高嶺の花なクールギャルは、何故か俺にだけ当たりが強い。いい加減限界なので催眠かけてブチ犯す事にした。 作:無様キング
[黒田視点]
【─────桜ヶ丘駅。まもなく桜ヶ丘駅に到着致します。お降りの際は忘れ物の無いようお気をつけ下さい】
…………眠れなかった。
ずっと須藤の言葉の意味を考えてばかりいたおかげで、結局昨日は一睡も
できず仕舞い。 気を紛れさせる為に過去問と睨めっこしていた結果、完全な寝不足と化してしまった。
列車のアナウンスが妙に脳に響いてぐわんぐわんする……。 これは案外重症かもしれんな……。
【─────桜ヶ丘。 桜ヶ丘駅に停車しました。 お出口は右側です。お足元にお気をつけてお降りください】
桜ヶ丘駅…………。 前までなら須藤が乗って来ていたであろう時間だが、彼女は居ない。
まだ体調不良が治っていないのだろうか──────。
───────ざわ……ッ!ざわざわ……ッ!
え……?
列車内の乗客達が一斉に騒ぎ出す、いつもの流れ。
こんな一瞬で周囲を魅了する事ができる人物を、俺は一人しか知らない。
────────カツ、カツ、カツ。
「……おはよ、黒田。」
「須藤……!?」
周囲の注目を意にも介さず、涼しい顔をして俺の目の前まで歩いてくる彼女。
その流麗さも、凛々しさも、まるで変わらない。 病み上がりとは到底思えない完成された綺麗さは、確かに俺の知ってる須藤凛音そのものだった。
「くすっ……。 何その顔……。 幽霊でもいた……?」
「……もう大丈夫なのか?」
「うん。 すっかり元気になった。 …………黒田のおかげ、ありがと。」
「別に俺は何も…………って。 あれ…………?」
そこで初めて俺はうっすらと感じていた違和感に気づく。
…………須藤が、優しい……?
そもそも須藤に朝の挨拶されたの、俺初めてかもしれん……。 それにお礼まで言ってくるだなんて……よ、様子が変だ。 何か企んでるんじゃないだろうか……。
……っ、いや……それは違うだろ……。 人の挨拶や感謝の気持ちに疑いを持つなんて、良くない事だ…………。 ああでも……。
そんな狼狽する俺を見て、須藤は再びクスリと笑った。
「……もう、動揺しすぎ。 黒田ってホントわかりやす……。 …………私だってお礼くらい言うし、ちゃんと謝る事だってできるから。」
「あ……すまん……。」
「うん、許したげる。」
「………………。」
そ、そうだよな……。
いくらなんでも考え過ぎだ。
何はともあれ、須藤が元気になった事を今は素直に喜ぶべきだ。
良かった……本当に。
隣に並び立つ須藤の表情はとても穏やかだった。
彼女の笑顔が見れただけでも、朝っぱらからこんなに悩まされた甲斐があったのかもしれない──────。そう思った瞬間。
「……目の下のクマ、酷い。 寝不足……?」
……ずいっ。
と、突然須藤の顔が眼前に迫り来る。
そしてそのまま無遠慮に俺の目元を覗き込んできた。
─────ドクンッ……!! と、心臓が跳ね上がる。
目と鼻の距離にある端正な顔立ちに思わず息を飲む……。
近い……。
近すぎる……。
ただでさえ須藤は美人なのに、こうも至近距離でまじまじと見つめられると色々とヤバいんだ……! なんだか良い匂いするし……。
頼むから少し離れてくれ……! そんな切なる願いも虚しく、須藤は尚も距離を詰めてきた。
「ん……顔見せて。」
「ちょ、ちょっと待て……!」
慌てて手で遮ろうとするものの、時すでに遅し。 両手首を掴まれて、ぐっと引き寄せられてしまった。
抵抗するも虚しく、なす術なく互いの額がくっつく距離にまで接近を許してしまう……ッ!!
「こーら……っ。 動かないの。」
「……ッ!!」
その気怠げに男を咎める甘い声音にゾクッとする。
身体が硬直し、一切の身動きが取れなくなってしまった。
「…………うわ。 やっぱり……凄いクマ。 昨日ずっと起きてたの……?」
「あ、あぁ……まあ……な。」
「……もう。 良くないよ、睡眠不足は。 勉強の効率も落ちるし……。」
その細い指先で俺の頬を優しく撫でてくる彼女。
その仕草はまるで壊れ物を扱うかのように繊細で……。
まるで母親に叱られているような感覚に陥った。
「……っ。 すまん……。」
「うん、わかればいい。 ……じゃ、これあげるから。 口、開けて……? ………………はい。 眠気覚ましにはちょうどいいでしょ? ま、学校だとガム禁止だから……ホームルームまでには吐き出さなきゃダメだけど……。」
そう言って彼女はポケットから取り出したガムを、俺の口の中へと放り込む。
この柑橘系の爽やかな味は、どうやらグレープフルーツのようだ。
「あ、ありがとう……。」
そうしてまたくすりと、やれやれと言わんばかりに微笑む彼女。
まるで出来の悪い息子に呆れながらも慈しんでいるかのような表情。
ああクソ……。
俺、今幸せだ……。
ジト目で咎めるように見つめられながらこんな風に心配されて、まるで親鳥のように餌付けまでされちゃって……こんな幸せな事があるだろうか。 それに、俺の視界いっぱいを埋めるおっぱいは彼女の母性を示すかのようにどぷん……♥どたぷん……♥とさりげなく揺れている絶景付き。
それにしても……うへへぇ……ッ。 ……須藤めっちゃ良い匂いする……。
「………………っ。」
いかんいかん……! なに考えてんだ俺……っ!
相手はクラスメイト……ましてや犯した相手にに母性を感じるとかいよいよ末期だぞ……!?
……それに。
「す、須藤……っ。 …………心配してくれるのは嬉しいけど……。 こんな電車の中でくっつくなって……。 変な勘違いされちまう……。」
「……今日は混んでるし、周りからは目立ちにくいと思うけど。 それに黒田身体大きいから、私くらいなら全然隠れてる。 ……問題ない。」
ええ……断るのか……。
確かに今は運良く周りからの視線はないけれど……それよりもこっちの身の方が限界に達してしまいそうだ……!
こんな近い距離で密着した事なんて、それこそ1週間前のあの日ぐらいしか……。
しかしそんな俺の焦りとは裏腹に、須藤は更にぎゅっ……♥と俺の胸元に身体を寄せてくる。 『おっぱいがギリギリ当たらない位置をキープしてる癖に、澄ました顔で知らんぷりしやがってこのマゾメスが……。』…………と、そう邪推せずには居られない程の密着度である。
加えて『今日ホント混んでるね……。』とか、『ちょっと暑いかも……。冷房効いてる?』『痴漢されたくないから、ちゃんと守ってよ……?』だとか呟きながら、まるで独り言のように囁いた。
その吐息混じりの囁き声は、俺をおかしくさせるには充分過ぎる程の艶っぽさを孕んでいて……。
「……くすっ。 黒田すごくビクビクしてる。 なにをそんなに怯えてるの……? もしかして……こういうの好きなの?」
「……っ!!」
須藤の人差し指が俺の首筋に這うようになぞる。
ゾワリとした感覚が全身を駆け巡った。
「そう……。 ……敏感なんだ。 ふぅん……。」
今度は、ゆっくりと首元に手のひらが添えられた。 それはまるで、俺という存在を確かめるかのようだった。
そして、不意打ち気味に背伸びをした須藤が耳元に口元を寄せてきて──────。
「────約束通り、また……虐めてあげるから……♥」
──────ゾクッ……♥
耳の奥へと響く妖艶で淫靡な声音。
思わず身震いし、身体中に鳥肌が立つ。 脳が溶けそうな程に甘美なその響きは、俺の理性を容易に吹き飛ばしてしまう。
「す、須藤……お前……っ!」
そうしていい加減限界を迎えそうになった瞬間、駅のホームにアナウンスが響いた。
『────まもなく桐ヶ崎高校前〜。
桐ヶ崎高校前でございます。お出口は左側です。お忘れ物のないようご注意下さい。』
「────ふふっ。」
そう最後に小さく笑うと、ようやく俺から離れて少し距離を離してくれた彼女。
何事もなかったかのようにそっぽを向いてスマホを弄り出すその姿は、先ほどまでの官能的な雰囲気とは打って変わっていつも通りのクールビューティーな雰囲気に戻っていた。
「……………………っ。」
けれど、この時の俺は気づかなかった。
麗かな横髪の奥、うっすらと見え隠れする須藤の耳たぶが真っ赤に染まっている事に……。
◆
その日の午前は、至極平穏なものだった。
須藤が数日ぶりに登校したという事で先輩後輩問わず、いわゆる須藤のファンガールがこぞって教室に押しかけてきたくらいで、後は特にこれといったイベントもなく平和に昼休みまで辿り着いた。
(元の日常………………か。)
本当にこれで良いんだろうか。
そもそも同級生を無理やり強姦した俺に、こんな平穏な時間を過ごす資格があるのか……?
たとえ須藤が俺に自首を求めなかったとしても、勧善懲悪的な考えで言えばこれは立派なバッドエンドだ。
「ねぇ。」
「……っ、須藤……。 どうかしたか?」
昼休みに入った直後、須藤が俺に話しかけてきた。
今朝の妙に素直な須藤はなりを潜め、今はいつも通りのクールでダウナーな氷の令嬢に戻っている。
「今日の購買、期間限定のフルーツサンド出るんだって。 …………買ってきて。」
…………これも、ある種日常の一環なんだろう。
腐るほど繰り返した、須藤の下僕としての毎日。 未だに周りからの視線がチクチクと痛いのは、須藤のその人気ぶりを物語っていた。
「…………わかった。 行ってくるよ。」
けれど、それでも。
こんな日がいつまでも続けば良いなんて、柄にもなく思ってしまう。
催眠アプリの一件で、何気ない日常こそが一番得難いものなのだと気付かされたからだろうか。
「あ……。 買いに行くついでにゴミも捨ててきて。」
「……うす。」
相変わらず、須藤は俺に雑用ばかりさせる。 無論、これが須藤への罪滅ぼしとなるのならば、文句などない。
「ねー凛音ー。 はやく新曲の振り付け教えてよ〜。 チックタック用の動画も撮らなきゃいけないしさ〜。」
同じくクラスメイトの安藤さんが、須藤の背中に抱きついて催促してくる。
ダンサー志望な彼女はクラスメイトの女子を巻き込んでSNSに流行りのダンス動画を投稿しているそうだ。
天性の才能でダンスも余裕でこなせる須藤を師と仰ぎ、こうして度々絡んでくるのだ。
「……はいはい。 わかったからちょっとだけ待って……。 というか……事あるごとにいちいち抱きついてこないでってば……。」
ため息をつきながらも、どこか嬉しそうな表情の須藤。 彼女もまた、当たり前の生活が戻ってきたことに安堵しているのかもしれない。
「にしし〜♥ ごめんごめん……。 あ、そういえばさ〜。 最近出たコスメの新作知ってる? 凛音っちなら絶対チェックしてると思ったんだけど……。 ちょっと気合入れて買っちゃったんだ〜。」
「……え、いいな。 それ私も昨日見た。 ちょっと大人っぽいけど、あの色すごく好き……。」
…………っ、ダメだ。 本当に俺はおかしくなってしまったのかもしれない。
友達と、何気ない会話を楽しみながら昼休みを過ごす。
須藤にとって、それは当然の権利であり、普通の生活。
なのに、そんな光景を見て俺はゾクゾクとした背徳感に襲われていた。
俺は犯したんだ。
今目の前にいるこの、最高の女を。
澄ました顔で友人と談笑するその美しい横顔を眺めれば眺めるほど、下半身の昂りは増していく。
ましてや日常と非日常の対比を、まるで須藤がわざらしく俺に見せつけてきているみたいに思ってしまうだなんて…………自分は、とっくの昔に狂っているんだと思ってしまう。
「……黒田?」
「──っ!?ど、どうした?」
「……何でも無い。 ただ呼んだだけ。 早く購買行ってきてよ。」
「そ、そうか。すまない。」
「別に。」
気づけば、須藤に見惚れていたらしい。 なにやってるんだ……俺……。
なし崩し的とはいえ、俺のやった蛮行を許してくれた須藤にまた劣情を向けてしまうなんて……。 もうここにはいない方がいい、早く購買に行ってパシリ役として一日を終えるとしよう……。
◆
[須藤視点]
……ホント単純バカ。
焦りながら購買へと駆けていく黒田を見やりながら、私はスマホを弄る。
「ねー凛音〜。」
後ろから私を抱きしめたまま、友達の安藤が声を掛けてくる。
良くも悪くもふわふわとした娘で、あまり人付き合いが得意ではない私の数少ない信頼できる友人の一人だ。
「何?」
「今日なんか機嫌良くなーい? 何かあったの?」
「……別に。」
「ええ〜ほんとかなー。」
安藤が興味深そうな目線をこちらに向けてくる。
人の機敏を見分けるのが得意な子だけど、こういうダル絡みをしたがる所は玉に瑕だ。
「……でも黒田くん凄いね。 本当になんでもいう事聞くじゃん、完全に凛音に飼い慣らされてるって感じ。」
「ただ単純なだけだと思うけど。」
「ふふっ。でも彼、ああ見えても人気あるんだよ?密かに。」
「…………。」
そう口走る安藤の顔は酷く楽しそうで、明らかに私をからかっているようだった。
「普段目立たないけど、頭いいし。 身長は勿論先輩後輩含めても、ダントツ一位。 顔だって整ってる方だし。 それに優しいもんねー。」
「……そうかな。」
安藤の言葉に少し引っかかるものを感じて相槌を打つと、安藤は満足そうに笑みを浮かべた。
「あれー? 今ちょっと嫉妬しちゃったー? ふふっ、可愛い〜♥」
「……別に。 そういう訳じゃ……。」
「ほほーん……♥」
否定しても、安藤はニヤついた表情を変えようとしない。
「ま、我が校が誇る天下無敵の人気No.1女子たる凛音と比べたら、彼の人気なんて微々たるモノだけどね〜。」
「……うるさい。」
「ごめんごめーん♥」
安藤の煽りに思わずムッとして睨むと、安藤は舌を出しておどけて見せた。 呆れて溜息を吐こうとした所で、息を切らしながら黒田が教室へと戻ってくる。
「あ、帰ってきた。」
「はぁ……っ! はぁ……っ! 悪い……須藤、購買混んでて……。 頼まれた品売り切れてた……!」
「……。」
黒田が申し訳なさそうに差し出してきたのは、私が頼んだはずのフルーツサンドではなく、いちごオレだった。
購買の争奪戦に完敗して、仕方なく自販機で女子受けしそうな飲み物を買ってきた姿が易々と思い浮かぶ。
「ぷ……ははははっ♡」
「……はぁ。 もう良い……。 ありがと。」
「え……。あ、ああ……?」
私に礼を言われた事が意外だったのか、黒田はキョトンとしていた。
「……ぷっくく……あははっ!! い、いちごオレって……なんか他に買う物なかったの黒田くん……! 君ってやっぱり面白いね……!」
そんな黒田を見て、安藤が堪えきれないように吹き出す。
「安藤笑いすぎ。 ほら、もういいからあっち行って。」
「はいはい〜♪」
これ以上は面倒になりそうだったので、安藤を追いやる。
「……?」
まだ不思議そうな顔をしている黒田に向かって話しかける。
「聞いてないんだけど。」
「……いやホントにすまん……。 急いで行ったんだけど……。」
「…………そうじゃない。 そのイチゴオレの代金。いくらだったの?」
「……えっ。 ああ、いらないよ……。 それは奢りって事でいいよ……。」
「ダメ。それだと私が困る。」
「え、あ……別に良いのに……。 いちごオレは確か……120円だったっけ……。」
私はいちごオレの代金を黒田に手渡し、同時に彼との距離が近づいたところで耳元で囁く。
「私の命令を守れなかった罰、放課後屋上で受けてもらうから……。」
「──っ!?」
黒田の顔が真っ赤に染まる。
「わ、わかった……。」
「はい、要件終わり。 さっさと席に戻って。」
黒田はぎこちない動きで自分の机へと戻っていく。 その様子を見やりながら、私は彼が買ってきたいちごオレをゆったりと飲むのであった。