TS義理姉妹百合えっち!!!
……百合…?
TSの場合って女性上位のタグっているのか分からないので取り敢えず付ける。
2025-05-15 1220 留袖四衲のキャシーへの呼称ミスの修正
2025-05-17 1630 複数の誤字修正
「鵺さん、失礼します。その、“見せたいもの”って……?」
そう尋ねながらドアを開けて部屋に入った俺は、一歩目で足を止めた。
部屋の中央には、鵺さんがいた。
小さな瓶を片手に、まるで子どもみたいにうれしそうな顔をしている。
……なんだ、あの顔。
嫌な予感しかしない。
「ふふん、見てくれよ、学郎。珍しい幻妖を捕まえたんだ。」
「珍しい幻妖……?」
――あれ、こんなやりとり、前にもあったような……。
そうだ。第6支部が結成されたばかりの頃、まったく姿を現さなかった隊員――四衲を探そうとした時だ。
確か、その時に使った幻妖は憑りついた人間の心を解放し、思うままに行動させるという、かなりタチの悪い能力だったはず。
「で、今回はどういった効果を持ってるんですか?」
「聞いて驚きたまえ。性転換――Transsexual、つまりTSさ。」
「???」
TS?性転換?
言葉だけが耳に残って、頭がまったくついていかない。
そんな俺を他所に、鵺さんは愉快そうに口角を上げながら説明を続ける。
「おや、知らないかい?男が女に、女が男に。性別が変わるやつだよ。」
「い、いや、知ってはいますけど……。」
「ふふ、でも、性転換って言っても、こいつは“男限定”なんだ。」
……ほんとうに、意味がわからない。なんでわざわざ“男限定”……?
なんなんだ、その能力。悪ふざけにもほどがある。
(ん?男限定……?)
一瞬で脳内に警報が鳴り響いた。
(やばい、俺が呼ばれた理由って――)
寒気が全身を駆け抜けた。
「まさか、鵺さん…。」
「おや?学郎も察しが良くなったね。」
「無理です!女になるとか、絶対に嫌ですって!!……そ、そうだ、双斧師匠がいるじゃないですか!」
「確かに。でもね、この幻妖は“憑りついた人間の容姿”を元に転換させるんだよ。……見たいかい?ゴリマッチョな“女体化・双斧”を」
一瞬だけ、脳内に現れた筋骨隆々な女性の幻影。
それはそれで見てみたい気もするけど――いやいや、今はそんな場合じゃない。どうにか矛先を俺以外に…。
……いない。六番隊にいる男って、俺と師匠くらいしかいなかった。
「鵺さん、すみません!!今回は流石に…!!」
これはもう、逃げるしかない。
霊殻を起動して部屋から脱出しようとした――まさにその瞬間。
「そう言うと思っていたさ。頼んだよ、四衲ちゃん。」
「お任せあれってね!!」
「なっ!?!?」
立ち上がろうとした瞬間、背中に凄まじい圧力がのしかかった。
視界の端に、黒々とした巨大な“手”がぬっと現れる。
四衲の霊殻――浮遊する暴力の具現。
(周囲には誰もいなかったはず……どうして!?)
「申し訳ありません、学郎様。『女の子になった学郎を見たくないかい?』と誘惑されてしまい、つい……。」
「烏天狗さんっ!?!?!?」
背後から聞こえたのは、間違いなく烏天狗さんの声だった。
あの気配消しの能力を持つ彼女と一緒に潜んでいたなら――そりゃ、四衲が隠れてたって気づけるわけがない。
「四衲、離してくれっ!!」
「いや、面白いだろ?ガー助が女の子になるなんて。」
「面白くないだろ!!!」
……全ッッ然、面白くない!!
そう叫びながら必死に抵抗するけど、四衲の“手”はびくともしない。
「観念したまえ、学郎。大丈夫さ、ちょこっとだけ女の子になるだけだよ。」
そう言って、鵺さんが瓶の蓋を開けた。
中から、ふわふわと幻妖が飛び出し、まっすぐ俺のほうへと迫ってくる――!
「うっ……!」
額に触れた瞬間、そいつは体内へと溶け込んできた。
灼けつくような熱が背骨を這い上がり、やがて骨の奥からギシギシと軋むような痛みに変わる。
耳の奥で、金属を擦るような不快な音が響く。
「ぐ、あぁっ……!」
視界がぐにゃりと歪む。
地面が遠のき、思考がぼやけ、意識がゆっくりと――ほどけていった。
◇◇◇
「鵺さん、すごい音してますけど……これ、ガー助、本当に無事なんですか?」
バキッ……ゴキゴキ……バキィ……
霊殻の“手”の奥から、どう聞いても人間の骨が発してはいけない、洒落にならない音が響いてくる。
「大丈夫さ。100年前にこの幻妖が憑いた記録があるからね。たしか“変身中はこんな感じ”だったはずだよ。」
「……100年前って、それ、ほんとに信用できるんですか?」
「……たぶんね!!!」
た、たぶん!?!?
ま、まあ、鵺さんだし……うん……大丈夫……だと、思いたい……。
とりあえず、最悪“元に戻せれば良いか!”の精神で見守ることにした。
そんな不安をよそに、異音はぴたりと止み、代わりに、“手”の中から微かに聞こえてきたのは聞き慣れない声。
それは、いつものガー助の、ざらついたような男っぽい低音じゃない。
柔らかくて、妙に艶っぽい――聞いているだけで、くすぐったくなるような少女の呻き声だった。
「四衲ちゃん、もう霊殻は解除していいよ。」
「そーみたいですね。」
霊殻を解くのに合わせて、ガー助を押さえつけていた“手”がふわりと消える。
その奥には、うつ伏せに倒れた女の子がいた。
肩より少し長めの髪が、光を淡く透かして揺れている。くすんだ金色で、どこか儚げな色合い。
頬にかかる前髪のせいで表情は見えづらいが、長く落ちたまつ毛の影が印象的で、自然と目が引かれた。
全体的に、「守ってあげたくなる」ような柔らかい雰囲気をまとっている。
そして――
ガー助がいつも着ている男物のシャツ。それが、今の身体には明らかに合っていない。
特に胸元。張り出したふくらみに押し上げられて、生地は限界まで突っ張っていた。
ボタンひとつひとつが必死に耐えていて、少しでも動けば弾け飛びかねない。
一方で、袖と裾はぶかぶかに余っており、全体のシルエットはちぐはぐだ。
不自然なはずなのに、それがどういうわけか、妙に視線を惹きつける。
(いや、思ってたのと全ッ然違げー……)
完成度が高すぎる。どこからどう見ても、“ちゃんとした可愛い女の子”だった。
しかも、かなり上の部類に入るやつ。
「え、やばっ。四衲様、四衲様!学郎様――いえ、学子様、めっちゃかわですよ!!」
肩の上で烏天狗がぴょんぴょん跳ねながら大騒ぎしている。
うるさい。……まあ、言いたくなる気持ちは、正直わかるけど。
「ん……ん、ぁっ。……い、いったい何が……。」
もぞ、と身体を起こす仕草には、どこか“ガー助らしさ”が残っていた。
腕の動かし方に荒々しさが残っていて、手のひらをべたっと床に勢いよくつき、ぐいと体を起こす。
繊細そうな見た目に反して、所作だけは“男の起き上がり方”そのものだった。
――そのギャップが、またなんというか……ズルい。
そのまま立ち上がろうとして――
「うおっ!?」
あっけなくバランスを崩し、慌てて壁に手をつく。
(ん?あー、胸があるから、か?)
どう見ても、身体の扱いを間違えてる。
完全に、“初心者マーク付き美少女”。そんな言葉がぴったりだった。
「これは…、女性化するとこうなるんだね。頑張って慣れてるんだ、学郎!!」
「くぅ~~~~、学子様、あざとすぎ……!!今の動き、100点満点で御座います!!」
鵺さんと烏天狗が盛り上がる中、本人は顔を火照らせながら必死に言い返す。
「あ、あざと!?えっっ???な、な、声がっ!?」
ぱちくりと目を見開いて、唇をぱくぱくさせたまま固まる。
自分の声の変化に、ようやく気づいたらしい。
目元には涙がにじみ、頬は茹で上がったように真っ赤だった。
戸惑いと混乱と羞恥が、一気に噴き出している。
くそ、仕草ひとつが、いちいち可愛い。
「学子様っ!!まずは一歩で御座います!!」
「…が、学子様って……。」
ぐっと裾をつかみ直し、顔を伏せたその瞬間――
「…………っっ!!こ、こんなに見えないのか……。」
予想以上に視界が悪いのか、慎重に足をずらしていく。
床を探るように何度か位置を確かめて――ほんの一瞬、ためらってから、そっと一歩、踏み出す。
……で、見事によろけて、また壁に手をついていた。
「~~~~っっっ!!し、四衲様、こちら録画の方は……!!!」
「してるわけねーだろ。」
「そ、そんな…………。」
「あ、歩きにくい……。」
口調も弱気、声もちょっと震えてる。
たぶん、男の時と同じ感覚で歩こうとしてるんだろうけど――それ、今の体だと無理だからな、ガー助。
足の出し方がぎこちない。
膝は外に向いているし、太ももには余計な力が入りすぎている。
その動きに骨盤がついてこられず、歩くたびに身体全体がぐらぐらと揺れていた。
揺れに引きずられるように胸まで上下して、バランスはとっくに崩壊している。
それでも、なんとか体勢を立て直そうとしているのが伝わってくる。
腕を振り、足を出し、一歩一歩を慎重に――その一挙一動がやけに初々しくて、つい目が離せなくなる。
「思うように動けない……。なんだこれ……。」
ぽつりと漏れた声には、情けなさと困惑が入り混じっていて、
それがまた妙に庇護欲をくすぐってくる。
着ているシャツは、もう限界だ。
胸のあたりでは生地が張りつめ、動くたびにぎちぎちと軋むような悲鳴をあげている。
そのせいで丈が足りなくなり、裾がずり上がって、へそがちらりと覗いていた。
(……いや、これは……、アウトだろ……)
ガー助は一歩進むごとに体をねじり、足元を覗き込もうとしたりと、やたらと落ち着きがない。
そのたびにシャツがめくれ上がり、シミひとつない白い肌がじわじわと露出していく。
「……いちいちエロいんだよなぁ……。」
つい口にしてしまった一言に、ガー助がぱっと顔を上げる。
その目は「嘘だろ…??」って訴えてきていたけれど、ツッコミを入れる余裕はなさそうだった。
頭がいっぱいいっぱいなんだろうなってのが、見ていてわかる。
盛大に見せつけていたお腹回りに、ようやく気づいたらしい。
慌ててシャツの裾を押さえはじめたけれど――そのせいで、今度は胸の動きがより強調されてしまっている。
動くたびに妙に煽情さが増していって、見てるこっちは楽しくて仕方がない。
(……いやもう、なんでこんな面白いんだよ……。)
そんなことを考えていた矢先、肩の上で悶えていた烏天狗が、ついに限界を迎えた。
「無理……!無理で御座います!!もう、耐えられません!!」
ちっちゃな羽根をばたつかせながら、手のひらサイズの体がふわっと宙を舞い――そのままガー助めがけて一直線。
「あっ、ちょっ、今はまずいですって!!」
焦ったように身を引くも遅かった。
烏天狗は、見事に胸元――そう、男だった頃なら“定位置”だったあの場所に、器用にするりと着地。
そのまま、するするとシャツの中へと潜り込んだ。
「こ、これは……。いつもの熱っぽさは変化ないというのに、なんという居心地……!」
「学郎様のあの少し硬めの胸板も好きでしたが……こっちはこっちで、極上で御座いますぅっ!!」
べらべらと講釈を垂れながら、ちっちゃな体でごそごそと悶えさせる烏天狗。
「やっ、ちょ、ちょっと……烏天狗さんっ、動かないで……っ。ん、ぅ……あ、え?な、なにこれ……っ。」
声が、明らかにおかしい。吐息混じりで、どこか艶めいている。
どうやら“いつものポジション”も、今のガー助には刺激が強すぎたらしい。
「……っっ!!学子様、これは羽の方が勝手に。私めの意思では御座いませんので、悪しからず!!」
「っ、くぅっ……ぜっっっったいわざとでしょ、これ!!…っ、ぁ…ふ、ぁっ、っ。」
烏天狗の羽――あのふわふわした羽が、今は生身の肌を撫でている。
その刺激に、ガー助は敏感に反応してしまっているようで、肩がひくっ、びくっと跳ねるたびに息が漏れる。
「っ、ふ、あ、ちょ、や……っ、あっ……そこ、やめ、っ……!」
「ぅ、ひゃっ……ああ、もうっ……ぅ、ぁぁっ……。」
叫びとも呻きともつかない声が混ざり、ついに姿勢が崩れた。
ぺたんとその場に座り込んだ拍子に、ブラなんて当然つけていない、抑えの効かない柔らかなふくらみが大きく揺れて――
シャツのボタンが、ぶちっ、と乾いた音を立てて弾け飛び、床にコロンと跳ねた。
息を荒げながら顔を伏せていたガー助が、びくりと震えたあと――ぎこちなく、ギギギとこちらに顔を向ける。
瞳が僕と鵺を正面から捉えた瞬間、全身がぴたりと固まった。
――僕たちの存在をようやく思い出したらしい。
「……っっ……こ、殺してください……!!」
顔を真っ赤に染めたまま、次の瞬間、両手でばっと顔を覆い、身を丸めるようにうずくまった。
羞恥も、混乱も、すべてが限界を超えてしまったらしい。
(……めちゃくちゃだ。)
頭を押さえながら、小さくため息をつく。
それでも、当の本人――ガー助は、うずくまったまま肩を震わせていて、見ているこっちがちょっといたたまれなくなる。
……と、そのとき。
「……学郎様には申し訳ないですが、私め、学子様に鞍替えしてしまいそうです……。」
どこかくぐもった声が、丸まったガー助の中から聞こえてきた。
声の主は烏天狗。さっき胸元に潜り込んだまま、まだそこに居座っていたらしい。
「どっちも俺ですってば!お、お願いですから……はやく出てってくださいよぉ…っ。」
うずくまったまま、涙声で叫ぶガー助の声はどんどん小さくなっていく。
それでも、胸元にいる烏天狗を乱暴に振り払うような真似はしない――きっと、できないんだろーな。
「……なんか、すごく面白いことになってきたね。」
鵺さんが、口元を緩めながら心底楽しそうに笑う。
その様子に、ついこちらの顔も引きつってしまうけど、まあ……気持ちは、分からなくもない。
「……で、これ、どうやって戻すんですか?」
流石にガー助が可哀想になってきて、助け舟を出すつもりでそう問いかけると、
鵺さんは瓶をひょいと持ち上げ、振りながら軽く答えた。
「体内に入った幻妖が原因なんだから、夜客で倒せば戻るんじゃないかな。」
夜客。霊殻時のガー助のもつ解析、排除を主とする能力。
確かにそれであれば、戻れそうだけど。
その言葉に、前方のガー助がびくんと肩を揺らした。
そっと顔を上げ、希望を見つけたような声で叫ぶ。
「えっ、それでいいんですか!?じゃ、じゃあ今すぐ……っ!」
おもちゃにされる現状からようやく解放される――そう思ったんだろう。
嬉しそうに顔を綻ばせて、令力を回し始めた……のはいいが。
なんかおかしい。霊殻の気配を感じない。というか、令力の出力がぜんぜん足りてない。
「あ、あれ……?なんで……?霊殻が……っ、起動しない……?」
額にじわっと汗をにじませながら、ガー助は目をぱちくりさせて固まっている。
「鵺さん、これ、どーなってんですか?」
「あー、ちょっと待ってね。」
気の抜けた返事とともに、鵺さんがじーっとガー助の方を見つめる。
「なるほど、令力回路がまるっと変わってるね。女性の身体になったせいかな?今の令力の動かし方が適してなくて、動作不良が起きているようだね。」
想定外のパターンだ。そっと目を閉じて、深く息を吸って吐く。
ガー助は顔を真っ青にしながら呆然としてるし、鵺さんは相変わらずのんびりしていて妙に腹が立つ。
「令力の使い方を一から覚えなおそうか!!」
「それって、どれくらいかかるんですか……?」
「今の回路に慣れるだけだから、早くて1週間ってとこだね。」
「は、早くてって、どうにもならないんですか?」
「ならないね!!全部、学郎の努力次第。頑張れ!!」
「……が、がんばれって……。」
サムズアップしてる場合じゃねー。
鵺さんが陽気に親指を立てる隣で、ガー助は音もなく膝をつき、「数日って……何日なんだ……」と虚ろな目で呟きながら、
指を折っては戻し、折っては戻し……まるで壊れた人形みたいに、延々と同じ動作を繰り返していた。
「それじゃ、四衲ちゃん、学郎のお世話を頼んだよ。女の子の身体に不慣れだろうから。よろしくね。」
――は?
いや、今、なんて言った?お世話?ガー助の?幻聴か?
「だ、誰が?」
「四衲ちゃんが。」
「誰を?」
「学郎を。」
「い、いやいやいや。なんで僕なんですか!!」
「兄妹、いや今は姉妹なんだから君が適任だよ。学郎も四衲ちゃんの方が気兼ねなく色々聞けるだろうしね。」
姉妹って。
明らかに面白がってるだろこの人……。
鵺さんはすっとガー助の方へと歩み寄り、胸元で悦に浸っていた烏天狗を、ちょいっと指先で摘みあげた。
「ほら、烏天狗いくよ。」
「あーーーっっ!!なぜ!!私めも学子様のお世話をしたかったのに……!!
「ダメ。どうせ、学郎にベタベタ絡んで邪魔しちゃうでしょ?」
「そ、それは否定出来ませぬ……っ。くぅっ、名残惜しいですが、暫しの御別れで御座います……。学子様、お元気で……!!」
未練たっぷりに、しおしおと手を振りながら、鵺さんに摘ままれたまま部屋から運ばれていく烏天狗。
そのままドアが閉まり、部屋に静寂が戻った。
しんとした空気の中、ガー助がうつむき加減にこちらを見た。
申し訳なさそうに眉尻を下げて、小さな声で、ぽつりと呟く。
「四衲、ごめん。」
「なんでお前が謝んだよ。こうなったのは僕等のせいだろ。」
そう返しながら、ちらっとガー助の方を見て――そして、息を飲んだ。
シャツは烏天狗にかき乱されたまま。ボタンはひとつ吹き飛び、胸元はだらしなく開いていて、片肩まで肌が露出している。
何故か見てはいけない気がして、思わず首をひねって顔を背けた。
「……一旦着替えよーぜ。それ、もう無理だろ。」
「あ、あぁ……。助かる……。」
シャツはもう限界だから、代わりに僕のパーカーを貸すとして――問題は、下着だよなー。
どうする?僕のじゃどう見てもサイズが合わないし。じゃあ買いに行く?
この状態のガー助を連れて?……無理だ。
なんて考えていたら、タイミングよくノックの音が聞こえた。
その音につられて廊下に出ると、扉の横、壁際にそっと寄せられていたのは小さな袋。
添えられたメッセージカードには、デフォルメ鵺さんのイラストと、
《これ使ってね!!部屋はいつもの仕様のままだからごゆっくり!!》という文字。
(……いつもの仕様、ねー。)
つまり時間の進みが遅い、外界とはズレた空間設定ってことだ。
ここで数日過ごしても、外では数時間程度しか経たない。
(……また何日かふたりきりかぁ。しかも今回はガー助が“あれ”で…。)
気が滅入ってしまうのも無理はなかった。
兄妹とはいえ、流石に男女ふたりきりで過ごすのは気まずい。
しかも今回は、女体化中のガー助が相手。どう考えても、まともな日常が送れるとは思えなかった。
ため息をひとつついて、部屋の前に置かれた小袋を拾い上げる。
ちらりと中をのぞいて――眉が、ぴくりと跳ねた。
――どう見ても、女性用の下着。
どれもレースがあしらわれていて、驚くほど高級感のある仕立てだった。
鵺さんが選んだという時点である程度は覚悟していたけれど、これは想像を軽く飛び越えている。
「……ほら、鵺さんからの差し入れ。」
部屋に戻り、袋をそのまま差し出す。
ガー助は戸惑いながら受け取り、中をのぞいた途端――動きがぴたりと止まった。
ゆっくりと顔を上げたその表情は、完全に困りきったもので、
今にも泣き出しそうな目で、こちらを見つめてくる。
「……な、なぁ……これって……やっぱり、着けないと……ダメ、か……?」
顔は目元まで赤く染まり、耳まで熱を帯びている。
「……言いづらいけど、多分、そのサイズだと支えないと普通に痛いぞ?」
一瞬きょとんとしたガー助は、少し考えるように胸元を押さえ、こくんと小さく頷いた。
「……た、確かに。歩くだけで揺れるし……。」
ぽつりと漏れた声には、恥ずかしさと戸惑い、そしてほんの少しの諦めが混ざっていた。
恐る恐る袋の中に手を入れ、緊張したように中身を取り出す。
しばらく無言で見つめ、表と裏を確認しようとしたところで、手が止まる。
「……、そ、その、着け方が……。」
視線はさまよい、助けを求めるようにこちらを見てくる。
まあ、そうだよな。普通の男子高校生が下着の着け方なんて知ってるはずがないよなー。
「……わかった。ほら、腕上げろ。」
なるべく冷静を装った声でそう言いながら手を伸ばすと、ガー助はビクッと肩をすくめてから、ゆっくりと腕を持ち上げた。
仕方ないと分かっていても、妙に恥ずかしい空気が部屋に立ちこめる。
改めて、すぐそこにある“ガー助の胸”に目を向ける。
(……いや、でっけー……。)
思わず無言になる。そりゃシャツもはち切れそうになるわけだ。
「……じゃ、…ん゛っ、いくぞ。」
声が少し裏返ったのをごまかすように咳払いをして、まずは肩ひもをそっと通す。
そして、躊躇いながら胸に手を添え、下からやさしく持ち上げる。
「ひゃっ……あっ……!」
その瞬間、ガー助の身体がびくんと震えて、口から甘く息の混じった声がこぼれた。
顔が一気に熱くなるのを咳払いで誤魔化しつつ、声を張って言い返した。
「お、おい!変な声出すなって……!こっちが恥ずかしくなるだろーが!!」
横目でガー助を見ると、案の定、真っ赤な顔で目をうるうるさせていた。
唇ぱくぱく動かしていて……何だその顔は。ずるいだろ。
「だ、だって……っ。」
「だってじゃねー!!!口閉じてろっっ!!」
やけくそ気味にそう言い返しながら、ブラのホックを手早く留めていく。
指先に伝わる柔らかさ。肌の熱。
それを極力意識しないように、無心で肩ひもを整える。
「……っ、これで……よし、っと。」
ようやく作業を終えると同時に、その場にどさりと座り込み、大きくため息をついた。
(……つ、疲れた……)
心拍数だけが変に上がっている。顔はまだ火照ったままだった。
そのまましばらく放心していたけど、さすがにこのままじゃいけない。
「ちょっと待ってろ。服、取ってくる。」
「わ、分かった。」
そう言い残し、部屋を出る。
廊下に出た瞬間、周囲を見回して息をひそめる。
この状態のガー助がカズ先輩たちにでも見つかったら、間違いなくおもちゃにされる。
冗談抜きで、死ぬまでネタにされかねない。
(絶対に隠し通さないと……。)
心の中でそう決意しながら、自分の部屋へ向かって全速力で駆け出す。
多少怪しまれたとしても、「忘れ物を取りに来た」とでも言えば、まあ、何とかならなくもない。たぶん。
途中、誰かに出くわしそうになってヒヤッとしたけど、なんとかやり過ごして衣類一式をかき集めた。
服を抱えて部屋に戻ると、中はしんと静まり返っていた。
ガー助はというと、ぴしっと正座したまま、目を閉じている。
「……なにしてんだよ?」
「なんか……こう、見てはいけない気がして……。」
「……自分の身体なのに何言ってんだ、お前……???」
思わずツッコミが漏れる。
自分の身体なのに、他人みたいに距離を取っちゃうあたり、ほんと真面目というか、変なとこ繊細というか――ガー助らしい。
それから数時間、部屋の中ではひたすら令力制御の特訓が続いた。
女の子の身体になって変質した回路に沿うよう、丁寧に令力を流していく練習。
本来なら基礎中の基礎、ひよっこ陰陽師がするようなものだけど――ガー助にとっては難儀な作業みたいだ。
鵺さんのおかげで陰陽師として急成長してる反面、こういうところはけっこう疎かだったらしい。
たぶん、男の時の印象が強すぎて、うまく感覚が切り替えられてないんだろーな。
「……っ、はぁ……っ、ぜぇ……っ。」
肩で息をしながら、汗だくになったガー助がぐったりと座り込む。
これ以上は無理そうだな。
「ガー助、今日はもうやめとけ。」
「で、でも……。」
「無理しても仕方ないだろ。こういうのは、ちゃんと休んだ方が効率いいんだよ。」
「……そう、だよな。」
寝室には、いつもの回復術も巡らせてあったしな。
陰陽師が強くなるための理想的な環境。……これが他の隊にもあればな。なんて考えてしまう。
「先に汗流してこい。着替えは僕が準備するから。」
部屋に併設された浴場の方を指し、そう促すと、
ガー助は汗で濡れた前髪をかき上げながら、なぜか微妙に困った顔で立ち上がった。
「……ふ、風呂……そ、そうだよな。なぁ、普通に洗えばいいのか?」
「はぁ?いや、そりゃそうだろ。」
「……見なくても洗える、か……?」
……こいつ、まさか“目隠しして風呂に入る”気か?
女の子の身体にまだ慣れてないせいで、動きも足運びもぎこちないのに?
そんな状態で視界まで塞いだら、ぶつかるか転ぶに決まってる。
浴槽の縁に足をぶつけて、そのまま盛大に転がってる姿がありありと浮かんだ。
「危ねーからやめろ!いいからさっさと入れ!!」
「あ、あぁ……」
浴場へ向かうガー助を見送り、俺は着替えを取りに部屋を出た。
今度は、足音を殺して静かに。ここで誰かに出くわしたら、前回の苦労が全部水の泡になる。
いくつかの衣類を抱え、部屋に戻って脱衣所に入ると、
直ぐそばに、ガー助がさっきまで着ていた衣服がきれいに畳まれていた。
ぐっしょりと汗を吸っていたはずなのに、形が整っていて――こういうところ、本当にガー助らしい。
小さく苦笑いを漏らした次の瞬間、胸に嫌なざわつきが走る。
浴室の奥から、まったく音がしない。
(……もう洗い終わったにしては、早すぎるよな?)
背筋を、冷たい予感が這い上がってくる。
さっきまでの、目隠しして入ろうとしたパニックぶりが頭をよぎった。
「ガー助、大丈夫か?」
声をかけるも返事はない。
静まり返った脱衣所に、自分の声だけが妙に響く。
「おーい、聞こえてるか?」
再度呼びかけるも、応答はなかった。
(……まさか)
一瞬ためらい、そして意を決して扉に手をかける。
ぎい、と小さな音を立てて開いた先――
湯気の奥、床の上にうつ伏せで倒れたガー助の姿があった。
金色の髪が濡れた石畳に広がり、白い肩は力を失ったように沈んでいた。
一瞬で頭が真っ白になって、心臓が強く跳ねた。
「ちょ、は?おい、ガー助、大丈夫か!おい!!」
慌てて駆け寄り、震える肩に手を添えてそっと体を横向きに返す。
手のひらを通して伝わる異様な熱に、一瞬身がすくむ。
頬は赤く、額には玉のような汗。眉間の皺が、苦しさを物語っていた。
「ん、ぅっ……ふ、っ……ふーっ……」
喉を震わせる吐息はかすれ、胸は不規則に上下している。
朦朧とした意識のまま、熱にうなされているようにしか見えなかった。
一体、何が――このままじゃ、本当に危ない。
「ぬ、鵺さん、見てるんですよね!!ガー助が!!」
呼びかけた途端、背後の空気がかすかに揺れて、気配が満ちる――振り返らずともわかる。鵺さんだ。
……やっぱり、見ていた。でも今は、それどころじゃない。
「はいはい、呼んだかい、四衲ちゃん。」
「ガー助が、た、倒れてて、それになんか様子が!!」
「私が診ておくから、一旦落ち着こうね。はい、深呼吸。」
そう言いながら、鵺さんはすっとかがみ込んで、ガー助の額に手を当てる。
息の粗さ、火照った頬、肌の色――なにかを確かめるように、一拍の間沈黙したのち、静かに告げた。
「これは……うん、発情してるね」
「……は?」
声が上ずる。
耳に届いたその言葉を、脳がうまく処理してくれない。
待て、待て、待て。
最初に出てくる診断結果がそれ?冗談であってほしかった。
「体内の幻妖が、学郎の令力に反発して暴れたせいで、身体がおかしくなってるんだろうね。」
「発情って……いや、それ……えっ?どういう理屈で……?」
「一種の免疫反応みたいなものって思ってくれていいよ。」
思考がぐるぐると空転して、まともに言葉が出てこない。
「そうだね、私が対処してもいいけど……どうする?それとも、四衲ちゃんがやる?」
「……い、いやいやいや待ってください!!対処って……ぼ、僕が!?」
予想外の言葉に、思わず声が裏返った。
「うん、そういう時の解消法くらい、四衲ちゃんも知ってるでしょ?女の子なんだから。」
「そ、それは……分かりますけど……っ。でも、自然に治ったりとか……」
「二、三日もすれば落ち着くだろうね。ただ、その間、学郎をこのままにしておくのかい?」
視線を落とすと、ガー助は熱に浮かされたように浅い呼吸を繰り返していた。
肩を小さく震わせ、顔は苦しげに歪んでいる。意識もおぼつかず、とてもこのまま放っておける状態ではなかった。
「私としても、学郎には早く戻ってもらいたいからね。四衲ちゃんが無理なら、他の誰か――」
その一言に、全身が凍りついた。
他の誰かに任せる?
今の、このガー助を?
それだけは、絶対に駄目だ。
あとでガー助がそれを知ったら、どんな顔をするか。
だったら、“妹の僕”が……。
「……待ってください!!」
気づけば、喉から勝手に声が出ていた。
「ぼ、僕がやります。」
決意を込めてそう口にしたものの、目の前の倒れたガー助をどう運べばいいのか、体がすぐには動かない。
このままじゃ駄目だ――そう思ってしゃがみかけたそのとき、横からあっさり止めが入った。
「待った、四衲ちゃん。今、キャシーを呼んだから。ベッドに運ぶのは彼女に任せよう。そっちの方が安全だろうしね。」
空間がひび割れるように裂け、その奥から出てきたのは、転送能力を持つ幻妖、僕の師匠――キャシー先輩だった。
「なんだよ、緊急事態って……って、誰だこいつ?」
「詳しい話はあと。その子をベッドまで運んでくれないかい?」
「……あぁ、いいぜ。」
ガー助が横たわっていた石畳の上に淡い亀裂が走る。
その裂け目がガー助の全身を飲み込み、そして、姿が消えた。
「よし、四衲ちゃん、あとはお願いするよ?」
「ぜ、絶対に、覗かないでくださいよ!!」
「流石にしないさ。四衲ちゃん、頑張ってね。」
「おい、どういう事か、ちゃんと説明しろっ!!!」
「私たちはお役御免ってわけさ。」
「意味分かんねぇって!!」
鵺さんがキャシーさんをひょいと抱き上げたまま、そのまま浴室から出ていった。
僕もすぐに後を追い、小走りで寝室へと向かう。
ベッドの上には、先ほどと変わらず、汗ばんだガー助が浅い呼吸を繰り返していた。
その額には熱がこもり、顔色はうっすらと赤みを帯びている。
そっとその頬に手を添えて、呼びかける。
「……ガー助。僕、四衲だ。分かるか?」
ガー助の眉がわずかに動いた。
うっすらと開かれた瞳が焦点の定まらないまま、かすかにこちらを捉えようとしている。
「……ぅ、ぁ……う、ぅ…ん……。し……、と……つ……?」
ぼんやりとした声。呂律も怪しく、息の混じったかすかな音がかろうじて僕の名前を形作っていた。
「良かった……。」
胸の奥がじんわりと温かくなる。けれど、安心できる状態じゃない。
彼はなおも苦しげに身をよじり、額にはなお、汗がじっとりと浮かんでいた。
「…あ、れ……おれ、ふろで……。……ぁ゛ぁっ…な、なん、だ……これ……。」
うわごとのように呟きながら、眉を寄せ、身をよじる。
その言葉に、こちらの喉が思わず詰まった。
「……大丈夫。僕に任せろ。」
背中から腕をまわして、ガー助の身体を抱き寄せる。
くったりと凭れかかってくるその体温が、じんわり腕に滲んでくる。
汗を含んだ髪が首もとに触れて、鼻先には甘く湿ったにおい。
背中越しの熱がやたら強くて、布越しでも火照りに巻き込まれそうだ。
細い腰を片腕で支えながら、もう一方の手をそっと胸元へ。
やわらかな輪郭をなぞるように、指先を軽く這わせる。
「んっ…♡はぁっ…♡う、ぅ…♡」
耳元で漏れる甘い声に、びくっと肩が跳ねた。
その瞬間、不意に手に力が入り、ガー助の腰をぐっと引き寄せてしまう。
背中がぴたりと僕の腹にくっついて、思わず息を呑んだ。
その動きに合わせて、前に回していた指が胸の奥深くへ、やわらかさの中に沈み込んでいく。
わざとじゃない――けど、結果的に、そうなってしまった。
「ぅ゛、あっ♡あ゛ぁっ♡……ぃ、…っ♡い、いま、の……♡♡」
耳元へと震えるような声が届いた瞬間、僕の方が息を詰めそうになる。
たまらず謝りながらも、胸の奥にざわざわとした衝動が広がっていく。
「ご、ごめん、ガー助……。痛くなかった?」
「いた、く……、……?ふ、…っ♡……だ、ぁ、っっ♡♡……いじょうぶ……♡」
答えるガー助の目は熱に霞んでいて、焦点も定まらないまま、ただ空を見ていた。
その虚ろな視線に、なぜか胸がきゅっと締めつけられる。
優しくするだけじゃ、もう足りないのかもしれない。
この火照りをどうにかするには、もっと深く、もっと強く――
それに、僕も、もう限界だった。
「……っ、もっと強くするぞ。」
「ふ、ぅっ♡つ、よ……っ♡え、え……?――っ、ぁ゛っ、ん゛、ぅっ……!?!?」
両手でガー助の胸を掴む。
何もしなくても指が沈むくらい、でかくてやわらかい。
けど、強い刺激を与えるには、それなりに力を込めなきゃいけなかった。
深く押し込むように揉みしだくと、手の中でとろけるように形が変わっていく。
そのまま、色素の境目に沿って指を滑らせながら、ゆっくりと上へと這わせていく。
焦るな。急ぐな。
そう言い聞かせながら、指先でわざとじらすように輪郭をなぞる。
時折、ガー助の身体がぴくっと震えるたび、吐息が甘く熱を帯びてこぼれた。
「……っ、ふ、ぁ♡……ん、はぁ……っ♡」
息のリズムが崩れはじめている。
僕の手の動きに、確実に反応しているのがわかる。
指が、ついに先端のすぐ手前へたどり着く。
もう限界だとでも言うように、胸の頂点が硬く尖って、こちらを誘っている。
ためらいをひとつだけ挟んで――僕は、そこに指を落とした。
コリ、と小さく弾けるような感触とともに、ぐっと押し込む。
瞬間、ガー助の身体が跳ねる。
肩が震え、喉から息が押し出された。
「――あ゛っ……♡♡あ、あっ♡はっ、……っ♡あぁっ……♡」
つま先が痺れたみたいに反り返り、細かな震えが全身を這う。
胸の奥でせり上がった熱が、堰を切ったようにあふれ出してくる。
それが、背中越しに――息や鼓動ごと、すべて伝わってくる。
「知らない、こんなの知らない。もう嫌だ。」そんなふうに訴えるみたいに、ガー助は必死に背中を丸め、逃げようとする。
僕はその逃げる背中を押し留めるように、指先で強く刺激を与えた。
熱が抜けないように、じっくり、沈めるように。
「ガー助、あんまし動くな。」
「っ゛、あ……っ♡む、ぅっ……♡むり……っ♡は、ぁ……っ♡」
返ってくる言葉はもう、言葉になっていない。
熱も、痙攣も、乱れた息も――全部が、僕の胸にもろに響いていた。
「あ゛……っ、な、っ……あ、っ……ぁあっ……し、と……やめ……っっ……♡」
「イきそうなんだな。」
乳頭をぎゅっと摘む。
堰を切ったように、熱が一気に噴き上がった。
ガー助の身体がぶるぶると痙攣し、大きく跳ねて、ついに限界を迎える。
「――っ……♡♡♡……っ、く……っ♡ぐ、ぅっ……♡♡……は、っ……♡あ、っ……♡ぅ、ぁ゛……っ……♡」
ガー助の身体はぐにゃりと力が抜けてまま、びくびくと震え、僕の腕の中に沈み込んでいる。
瞼は半ば開いたまま、焦点の合わない瞳がぼんやりと宙を彷徨い、
半開きの口元からは、つーっと糸を垂らしていた。
視界の隅で、何にも汚されていない真っ白な背中が、ぴく、ぴくっと小刻みに痙攣している。
そのすぐ上――首筋の向こうでは、無意識なのか、太ももを擦るようにゆっくりと動かしていた。
「……っ、ふ、ぁ……っ……は、ぁ……♡……な、んだ……っ♡い、…ぅ…っ、ぁ……♡♡」
掠れた声が、震えと一緒に喉の奥から漏れた。
戸惑いと羞恥が絡まり合って、もう言葉になっていない。
片手をゆっくり外し、そのまま脚へと滑らせる。
ぴたりと閉じた膣口に指を這わせ、その両脇をやわらかく解すように撫でる。
そこから零れていた愛液を掬い上げ、熱の芯をなぞるように一撫で。
「ぅ、あっ゛♡…ぁ、ふ……ぅっ♡……ん、っ……♡……っ、、ぁ……♡」
掠れた声とともに、太ももがぎゅっと僕の手を挟むように締めつけてきた。
女になって、手に入れた器官。
まだガー助の指すら迎え入れたことのない膣へ――
僕は、そっと指を沈めていく。
「……っ、ま……っ♡や……ぁ……あ゛っ……♡……そ、こ…っ♡……ふ、っ♡…ぅ゛、うっ……♡」
触れた瞬間、膣内がびくんと跳ねた。
まだ開かれていないその内壁は、指先を押し返すほどにきつく締めつけてくる。
それでも、ゆっくりと進めていくと、ぬるく、そして異様なほど熱い――
まるで、体内の奥から火がともっているみたいだった。
(……やっぱ、ここも熱いんだな。)
男だったころからずっと体温が高いやつだった。
その熱が、今はこの狭くて柔らかい奥で、僕の指を溶かすように絡みついてくる。
「っ、ふ……ぅ……あ、っ♡……や、ぁ……♡ん、っ……♡」
吐息が熱く、かすれて漏れる。
浅い呼吸と痙攣が背中越しに伝わってきて、こっちの鼓動まで巻き込まれそうになる。
脚が無意識にぎゅっと閉じて、僕の指を押し返すように太ももに力がこもる。
「ガー助、暴れんな。膣内、怪我してもしらねーぞ。」
「っ、ひっ……で、……っ♡だ……め、っ…♡♡…ぁ、ん……っ♡も…、…ム、リ……っ♡♡♡」
言葉が途切れ途切れで、もうほとんど息と震えしか出てきていない。
それでも脚はばたついて、逃げようとする動きが強まっていた。
このままじゃ、本当に危ない。
霊殻を起こす。
黒くゆらめいた“手”が浮かび上がり、空中からすっと伸びて――
ガー助の脚をがっちりと押さえつけた。
「……っ、や…っ♡あ……っ♡…は、な……ぃ、で……っ♡…っ、ふ……ぁ……っ♡」
「僕だってガー助を傷つけたくねーんだよ。」
脚を押さえつけられても、太ももはかすかに震えていた。
そして膣内では、僕の指を締めつけながら、強く抵抗するように、熱を帯びた蠢きが続いている。
未開発な膣内は、きつく、狭く、全体がぎゅっと閉ざされていた。
指を押し込もうとするたびに、ぎゅうっと押し返すような収縮が走る。
それでも焦らず、内側をなだめるように撫でていくと――
とろけたような湿熱がじんわりと滲みはじめ、わずかに緊張がほどけていく。
僕は息を殺しながら、そっと指を差し入れる。
そして、膣の内側を左右にほんの少しずつ押し広げていった。
「っ……は、ぁ……っ……♡ん、っ……ん……♡」
その瞬間、ガー助の喉から吸い込み気味の吐息が漏れた。
きゅっと反射的に締まった膣内が、僕の指を拒むように包み込みながらも、
その奥では、とろけるような熱と、細かい震えが確かに広がっていた。
「ふ、ぁ……っ……♡や……っ、く……ぅ……♡っ、んん……っ……♡」
声がどんどん崩れていく。
浅くなる呼吸、震える腰、指先に伝わる熱の波。
ガー助の身体は、戸惑いながらも、それ以上に素直に反応していた。
「ん、ん゛っ……♡あ、っ……♡は、ぁ……っ、や、だ……っ……♡」
さっきまで閉じていた襞が、撫でるたびにひくつき、
押し広げられた範囲に熱がじわじわと染みわたっていく。
刺激を与えるたびに、膣がまるで僕の指を追うように、きゅうきゅうと震える。
「っ、も、う……っ♡ふ、っ、ふ、ぁ……♡あ゛……っ、や……ぁ……っ……♡♡」
吐息の合間に、小さく震える悲鳴のような声が混じる。
こらえようとする意志は感じるのに、それを凌駕する波が押し寄せている。
そして、ある一点に触れたとき――
「っ、く……っ♡あ、っ……っ、ん゛っ……♡そ、ぉ……や、あ……っ♡♡」
喉から跳ねるような声が迸る。
びくん、と全身が跳ね上がり、脚が反射的に動こうとしたのを、霊殻が静かに制した。
僕の指が触れたそこ――
反応の質が、それまでとは明らかに違っていた。
僕はそこに意識を集中させる。
ゆっくり、円を描くように撫でて――次は軽く押し上げて――
少しずつ角度と圧を変えながら、執拗に愛撫を重ねていく。
「ひ、ぅ……♡っ、ぁ……っ……あ゛、っ……♡ん、っ……♡」
崩れかけた声が、途切れ途切れに喉から漏れる。
もはや言葉にはなっていない。
思考が追いつかず、喉だけが勝手に震えて、甘く音を紡いでいた。
膣内が僕の指をきゅうっと締めつけてくる。
僕は引っ付いてくる襞を押し剥がしながら、指の動きに変化をつけながら、
何度も何度も、ひたすらそこだけを、押し上げ、撫で、突き、焦らし――責め続ける。
「……っ、ふ……ぁ……っ……♡あ、っ……♡っ、も……っ……♡♡」
理性の隙間から、耐えきれずにあふれるような吐息が洩れる。
もう言いたいことは何ひとつ口にできていない。
口元は半開きのまま、かすれた声が切れ切れに、浅い呼吸とともにこぼれていく。
そして、ガー助の目尻から、ぽろ、と涙がひと粒、滑り落ちた。
「……っ、ぁ……あ、……ぅ……♡……は、ぁ……っ……♡」
それに続くように、ぽろ、ぽろ、と。
涙は頬を伝いながら、甘く熱を帯びた吐息と一緒に零れていく。
拭うこともできず、ただ、こぼれていくだけだった。
初めて知る快感。
戸惑いと羞恥、そして本能のままの反応が重なって、
処理しきれなくなったすべてが、涙になって静かに流れ落ちる。
膣内は僕の指を深く咥えたまま、絡め取ろうとするように、熱を孕んだ襞がぴくぴくと波打たせていた。
もう、限界はすぐそこだった。
「……っ、ま、た……っ……♡くる、……っ♡や……ぁ……っ……♡♡」
かすれた吐息に混ざって、今にも泣きそうな声がこぼれた。
自分でも何が起きているのか分かっていないのだろう。
喉の奥から、意味をなさない甘い音だけが、ふるえるように零れ続けていた。
(……わかってないんだな、これが何か)
「――ガー助、それは、イく、って言うんだよ。」
「イ…、く…?」
「そ。ほら、口に出してみな。」
僕はそう囁いて、ガー助の反応を待つように指先の動きをほんの一瞬だけ緩めてやる。
「い……っ♡ん、っ……♡い、く……ぅ……っ♡あ、っ……♡イ……く……っ♡♡」
その呟きが漏れた瞬間――
僕は動きを切り替え、一気に深く、鋭く、強く押し上げる。
あの一点だけを外さず、擦り上げ、捉えて、絡めるように執拗に責め立てた。
「っ……あ゛っ……♡っ、く……ぅ゛……っ♡あ、っ……あ、ぁ゛……っ……♡♡」
喉を押し潰すような音が漏れ、ガー助の背筋が跳ねるように弓なりに反った。
「っ、……ひ、ぅっ……♡は、っ…ぃ゛…く……っ♡イ……っ……♡イく……っ゛♡♡」
吐息の合間に、小刻みにうわ言のような崩れた声が混じる。
ひと息ごとに、彼女の意思は快感に上書きされていく。
「イ、くぅっ……♡♡イっ……♡っ゛、ん、っ……イ、っ……♡くっ、っ゛、っ……♡♡♡」
粘膜がきゅうきゅうと蠢き、僕の指を深く抱き込んでくる。
温度と痙攣と湿り気が、何かを訴えるように絡みついてくる。
そして――
限界を超えた瞬間、ガー助の身体がびくんと跳ね、
そのまま、ぶるぶると痙攣を繰り返すように強張った。
首がかくんと落ち、口元が開いたまま、くたりと肩が崩れる。
焦点の合わない瞳がぼんやりと宙を彷徨い、涙の跡が頬を伝っていた。
膣内はなおも、途切れがちに僕の指を締めていた。
僕はその余韻が静かになるのを待ち、指をゆっくりと引き抜く。
ぬるりと音を立てて抜けた指には、とろみのある蜜が絡んでいた。
そのまま、唇のすぐ前にそっと差し出す。
「……ほら。これ、ガー助が汚したんだぞ?」
ガー助は抵抗も見せず、ぽたりと開いた唇で指を受け入れる。
言われるままに舌先を動かし、ゆっくりと愛液を舐め取り始めた。
「ん……っ、ちゅ……♡ふ、ぁ……っ……♡ん、ぅっ……♡」
ぬるついた蜜をすくうように舌が這い、時折、ぴちゃ…と濡れた音が静かに響く。
さっきまで膣内で掻き回されていた指が、今は舌の上をなぞっている。
そのことに気づいたのか、ガー助の吐息がわずかに震えた。
「ふ……っ、んん……♡ちゅ……♡は、ぁ……♡」
だが、その震えはすぐに和らいでいく。
伏せた瞼の奥に残っていた緊張も、次第にほどけていった。
寄りかかる身体は重く、すっかり僕に預けきっている。
発情を鎮めるため――
その目的は、もうとうに意味を失っていた。
ぐったりとした体温が、微かに濡れた吐息を洩らしながら腕の中に収まる。
無防備なその姿に、またひとつ、欲が胸の奥で疼いた。
気づけば、腰に添えていた手が滑っていた。
ためらうことなく、再び膣内へと指が沈んでいく。
「……っ、ん……♡ふ、ぁ……っ……♡」
喉の奥で漏れた声とともに、咥えていた指を外そうとするガー助。
「――まだ、綺麗になってないだろ。」
そう言って、離れようとした舌をそっと押さえる。
くちゅ、と湿った音が唇の奥で小さく鳴った。
促されるように、ガー助は再び僕の指を咥えたまま、舌をゆっくりと這わせ始めた。
ちゅ、ちゅ……と、唇の奥で控えめな音を立てながら、たどたどしく舐めるその様子が、かえって可愛らしく思えた。
「……ん、っ……♡ちゅ、っ♡ふ、ぁ……ぅ……♡んっ……♡♡れ、うっ……♡」
熱を残す吐息が混ざり、濡れた舌先が途切れ途切れに僕の指をなぞる。
指にまとわりつく唾液と、ときおり零れる甘い声。
そのどれもが、今のガー助の状態を雄弁に物語っていた。
僕は、膣内に沈めていたもう片方の指を、そっと動かし始める。
「んっ……♡ちゅ……♡ふ、く……っ……♡んぅ……♡」
指を咥えたまま舐め続けるガー助が、奥を探る指先の動きに合わせて小さく身を揺らす。
さっき執拗に責めたあの一点は、確かにこいつの弱点だった。
けれど、それだけじゃ足りない。
どうせなら、ガー助の全部を――声も、震え方も、今しか見れない、その全てを知っておきたかった。
その想いを込めた指先に応えるように、奥の感触がじんわりと、甘く震えを返してくる。
一つ一つの震えを逃さず拾い上げるように、僕はただ夢中で、ガー助の反応を確かめ続けた。
ガー助が嬌声を上げ、果てる瞬間を、何度も、何度も―――。
◇◇◇
目が覚める。
隣に寝息がある。浅く、けれど安らかな音。横を見ると、ガー助がまだ眠っていた。
昨夜の記憶が、ゆっくりと浮かび上がってくる。
何度も絶頂へと導いて、最後は力尽きたように眠りに落ちた彼を見届けて、僕もそのまま眠ったんだった。
「……おーい、ガー助、起きろー。」
まだ夢の中にいるのか、ガー助はぴくりとも動かない。
仕方なく、その肩をそっと揺する。
「ん、っ、ぁ……。し、しとつ……?おは……よ……あっ、あ、あっっ!!」
寝ぼけたような声が中断され、次の瞬間、ばっと布団の端まで飛びのく。
顔はみるみる赤く染まり、こちらを一瞥したあと、はいずるように距離を取っていく。
目が合っただけで、昨日の記憶が一気にフラッシュバックしたんだろう。
耳まで真っ赤になったまま、ガー助は顔を両手で覆って小さくうめいた。
「な、な、昨日、お、俺…!!
「鵺さんが言うには、幻妖のせいだってさ。」
「げ、幻妖…?」
「お前の中にいた幻妖が、令力に反応して暴れて……で、ああなったらしい」
言い逃れも、言葉を濁す気もない。だから――はっきり言い切る。
「それで…エロい気分になってたガー助を、僕が慰めてやったんだよ」
その瞬間、ぴし、と音がしそうな勢いでガー助の体が硬直する。
「は!?いや、え、なんで…!」
目を見開いたまま、口をぱくぱくさせている。
その顔は完全に理解が追いついておらず、視線もふらふらと定まらない。
ぐらつく目の動きが、どれだけ混乱しているかを物語っていた。
「あ、そうだ。令力を感じる度に発情するみたいだから。訓練のたびに――昨日と同じこと、やるからな。」
あえて軽く言ってやった。案の定、ガー助の肩がぴくりと跳ねる。
動揺してるのがありありと見えて……ほんと、分かりやすいやつ。
「え、い、いや、え?そ、それは……?」
「男に戻りたいんだから、仕方ないよなー?」
その問いかけに、ガー助は口を開きかけて――一拍遅れて顔を背ける。
けれど、すぐに小声で反論した。
「そ、それなら……自分で……。」
その言葉に、こちらの口元が自然と歪む。
昨日のことを思い出す。あの、火照った顔、熱に浮かされた声、そして――限界を迎えてこちらにすがるように伸ばされた手。
「昨日みたいなことを、ガー助が、自分で?」
「……っ、そ、それは……。」
視線が揺れたまま、返事は濁された。
……まだ、抵抗できると思ってるんだな
「じゃ、それでいいよな?朝飯食べて、令力の特訓するかー。」
ガー助は視線を逸らしたまま、小さく頷いた。
決して納得しているわけでもない、そんな沈黙だ。
今は、それでもいい。
どのみちガー助は、逃げられない。
――令力を安定させ、そして、元の体に戻るために。
そうやって、何度も何度も鳴かせて、少しずつ、ガー助が逃げ場を奪って――僕のものにしてやる。
続きは思いついてる。
夜島学郎のようで違う匂いを2人が漂わせてたら
気づく人がいますよね。
例えば、隣の席の人とか。