魔女に敗北した男勇者は性転換させられる~勇者リュルケはメス堕ちしました。そのうえ、魔女の下僕として手足のように使われます~ 作:nene2012
モイラが俺達にグヴァリャス大峡谷について説明を始める。
グヴァリャス大峡谷は竜の墓場と呼ばれる場所であり竜にとっても聖地で、幾多の年老いた死期が迫っている竜が巣篭っているとの事である。
その竜の墓場は竜人族と言われる種族が管理しており、彼等は竜の墓場を守護し、他の種族が立入り出来ないようにしているそうだ。
彼等は頭に竜の様な角が生えており、身体能力は人間とは比べ物にならない程高いそうで、戦闘形態になると竜の鱗が生じて体を覆い武器による物理的なダメージが効きにくいそうだ。
しかも、下位の竜なら手懐けて乗りこなし空を飛んで上空からも攻撃してくるとの事だ。1対1であるなら魔族より強いと言われているのである。
その為、竜人族は人間達からは畏怖の対象となっており、彼等を刺激してはならないと共通認識となっていたのである。
そして、ここからが本題で……。
「竜人族と交渉して神竜の角が手に入ればいいんだけど……」
「彼等と交渉できるのか!?」
「どうだか? 戦いになって勝てば竜人族は誇り高い戦闘種族なので、負けた相手には服従して従順になるのよ!」
モイラがそう応えると自信満々に言ったのである。
「そうなるといいが……俺達は彼等と戦うんだよな?」
「交渉が決裂した時はお前達が戦って勝てばいいのよ!」
「勝てばいいって簡単に言うなよ……」
俺は渋い表情をしながら考えていると魔女は当然といった表情で睨み付けたのである。
「モイラ様の話では竜人族は魔族より強いと言ってましたよね、多勢に無勢では勝つ見込みがないのではないでしょうか?」
「ふふふ……大丈夫よ、彼等は誇り高き戦士なのよ! 多勢に無勢で戦おうなんて卑怯な真似はしないわ!」
ロザミアの不安に魔女は自信を持って答えたのだ。
「それに貴女達は女だから竜人族も女の戦士を用意して戦ってくれるわよ!」
「え? そうなんですか?」
「ええ、竜人族は高潔な種族なのよ。だから安心して戦いなさい!」
魔女の言葉に俺達は不安な表情でお互いを見合わせると、ディアーネが溜息を付きながら言う。
「まあ……戦うしか道が無かったら仕方ないわね……」
「うん……」
「そうですね……」
俺達はモイラの言葉に渋々納得して頷くのだった……。
それから朝食を食べ終わると、グヴァリャス大峡谷に向かう為、屋敷の儀式の間に足を運んだのだ。
儀式の間にはモイラがあらかじめ用意していた幾何学模様の魔法陣が描かれており、魔法陣の中央に俺達が立つと魔女が説明を始めた。
「この魔方陣に居れば一瞬でグヴァリャス大峡谷の入口まで転移する事が出来るわ」
そして、魔女は俺達を魔法陣の上に立たせると呪文を唱えるのであった……。
「我が念じる場に移動させよ! 次元の扉よ開け! 転移しろ!!」
すると突然、床に描かれていた魔法陣が光輝き出し俺達は目を眩ませる……。
「うおっ!!」
「きゃあっ!!」
「きゃっ!!」
次の瞬間、俺達は眩しさから目を瞑り光が収まるのを待っていたのである。
暫くして光が消えると俺はゆっくりと目を開け周りを見ると見た事がない景色を目にするのであった。
「あれ? もう着いたのか!?」
俺が不思議そうに見渡していると魔女は誇らしげに頷いて言ったのだ。
「当たり前じゃない! 転移魔法を使ったんだから……」
そして、ディアーネとロザミアも目を開けて辺りを見回すと驚きの声を上げる。
「凄いっ! ここがグヴァリャス大峡谷ね!」
「そ……そうですね、転移は成功したようですね!」
辺り一面は岩だらけの荒れ地で他には何も人為的な建物はなかったのである。
周りを見ると俺達が立っている場所は岩肌が剝き出しになった崖になっている。
俺達は崖の上から下を見下ろすと遥か下方に巨大な峡谷があり、その奥に竜の墓場と呼ばれる場所が見えたのだ……。
谷の底には竜の朽ち果てた死骸や骨になった竜の躯が散乱していたのである。
「これがグヴァリャス大峡谷か……。あちこちに竜の死骸や骨が散らばっているな……」
俺がそう呟いていると魔女が説明を始めたのである。
「この大峡谷は竜の墓場と呼ばれていて、ここに神竜の角がある筈なの……」
魔女が説明している間に上空からバサバサと羽ばたく音が聞こえ、こっちに向かって来るようであった。
「……空から誰かやってくるぞ?」
俺が空を見上げると遥か上空に羽ばたいている大きな緑色の竜が見えたのだ。その巨大な竜が舞い降りると風圧で髪をなびかせながら俺達の前に降り立ったのである。
その竜の背から降り立った者を見て俺は驚いて声を上げる。
「えっ!? あれは竜人族じゃないかっ!!」
その竜の背から降りてきたのは胸当てと肩当てが付いた鎧を身に纏った女性だった。だが、人間と違って頭に立派な角が2本生えていたのである。
しかも、尻には竜の様な長い尻尾が生えていたのだ。顔は凛々しいが綺麗であり、竜人族は戦闘種族であるので筋肉質で引き締まっておりスラッとした体格をしていた。
その女性竜人族が俺達に向かって言葉を発したのである……。
「我こそはこの竜の墓場を守る竜人族のスヴァリス・ヴァクスムートだ! 神聖な墓場を荒らす貴様達は何者だ!」
俺は突然現れた竜人族に戸惑っていたが、魔女が一歩前に出て説明をしだす。
「私はモイラ・ロロッキニ―よ! 神竜の角の一部を分けて欲しいの!」
「何っ!? 貴様、今何と言った!?」
「だから神竜の角の一部が欲しいのよ!」
魔女はそう言うと腕を組んで踏ん反り返りスヴァリスは苛立ち怒鳴り声を上げた。
「貴様っ! 我等竜人族を馬鹿にしているのか!!? 神竜の角は分けて欲しいと言って譲るような代物じゃないぞ!!」
「やっぱり、駄目なの? じゃあ、貴方達の族長に合わせて頂戴!」
「族長に会ってどうする気だ?」
「いいから、さっさと連れて行きなさい!」
モイラがスヴァリスに命令口調で言うと彼女は顔を真っ赤にして怒りだした。
俺達は魔女の物言いが彼女の神経を逆なでするのが分かり、冷や汗を掻きながら成り行きを見守っていたのである……。
「貴様ぁ~~! 族長に会わせろだと!? ふざけるなっ!! 我等の誇り高き族長が人間ごときに会えるか!」
スヴァリスは怒りで顔を真っ赤にしながら怒鳴り声を上げると魔女も負けじと言い返したのだ。
「何よ! 貴方は最強の種族、竜人族なんでしょ? 私達に負けるのが怖いのかしら?」
「……なっ!?」
「そんな事で怒り狂うなんて最強の竜人族を名乗れるのかしら? 自信が無いなら彼女と勝負してみる?」
魔女はそう答えると俺を指差したのだ。
「お……俺かっ!?」
いきなり、彼女の対戦相手にされてしまい俺は驚いて声を上げるとスヴァリスは俺を睨みつけながら言う。
「貴様……人間の女にしては強そうだな? 私の相手に申し分ないぞ!」
「いやっ! そんな勝手に決めるなよ!?」
俺が慌てて断ろうとするが、魔女は俺を見詰めて言葉巧みに彼女を挑発する。
「彼女は勇者なのよ! 竜人族でも勝てないわ……だから彼女に勝てば神竜の角は今後一切、キッパリと諦めるわ!」
「分かった……」
スヴァリスは魔女の言葉に一瞬、迷う表情をしたが直ぐに彼女の言葉を受け入れたのだ。
そして、彼女は俺に鋭い視線を向けて言ったのである……。
「人間の女……いやっ!!勇者とやらに我が竜人族の強さを見せてやるぞ!!」
こうして俺は竜人族の女戦士と戦う事になったのだった……。