるみる縮んでいく。

 粘液に覆われた皮膚は乾き、鱗状になってひび割れ、ついには情けなくぶよぶよした全裸の中年男――ジンジ・モーブルの、本来の姿だけがそこに取り残された。

 

「………………あ、あぁああああ、嘘だろ!? これ、人間の姿に――も、戻ったのか……!?」

 

 涙と汗で顔じゅうぐしゃぐしゃにしながら、全裸のまま床を這いつくばって泣きわめくモーブル。

 そのあまりにもみじめな姿は、もはや哀れみさえ誘う。

 

「やっと……やっとニーシャくんと結ばれると思ったのに……わしの子を百人も孕ませて、楽しい新婚生活を送ろうと思ってたのに……それなのに、こんな……くそぅ……」

 

 哀れで身勝手な嘆きをぶつけるモーブル。

 やがて、その前に一つの影が落ちた。

 ニーシャが、崩れた衣服をかき集めてかろうじて腰を覆いながら、ゆっくりと立ち上がっていた。

 

「――おい、モーブル」

 

 その低い声は、氷のように鋭く、底知れぬ冷気を室内に満たす。

 思わず肩を跳ね上げ、おそるおそる顔を上げたモーブルの前には、腕を組んで仁王立ちする金髪の美少年がいた。

 眉間には青筋が浮かび、不気味なくらい静かな微笑みと、絶対零度の怒りがその表情に同居している。

 

「ニ、ニーシャくん……い、いえ、坊ちゃん!」

 

 途端に空気が張り詰まり、場の支配権は完全にニーシャへと移った。

 快楽の残滓を瞳に揺らめかせながらも、再び天才の冷徹な威圧感を取り戻したその眼差しには、決して癒えることのない復讐の炎が宿っていた。

 モーブルは反射的に声を裏返し、膝をガクガク震わせる。

 

(まずい……! やってしまった。完全に、この子の逆鱗に触れた。この笑顔は、絶対、本気で怒ってる顔だ――!)

 

 死の予感が本能を刺し、モーブルは必死に頭を回転させる。

 生き残るための“商人の悪知恵”が、咄嗟に白々しい言い訳を紡がせた。

 

「う、うう……痛い、痛い……これはひどいわい……」

 

 彼は頭を抱え、必死に記憶喪失を装う。

 

「あ、あれぇニーシャ坊ちゃん? ど、どうしたんですかな。そんな……見るも無惨な姿になられて……だ、大丈夫ですか? わたくしめも、なぜかさっきからの記憶がまるで……。いやはや、きっと悪い夢でも見ていたんでしょうな……アハハ……」

 

 言い訳を吐きながら、モーブルは“逃げ道”を探すように肩をすくめる。

 

 ニーシャは何も言わない。

 ただ、近い距離からじっと覗き込み――氷を溶かしたような声で、静かに問いかけた。

 

「……お前。今までのことは、なにも覚えていない。そう言うんだな?」

 

「へ、へえ! もちろんですとも!」

 

 モーブルは大げさに頷き、すぐさま揉み手を作って媚び笑う。

 

「わたくしでよければ、坊ちゃんのお役に立てますぞ? 事情の整理でも、口止めでも、何でも――」

 

 その言葉を、ニーシャは穏やかな微笑みで遮った。

 

「そうか。記憶が曖昧なのか。……残念だな」

 

 少年は一つ、わざとらしいほど丁寧に息をつく。

 

「せっかく、お前の“妻”になれたと思ったのに。お前のためなら、子供だって百人くらい産んでやろうと覚悟したんだが。――覚えていないなら、仕方ない」

 

「……え?」

 

 一瞬、モーブルの頭が追いつかなかった。

 次いで、頬がみるみる赤く染まり、瞳が欲に濁る。

 

「ま、まじか!? 本当に!? まさか、わしとニーシャくん、両想いだったとは――!」

 

 歓喜の勢いのまま、モーブルは身を乗り出した。

 さっきまでの取り繕いも、命乞いも、全部どこかへ吹き飛ぶ。

 

「よし! 結婚式だ! 花嫁衣裳は特注! 指輪も最高級! 披露宴は――いや、帝都中に触れ回ってやる! さぁニーシャくん、愛の誓いを――!」

 

 欲望を隠そうともしないその顔を、ニーシャは黙って見下ろしたまま。

 そして、静かに口角だけを上げる。

 

「――ほう。やはり、記憶は残っているようだな」

 

 その一言が、刃のように室内の空気を切り裂いた。

 ニーシャはゆっくりと身を起こし、碧い瞳を細めてモーブルを見据える。微笑んでいるはずなのに、瞳の奥には今にも爆ぜそうな怒りが、静かな炎となって燃えていた。

 

 みじめな商人の額から脂汗が滲み、貼り付けた愛想笑いが引き攣る。

 ――逃げ道が、消えた。言い訳の居場所が、消えた。

 

「お、おぉ……ま、待ってください、ニーシャ坊ちゃん! そ、その……いろいろ誤解が……! わしは純粋な気持ちであなたを……!」

 

 モーブルは膝をつき、震える手を宙に掲げて必死に言葉を並べた。

 だが、ニーシャは一歩だけ距離を詰める。たったそれだけで、空気の支配権が完全に移った。

 

「黙れ、モーブル」

 

 温度のない声が落ちた瞬間、部屋の空気が凍りついた。

 ニーシャは腕を組み、逃げ場のない角度から相手を射抜く。

 

「口先だけの愛も、都合のいい言い訳も――聞き飽きた。お前の“妻”として、これからはお前にふさわしい“愛情”をくれてやる」

 

 モーブルの喉が鳴った。

 冷や汗が首筋を伝い落ちるのが、やけに鮮明に分かった。

 

「ぼ、坊ちゃん……本気で……やめてくれ……」

 

 掠れた懇願に、ニーシャはゆっくりと微笑んだ。

 そこにはもう、かつての無邪気さの欠片もない。

 美しいのに、底知れない――処刑人の刃先のような笑みだった。

 

「最初の“お仕置き”は単純だ」

 

 淡々と、告げる。

 

「お前が変態した、あの下劣な姿。あれを完璧に再現して、魔法学会の広場で展示してやる。大陸一の魔法大学の――“公式実験標本第一号”としてな」

 

「……っ!」

 

 モーブルの顔から血の気がすうっと引いた。

 恐怖に背中を蹴られ、みっともない最後の悪あがきが口をついて出る。

 

「ま、待て! わしはやり手の商売人じゃぞ! カヴェナでもなかなかの情報通なんじゃ! 人脈だって……もし良からぬ噂を流されて困るのは坊ちゃんだ! 天才教授の醜聞なんて、世間は大好物だろう……!?」

 

 取引――いや、脅し。

 脂汗を垂れ流しながら後ずさり、出口へと救いを求める。

 だが、その希望はすでに断たれていた。

 

 研究室の重厚な扉には、いつの間にか精緻な魔術陣が幾重にも走り、淡い光が“封印の完了”を静かに告げている。

 逃げ道ではない。最初から、出口として数えられていなかったのだ。

 

 ニーシャはその扉を一瞥し、聖母のように優しく微笑んだ。

 

「安心しろ。噂など漏れない」

 

 そして、慈しむような口調のまま、言葉を続ける。

 

「お前にはボクから逃げる道なんてもう、世界のどこにも無いんだから」

 

 その声音は、恋人へ囁くように甘く。

 それでいて、死刑宣告よりも冷たかった。

 

 ジンジ・モーブル、四十二歳。

 享年――未定。

 

 この日を境に彼は、自称“妻”たる天才少年教授の専属実験台として、これまで以上に容赦なく、想像を絶する危険な魔法実験の数々へ、その身を永遠に差し出し続けることになる――という。

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