スロカス姫の追放♡ 〜お尻大好きTS転生美少女は、ハレンチ神スキルでスキルガチャをブン回す〜 作:龍々山ロボとみ
ドラミング王国の次期国王たるトリプルスタァ殿下は、神授スキルとして「
これは、心・技・体のあらゆる要素の成長が常人より早くなるうえ、成長の限界値も常人より高くなるというスキルだ。
このスキルを獲得すると物覚えが非常に良くなり、知識や技能の習得過程を効率的に短縮でき、浮いた時間をさらに別の物事の勉強に使うことができるようになる。
また、この神授スキルを授かる可能性のある者は、15歳になってスキルを授かる前からほんのりとスキル効果が発動しているらしく、
トリプルスタァ殿下も他の例に漏れず、幼い頃から神童としてもてはやされてきた。
幼い頃の殿下にとって、世界とは自分を中心に回っているものだったし、それは自分が大人になって国王となったあとも、変わることのないものだと信じていた。
そんな殿下にとっての不幸は、
妹の天才性が、
なまじっか優秀であったがために、リール姫がさらにそれを上回る天才であることが心の底から理解できてしまった殿下は、
あまりの悔しさと、自身の王位継承権を奪われるのではないかという恐怖から、リール姫に
もし、殿下が、真に偉大な人物であったならば、己より優秀な妹の存在に奮起し、王として相応しくあるべく己をさらに研鑽するか、
はたまた、王の器とはまさしくリール姫のことであると悟り、その道を譲るかのどちらかをしただろう。
だが、天与の才覚はあっても人間性という意味では凡骨だった殿下は、そのどちらもせずに妹の足を引っ張ることに腐心した。
そして、そのついでに、口うるさくて目障りな存在になっていた婚約者のハム子をもカスにし、まとめて眼前から排除した。
トリプルスタァ殿下は、己の弱さに負けたのだ。
そして、2人を追放した殿下は、王位継承権を盤石なものとし、さらにはこっそり恋仲になっていた伯爵家令嬢と、新たな婚約を結ぶことにまで成功した。
殿下は内心でほくそ笑んだことだろう。
これからは俺の時代である、と。
だが、後世の歴史家が殿下について書くとすれば、必ず皆こう書くだろう。
「トリプルスタァ氏の幸福の絶頂は、新たな婚約を結び直した瞬間までであった」と。
「いやぁ、なんとトリプルスタァ殿下はお人柄もよく、それでいて聡明であらせられる! このセィマッシ、たいへん感服致しました!!」
「ははははは! そうだろうそうだろう!」
「この若さにしてこの才覚の現しよう! まことにもって、陛下が羨ましくてなりませぬなぁ!」
「セィマッシこそ、なかなか稼いでいるようではないか! 王家に納める金貨も、ほれこのようにドッサリと積み重ねおって! それにこの献上品の数々も、見事なものだ! このように美しく磨かれ、彫り出された金は、俺でもなかなか見ぬものである」
「ははぁーー! ありがたきお言葉!」
リール姫が変装しているやり手商人ババアのセィマッシとは、一言でいえば美魔女ババアである。
若い頃は絶世の美女であった人物が、その美しさをそのままに年齢だけ積み重ねたような見た目をしている。
そんな、老練にして実力十分なやり手商人が、自分の目の前にひざまずき、言われるがままにカネを出し、よほど高価な品々を惜しげもなく、当然のように献上してくる。
そして、口から出てくるのは賞賛と尊敬の言葉だけ。
トリプルスタァ殿下は当然今までにもあらゆる人間から心地好い言葉を掛けられ続けてきた人間だ。
だが、そんなトリプルスタァ殿下であっても思わず上機嫌になり、鼻高々の有頂天になってしまうような心地好さが、セィマッシの言葉には含まれている。
……それがまさか、リール姫のLRスキル・大商人の二枚舌の効果によって編み出される言霊パワーであるとは、さしものトリプルスタァ殿下でも気づかなかったのだった!!
(いやー、クソアニキ、チョロ過ぎでは?)
やり手商人ババアの姿でひたすら兄をヨイショし、褒めに褒め讃えて調子に乗せていく。
なんかもう、カネ払いが良いだけの初対面の胡散臭いババアの言うことをこれほど簡単に鵜呑みにしているようでは、今後が心配になってくるほどである。
「さて、そんな殿下に、とっておきの品をご紹介したいのですが、よろしいかな?」
「ほほう。なんでも持ってまいれ。俺が直々に見定めてやろう」
その言葉に、内心でニヤリと笑ったリール姫は、C子に持たせていたカバンの中から、一枚の黒いカードを取り出した。
「殿下。私どもの取り扱う商品は、いずれも一級品のものであるとの自負はありますものの、それゆえに仕入れに少しばかり難があります」
大嘘である。
ドンカでメダルを払えばいくらでも商品は手に入る。だが当然、そんなことを馬鹿正直に言ったりはしない。
「現在ドラミング王国内では10の店舗を用意しておりますが、やはり仕入れが安定しないため、日によっては開けずにいる店もあります」
大嘘である。
ほんとは毎朝サイコロを振って今日はどの店を開けるか決めているだけである。だが当然、そんなことを馬鹿正直に言ったりはしない。
「そこで、このカードでございます。試しに殿下、これを手にした状態で、ステータスウィンドウをお開きになられますれば」
「ふむ、こうか。ステータス、オープン」
殿下の目の前に浮かんだウィンドウの中には、見慣れたステータス表示や所持スキル表示があった。
そしてその中に、見慣れない内容の表示が追加されていた。
読んでみると、オンラインショップアンドデリバリーと書かれており、タブを開くと、様々な商品の画像及び売値が表示される。
「まさか、これは!」
「はい。そのカードには特殊な契約魔法をかけてあり、そのカードを使えば、王城内にいながら、私どもの商品を優先的に購入いただけるのです」
「まことか!」
これは本当である。
リール姫主導のもと、A子、C子、ヤケド姉さん、そして意外と魔導工学知識を持っていたZ子で力を合わせて開発した、文字通りの魔法のカードだ。
「このカードは、カードごとに年額
「なんと……! 夢のようなカードではないか!」
「はい。……本来であれば、これはまず、ラ=クーンの王家に献上するべき品ではあるのですが……」
ピクリ、と殿下の眉が動いた。
「ほほう、貴様ら。いったいどこの国の者かと探っておったが、あの狸どもの国であったか」
「然り……。私どもがこちらに来たのも、本来は、この国の内情を探る目的でございました」
「本来は、と言うからには、今は違うと?」
「左様にございます。私どもは、あのようなカネこそが全てと考え醜く肥え太った連中に嫌気がさしておりました。そして、この国に足を踏み入れ、この国の素晴らしさに目を奪われたのです」
「ふむ。まぁ、我が国はあのような下賤な国とは違うからな」
「全くその通りにございます。ですので私どもも、こうしてこのたびの場に参りましたし、こうして開発したばかりの新商品を、まずは殿下に見ていただきたいと思った次第にございます」
「ははは、そうか。なかなか殊勝な心掛けではないか」
リール姫は内心で「よくこんな嘘八百話にコロッと騙されるよね、このクソアニキ」とか思いながら、話を続ける。
「このカードをお使いいただければ、我々の商品をいち早く、必要なだけ購入することができまする。支払いも全自動なので、大量購入時や商品の割引時にも面倒がござりませぬ」
「なるほどな。口うるさい財務大臣から、いちいち小言を言われずにすみそうだ」
「はい。それになによりこのカードは、1人が複数枚を契約して、それぞれ別の者に預けておくことも可能なのです」
「……ほほう?」
ここで
ニヤリと笑って小指を立てる。
「
「……ははははは。気に入った。そのカード、7枚ほどいただく」
「ご契約、ありがとうございまする。……今後とも、ご贔屓に」
ニッコリ笑う2人がガッシリと握手をし、カードの契約を終わらせてからセィマッシたちは城をあとにした。
去り際に「そういえば、最近あの国は土埃と火薬の匂いが立ち込めておりますなぁ……」という言葉を残して。