揺籃の魔法少女 作:ほむほむぷでぃんぐ
それから、私は定期的にマミ先輩と会い、色々なことについてアドバイスを貰ったり、訓練をつけてもらったりした。アドバイスの中には、縄張りの概念だとか、魔法少女に関する基本的な知識のものもあり、私がキュゥべえから聞けていなかったこと──或いは、あの時に頭から抜け落ちてしまっていたのかもしれないが──を知ることが出来た。
戦闘面では、私の戦闘手段である鎖について、マミ先輩のリボンで作られたマスケット銃のように、イメージを広げることが出来れば自由度が広がるという事で、扱う鎖を蛇腹剣のように鋭くしてみたり、射出した鎖で相手を拘束してから、鎖を空間に固定する戦闘手段を作ってみたりした。
ちなみに前者に関しては、マミ先輩から『ファターレ・テンペスタ』という、中二病チックな命名──実際マミ先輩はもうすぐ中学二年生なのだが──をされそうになったが、丁重にお断りしておいた。その名前は前世を持つ私にとってあまりにも恥ずかしすぎる。魔法のイメージを固めやすくする為に大切だと言われたが、絶対にダメだ。
そうやって断固として私が拒絶していると、マミ先輩は悲しそうな顔をしたが、そこだけは譲らなかった。彼女は自分の必殺技に『ティロ・フィナーレ』と名付けているが、いつか彼女もまた、黒歴史に苦しむ日が来るのだろうか。
後は、彼女と共に魔女を倒すことになったが、その魔女は結界内が結界外の景色と全く変わらず、使い魔や魔女本体は侵入者と全く見分けがつかない姿で襲いかかってくるという変わった魔女であった。そして、そのそれぞれが模倣元と同じ魔法を使うことが出来るのだが、精度は低く、ダメージを与えて破壊すると白い断面が剥き出しになることや、熟練した固有魔法を扱うマミ先輩やそもそも私の固有魔法を扱うことが出来ないという点で、特に苦戦することも無く倒すことが出来た。
また、彼女が友達として行動を良く共にしているらしいキュゥべえに会うことが出来たので、私はこっそり色々なことを確認しておいた。
キュゥべえの目的はエントロピー増大による宇宙の終わりを回避するという、原作の知識と変わりないものであった。また、魔法少女周りについても、一部例外を除いて同様であった。つまり、魔法少女はソウルジェムが濁り切れば魔女になるということだ。
それで、一部例外に当たる性欲エネルギーに関することは、曰く、この星ではオルゴンとも名付けられているだとか、一人の魔法少女が生み出すエネルギーは、短期的には希望と絶望の相転移エネルギーの方が大きいが、長期的に見ると、自慰や特に性行為によって生じる性欲エネルギーはそれを上回るらしい。
さらに、高い因果を持つ魔法少女ほど発するエネルギーが多いのも変わりなく、魔法少女は魔法を行使する代償として性欲が増大し、その発散によってエネルギーが生じるとのことらしい。
どうやら、この世界の
それと、私がキュゥべえと出会ってすぐに魔女の結界に迷い込んだのだが、故意によるものかと問えば、『確かにグリーフシードを君の周辺に撒いたが、それは魔法少女の為であり、迷い込んだのは偶然でしかない』という限りなく黒に近い回答を受けた。
恐らく、魔法少女の為にグリーフシードを撒いたのは本当なのだろうが、私の周辺に撒いたという点では故意にやったものだと思われる。それで、私が魔女の結界に迷い込むように誘導した訳ではない、という言い分だろう。
正直かなり腹が立ったが、こいつを殺しても次が来るだけなので放っておいた。しかし、これでまどかやさやかの時にも同じ様な手段に出る可能性が高いので、二人の周辺には警戒しておくべきであろう。
また、私の固有魔法がどうなっているのか聞いてみたが、そのような願いをしたことが初めての事例であり、よく分からないらしい。使えない淫獣であった。けれど、私がグリーフシードと同様に周囲の穢れを吸っている状態であるのは確からしい。
だが、それでも私の固有魔法について分かってきたことがある。まず、私が溜め込んだ穢れは、私のソウルジェムが取り込んだグリーフシードの方へと送られるらしく。魔法発動時には溜め込んだ穢れの分だけ魔女の召喚や強化が出来る。
つまり、私は私単体でソウルジェムとグリーフシードの役目を果たし、ソウルジェムの穢れという魔法少女の戦いを強制する要素から外れているらしい。
ちなみに、これは他の魔法少女にも使うことが可能で、実際にマミ先輩のソウルジェムに私のソウルジェムを接触させることで穢れを取ることが出来た。ただし、ソウルジェムの触れ合いによって二人が繋がっているような不思議な感覚に襲われるのだが、それはまた別の話だ。
その能力を知ったマミ先輩からは、信用出来る魔法少女にしかそのことを教えないように、と強く言い含められた。私の事をあっさりと信じて迎え入れた彼女が言うのは、少々不思議な話であったが、尤もであるので改めて気を付けておくことにした。
それで、問題は溜め込める穢れに限界はあるのかという点である。あるのならば、定期的にグリーフシードを取り込むことで容量を増やしたり、魔女を使って戦闘することで発散しなければならない。しかし、魔女の召喚中は穢れがソウルジェムへと逆流する現象が生じ、ソウルジェムが急速に濁っていくので、今後はこれを魔法の練度を上げるなどして解決しなければならない。
そんな感じで、残りの春休みを過ごした私であったが、春休みが明けて中学生になって早々、またしても困難に直面していた。
「はぁ…………はぁ…………」
有り体に言えば、私はどうしようもない程に性欲が溜まっていた。キュゥべえから聞いた話によると、魔法少女は魔法を使うことで、性欲が溜まるようになっている。
私の場合は、固有魔法によって自身のソウルジェムの濁りや、それどころか、キュゥべえ曰く、周囲の穢れも回収しているらしく、それにより私は魔法を常時使用しているようなものなのか、私の性欲は普通の魔法少女が我慢出来る域を超えていた。
そのせいで、今は授業中なのだが、授業内容が何一つとして頭に入って来ず、それだけでなく息が荒く、身体も暑い。
「東雲さん、大丈夫そうですか? 体調が悪いのなら、保健室で休んだ方が良いですよ?」
「…………そうします」
そんな私の様子を見かけた先生が話しかけてきたので、私はそれに従って保健室で一旦休むことにした。
「一人で行けそうですか?」
「えっと……先生、私が保健室まで連れて行きましょうか?」
先生が私にそう問うと、保健委員を務めているまどかが名乗り出た。正直、私一人では保健室に行けるか分からなかったので助かった。
「鹿目さんは保健委員でしたね。では、お願いします」
「はい。行こっか、あみちゃん」
「……うん、ありがと」
まどかは少ししゃがんで、私の腕を自らの肩に掛けさせて支えてくれた。そうして、まどかに支えられながら保健室へと向かったが、その間、私は胸が高鳴ってしょうがなかった。
「とりあえず、ベッドで休む?」
「……うん」
やがて、無事に保健室に辿り着くことが出来たが、そこには養護の先生が居なかった。まどかは私をベッドに横たえると、先生を呼んで来ると言って保健室を後にした。
ひとりきりになると、私は一度大きく深呼吸をした。親友に興奮するだなんて、私はどうかしている。原因は先程のことだった。
保健室に向かう間、私を支えてくれた彼女との接触で感じた、彼女の微かに香る甘い匂い、第二次性徴期を迎えた彼女の昔よりも女性らしくなったその身体、小ぶりながらも柔らかな胸、それらが──いや、ダメだ、思考が変な方向へ行ってしまっている。
わざわざ私を心配してくれている彼女の優しさを、信頼を裏切る訳には行かない。それに、前世では成人男性だったのだから、中学生に手を出すなど倫理的に問題がある。まぁ、女性同士なので、どう手を出すかなんて分からないのだが。
それにしても、私はこれから先、この状態で過ごしていかなくてはならないのだろうか。私には女性としての性欲の発散方法はよく分からず、そもそも漠然とした不安感があるのだ。こんな時、十数年前に失われた息子でもあれば処理することも可能だったのだが。
「……え?」
性欲にやられた頭で、そんな馬鹿なことを考えてしまったのが悪かったのだろう。私の下半身が突如として、光を放つ。そして、気が付くと、私の股間からはパンツやスカートを押し退けて聳え立つ凶悪としか形容のし難いモノがあった。
ソレは、私の片手では握り切れない程に太く、私の臍の高さを超えて、鳩尾の辺りまで差し掛かる。表面には脈打つ血管が迸り、その先もまた、正に抉り取るような形状をしていた。
私がそんな二次元でしか目にしない、今も熱を発している暴力的なソレに呆気に取られていると、保健室の扉が開かれる。まどかが戻って来たのだ。
「あみちゃん、今日は養護の先生、出ちょ………………えっ?」
やっとここまで。
気が乗ったら続く。