高嶺の花なクールギャルは、何故か俺にだけ当たりが強い。いい加減限界なので催眠かけてブチ犯す事にした。 作:無様キング
[須藤視点]
7月15日 午前7時13分(side:須藤)
────世の中はただただ退屈で、何もかもがつまらない。
朝の喧騒とした駅のホームで、私はそう心の中で呟く。
呆れるくらいに退屈な毎日。
代わり映えのしない日常の繰り返し。
昨日も今日も明日も、きっとそれは変わらないのだろう。
(別に、それが嫌な訳ではないし不満があるわけでもないけど……。)
────だからこそ、不愉快な『モノ』だけがどんどんと悪目立ちして、気が滅入ってしまう。
「おい、あれ見ろよ……。」
「うわっ!すげぇ美人だな……。てか胸でかくね……?」
「モデルかよ……エロすぎだろ……。ううっ……!見てたら股間が……っ!ぐっ……!!!」
こちらに聞こえないと思っているのか、コソコソと話しているつもりらしいその会話を聞き流しながら、私は小さく溜め息をつく。
それにそいつらだけじゃない、周囲にいる男全てがみんな私をチラチラと見ている。
これが私の日常における負の側面の一つだ。
─────どうしようもない奴らばっか……。
通学中の私の胸元や太ももの辺りをジロジロと見ながらナンパしてくるようなヤツには嫌悪感しか湧かないし。
「……本当、馬鹿みたい。」
私が通り過ぎるだけで何故か股間を押さえて前屈みにうずくまろうとする同級生、ましてや教師、会社員みたいな大の大人の姿とか滑稽でしかない。
外に出れば、そんな最低な視線ばかりがまとわりついて嫌気がする……。
いっその事、外に出るのすらやめたいと何度思っただろうか。
かといって、私には家に居づらい理由も存在するのだからどうしようもない。
具体的に言えば、家に帰ればお姉ちゃんが彼氏と隣の部屋でイチャイチャと………あーもう、思い出すだけで腹立たしい……!!
『───まもなく、電車が参ります。危ないですので黄色い線の内側まで下がってお待ち下さい。』
小さくため息をつくと、ホームへと入ってきた列車のドアが開く。
この時間は特に混むから嫌い……満員の車内ではいつも、誰かの身体が密着してしまう事が多いからだ。
そんな悪態を吐きながら、列車に乗り込んで適当に空いている席を探していると、何気なく車内を見回した私の視界に目障りな顔が映った。
「…………っ。」
────黒田権蔵。
名前からして古臭い、同じクラスの男子生徒。
(……またいる……。)
……いつも寝そうに仏頂面をしている変な男。
うちの校内だと有名なガリ勉で、この間の全国模試でも上位一ケタを取ったらしい。
参考書みたいなのを見ながら、ブツブツと何かを呟いてる姿はその相変わらず近寄り難い雰囲気を感じてしまう。
(本当は、今日コイツとは顔すら付き合わせたくなかったんだけど……。あんな事があったばっかだし……。)
大半の乗客の視線が私に向く中でも、その190cm越えの長身は周りよりも頭一つ分抜けていて地味に目立つ。
その体格に惹かれてなのか、一部の後輩女子達が遠巻きからアイツを眺めている。
──────まぁ、強いて言うなら確かに見た目だけはそこそこ良い方かもしれないけ……ど………。
「──────っ。」
私……なんであんな男の事を考えて…………っ。気持ち悪い……。
(…………最悪。)
……私──須藤凛音は黒田の事が酷く嫌いだった。
別に何かされた訳じゃない……けれど同じクラスになった日からとにかく生理的に受け付けない。
アイツを見ていると何故か胸がざわついてイライラするし、今だってアイツに群がっている視線を見てると無性に腹が立つ……。
───それに、昨日の件だってあるし……。
……ダメ。
考えれば考えるほど、余計な事しか思い浮かばない…………本当にウザい男……。
夏休み、早く来ないかな……そうすれば顔を合わせずに済むんだけど……。
「………………チッ。」
…………けど、今は他の視線に晒され続ける方がもっと嫌だから。
だからこれは、仕方のない事……。
『こんな事ならもっと早い時間の人気のない列車に乗っておくんだった。』
そう思いながら、私は仕方なくアイツの前へと足を進めた……。
◆
「───ねぇ。」
「う、うぉっ!?」
昨日と何一つ変わらない不機嫌なトーンで話しかけると、こいつはとても間抜けな声をあげた。
完全に想像通りのリアクション……。
「……………………。」
昨日の件があったから私が気まずくてもう声をかけないとでも思っていたのだろうか、いつも以上に驚いた顔をしてくる。
(…………むしろその逆、黒田には徹底的に私の『犬』になってもらうんだから……っ。)
鈍臭い黒田が慌ててビクンと震えたせいでガタンッ!と大きな音を立ててしまい、周りの乗客達が迷惑そうな表情を浮かべている。
だけど、私はそんな事は気にせずに空いたスペースに移動すると、黒田は申し訳なさそうに私の前に陣取る。
…………まるで主人に付き従う大型犬だ。
いっその事「わんわん」って吠えてくれた方が分かりやすくていいのに……。
「そこ、邪魔だから詰めて。…………学習しないの?」
「…………す、須藤………!?わ、悪いっ、今どく。」
「…………はい、よくできました。」
そう、これが黒田の本性。
アスリートみたいな体格と見た目をしてる癖に、中身は小心者で臆病者なヘタレ陰キャ…………。
初めは周囲からのウザい視線を避ける為に、仕方なく身体の大きいコイツの背に隠れて盾として利用していただけ…………だったけど、事あるごとに鈍臭くてビビりな黒田を見ていると、なんだか無性に苛めたくなってついちょっかいを出してしまっていた。
………………私、案外Sなんだろうか。
「くすっ……。」
「……?ど、どうかしたのか?」
いつしか、私は黒田をパシリとして扱う様になった。
別に深い意味は無い……ただちょうど良い玩具を見つけたと思っただけ……。
それにどうせこのヘタレに逆らう勇気すらもないのは、初めから分かってたから……。
だって、ほら─────。
「……なんでもない。……てか、私が笑っただけでいちいち反応しないでくれる?……ウザいんだけど。」
「す、すまん……。」
……………ほんとダサ。
私がこう言うだけで、しゅんとした様子で縮こまる黒田。
昨日は少し反抗的で生意気だったけど、一度『躾』をすればすぐに従順になるのだからやっぱりコイツはお似合いのペットだ。……飼い主である私の命令に、素直に首を縦に振る姿はまさにワンコだし。
……つくづく犬みたい。
でも、今日はいつも以上に挙動不審……。
避けたがってるというか、どこか声に覇気がない印象を受けるんだけど……。
(……まぁ、どうでもいいけど。)
とはいえ、少しは溜飲が下がりはしたかな。
私は、そうしてイヤホンを耳に挿して音楽を聞きながら、目の前で黙りこくる黒田の姿を列車が到着するまで眺めていた。