美しき排泄──アナルを晒したストイック美女のゼリー排泄実演講義 作:鬼金目なむか
質疑応答が終わると、恵那は静かに透明便器から立ち上がりスカートを履き直した。
受講者たちが拍手を送る中、恵那はふっと息をつき、教室を見渡す。微かな疲労。だがその表情には充実感が滲んでいた。
「皆さん、今日はありがとうございました。本当に……今日はわたしにとって大きな挑戦でしたが、皆さんのおかげでやり切ることができました」
定型的な言葉だが、そこには万感の熱が込められていた。
恵那が深々と一礼すると、拍手がさらに大きくなる。恵那はさらに続けた。
「それで…………最後にもう一つ、特別なお知らせがあるんです」
恵那はイタズラを思いついた子どものように歯を見せて笑うと、ぱちりとウィンクしてみせた。
受講者たちの間にざわめきが起こる。直球のかわいらしさの直撃を受け、ある男性は、ひくっ、と小鼻を膨らませ、ある女性は胸元をぎゅうっと抑えて「……うぅっ」と悶えた。
そんな受講者たちを愉快そうに眺めた後、恵那は教壇横に目をやる。
すると、視線を合図にスタッフがステンレス製のトレイを抱えて近づいてきた。
丁寧に蓋を開けると、そこには透明なパウチに真空パックされたオレンジ色のゼリーが並んでいた。鮮やかな色のゼリーは照明を浴びてキラキラと輝いていた。
「これ、今日の授業で使った…………つまり、わたしが実演のときに排泄したゼリーです」
その言葉に、教室内の空気が変わる。
本物の便ではないものの、彼女の体から出たものである。受講者の多くが戸惑いの表情を見せた。
恵那は彼らの反応を見て、安心させるように口元をほころばせ説明を続ける。
「えっ、て思いますよねぇ。わたしもこれ、最初はどうかと思ったんですが、せっかく今日の講義に来てくださった皆さんに、何か特別なものを持ち帰ってもらいたいと思ったんです」
まだ不安や戸惑いが残る受講者たちの様子を見て、恵那はさらに口調を穏やかにして、ゼリーについて語り始めた。
「これは、ただの便の模倣品ではありません。わたしの腸内フローラに反応して色が変わるように特別に調整したもので、腸内のpH変化で美しい色が出るんです。いわば、健康の証拠。衛生面には十分気を使っているので、ご心配なく。真空パックもしていますし、安全に楽しんでもらえますよ」
彼女の真剣な言葉に、次第に受講者たちの顔に好奇心の色が浮かんでくる。
恵那はスタッフからトレイを受け取ると、自ら教室を回って手渡していく。
ある女性受講者が、真空パックされたゼリーを受け取ってから、照れくさそうに告げる。
「このゼリー、まさかこんな形で持ち帰れるとは思いませんでした。びっくりしましたけど……色もきれいで、しばらく飾っておこうかなって思います」
恵那はその言葉に嬉しそうに頷き、微笑んだ。
「ぜひ飾って楽しんでくださいね。色の変化が本当に綺麗なんです。毎日少しずつ違う表情を見せてくれるので、腸内細菌のサインとしても面白いですよ」
別の男性受講者が、受け取ったゼリーのパックを目の高さに掲げ、光に透かしてじっと見つめ始めた。
「気に入りましたか? グラデーションが綺麗ですよね」
ゼリーに見惚れていた男性が声に振り向くと、すぐ横に恵那の顔があって同じ目線でそれを見つめていた。
「……ッ!?」
光すら放ちそうな美貌が触れそうなほど近くに現れて、男性はゼリーを取り落としそうになる。
彼女はその様子にふふっと笑い、目を細める。
「びっくりさせてごめんなさい。どうです? これ、わたしの体から出たものだと思うと、ちょっと愛着が湧いたり……しませんか?」
その言葉に、彼の心臓は一気に跳ね上がる。
まさかそんなことを本人に言われるなんて。彼の額に汗がにじむ。
「そそ、そうですね。愛着、わ、わ、湧くと思います」
平静を保とうとするものの、恵那の視線に絡め取られた彼は、それだけ答えるとゼリーを握りしめたまま立ち尽くしてしまった。
恵那は優しく微笑み、声をかける。
「家でゆっくり楽しんでくださいね。きっと素敵な変化が見られますよ」
恵那は、他の受講者にも一人ひとり声をかけながら、和やかな雰囲気でゼリーを手渡していく。
全員の手にわたると、魔法の終わりを告げるようにゆっくりと照明が絞られる。
教室の空気も少しずつ日常の色を取り戻し、受講者たちはゼリーを手にしながら、一人、また一人と席を立っていった。
◆
教室に自分とスタッフだけになると、恵那はスタッフにも感謝を伝える。そして彼らも撤収すると、教壇にもたれかかり、息をついた。
恵那は自分用に小さくカットしたゼリーのパックを目の高さに掲げる。
スポット照明の光をうけて、ゼリーのグラデーションがまるで生きてるように色を変えた。
自分の肛門から排泄したもの。他者に手渡したもの。
照明が落とされたセミナールームの静けさは、今日の挑戦がどれほど埒外なものあるか彼女に強く意識させた。
──もう戻れない。
(けど……後悔は、無い)
恵那は教壇に預けた体を起こすと、講義に挑む前と同じように、凛と前を向いた。
ふぅ、と静かな呼気のあと、きゅっと括約筋を軽く締め、次の講義の構想を胸に歩き出した。
END