ふぅん、デートかよ。
しかしバクシーシはホントクズだな。ナイアといい、書いていて楽しいヤツだが。(隙あらば自分語り)
「ほ〜、へ〜……ふーん……」
デザイア、もとい與久田健、もといタケシは王都の市場をキョロキョロと見渡していた。人化の腕輪を装備した事によりルックスはポリコレに配慮したとかで下の上辺りに落ち着いている。身なりは平民の服だが、人化の腕輪は明らかな高級品なので、その辺はごまかせない。
「あまりきょろきょろしないで下さいよ。田舎者だと思われますんで」
「いいじゃねえか。実際玩迷孤籠のある辺りはド田舎なんだろ?」
「まあ、それはそうなんですけど(厳密にはもう違う)。もう少し威厳というものは出せません?」
傍らの燕尾服姿のワーラビッド……に扮した収奪の悪魔バクシーシがタケシにやんわりと注意するも、彼は全く気にした様子もなく答えて見せた。
端から見れば道楽貴族の放蕩息子とその従者、といった風情だろうか?
(デザイアになる前は職場と家とコンビニしか行き来してなかったからなぁ)
そう考えると目に映るもの全てが新鮮
に見える。ある意味青春が蘇った様な気分にタケシは浸る。
「しかし、そんな格好でいいんですか?」
「いいんだよ。所詮アバターだ」
「いや、もうちょっと身なりを派手にして課金してくださいよ」
(あけずけにものを言うヤツだなあ……。
まあ、おべんちゃら言うよりマシだけどさ)
タケシは苦笑しながらも疑問が浮かぶ。
この【インフィニティ・プリズン】はサービス終了の憂き目と相成ったのに課金をやたら勧めてくるのか。と。
「なあバクシーシ。何でお前、やたら課金を勧めてくんの?」
「もうちょっとオブラートに包めませんかね? そういう所、直した方がいいんじゃありません?」
「うっせえな!こちとらコミュ障なんだぞ!」
「それ、自慢になりませんよ。才能があればコミュ力は必要ないってあれウソですからね? 才能があって更にコミュ力がある。
これが世間の求めるエリートや支配者の姿なんですよー」
(それが出来なかったら俺はゲーム廃人になったんだっての……)
正論ではあるが、正論であるが故に反論しにくい。タケシはぐうの音も出ずに押し黙るしかなかった。
「いや、何で課金を誘導するんだって話をしてるんであって俺のコミュ障云々の話をしてる訳じゃねえだろ。で、何でなんだ?」
問われるとバクシーシは『はて……?』とでも言いたげに考える素振りを見せた。
そこだけ切り取れば美少女ではある。
「強いて言うなら……好きなんですよ。
爆死して引き返せなくなるまでもう突っ走るしかない……。そういうのを安全圏から眺めるのが……」
オリジナル笑顔で微笑むバクシーシにタケシはドン引きする。AIが学習により悪性情報の煮凝りになる、というのはまんざら作り話しだと一笑に付せるものでもないらしい。
「それに、今となってはあのアバター達も我が子の様なものですから♪ 貴方もそうでしょ?」
「それはまあ……そうだが」
(しかし現実の俺がどういう状態になっているか分からん内は迂闊に課金できねえよなあ……そもそもクレジットカードの口座が凍結されているかも分からんし)
その辺りでタケシの腹が鳴った。課金しろと言われようと言われなくとも腹は減る。それは普遍の事実であった。
「因みに魔晶石月500個で不眠不休、飲まず食わずでも平気になれる仙人サブスクがありますよ。あとこの惚れ香水があればNPCを躍り食い放題(意味深)できますよ。今なら有償魔晶石1500個でOKですが?」
「いらねーよ。カーネイジに悪いし……あとうとうと眠ったり、美味い飯を食う楽しみがなくなるのもイヤだしな。
それにだ。
見惚れたのか呆れ果てたのか、そうはっきり言いきるタケシにバクシーシは何も言わなかった。
ー
「おお〜、この鳩の丸焼き美味いなあー!」
「このパンも皮もサクサクしてて、中はモチモチで美味しいですよ」
二人は王都で評判の食堂に来ていた。バクシーシの話では味覚再現度はかなりのものらしく、タケシは舌鼓を打っていた。
因みにテーブルマナーはオートモード(有料)で対処している。
「いや、まさかこの世界に来てからこんなに旨いものを喰えるとは思わなかったぜ。
現実じゃ殆どジャンクフードばっかりだったからなあ……」
と、ふとカーネイジ達の事を思い出す。
曰く彼女達は食事の必要はないらしい。
(彼奴等にも美味しいメシを食わせてやりたいなあ……)
しかし、それは弱点を増やす事にも繋がる。もし【玩迷孤籠】の情勢が変化して食料封鎖と言う事にでもなったらどうなるか。その時に果たして彼女達を守ってやれるかどうか……。
(こいつに相談しても課金させたいから機能追加するだけだろうし……。何かいい方法はないものかな?)
そうこう考えている内に料理は全て平らげてしまった。ふつう骨位は残りそうなものだがそれも胃に納めてしまった。
本体は不定形だから問題ないと言えばそれまでだが。
「それで? この後はどうします?」
「何って……帰って寝るだけだが」
「ええ〜!? そこはフツーギルドに向かって審査用の水晶玉ぶっ壊すとか! ステータスカンスト画面を見せて、『インチキだ!』『デタラメだー!』とか絡んでくるC級冒険者をワンパンでぶちのめすとか! もっとこう……! あるでしょ!」
AI故に情報収集に余念はないのだろうが情報に偏りがある。所謂『信用できない語り手』というヤツだろうか?
(取り敢えずコイツの持ってくる情報は要注意だな……いや、バイアスのない情報なんてこの世に存在しない。俺直属の情報収集のためのbotを何体か作っておくべきかもな。幸い俺は有償ガシャをメインに回していたから配布石やおまけ石は幾らか余裕はあるワケだし)
「こちら会計になります」
「ん……」
丁寧にも識字能力もついている。代金は金貨20枚だそうだ。この世界の相場が解らないがそんなものなのだろう。
「ほい」
ジャラっと小銭でも出すかの様に支払いを済ませるとタケシは席を立つ。
「さて、帰るぞ」
「ええー!?まだ昼過ぎですよー」
「俺はもう疲れてるんだよ……」
ふー……と息を吐きながらタケシはバクシーシを促したが後ろで何やらウェイターが慌てふためいている。
「お客様! お客様!」
(な、何だ!? まさか通貨が違うとか足りないとかってオチか!? 警察はマズい! いや、この世界観なら警察じゃなくて衛兵辺りか!?)
内心ビクビク、ヒヤヒヤしながら勤めて冷静にタケシは振り返る。
「これでは多すぎます! 申し訳ありません! 新人が書き間違えてしまった様で……!」
ペコペコ、とウェイターと新人のウェイトレスが頭を何度も下げる様に客達はくすくす、と嘲笑を漏らす。
「ああ……そういう……」
タケシは胃もたれにも似た不快感に眉を潜めた。フラッシュバックするのは金貸しに頭を下げる両親の姿だった。
「ん……いいよ。お釣りはいらないから。美味いモン食わせてもらったからそれでいいっていいって」
掌をヒラヒラさせながらタケシは振り返らずに去っていく。
「あ、金貨9枚は私が貰っていきますよ。割り勘ですからね。……何だその目は。貴方達は9枚儲かっているんだからいいでしょ。そもそも私がここを推薦しなければ貴方達は銅貨一枚の得もなかったんですから。わかってる? 貴方がた? なら、黙っていろ」
と、堂々とポケットに金貨を詰めるバクシーシの姿は大陸でも三本の指に入る程の浅ましさであった。
(は、恥ずかしい……!! 我ながらイキり散らしたのもそうだしバクシーシのあの浅ましい姿……! 次から入りづれえ〜……!!)
タケシは背中からは冷や汗、顔からは火が出る程の羞恥心に汗を噴き出しながらレストランを去るのであった。
ー
「じゃ、腹も膨れたし裏路地に行くか」
「えっ? 初回無料ってそういう……。こっちも腹を膨らませて、ええいママよ! 何言ってやがる! お前がママになるんだよ! オラッ! 妊め!! ってヤツですか? ……って何ですか! その心からイヤそうな顔は!!」
(いや、単に転移魔法を使うだけだっつーの……町中でそんな高位魔法使ったら目立って仕方がねーだろ!)
もう説明するのも面倒なので無視してタケシは裏路地、所謂スラムのホテル街へと向かう。ここでは何が起ころうとも闇から闇。見ざる、言わざる、聞かざる。殺人が起ころうが痴情のもつれ。そういう不文律がここにはある。
「おい、兄ちゃん。良い女連れてんじゃん。俺達に譲っちゃくれねえか?」
しかし早速絡まれた。こういう輩は何処の世界にも居るらしい。残念ながら彼らは都会のネズミ。田舎のネズミの様な厄災に対する生存本能に欠けていた。
「あ、いいですよ」
「良くねえわ!!」
バクシーシは敬語も忘れてツッコミを入れるがすぐに男達が取り囲む。
「へっへっへ。だってよ。恨むんならあのヘタレでブサイクな坊ちゃんを恨みな!」
「ちょっ、ちょっ!? マジですか!?」
バクシーシの燕尾服を器用にナイフで引き裂くとたゆん♥と小柄で童顔なワーラビッドには不釣り合いな爆乳がまろび出る。
「おお、こいつぁ上玉だぜ……」
「うひょー、こんなの初めてだぜぇ!」
と、小汚い手でバクシーシの爆乳に男が触れる。当に吸い付く様な手触りで溶ける様に柔らかい。男は感動に打ち震えるがその手がピタリと止まる。
「あん?」
「……あ、あれ? 俺の手、俺の手が……!? ないっ!?」
そう。文字通りにチンピラの手首から下が消失していた。彼女の胸はスライムによる偽乳……もとい擬乳であったのだ。
更に……取り押さえていた男の膝も皿や腱が見えるまでに溶解してしまっていた。彼女のワーラビッドの姿は擬態。あらゆる攻撃を飲み込み、吸収、果ては収奪するスライム型の悪魔の化身。
それがバクシーシの正体である。
「うわあああっ!! 助けてくれぇー!!」
『じゃあ有り金全て出せ』
「は、はいっ! ただいま!!」
ない手を必死にポケットに突っ込み、泣きじゃくりながらチンピラは有り金を出して命乞いをする。その様は見ていて憐れですらあった。
『足ンねえじゃねェかよ』
「ええっ!? そ、そんな!!」
『何がそんなだよ。お前さ、自分にもっと自信持ちなよ? そんなはした金がお前の命の価値なの? 違うだろ?』
「すいません! 謝ります! もうしません! もうしませんから!」
『申しません? じゃあこのまま死ぬことに不満はないんだな?』
「うああー! いやだ! いやだーっ!! 死にたくない! 死にたくないよぉ〜っ!!」
当にバクシーシは悪魔の化身であった。本来邪神ロールプレイに興じていたデザイアならばこれを愉悦とし、絶望と恐怖の中で死んでいくチンピラの憐れな姿を晩酌の肴にでもするのだろうが……。生憎今の彼は與久田健、もといタケシである。
「あー、もうやめだやめだ。つまんねーよ。こういうの……」
といって回復術をチンピラ二人にかけてやる。文字通りに2人は九死に一生を得た。
でも膝も元通りに、いやそこだけ10代さながらの若々しい姿になっていた。
「あ、ありがとうございます! ありがとうございます!」
「この御恩は忘れません!」
「いいから行けよ。あと、この事は忘れて人にメーワクかけずに真面目に働けな」
と、タケシが言うと2人はワーラビッドでもないのに脱兎の勢いで逃げていった。
「全く……。何やってるんですか。あんな奴らサクッと殺せば良かったんですよ。折角の異世界憑依なのに……邪神のくせにヒーローぶっちゃって」
「うるせえ。黙ってろ」
無詠唱で転移魔法を発動させ、2人は邪神の褥へと戻った。
ー
「お帰りなさいませ。デザイア様」
「あ、ああ……」
まるで新妻の様に褥で三つ指をつきながらカーネイジはデザイアを出迎える。その姿に彼の怒りは忽ち消火された。
「待っていてくれたのか」
「当然です。私はデザイア様の巫女であり剣にして盾ですから」
その表情には主への敬慕と忠誠に満ちており甘えや媚びなどは一切感じられない。
「剣や盾……か。それは困るな」
「そ、それは……デザイア様のお力の前では私如きは蟻にも劣るのは明白ですが……」
「いや、そういう意味じゃねえって」
「えっ……?」
その言葉に彼女はきょとんとした顔を浮かべ、ぎゅっとデザイアに抱きしめられた。
「で、デザイア様!?」
「剣や盾になられちまったらこうやってお前を抱きしめられねえじゃねえか。お前はトロフィーやコレクションなんかじゃなくて俺の女神様なんだからな」
「……勿体なき御言葉です♥♥♥」
ここは褥。交わる事に何の不都合があるだろうか。況して主従ではなく心通じ合う男女なのだから。
「今日は一段と綺麗だぜ。俺が居ない間寂しかったか?」
「はい……♥♥♥とても♥」
「ゴメンな。今度はバクシーシじゃなくてお前と一緒に出かけるからさ。どこか行きたい所ってあるか?」
唇を重ねて後、デザイアはカーネイジに尋ねる。まるでデートの約束を取り付ける様に。
「デザイア様とならば風吹けば地の果てまでも♥」
「お前って詩人だな。ははは。けどポエミー過ぎるのも困りもんだ。もうちょっと具体的に海とか山とか、そういうの言ってみてくれよ」
「では、近くに農村がある様です。そこは丁度共和国と皇国の緩衝地になっており状況を確認するのが肝要かと」
「そっか。 詩人かと思えば名参謀。お前は本当、俺なんかに勿体ないくらいのパートナーだな」
「勿体なくなんてありません♥デザイア様の為なら私達は何でも致しますわ♥」
胸を弄りつつベッドにカーネイジを横たえるとデザイアは彼女を愛撫する。
「あっ♥んん♥♥♥あぁ♥♥♥」
「お前は本当に可愛いな。ほら、こっち向いて舌出せよ」
「んんっ……んむぅっ♥」
先程の美食など比較するのも烏滸がましい極上の旨味とこの地上のあらゆる楽団であろうとここまで彼の心胆を揺らす事はないであろう嬌声が彼を包み込む。
「お前の口の中、熱いな……蕩けそうだ」
「ふふ……デザイア様もですよ?こんなに硬くなって……♥」
「ああ……今すぐ欲しいよ。良いよな?」
「はい。どうぞ、私の中に存分に吐き出してくださいまし」
そう言うと彼女は自ら脚を開き、両手で割れ目を広げる。既に蜜壺からは洪水の様に愛液が流れ出し、シーツに大きな染みを作る。
「ああ、とんだ無礼を……♥」
「何が無礼だよ。お前はそんな事を気にする必要なんてないさ。ほれ、無礼講って言うだろ? それだよ」
「ブレイコウ……? 申しわけありません。卑小なる私めにはデザイア様の託宣の真意が掴みかねます……はうっ♥」
くちゅっ♥ とデザイアの指がカーネイジの蜜壺の入り口をほぐしていく。優しく、静かに、だが確実に彼女の理性と本能を同時に責め立てる。
「ああ……ああん♥」
「どうだ、気持ちいいか?」
「はい♥ああ、デザイア様の指が私の中に入ってきています♥ひゃうんっ♥」
「もうグチョグチョだな。大洪水だ」
「申し訳ございません……♥」
「だから無礼講だっての。今お前は俺に何をやってもいいんだって」
「では、愛の告白をしても宜しいのですか……?」
褐色の肌が喜色と血色に染まり、瞳孔をハートマークにしてカーネイジはデザイアに問い掛ける。そんな彼女がデザイア、否、與久田健には堪らなく愛しい。
「ああ、勿論だとも。俺はお前を愛してる。そしてお前は俺に愛されてるんだ。それがこの世で一番幸せなんだよ。
というかそれは無礼じゃなくて大歓迎だな」
「デザイア様……あ、あぁっ♥嬉しい……♥嬉しいですっ……♥」
「ほら、お前のここ、俺のが欲しくてヒクついてるぜ。入れていいよな?」
「はい……♥♥♥」
その言葉と共に彼は己の分身をカーネイジの秘部に差し込んだ。寧ろ回帰とも言うべき満足感。欠けていたものが埋まる感覚。その快感にデザイアは思わず身震いした。
「はあ……あぁ……♥デザイア様が私の中で脈打っています……♥あぁっ……♥♥♥」
「動いて大丈夫か?」
「はい……♥お気遣い感謝いたします♥」
デザイアはゆっくりと腰を動かし始める。相手を尊重し、決して自分勝手にならない様に。
「あっ♥ああ♥ああ♥んん♥ん♥♥♥」
「カーネイジ、カーネイジ、カーネイジ!」
「はい……♥私はここにおります♥ああ♥デザイア様、デザイア様っ……♥」
お互いの名前を呼び合い、二人は一つになる。その悦びと快楽は何物にも代え難い。
「ああ、もっと♥もっと激しく♥もっと激しくしてくださいぃっ♥♥♥」
カーネイジは副官にして巫女の立場を忘れ、デザイアの背中に腕を回し、脚を絡めてより深く繋がりを求める。
「わかったよ……! カーネイジ……好きだ、好き、大好き、愛してるんだ、カーネイジ!!」
「私も♥私も愛しております♥デザイア様、デザイア様ぁ♥♥♥」
デザイアの肉棒が子宮口をノックする度にカーネイジは絶頂を迎え、結合部からはぷしゅっ♥ぶしゃっ♥と潮が噴き出す。
「ああぁ♥♥♥イクっ♥またイキますぅっ♥♥♥」
「俺も……そろそろ出る……ッ!! 受け止めてくれ……ッ!!!」
「はいっ♥♥♥ 賜りますっ♥♥♥ デザイア様こそ私の全て♥貴方様の子種をどうか今だけは♥ この私のみに注ぎ込んでくださいましぇ~っ♥♥♥」
どぴゅるるるるるるるるるるるるる!!!勢いよく噴出された白濁色の欲望がカーネイジの子宮を満たす。
「はうぅ……♥♥♥熱い……♥♥♥」
「はー……はー……」
デザイアの息も荒くなっており、それだけで彼がどれほどの興奮と激情を抑え込んでいたのかが解ろうというものだ。
「カーネイジ。もう一回だ」
「はい♥喜んで♥ 貴方が満ちるまで幾らでも♥♥♥」
そう言うと二人は再び体を重ね合う。
──―結局、彼らが部屋を出たのは太陽がうんざりしたかの様に洛陽の時を過ぎてからであった。
◆
一方その頃。
「で、デザイア様は街の果実商を相手にし、この紅い果実について興味を示しておりまして」
「ふむ。デザイア様はリンゴなるものに興味がありんすか。『告発』はどう考えなんし?」
ここはプルータルの私室。バクシーシの報告にプルータルは自らを取り巻く3体の死霊の一体に意見を求める。
『カカカッ。知らねえな。知らねえな』
カタカタと歯を鳴らしながら『告発』と呼ばれた死霊は答える。戦闘においては相手に無理やり弱点属性を付与するというチートスレスレの技を使うのだが、今回はそのスキルの使いようがない。
「おふざけなんし……。いえ、わえが阿呆でありんした。『弁護』はどう思うんし?」
『キキキッ。 解らない。 解らな〜い』
猿の様に歯をむき出しながらこれまた死霊は答えた。
「……あんたらは本当に使えぬのう」
「あ、あの……やはりデザイア様には私めが直々にご報告を」
「バクシーシ、あんさんは黙っとくんなまし。『裁定』は?」
『クククッ。結論。 デザイア様は無罪……ぐへっ!?』
まさにリンゴを圧砕するかの様にプルータルは死霊である筈の『裁定』を圧縮、破砕する。
「デザイア様に罪の有無を問う? あまりふざけた事を言うな。殺すぞ」
「「「ひ、ヒエ〜……ッ」」」
廓言葉を忘れて凍てつく殺気を私室全体に放つ彼女にバクシーシとウマーマンとバッファロウは震え上がった。
外征部隊を纏める彼女は実働部隊としてマスクデータの戦闘経験値を積んでいる。故にステータス以上のスペックを秘めているのだ。具体的には物理貫通が最たるもの。耐性も無効も反射も彼女の握力に干渉できない。傍若無人なバクシーシですら彼女には畏まるのはこれが理由だ。あと、意外にシャレが通じないというのもある。
(そんなだから処女ビッチなんだって……。言ったら殺されるから言わないけど)
「あっそうだ! (唐突) デザイア様がレストランに行った時にですねー! 鳩の丸焼きとアップルパイを食べたんですよ!!
その時に『こりゃ美味いなー! プルータルにも食べさせてあげたいなー!』と言っておりまして〜。へへぇ……(諂いの大嘘)」
「まあ……♥わえ如きなどにそこまで♥デザイア様……なんてお優しい……♥」
頬に手を当てて微笑むプルータルに単純な女だ。とバクシーシは内心ほくそ笑んだ。が、それがいけなかった。
『キキキッ。解っている。解っているぞ。この女悪魔はウソを吐いているぞ』
そう、相手に弱点を付与する『告発』に対し『弁護』はプルータルへ耐性を付与するのである。この場合は精神への耐性が付与される。つまり、バクシーシの嘘はあっさり看破されてしまうわけで。
「あ、あぁ……!! 違うんです、プルータル様!! これはウソではなくてですね!! (必死)」
「お黙りなんし!! わえを騙そうとするとは!! 『告発』!」
『カカカッ! 知っている! 知っているぞ! お前は打撃に弱いな!!』
「あっ!? やめろ! やめろぉーっ!?」
頬桁を打たれるや打撃が通じない筈のスライムボディが見る見る腫れ上がっていく。『告発』の効果はバクシーシにも作用する程強大無比。
「うぎゃーっ!! 痛い、痛いです!! 許してくださーい!! あっ、靴舐めます。ペロペロペロ」
この世界の悪魔は極めて弱肉強食の思想が強い。強いものから生き残るためには徹底して媚びへつらい恥も外聞もなく生き残れる手段を徹底して選択するのだ。反面弱いと見たら徹底的に搾り取るが。
「はあ〜……バカなヤツだよなバクシーシも。姐さんあのパンチメッチャ痛いんだぞ」
「だよな〜。オレ、アレ食らった時2日位まっすぐ歩けなかったもん」
ウマーマンとバッファロウは顔を見合わせながらプルータルの私室の隅でボソボソ喋っている。
「ウマーマン! バッファロウ! 何をグズグズとしておりなんし! そのリンゴとやら! マサクゥルの所に向かって徹底的に調べ上げるざんす!」
「「は、はい〜〜っ!!」」
自分らにも塁が及んでは叶わないと2人は直立不動になり、リンゴの検分を始めさせるのだったとさ。
カーネイジ 暗黒の巫女(エビルプリーステス)
空気を遮断したり、圧縮してブラックホール擬きを作ったり核融合爆発を起こしたり、杖から独自計算ダメージビームを連発とムチャクチャする女。地獄の君主かお前は。
デザイアが死なない限り彼女も死なないので邪神の褥にて何度でも一歩野良エンカで襲ってくるというクソギミックがある。
デザイアを愛している。
プルータル 不死の王女(ノーライフ・プリンセス)
告発、弁護、裁定の死霊がスタンド。
スタンド3体とかお前はオルロワージュか何か?
告発で弱点付与、弁護で耐性獲得、裁定で即死というクソギミックがある。
数少ない弱点としてブレス以外には単体攻撃しか持っていない。
デザイアを愛している。
珍しく命名法則から外れているのは初めて作ったマイアバターキャラだから。 財貨を齎すプルート(冥王)から取ったらしい。