※この作品はR-18です。

ツギハグクルシュとアヤマツ六連星   作:クラムP

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この二次創作の回答編と言える話。これ、本編中でやるべきだったんじゃないのか……?


エルザ 後編(誘い受け正常位・逆レイプ騎乗位)

 

 初めては、好きな女の子と両想いになってから。

 

 家に彼女を呼んだら親がいないパターンが良い。

 互いにギクシャクしながら隣に座って、指先が触れるだけでなんだかドキドキしたり。

 そのうちどちらから言うでも無く、キスなんかしちゃったりして。

 そんな初々しくて良い感じのまま、めでたく童貞卒業。

 シュバルツは本気でそんな世迷言を夢見る、純情ボーイなのであった。

 

 しかし、現実は————。

 

「ふ……っ! ふぅ……っ! ………っぅ!」

 

 現在、シュバルツは肉感あふれる年上の女に襲い掛かり、逸物をねじこんでいた。

 

「…………ぅ」

 

 犯されている女の顔に押し付けられているのは、刻まれた服をマントで包んだ布の塊。

 姑息にも、シュバルツは彼女の表情が見えないよう目隠しをしていたのだ。

 

 理由はきっと、彼女の顔を見てしまえば、己を突き動かす激情が鎮火してしまうから。

 あの血生臭い笑みを見れば、かつて数十度繰り返した惨劇を思い出し、恐怖で腰が抜けてしまうからだろう。

 

「くぅ……! う、ぅおお…………!」

 

 手間取りながらも、とめどなく愛液を生み出す穴へ不慣れな腰振りに勤しむ。

 そうして奥へ、さらに奥へと挿しこむと——不覚にも、シュバルツは感動を覚えてしまった。

 

「やっ……べぇ……。なんだよこれ……!」

 

 じんわりと肉杭の芯まで染める、人の肉の熱量。

 陰茎をぎゅうぎゅうと包む、暴力的な圧迫感。

 腰遣いに連動して、ぶるぶると肉を震わす女の挙動。

 

 言うまでもなく、転移前から女性経験など皆無であったシュバルツ。そんな素人童貞は、目の前の女からもたらされる情報量に圧倒され、思わず語彙を失った。

 

「こんなに……イイなら、もっと早く……ヤっとくんだった……なぁ!」

 

 昇りくる快感に陶酔しつつ、逸物を分厚い肉ひだにぐりぐりと擦りつける。

 何度も、何度も。己の気持ち良いポイントが摩擦で敏感になり過ぎるほどに、飽きることなく。

 

「う……っ、すげぇ……すげぇ! すげぇ!!」

 

 心臓の鼓動が限界を超え、破裂しそうだ。

 強姦の後に待つ死の恐怖も、怨敵を嬲る機会を得た高揚感も、全てが暴力的な快楽が塗り潰してゆく。

 今はこの女を貪ること以外、何も考えたくない。

 

「ん…………意外と、情熱的なのね」

 

「————!? うる、せっ、茶化すんじゃ、ねぇ……!」

 

 顔に布を押し付けられた女が能天気に呟くと、シュバルツは怯えたように一瞬身をすくめた。

 しかし、なぜか彼女は目隠しを受け入れている。男は無抵抗なことを確認すると、震えた声で強がりを言い、恐る恐る腰を揺する。

 

「クソっ! クソがっ! いつもいつも舐め腐りやがって!」

 

 いつ彼女の気分が変わって、殺されるか。

 結局、この強姦を成立させているのは、ひとえに彼女の気まぐれのおかげなのだ。

 元より、この女がシュバルツ如きに押し倒され、いいように犯されるなどあり得ない。

 爆発寸前の火薬樽をつついてチキンレースをしているだけ。この愚かな行いで、彼女の鼻を明かすなど出来はしない。

 

 だが、一度膣中を往復すれば、行為の無意味さなど頭から吹き飛んでしまう。

 

「あっ……んっ……」

 

 一欠片の気遣いすら感じられぬ、一方的な腰遣い。

 

「っ……う……ん……んん……」

 

 女の喜ばせ方など知らぬ、童貞丸出しの単調な抽挿。

 だが、それだけでもシュバルツは満足だった。

 

「はっ……! はあ……! うぷっ! げほ、げほ……!」

 

 女に挿入したまま、必死に酸素を肺に取り込む。

 心臓だけでなく、全身が火を吹いて倒れそうだ。

 すべての行為を中断して倒れこみたい気持ちと、もっとこの女を味わっていたい欲望がせめぎ合う。

 

 認めざるを得ない。

 散々殺してやりたいと思っていた女の肉穴に、夢中にならざるを得ない現状を、だ。

 

 

「あら、もうへたってしまったのかしら。こちらはまだまだ、満足には程遠いのだけれど」

 

 

 息継ぎのために小休止したシュバルツに向け、なぜか女が煽りを飛ばしてきた。

 コイツは状況を理解しているのか?

 己が組み敷いて強姦する張本人に向け、なぜか愉しげに微笑むばかりか、行為の続きを促すなどあり得ない。

 

 だが、この女がイカれてるのはいつものことだ。

 なにより、その余裕ぶった態度は気に入らない。

 

「ここはいっちょ、身にしみて分からせてやらねぇとなぁ! ……つっても、そんなテクは持ち合わせちゃいねぇんだが、よっと!」

 

——どづっっっ!!

 

「…………んぅっ」

 

 女の気まぐれに相乗りするように、抽挿を再稼働させる。

 

——ごつっ! ——どつっ!

 

「どうしたよ、かわいい声漏らしやがって、らしくないぜ。そうやって愉しませてくれりゃぁ、こっちもさっさと終わらせて、やるからよぉ!」

 

 三下の竿役じみたセリフだと内心自嘲しつつ、シュバルツの中に再び嗜虐心が燃え盛る。

 

「クソ女のくせに、体だけは文句なしなんだからよ……!」

 

「以前も、似たようなことを言われたことがあるのだけれど、それは褒め言葉ととってよろしいのかしら」

 

「…………ああ、体、だけはなぁ!」

 

————ぐちゅっっ!

 

「んっ……」

 

 もう普通に会話し始めた女をあしらいがてら、力任せに亀頭で膣奥を殴りつけた。

 すると、内奥にて今までと違う、分厚い肉の壁にぶつかり思わず震え上がる。

 

「これって……?」

 

 それは、初めて体験する女体の秘奥。柔らかくも硬い、子宮の入場口であった。

 

「くうぅぅ……! ここ潰すと、締まる……っ!」

 

 初めての感触に困惑するシュバルツ。しかし、女の腰を叩く勢いは緩むどころか加熱する。

 荒々しく、ぞんざいに。強まる快感をさらに味わいたくて。雄としての欲望を発散したくて。

 遮二無二に、女の肉でぐぢゅぐぢゅと逸物を磨く。

 

「乱暴ね、んっ。私は嫌いではないけれど、女性の口説き方としては、少々手荒なのではなくて……?」

 

「なんだよ。天下の『腸狩り』が、この程度で音を上げんのかよ」

 

「あら、円舞(ワルツ)のお誘いかしら。なら————受けてもあげてもいいわよ?」

 

「あぁ? ——うおぉっ!?」

 

 女の雰囲気が変わり、結合部が一気にざ(・)わ(・)め(・)く(・)。

 

「おおぉぁ…………ッ!! マジか……!!」

 

「どうかしら? なんとなく動かしてみたのだけれど」

 

「お、お前……分かっててやってんじゃねぇのかよっ!?」

 

 膣肉がまるで、別個の生き物のように波打つ。

 さらに、陰茎に絡んでぬちゃぬちゃと蠢き始めたではないか。

 先ほども相当な膣圧だったが、今はより激しく、かつ不規則。男に一瞬の休息すら与えぬよう、絶え間なく猛攻を仕掛けて逸物の余裕を削り取る。

 一体、この女はどこまでシュバルツを予想を裏切るのか。

 

「ああ、くっそ……! だあ、もうっ!」

 

 このままでは秒で搾り取られる。

 危機感を覚えたシュバルツは、限界が近づくのを感じながらも、ヤケクソ気味に己の分身を打ち付ける。

 転んでもタダでは起きない。シュバルツという男の意地っぱり加減を、舐めてもらっては困る。

 

「ふ、ふふふっ、素敵。なんだか、滾ってきたわ」

 

「ふざ、けろ……っ! こっちは必死なんだよっ! お前は大人しく抱かれとけっ!」

 

「あら、熱心ね。普段からそれくらい激しいところを見せてくれたら、胸を射抜かれていたかもしれないわね」

 

「ああ、そうかよっ!! 鋭意努力いたします……よっとぉっ!」

 

 鈴が鳴るように軽やかに冗談を言う女。

 それを尻目に、シュバルツは暴発目前の陰茎を精一杯膣壁にこすりつけ、纏わりつく肉壺を強引に押し返す。

 しかし、結局は肉厚の膣壁の圧に押し負け、肉ひだにもみくちゃにされるがまま。

 

「うおぁ……ッ!! 出る……!」

 

 びゅるるるるるっ♡♡ どくっ♡ どくっ♡ どくっ♡ どくっ♡ どくっ♡

 

 男が快楽に負け、鈴口からふるふると精を吐く。

 知らぬ間に女の体に全体重を傾け、精をひり出すことだけに全神経を集中していた。

 それは一人で性欲を発散する時とはまた違う、達成感と充足感に満ちたもので。

 男はしばらく、何も身動きが出来なかった。

 性交渉と幸福度は正の相関関係にあるとかないとか、SNSで言ってたな、と。射精の余韻に浸るシュバルツの脳裏を、そんな益体もない考えがよぎっていたそうな。

 

 

 

 

 

 

 ♢

 

 

「——落ち着いたのなら、そろそろどいてもらえるかしら」

 

「————うわっち!?」

 

 ひとしきり煩悶と我欲をぶちまけ、心地よい気怠さに興じていたシュバルツ。

 しかし、エルザの声掛けを耳にした瞬間、緩んだ顔を真っ青に凍らせ、彼女の身体から飛び退いた。

 

 眼下には、ぬめり付いた白濁が垂れる股間。

 そしてエルザの顔の周りには、跳ね除けられた布の残骸。

 

「ちがっ……! これは、その……!」

 

 冷え切った賢者モードの頭が、断罪の時が来たのだと警告を鳴らす。

 

 彼女が無抵抗だった理由は、シュバルツの暴走を受け止めてくれたから……なんて、都合のいい妄想は捨てる。

 だって、エルザは誰かと寄り添い合えるような存在ではないのだから。具体的には、八十八回ループしても有り得ないのである。

 

 一か八か、釈明に命乞いでもしてみるか。

 

——否。

 

「……言い訳はしねぇ。俺は、お前が大嫌いだ」

 

 開き直った強姦魔が立ち上がり、ソファに腰かけたエルザに言葉を浴びせかける。

 

 

 シュバルツ——ナツキ・スバルが、エルザ・グランヒルテに抱いた怒りは本物だ。

 

 

 彼女への憤りを誤魔化したくない。忘れたくない。

 これで、エルザとの関係はご破算。だが、この気持ちを収めることは、もうスバルにはできなかった。

 せめて、この気持ちだけでもぶちまけてやりたい。

 

「お前が苦しむ所が見たい。一生、お前を憎み続ける。だって、お前のせいで…………俺はあの子を見捨てて、逃げ出したんだから」

 

 消滅した時の中で、スバルは幾度となくエルザに挑み、敗北した。敗北して、やり直して、殺されて。殺されては、またやり直した。

 

 

 そして、やり直しが五十を過ぎ、数えるのを放棄した頃。

 ナツキ・スバルは、ハーフエルフの少女への誓いを投げ出した。

 

 もう死にたくないと、思ってしまったのだ。

 

 

 商業街を騒がすエミリアとフェルトから全力で目を背けた。王都を情けない声と泣きっ面で、不細工な走り方で必死に駆け抜けた。

 死の恐怖に支配されたスバルには、最早そんな選択しか残されていなかったのである。

 

「だがまあ、命惜しさに逃げ出したからこそ、今があるとも言えっけどな」

 

 錯乱のまま衛兵の詰所に駆け込んだ結果、皮肉にも事態は初めて好転した。

 スバルの必死の嘆願が衛兵を動かし、エルザに立ち向かった彼らの死が『剣聖』を召喚したのである。

 

 

 これが、彼の唯一の成功体験。

 歪んだ『いのちだいじに』という理念の始まりであった。

 

 

「覚えがないわね」

 

「ああ、そうだろうよ! 知る筈も無ぇ! 単なる八つ当たりだ! 手前勝手は百も承知だよ!」

 

 正確には、スバルがエミリアへの誓いを破った件について、エルザは何も関知していない。

 すべてはスバルの勝手な空回り。情けなさ過ぎて反吐が出る。

 

「だけど! 俺はもう二度と約束を破らない。それをしたら、俺はまた……腐り切った、空っぽの俺に逆戻りだからだ…………!」

 

 怠惰なナツキ・スバルでも、何かになれるのだと証明したかった。

 

 そのための手段として、『死に戻り』は最適だった。

 暴力、恫喝、煽動……あらゆる選択肢を試行し、エミリアの対立候補を挫く術を探した。

 結局、一番効果的だったのは、まさかの色情。

 無限のやり直しがなければ辿り着くことのない、あまりにバカバカしい筋道である。

 そして、さらなる転機は。

 

「こんな俺でも、役立てる術をオメガが教えてくれる。ようやくすべてが上手く回り始めたんだ。だったら、つまらねぇ事にこだわってる場合じゃねぇだろ……?」

 

 リューズ・オメガ。

 己の器の限界を感じ始めたスバルにとっての、ゲームチェンジャーの登場。

 『いのちだいじに』のままでは目的は果たせないと、オメガは言った。途中までは自身の主張を通したスバルであったが、徐々にそれも叶わなくなった。

 

 だが、仕方がない。所詮は無能の戯言。目的を叶えるためには嫌なことの一つや二つ、飲み込まねばならない。

 己の理念も、怒りも、なにもかも二の次だった。

 

「けど結局は、考えなしに喚いて当たり散らして失敗する。これが俺だ。ホント、どうしようもねぇ。…………だが、言いたいことは言えた。あとは煮るなり焼くなり、好きにしろよ」

 

 懺悔にも似た、長らく溜まった思いを吐き出すと、男の怒りは萎んでいった。

 頼りなく肩が落ち、エルザに襲いかかった剣幕など見る影も失い、その場に座り込む。

 そこにはエルザが嫌いな、生を諦めた獣以下の塵芥がいた。

 

 残るシュバルツの気がかりは、この生の終末を告げるエルザが、苦しまないように殺してくれるかくらい。

 

 

 ————そう、思っていたのに。

 

 

「本当に、あれこれ悩むのが好きなのね」

 

「————あ?」

 

 近づいてきたエルザは床に両膝をつくと——スバルの身体を柔らかく抱きしめた。

 全く想定していなかった事態に、一瞬頭が真っ白になる。

 

「そんなに辛いのなら、逃げてしまえばよかったのに」

 

「……だから、それじゃ俺はっ」

 

「あら、空っぽでどうしようもない人間なのは、私も同じだもの。別に、その程度のことで人は死んだりはしないわ」

 

「————」

 

 エルザがスバルを慰めている?

 馬鹿な。あり得ない。

 それがあり得るのなら、あの王都での円環は、一体何だったのだ。

 何度も命乞いをしたのに。何度も、彼女の同情を願ったのに。

 この期に及んで、何のつもりだ。今さら、「もしも」の可能性なんて示してくれるな。

 

「難しい事ばかり考えるのは、私の上客の悪い癖ね。やりたいことを、やりたいようにする。それで良いのではなくて? きっと、その方が私たちには向いているわ」

 

 同類扱いしてくれるな。

 エルザのような強い人間に、弱者の気持ちがわかるはずがないだろう。

 

「今からすべて放り出して逃げると言うのなら、メイリィを呼び戻さないといけないわね」

 

「…………なんでだ。別に、お前らには何の関係もないだろうが」

 

 意味の分からないことを宣うエルザに対し、スバルは力なく抱かれたまま問う。

 

 

「だって、あなたには借りがあるのだもの。私、貸し借りは必ず清算すると決めているの。だから、勝手に消えられてしまっては困るのだけれど」

 

「————」

 

 

 重なる想定外が、ヒビ割れたスバルの心をさらに揺らす。

 

「ついてくる、つもりか?」

 

「多分、私たちだけではないでしょうけど。自称賢者のお嬢さんに、あなたの事が大好きなメイドさん。ああ、あの子(オメガ)だけはお断りさせてもらうわ。仕事でないのなら、付き合う義理はないでしょう?」

 

「……は、は。マジかよ」

 

「『ま(・)じ(・)』よ。あなたの方こそ、一緒に逃げてくださるのかしら。雇い主様?」

 

 

 王選も、エミリアのことも忘れて、彼女たちと生きる未来。

 そんな選択肢を、まさかこの殺人鬼が提示してくるなんて。

 

「こんなクズについてきて、なんの得があんだよ」

 

 自分が死ぬのも、殺すのもイヤ。

 その上今まで積み上げた悪逆も、あの子のことも投げ出したクズになった時。

 

 

「言ったでしょう。これは私のこだわりの問題なの。邪険にせず、仲良くしてくれないかしら」

 

 

 それでも、スバルの側にいてくれるというのか。

 

「……ははっ、よりによって……お前が」

 

 エルザは、スバルの底の浅い自己定義を否定し、彼が耐え忍んで築いてきた道筋すら、大したことのないように切り捨てた。

 

 気分屋で着の身着のままに振る舞い、スバルのことなど知ったこっちゃない。

 彼が後生大事に抱えるものを、身勝手に切り裂いていく。

 

 そんな彼女が、スバルを見捨ててくれないなんて。

 これもまた、どうせ気紛れなのだろう。

 もはや笑えて涙がでてくる。

 

 どうしてこの女は、こうまで思い通りにしてくれないのか。

 

 エルザ・グランヒルテは、いつだってスバルの心に風穴を開けていく。

 

「俺、やっぱお前のこと嫌いだわ」

 

「あら、残念ね。私の方はそうでもないのだけれど」

 

 逃げても、良いのかもしれない。

 

 関係者の誰もいない土地へ、エルザやメイリィ、シャウラにペトラ、かわいい微精霊と。エルザは渋い顔をするだろうが、本人が望むのならオメガやスフレたちだって一緒でもいい。

 

 また、ゼロから始めるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………できない」

 

 涙があふれてくる。

 でも、いくら歯を食いしばっても、この言葉を止められなかった。

 

「俺は……エミリアが、好きだから」

 

 

 ——スバルは少女の優しさを、生涯忘れない。

 

 

 エミリアにどれだけ救われてきたか。

 彼女の存在が、スバルにこの異世界で生きる力を与えたのだ。簡単に捨てられるほど、今まで重ねた痛みは安くない。

 

 彼女に報いる為ならば、今抱きしめ合っている無二の存在すら薪として焚べることが出来る。

 

 自身の歪さも醜悪さも自覚している。

 それでも、この恋心に、どうしても嘘はつけないから——。

 

「そう、残念ね。……本当に」

 

「エルザ……俺は、っんぶ!?」

 

 エルザの申し出に対する謝意を述べようとした刹那————スバルの口が塞がれた。

 

「……ちょ!? 何してくれてんの!?」

 

「あんなことをしたばかりなのに、そこで照れるのはおかしくないかしら?」

 

「それについては謝るけど! 初めてのキッスは男の子にとって特別なの!!」

 

 先程のしんみりした空気から一転、スバルが顔を真っ赤なトメト(トマト)色に染めながら泣き叫ぶ。

 

「あら、残念だったわね。あなたの初めての相手はこの私よ」

 

「五つ子の次女か石仮面の吸血鬼かで、キュンキュン度合いが大分変わるセリフ!?」

 

「言ってることは分からないけれど、私は一時期、五人姉妹だったことがあるわ。一人を除いて、皆死んでしまったけれど」

 

「闇が深いニアピン!」

 

「そんなことより」

 

 エルザはスバルの両肩に手を置くと、彼の体をひと思いに押し倒した。

 先程までの慈母の如き優しい触れ合いから一転、今の彼女は有無を言わせぬ迫力を放つ。

 

「私、やっぱり腹の居所が悪いみたいなの。お望み通り煮るなり焼くなり、好きにさせてもらうわね」

 

「え!? ちょ!? キャーーーー!?」

 

 帰ってくるなり、他の女の臭いを撒き散らす。

 さらには直前に恥をかかせた女の前で、あろうことかまた別の女へ愛を叫んだ不埒な男。

 

 さすがの彼女も、無頓着のままではいられなかったようだ。

 

 

 

 

 

 ♦︎

 

「お、おおお……」

 

 眼前には、豊か極まる乳房。

 触れた元童貞(スバル)が、思わず感嘆の声を漏らす。

 掌をわずかに押し返す弾力と、硬く尖った桃色の先端の存在を感じると、勝手に肉茎がビクンと跳ねてしまう。

 

「やけに優しい手つきなのね。どういう心境の変化かしら」

 

「今更になって緊張してんだよ! 常にさっきみたいなテンションでいられるワケねぇだろうが!」

 

 今度は先程とは逆。

 エルザがスバルに馬乗りになり、彼の腰の自由を奪っていた。

 生殺与奪を奪われたスバルだが、極めて発育に優れた柔肉を揉むのに夢中でそれどころではない。

 この非現実的なまでの玉体を前に、止まれる男などいるはずもないが。

 

「んんっ……は……そう……上手、ね……♡」

 

「…………ごくり」

 

 いやに赤い唇を嫣然と緩めて出るのは、先ほどよりはるかに興の乗った、艶を帯びた声音。

 さっきはそんなエロティックに喘いでいなかったではないか。

 これは下半身に良くない。非常に良くない。

 何なら、揉みしだく手も勝手に圧を強めてしまう。

 

「いけないわ。そんなに昂らされたら……止まれなくなってしまうから……♡」

 

 うわごとのようにエルザが艶めかしくつぶやく。

 すると、既に男根を咥えこんだ女性器が、ぐちゃりと鈍く動き始めた。

 

「あ……♡ はあぁ……♡ これ……中々、愉しいのね……♡ いけないわ、もっと濡れてしまいそう……♡」

 

 性器同士が擦れ合う感触を反芻するよう天を仰ぎ、全裸のエルザが男の上で快楽を貪る。

 イカれた趣味に没頭する時とは違い、大いに甘さを感じさせる。

 それでも、己の肉体を満たさんとする強欲ぶりは健在。

 

「んふ……♡ あっ♡ あっ♡ ふふっ♡ あはははっ♡♡ ああっ……♡♡」

 

 感情の読み取りにくいあの『腸狩り』が、あからさまに盛っている。

 今度は互いに視線を合わせ、互いに包み隠すものなど何も纏わずに。

 

(『クルシュ』さんの芳香を押し付けて嗅がせてたからか……? やっぱやべぇなあの人……。次から直接会うのやめとこうかな……)

 

 ふと、自分が元凶であることも忘れて、もう一人の狂人(スバル)がまた身勝手な思考に耽る。

 だが。

 

「不快ね」

 

「————おほ゛っ!?」

 

 男が注意を逸らしたのが気に障ったのか。

 エルザは自身の指を、スバルの口に無理やり突っ込んだ。

 

「駄目よ。いつもなら、あなたがどこの誰に発情しようがかまわないけれど。私と繋がる時だけは、こちらに集中してくれないと。本当にいけない子ね、どうしてくれようかしら……♡」

 

「もがっ! ~~~~ばぁっふぁ! がぁっば、あ゛っ!! ぅえ゛っ、げほっ、げほっ!」

 

「何を言っているのかしら? わからないわ」

 

「だろうねッ!! 俺の努力は徒労に終わったよ!!」

 

 喉奥を突かれ、呼吸困難になりかけながら必死に訴えた努力も、残念ながら無駄だったらしい。

 

「いいわ。今は、私の好きにさせていただくわね……♡」

 

 パンッ♡♡ パンッ♡♡ パンッ♡♡ パンッ♡♡ パンッ♡♡ パンッ♡♡ パンッ♡♡

 

 肉を打ち付ける音が、部屋内に充満する。

 艶やかに身をよじり、見る者を虜にする優美な舞を披露するエルザ。

 しかし、残念ながらスバルにそれを悠々と眺める余裕はない。

 なにせ彼女が思い思いに膣内の締め付けを変えるものだから、逸物を搾られるスバルの方はついていけず、快感のペース配分ができないからだ。

 

 ズチュッ!♡♡ ズチュッ!♡♡ ズヂュッ!♡♡ ズヂッ!♡♡ ズヂッ!♡♡ ズヂッ!♡♡ ズヂッ!♡♡♡

 

 そのままの意味でエルザに喰われる。

 コントロールの離れた快楽に心身を侵され、我欲の化身の気の赴くままに蹂躙される。

 だが、振り回されるがままだというのに、男の心中は落ち着いていた。

 むしろ、貪り尽くされるこの状態が、心地よいとすら思えて————。

 

 ビュグルルルル…………!♡♡♡

 ドグッ!♡♡ ドグッ!♡♡ ドグッ♡♡ ドグッ♡♡ ドクッ♡♡ ドクッ♡♡

 

「あっ……♡♡ ああ…………中で……♡ 存外、満たされるものなのね……♡」

 

 気づけば、あっさりと精を搾られていた。

 射精し終えてもなお、彼女の膣壁はピクピクと震えながら亀頭に吸い付き、次の精液の充填をねだってくる。

 つくづく業突く張りで、身勝手な女である。

 

 …………♡

 

 …………ゆさっ♡ ゆさっ♡ ゆさっ♡ ゆさっ♡

 

「……ちょ、ちょい待ち。エルザさん? 自分、もう出し終わったんすけど? その、一度腰の方を止めてもらっても……?」

 

「あら、何を言っているの? まだ、愉しみはこれからではないかしら」

 

「いやいやいや、残念ながら男というものはですね? 連戦には相応の準備とインターバルが必要なのでありまして」

 

「優しくして頂戴ね。私、殿方と同衾するのは、今日が初めてなものだから」

 

「優しくして欲しいのはこっちだよ! …てか、えっ!? 初めて!? 嘘だろオイ!?」

 

 知己の奴隷商が匙を投げるほどに買われては逃げるを繰り返した。その耽美な肉体を狙う不届き者を須らく撃滅してきた。

 そんな漆黒の処女を目覚めさせてしまったのは、スバル自身である。

 泥沼の快楽を知り、初めからブレーキを知らずに育った暗殺者は、もはや誰にも止められない。

 

 ゆえに。

 

 ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡ ばちゅ♡♡♡

 

 『腸狩り』は狙った獲物は逃がさない。

 とりわけ、今日の彼女はかつてなく淫らで、愉しげであったのだから。

 

「————ああ、ぞくぞくしちゃう」

 

 何もかも曝け出しあう睦み合いは、飲んで食っては繋がり、寝て起きては繋がり、メイリィたちが帰還するまで連日にわたり続けられた。

 

 

 

 

 

 

 ♢

 

 

 己が身をも滅ぼす程の灼熱を背負った、愚かで歪んだ人でなし。

 しかし、それでも彼は焼き焦げたのち、灰の中からまた起き上がる。

 

 なんて馬鹿なのだろう。なんて愛おしいのだろう。

 

 血塗られた道を歩んできた殺人鬼は、彼の不自由で荒唐無稽な在り方を見て、ついうっすらと口角をあげてしまう。

 どうやら空っぽだった彼女を愉しませるのは、生死を争う戦いと、その果てにあるご褒美だけでは無かったらしい。

 

 だから、彼の熱が行き場を無くす時、それが惜しくてつい、焚き木を差し出してしまうのだ。

 

 

——エルザ・グランヒルテは、狂おしい程の熱情に出会った。

 

 

 愛おしき熱量が人を、國を蝕んでいく。

 その狂乱の中にこそ、彼女の幸せの形はあったようだ。

 




スバルくんにはやはり純愛が似合う。
〇エルザ・グランヒルテ
ナツキ・スバルとは身長5cm差の、目尻の垂れたおっとり系腸美人。男性の評価は外見を基準とはしない。大事なのは、外見より中身。清潔でいい暮らしをしてる人の腸の方が綺麗で好み。ただ、脂身の多い腸はノーセンキュー。獣の腸は論外。髪はメイリィに編んでもらう。ご飯はスバルとメイリィに作ってもらう。服はスバルが毎回新品を買い直す。家事能力の通信簿は料理2、掃除1、洗濯2。
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