美しき排泄──アナルを晒したストイック美女のゼリー排泄実演講義 作:鬼金目なむか
伊吹恵那は控え室の化粧鏡の前で深く息を吸い込んだ。
酸素が全身を巡る感覚に意識を集中する。鼻から取り込まれたエネルギーが全身をめぐってから「出口」に集中していく。その流れをイメージする。
鏡の中をまっすぐ見据えると、まなじりを決する自分と目が合った。引き締めるような濃く細いブラウンのアイラインで武装したアーモンド型の大きな目に不安の色は無く、眼輪筋の引き攣りもみられない。
(でも……いつもより開きすぎ)
このあとの「講義」に向けて準備してきたこと、これから受講者に伝えること──
それを思って無意識に、瞼が平時よりも開いていた。恵那自身にしかわからないほどわずかに。
恵那は胸にためた空気を唇からゆっくりと吐き出す。
胸が下りてゆくのに合わせて全身の脱力を意識する。「出口」に集中していたエネルギーがそこからふわりと抜けていくイメージ。
鏡の中の瞳と、その周りの外から見えない筋肉が弛緩してゆくのを自覚する。
今日の講義は、彼女が長年SNSで広めてきた「理論」を、フォロワーに直接伝える初めての場だ。
数々の努力の末に得たフォロワーたちに、いかに自分の哲学を体感させられるか。
それが問われる瞬間が迫っていた。
恵那は立ち上がると姿見の前に立つ。
スーツのジャケットを整えながら、恵那はその下に着ている胸下丈の白いシャツに目をやる。
張りのある生地感とシルエットでフォーマルさを出しつつ、丈が大胆に胸下まで詰められており、腹筋やくびれが露出する特注品である。
鍛え抜かれた腹部は余分な肉がなく、それでいて痩せすぎず、理想的なラインを描いている。
恵那は腹部を数箇所、指で押して触診する。ぐっと押すと抵抗なく指が沈むが、離すときは指に追随するようにもとに戻る。理想的な弾力だ。
(小腸の位置のズレや内容物の偏りもないわね……)
腹部のチェックを終え、恵那は怜悧な視線を下腹部に移す。
タイトスカートの留め具を外し、するりと脱いで椅子にかけた。この一枚布のスカートも、簡単に脱ぎ着できるよう特注されたものだ。
「講義」の性質上、下着はつけていない。姿見には、ヒールとソックスだけの下半身が映り込む。ヴァギナは前貼りで隠されてはいるが、その姿の無防備さを自覚し、恵那の胸にわずかな緊張が走った。
ただそこに羞恥の色はない。ただ、この後に控える『美しき排泄』を自分の体で正しく伝える責任感によって気持ちが引き締まるのを感じていた。
美しき排泄──それこそが恵那の提唱する「理論」である。
一時は便秘に苦しみ、心身ともに重く沈む日々を過ごしていた。だが腸や肛門のケア、排泄の仕組みを徹底的に学び、実践することでその苦しみを乗り越えた。
その理論を、今度はフォロワー達にこの身体を使って伝えるのだ。
次に恵那は股間へ手を伸ばした。
前貼りの境界を慎重に指でなぞる。
アンダーヘアは剃り跡も残さずに処理され、前貼りがぴったりと密着している。滑らかなその部分にセクシャルさは無く、マネキンのようですらあった。
彼女は下腹部も触診し、凹凸のない白い肌が、指の圧力に合わせて適度な抵抗を返す。
ここも異常なし。
恵那は鏡に背を向けて、臀部の確認にうつる。
露わになった自分の尻。
トレーニングで鍛え上げられたヒップは、無駄のない張りと滑らかな曲線を持ち、まるで彫刻のよう。照明に照らされた肌は白く輝き、理想的なラインを描いている。
彼女は指先でそっとヒップの肉を押してみると、ぷりっとした弾力が押し返してくる。
張りと柔らかさの理想的な融合。このヒップは彼女が日々研ぎ澄ませてきた「理論」の象徴のひとつであり、その覚悟の証だった。
「うん。今日もいいお尻」
恵那は気合いを入れるように、揃えた指でお尻をぱんっと軽く叩く。
見事な桃尻がぷるんっと揺れ、鍛えられたその肉は一瞬余韻を残してすぐに静止した。
そして──
最も重要な、もうひとつの「象徴」のチェックに移る。
恵那は椅子に腰掛けると、背もたれに寄りかかりながら腰を少し前にずらした。
両脚を大きく開いて左右の手すりに引っ掛け、まるで分娩台にいるかのようなM字開脚の姿勢を取る。
鏡の方向に肛門を向けるよう骨盤の角度を調整し、腿下から伸ばした両手でお尻の肉を左右に掻き分けた。
鏡に映る自分の姿をじっと見つめながら、彼女は細心の注意を払って肛門部をチェックする。
健康的なピンク色をしたその部分に、隅々まで注意深く視線を走らせる。つるんと整えられたその肌に異常は見当たらず、日々の徹底したケアを物語っていた。
恵那は開脚姿勢のまま化粧台の上に手を伸ばしてコットンを取ると、肛門用ケアミストを噴霧し片手でお尻をかき分けたまま押し当てる。
化粧水の冷たさを感じた肛門がわずかにきゅっと締まる。
「ふふっ、びっくりした? 大丈夫よ……」
自らのその部分に囁きかけると、コットンを当てたままゆっくり息を吐く。
呼吸に合わせて、収縮して深く刻まれた皺がふわりと伸びてゆく。
恵那は脱力状態を保ったまま、コットンを放射状にスライドし、ミストを肛門全体になじませてゆく。
次に別のコットンを手に取り、専用のモイスチャークリームを少量塗布する。
「これで仕上げよ。召し上がれ」
恵那はその部分に向かって囁くと、コットンをしばらく肛門にあててクリームの温度に慣れさせたあと、今度はタッピングして優しく塗り広げた。
肛門の仕上がりを確認するためもう一度両手で、ぐっ……と桃尻を優しく左右にかき開く。
入念なトレーニングとケアを続けている恵那の肛門は、血色が良くほんのりピンクかがっている。潤いによって艶めく輪状の器官は、括約筋を動かすたびに柔らかく動き、さながら唇が微笑むようだった。
恵那はリップスティックを塗った唇のように肛門を「ん、ぱっ」と開閉させてみる。
「うんっ、完璧。今日もかわいい」
鏡越しに満足げな微笑みを浮かべる恵那。
肛門の美しさは、排泄行為にも品格があると伝えるための象徴だ。
徹底したケアによって磨き抜かれたその肛門の皺には彼女の人生が刻まれているといっても過言ではない。
恵那はこれまでSNSを駆使してストイックに正しい排泄マナーを広めてきた。
美しく磨きぬかれた身体で正しい排泄姿勢を説明する動画は、多くのフォロワーを魅了してきたが、まだまだ伝えきれていない領域があった。
「今日は……全部みせる」
小さくつぶやくと、脱いだスカートを身に着け、控室の扉を開けた。
コツ、コツと通路の床に足音が響く。それに合わせるように鼓動が早くなる。
(きっと大丈夫……ね?)
彼女は心の中で、自らの肛門に語りかけるように意識を向ける。あなたはひとりじゃない、とでも言うように、その部分がわずかにきゅっと引き締まる。
講義の会場では、きっと期待に満ちた表情の受講者たちが待っている。
恵那は心地よい高揚感を胸に、廊下を進んでゆく。