TS男子大学生の受難 〜メス堕ちしても、君が好き〜 作:キツネリス
静寂と深淵。水底に沈んでいたのが浮上していくかのように意識が次第にはっきりしていく感覚。しばらくして自分が眠り込んでしまっていたと気が付き、ゆっくりと目を開く。
うす暗いながらも見覚えのある天井、そして素肌に感じる使い慣れた寝具の触り心地。自分が依然として自室に居て、普段使っているベッドに寝かされていたとようやく気がつく。部屋の明かりはついていないが、外を見るとにわかに明るくなり始めているのが分かる。…どうやら翌朝を迎えようとしているらしかった。
オレはゆっくりと体を起こしてみた。起きたばかりでまだ全身が寝ぼけ気味だが、不思議とけだるい感じはあまりしない。もうしばらく経てば頭も冴えてくるはず……しかしながら実際に頭が冴えてくるにつれて色々と問題が生じ始めた。
「オレ……なんで、裸……?」
素肌に擦れる寝具の感触。直接肌を撫でるその感触は、下着も含めて一切の衣類を身に着けていないことを表していた。よく見れば部屋に昨日着ていたはずのオレの服が乱雑に床に散らばっているではないか。例え自分の部屋とはいえ素っ裸で居続けるのはどうにも居心地が悪い。そう思って衣服を拾い上げるべくベッドから降りようと動いたところで、ふと下腹部に違和感を覚えてぴたりと動きが止まった。思考も一瞬フリーズしてしまう。
……股間が、濡れてる感覚がする。オレはその感覚がする箇所に、恐る恐る指先をゆっくりと伸ばしてみた。いよいよ指先がそこに触れようかといったその瞬間…
「ん…っ!」
びくんっ、と身体に走る快感。それにオレは思わず甲高い声を短く漏らした。その途端オレの体に少し緊張が走り始めにわかに息遣いを乱しながら、ゆっくりと指先をその濡れている腟内へ、にゅぷ…っと潜り込ませていく。
中はぬるぬるでとてもぬめっていて、触っていると次第にいやらしい気分になっていく。指先を動かしてちゅくちゅくとかき混ぜるとまた快感がじわじわと生じていき、しばらくすると自らを慰めるのに夢中になっていく。だが……
「はぁ…はぁ…足りない……どうして……?」
気持ち良いと言えば気持ち良い。しかし、同時にどこか物足りない。中指の第一関節ほどまで潜り込ませていたその指先をさらに根元まで押し込んでいき、膣内の奥を刺激しようと試みる。だがやはり物足りない。下腹部の奥深く、膣内の一番奥…自分を慰めるほどにそこが疼いてしまい、いくら指を押し込んでも届かず、とても歯がゆい。
「はぁ、はぁ、足りない……指じゃ、全然……っ!」
オレは欲求不満に陥り、求めているものが得られない焦燥感に苛立ちすら覚えようとしていた。しばらくしてどうやっても指では満足することはできないという結論に至ると、ため息をひとつついた後ゆっくりと指先を引き抜く。
「んん…っ」
引き抜く間際も快感が走り、思わずまた喘ぎ声が漏れた。そして引き抜いた指先を目の前にかざしてみる。暗くて色味まではよく分からないが、なんとなく白っぽく濁っているようにも見える。…ふと、なんとなしに鼻先へとその指を近づけて匂いを嗅いでみた。
わずかに漂ってくる、クセのある匂い。昨日幾度となく嗅いだ覚えのある、それは…愛しい人の匂い。
「せんぱいのにおいだ…」
オレの脳裏に昨日の光景が蘇ってきた。乳房を振り乱しながら激しく犯される自分…そしてオレという女をきつく抱きしめ、ペニスを突き立て、激しく貪る先輩…濃密に絡み合い、その身にたっぷりと先輩という人の印を刻み込まれた…狂おしいほどの、至福のとき。
気が付くとオレは指先に纏わりついた彼女の痕跡をぺろぺろと舐めていた。精液は俗に苦いものだとされることがほとんどなのだが、彼女のそれは特にこれといって味らしい味はせず、オレの愛液と混ざって少し緩くはなっていたもののまだかすかに粘っこさとゼリーのようなぷるぷるとした食感が残っていた。だがそれもほどなくして綺麗に舐め取ってしまうと、未だ残る物足りなさに思わずその指先にしゃぶりついてしまう。ちゅぱちゅぱと赤ん坊のように指をしゃぶりながら、なおも先輩のことを強く想う。……想えば想うほど、体が疼き、心が切なくなる。
「ぷあっ……はぁ、はぁ、せんぱい……どこいっちゃったの……?」
オレは指から口を離すと子供みたいな声で先輩に呼びかけながら部屋中を見渡した。どこにもそれらしい人影はなく、独りぼっちであることを実感すると途端に寂しさがこみ上げてくる。どうにもできない人恋しさにしょぼくれてうつむきかけたそのとき…ふと視線の先に、床に何か小さなカード状のものが落ちていることに気がついた。どういうわけか、オレはそれが何なのかひどく気になり思わずベッドから降りると早く確かめたい一心でのそのそと四つん這いにそのまま這っていき、そしてぺたんとその場に座りながら何かのカードらしきそれを拾い上げて眺めてみた。
それはなんと冬子先輩の学生証だった。表面には先輩の名前や学部などといった情報と共に、なんだか恥ずかしそうにはにかむ先輩の顔写真が載せられている。部屋の中に残されていたまさかの品。この忘れ物をどうするべきか…思い悩むオレの頭に次の瞬間、ぱっとある考えが閃いた。
この学生証、実は裏側には持ち主の住所が書いてあるのだ。ひっくり返してみるとそこには確かに先輩の住んでいるらしいとあるマンションの所在地が記載されていた。ここに行けば、先輩に会える…そう思った途端、オレは緩く口角を上げて笑みを浮かべ、そしてちろりと舌なめずりをしながら先輩のことを思い浮かべていた。
身体は未だに疼き、満たされたいと渇望してやまない。そして、この疼きを鎮め、渇きを癒し、ポッカリと空いた空洞を埋めてくれるのは…世界中どこを探したって、彼女しかあり得ない。
そうだ、先輩の元へ行かなくちゃ。
きっと先輩は学生証を失くして困っているに違いない。これを届けてあげればきっと喜んでくれるはず。そして、ぎゅっと抱きしめてくれて…おちんぽだって、きっとハメてくれる。
「ふふ……ふふふふ……」
オレの心は今にも先輩の元へと飛んでいきそうだった。はやる気持ちを押さえて、まずは身支度を整えることにする。シャワーを浴びて、体を洗って…。そんなことを考えながらも一旦先輩の学生証をテーブルの上に置こうとしたそのとき、既にテーブルの上に置かれていた別の物が目に入ってきた。…昨日処方された飲み薬だ。
飲み薬の入った白くて小さな紙袋。表面には1日3回、朝昼晩と飲んでくださいとの但し書きが印字されている。飲み忘れればそれだけ男に戻るのが難しくなる、絶対に欠かすことのできない大事な薬……だった。昨日帰ってくるまでは。
オレはその紙袋を手に取ると、部屋の隅のゴミ箱に迷うことなくそれを投げ入れた。もうオレには…必要のないものだから。
――
シャワーを浴び、ベタつく身体を洗い流し、そして全身を乾かした後清潔な衣服に着替え…出かける準備を一通り済ませる頃にはすっかり日が昇り朝を迎えていた。入浴を経たことで疼きは多少収まったような気もするが、それでも早く彼女に会いたいという気持ちが溢れ出して止まらない。早く会って、抱きしめて欲しい。愛して欲しい。めちゃくちゃに犯して欲しい…。それが、今のオレの望み。
オレはドアを開けて一歩外へと踏み出した。すべては先輩のため、彼女にとっての『オンナ』になるため。
オレの心は今、薔薇の花が一面に咲き乱れている。女として感じる悦び、快感。それらに魅入られた今となっては、男としての生など…もはや取るに足らないものでしかない。それよりも今オレが望むことは…。
望月冬子先輩…
今から、貴方に会いに行きます。
すべては、貴方に愛してもらう、そのために。
ここまでお読みいただきありがとうございました。このお話はこれにて一旦終了となります。ただ本音を言うとまだまだ続きがありまして、ゆくゆくはそちらもお見せしたいという思いから、この章に関してはあえて終章という表現は避けています。スムーズに書き上げられれば4ヶ月後くらいには恐らくは…!ごほん。
それではあらためまして…ご拝読誠に、ありがとうございました。