美しき排泄──アナルを晒したストイック美女のゼリー排泄実演講義 作:鬼金目なむか
午後の柔らかな光が差し込むセミナールームには、受講者たちが静かに座っていた。
彼、彼女らは、伊吹恵那の「理論」に共鳴し、抽選で選ばれた特別なメンバーである。
男女比はほぼ半々。学生から社会人まで、伊吹恵那のインスタグラムをフォローする者たちが集められた。
誰もが、彼女の排泄マナーをリアルで目の当たりにする特別な機会に、胸を高鳴らせていた。
伊吹恵那はSNS投稿で正しい排泄姿勢を啓蒙しているが、そこには扇情的な魅力があった。
美しく鍛え上げられたボディラインを強調するタイトなクロップドトップス姿で排便時の姿勢をレクチャしたり、肛門括約筋の動きを指で輪を作って表現したりする彼女の姿は、フォロワーの想像をかきたてた。
だが、SNSの規制により、実際に「それ」をする姿は見せられない。
見えないからこそ増す期待と渇望。
今日、このセミナールームに集まった受講者たちは、その隠された部分に触れることができるかもしれないという禁断の期待を抱いていた。
「排泄マナーってさ……本当に先生が見せるわけじゃないよな」
友人同士で訪れた男性受講者が笑いを押し殺して呟いた。隣に座る友人も、似たような表情で肩をすくめる。
「さすがにないだろ…………たぶん」
軽口を叩きながらも、公然と憧れの美人インフルエンサーの痴態が見られるかもしれないという想像が脳裡をよぎる度、自然と彼の男性自身にどくどくと血が集まってゆく。
「お前なに前屈みになってんの? 腹痛か?」
「いや、快調だわ。だれをフォローしてると思ってんだよ。てかお前もじゃん」
恵那の登場とそのあと起こるかもしれないことへの期待。
それは好奇心というにはあまりに生々しく、欲望と呼ぶに相応しい感情だった。
一方別の席の女性受講者たち。彼女たちも落ち着かない様子で囁き合っていた。
「排泄マナーって、正しく学べば美容にも健康にも良いんだよね。姿勢ひとつで全然変わるらしいし」
一人の女性が真面目な顔でそう言う。隣の友人もうなずく。
「うん、やっぱりリアルで見れるの楽しみだよね。いろいろ訊きたいなぁ」
彼女たちは、美容と健康のためにこの場にいるのだと自分たちに言い聞かせていた。
だがその奥にある感情は違う。尊敬し憧れるインフルエンサーの最もプライベートな一面――「排泄」という生々しい生理現象を目にするかもしれない。
やはりその考えが胸の中でざわついていた。そしてそれは次第に大きくなっていく。
普段は完璧で、憧れつつも手の届かない存在である伊吹恵那。
その彼女が、最も動物的な行為を行う瞬間――まるで禁断の果実に手を伸ばすかのような感覚だった。
テレビでタレントの不倫スキャンダルを目にしてしまうような、後ろめたさと興奮が入り混じる、甘い感覚──
その瞬間を覗き見たいという思いが、じわじわと広がっていく。
「でもさ……さすがに直接は見れないよね?」
「直接って?」
「あ、いや…………恵那さんが美人すぎて直視できないかも〜っ、て意味!」
「ああ。ふふっ、確かに……そうだよ、ね」
「…………」
「…………」
お互いが言葉を飲み込み、会話が途切れる。
セミナールーム全体に広がる静かな緊張感。
それは、誰もが理性で抑えようとしながらも、抑えきれない欲望を抱えているからだ。
受講者のほぼ全員が「見てはいけないもの」を期待していた。
まるで誰も触れてはいけない禁忌の箱を開ける共犯関係のようであった。