※この作品はR-18です。

ツギハグクルシュとアヤマツ六連星   作:クラムP

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5『過去からの侵蝕』(クンニ)

応接室

 

 令嬢の掌の上で、竜珠の嵌った徽章が輝く。

 王国において絶対の判断基準が、『クルシュ』の身柄を保証した瞬間である。

 

「御身をお疑いする真似をいたしましたこと、深くお詫び申し上げます。大変失礼いたしました」

 

 全身を分厚い筋肉の鎧で覆う、巌のような顔つきの男が『クルシュ』の前に跪く。

 

「仕方ありません。以前の私と今の『私』が一致しない以上、証明は必要でしょうから」

 

 近衛騎士団長マーコス・ギルダーク。

 コスツール都市長の元へ面会に来た折、『クルシュ』健在の報せを受けたとの事だ。

 

 マーコスの眼には、たおやかに微笑む令嬢が映る。

 髪を結い、上品に着飾った姿。柔らかな物腰と淑やかな雰囲気。言動にも、かつての力強さは見当たらない。

 

 幼少より果断で凛とした佇まいであったクルシュ・カルステンと、目の前の貴族子女然とした令嬢が、男の内ではどうしても重ならなかった。

 しかし、龍の証明を前に、彼の人物評など何の意味も為さない。

 

「だーぁから言ったでしょーお? 記憶喪失の『クルシュ』様をこちらで保護しているよーぉ、って」

 

 同席するロズワールが、どこか勝ち誇った様子で騎士団長に軽口を叩く。

 

「口を慎め。こんな奇妙な状況、てめえみてえな不審者から言われれば疑いたくもなるだろうが」

 

「おお、怖い。相変わらず堅い男だーぁねぇ」

 

 『クルシュ』に対する礼節とは打って変わり、マーコスが粗野な口調で道化師を制する。

 

 似顔絵と断片的な情報でしか知らなかった、近衛騎士団長と西方辺境伯との邂逅。

 『クルシュ』としては思わぬ大物を前にして、王選候補という役割の重みを実感し始めていた。

 

「それで、クルシュ様は王選の辞退はお考えでないと。そう判断してよろしいのですかな」

 

「ええ。『私』自身の意志のもと、引き続き王選に臨むつもりです」

 

「承知しました。賢人会の皆様にその旨、報告させて頂きます」

 

 『クルシュ』が決意を表明した。

 賢人会からすれば、彼女の復帰は朗報だろう。

 しかしマーコスは、己が騎士の不在に疑問を抱かぬ彼女を見つめ、その姿に何がしかの予兆を嗅ぎ取る。

 

「……では、これにて失礼いたします」

 

 しかし、騎士の頂に立つ男は己が職分を守り、それを黙認した。

 それを眺める道化師は、ひとり満足気に口角を吊り上げたのであった。

 

 

 

 

♢

 

「お疲れのご様子ですわね」

 

「ええ、思ったより緊張していたようです」

 

 替え玉としての初仕事を終え、屋敷に帰還した『クルシュ』。ようやく腰を下ろすと、力の抜けた息を吐く。

 

(こんな時、彼女なら)

 

 ふと頭をよぎるのは、『クルシュ』の模倣対象であり、己を計る比較対象。

 本物の女公爵についてだ。

 

「フレデリカ。クルシュ・カルステンは、民からどういった評判を受けているか分かりますか?」

 

「クルシュ様の評判、ですの?」

 

 思わず口にした問いに、内心で冷や汗が滲む。

 

——クルシュ・カルステンは、こんな問いを尋ねるだろうか。

 

「そうですわね…。広く知られた印象で言いますと、やはり果断な野心家。そして武闘派として知られていますわね。未だ健在な前公爵を強引に退かせて現在の地位についた、強かなお方だと」

 

 教えられた『戦乙女』の風評と、そう大差ない評だ。

 

(ギルダーク卿も、私をそのような人物と目した上で接されていたのでしょうか)

 

「申し訳ございません。御身を前にした不敬、お許しください」

 

 長身を屈め、頭を下げるフレデリカを慌てて制する。

 

「いいえ、私から申し出たことです。正直に答えて頂き、感謝いたします」

 

——クルシュ・カルステンは、こんな弱弱しい返答をするだろうか。

 

 口を滑らせるたび『クルシュ』は、かの女傑との差を意識してしまう。

 

 

 クルシュ・カルステンらしさとは何か。

 

 

 自己同一性を再構成中の彼女が直面している壁。今後、クルシュを知る者と接する時、避けては通れない課題。

 

 さらに彼女を悩ませるのは、あの徽章による証明。あれが理由で自分が替え玉に選ばれたのか。あるいは、

 

(私が——クルシュ・カルステン本人だとしたら)

 

 考えてもキリが無い。

 何であれ、今自分が出来ることに変わりはない。

 

 でも、もしそれが事実ならば。

 己こそがクルシュ・カルステンなのであれば。

 

 今の『自分』は——過ちそのものではないか。

 

 そして首を振る。

 『クルシュ』自身を根底から否定しかねない可能性から目を逸らす。

 

 だが、彼女の中でかの女傑の影は、少しずつ濃さを増していた。

 

 

 

 

 

 

 

 

♢

夕刻・寝室

 

 ドレスインナー姿の『クルシュ』が寝台に腰かける。

 股布の切れ目から覗く花びらは早くも蜜を滴らせ、既に体が性交に臨む準備が整っていることを知らせてくる。

 

「あまりジロジロ見ないでください。早く始めましょう」

 

「いやァすいやせん。しっかし、お嬢様の口から早く授業をしようたァ珍しい」

 

「……そんなつもりは」

 

 否定の言葉をつぐむ。下手に拒絶し、時間をかければ思う壺だろう。

 なにより今は…じっと考える時間が欲しくなかった。

 

「お嬢様の成長、あっしは嬉しいですぜ。授業にも慣れたようで安心しやした」

 

「……慣れたつもりはありません」

 

 『先生』の言葉を思わず否定する。

 授業への抵抗感が薄れたのは事実だが、下世話な行為に前向きになった訳ではないのだ。

 勘違いされては困る。

 

「んじゃァ、お嬢様のお望みのままにっとォ」

 

「うっ…」

 

 陰裂に指が触れると、雄を知覚し瞬く間にほぐれ広がる。膣が熱を帯び、股座に寄った男の顔面にまで暖気が漏れる。

 

 べろぉ♥ ちろ♥ ちろ♥

 

「ふっ…ふぁっ…んっ♥」

 

 粘膜をねぶられるのも、今ではすんなり受け入れられるようになっていた。羞恥から目を閉じて耐えるも、

 

 じゅるるっ♥

「あぅ!♥」

 

 高まる疼きに、守りがあっさり崩される。

 チョロく躾けられた体では舌責めに抗えない。

 

 ぬちゅ♥ ぶちゅ♥ くにゅ♥ にゅるにゅる♥

 

「んんっ!♥ …ひうっ!♥ あっ♥ ゆっくりしちゃっ♥ 分かっちゃいます…!♥ 舌の形♥ 分かっちゃいますからぁ……!♥」

 

 優しく、処女を散らさぬように。指と舌でねちっこく股を舐める。快楽器官として発達した下の口は、匠の舌技に悦び泣く。

 

 ちゅぷ♥ ちゅるるっ♥

 

「あっ♥ それっ♥ やっ♥ その触れ方、やめてくださいっ♥ ん、ふぁ、ぅああっ♥♥♥」

 

 クンニ責めを受け、上半身がのけ反りくねる。どんどん上がる感度に、脳の処理が追いつかない。

 

「んふぅ!♥♥ あ……あぁ……っ!♥ ♥」

 

 ぞくぞく♥ ぞくぞく♥

 

 『クルシュ』の女の部分がまたも狂わされていく。どう耐えようとも、調教済みのよわよわマンコは今日も絶頂間近に迫る。

 

「ふゥむ、そんな辛そうな顔じゃァ盛り上がりませンぜ?」

 

「だ、誰のせいで……!」

 

 他人事のような指摘に、つい怒りを露わにする。

 

「う゛あ……っ!♥ 急、に……!♥♥ ひぃ……!♥」

 

 しかし、舌で女性器を弄られたらあっさり気勢が砕け散る。雌穴は勝手がヒクつき、昂ぶりが嫌悪を凌駕していく。天秤を更に傾けようと、呪印が股布の隙間から光差す。

 またも近づく絶頂の気配。だが『クルシュ』は、

 

 

「〜〜まっ♥ 待って!! 止まってください…!もう……感じたくないんです!!」

 

 

 強く強く、拒絶を表明した。

 

「性交渉で感じたくないたァ野暮をおっしゃる」

 

 愛撫を中断した男を余所に、『クルシュ』は熱を蓄えた肢体を抱きしめ、足元へと崩れ落ちた。

 

「だからって、こんな、こんなことをしても、私は……クルシュ・カルステンにはなれません!」

 

 たとえ己がクルシュ・カルステンであろうとなかろうと、ここにいる『クルシュ』の無様さは変わらない。快楽を享受する己の醜さを自覚するたび、そう思わされた。

 こんな自分には何もできない。今を耐えたとて、己が何かを成す日は来ないだろう。

 そんなことを考え、自己嫌悪が募り、全てが嫌になった。

 

「……たしかに、世に聞くク(・)ル(・)シ(・)ュ(・)・カ(・)ル(・)ス(・)テ(・)ン(・)ら(・)し(・)く(・)な(・)い(・)ってのはわかりますがねェ」

 

——クルシュ・カルステン、らしくない。

 

 その言葉が、『クルシュ』の心の柔らかい部分をまた撫でる。

 疑念。懊悩。未熟。

 心に引っかかりを残しつつも、『クルシュ』はこれまで己を疑わなかった。

 しかし、他者を意識することで劣等感を刺激され、強固な自我に綻びが生まれた。

 

「私は……こんな『私』が…………大嫌いです」

 

 目には涙を貯め、声には嗚咽が混じる。

 以前のクルシュならばこの程度、自身で打開するなり耐え抜くなりしただろう。

 しかし、自認と肉体を狂わされ、今ここで股を濡らしながらすすり泣く女は、もはやクルシュ・カルステンではない。

 自身が狂っていく恐怖と、理想の姿と比した自身の無能さ。それを抱えたままでいることに耐えられはしなかった。

 

 

「だったらいっそ、クルシュ・カルステンになるなンざ、やめちまうのはいかがですかねェ?」

 

 

 そこで、クルシュで無くなったただの女へ、提案が持ち掛けられた。

 

「どうせあの女傑になれねェんなら、もう肩肘張る必要なんざありやせんぜ。素直に愉しみましょうや」

 

「……ですが、私は彼女になる為に今まで——」

 

「上手くいかねェなら仕方ねェでしょうや。なァに、大旦那なら上手くやってくれまさァ」

 

 クンニ責めで茹った頭に、甘美な言葉が潜り込む。

 今の自分でも仕方ないと。妥協しても良いと。諦めても良いと。

 以前の彼女ならば決して許さなかった提言が、『クルシュ』の中にするりと入り込む。

 

「でも——ひゃぁあん♥」

 

 彼女が結論を出す前に、舌責めが再開された。

 粘ついた舌に、再び思考がぐずぐずに溶かされていく。

 

 クルシュ・カルステンへの劣等感。

 あまりに都合の良い妥協の薦め。

 

——♥

 

 疼くカラダ、沸き立つセイヨク。

 

———♥

 

 グチャグチャのアタマ。

 

『クルシュ』は————、

 

「気持ち、イイ……!♥♥」

 

 決定的な告白が、令嬢の口から漏れる。

 

「おまんこ、いいです…!♥♥ 気持ちイイです…!♥♥♥ 処女膜舐められて、すごく良くて♥♥ 気持ちよくってえ……!♥♥」

 

 男に股をしゃぶられて盛っていると認め、白状する。妥協案に身を委ねる。

 

 ち゛ゅう♥じゅるっ♥

 

 陰唇のびらびらにキスマークがつけられる。

 

 ぐちゅぐちゅ♥ ぴちゃっ♥

 

 メス蜜あふれる膣口を、下品な音を立てて捏ねられる。

 

「い゛ぃい゛!!♥♥♥ あっ♥♥ イきそうで…!♥♥♥ もっとなめなめして♥♥♥ すけべなまんこ♥♥ ふうぅ゛♥♥♥ しゃぶり尽くしてくだいいぃい……!♥♥♥♥」

 

 快感を白状すると蓄積していたストレスが飛んでいくようで、『クルシュ』は進んで淫語を口走った。

 

(もういい…♥♥ こんな悦いんだから♥♥ もうなんでもいい……!♥♥♥)

 

 甘露の如き悦楽が、全身からあふれて止まない。

 今この時だけ、全て忘れて——

 

「もう、イキます…♥ イキますからっ!♥♥ イ…♥♥ あああ♥ ぁああ゛あ゛っ!♥♥♥♥」

 

 ビクンッ!♥♥ビクンッ♥♥

 

 甘い声が響き渡り、絶頂の脈動で処女膜が歓喜に揺れる。

 男の頭に手を置き、妥協に折れた雌が陶酔した顔でイき果てる。

 

———告白から絶頂までの流れの中で、呪印に光が灯ることはなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

♦︎

 

 

「すげぇ! こんなあっさり上手くいくなんてなぁ! お前の頭脳派キャラっぽいトコ初めて見たぜ!」

 

 男が、隣に座る薄赤の髪のハーフエルフ、オメガを賞賛する。

 

「なに、こんなもの最低限の女性の扱いさえ知っていれば解ける、簡単な問いさ。まあ、これまでの積み重ねがあってのことだけどね」

 

「待って!? つまり俺は、最低限の女性の扱いすら心得てないってコト!?」

 

 大げさにショックを受ける男を慈愛の眼差しで見つめ、童女は口角を上げる。

 

「何も彼女だって、生まれた時から血の一滴まで鉄で出来ている、なんてことはなかったんだ。つまる所彼女も、新たな自己のあり方に戸惑う年頃の女の子だったということさ。ワタシと同じようにね」

 

「そこのカテゴリに自分を当てはめる豪胆さ、見習いたいぜ……」

 

 結局、真の意味で『クルシュ』を揺さぶれるのは、クルシュ・カルステン当人のみだったワケだ。

 

 幾度アプローチを変えようとも靡かなかった令嬢の牙城が、ついに崩れた。

 それを為した童女の価値は、遺憾ながら認めざるを得ない。

 

「仕方ねえ。お前の要望は、俺が進む道を平日のシネマ感覚で鑑賞して笑うことだったな?」

 

「おや、これは人聞きの悪い。君の存在に興味が尽きないというのは本当だが、キミに夢中な乙女に対して、ちょっとは餌をやっても良いと思わないかい?」

 

 大旦那にとってこの童女は、自身が抱える秘密を共有できる唯一の相手。そして、男の甘い目論見を実現してくれる貴重なブレーンとなる訳だ。

 無論、ペテルギウスの元配下同様、注意を払う必要はあるが。

 

「んでもって一応念を押しとくが、俺は……」

 

「キミの希望は存じているとも。このワタシをして強欲と言わしめるほどの、夢想じみた希望をね。なに、心配はいらないさ。キミの方針通り、無為に命を脅かしたりはしない方向で献策させてもらおうじゃないか。ワタシはこれでも、尽くす女だからね」

 

 こうして、男を補佐する人材がまた一人。

 

「俺はこれから功績を稼ぎまくって、それをあの子に押し付ける。でもあの子が悪目立ちしてたら、きっと危険に晒される。そこで、『クルシュ』さんの出番ってワケだ」

 

 男の展望を、オメガと改めて共有する。

 エミリアが悪意によって傷つかぬように。

 できれば、無用な血が流れずに済むように。

 

 命(・)は(・)大(・)事(・)さ(・)を(・)理(・)解(・)す(・)る(・)彼が立てた策。

 それが大旦那プレゼンツ『ルグニカ二分の計』。

 

 エミリアともう一つ対抗馬を残し、功績を二分する。

 妨害の矛先を二分しつつ、ほかの候補を削りにかかる。最後に対抗候補をエミリア陣営が併呑し、彼女が王座を勝ち取る。

 

 そのために、盤上に『クルシュ』を残した。最有力候補のクルシュ陣営は、計画の隠れ蓑には最適だから。

 

「彼女の支持層の貴族たちは、彼女が斃れようがあのハーフエルフに鞍替えすることは早々ないだろうからね。みすみす浮動票にするより、せいぜい有効活用させてもらった方が効果的という訳だ。まあ彼らに限らず、この世界に好き好んでアレを受け入れる者なんて、そうはいないと思うけれど」

 

「お前があの子を嫌いなのは分かったから、それ以上俺の前であの子の悪口を言うな。——次はないぞ」

 

 大旦那の剣幕に、オメガはやれやれと嘆息する。

 彼にとってエミリアは希望であり、逆鱗なのだ。

 

「大本命の『クルシュ』さんと、大穴超えて鼻つまみ者扱いされてるエミリアが、天下を二分するんだ。ドラマチックで面白くなるに違いねぇ。きっと民衆の皆さんも白熱してくれるだろうぜ」

 

 戯曲めいた花道の先で、エミリアは願いを果たす。

 銀色の髪をした、意地っ張りでお人好しで、自分の損得関係なく動いてしまうあの子の願いを。

 

「待っていてくれよ。———エミリア」

 

 嗤う男の狂気に染まった双眸に気づいたのは、傍に侍る童女ひとりであった。

 




IF⑦.マーコスに現状をつまびらかに訴える(ロズワール同席なし)
マーコスと共に王都へ脱出→魔女教残党狩り部隊発足→コスツール潜伏中の大旦那ならびに一党が討伐。

IF⑧.行為中に『クルシュ』を唆さない
『クルシュ』、亜人の使用人を抱き込み脱走→もう半数の使用人に扮した魔女教徒の襲撃→フレデリカ及び使用人多数死亡、『クルシュ』重傷。監禁され徹底的に調教を受ける。このルートでは大旦那は確定で死亡する。
進行度
Lv2意識的に快楽を受け入れる
淫紋開発 膣/肛門/乳首/舌
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