※この作品はR-18です。

ツギハグクルシュとアヤマツ六連星   作:クラムP

14 / 30
クルシュ様はメッカート氏のことを父上と呼びます。


6『やさしさであふれるように』(自慰)

王都貴族街・カルステン家別邸

 

 

 名目上、工業都市での静養を終えた『クルシュ』は、ようやく公爵邸へと帰還した。

 クルシュの父であるメッカート・カルステン、ならびに使用人一同はこれに歓喜し、盛大に歓待したのであった。

 

 悪名馳せた白鯨を討伐した英雄の帰還。それは同時に、王都中をも吉報に沸き立たせた。

 

 一躍英雄として名を上げた『クルシュ』、そしてエミリアとロズワール。

 エミリア陣営は更に、魔女教『怠惰』討伐の功も加わり、雄名を轟かせた。

 両陣営は今後も同盟関係を継続すると発表し、国民の期待も高まったのであった。

 

 

 

 

 

 

♢

 

 

「はぁ…♥ はぁ…♥ はぁ…♥」

 

 慌ただしい引っ越しを終え、『クルシュ』はようやく元(・)の(・)日(・)常(・)を取り戻した。

 今も空いた時間を使い、『先生』から言いつけられた自己学習へと勤しむ。

 

 ぬちゅ♥ ぬちぃっ♥

「あうっ♥ いい…ですね、むず痒くなってきました…♥」

 

 寝台に仰臥した『クルシュ』は右手を下腹部に、左手の指を局部の割れ目に差し込み、昂る思いのまま擦り回していた。

 

 すっかり花開いた陰裂に、恥ずかし気もなくおっ立った乳首。処女とは思えぬほど正直に快感を表現する身体に、外には出せないようなだらしない貌。

 そこに国民がイメージする、凛とした女公爵の姿は無かった。

 

「フレデリカ。これで、間違っていないですよね?」

 

「わ、私に申されましても!?」

 

 普段は淡々としたフレデリカが、珍しく狼狽える。

 彼女は辺境伯から借り受ける形で、『クルシュ』の侍女として付いてきて貰った。

 『クルシュ』としても、『自分』を知る者が、一人でも多く傍にいてくれて嬉しく思う。

 ただ、こういった方面は彼女も疎いようで、あまり役立ってはいない。

 

「おまんこの入り口を触ると、気持ちが良いんです。でも、お腹の方はそう上手くいかなくて。誰か良い見本がいればと思いまして」

 

「そ、その……、わが身至らず……」

 

「気にしないで下さい。これは私の宿題なのですから」

 

 『クルシュ』は『先生』から、体外式のポルチオ開発を課されていた。

 これまで人前で自慰行為などしなかった彼女だが、快楽を受け入れてからは態度が一変した。

 

 くちぃ♥ くちゅぅ♥

 

 元より、彼女が性行為を拒否する理由など、残った良識と意地しか無かった。理想も矜持も忘れた『クルシュ』を、今は淑女教育という名分がさらに後押しする。

 

 ぶる♥ ぶるぶる♥

 

「うぅっ♥ ここっ♥ 見つけましたぁ……♥」

 

 さらに、わざと自分の痴態を晒すようになった。

 日々の調教で周りに見られて燃えることを知ってから、『クルシュ』の貞操観念は加速度的に崩れていった。

 

 ぴく♥ ぴくぴくっ♥

 

 自慰に没頭する姿がかつてのクルシュとは異なろうと、『クルシュ』の中で彼女が軽(・)く(・)な(・)っ(・)た(・)今では、もう気にならない。

 

 ぐちゅ♥ ぐちゅぐちゅっ♥

「あっ♥ うぅっ♥ 効く…好き…♥ 好きい……!♥」

 

——今はただ、気持ちよさに専念したい。

 

 快楽に入れ上げたことで、彼女は満たされていた。

 

「あわわわ…」

 

 仮初の主が、手慣れた仕草で恥部をあの手この手で弄んでいる。

 初恋すら消化しきれていないフレデリカが目の当たりにするには、その光景は刺激的すぎた。

 

 こりっ♥ こりゅ♥

 

 悶々とする侍女を他所に、『クルシュ』はただただ快楽を貪っていく。

 子宮の開発に並行し、陰核の周りを執拗に指で愛撫する。呪印で感度が高まったクリトリスは、鋭い快感を『クルシュ』に与えてくれる。

 

「はぁ……♥ はぁ……♥」

 

 ヒジが疲れるまで、さかんに手を動かす。穴から漏れた分泌物をこまめに掬い、わざわざ水音をかき鳴らして、再び陰部に塗り込んでいく。

 

 ぐぢゅ♥ ぐぢゅぐぢゅ♥

 ぐり♥ ぐり♥ ぐり♥

 

 オナニー慣れした陰核は赤く膨らみ、効率良く快感を生産する。工業都市滞在時から始めた行為は習慣と化し、秘部を愛でる間は悩みなど忘れ、幸福に浸れた。

 

 とんっ♥ とんっ♥ とんっ♥ とんっ♥ とんっ♥♥

「ほぉぉ…♥ あひっ♥ きた♥ きました♥ ふれでりかっ♥ みて♥ みていてぇっ!♥♥」

 

「は、はわわわ……!」

 

 絶頂の予感が、頭を甘く痺れさせる。トドメに子宮へ与える振動をよりリズミカルに、小刻みに。

 

「あはあぁ……!♥♥ 気持ちいい……♥」

 

 ビクン!♥♥ プシッ♥♥ プシッッ♥♥♥

 

 瞬間、両脚をピンと伸ばし、『クルシュ』は腹イキ絶頂の波を、全身で堪能する。

 

「あ♥ はぁ…♥ ふふ、ふふふ……♥」

 

 染みわたる余韻に、胎内が酔いしれる。ドロリと垂れる淫液を見つめ、思わず笑みがこぼれる。

 令嬢はまた一つ、課題を乗り越える達成感を得た。多淫を貪るこの日常に、彼女は充足感を得ていた。

 

 心のどこかで、かの女傑らしさに未練は残る。しかし、もうカラッポで、不確かな自分に戻る気はない。

 

「き、綺麗にいたしますわね……?」

 

「……お願いします♥」

 

 白く散った本気汁の処理をするフレデリカを横目に、『クルシュ』は自らの爛れた有様を噛み締め、またゾクゾクと興奮に震えていた。

 

 

 

 

 

♦

水の刻・カルステン家本邸

 

 貴族令嬢らしく化粧で細やかに身仕舞いし、ロココ調の華美なドレスを着こなす。

 それが先代公爵メッカート・カルステンが目にした、記憶を失った娘の姿であった。

 

「ええとその……うん、よく戻ってきたね、クルシュ。騎士団長からの報せを聞くまで、本当に……本当に気が気で無かったよ。今度こそ、胃の辺りが破裂するかと思った」

 

 娘の健在が確認されるまで、メッカートは当主の業務を代行していた。しかしその有様は、常に半分魂の抜けた亡者のようであったという。

 

「御心配をおかけしました。無事……とは言い切れませんが、幸い、こうして五体満足で帰ってまいりました」

 

 その麗美で穏やかな佇まいに、メッカートは数瞬寂し気な眼差しを向ける。しかし、すぐに表情を和らげ、帰ってきた娘を温かく労わった。

 

 ……一方、初の血縁者との対面は『クルシュ』にも妙な感慨を与えた。

 

 クルシュ・カルステンの母は彼女の生後まもなく亡くなり、この父親が彼女を育てたという。実際は使用人に委ねていたかもしれないが。

 

——この温厚そのものな父親はさぞ、クルシュ・カルステンを愛しているのだろう。

 

 そして、こんなにも想ってくれる父にさえクルシュ・カルステンは背を向けたのだ。そう思うと、途端にかの女傑が遠く、理解しがたい存在に感じられた。

 

「お父様。一つ、確認しておきたい事がございます」

 

「……なんだい、言ってごらん?」

 

「私は今後も王選に臨み、公(・)爵(・)家(・)の(・)人(・)間(・)と(・)し(・)て(・)恥じない闘いをして参ります。どうかお許しを頂けないでしょうか」

 

 『クルシュ』の言葉の何かが琴線に触れたのか、メッカートの瞳がわずかに揺れる。

 

「許すも何も…私はとうにクルシュに当主の座を譲った身さ。私に判断を仰ぐ必要はないんだけど…でもそうだね。——では、一つだけいいかい?」

 

「?」

 

 メッカートが目を伏せる。

 彼の声は柔らかく、しかしどこか切実な響きを帯びていた。

 

「たしかに私達は公爵家の人間だ。当然果たさなくてはならない義務がある」

 

 でも、とメッカートは一度言葉を切る。

 

 メッカートが思い浮かべるのは、自分の要求をはね退け軍装に袖を通し、自身の在り方を貫いたかつての娘。

 自らの持つ支持基盤を捨ててでも、皆に理想を喧伝した娘。

 その様には大層心臓が締め付けられたものだが、そんな娘の姿がメッカートは誇らしくもあった。

 

 かといって、今の彼女にそれを押し付けるつもりはない。

 それでも、これだけは伝えたかった。

 

「願わくば、クルシュが望むように、……どうか、思いのままに生きてほしい」

 

「!」

 

「それをするのが難しいということは承知しているんだけどね…単なる、私の我が儘さ」

 

 自信なさげに言い終えたメッカートに驚いた様子の『クルシュ』。

 つられてオロオロ戸惑い始める父。

 それを見た彼女は、ふと微笑む。

 

「……ありがとうございます。そのお言葉、しかと胸に刻みます」

 

 父の言葉を受け、娘の心臓が高鳴りを見せる。

 

 

————カチリ。

 

 

 『クルシュ』の中で、何かが嵌まる音がした。

 

 新たな決意が形を成し、同時に彼女の中に残っていた何かが、押し出されて消えていった気がした。

 

 不幸なことに、誰も彼女にクルシュ・カルステンの在り方を押し付けはなかった。

 それは、令嬢を想うがゆえの結果。

 

 そうして、他でもない父の言葉によって、最後の一押しがなされた。

 この対話こそが、『クルシュ』が道を選びなおす最後の岐路であったことを、誰も知る由は無かった。

 

 

 

 

 

♢

 

 その後『クルシュ』は、大旦那が寄越した人員の補助を受け、停滞していた陣営の立て直しに努めた。

 主の帰還によって勢力の離散は最小限に留め、彼女の支持層は最大勢力を保つことができた。

 

加えて。

 

——保守派の王国貴族たちを集めた晩餐会。

 

 長い緑の髪を結いあげ、顔以外の肌を隠す黒のドレスと装飾品に身を包んだ『クルシュ』が、会場を席巻した。

 

 彼女を知る者の意表を突き披露された、芸術品のような仕上がり。

 その堂々とした雄姿に、元より彼女を支持するものは安堵した。そうでない者も、その容姿と細かな仕草が持つ、妖しい魅力に囚われた。

 

 この場で貴族たちを前に、彼女は改めて宣言する。

 

「——今後はかの盟約を重んじ、今まで紡がれてきた繁栄を、私もまた担うとお約束いたしましょう」

 

 以前行われた所信表明を覆す、真逆の意図の発言。

 『クルシュ』による予想外の宣言に、貴族たちの間に驚愕の風が吹く。

 

 しかし彼らの多くは、それに異を唱えることは無かった。

 今の『クルシュ』は保守派にとって、最も担ぎやすい候補者。波のない王位の継承を推める上で、恰好の御輿となったからだ。

 

 以前と異なる女性らしさを前面に出した振る舞いも、むしろ違和感なく受け入れられた。

 徐々に要領を得た『風見の加護』の感覚が、令嬢に疑念や邪心を向ける者をあぶり出すことにも成功した。

 

 その者たちとも後々懇(・)親(・)を(・)重(・)ね(・)、着々と有力者からの支持を取り付けるに至った。国民からの支持が鍵となる王選において、この方針転換は明確なアドバンテージを齎したと言えよう。

 

 

(なぜ彼女は、あのような愚策を固辞していたのでしょうか……?)

 

 

 『クルシュ』は以前の自分の愚(・)行(・)に内心疑問を呈するも、すぐに思考を取り払った。

 

(まあ良いでしょう。私は、『私』なのだから)

 

——クルシュ・カルシュテンの矜持、使命を。今の『彼女』は持ち得ない。

 

 『クルシュ』にとって王選は、自身の自由と権利を確立する為の足がかりに過ぎない。

 

 龍という揺り籠に浸るこの国の民への怒りも、嫌悪も。

 自分の半身とも呼べた存在に何もできなかった不甲斐なさも、憤りも。

 

 『彼女』には背負う想いがない。

 クルシュを支えた側近が健在であれば、真っ先にその欠落を補っただろうが。

 

 以前の自分から想いを受け継ぐことなく、知識だけを詰め込んだ。大志を抱く間もなく、恐怖と快楽を刻まれた。剣を手にすることもなく、女を武器にする術を学んだ。

 

 その日々が他者に寄りかかることを良しとし、大望なき合理性のみで判断を下す、無恥で佞弁を並べる『クルシュ』を形作っていった。

 

「さあ、——『私』の王選を始めましょうか」

 

 この後も『クルシュ』は、愚策とも言えるクルシュ・カルステンの行いを次々に否定していく。彼女が貫いた道を上から舗装し直しすことで、『彼女』はさらに版図を拡げた。

 

 結果として、その立場は一層盤石なものとなるのであった。

 




IF⑨.本邸に居を構える
ヴィルヘルム訃報、フェリス失踪を使用人から聞かされる→『クルシュ』激昂→大旦那および魔女教と敵対→『腸狩り』により『クルシュ』暗殺。

IF⑩.メッカートとの対面前にクルシュ・カルステンの内面について学習しておく
前と今の自分とでうまく折り合いがつき、あり方を見つめ直す→秘密裏に準備した上で大旦那へ宣戦布告→大旦那逃亡、魔女教残党討伐、メッカート死亡。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定
▲ページの一番上に飛ぶ  X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。