※この作品はR-18です。

真剣で肉欲に溺れなさい!S  燕ルート【完結】   作:寝坊助

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2パターン考えた、どっちにしようかな〜……どっちも投稿しよ
そんな感じで、百代パターンで




百代パターン

 

 

 

「チッ、ここでヤらねぇのかよ。つまんねーな」

 

 悪意の目がつまらなさそうに歪む。

 スマホに取り付けられた写真機が、物陰の暗闇から二人の愛し合う姿を捉えた。

 掲げている男は、心底くだらなさそう唾とともに吐き捨てる。

 

「なぁ、流石にこれやばくね?」

 

「バカ言えよ。あんな上玉諦め切れるか。これであいつらの情事撮って、脅してやるんだよ」

 

 流石に、これは……。という抗議も、リーダーと取り巻きの声によって塗り潰される。

 男の持つスマホの画面には、先程の燕とユウが熱い口付けを交わした写真が映されていた。

 相手に夢中でなんて無防備なのだろうか。武人と言っても、所詮は盛りのついた男女でしかない。

 だが、これだけでは脅す材料になり得ない。

 もっと恥ずかしい、誰にも見られたくない姿を写真に収めることで、それを脅しにあの美少女を従わせる。

 これから行う淫靡な未来を頭に思い浮かべ、男は舌なめずりをした。

 

「武士娘つっても、所詮は女だろ。一度気持ちいい想いを体験させてやれば、すぐに向こうから腰を振るさ」

 

「あんな奴の雑魚チンで満足できるわけねぇからなぁ。俺らが最高の快楽を味わわせてやろうぜぇ」

 

「どーせなら、あいつ縛って見せつけるかぁ⁉︎」

 

「セコイ手で武神に勝ったことになってるやつだしなぁ。実力もちんこも大したことねぇよ」

 

「ほっほぉ〜、そりゃあ凄い。言うだけあって、さぞかしご立派なブツ持ってるんだろうなお前ら」

 

 闇夜にこだまする男達の下卑た笑い。

 その中に、別の声が混じった。

 凛とした女のもの。だが、下手な男なんかよりも勇ましさと力強さを孕んだ声は、空気を一変させた。

 笑いが止まる。

 夏場だと言うのに、肌寒さに鳥肌が立つ。それはまるで、心臓を鷲掴みにされるような冷たい感覚。

 彼らは武道家ではない。背後から感じるナニモノかの存在は、男達のそんな矮小な本能であろうとも感じ取り、警鐘を鳴らす程に強大だった。

 危機感に踊らされ、一斉に振り返る。

 網膜がその姿を捉え、脳が認識し、思考が理解した瞬間、全員の声が失われた。

 彼女が誰かなど、名乗られなくとも分かる。

 なぜここに?そんな疑問すら浮かんでくることなく、恐怖心が心を支配する。

 

「どぉーもぉー、川神警察でーす」

 

 そんなチンピラ達とは正反対に、背後の女———川神百代は不敵に笑った。月明かりに照らされる美女はなんと絵になることか、同時に鬼神の如く恐ろしいく見えた。

 自分らを見下ろす双眼に、殺意も怒りもない。

 この程度の小物に向ける感情など、害虫を見つけたような、そんな程度でしかない。

 

「お兄さん達、こんなところで盗撮はいけないなぁ。全く、祭りだからってハメを外しちゃいけないぞ」

 

「か、かかかかかかか……!!!?」

 

「ちゃんと喋りやがれ、ったく。軟弱な男共め」

 

 呆れ気味に腰に手を当てる武神に、男達の口から情けない悲鳴が上がった。

 睨まれるだけで、脚が震え動くことができない。まるで蛇に睨まれた蛙だ。

 無論、それは比喩であり、本当に百代が蛇の睨みを効かせたわけではないのだが、そう感じてしまうほどに彼らは恐怖していた。

 一秒後か、二秒後か、それとも今か。生殺与奪の権は百代にあり、気分次第で自分達は一瞬であの世に送られる。

 燕のこと、ユウのこと、先程まで頭の中を占めていた妄想は消え去り、威勢などどこへやら、全身を震わせて許しを請う。

 

「ち、違ッ……違います!おおおおおおお、俺達は正義の鉄槌を下そうと思っただけです!」

 

「盗撮が正義だぁ?」

 

「あのセコイ奴を失墜させようと思ったんだ!あんなヤラセで、武神の無敗伝説を汚したクズ野郎を!」

 

「そうですそうです!川神さんだって、本当は納得してないんでしょ?人気取りの為に負けたことにされて!」

 

「だからどうか、どうかお見逃しを!」

 

「そうかそうかぁ、私の為かぁ〜」

 

 うんうんと納得するように頷く。

 アスファルトに頭を擦り付け、懇願する彼らのことなど気にも留めず、赤い瞳がスマホに向けられる。

 画面に映るのは、親友と初恋の男がイチャついている光景。それを目にすると、一息……こだまする粉砕音。

 

「ひぃぃぃぃぃぃ‼︎」

 

 奪われるどころか、触れられてすらいない。一人でにスマホがただの破片と化したことに、悲鳴を上げて腰を抜かすばかり。

 目から気を放ちスマホを破壊した彼女の顔は恐ろしいほどに———無だった。

 綺麗な薔薇には棘があると言うが、この光景こそ棘の鋭さを体現しているだろう。

 

「お前らの目から見て、私がヤラセなんて許容する女って認識なのはよぉ〜くわかった」

 

 無知であることは、こうも愚かなことか。

 何も映さない目玉。

 自分本位な妄想しかできない頭。

 不快な言葉しか吐かない口。

 何もかもが不必要なものに見えて仕方がない。

 地雷も地雷。

 かつて武の頂点に立った女の逆鱗に触れた。それすらも理解していない男達の顔面に、武の神罰が下される。

 

「歯ぁ、食いしばれ。行き先は、多摩大橋の河川敷……頭冷やして来い‼︎」

 

 死なない程度に。

 気絶しない程度に。

 しっかりと激痛を感じる程度に。

 治るまで痛みが継続する程度に。

 治った後も痛みがフラッシュバックする程度に。

 一年ぐらいはまともに食事できない程度に。

 それぐらいの力加減を込めて思い切りぶん殴る。千切れるような感覚とけたたましい粉砕音を耳に届けた。

 夜空に走る流れ星、なんて例えは勿体無い。

 羽虫のように夜空へ消えていった愚集を見届けて、百代は不愉快に鼻を鳴らした。

 こんなことで怒りが収まるはずもないが、小物に費やす時間が勿体ないので、さっさと立ち去ろう。

 

「こういう雑魚しかいないから、ユウを諦めきれないんだよな〜」

 

 そんな理想と現実を比較して、絶賛傷心中の美少女は深い溜息を吐き出す。

 心底勿体無いことをしたと後悔がのしかかる。

 それでも、この選択を曲げる気はない。

 戒めに殴った頬に手を置く。

 それだけ譲れないものが、ここにあった。

 

「ったく、二人とも夢中になりやがって。時と場合を考えろっつーの」

 

 まぁ、私も同じことしただろうけど。

 そう一笑し、夜空に輝く星々を眩しそうに見上げて、祭りの方へ去っていくのだった。

 

 

 

 

 

 

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