※この作品はR-18です。

高嶺の花なクールギャルは、何故か俺にだけ当たりが強い。いい加減限界なので催眠かけてブチ犯す事にした。   作:無様キング

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1.高嶺の花なクールギャルは、何故か俺にだけ当たりが強い

 

[主人公視点]

7月15日 午前7時3分

 

 

 

 

 ────嫌気がする程の熱気と湿度に満ち溢れた夏の季節。

 

 それはもう何度目かの夏だが、一向にその暑さに慣れる気配は無い。むしろ年々悪化してるようにさえ思えてしまう。

 

 

「……暑い。」

 

 

 この路線は人の出入りが少ない為、比較的混雑によるストレスは少なくはあるが……その代わりに空調の効きが悪い。

 蒸し焼きにでもされるような車内の温度に思わず顔をしかめて、揺られるままに立ち尽くすしかない。

 

 

「…………参考書、もう一度見直しておくか……」

 

 

 俺、黒田権蔵はいわゆる典型的なガリ勉であった。

 とにかく量の多い項目を暗記、暗記、暗記する。そういった力業的な作業が好きだったりする。

 それ故に、こうして朝から復習しておかなければ落ち着かないのだ。…………この灼熱地獄なら、むしろこうして気を紛れさせた方がマシだしな。

 

 

『桜ヶ丘駅~。桜ヶ丘駅に到着致しました〜』

 

 

 そうこうしていると列車が一度大きく揺れてから停車し、アナウンスが流れ始めた。

 目的地である俺の通う高校まではまだ停車する駅が少しあるが、この桜ヶ丘駅には無視できない要素がひとつある。

 

 

「うわっ!あの子めっちゃ可愛くね……!?」

「ヤバ、あれどこの高校の子?芸能人とかの比じゃなくね?」

「おいおいマジかよ……あんな可愛い子とか実在すんのかよ……。てかでっか……。」

 

 

 列車がホームに到着した途端、俺の周囲にいた人達がこそこそと騒ぎ出す。

 彼らの注目は、ホームに佇む一人の女子高生に向けられていた。俺も同じように、過去問を片目にチラリとその少女を見る。

 

 

 (やっぱりアイツか……。)

 

 

 そこに居たのは他でもない俺の同級生、須藤凛音。…………俺がこの世で最も関わりたくない人物の一人だった。

 

 

(───容姿端麗、モデルや芸能人ですら手も足も出ない正真正銘の絶世の美少女……。…………異論はないけども。)

 

 

 その容姿の端麗さを、もはや女神様だと評する者もいる。

 セミロングの艶やかな黒髪に整った顔立ち、大人びた雰囲気を感じさせる切れ目とスラリとした鼻筋に柔らかそうな唇。 それら全てが完璧なバランスを保たれている。 少し着崩した制服はどこかギャルっぽい印象を受けつつも、彼女の清楚さを際立たせる効果をもたらしており、それがまた魅力を増しているようだ。

 

 そして極めつけはその胸元の柔らかな膨らみ。

 推定バスト100cm越え───。制服越しにも分かる豊満な胸はどたぷんと重々しく弾んでおり、歩く度にゆっさゆさと揺れ動いている。

 スカートの下からは健康的な太腿が伸びていて、ムチムチボディと言う表現が良く似合う。まさしく"高嶺の花"という表現が相応しい。

 

 ────しかし、これはあくまで須藤凛音の”外見”のみに限った評価ではあるのだが…………。

 

 

「………………はぁ」

 

 

 他の乗客が彼女に見惚れている中、ただ俺の心中は複雑だった。

 高2になって同じクラスになったあの日から、俺の日常は”完全に彼女に支配されている”と言ってもいいからだ。

 

 

 ────プシューッ。ガチャ、ウィーン。

 

 

 列車が完全に停車し、乗車口が開く。

 人通りの少ない桜ヶ丘駅のホームからこの列車へと乗り込んでくるのは彼女ただ一人だけ。

 それ故に乗客の注目もひとしおに増して、まるで有名人がやって来たかのような騒めきが広がっている。

 

 

 ────カツ、カツ、カツ。

 

 

 だが彼女はそんな視線もお構い無しに、澄ました顔でスマホを弄りながら車両へと乗り込んできた。

 そしてその瞬間、クソ暑苦しかった車内の空気が一瞬にして凍てつくような冷気を帯びる。

 

 

(…………っ。…………本当、何をしても絵になるんだな。)

 

 

 と、その一点にはいつも素直に憧れの念を感じる。

 

 別に何か特別な事をしているわけではない。須藤がただそこに立ち尽くしてるだけで、何気ない日常がまるで小説の挿絵のような叙情的光景へと昇華されていくのだ。

 それ程までに彼女は美しく、見る者の心を掴んで離さない。女優やモデル……いわゆる芸能事務所からのスカウトが後を立たないという話も、正直納得がいってしまう。確かに被写体としてはこれ以上ない逸材だろう。

 

 ただ演技も超一流って噂は、あの無愛想っぷりからは想像できないけども……。

 

 

「──────そこ、邪魔なんだけど。早くどいて。」

「え、うぉっ……。須藤……。」

「……。」

 

 

 ……しまった、ちょっと考えすぎた。

 そうこうしているうちに、いつの間にか須藤が俺の目の前まで接近していたのだ。

 ジト目でこちらを見つめながら無言の圧力をかけてくる。

 

 こうして近くで見るとホント可愛い顔してんな……それに……。

 

 

 ──────たゆんっ……♡たゆん……っ♡

 

 

 制服の上からでもわかる圧倒的存在感……Yシャツのシワの張り具合がその重量を物語っている。

 それに電車の振動のせいか妙に上下に揺れて…………ッ。

 

 

「………………っ、悪い……。今すぐどくよ。」

「…………チッ。」

 

 

 俺はいつも定位置にしていた列車の端側のスペースを空けると、須藤はそのまま舌打ちしながらそこへと移動した。

 そして俺を一睨みしてから再びスマホを操作し始める。

 

 

「な、なぁ……。別に毎朝俺の近くに陣取る必要はないんじゃないかと思うんだけど……。」

「…………痴漢対策に使ってるだけ。アンタ身体おっきいからウザい視線避けに都合良いし…………てか話しかけてこないで、キモい。」

「ぐっ……。わかったよ……。」

 

 

 『氷の令嬢』

 それが彼女につけられた異名だった。

 基本的に誰に対してもそっけない態度を取り、冷たい眼差しを向ける。

 今時の冷めた感じと言われればそれまでだが、その辛辣さはまさに切れたナイフのように鋭い。

 

 その容姿故に告白する者が後を立たない彼女だが、その断わり文句は淡白そのものであり、まさに初恋ブレーカーと言っても過言ではない程に。

 

 

 ……とはいえ、誰に対してもこんな遠慮なしに刺々しい口調というわけではない筈なのだが……。

 同性の友人からは、ああ見えて実は面倒見の良かったりするという噂も聞く。 後輩人気も高いそうだ。

 

 

(…………だというのに、何故か俺に対してだけはいつも異常に当たりが強いんだよな……。)

 

 

 初対面の時、偶然席が隣同士になったあの瞬間からコイツは俺にだけは常にこの調子である。

 理由は分からないが、とにかく嫌われているみたいなんだ……。

 

 学校に通う路線が同じだった事も更にその毒舌ぶりに拍車をかけ、顔を合わせる度に「キモい」だの「死ね」だのと毒舌を浴びせられる始末だ。

 

 『……むしろご褒美ではないか?』という声が聞こえた気もするが、そんな事は決してない。

 須藤とのいざこざが始まって以降、一年生の頃は仲に良かったクラスメイト達が一斉に俺から距離を取り始め……今では完全にぼっち状態と化してしまった。

 友人が一人もいないまま、限られた学生生活の日々が過ぎていくというのは……正直キツイ。

 

 

「……それと購買でサンドイッチ、絶対確保しておいてよね。私あのパンじゃないと嫌だから。」

「…………お前から話しかけてくるのはOKなのな…………。」

「…………何、文句あんの。黒田の癖に生意気……。忠犬らしく黙ってずっと尻尾振ってればいいのに……。…………会話するのもめんど……。」

 

 

 加えて、最近ではパシリまがいの扱いを受けるようにすらなっている。

 購買でパンを買ってこいとか、ジュース買って来いとか、まるで召使いだ……もちろん嫌々従ってるわけだが。

 

 こうして痴漢対策の為に毎朝一緒に登校するのも、半ば強制的なものだ。

 ……おかげで先程まで須藤に向けられていた乗客達の羨望の眼差しは、すっかり俺に対する敵意のソレへと変わってしまっている。

 

 

(……しかし、どうしてここまで目の敵にされるのか。正直全く理由がわからん……。)

 

 

 ただ一つ言えることは、須藤にとって俺という男は最も嫌悪するタイプの人間らしい。

 別に目立った素行不良をした覚えはない……身だしなみだって相手に不快感を与えない様に清潔感には気を使っているつもりだ。

 

 だから素直に須藤本人に俺を嫌う理由を聞いてみたんだが、結果は「生理的に無理」の一点張り。

 無事八方塞がりと相成った訳で、元々そんなに友達も多くなかった俺の交友関係は、須藤とのいざこざのせいで完全にゼロへとリセットされてしまった。

 

 俺のそんな苦悩も知る由もなく、眼前のコイツは澄ました顔でのうのうとスマホを弄ってやがる。

 

 

 ……クソ。

 よくよく考えたら理不尽だな、今の状況。

 たとえ須藤がクラスカースト最上位で、クソほど顔と身体が良い超絶大正義美少女だとしても、こんな形で人をこき使うような真似、明らかに間違ってる……。

 

 うーむ、段々と腹が立って来たぞ……。

 よし!いい加減我慢の限界だ、ここは一度ガツンと言ってやる……。

 

 

「なぁ須藤、いい加減こういう事は────」

 

 

『───まもなく、鶴ヶ崎高校前。鶴ヶ崎高校前です。お降りの方はお忘れ物の無いようご注意下さい。』

 

 

「……ん、もう降りなきゃダメじゃん。…………荷物持ってよ。」

「あ?……あ、あぁ……。」

 

 

 ……タイミング逃しちまった。

 

 ───毎度毎度、この繰り返しだ。

 

 散々須藤にこき使われて、フラストレーションが溜まったあげくに文句を言おうとすると、事あるごとにこうして邪魔が入る。

 

 そして結局何も言えないまま、俺は今日も彼女の犬になるしかない……。

なんて情けないザマだ………。

 

 

(卒業までずっと、俺このままなのか……?)

 

 

 俺は深いため息をつくと、手渡された通学鞄を持ち上げて下車の準備を始める。

 

 

 ────ガタン!

 

 

 その瞬間、車内に大きな揺れが生じる、この路線は元々揺れの激しい方だったが今回のは一際凄かった。

 そしてそんな揺れに須藤が不意を突かれてしまう。

 

 

「……え……っ。ちょっとなに…………っ!」

「……須藤……!!」

 

 

 ……ガシッ!ギュッ!!

 

 衝撃でバランスを崩した須藤の背を咄嗟に支えて、転ばないように抱き留める。

 

 危ねぇ……っ。

 今モロ後頭部から倒れてたし、怪我しててもおかしくなかったぞ……。

 

 

「おい、大丈夫か?」

「………………。」

 

 

 ひとまず須藤に怪我が無いか確認してみるが、目立った外傷は無いようだ。

 とりあえずホッとして須藤を支えたまま辺りを見回そうとしたその時────────。

 

 

 

 「むにゅり」と妙な感触が俺の胸板に当たった。

 

 

(……え、………………ぁ?)

 

 

 ────むっっにぃぃぃぃぃぃっ…………♥♥

 

 

 うぉっ柔らけ……っ、それになんか良い匂いする……。雄の本能に直接訴えかけてくるような甘美な香り……。んだこれ、めっちゃ抱き心地いい……。

 ……。…………。……………。

 

 

 

 

 

「…………………………。」

 

 

 

 ………………おい、これまずくないか?

 

 というかなんで……っ。

 俺……背を支えただけで……距離感保ってたつもりだったのに……。

 

 “そんな胸が当たる程強く抱き留めたつもり無いぞ”……。

 でも実際当たってるし………………………。

 

 ………………や、やっぱりこれまずいだろ……っ!

 

 

 

「す、須藤……っ!これは違う…っ!というかマジですまん……っ!無理矢理引っ張ったりして…………って、ん……?」

 

「──────。」

 

 

 反応がない……?

 俯いたままで表情がよく見えないが……。

 

 

「……須藤?」

「…………っ〜〜〜〜!!!!!」

 

 

 そう思った次の瞬間、顔を真っ赤にした須藤が慌てて俺の腕を振り解き、そのまま逃げるようにして離れた。

 

 

「はぁ……っ……はぁ……っ……。 は…………? …………なにしてんの……っ。………………最、低っ…………。」

 

 

 キッと俺を睨みつけて、荒い呼吸のまま須藤はそう言った。

 

 ……怪我を避ける為の反射的な行いとはいえ、確かにあれは些か責められても仕方のない行為だ。

 

 身体を思いっきり抱きしめてしまったし……妙な接触ま……で……。 ……っ、いや今は変な考えをするのはやめろ黒田権蔵。

 ここは素直に頭を下げ謝罪するしかないだろ……っ。

 

 

「……いや、本当に悪かった …………すまん。」

「嫌、許すわけない……。もう一生私のパシリ決定……。二度と文句とか言わせないから……。」

 

 

 あーダメだ、俺の人生完全に終わっ……た………………あれ?

 

 警察に突き出されるとか痴漢魔扱いしてくるとかではないみたいだ……。 

 今のやらかしで、人生終わってもおかしくないと思ったが……。

 

 

「────もういい、荷物返して。…………私一人で学校行く。」

「お、おう……。わかった……。」

 

 

 須藤は顔を背けたまま、俺が持ってた通学鞄を奪い取ってそのまま降り口へと駆けていった。

 

 人に荷物渡したり奪ったり忙しいな………いや、余計な事は考えない方がいい。今はとにかく須藤に人生終了させられずに済んだのがラッキーだったと思おう……。

 

 

 

 ────キィィィィッ。

 

 

『桐ヶ崎高校前───桐ヶ崎高校前に到着致しました───。出口は右側です。お降りの方は、お足元にご注意下さい───。』

 

 

 少し釈然としない気持ちはあったが、自分の気持ちに整理がつく前に電車が目的地に到着してしまう。

 須藤は降り口に集まる同級生の群れの中に紛れて、器用に他所からの視線を掻い潜っている。

 

 

『───えーただいまドアが開きますので、少々お待ちください。』

 

 

────サァァァッ……。

 

 

「…………っ、風つよ…。」

 

 

 開かれたドアから入り込む風に須藤は髪を押さえて嫌がる素振りを見せながら列車を降りた。

 

 ……ああクソ。

 あそこまで辛辣な罵倒されまくったのに、コイツのそんな仕草一つに未だドキッとしてしまう自分に嫌気がする……。

 だけど…………やっぱりコイツは『高嶺の花』なんだ。

 

 たとえ彼女自身が人混みに紛れ込んで自らを目立たないようにしようが、彼女の周りだけは自然とその空間だけが切り取られて、まるでそこだけ別の世界のように光り輝いて見える。

 

 それくらい彼女は、他の誰よりも美しくて可憐だ。

 きっと、この先何年経ってもこの光景を忘れる事は無いだろう。

 

 

「…………はぁ。」

 

 

 そんな須藤凛音への憧れと、抑えきれない情欲と憤慨を抱えて、俺は今日もとぼとぼと足取りを進めるのだった。

 

 

 

 

 ────七月上旬。

 夏休みまで1ヶ月を切り、誰しもが浮足立ち始める季節。

 高嶺の花が堕ちゆく日々が、今まさに始まろうとしていた。

 




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