モブおじ精液でレベルアップ!? ~でも好みのショタっ子しか手助けしません!!~ 作:とけそうだら
一行は、二階に並ぶ三人部屋を借りた。
階段側からモーブル、ラース、ライオット。
中央にカイル、シルヴィオ、ルチオ。
奥にニーシャ、ネリオ、アックスという部屋割りだ。
ニーシャたちが各部屋を念入りに調べたが、罠や不審な魔法の仕掛けは見つからなかった。
扉の内鍵と窓の留め金にも問題はなく、裏階段へ通じる避難経路も確かめ終える。
荷をそれぞれの部屋へ運び込み、モーブルとアックスの二人に宿の見張りと警戒を任せ、残りの全員――ニーシャ、カイル、ルチオ、シルヴィオ、ラース、ライオット、ネリオの七人で、先に風呂を使うことになった。
浴室は、一階の裏廊下を進んだ先にあった。
女主人に声をかけて頑丈な木の扉を開けると、豊かな湯気とともに、心地よい温かな空気がふわりと流れ出した。
滑らかに磨かれた石張りの床の奥には、大人数が一度に浸かれそうなほど大きな湯船が据えられており、壁沿いに木製の腰掛けと手桶が整然と並んでいる。
高い位置に設けられた換気用の小窓は細く、外から人が出入りできるような大きさではなかった。
ニーシャは杖をかざし、湯船の湯と床、壁際を順に入念に調べた。
ネリオも探査針を片手に排水口を覗き込み、扉の蝶番や鍵の掛かり具合まで手早く確かめる。
脱衣所で着替えを抱えて待っていたカイルが、扉の隙間から待ちきれない様子で顔を出した。
「どうだ、ニーシャ? 変な罠とか仕掛けはあったか?」
「今のところ、毒も不審な術式も見当たらないね。水質も普通の清潔な湯だ」
「よっしゃあ! じゃあ、さっさと入ろうぜ!」
「全員、武器は脱衣所のすぐ手に取れる場所にまとめて置くんだよ。異変があったら湯から飛び出してすぐ応戦できるようにしておけ」
「分かってるって! エクセリオンもすぐ抜ける位置に置いとくからさ!」
カイルは上機嫌で応じるやいなや、待ちきれない様子で上着を乱暴に脱ぎ捨てた。
続けてズボンと下着のゴムに指を引っ掛け、一気に足元まで引き下ろす。
勢いよく露わになったのは、日々の鍛錬でほどよく引き締まった剣士の肢体だった。
普段から露出している首筋や腕には健康的な小麦色の陽灼けが残り、布地に守られていた胸や腰回りは対照的に瑞々しい白肌を晒している。
平らな胸板には赤みを帯びた小さな乳首がちょこんと乗り、まだ成長期の青さを残す腰つきはしなやかだ。
つるりとした無毛の肌が揃う仲間たちの中で、十三歳のカイルの股間の付け根にだけは、薄っすらと柔らかな産毛のような陰毛が頼りなく生え始めていた。
遠目には生えているのかすら判別がつかないほど淡い毛並みの中央で、包皮をかぶった小ぶりなペニスが、勢い余ってぷるんと可愛らしく揺れる。
《おいおい素人童貞の小僧、脱ぎっぷりだけは一人前の豪傑だが、股間にぶら下げてんのは相変わらず可愛らしい豆鉄砲じゃねぇか! そんなショボい粗末モノじゃ、さっきのド助平な超ド級巨乳女将に一瞬で笑い飛ばされちまうぞぉ!》
「うるっせぇ! これからデカくなんだよ! 余計なお世話だ!」
腰元に置いた魔剣からの下品な茶化しを蹴飛ばすように払い除け、カイルは腰にタオルも巻かないまま、すっぽんぽんで浴室へと駆け込んでいく。
「わぁい、一番乗りだー!」
カイルに続けとばかりに、ルチオも身軽な動作で短パンと下着を脱ぎ捨てた。
十一歳の、聖騎士らしい柔軟でしなやかな筋肉をうっすらと纏った肢体は、抜けるように真っ白だ。
弾力のある小ぶりなお尻をぷりんと突き出し、陰毛の一筋もない桃色の幼いペニスを無防備に揺らしながら、生まれたままの姿で脱衣所を無邪気にはね回る。
「もう! 駄目ですよ、ルチオ。濡れた床を走ると滑りますから、落ち着きなさい」
「大丈夫だって! それよりシルヴィ、服脱ぐの遅いよ! 早く裸になって一緒に入ろうよ!」
「あ、こら、引っ張らないで……っ!」
嗜めようと眉を寄せるシルヴィオへ、すっぽんぽんのルチオが勢いよく抱きついた。
滑らかな白肌の温もりが密着する中、ルチオの悪戯っぽい指先が兄の神官服の帯を器用に引き解き、胸元の合わせをぱっと左右へ押し広げてしまう。
「ほらほら、僕が脱がせてあげる!」
「あ……っ♡ ルチオ、自分で脱げますから……んっ!♡」
はらりと白い布地が肩から滑り落ち、下着まで一緒に引きずり下ろされると、そこから現れたのは息を呑むほど透き通るような白磁の素肌だった。
華奢な胸には淡い桜色の小さな突起が慎ましやかに覗き、女性と見紛うほど滑らかなくびれと、引き締まった細い太ももが惜しげもなく露わになる。
足元へ脱ぎ捨てられた純白のパンティの奥からは、双子の弟と同じく十一歳の、未熟で愛らしい無毛のペニスが恥ずかしそうに伏せられていた。
神聖にして艶やかなその美貌は、彼らの数奇な生い立ちを物語っていた。
かつて二人は、イングラジアの歓楽街ソホウにある高級娼館『月下の楽園』において、『ヴァルクリアの二つ果実』の源氏名で売り出された過去を持つ。
百戦錬磨の娼館の主リディアをして「三十年に一人の逸材」と感嘆せしめた美貌は街中でたちまち噂となり、娼夫としての初仕事の日、莫大な身請け金を積んだモーブルによって二人揃ってそのまま水揚げされたのだ。
その後は冒険者として復帰を果たし、昼はモーブル商会の店先を手伝いながら、夜はあの豪商の寵愛を一身に受ける愛人として囲われている。
「ひゃぅっ……♡ も、もう、ルチオ! 皆さんが見ている前でこんな風に剥ぎ取るなんて……っ! 神聖なる身体をはしたなく晒すなど、神様への冒涜でお怒りになられますよ……っ!」
突然すっぽんぽんにされてしまったシルヴィオは、雪のような白い肌を耳まで真っ赤に染め上げ、慌てて両手で股間と胸元を隠すように身を縮めた。
それでも、脱ぎ散らかされた自分の衣服を見過ごせず、恥じらいに震える手でそれらを几帳面に畳み直すと、白い指先で前をそっと隠しながら、小走りにルチオの後を追って浴室へ足を踏み入れた。
「は、はわわ……っ。奴隷の身の僕が、立派な冒険者さまたちと一緒の湯船だなんて……本当にいいんでしょうか……? そ、それに……旦那さま以外の人に裸を見られるの、すごく恥ずかしいです……」
ラースはおずおずとした手つきで服のボタンを外し、もじもじと身をすくませた。
魔族特有のなめらかな薄い褐色肌の背中には、額の傷を隠す長い前髪と同じく、どこか庇護欲をそそる繊細さが漂っている。
服を脱ぎ去ると、腰骨のすぐ上から生えた黒い尻尾がパタパタと小刻みに揺れ、きゅっと窄まった可愛らしいお尻を隠すように忙しなく動いた。
十一歳になるラースの、恥じらいに染まる股間にちょこんとぶら下がる小ぶりな鈴口からは、緊張のせいか透明な先走りの雫が微かに滲み、まだ毛の一本も生えていない無垢な秘部を淡い桜色に染めている。
その後ろでは、ライオットが淡々と無言でくたびれた平民服を脱ぎ散らかしていた。
そのまま眼鏡の縁に指をかけ、外そうとしたところでラースが慌てて声をかける。
「あ、ライさん! 眼鏡は取っちゃ駄目だって旦那様が言ってましたよ」
「……ん、わかった」
素直に手を止めたライオットは、分厚い黒縁眼鏡をクイと押し上げ直した。
瓶底のようなレンズにそのあまりにも高貴で儚げな美貌を覆い隠してはいるものの、露わになった肢体までは誤魔化しようがない。
透き通るほど白い皮膚の下には、名門貴族の血筋を物語る優美な骨格と、日頃の過酷な鍛錬で培われたしなやかな筋肉の筋が浮かんでいる。
薄い胸板に乗る愛らしい乳首は、脱衣所の冷たい空気に触れてキュッと硬く引き締まり、すらりと伸びた太ももの合間には、まだモーブルの手にしか触れられたことのない、十一歳の清らかなペニスが、無防備にぷるぷると揺れていた。
「おやおや、皆さん見事な脱ぎっぷりですねぇ。若くてぴちぴちした美少年たちの裸がこれだけ並ぶと、まさに眼福、実に壮観ですよぉ」
ネリオは鼻梁から両頬にかけて散る愛らしいそばかすをくしゃりと緩め、おどけた調子で軽口を叩きながら、手慣れた手つきで軽装のマントと革鎧を解いていく。
百三十五センチという小柄で華奢な、九歳か十歳ほどの少年のような背丈でありながら、エルフ特有のすらりと伸びた四肢は均整が取れており、九十四歳という実年齢を微塵も感じさせないほど、その陶器めいた素肌には瑞々しい若さが宿っていた。
身につけていた衣服を軽やかに脱ぎ捨て、すっかり生まれたままの姿になると、引き締まった細身のくびれと、無駄肉のないしなやかな脚の付け根が惜しげもなく晒される。
毛並みのない滑らかな白肌の合間には、小柄な体躯に見合った愛らしくも控えめなペニスが、無防備にちょこんと顔を覗かせていた。
ネリオは楽しげに細い肩をすくめると、脱衣所の頑丈な扉へ歩み寄り、カチリと音を立ててしっかりと内鍵をかけた。
「……騒ぐなと言っても聞かない連中ばかりだからね」
すでに湯加減を確かめてはしゃぎ回るカイルやルチオの声を背に受けながら、ニーシャは小さくため息をつき、自らの豪奢な魔導ローブの留め具を外した。
魔法帽を頭から脱ぎ去る拍子に、絹糸のように繊細で美しい金髪が、湯気煙る空気の中でふわりと優美になびく。
このイングラジア魔導国において五本の指に入ると称えられるその美貌は、一筋の乱れ髪がかかるだけで絵画のように完成されていた。
上質なシャツと黒のスパッツを足元へ滑り落とすと、名門貴族の神童にふさわしい、瑞々しくも高潔な十二歳の美少年の肉体が惜しげもなく露わになる。
湿り気を帯びた陶器のように滑らかな白肌、引き締まった腹筋の淡い陰影、そして華奢な胸元に乗る薄紅色の小さな乳首。
すんなりと伸びた太ももの付け根には、まだ毛の一筋も生えていないつるりとした肌の上に、色素の薄い未成熟なペニスが、大人の階段に足を踏み入れたばかりの愛らしさをもって慎ましく鎮座していた。
それぞれが一切の隠し事なく素肌を晒し、温かな蒸気煙る湯殿へと足を踏み入れていった。
◆
乳白色の湯気が濃密に立ち込める浴室の中へ、七人の少年と青年が次々と足を踏み入れていく。
外の殺伐としたダンジョンの空気とは隔絶された、芳醇な木の香りと清潔な石の匂いが、湯煙とともに全身の皮膚を優しく撫でた。
「うおおっ! すっげぇ、広いぞ! これなら余裕で泳げるじゃねぇか!」
カイルは小ぶりなペニスをぷるんと揺らしながら、浴室の中央に据えられた巨大な石造りの湯船の縁へ真っ先に駆け寄った。
並々と注がれた無色透明の湯からは、もうもうと立ち上る白い蒸気。
波打つ水面が、浴室の天井に反射して柔らかな光の筋を描いている。
「わぁっ、本当だ! 深いよ、シルヴィ! 僕たちの腰くらいまである!」
ルチオが桃色の未熟な男根を無防備に晒したまま、ぴょんぴょんと跳ねて湯船を覗き込む。
その細い手首を、背後から追いついたシルヴィオが慌てて掴んだ。
「ルチオ、はしゃぎすぎてはいけません。足元が濡れて滑りやすくなっていますから、まずはかけ湯をして、身体をしっかり洗ってからですよ」
「えー、早く入りたいよぉ」
「駄目です。汗と泥を落とさずに湯船に入るのは不作法ですし、神聖な湯を汚してしまいます」
白磁のように滑らかな肢体を晒したシルヴィオは、女性と見紛うばかりの端麗な顔立ちに困り眉を浮かべながら、手際よく木の手桶を手に取った。
透き通るような肌の奥に微かに青い血管が透けて見えるほど繊細な肉体は、湯気の中で神々しいまでの清純さを放っている。
細い太ももの合間に慎ましやかに収まった無毛のペニスは、弟のルチオと瓜二つで、どこまでも無垢で愛らしかった。
「ほら、座りなさい。背中を流してあげますから」
「はーい……あ、でもシルヴィの背中も僕が洗ってあげるね!」
双子は並んで木製の低い腰掛けに腰を下ろし、互いに手桶ですくい上げた温かい湯をかけ合い始めた。
ざばり、と小気味よい水音が浴室に反響し、ルチオの白く小さな背中から、ダンジョンの埃と汗が綺麗に洗い流されていく。
「あ……温かいです……! こんなに気持ちいいお湯、いつぶりでしょうか……っ」
その隣で、ラースがおずおずと小さな身体を丸めてしゃがみ込み、手桶の湯をそっと胸元へ注ぎかけた。
薄い褐色のなめらかな素肌を、艶やかな湯の雫がすべるように伝い落ちていく。
額の古傷を覆い隠す長い前髪が濡れて額に張りつき、伏せられた切れ長の瞳が熱気にとろりと蕩けた。
腰骨の付け根から伸びる細い黒の尻尾は、肌を包む温もりを堪能するように嬉しそうにゆらゆらと揺れ、先ほどまで羞恥で固く強張っていた愛らしいお尻の肉が、徐々に緊張を解いてふわりと柔らかく弛緩していく。
「ん〜、ラース少年。角の付け根は痛んだりしてないですかねぇ? 魔族の子はそこに砂埃が溜まりやすいから、優しく揉み洗いするといいですよぉ」
ネリオが鼻梁のそばかすをくしゃりと綻ばせ、手慣れた仕草で植物性の石鹸をきめ細かく泡立てながら声をかけた。
百三十五センチという小柄で華奢な少年姿でありながら、その所作には長年生きてきた者特有のこなれた余裕が滲み出ている。
エルフ族ならではのしなやかな指先で、自身の尖った耳の裏や滑らかな首筋を手早く洗い清めていく。
引き締まった細身の腰回りから伸びる無駄肉のない脚の付け根には、九十四歳という実年齢を感じさせないほど瑞々しい控えめなモノが、立ちのぼる湯気を浴びて無防備に鎮座していた。
「あ、はい……! ありがとうございます、ネリオさん。この石鹸、すっきりしてて……すごくいい匂いがします」
「ふふ、清涼な野草のエキスが利いてますからねぇ。ダンジョンの鬱陶しい黴臭さを洗い流すにはうってつけですよぉ」
ネリオは楽しげに喉を鳴らし、たっぷりと泡を乗せた両の手のひらで、ラースの華奢な背中をつるりと撫で下ろしてやる。
ラースは「ひゃぅっ……!」と小動物のような可愛らしい声を漏らし、くすぐったそうに背筋をキュッとすくませながらも、差し伸べられた温かい手のひらの心地よさに、とろんと目尻を下げて身を委ねた。
「おや、背中だけじゃなくて、こっちもだいぶ砂埃をかぶっちゃってますねぇ」
ネリオの細くしなやかな指先が、ラースの腰骨のすぐ上から伸びる黒い尻尾へと滑り落ちた。
手のひらに残ったきめ細やかな白い泡をたっぷりと纏わせ、根元の敏感な付け根から、するすると先端に向かって優しく扱くように撫で洗っていく。
「ひゃぁっ……!?♡ あ、ネ、ネリオさんっ……し、尻尾はぁ……っ!♡」
思わぬ急所への刺激に、ラースはビクンッと小さな身体を大きく跳ねさせた。
薄桃色の尻穴が恥ずかしそうにキュッと引き締まり、泡まみれの尻尾がピーンと真上に跳ね上がっては、ネリオの掌の中で逃げ場を失ってフルフルと小刻みに震える。
「動いちゃ駄目ですよぉ。魔族の尻尾は大事な感覚器官なんですから、付け根の毛並みまで綺麗にしておかないと、後で痒くなっちゃいますからねぇ」
「はわ……っ、んぅ……!♡ あ、でも……そこ、なんだかすごく……変な感じがしてぇ……っ♡」
ネリオの慣れた手つきで根元のくびれをキュッキュと揉みほぐされるたび、ラースは涙目で両手を床につき、恥じらいとくすぐったさに耐えかねて腰を小さくもじもじとくねらせた。
股間にちょこんとぶら下がる小ぶりな一物が、尻尾から伝わる甘い刺激に反応して小さく屹立し、淡い桜色に染まった先端から透明な雫をぽつりと垂らしてしまう。
「はいはい、すぐ終わりますからねぇ。……ほら、これで根元から先っぽまでピカピカですよ」
手桶の温かい湯がざばりと注ぎかけられると、滑らかな黒い鱗肌から白い泡がするりと流れ落ち、艶やかな湯の滴だけをキラキラと纏った綺麗な尻尾が現れた。
解放されたラースは「はぅうううう……っ♡」と熱い吐息を漏らし、力なくへたり込みながら、真っ赤になった顔を両手で覆い隠した。
一方、浴室の隅に陣取ったライオットは、眼鏡をかけたままの異様な姿で、黙々と木桶に湯を汲んでいた。
瓶底のような分厚いレンズの奥で、美しい切れ長の瞳が静かに水面を見つめている。
武を重んじる前衛たちとは対照的に、純粋な術士である彼の身体には過剰な筋肉の盛り上がりはなく、どこまでも滑らかで華奢なラインを描いていた。
透き通るような白い皮膚の下に、名門貴族の血筋を物語る優美な骨格と、うっすらとした肋骨の起伏が繊細に浮かんでいる。
冷気に触れてキュッと硬くなっていた薄紅色の乳首に、温かい湯がざばりと注ぎかけられると、ライオットの口から「ん……」と小さく吐息が漏れた。
「……おい、お前。眼鏡が湯気で真っ白に曇って前が見えなくなってるぞ。それ、外した方がいいんじゃないか?」
ニーシャが呆れたように声をかけた。
黄金の髪を湯気でしっとりと濡らしたニーシャは、歩くだけで絵になる優雅な足取りで湯船の縁に腰掛け、手桶を取っていた。
国宝級と称されるその美貌は、湿り気と温もりを帯びてほんのりと桜色に色づいている。
陶器のように滑らかな白肌の胸元、引き締まった細いウエスト、そして一切の無駄毛がない清らかな股間。
大人の階段にまだ足を踏み入れてさえいない未熟な幼根は、湯気に蒸されて淡いピンク色を帯び、慎ましく太ももの間に収まっていた。
「……ん。でも、モーちゃんが外すなって言ったから」
「ぶっ!!」
手桶ですくった湯を流しかけていたニーシャが、噴き出すように吹き飛んだ。
「お、お前……あの強欲な守銭奴のこと、『モーちゃん』なんて呼んでるのか!?」
「……うん。モーちゃん、かわいいから」
「ぷ、ぷはっ……! か、可愛い!? あの百三十キロの脂だるまが!? お前、本気で言ってるのか!?」
「うん」
ライオットが至って真顔で小さく頷くのを見て、ニーシャは腹を抱えて耐えきれずに笑い崩れた。
「あっはははは! お、お前ってさぁ……! いつも無口で何を考えてるのか分からない不気味な奴だと思ってたけど、意外とぶっ飛んだ面白い奴なんだね!」
「そう?」
「くくっ……あー、おかしい。ま、まあいいさ。それよりもその眼鏡だ。前が見えずに滑って転んで、石の床で頭でも打ったら本末転倒だろうが。少し湯気から顔を離すか、お湯で温めて曇りを取れ」
「……わかった」
ライオットは言われた通り、手桶の温かい湯に細い指先を浸し、白く曇ったレンズの表面を静かに拭った。
視界が戻ると、満足したようにコクンと一度だけ頷き、再び自分の華奢で白い太ももを淡々と洗い始めた。
「よーし! 俺はもう洗ったぞ! 一番乗りぃぃぃ!」
「あ、こらカイル! 頭を適当に濡らしただけだろう! もっとちゃんと――」
ニーシャの制止も聞かず、カイルは腰の付け根の薄っすら生えた産毛のような陰毛を誇らしげに突き出しながら、湯船へと豪快に足を踏み入れた。
ざっぱぁぁぁん!
派手な水飛沫が上がり、たっぷりと湛えられていた湯が湯船の縁から豪快に溢れ出す。
「ぶはぁぁぁっ! あったけぇぇぇぇ……! 生き返るぅぅ……!」
肩までどっぷりと浸かったカイルは、湯船の縁に腕を預け、だらしなく口を開けて天を仰いだ。
熱い湯が、第五層の過酷な戦闘で軋んでいた筋肉を芯から解きほぐしていく。
日焼けした小麦色の肌と、服に隠れていた白い素肌の境目が、湯の熱で赤みを帯びてじわじわと馴染んでいく。
小ぶりな一物は水中でふわりと浮き上がり、心地よい水流に揺られていた。
「おい! 飛び込むなと言っただろうが、この駄犬……!」
飛沫をまともに浴びたニーシャが、眉を吊り上げて怒声を上げる。
濡れた金髪をかき上げ、キッと睨みつけるその姿は、怒っていても息を呑むほど美しい。
「いいじゃねぇかよ! 減るもんじゃなし! ほらニーシャも早く入れよ、すっげぇ極楽だぞ!」
「言われなくても入るよ。……まったく」
ニーシャは悪態をつきながらも、丁寧に身体を流し終えると、しなやかな白い脚をゆっくりと湯の中へ沈めていった。
細い足首から、引き締まったふくらはぎ、太もも、そして愛らしい未成熟な一物が温かな湯に包まれていく。
「……んっ、ふぅ……ん♡」
胸元まで湯に浸かった瞬間、ニーシャの唇から思わず艶っぽい吐息がこぼれた。
普段の冷徹な仮面がふわりと剥がれ落ち、長い睫毛が熱気に潤んで伏せられる。
白磁の肌がみるみるうちに上気し、薄紅色の乳首が湯の温もりに浸されて柔らかく解けていく。
「わぁ……ニーシャくん、すっごくお肌が綺麗……! 女の子みたいに真っ白でツルツルだね!」
双子のルチオが目を輝かせて歓声を上げた。
「……馬鹿を言うな。ボクは男だ」
「でも本当だもん。僕たちも神殿で肌の手入れはしてたけど、ニーシャくんのは別格だよ。ねぇ、シルヴィ?」
「ええ、本当に……まるで陶器の工芸品のように透き通っていて、見惚れてしまいますね」
シルヴィオまでが真顔で頷くものだから、ニーシャは金髪を手で払ってぷいとそっぽを向いた。
湯の熱気とは明らかに違う赤みが、耳の尖りまでじわじわと広がっていく。
「ふ、二人して余計なお世辞を言うな……!」
「わー、照れちゃって可愛い〜!」
無邪気に笑いながら、ルチオとシルヴィオの双子がそろそろと湯船に入ってきた。
「わぁ……あったかいね、シルヴィ!」
「ええ、本当に……手足の先まで、温もりが染み渡るようです」
二人の滑らかな白肌が湯に沈み、寄り添うようにして湯船の縁に並ぶ。
水中でゆらゆらと揺れる二つの未熟な桃色の蕾は、まるで水底に咲いた可憐な双子花のように睦まじかった。
続いて、遠慮がちにラースが湯船の縁へそろりと足をかけた。
薄い褐色の小さな爪先が湯を割り、しなやかな足首、きゅっと窄まった愛らしいお尻が、なめらかに温もりの中へと沈んでいく。
「はわ……っ! あ、あったかいです……! 体の芯まで、じわじわぽかぽかしてきます……っ!」
濡らすのを躊躇うように、細い黒の尻尾だけを水面から必死に持ち上げてピンと立てていたが、ネリオがそれを見てくすりと目を細めた。
「あらら。あたしたちに遠慮なんてせずに、尻尾も一緒に温めると疲れがすっきり取れますよぉ」
「は、はい……っ」
促されるまま、おずおずと先端まで湯の中へ沈めると、ラースは蕩けるような溜息をこぼした。
湯の揺らぎに合わせてゆらゆらとたゆたう黒い尻尾が、言葉以上にその至福の心地を雄弁に物語っている。
最後に、レンズを白く曇らせたライオットと、ネリオが静かに身を沈め、これで七人全員が大きな石造りの湯船へと収まった。
「ふぅぅぅ……」
「はぁぁ……っ」
誰からともなく、深く満ち足りた吐息が幾重にも重なってこぼれ落ちる。
一人ひとりが社交界や歓楽街を揺るがすほどの美貌を宿した、七人の少年たちの甘やかな吐息が湯気と混ざり合い、乳白色の帳の中へと溶けていく。
薄闇の迷宮で張り詰めていた神経の糸が、温かな湯の抱擁によって心地よく解きほぐされ、濡れた素肌から強張りが抜けていった。
「それにしてもさぁ、ライくんの身体つきもすごく綺麗だよね!」
ルチオが水面からぷかぷかと顎だけを出し、両腕で湯船の縁に掴まりながら、ぼんやりとお湯を見つめているライオットを指さした。
「普段ダボダボの平民服を着てるから全然分からなかったけど、無駄肉のない滑らかな首筋とか鎖骨のラインとか、すっごく品があるよ! どこかの本物の深窓の貴族様みたい!」
「ん……そんなこと、ない」
ライオットは視線を伏せ、ぼそりと呟くと恥ずかしそうに両膝を抱えて身を縮こまらせた。
華奢な胸元に乗る薄紅色の小さな乳首が、視線に晒された恥じらいからか、湯気の中でキュッと小さくすぼまる。
「いやいや、ライ少年の骨格の美しさは天性のものですよぉ。あたしのような長命のエルフから見ても、実に目の保養になりますねぇ」
ネリオが鼻梁のそばかすを愛嬌たっぷりに揺らし、浮かべた手桶をぽんと突いてくるりと回した。
「……そういやさ、ネリオさん。前からずっと聞きたかったんだけどさ」
湯船の縁に肘を預け、じっとネリオのつるりとした白い肌を凝視していたカイルが、胡散臭そうに眉根を寄せる。
「あんた、本当に九十四歳なのか? どう見ても俺たちと同じくらいのガキにしか見えねぇんだけど」
「失礼ですねぇ! れっきとした九十四歳、人生の大先輩ですよぉ! エルフの成長速度を人間の短い物差しで測っちゃいけません」
「嘘つけよ! 肌なんか俺よりピチピチじゃねぇか! あちこち皺ひとつねぇぞ!」
「ふふん、エルフの美肌の秘訣を知りたいですかぁ? 少年も百年くらい生きてみたら分かりますよぉ」
「死んで骨になって風化してるわ!」
カイルの小気味よいツッコミに、湯船のあちこちからクスクスと笑い声が弾けた。
和やかな空気が満ちる中――ふと、ルチオが澄んだ水面下を透かすように、じっとカイルの下腹部へ視線を落とした。
「あ! カイルくんだけ、お股のところに毛が生えてる!」
「ぶほっ!? おい、人のモンをジロジロ覗き込んでんじゃねぇ!」
カイルが慌てて両手で股間を覆い隠そうとするが、波立つお湯に遮られず、指の隙間から丸見えになってしまう。
「ねぇねぇ、見てよシルヴィ! 薄くてほわほわした産毛が生えてる! 僕たちみんなツルツルなのに、カイルくんだけ大人の階段登りかけてる〜!」
「うるせぇ! 男ならこれくらい生えてきて当然なんだよ! お前らが揃いも揃ってツルペタの赤ん坊なだけだ!」
「え〜? でも毛が生えてるのに、真ん中の獲物は僕たちとあんまり変わらない小ぶりサイズだね? それに、大事そうに皮も被ってるし」
「なっ……! バ、バカ野郎っ……! ここにいる奴ら全員被ってんだろーが……! 俺はなぁ、お前らガキどもと違って、ちゃんと剥けんだよ!」
売られた喧嘩を真っ向から買ったカイルは、ざばぁっと豪快な水音を立てて湯船の中に立ち上がった。
水滴を滴らせる小麦色の下腹部を堂々と突き出し、愛らしいサイズの一物に指先を添えると、むにゅっと包皮を一気に根元まで押し下げる。
すると、湯の熱気でほんのり上気した、艶やかなサーモンピンクの亀頭がつるりと水面上へ顔を覗かせた。
「どうだ! 見たか! 先っぽまで綺麗につるんと剥けんだよ! 俺はもう立派な大人なんだよ!」
カイルは両手を腰に当て、仁王立ちのまま得意満面に胸を張った。
引き締まった腹筋の下、露出したばかりの瑞々しい亀頭が、誇らしげに湯気を浴びて震えている。
「ちょ、ちょっとカイルくん……! 立ち上がって見せびらかさないでよぉ……!」
目の前でいきなり晒されたドアップの獲物に、ラースが両手で顔を覆いながら小さく悲鳴を上げた。
指の隙間から覗く切れ長の瞳は潤み、薄い褐色の頬が一瞬で朱に染まる。
黒い尻尾がお湯の中でバシャバシャと激しく水面を叩いた。
「ほほう……カイル少年の先っぽは、そんな風に初々しく熟れているんですねぇ。元気溌剌な少年のシンボル、あたしのネタ帳にしっかりストックさせていただきますよぉ」
ネリオは鼻梁のそばかすを歪め、実に邪悪で楽しげな笑みを浮かべて目を細める。
「汚いモノを堂々と見せびらかすな、駄犬! 誰がお前の粗末な豆鉄砲の先端鑑賞会を頼んだ!」
ニーシャが眉をつり上げ、鋭い一瞥とともに容赦なく手桶のお湯をバシャリとカイルの股間めがけてぶちまけた。
「熱ぅっ!? 何すんだよニーシャ! せっかくの男の証だろうが!」
「うるさい、さっさと座れ! ボクの視界にそんなグロテスクなものをねじ込んでトラウマを植え付ける気か!」
怒声を浴びせられながらも、カイルはどこか勝ち誇ったように鼻を鳴らして再び湯の中へと腰を下ろした。
だが、冷ます間もなく湯船に浸かったことで、剥き出しになった敏感な亀頭が温かい湯の熱と水流に直接晒され、思わず「ひゃんっ」と情けない声が漏れる。
「あはは! 強がってるけど、剥いたばかりの先っぽ、お湯がしみてジンジンしてるでしょ?」
ルチオが水面から顔を近づけ、悪戯っぽく口元を歪めながらカイルの膝頭をツンとつついた。
「し、しみてねぇよ! これくらい、大人の男には何てことねぇんだ!」
「へぇー、そうなんだ? ……でもさ、カイルくん。大人ぶりたいなら、そのお股の可愛い獲物、もっと大きくしてみせてよ」
「は……?」
ぽかんと気の抜けた声を漏らすカイルのすぐ真横へ、ルチオが水面を滑るように音もなく距離を詰めた。
水中でつるりと滑らかな白い太ももが、カイルの腰骨へ吸い付くようにぺたりと触れ合う。
濡れた蒼色の濡れ髪から伝う滴とともに、熱を帯びた甘い吐息がじかに耳朶をくすぐった。
かつて歓楽街ソホウの最高級娼館で骨の髄まで仕込まれた、無垢な少年らしさと毒婦の淫靡さが同居する、逃げ場のない小悪魔の囁き。
「ねぇ……そんなに早く大人の階段を登りたいなら、また僕が手伝ってあげよっか? ……あの時みたいに、頭が真っ白になるくらい気持ちいいことシてあげるよ♡」
ルチオは親指と人差し指で艶めかしい小さな輪っかを作ると、薄紅色の愛らしい舌先をちろりと覗かせ、その輪の奥へレロレロと淫らにくねらせてみせた。
「っっっっ!?」
カイルの全身からプシューッと熱い蒸気が噴き出す音が聞こえそうなほど、顔面が一瞬で沸騰した。
第三層の薄暗がりで貪るように教え込まれた、あの生々しい蜜壺の吸い付くような熱と、締めつける柔らかな腸壁の快感が脳裏を暴力的に埋め尽くす。
首筋から耳の裏まで、小麦色の肌が赤黒く染め上げられていく。
そして最悪なことに、皮を剥いて敏感な頭部を丸出しにしたままの一物が、ルチオの露骨な挑発と水中で擦れ合う素肌の感触に抗えず、びくんッ、と情けなく跳ね上がって硬く脈打ち始めてしまった。
「あ! あはは、カイルくんのお豆、本当にグングン起きてきちゃった!」
「ばっ、ばかッ! お前が急に変なこと吹き込むからだろッ!!」
真っ赤になって両手で必死に下腹部を押さえ込むカイルの醜態に、湯船の反対側からシルヴィオの凛とした、しかし有無を言わさぬ静かな声が飛んだ。
「ルチオ。神聖な湯殿でからかい半分に煽るのは、そのくらいになさい」
「えー、シルヴィだって見てたでしょ? カイルくん、反応が全部わかりやすくて可愛いんだもん」
「可愛いからといって、無垢な殿方を発情させてどうするのです。私たちがその身を捧げて奉仕するのは、泥沼から救い出してくださった愛する恩人のモーブル様だけですよ。ヴァルクリアの神に仕える者としても、あの方への貞節は一途でなければいけません」
「ちぇー、カイルくんっていい遊び相手になりそうだと思ったのにさ」
ルチオが唇を尖らせて退く横で、シルヴィオはため息を落とし、冷淡にカイルへ視線を戻した。
「カイルさんも、いつまでも耳まで赤くしてないで深呼吸をしなさい。邪念を払い、心頭を滅却するのです」
「お、俺は発情なんかしてねぇぇぇッ! 邪念もへったくれもあるかぁッ!!」
羞恥で頭から湯気を噴き出しそうなカイルと、してやったりとくすくす笑うルチオ。
その様子を、眼鏡を指先で直しながらライオットがぽつりと見つめ、ラースは目のやり場に困って湯船の底をじっと見つめている。
呆れ果てたニーシャが天を仰ぐ横で、ネリオだけが濡れた指先をパチンと鳴らし、爛々とした瞳でにやけていた。
「まったく……危険極まるダンジョンの奥底で発情するな、駄犬。だからボクはお前を信用しきれず、仕事を全幅で任せられないんだよ」
ニーシャが絶対零度のジト目を向けながら手桶を持ち上げると、カイルは「すいませんでした!」と叫んで湯の中に鼻先まで沈み、必死になって股間と顔面の熱を冷まそうとした。
水中でぷくぷくと情けない気泡を吐き出すカイルの頭を、ネリオが楽しそうになで回し、ラースが黒い尻尾を揺らして小さく胸を撫で下ろしている。
「……なぁ、ニーシャ」
ようやく熱が引き、ぶはっと湯面から顔を出したカイルが、濡れた前髪をかき上げて湯船の縁に顎を乗せた。
「なんだ」
「この町、分かんねぇことだらけだけどさ。飯はうまかったし、こうしてあったけぇ湯にも浸かれた。今日歩き回った甲斐は、十二分にあったよな」
「階段は見つからなかったけどね」
「それは明日また探せばいいだろ。少なくとも、第五層みたいに気を抜くたびに魔物や罠が飛んでくるわけじゃねぇんだし」
「今のところは、だよ」
ニーシャは冷淡に返しつつ、湯気の向こうにある浴室の頑丈な木扉へ視線を向けた。
向かいの脱衣所には、仲間たちの武器と装備一式をまとめてある。
外の広間では、モーブルとアックスが交代で見張りを立てているはずだった。
「休めるうちに英気を養うこと自体には賛成だ。けれど、居心地がいいからといって警戒の網まで解くなよ」
「分かってるって。ルイーズさんにも迷惑かけたくねぇしな」
「そう思うなら、湯船の中でバタバタ騒ぐな。さっきの阿呆な嬌声、外の食堂まで筒抜けになってるぞ」
「……はいはい、悪うございましたー」
カイルが不貞腐れて声を落とすと、ルチオが湯面からぷかぷかと顎を出し、縁の手桶に手を伸ばした。
「でもさ、本当に不思議だよね。こんなに深い地下の底なのに、どうしてお湯がこんこんと湧いてるのかな? これだけのお湯を沸かし続ける薪だって、一体どこから運んできたんだろう」
「ルイーズさんの話ですと、薪も食材も、すべて近所のお店から仕入れているとおっしゃっていましたね」
シルヴィオが水面を白く滑らかな手で撫でながら、澄んだ声でぽつりと返した。
それを聞き、カイルは両手を頭の後ろで組み、湯船の縁にどっかりと背を預け直す。
「その店は、一体どっから仕入れてんだろうな。俺たち、町の外へ出る街道や門すら見つけられなかったのによ」
「まだ足を踏み入れていない区画にあるのかもしれないし、あるいはボクたちが見落とした隠し通路や抜け道があるのかもしれない」
「じゃあさ、店に届く荷車をこっそり追いかけたら、どこかに繋がってるのが分かるかな?」
ルチオの思いつきに、ネリオが濡れた長耳をぴくりと揺らして頷いた。
「確かめてみる価値は大いにありますねぇ。今日は住人に道を尋ねるばかりでしたから、明日は物流、荷の動きに目を向けてみましょうか」
「モーブルなら、そういう商売絡みの嗅覚は得意そうだね」
ニーシャは静かに息を吐き、湯に浸かった自らの白い手をじっと見つめた。
細くしなやかな指先を動かすと、柔らかな湯が指の隙間を滑らかにすり抜けていく。
確かな皮膚を包む熱、まとわりつく水圧の質量、そして微かに鼻腔をくすぐる天然の鉱物の匂い。
どれほど瞳の奥で魔力解析の術式を走らせても、これが精巧な幻影や精神魔法であるという綻びは、ただの一片も見当たらない。
紛れもない本物の水であり、本物の熱だった。
「……旦那が言ってた、町が丸ごと消えちまってたって話さ」
カイルが少し声を潜め、真面目なトーンで続けた。
「やっぱり、この町と関係あんのかな」
「疑うべき理由は山ほどある。でも、まだ同じ町だと決まったわけじゃないよ」
ニーシャは伏せていた顔を上げた。
「三年前に地上から消えた町と名前は同じだ。けれど、実際に取引していたモーブルですら、当時の面影を残す見覚えのある場所を一つも見つけられなかった。ここの住人が、かつてあの町に生きていた人間かどうかも判別がつかない」
「旦那の記憶違いってことはねぇのか?」
「当時、消えた現地に立って何度も自分の目で確かめたと言っていただろ。馴染みの仕入れ先まであったんだ。あの抜け目のない男の証言を、ボクたちが何も調べずに間違いだと切り捨てることはできないよ」
「……そりゃそうか」
カイルは湯に浮いていた手桶を引き寄せ、縁へカタンと戻した。
波紋の揺れる水底を見つめていたラースが、ためらいがちに、おずおずと口を開く。
「あの……住んでいる人たちは、幽霊、みたいなものなんでしょうか。自分たちが死んでしまったことにも気づかないまま、ずっと……」
「私には、アンデッド特有の不浄な気配や瘴気は一切感じられませんでした」
シルヴィオが濡れた長い睫毛を伏せ、静かに首を振る。
「ただ、神聖術に反応がないからといって、皆さんが生きている人間であるとまでは断定できませんが……」
「普通に言葉を交わし、飯を炊いて働き、旅の客を迎え入れているからね」
ニーシャは頷いた。
「料理も、この湯も、間違いなく実体を持った本物だ。だからといって、この町の住人たちが何者なのかという謎は、何ひとつ解けていない」
ラースは小さく身を縮め、黒い尻尾を湯の中でぎゅっと丸めた。
しばらくの間、蛇口から注がれる湯の音と、水面が壁に当たるちゃぷんという微かな反響だけが、静まり返った浴室に響いていた。
あまりにも完璧に再現された日常。温かく、心地よく、誰も傷つかない理想郷。
しかし、それが地下深層の暗黒の迷宮の中に存在しているという事実が、得体の知れない冷たい違和感となって、温まった少年たちの背筋をそっと撫でていく。
「……まあ、いくらここで頭を捻ったって、今すぐ答えが出るわけじゃねぇよ」
沈黙の帳を勢いよく破ったのは、やはりカイルだった。
両手で顔のお湯を力強く拭うと、ニッと健康的な八重歯を見せて笑ってみせる。
「美味い飯は食えた。体も洗えた。今夜はフカフカの柔らかいベッドで眠れる。それだけで、迷宮に潜りっぱなしだった俺たちにとっては大勝利じゃねぇか! 明日のややこしいことは、明日起きてから考えりゃいいんだよ!」
「……単純な駄犬の思考回路は、時に羨ましくなるよ」
ニーシャは呆れたように息を漏らしたが、その薄紅色の口元には、かすかに柔らかな笑みが浮かんでいた。
張り詰めていた空気がふっと解け、浴室の中に再び穏やかな温もりが戻ってくる。
「ふふ、カイル少年の言う通りですねぇ。せっかくの極楽風呂なんですから、今は骨の髄まで温まるのが一番ですよぉ!」
ネリオが浮かべた手桶をぽんと突いてくるりと回し、気持ちよさそうに目を細めた。
「ほら、ラース少年も! もう一回、肩までしっかり浸かりなさい! 血色がぐんぐん良くなってきましたよぉ!」
「は、はい……! あ、本当だ……手足の先が、すごくポカポカしてます……!」
ラースが嬉しそうに微笑み、薄い褐色の頬をほんのり桜色に染める。
「シルヴィ、僕、上がったらあの焼きたてパンもう一個食べたいな!」
「ふふ、お腹を壊さない程度ならいいですよ。女将さんにお願いしてみましょうね」
無邪気に笑い合うルチオとシルヴィオの姿を眺めながら、ニーシャは湯船の縁に頭を預け、ゆっくりと瞼を閉じた。
肌を包み込む柔らかな湯の温もり。
隣で騒ぐカイルの無防備な息遣い。
謎は何も解けていない。
明日になれば、また出口のない未知の迷宮の探索が待っている。
それでも――この束の間の安らぎだけは、仲間たちの肌の温もりと、嘘のように優しい湯煙の匂いに身を委ねていたいと、ニーシャは心の底で静かに願っていた。
「……おい、ニーシャ」
「なんだ」
「上がったらさ、冷えた果実水と甘いお菓子奢ってくれよ。前線で体を張った俺への特別ボーナスとしてさ」
「自分で買え、駄犬」
すげない一言で一刀両断するニーシャと、唇を尖らせてふてくされるカイル。
そんな二人のやり取りを、ネリオは湯船の縁にちょこんと顎を乗せ、鼻梁のそばかすをピクピクと楽しげに震わせながら眺めていた。
切れ長のエルフの目が、濡れた湯気の奥で怪しく爛々と輝き始める。
「……いやぁ、実にいい光景ですねぇ」
ぽつりと漏れた甘美な独り言に、ニーシャがただならぬ気配を察知して片目を開けた。
「……ネリオ。何を企んでいる」
「企むだなんて人聞きが悪いですよぉ。あたしはただ、一人の記者としての
ネリオはすっと湯から片腕を上げ、濡れた指先で空中に見出しを描くように滑らせた。
「国宝級の美貌を誇る貴族の神童に、うっすら産毛の生え始めた血気盛んな少年剣士! 清廉潔白な元娼夫双子の無垢な裸身に、恥じらう魔族少年の艶やかな尻尾、さらには謎めいた美貌の新人アルバイト……! こんな極上のご馳走が七人も湯船にひしめき合っているんですよぉ? これほど美味しいネタをみすみす湯に流すなんて、あまりにも勿体なさすぎます!」
「は……? お前、まさか……」
引きつるニーシャを余所に、ネリオは満面の笑みで拳を握りしめた。
「カヴェナ通信の読者へ捧げる、決死の大サービス特大号! 題して『独占スクープ! 未踏ダンジョンの奥地に咲く美少年たちの秘湯パラダイス・湯煙と肌色の饗宴』! これは絶対に記事にして世に出さなきゃ嘘というものですよぉ!」
「「「「書かせるかぁぁぁぁぁぁッ!!!!」」」」
浴室内に、怒声と悲鳴の混ざり合った盛大なユニゾンが轟き渡った。
「「てめぇ何考えてんだクソエルフ! 誰が俺の股間の毛の話を新聞に載せていいっつった!!」
「ネリオ、絶対に駄目だ! そんな破廉恥な記事、ボクが跡形もなく燃やし尽くしてやる! 地上に戻った瞬間、お前の手帳ごと灰にしてやるからな!」
「は、はわわわっ! ぼ、僕が尻尾をなでなでされて気持ちよくなってたことまで書かれちゃうんですか!? 恥ずかしくて死んじゃいます……!」
「ヴァルクリア神の教えに反する破廉恥な記事です! ネリオさん、即刻悔い改めなさい!」
「あ、でも僕、カイルくんの先っぽがピクピクしてた話なら読みたいかも!」
「ルチオ、お前は黙ってろ!」
一斉に手桶を構えた少年たちから、激しい水飛沫の集中砲火がネリオめがけて放たれる。
「おやおやぁ! どんな弾圧にも屈せず真実を伝えるのがペンの使命ですよぉ〜!」
ざっぱぁぁん、と四方八方から飛んでくる湯を、ネリオは小柄な身体を器用に翻して楽しげに躱していった。
立ち込める湯煙の中、先ほどまでの不気味な謎や冷たい違和感はどこへやら、少年たちの凄まじい怒号とドタバタ劇が、どこまでも賑やかに木霊していた。