※この作品はR-18です。

【インフィニティ・プリズン】    作:ぷうち☆りん

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生前のミカはどんな子だったの?
勉強はさっぱりでしたが良い子でしたよ。 
爺さんから護身用に武術を教わっていたらしいです。

ロベルトってザコなの?
いいえ。レベルは40程度。クレマンティーヌ(脱退)とならまあまあいい勝負ができるのではないでしょうか。カジットとは相性負け。武王、フル装備ガゼフには順当に負けます。
プレアデスの面々には当然勝てません。
対セバスは最初のパンチはかわせても二発目で頭がパーンになります。


地下12階

「はあ〜……落ち着くなあ。

 やっぱり俺はお前の側が一番落ち着く……」

 

 ここは王城より遥かに離れたノドカナ村の地下深く。地下迷宮【頑迷孤籠】は邪神の褥。主であるデザイア、もといタケシは腹心であるカーネイジの膝枕を堪能していた。

 

「光栄でございます、デザイア様」

 

 地下であるのにまるで太陽の様に眩い美しさを持つカーネイジが、タケシを愛おしそうに眺める。

 

「お前だから言うけど、気が重いなあ……。 成り行きとは言え聖王の生まれ変わりをやる羽目になるとは。マッチポンプとは我ながら阿漕な事だぜ……」

 

 憂鬱そうにタケシは溜息を漏らしてカーネイジにぼやいた。自分が人の上に立つ器ではない事は彼自身が一番良く分かっていた。

 

「デザイア様の御力ならば造作もない事です。我等階層守護者ならびにその眷属は、全てがデザイア様に命を捧げる所存にございます」

 

 タケシの憂鬱を吹き飛ばすかの様にカーネイジは強く断言した。だが、その力がどれほど強大でも所詮タケシの精神性は人間である。

 

「俺はどうすれば良いと思う?」

 

 不安そうにタケシがカーネイジに問うと彼女は優しく微笑んだ。

 

「デザイア様は御心のままに振る舞われればよろしいのです。我等眷属はそのお姿と言葉に導かれます」

「じゃあ、俺が何もかも投げ出したらどうする? 逸れものの流れ者にお前はどこまでもついてくるのか?」

「はい。私は命果てようともデザイア様と共に在り続けます」

 

 その言葉には一切の迷いも躊躇いもない。カーネイジにとってタケシとは生きる意味そのものなのだから。

 

「お前らは本当に物好きだなあ……」

「はい。脆弱にして狡猾な人間どもを敢えて保護すると定めた貴方から造られた存在にございますから」

「それはまあ、そうなんだけどさ……。

 そう言われると投げ出すワケにはいかなくなったぜ」

 

 タケシはばつが悪そうに頬を掻く。

 そんなタケシをカーネイジは愛おしそうに見つめる。 至福にして満たされる時間。

 男というものはこうした時間を得るために仕事に励むものなのだろう。

 

「ポスタルはどうしている?」

「シュラとオチムシャが相手をする事である程度までは落ち着いております」

「そっかー……」

 

 吸血衝動と飢餓による狂乱状態にあったとは言え主のアバターであるタケシに文字通りに牙を剥いたという事実は変わらない。

『私が裁くまで待て』と邪神デザイアとして彼らに言っておかねばシュラやメガデスなどは彼女を反乱者としてお咎め覚悟の上で無礼討ちにしていただろう。

 

「あ、そうだ。シュラやメガデスだけじゃなくてポスタル自身が早まった事をしない様に見ておいてくれよな」

「はい。私達が自裁するなど以ての外。

 デザイア様から賜ったこの魂と意思を自ら放棄するなど貴方に対しての最大の侮辱にして裏切りですもの」

「それが解ってんなら……いい」

 

 タケシはカーネイジの手を引き、自らの胸元へ招く様に寄せる。そして二人は抱き合うとタケシの方からキスをした。彼女の口内へと舌を入れねっとりとした濃厚かつ熱烈なキスだった。カーネイジは拒むことなく彼のしたいようにさせる。やがて、どちらからともなく二人の唇が名残惜し気に離れるとお互いの身体を求める気持ちを秘めた視線で見詰め合った。

 

 はぁっと熱っぽい息を吐きながらカーネイジは自身の豊満極まる乳房をデザイアの胸板に押し当てて妖しく誘いかける。

 既に二人の間で幾度となく交わしたやりとりではあるが、飽くことはない。むしろ回を重ねるごとに行為に夢中になっているくらいだ。

 

 まずはその乳房に手を伸ばしゆっくりと揉みしだいていく。張りがありつつも柔らかな弾力、ずっと触っていても飽きない魔性の柔乳。

 タケシはその感触を楽しむ。

 そして、それに応えるかの様にカーネイジは艶めかしい声をあげて身を捩らせる。

 

「ふぅっ、あああっ!デザイアさま……♥」

 

 まるで名工の作り上げた楽器のように色っぽく淫靡な嬌声を奏で、タケシもといデザイアを愉しませ、満たしていく。

 満ち足りて充足を知る。充足を知るものは恥辱に怖じけづくこともない。

 デザイアのペニスが連動する様に膨れあがり、その先端からは我慢汁さえこぼれ始めていた。それを目敏く見たカーネイジは優しく手を添えて愛撫しはじめた。更に深く繋がりたいというデザイアへのサービスである。

 

「ああ……デザイア様。私如きが相手なのに……これ程……♥♥♥」

 

 発情しきった瞳でカーネイジは切なげに訴えた。このまますぐに挿入するのは余りにも短絡で情緒がないというものだ。

 くるり、と互いに姿勢を入れ替えてシックスナインの体勢に移行すると彼女のしとどに濡れそぼる秘所をまじまじと見つめる。

 そこは女というよりメスそのものであった。

 タケシにとってはすっかり顔馴染みとなった卑猥に形を歪めた膣道。しかし決して緩んでなどいない締まりの良さにデザイアも満足げに舌をはわせる。

 

「んはあ……デザイア様の舌があ……私の中にぃ……♥」

 

 股と重力に従いつつも張りを残す乳房の間からカーネイジが蕩けきった顔を覗かせて主からの愛玩に喜びの喘ぎを上げる。その表情には最早普段の支配者然とした彼女はどこを見渡そうと影ひとつ見えない。

 そんな彼女にデザイアは彼女の口元に鈴口を軽く押し当てる。

 

「ああ♥申しわけありませんデザイア様♥

 すぐに……♥♥♥」

 

 ぬぷうっ♥と彼女の口腔は膣穴にも劣らぬ程キツく肉棒を締め上げてきた。

 

(うおっ!?相変わらずすごいな、カーネイジ!)

 

 口内の柔らかい部分を使った粘膜性交、口カーネイジの口淫奉仕を受けながらタケシは快感に浸っていた。

 何とも言えぬ甘美なる刺激。快楽と歓喜、そして少しばかりの羞恥がないまぜになった倒錯的な感覚に包まれていく。

 ふりふり、と臀肉をボンボンの様にくねらせながらカーネイジはデザイアの竿に舌先を絡ませていく。それに呼応するかの如く彼女の膣穴にもデザイアの舌が潜り込む。ビクビクとした小刻みな反応がデザイアの舌越しに伝わり興奮が加速する。やがてどちらからともなく相手の秘部へとしゃぶりつく姿はまるで伝承にあるウロボロス、双頭の蛇の有様であった。

 ぐちゃあ、じゅず、ジュポッ。

 湿った音を立てる度に互いの脳味噌は痺れる様な幸福感と陶酔に満たされた。カーネイジは愛液を、デザイアは唾液をとび散らして絡み合い混ざり合っていく。

 

「あん♥あひゃいあひあへあふぁいっ!! デザイアさまのおひんほおいひっいはあぁんっ!!」

「ああっ!! カーネイジのマンコも最高だぜ! これに比べりゃ王都の果実酒なんざ砂糖水みたいなもんだっ!!」

 

 違いに虚飾や遠慮もなくしんから愛し合う。主従としてではなく、男女として。そこに一片たりとも偽りはない。

 だからこそ互いの愛情が更に燃え上がり、この暗黒の褥を照らし出す。

 

 そして……。

 

 ずぶぶっ!! とデザイアが腰を突き上げカーネイジの喉奥までに剛直を埋め込んだ。

「おごぉおおおっ♥」

 嗚咽を上げつつ、尚もその快感に悦んでいるカーネイジを上から押さえ付けるとそのままの勢いで射精が始まった。

 ドクッ!!! ドブッッドピュルルルル~ッ…………。

 熱い大量の精を口内に浴びて、同時に絶頂したのだろう。ぷっしゃあぁぁっ!! と愛蜜がデザイアの顔にぶちまけられた。だが、彼に不快感はなくカーネイジが自らのクンニと精飲で絶頂したという達成感と高揚感しかなかった。

 

「カーネイジ……!」

「はい……さあ……どうぞ♥ タケシ様♥」

 

 

 寝バックの態勢で軽く股の間で自ら割れ目を開き、誘うような仕草でタケシへその蜜で溢れかえったトロトロな花弁の入り口を露に見せる。

 唯一無二である主を歓待すべくうねうね、とそれ自体が意思を持っているのではないか、とすら思えるように動き、タケシを淫らにもてなす。

 

「あ……あぁ……っ」

 

 そのあまりのいやらしさに、デザイアはゴクリ、と生唾を飲み込むとゆっくりと腰を前へと進めていく。

 そしてついに、その先端が彼女の秘裂の入り口にあてがわれる。

 

「ん……♥」

 

 それだけでも、くちゅり、と淫らな水音がして二人の性器の結合部から愛液が垂れる。

 そして、そのままゆっくりと腰を進めていき、

 

「あ……っ♥」

 

 ずぶり、とタケシのモノが彼女の蜜壺へと侵入する。

 

「う……おぉぉ……」

「ん……っ♥」

 

 その感触に思わずタケシは声を漏らす。そして彼女もまた、その挿入されたモノの感触を味わうかのように軽く目を閉じる。

 膣内がきゅっと引き締まり、

「さあ、始めようか」と主張するかの様に彼の分身が脈動する。それをカーネイジは優しく包み込みながら受け入れてくれた。

 ゆっくり、それでいて情熱的に腰を動かし彼女の中に己自身を抽挿していく。そうしている間も二人は繋がったままの状態を保っている。

 

「はあっ! ああ、カーネイジ、気持ち良いぞ……!!」

「はい……! 貴方様のが……ああ、私の奥まで……♥」

 

 互いに荒げた息を抑えながらも快楽の声は欠かすことなく交換していく。それはある意味でただの性行為より官能的であるかもしれない。

 

「はぅ……♥デザイア様……私にはもう……♥♥♥」

 

 身体を重ね合わせただけで彼女は昇天しそうなほど高みにまで押し上げられていた。それでもタケシはまだ足りないとばかりに彼女を掻き抱く。そしてお互いの名前を呼び合い快楽を与え合った。まるで一つの個体である事を確かめる様に、そして今以上に自分達が深く結びつく為に。

 激しく求め合い、互いの存在が自分の中で大きくなっていく。それに比例する様に快感は上昇していく。そして、より強烈な熱を求めて彼女の膣内にある敏感な部分を亀頭部分で突き上げた。

 そこが一番カーネイジにとって弱いところだと知っていたからだ。

 

「あ♥デザイア様ぁ、ソコはああ♥♥♥」

 

 当然、その快楽はカーネイジに電流が流れるのと同等以上の強い刺激をもたらしたようだ。彼女は今までにない位に切なげに喘ぎながらタケシの背中に腕を回し、足も絡め合わせて強く抱きついてきた。

 しかし彼はここでさらに貪欲に動きを加速させた。もっと彼女と、カーネイジという女と一つになりたい、そんな欲望があった。まるで、底なし沼に嵌まるかの様にずぶずぶと堕ちていく。どこまで深く、カーネイジの全てを感じたくなる。

 

「くっ、カーネイジ!!」

「あはあぁあっ! はいぃい、出してください、デザイア様の種をお恵み下さい! 私も、もうっ!!」

 

 タケシのモノが最深部を衝いた瞬間、カーネイジも限界に達した。

 

「はぁ♥はふあぁあああ…………♥♥♥」

 

 ドクドクドクッッッ!!!!! と。熱いマグマにも似た愛液が大量に流れ出ていく。

 そしてデザイア自身もまたカーネイジを強く抱きしめながら、その胎内へと果てる。

 

「おおおおっ!! おおおおお──ーっ!!!!」

 

 絶頂と絶頂の中、デザイアの雄叫びを聞きながらカーネイジは幸せの余韻に浸り、デザイアはさらなる高みへと駆け上がっていく。それに悦びを感じないはずがなかった。お互いに手と唇を絡ませながらデザイアは彼女の胎内に一滴残らず種汁を注ぎ込んでいった。

 どくんどくんっ、と射精が終わる頃にはデザイアは再び力を取り戻しつつあった。それはカーネイジも同じであり、未だに彼を抱き締めたまま離そうとしない。互いの鼓動と体温を感じる事で安心感を得ていた。

 

「はあ……はあ……カーネイジ……。

 お前は最高だよ……」

「デザイア様……♥」

「盛りあっている所悪いですがねー。

 聖騎士と聖女の皆さんがタケシ様を探してますよ〜? アインさんカンカンですよ」

「「!?」」

 

 バクシーシの呆れた様な声に二人ははっと現実に立ち返る。タケシは招かれた王城からわざわざ転移魔法を使って褥にてカーネイジと睦み合っていたのだ。

 

(い、行きたくねえ〜……)

 

 まるで出社拒否するダメ社員の心持ちだがカーネイジ達の幸せのためだ、そう自分に言い聞かせて断腸の思いでベッドから起き上がった。

 

 ー

 

「どちらへ?」

「え、え〜と、その、あのですね……。

 き、休憩に……」

 

 ノルマを達成できずに詰められている様な気分にタケシが冷や汗を流している最中、アインの視線は厳しくなる。

 

「2時間程もですか?」

「ひぃ! す、すみません!!」

「怒っているワケではないのですから謝られても困ります」

 

 更にアインの顔つきが険しくなる。まるで絶対零度のような空気に耐えられなくなった頃合を見計らったかのように、

 

「まあまあいいじゃんいいじゃん。

 タケちゃんはココに慣れてないんだからさ♪ アイちゃんはパワハラ上司なんて似合わないし!」

 

 助け舟を出したのはオタクに優しいギャルならぬコミュ障邪神に優しいギャル聖騎士であった。オレンジ色の長髪を靡かせながらにぱーっと屈託のない笑みを向けてくる。

 

「ミカ。私は別に……」

「で、タケちゃん。オメーどこ中? な〜んちゃって♪ あっはははは!!」

 

(この口ぶり。この子も異世界転生者か。

 それにしても……距離が近い!!)

 

「どしたんタケちゃん? あーしの顔になんかついてる?」

「え、えーと……目と鼻と口が……」

 

 タケシはつい、コミュ障故か下らない事を言ってしまった。しかしミカは箸が転がっても可笑しい年頃らしい。

 

「やっばーっ!タケちゃんギャグマジウケなんだけど!! いっそあーしとコンビ組んじゃう? そういや聖王様はどうしたん?」

 

 ケラケラと笑いながらバンバンと背中を叩かれる。少し痛い。

 

「え、いや、その……」

(頼むぞ! パラノイア!!)

(仰せのままに……)

 

 影に忍ばせていた階層守護者の一柱であるパラノイアにタケシが合図を送ると肉体を持たない精神生命体である彼がタケシの肉体に憑依する。

 

「うむ……何か用かね。姦しいお嬢さん」

「うっわ……。マジキャラ変半端ないじゃんタケちゃん。タジュージンカクってヤツ?」

 

 口調は勿論顔つきや声色も伝承に伝えられる聖王を彷彿とさせるものだ。普段のタケシと違い、どこか超然的な雰囲気が感じられた。

 

「あ、でも見た目とギャップあってメッチャカッコイーかも♥こりゃファンも増えそうじゃんかさー!」

「ファン……?」

「つまり信徒の事です。聖王閣下」

 

 タケシ、もといタケシに憑依したパラノイアがわざとらしく聞き慣れぬ言葉に戸惑う芝居を見せるとアインは恭しく頭を垂れつつも補足した。

 

「助かる、アイン・ルクレツィア。どうも私は当世の言葉に疎いものでな」

 

(よーし! いいぞパラノイア!! 

 俺の俄偉い人ムーブよりもずっと偉い人っぽいぞ!! さすパラ!!)

 

 

 タケシは素直にパラノイアを称賛した。

 自分が乗っ取られる可能性など頭にない様であった。 パラノイアにそんな不敬極まる行いをするつもりは毛頭ないし、偉大なるデザイアの分霊を預けられる大役に内心では歓喜で溢れている。

 

「そのタケシとかいう男が聖王の生まれ変わりだと? 全くバカバカしい。このロベルトがその化けの皮を……」

「様をつけんか!! 無礼者があっ!!」

 

 ミカもアインも硬直してしまう程の殺気を放ちながらパラノイアはロベルトとかいう聖騎士を一喝した。

 ウマーマンに一撃でのされた彼では、ウマーマンより2段程格上のパラノイアの殺気をモロに浴びては耐えられる筈もない。

 文字通りにひっくり返ってしまった。晴天の霹靂どころか神の雷に打たれたかの様な衝撃を全身に受け意識を失う。

 気絶してしまっているというのにその股からじょぼじょぼと黄金色の刺激臭に満ちた液体が流れ出る始末にアインは視線を外し、ミカは眉を寄せた。

 

「うっわ……」

 

 呆れ果てた、と言ったミカの声にタケシはいたたまれない気持ちになった。

 

(ごめんなさい、ホントにごめんなさい……ウチのモンが……)

 

 ー

 

 ともかく、シャヨーノ王国の現国王ユーグレンと対面、会食の場に参加する事になったタケシであったが少なからず国王に失望する事となった。骨と皮に権勢欲の残滓が纏わりつき、奸臣の操り糸が見え隠れする鼻だけは高い老いたピノキオ。肌からは瑞々しさは失われカビの生えた木の人形の様で、そのくせ猜疑心による輝きを放つ瞳は酷暑日の太陽を彷彿とさせる不快感を見る者に与えた。

 

(な〜んかしょぼくれた爺さんだなあ。

 いかにも今の若者が〜とか政治が〜とか聞き齧った知識でネズミみたいにせわしなくキーキーキーキー言い出しそうだぜ。

 あ、良く考えたらこの爺さん国王なんだよな)

 

「タケシ……と言ったか。存外若い上、冴えない風貌の男よな。はっ」

 

 いきなりこれだ。もはや人から窘められることも無いのだろう。いや、そうした能臣や忠臣を嫌って遠ざけたものの帰結。

 自分もこうなっていたのかもしれないと思うとタケシは暗澹たる気分でいっぱいになったが、だからといって投げやりな言動を見せてしまえば彼の為に働いてくれているノドカナ村の村民や階層守護者達に対してあまりに不義理。ここは堪えた。

 パラノイアを一旦帰還させておいたのは幸いであった。

 

「はい、良く言われます」

「そうであろうな。しかし……アインからの報告によれば実力は確かな様だな。

 我が国にはロクな若者もおらず辟易していたが貴様の様な男でも現れてくれれば心強い……。励め」

 

(え、なにコイツ? アホなの? 

 なんで俺がアンタの下につく事を前提に話をしてるの? マジヤバくな〜い? 

 っていかんいかん! ミカちゃんじゃあるまいし!)

 

 タケシは危うくトリップしかけた。

 どう育てばこんな暗愚な暴君が育ってしまうのか。いや、こんな暗愚な暴君でも勤まる王国の完成ぶりを褒めるべきなのか。

 彼には判断がつきかねた。

 

「とはいえ口だけでは甲斐もなかろう。

 貴様にはこれを取らす。我が王国に伝わる七大聖剣の一つ、不動の大剣じゃ」

 

 王の護衛の若い騎士がタケシの眼の前に青く輝くグレートソードを持ってきて置いた。どうだ、すごいだろうといいたげな傲慢に満ちたユーグレンの精神的腐臭を感じ取ったタケシはいよいよ目まいがしてきた。

 

(不動の大剣〜? 【インフィニティ・プリズン】三大SSR(しょーもないしょんぼりレア)の一つじゃねえか……。俺も一応は☆9のヤツをネタとして一本持っているけどさあ。これ☆5じゃん……装備してきたら即キックされるレベルだよ?)

 

 文字通りに不動となる大剣。破壊力は凄まじいが動きは大幅に遅れる上に命中補正もなく回避行動は不可能になるというまさに呪いの装備に等しい性能をもつ。

 ☆9になればマイナス補正は失われ多少はマシになるがそこまでする価値は一切ない。

 

「お気持ちはありがたいのですが、私は名より実を頂きたい」

「実じゃと? 剣では不足だというのか。強欲者が」

 

 明らかにユーグレンの機嫌が悪くなった。

 喜ばぬとは何事だ。氏素性もわからぬ野盗同然の輩に宝剣をくれてやろうというのに。と言いたげだった。

 

「そうではなく、ノドカナ村は私の母が産まれた土地なのです。故郷は遠くにありて思うもの……とは言いますが私は故郷に錦を飾りたいのです」

「つまり村をよこせというのか」

 

 ぎろりとユーグレンはタケシを睨みつけた。

 この王の土地に対する執着の強さは相当のものらしい。国土の広さがそのまま国力の物差しとなる封建時代の遺物そのままの考え方に現代人であるタケシは益々この国王への失望を強くした。

(えーとカンペカンペ)

 

「滅相もありません。あの村はドルクニフ様が代官として治安を維持しているのですから私に彼女の補佐役と護衛役を任じて頂きたいのです」

「何だそんな事か……。よかろう、許す」

 

 拍子抜けする位あっさりと承諾すると、

 料理が次々と運ばれてくる。

 確かに豪華かつ宮廷料理人が腕を尽くして作らせた事は察せられるのだが……。

 

(味が全般的にしょっぱいなあ。田舎風の味付けっていうか……)

 

 万理解析で毒は入っていない様ではあるが酷く寒々しい食事である。

 これならジーベンが作ってくれたきのこ汁の方がまだ滋味に溢れた美味さがあるとタケシは思った。

 と、何やら見慣れた料理が運ばれてくる。

 ケチャップこそ入っていないがほとんどハンバーガーらしき料理ではないか。

 

(こりゃまた懐かしいな)

 

 過去生のノスタルジーに浸るのもつかの間。ユーグレン以外に同席している貴族達の視線をそこはかとなく感じたタケシは彼らの狙いに感づいた。

 

(あからさますぎるぜ……俺が異世界転生者かどうか。聖王の生まれ変わりを自称する不届き者だってひっかけてやろうって匂いがプンプンしやがるな……まあ、実際そうなんだけど)

 

 タケシはコミュ障のぼっちではあるが愚鈍ではなかったようだ。

 この世界にハンバーガーやサンドイッチが出来て間もないということはノドカナ村の温泉宿経営やパラノイアからの報告で彼は既に知っている。

 そうしたワケで彼らの狙いを外すためわざとフォークとナイフを使うことでそこを凌いだ。 貴族達やユーグレンは然程気にする様子も見せないか、あるいは舌打ちするに留まるのみであった。

 

 ー

 

(はあ〜、疲れた。もう転移魔法で帰るってのもありかなあ……カーネイジの肌が恋しいよー)

 

 慣れていた筈の一人寝。だが今は何故か寂しさがあった。

 するとガンガン、とドアをけたたましく叩かれる。

 

(誰だよ全く……)

 

 無視したかったが無視したら無視したで面倒な事に繋がりそうな予感を感じ、嫌々扉を開ける。そこには。

 

「よくもこのロベルトに恥をかかせたな! この田舎者が!!」

「うへえ……」

 

(よりにもよってお前かよションベン小僧……どうせアレだろ? 騎士のメンツがどーたらこーたらで決闘しろだのなんだのとか言い出すんだろ? こーいうオレサマッテスゴインダマンは下手に勝つと一生見当違いの逆恨みをしてきて俺達への嫌がらせに奔走するんだ。 知ってる。 だからPVPは嫌なんだ。 PVEはある意味ノーサイドだからまだ楽しめるんだけどなー)

 

「このロベルト、貴様に決闘を申し込む!」

「あ、そういうのいいんで」

 

 バタン、とドアを閉めるや否やタケシはドアに手をかざす。

 

「【八卦防壁】(グレート・ウォール)」

 

 するお八卦炉の様な紋様がドアに浮かび、忽ち強固な結界が張られた。9属性のうち使い手が指定した属性を除く8属性を無効化する高位の魔術である。

 

(ションベン小僧には過ぎた力だが聖属性、邪属性とやらが果たしてコイツで防げるか……試金石にしてみるか)

 

「なっ、なんだこのドアの硬さは!! この程度、聖剣で砕いてくれるわっ! 聖なる加護を今こそ与え給え! ぐぎゃー!!」

(いや、レイザーエッジ程度じゃこの八卦防壁は破れねえから。て言うかこっちの世界の武技やら武器を使ってくれよな)

 

 どすんばたん、とドアの前で独り相撲に明け暮れるロベルトは放っておいてタケシはごろん、とベッドに横になりスキルブックに目を通す。王都で仕入れた【解錠】のスキルブックである。倣うより慣れろの精神でこれまたまずは自分を実験台に使うことにしたのだ。

 

(な〜るほど。何が書いてあるのはわからんが鍵のかかったドアを開くためには何をどうすれば良いのかは何となしに解る。【インフィニティ・プリズン】と違って重ねる、つまり一度に熟練度を大量獲得したり一気に効果や威力を強化できる概念はないって事か。と、なると基礎ステと試行回数とプレイ時間で殴り合うのがこの世界の基本戦術……って事になりそうだ。無課金に優しいバランスも良し悪しだな……)

 

『あ、ロベルトおしっこジョボジョボンじゃん。何してるん?』

『き、貴様!? 私を愚弄する気か!!』

『だって事実じゃ〜ん』

『事実とは言え、言って良いことと悪いことはあるわよミカ……。ジーベン、【解錠】の魔法を』

『え、えーと……開けゴマ』

 

 外ががやがやと騒がしくなってきた。

 無視を決め込むのも良いがあの純朴かつ善意に満ちたジーベンの株を上げてやるのもいいだろう。きのこ汁の恩もある。

 とタケシは思い、自ら解錠する事にした。

 

「おいっすタケちゃん! 今暇? 大富豪やんない?」

「大富豪?」

「へえ。ミカ様がお考えになったカードゲームで王都の間で流行っとるらしいだす」

「まあ、あーしだけで考えたワケじゃないけどね♪」

 

 ミカがにゃはは、と笑っている中タケシは暫く沈黙していた。

 

(これはアレか? 俺が異世界転生者であるかどうかまた試しているのか? 大富豪ってのはローカルルールがやたらあるし。

 このミカって子は見た目より油断はならないな。え、ロベルトも参加すんの……やだなあ……空気読んでくれよな〜……)

 

 とにかく5人で大富豪に興じる事になる。

 当然の様にロベルトは幾度と大貧民となっていたという。

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