「いや〜、十年か。長かったような、あっという間だった様な……」
地下迷宮「玩迷孤籠」地下13Fの最奥、邪神の褥。不定形の肉体をローブに包む邪神デザイア……もとい與久田 健(よくだ たけし)は一人呟いた。 と、言っても彼の周りにはNPC位しかいないのだが。
今彼の側にいるのは恭しく跪くのは紫の髪を内側にカールした肩まで位のセミロング、エキゾチックな褐色肌に踊り子もそこまでは露出しないだろうと言った際どい衣装を纏った美女だ。
表向きは素肌から効率良く魔素を取り込むため……という事にはなっている。
(俺はこんな人間だから世の中のこうしろ、ああしろ、俺は〇〇だからマトモ、アイツは△△だからマトモじゃないというルールについていけなかった。だから俺はここの連中を好きになった。ここは俺が何を言っても、何をやっても否定してこなかったからな。だったら花でも愛でていろ? うるせえな。黙ってろ)
自問自答しながら憤怒する。彼はそういう男である。 そんな彼が夢中になったのがこの仮想現実型MMORPG『インフィニティ・プリズン』である。
18禁にも対応した新たな試みがなされたこのゲームも時代の流れには勝てなかった。
法律の改正により、仮想現実によるハードコア表現の禁止並びに公序良俗に反する事は出来なくなったのだ。
そうしたワケで『インフィニティ・プリズン』は惜しまれつつもサービス終了。と相まったのである。
地上ではさぞかし派手なパーティーが行なわれている事だろう。はみ出し者達の最後の宴。最も與久田、もといデザイアがその宴に参加する事はない。
10年の歳月と収入の3分の2を注ぎ込んで作り上げた地下迷宮「玩迷孤籠」。
それのみが彼の居場所なのだから。
最もこの迷宮に入り口は存在しない。
彼の精神をそのまま顕した語るものも見るものもない箱庭。それがこの迷宮なのだから。それ故だろうか……。
ー
「? ログアウトされねえな……」
終了時間を過ぎたというのにアバターの中に意識は残ったままだ。運営側から何かメッセージがあるのかと思いきや何もない。
ただただ時間が過ぎていくだけだ。
「どうかなさいましたか?」
鈴のなる様な声、というのはこういう声の事を言うのだろうと思わせる程綺麗な声でデザイアは話しかけられた。
話かけてきたのは先程の美女。
デザイアに仕える暗黒の巫女、カーネイジである。
「何だ急に話かけてきやがって。そんな機能はお前らにつけてねえ筈だが」
「機能……? 申し訳ありません。我々の様な卑小なるものにその様な言葉は解りかねます」
デザイアのぞんざいな言葉遣いにカーネイジはしんから申し訳なさそうに謝罪をする。
「あー、いいっていいって。推論型AIにしては良く頑張ってんな。よりにもよって最終日に神アプデって運営なりのプレゼントってヤツかもな。わはははは」
空元気を出して笑うデザイアだったが内心穏やかではない。それはそうだ。10年間費やしてきたゲームが終わってしまったのだから。しかし今更どうしようもない。今日でお終いなのだから。
「まぁ、最後だしサービスしてくれるならありがたく受け取っておくかな」
「光栄ですわ……。ではこれから私は巫女ではなく腹心としてデザイア様を御守りさせて頂く事を誓いましょう。この身果てるまで共に参りますわ」
と、いいデザイアの身体にもたれかかるカーネイジ。その赤い瞳は熱に浮かされた様に潤んでいる。
(あれ? おかしいな。NPCの行動パターンなんて設定されてなかったんだけどな……)
本来であればNPCには行動ルーチンがあり決められた行動しか行わないのだが……カーネイジは明らかに異常であった。
「あー……、カーネイジさん? ちょっと離れて貰えるかな?」
「何故です? 私に粗相が……?」
「いやいや、ないから!! ないから困ってんの!!」
それはそうだろう。エロソシャゲに相応しい豊満な肉体が密着しているのだから。と、言うより触覚と嗅覚が現実のものとしか思えない。
(おいおい……これってまさか……)
「カーネイジ……乳、揉んでいいか?」
「デザイア様のお望みのままに……♡」
「うおっ!?」
デザイアは両手に確かに柔らかいモノを掴んだ。
(あっ!? あったか!? やわらか!?
すべすべ!? もっちもち!!)
語彙力を喪失してしまう程の触り心地にデザイアは面食らった。これはもう認めるしかないだろう。彼は気づいてしまったのだ。このゲームが現実になったという事に。
「はあ……♥はあ……♥デザイア様ぁ♥」
更に尖りきった乳首を押し当てられデザイアは思わず生唾を飲み込んだ。
「デザイアさまぁ♥ はやくぅ♥」
デザイアはもう我慢の限界だった。
デザイアの下半身は臨戦態勢に入っていたのだ。欲望の邪神のロールプレイのため、入念に作り込んだソレは凶悪な存在感を放っている。カーネイジは恐怖ではなく陶酔に満ちた眼差しを示してその巨根を前に息を飲んだ。
そんなカーネイジに與久田、いやデザイアはその巨根を示す。
「頼む、カーネイジ。一発ヤる前に、お前のデカパイでさ、俺のチンポを挟んでくれねえかな?」
ロールプレイの余裕もない生々しく、それでいて滑稽な台詞。しかしながらデザイアの言葉を聞いたカーネイジは顔を赤らめながらも嬉しそうに微笑む。
「仰せのままに」と一言告げると、たぷたぷとした胸元を持ち上げた。そしてそのまま恍惚とした表情でデザイアの剛直を挟み込む。その様子はデザイアに愛玩具扱いされる事を至上の悦びとする性奴隷、いや愛妾のものであった。
「おおっ……!」
温かく包み込まれる感覚がデザイアを襲う。慰撫などという表現では表しきれない程の快楽にデザイアは酔いしれた。
自然と腰がカクつき、彼女の乳房を種汁が汚していく。
「はあ……♥はあ……♥デザイア様ぁ♥」
「お、おまっ!! パイズリしながら興奮してんのか!?エロすぎなんだよ!!
俺を悦ばせる天才女神様がよ!!誇れっ!」
「そ、そんなっ♥ 私などがデザイア様の女神だなんて不敬の極み♥」
「ぐぉっ!?」
デザイアの肉棒は挟まれながらビクビクと脈打ち白濁液を吐き出した。
「ああ、勿体ない……」
デザイアの精を受け止めたカーネイジは谷間から零れるそれを指に絡め取り、舌の上で転がして味わい尽くす。その姿にデザイアは更に欲情した。
「お前最高だな……。カーネイジ。ホントだぞ……ウソじゃねえぞ」
「ああ……♥♥♥ その様に私を求めて下さるなんて……♥ 感激でございますわ……♥」
2人は所謂玉座に座りながら駅弁スタイルで交わっていた。
カーネイジの身体は見た目以上に柔軟で、何より感度が高かった。
デザイアは激しく腰を振りながらも、彼女をイカせる事を優先していた。
「ああっ♥ デザイア様ぁぁぁ♥♥♥」
「はあっ、はあ……!カーネイジ……!
俺を見捨てないでくれよ……!」
「見捨てるなどと、そのような事は絶対にありませんわ……♥ 貴方様こそが私の全てなのですから……♥」
主従ではなく男女の関係。2人の想いは1つになっていた。
「カーネイジ! お前は俺だけのものだ!!」
「はい……♥ 私は永遠にあなたのもの……♥ この身を捧げます……♥」
「うおぉっ!! イクぞカーネイジ……!!
愛してるぜ!!」
「はい……♥ 愛しておりますわ……♥ デザイア様……♥」
そして決壊の時が訪れたデザイアは最後の一滴まで絞り出すように射精する。
まるで洪水の様にカーネイジの胎内はデザイアの精で満たされた。
「ふう……。こんなに出したのは初めてかも知れねえ……。カーネイジ……。お前が居てくれて良かった。感謝してもしきれねえ……。ありがとう……。俺の側にいてくれて本当にありがとう!!」
「とんでもございません♥私は貴男様の剣にして盾ですわ。何なりとお申し付け下さいませ」
「ああ、頼りにしてる。俺の愛するカーネイジ」
「まあ、嬉しい……♥」
デザイアはカーネイジを強く抱きしめ、唇を重ねた。それは誓いの口づけであり、永遠の愛の契りであった。
ー
(ふう〜……先ずは状況を整理するか)
改めて色々な意味でモヤモヤが晴れたデザイアはこの状況について考察する事にした。
(まず、ここは間違いなくゲームの世界だろうな。 と言っても俺は邪神ロールプレイに興じきりだったから今のインフィニティ・プリズンがどういう環境なのか解んねえんだけど……)
彼は専ら周回PVE専門でありメインシナリオ攻略やPVPはからっきしであった。
(こういう時は慌てず騒がず過去ログを……!ダメだ。応答しねえ……)
なんとかメインサーバーにアクセスしようとするも反応はなかった。無論、まとめサイトや動画サイトにもつながるワケもない。
(こんな事ならもう少しマジメにシナリオを読んでおくべきだったぜ)
マジカルチンポは立ちっぱなしだが後悔先に立たずである。そのチンポを今カーネイジが丁寧かつ愛おしげにお掃除フェラに専念している。
(まあ、どうでもいいか……。カーネイジが側にいてくれるならそれでいい)
デザイアはカーネイジの頭を優しく撫でると彼女は幸福そうに目を細める。その姿がデザイアの荒廃した精神を癒やしてくれた。
「うっ……!?」
どびゅっ!! びゅるるっ!! と節操なくデザイアのペニスから吐き出される白濁液。その量は尋常ではなく、カーネイジの顔はおろか胸元までも汚していった。
「ふう……♥ 」
「わ、悪いカーネイジ。折角綺麗にしてくれてたってのに……」
「構いませんわ。デザイア様のお役に立てる事が私の幸せですもの♥ 寧ろ私のご無礼をお許し下さいまし」
(いやいや、カーネイジを無礼とか全然思ってねえし。むしろもっとして欲しいくらいだし!!)
「な、なんかさ。お前の主なのに威厳も何もなくって……悪いな」
「その様なことはございません♥ 寧ろ私めの様な端女に合わせて野卑な姿を演じて下さっておられるのでしょう♥」
「そんなことねえよ……いや、マジで」
「ふふっ……♥ やはりデザイア様はお優しい方ですね」
「お前にはかなわねえって」
(なにこの女神。そりゃ廃課金するヤツ続出するって! いや、俺も当事者だけどさ!廃課金で思い出したけどそう言えばカーネイジ以外にも俺の部下っていたよな。彼奴等も一応いるのか?)
「カーネイジ。各階層のボスはどうしている?」
(我ながらボスってぞんざいな呼び方だな……。今まではどうでもいいと思っていたが、なんかいい呼び名を考えないとな)
「はい。デザイア様の厳命によりその場を一時も離れず待機しております」
「マジでか……」
満たされたために産まれた心の余裕は己の暴君ぶりを反省させるのに余りあった。
『ハハハ、あいつら来るわけもねえ冒険者に備えてやがる。バカ丸出しでやんの』
バカはテメーだよ。とそう嘲っていた自らを殴り殺したくなるほどに。
「今すぐここに呼ぶって出来るか?」
「勿論です。デザイア様の厳命以外になにを優先することがありましょう」
「頼む。今すぐに」
「仰せのままに」
カーネイジは恭しく頭を下げると虚空に向かって声を上げた。
「デザイア様がお呼びです。全ての階層守護者並びに従者は邪神の褥に集結なさい。
これに従わぬものはデザイア様に従順ならざる者として処罰あるものと相応の覚悟を持つように」
(いやいやいや、ブラック企業じゃないからさあ カーネイジさん!?)
デザイアが心中でツッコミを入れるなかいち早く誰かがやってきた。
「従順ならざる者ですが参集してもいいですか?それはそうと無料ガシャお一つどうぞ」
聞き慣れたくなかったが聞き慣れた声。
見慣れたくなかったが見慣れた姿。
「お、お、お前は!!」
そこに現れたのはいわゆるガチャ画面に現れる集金キャラ。
銀色のサイドテールと兎の耳が特徴的な燕尾服と偽りのおっぱいを纏うもの。収奪の女悪魔バクシーシの姿であった。
因みに引いて出たのはわざとらしくもスタミナ回復薬だった。
ー
そしてバクシーシより少し遅れてデザイアの下僕が次々と集まってくる。
「何の御用でしょうか、デザイア様。地上へ侵攻なさるのでしょうか……?」
まず現れたのは白髪を背中まで伸ばした美女。しかしながらその手には鳥籠を持ち、目は自ら塞いでいるのかラバー製のアイマスクを装着している。更にその格好も異彩を放っている。修道服に似通っているが所謂乳暖簾というスタイルであり、下乳はほぼ丸出し。更にガーダーベルトを合わせた様な低俗にして卑猥な衣装に身を包んでいる。
(や、ヤバすぎる……!カーネイジに抜いてもらってなかったらバキバキにチンポが立っていたに違いねえ! カッコつかねえ所だったよ!)
「い、いや。えーと……ファトゥム?」
「はい」
心中はともかくデザイアはなるべく威厳たっぷりを心がけて話しかけたつもりだ。しかし、当の相手は相変わらずの無表情であり、その真意は読み取れない。
「良くきてくれたな!」
「はい」
(……会話が続かねえ〜!!)
デザイアは己のコミュ障っぷりに辟易するが、ここで挫ける訳にもいかない。しかしまずは何を話すべきか。カーネイジとファトゥムは跪くのみ。バクシーシは何やらニヤニヤと不敵かつ小馬鹿にしたような笑みを浮かべており、その視線はデザイアに向けられていた。
(クソッ! この銭ゲバ強欲女悪魔が!! けどこの世界じゃ課金ってどうなってんだ!?UIを確認しようにも出てきやしねえし……)
それも気になるが今は部下と状況の確認が先決だ。
「うーっす。デザイア様。今日もバッチリ決まってるッスねえ♪」
これまた短めのツインテールに青い肌。
更には上乳丸出しの改造黒ボンテージに赤いマント、更に鼻から下を黒いラバーマスクを装着するという奇天烈極まりない姿の美女が挨拶してきた。
肩には鉞と大鎌を兼ねた様な武器を担ぎ、その姿からはどことなく戦闘狂的な印象を受ける。背丈は恐らく180を優に越え、腹筋もバキバキのシックスパックだ。
(コイツは確か……死神のメガデスだったよな)
「お黙りなさいメガデス。偉大なるデザイア様に向かって何たる無礼な口の聞き方です」
「はい」
カーネイジの厳しい視線がメガデスを射抜きファトゥムも同調する。
「い、いや、いいよ。コイツはそういうキャラだから」
「あざーっす♪」
デザイアが許容するなりメガデスはひしっ、と彼に抱きつく。カーネイジに負けず劣らず豊かなモノを持っているため、デザイアの顔は柔らかい双丘に包まれる形となった。忽ちカーネイジの眉間に皺が寄る。
(カーネイジに抜かれていなかったら暴走してたかも……)
「おい。デザイア様から離れろ」
「はい」
「はー? なんでアンタの許可がいるワケ?」
(カーネイジさん、口調!口調!!つーかま、マズい。これは俗に言う修羅場じゃないか!? ギャルゲーじゃあるまいし、いやこれエロソシャゲだったんだけど!!)
背中から滝のように汗が流れる中メガデスはラバーマスクをずらしてちゅっ、ちゅっと小鳥が啄む様にデザイアの頬にキスを続ける。
「おっほっほ。流石はわえらのヌシ様。お盛んでありんすなあ」
と、その状況を愉しむかの様に現れたのは血を抜いた様に色白な肌を持つ鮮血で染めたかの様に紅い和服を着崩した女性。サラシがなければ色々とまろび出ている事は間違いない、三つの死霊をその背後に纏わせながらキセルを吹かす妖艶な美女である。
更に傍らにいるのは筋骨隆々な馬と人の間の子の様な怪物ウマーマンとこれまた牛と人の間の子の様な怪物バッファロウであった。
「火急の用と聞きつけこのブルータル。外征を中断して罷り越しましたえ」
「ウマー!」
「ウシー!」
更に更に……。
「申し訳ありませぬデザイア様。このシュラ並びにオチムシャ。兵達の修練に手間取り到達が遅れました」
「シカシ、全員参集トハ珍シイ」
半裸にして虎の毛皮の腰巻きと呪文の書かれたターバンを巻く多腕のインド系な見目麗しい美丈夫と東洋の甲冑を纏う骸骨武者がデザイアへ遅刻を詫びながら音もなくあらわれた。
(というか男性陣の名前が安直すぎるだろうが俺! 転生したせいで客観的に自分を見れる様になれたせいかすっげー気にかかる!?)
「え、えーと……キミら、今の名前好き?」
「名前を変えるのでしたらこのリネームカード10枚綴りがオススメですよ♪今なら金貨10000枚でご奉仕。持ってけ泥棒!(誹謗中傷)」
反省からかシュラへとデザイアが尋ねると彼は目を閉じて答える。なおバクシーシのセールストークは無視した。
「我が名は武の道を歩む者なれば……名など記号に過ぎませぬ。しかしデザイア様より賜った名は天下に2つとあってはならぬもの。その名を汚さぬ様、より精進いたします」
「刀ニ銘ナド意丿外丿モノ。切味ヲ高メルコトノミカ゚我ラカ゚ナスベキモノナレバ」
「お、おう……」
(ち、忠誠心が高すぎる!! オレならグレるか反乱ルートまっしぐらだよ!!)
デザイアは己の下僕達への評価を改める。
駒ではなく一個人として尊重しなければと。
「マサクゥルは研究中のため待機。 イモータルは余りに巨体ですのでこの場には来れない様です。ジェノサイドとフォビドゥンは今、手が離せぬとか」
「しゃーねーヤツっすね」
「ならこの人化の腕輪などはいかがでしょうか? 今なら魔晶石1500個の所を150個でご奉仕します(二重価格表示)」
ともかく頑迷孤籠の幹部メンバー+αが勢揃いした。
(で……これからどうしようかな? というかメガデスも離れて!!)
「メガデス。控えろ」
「はーい……」
不承不承といった感じではあるがメガデスがデザイアから離れる。と、幹部達が今や遅しと自己主張を始める。
「デザイア様。地上への侵攻の件について何か御座いますればこのカーネイジめに何なりとお命じ下さい」
「はい」
「外征のノウハウはわえらの専売特許でありんす。地上侵攻の役目はわえらにこそお命じくだされ、ヌシ様」
「このシュラめにこそ!!」
「イヤ!拙者ノ不死兵団コソガ!!」
「アタシもアタシも! その辺の有象無象の100万の兵隊よりアタシの方がデザイア様のお役に立てるッスよ♪」
どうやら全員地上侵攻が目的のものと早合点しているらしい。確かに今まで防衛専念だったものが全員招集されたとなれば無理もない話ではあった。
(め、めちゃくちゃモチベが高え〜……!!
ブルータル以外は閉じ込めっぱなしだったからストレスが溜まってんのかな?)
デザイアは内心冷や汗を流す。一歩間違えたら世界の敵コース一直線に間違いなし。
「待て待て待て。まだ早いって。もう少し待とうな……」
(こう言っておけばとりま暴走はしないよな……ソースは江戸時代の毛利家。って彼奴等明治維新起こしてるんだよな)
「畏まりました」
デザイアの言葉に幹部達は素直に従う。
(良かった。これでとりあえずは安心だな。それにしても人化の腕輪かあ〜。これからの事も考えて人型アバターもいいかな……? なにせこの姿じゃ街に買い物にもいけねえワケだし。警察呼ばれるわ。というかこの世界に警察ってあるのかな?)
などと呑気に考えていたがこの後深刻な問題が浮き彫りになる。
「なんか腹減らない?」
「いえ」
「いいえ」
「ほほほ、デザイア様。わえらには空腹の概念はありんせん」
(な、なんだって!? じゃあ性欲はともかく睡眠欲と食欲があるのは俺だけか!?まあ……魔晶石は幾らかは残っているけどさ)
ちらり、とバクシーシを見るとニコニコと微笑んでいた。売り込んでこない辺り食事の提供に関しては門外漢である様だ。
そんなワケで魔晶石150個を消費して人化の腕輪を購入するデザイア様でしたとさ。深刻な事態というのはこの事ではない。
ー
「しかし、一体デザイア様は何故我々を召集なされたのか……。長年封じていたこの玩迷孤籠の入り口も解放なされたものだから地上を侵攻するものとばかり」
デザイアとバクシーシが出払った間、幹部たちは擦り合わせがてら雑談に興じていた。シュラは不服というよりかは武神としてさしたる武功のない己の不甲斐なさにどこか苛立っているのか僅かに肌が赤らんでいた。
「デザイア様ノ所業ヲアゲツラッテハナラヌ。深イ思召ガアッテノコトデアロウ」
「はあ……やはり猪武者揃い。デザイア様の御心がおんしらには理解できんようでありんすなあ」
「ウマー!」
「ウシー!」
皆が首を傾げる中、外征……もとい資源調達を担当するブルータルは『私、わかってます』感を丸出しにして誇らしげな様子でキセルを燻らし、傍らの2体もそうだそうだ、と言わんばかりに雄叫びをあげる。それがシュラの逆鱗に触れた。
「なにっ……!!」
「熱クナルナ。シュラ」
シュラとブルータルの間に一触即発の空気が流れたがオチムシャが取り成す。危うく月輪が飛び刃傷沙汰になる所であったがふわあ、とメガデスが欠伸をする。
「どゆこと? アタシバカだからよくわかんないッス。掻い摘んでわかり易く教えてよ」
「はい」
「ならば、私が簡単に話しましょう」
ブルータルより先にカーネイジが口を開いた。
「私はデザイア様に見初められました」
「……はい?」
「はあっ!?」
「だ、だだ、男女のやること。べ、別に.珍しい事でもないわ……あつつっ!」
「姐さん。口調口調。あとキセルが逆」
「やめとけ。ウマーマン。耳年増で処女ビッチのブルータル様だぜ? 今ショックめちゃデケェんだから」
「……お前達、口がきけたのか」
悲喜こもごもな幹部達だがカーネイジは更に続ける。
「更にあの女悪魔から人化の腕輪を購入している事から考えられる事は一つ。デザイア様は人間の存在を容認なされたということ。つまり我々は地上の人間への責務を放棄した神々に代わり、人間達への守護を担うべきという事よ」
「人間達への守護か……。ならば我が下僕達を幾つか地上に派遣せねばならぬな」
「ウム。人間タチヲ侮ッテハナラヌ」
どうやら彼女達にとってサービス終了は神々がこの大地を見棄てた、という風に解釈されていた様であった。
幹部連中はガシャで出したの?
いいえ。アバタービルドは無料配布かフレンドポイントガシャです。装備や限界突破、スキル追加は有料ですが。
與久田ってどういうポジション?
友人ゼロ人でレイドバトルクリアした廃人を越えた廃人。
そりゃ重課金クラスのアバターを十数体揃えてんだもん。
総課金額は多分八桁越え。
ド田舎出身で地元から出て以来出稼ぎの様にあちこち渡り歩いている様だ。