魔女に敗北した男勇者は性転換させられる~勇者リュルケはメス堕ちしました。そのうえ、魔女の下僕として手足のように使われます~ 作:nene2012
魔女の屋敷に老人と死体を運び、魔女が来るまで放置する。そして、俺達は食堂に集まりモイラがやって来るのを待つことにした。
「それにしても……予想外の出来事でお爺さんを攫ってきたのを、モイラ様はどう思うでしょうか?」
ロザミアが顔を曇らせながら俺に尋ねて来た。
「どうって……それは分からない」
無責任な言い方だが正直言って、どうしたらいいのか俺にも分からなかった。取り敢えずは、あの老人が目を覚ますまでは待つしかないのだが……。
そうしている間に食堂にモイラが姿を現すと死体だけでなく老人も一緒なのに怪訝な顔をする。
「一体……その爺さんは誰なの?」
彼女は死体と一緒に老人が倒れているのを見て驚きの声を上げ、俺達の顔を見渡したのだ。そして、彼女が尋ねるとディアーネが答えた。
「この爺さんは墓で死体を掘り起こしていた私達を墓荒らしとして勘違いしたのよ……」
「その爺さんが大声を上げて自警団に報告しようとしていたんだ……」
俺達の説明を聞いてもモイラは呆れ果てて深いため息を吐くと頭を抱える。
「まったく……私は死体を盗んでこいと言ったのに爺さんも攫ってくるとは……」
「だって! 仕方ないじゃない!! この爺さんがたれ込もうとしたんだもの!!」
ディアーネはそう言って責任回避をしようとする。だが、モイラには通じなかったようで彼女は呆れ果てるばかりであった。
そんなやり取りをしていると老人は意識を取り戻し呻き始めたのだ。そして、暫くすると目が覚め周囲を見始める。
「うん……? ここはどこじゃ……? はっ……お前達は墓荒らしの……?」
老人は俺達の顔を見ると、そう呟いた。どうやら彼はまだ状況を理解していないようだ……。
「私はこの屋敷の主人である魔女モイラ……」
モイラがそう名乗ると老人は驚いて目を見開く。そして、血の気が引いた顔で慌てふためき口走ったのだ。
「魔女じゃと……!? わ……儂はグラスフの森に棲む魔女の生贄になるんか!?」
老人はそう叫ぶと俺達から距離を置こうとし喚き散らす老人を魔女はキッと睨むと言い放つ。
「うるさいわね……墓守の貴方が私の役に立つように奴隷にしてあげるわ……」
「魔女の……奴隷じゃと……?」
彼は訝し気に魔女を見つめるが、彼女は呟くと呪文を唱える。
「我が魔力よ、この老人を束縛せよ……身体の自由を奪え! 隷属せよ!」
その言葉と共に老人の身体は硬直したかと思うと痙攣をし始める。どうやら魔法で自由を奪ったようだ。
「さてと、お前もアスタールの屋敷の罠の囮となって貰う!」
すると、痙攣していた老人の目が反転し口が大きく開くと棒立ちになりジッとしている。
「彼の自由を奪ったから牢屋に入れて監禁しなさい。それと死体を儀式の間に運んできて頂戴……」
モイラの命令にロザミアが頷くと老人の手を引いて地下室に連れて行くのであった。
そして、俺とディアーネは食堂から死体を担いでいくと、既に儀式の間には魔女が待機していたのである。
「さてと……準備は整ったわね……」
彼女はそう言うと俺達の顔を見渡した。儀式の間には俺とディアーネが担ぐ麻袋から出した2体の死体と魔女モイラの姿がある。
そして、魔女は秘術書を片手に死霊魔術の項を開くと呪文を唱え始めた。
「死者の魂よ……この者達に宿りて、生ける屍へと変え蘇生させよ! 蘇れ!」
すると2体の死体の周りに黒色のモヤモヤした空気が纏わり付くと、ビクンビクンと痙攣し徐々に手足が動き始める。
そして、ゆっくりと起き上がるのであった。どうやら魔女の死霊魔術は成功したようだ……。
「うわ~~、死体が本当に甦ったよ……」
「死者に対する冒涜だろ……」
俺とディアーネは動き出した死者を驚きと気味悪さが入り混じった感情でもって食いつくようにみていた。
男と女の死体はゆらりと立ち上がると意志のない無表情な目で俺達をジッと見つめる。
「あ~~……」
「う~~……」
死体の口からは呻き声だけが漏れていた……。その時、意志を奪った老人を牢に監禁し戻って来たロザミアが部屋に入ってくると驚きの声を上げる。
「うわっ……本当に死者を生き返らしたんですね……」
死者を蘇らせた事に驚いているロザミアにモイラは冷静に説明する。
「そうよ……死霊魔術を操って、仮初の命を与えてゾンビにしたの」
そして魔女はロザミアとディアーネに生ける死者を指差し命令する。
「さあ! この2体のゾンビを牢に入れて保管して頂戴……」
「……わかりました」
「……わかった」
2人は頷くが気味が悪いので恐る恐るといった様子でゾンビに近付くと手を取り牢へと連れて行ったのである。
「さてと……これで準備は整ったわ」
魔女はそう呟くと俺達の方に向き直る。だが、俺は墓守の爺さんがゾンビと一緒に錬金術師の屋敷の罠の撒き餌になる事に納得がいかない。
「ちょっと、待ってくれ! あの爺さんを錬金術師の屋敷に連れて行くのには抵抗があるんだが……?」
道徳心に反する行為に抗議すると魔女は冷たい目で俺を見返し答えた。
「連れていくのには理由があるのよ……」
「その理由って?」
彼女は俺の疑問に答える。それは、予想外の説明だった……。
「それはね、結界を破れば相手が気付く筈だから……最初にやって来たのがゾンビと老人だったら相手に考えを読めないようにさせ、どさくさに紛れて不意打ちする為よ……」
「……だから、あの老人も連れていくのか?」
納得したわけではないが魔女の言い分を一応理解した。
「ええ……それに、あの爺さんが行方不明になっても町の人間には些細な事でしょ……」
「……」
モイラはそう言って口角を上げニヤリと不気味に笑う。どうやら彼女は最初から老人を生かして帰すつもりはないようだ……。
魔女の倫理観が欠如した心意に幻滅する。そして、魔女は俺に命令を下すのである。
「さあ! 明日になったらアスタールの屋敷に向かうわよ!」
「わかったよ……」
俺は苦い顔をしながら不承不承頷く。明日、アスタールの屋敷に乗り込む事になり緊張から手に汗が滲むのだった……。
その時、2人が地下の牢から戻って来たので魔女は彼女達を見ると口を開いた。
「さてと……ゾンビを牢に入れて戻って来たのね……2人とも、ご苦労様」
「いえ……ありがとうございます」
「うん……大丈夫」
2人は大人しく反感もせず答える。そして、魔女は俺達の方を向くと真剣な顔になり話したのである。
「明日はアスタールの元に向かうわ! 貴方達も準備しておいてね……」
「わかった」
「了解」
「承知しました」
魔女は頷くと儀式の間から出て行くと自室へと戻るのであった。一方、俺達は魔女の後ろ姿を見送ると深いため息を吐く。
「は~~……あの爺さんも命運が尽きたな……」
「そうね……可哀そうだけど仕方ないね」
「モイラ様は野望の為なら少々の犠牲も厭わないですからね……」
俺がそう言うと、2人も同意するように頷いたのだ。そして、俺達は食堂に上がり水を飲んで冷静になると墓堀の疲れから早めに部屋に戻り就寝する事にしたのである……。