マサクゥルがデミえもん枠になりつつある。
「きゃは♥ きゃは♥」
ここは【玩迷孤籠】の一角であるマサクゥルの研究ラボ。
そこで大小様々な女……もとい木霊の女達がタケシとマサクゥルの下に参じていた。
木霊、もといピュアトレント。ダースプランターのマサクゥルの下僕であり、木偶人形と呼ぶにはあまりにも精巧かつ淫靡な身体のつくり。
並の女中や娼婦では太刀打ちできない程の美女ばかりである。肌色も質感も人間そのもの、唯一の違いは髪の色と瞳が悉く緑という事くらいのもの。そんな美女が十数人、タケシに傅いているのだ。その光景を見れば、この世界の男達は皆一様に思うだろう。
───羨ましいッ!! と。
「キハハハハ! いかがでしょうかタケシ様! 我等が作り出したピュアトレント達の感想は?」
「いかがも何も……求めていたものとはレベルが違いすぎるぜ。ヤバすぎんだろ……!」
マサクゥルが席を外したら即座に酒池肉林を堪能してしまったであろうほどにピュアトレント達は魅力的に過ぎた。タケシは自制心とカーネイジやファトゥムといった自身に尽くしてくれる献臣の存在によりかろうじて踏み止まることが出来たが、もしそうでなければ……と思わざるを得ない。
「キハハハハ! お気に召して頂けたようで何よりです」
「ああ、正直こんな美人揃いだとは思ってなかったからな。感謝するぜマサクゥル」
「お褒めの言葉、恐縮の至り……。して、この者らを如何するのです?」
「それは温泉宿で働いてもらうのさ」
ノドカナ村は廃村間際なだけあって若者が少ない。調理や接客はともかく、単純な肉体労働や風俗、娯楽に関しては深刻な人手不足なのだ。
「では、恐れながら王都の若者を雇えば良いのでは?」
「人間(NPC)は信用できねえ」
マサクゥルの言葉を裁断ハサミで刈り取るかの様にタケシは断言した。
カーネイジやファトゥムによって癒やされたといえ彼の半生とデザイア事変によって醸造された彼の人間不信は根深いものとなっていた。
「キハハ! タケシ様のお考え、我等にはよく分かりますぞ」
「分かっているならいい」
しかしマサクゥルの考えは違う。
何故ならば……。
『温泉宿にあるカジノの客は基本的に勝たせろ?』
『ああ。没落気味の貴族やら、次男、三男辺りは特にな』
『何故です?』
マサクゥルはタケシ、もといデザイアの注文に疑問を抱いた。所詮人間など下等生物。全て平等に立ち枯れになるまでに絞りとればよいではないか。金も誇りも失ったものは何にだって宿り木の様に縋り付く。
それが自分の首を括る処刑用の縄であろうともだ。というのがマサクゥルの考えである。しかし、デザイアは更にその先を見ている様であった。
『いやな。財布が膨らめば欲の皮が突っ張るってもんじゃないか? それでこの村を贔屓にしてくれれば万々歳だ』
(そうすればドルクニフもノドカナ村も有名になるし、マサクゥルの研究費だって稼げるもんな〜)
マサクゥルは集合知を以てデザイアの真意を演算する。集合知とは常に最適解に極めて近い答えを出すものだが、今回は事情が異なる。それはあくまで一切のバイアスがかかっていない公平かつ公正な場合に限る。 造物主たるデザイアに対し、偏りに偏った賛美、私淑、称賛に満ちている彼らの頭脳はこう結論を出した。
デザイア様こそ人を良く知りたるもの。
その権謀術数には我等如きが及ぶものではない。
まず、上昇志向に満ちた成り上がりが富めば次に何を望むか? 軍閥が王朝を脅かし、更には革命を成した事例など枚挙に暇がない。 革命といかずともいい。軍閥化した外戚や豪商上がりの新興勢力の勃興に対しての恐怖に駆られた王国は過度な軍拡により国民全員に重税を強いるだろう。そうなれば国民の怒りはいずれデザイアにではなく王国に対して爆発する。
更にそこまでゆかずども、豪商や貴族の類は得てして聖人ヅラを下げながらも俗物にして漁色家、異常性愛者の巣窟である。
その点もピュアトレントならば殆ど全てのニーズに答える事が出来る。
古来より秘中の秘は閨から漏れ出るものだ。まさか身請けした愛玩物に盗聴機能や録画機能まで有しているとは夢にも思うまい。
獣にも劣る異常性愛は充足させたいくせに露見するのは病的なまでに恐れる。
そのどちらでもない半端ものであってもそうした輩には自らが開発、採掘した宝石類やら貴金属、一部オーパーツを売りつけてやれば回収は容易だ。
悪銭身につかず。浪費癖はいずれそうした輩は破産寸前まで追い込まれ、ファトゥム、つまりは自分たちに庇護を求める様になるだろう。
それ故にデザイアは「人間は信用できねえ。(だが利用はできる)」と断言したのだ。
防諜機能の破壊、名家の醜聞仕込みならびに外患誘致。
【玩迷孤籠】を富ませながらも王国を蚕食する寄生虫どもの養育。
更に獅子身中の虫すら容易く飼いならし、王国への刺客へと変貌させる。その手腕と知略はまさに無類無双。マサクゥルは改めて自らの主人への崇敬を一層強めた。
「で、あれば我等如きが差し出口を挟む余地などはございません」
「おいおい。よせよ。お前の智慧がなければ俺なんてただの案山子さ」
なんとありがたい言葉であろうか。
植物の天敵は鳥。その鳥から木々を庇う役目を果たすのが案山子である。
つまりマサクゥルはデザイアにとって守るべき存在であると認めてくださったのだ。
カーネイジ、ファトゥム、メガデスの様な色香も美貌もない見た目の自分の価値を認めてくだされた。これはいよいよ樹液の一雫に至るまで絞り出し、忠義の誠を尽くさねばなるまいと決意を新たにした。
「ところでタケシ様。一つお願いがあるのですが……」
「なんだ? 俺でできる事ならなんでも……っておいおいおい!?」
タケシは仰天した。なんと禍々しい大木の枝からひときわ巨大な実がなったかと思えば中から産まれたのは先にあげた三者にも劣らぬ美女である。
髪は緑、肌色は白磁、瞳の色は藍色で……その豊満な肢体は三者の肉体と比しても遜色がないだろう。
そして特筆すべきはその容姿だった。顔立ちは整い造形の美の極地。まるで人形の様に精緻かつ精密に作られたような美しさだ。そして大木形態のマサクゥルはスリープモードに入ったかの様に沈黙していた。
「ど、どうした?」
「恐れながらタケシ様♥我等にも名と、子種を頂戴したいのです♥」
「子種……っておま? な、なんで?」
タケシもまた固まり、絶句する他なかった。すると回りのピュアトレント達が囃し立てるかの様に声を出す。
「きゃは♥きゃは♥」
「きゃは♥きゃは♥」
まるで(何をしている。早く我々の母を犯して雄を魅了する手本を教示しろ)と言っているようだ。
「はい♥」
ひし、と抱きつかれると香木のような甘い香りが鼻腔をくすぐる。
「ちょ、ちょっと待て! 落ち着け!」
タケシは必死に理性を振り絞るが、本能がそれを許さなかった。目の前の女の身体が、匂いが、温もりが、全てが彼を狂わせる。
「これも【玩迷孤籠】、ひいてはデザイア様のためなのです♥お咎めは覚悟の上♥どうか御慈悲を♥」
(な、なんでこうなっちまうんだ!?
でもマサクゥルはめっちゃ美人だしスタイルも抜群だし……! いやいや!! カーネイジが許してくれたとは言えどれだけ不義理を重ねりゃ気が済むんだよ俺は!!!)
葛藤は激しかった。
「カーネイジ!! 来てくれー!!」
咄嗟に腹心の名前を呼ぶと、文字通り空間を引き裂いてやって来た。その表情に険しさや怒りの色はなく落ち着いた様子である。
(怒ってない……? やった!)
「マサクゥル。一度控えなさい」
腹心として、いや正妻として厳粛な声で命じる。その姿は王朝を興す女帝の貫禄。
階層守護者としてもカーネイジはマサクゥルより格上である。不承不承ながらマサクゥルは引き下がる。
(ふ〜、助かった! でも一度ってのが気になるんだけど……)
「助かったぞ、カーネイジ(キリッ)」
「いえ……」
下げられたズボンを引き上げながら顔だけは引き締め、タケシは礼を言う。しかし内心の動揺は隠しきれていない。
「それよりも、マサクゥルとこのモノらに教示をなさいましょう……デザイア様♥」
「え、なにそれは」
台風を打ち消したよりより強い暴風雨であった。カーネイジは忽ちのうちにタケシを押し倒し頬に口づけをする。
「よーく御覧なさいものども♥デザイア様から寵愛を賜る時は身も心も捧げて奉仕するのが作法です」
「きゃは♥ きゃは♥」
「成程……勉強になります」
(そんな……!? 声まで変わって!?)
マサクゥルの変化に古いCMの文言を思い出すタケシであったがそんな彼の勃起したチンポを勝手知ったるカーネイジの指が巧みに責め立てる。
モンスター達とはいえ衆人監視の中で事に及ぶ、それもカーネイジの様な言われずとも奮い立ってしまう様な美女と肌を重ねるという行為に少なからず興奮しているのか、タケシの肉棒は直ぐに硬度を増す。
「ああ……こんなにも逞しく、屹立して……♥♥♥ 本来ならばもう少し前戯に時間をかけ、デザイア様に悦んでいただかなければなりませんのに……♥ どうか私の我儘をお許し下さいまし……♥♥♥」
発情した猫の様にしゅるり、と移動したカーネイジは騎乗位の姿勢で腰を落とす。既に準備万端の彼女の秘部は愛液で濡れそぼっており、タケシの剛直を易々と飲み込んでゆく。
「あ、あっ……くぅっ……!!!」
「ん、くっ♥ ふあぁっ♥」
危うく気を飛ばしかけた2人はがっしりと両手を恋人の様につなぎ合わせ、結合の快楽と充足感に身を震わせた。
「はあ……♥はあ……♥では、すぐに、動きますから♥♥♥」
「お、おお……」
宣言と共に月見て跳ねる兎の如く、カーネイジは激しく腰を動かし始めた。
ぶちゅっ♥ ぶちゅぶちゅ♥と結合部からは卑しい水音が響き、めりめりとカーネイジの細身からは想像もつかない膂力によりタケシの剛直が埋まっていく。
「あ……ふうぅ♥♥♥ これっ♥♥♥ すきですっ♥♥♥ デザイアさまのちんぽっ♥♥♥ ふきあがるっ♥♥♥ ふくらんでっ♥ おなかのなかをっ♥♥♥ おしひろげてえぇ……♥♥♥」
それが嬉しくてたまらぬ、と身を揉む仕草をしながら乳肌を汗ばませ、艶めかしく身体を揺らす。その度に膠の様に粘りを増した淫水が、肉棒をコーティングしていく。
「あ、ああ……いいぞ、カーネイジ……!」
「光栄ですわ♥デザイアさまぁ……♥ひぐ、あっ♥ くぅぅん……♥♥♥」
雌犬じみた嬌声をあげながらも懸命に主人の望みに応えようと健気に腰を振る。
その痴態にタケシはついつい彼女の臀肉を愛犬家のように撫で回す。
「きゃは♥ きゃは♥」
「きゃは♥きゃは♥」
ピュアトレント達は目を爛々と輝かせて上位種達の交尾に見入っていた。
「あ、ああっ♥いいっ♥きもち、いい♥」
「ああ、そうだな……」
上体を起こしながらタケシはカーネイジに告げた。何か不手際があったのかと彼女は不安に駆られる。
「申し訳ございません……至らない点がありましたか?」
「いや、最高だ。お前は俺にとって最高の女神さ。だからさ……」
タケシ、もといデザイアが人化を一旦解除し、髑髏仕立ての玉座と人間、そして数多の触手が融合を果たした姿に変化していく。
通常の美意識の持ち主ならばそのグロテスクさに目を背けるか、或いは恐怖に慄きそうなものだったが……。
「思い切り皆に見せつけてやろうぜ……」
「はい♥ 見せつけます♥♥♥ このカーネイジがデザイア様の正室で序列一位であるということを♥♥♥」
自ら率先して電気椅子に座り込むように、カーネイジはデザイアに寄り添った。
「じゃあ……いくぞ……!!」
「はい♥ おねがいします……♥♥♥」
そして調教じみた倒錯的な和姦が始まる。
「おおぉっ♥♥♥ ほおぉーっ♥♥♥」
膣穴のみならず尻穴にも差し込まれる剛直が内部で撹拌機の様に変化してカーネイジの胎内を掻き回す。真空の鉤爪で掻き毟られるかのような凄まじい感覚ながら痛みなどまるでない。この世のものとは思えない邪悪で淫靡な隷属快楽にカーネイジは絶頂しっぱなしであった。
「くくっ、どうだ。カーネイジよ。私が齎す快楽の感想は? ドルクニフのヤツはあやうく狂いかけそうになってしまう程のモノらしいが……」
「はひっ♥♥♥ はへっ♥♥♥ き、きもちぃれす♥♥♥ デザイアしゃまのおちんぽきもちよくってしあわせれす♥♥♥ あたまおかしくなっちゃいますぅ♥♥♥」
「それは良かった。私も気持ち良いよ。この世で一番のお気に入りの女を意のままに犯せるのは実に気分が良いものだな」
ロールプレイの一環ではあるがデザイア、もといタケシの言葉にカーネイジはゾクゾクとした快感を覚える。
「はいっ♥ ありがとうございます♥♥♥ カーネイジを、あいしていただけて、うれしいれすっ♥♥♥ おまんこ、もっと、いじめてくださいっ♥♥♥ カーネイジのおまんこと、けつまんこめちゃくちゃにしてくださいぃ……♥♥♥」
「ああ、任せておけ。存分に可愛がってやるとも……」
吸盤付きの触手がカーネイジの裸体を彩る様に纏わりつく。首筋から乳房、臍から股間に至るまでに吸い付き、舐め回し、時には優しく愛撫する。
「ああ、あ、あ、あぁ……♥♥♥ き、きもひいい……♥♥♥ しゅき♥ このよでいちばんデザイアさまが♥♥♥ しゅき♥ だいしゅき♥♥♥」
「嬉しい事を言ってくれるじゃないか。カーネイジ……♥」
「ひゃうん♥♥♥」
耳元で囁かれただけでカーネイジは軽く達してしまう。そのあられもない姿にピュアトレントは勿論、マサクゥルまでもが呑まれてしまっていた。
ピュアトレントの中には教わってもいないのに触手を自ら舐めたり、乳房や臀肉に挟んだりしている個体すらいた。
「あ、あ、あ、あぁ……♥♥♥ だめ、イク、イッてますぅ♥♥♥ わらひ、もうイキすぎて、らめになってますからぁ♥♥♥」
「大丈夫、まだまだイケるさ。私はカーネイジのことが大好きだからな。もっともっと愛し合おう……♥」
「あ、あ、あ、あ……♥♥♥ ありがと、ござ、いま……あはあーっ♥♥♥」
ピュアトレント達の快楽まで触手からフィードバックされてはカーネイジですら成す術がない。
「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ♥♥♥ あはははっ♥♥♥ また、イグぅぅぅぅぅぅっ♥♥♥ くるう♥ くるう♥♥♥ デザイアさまのおちからで♥♥♥ くるくるぱあになっちゃいますぅぅぅぅぅぅ♥♥♥♥♥♥」
「ああ……カーネイジ様ですらあんなに乱れて……♥」
マサクゥルは自らを慰めながらデザイアの力量に改めて心服し、同時に自らの主であるタケシの偉大さを再確認した。
「はあ……はあ……♥ デザイアさま……♥ お慕いしております……♥」
「そうか……マサクゥルよ。では、褒美だ。女性態のキサマに新たな名と子種をくれてやろう。キサマはその姿の時はコハク、と名乗るのだ。良いな」
「あはあ……♥ その名に恥じぬ様に……数多の時が過ぎ化石となろうとも永遠の愛と忠誠を……コハクは誓います……♥」
「ああ、それでいい……」
そしてペニスを模した一際巨大な先端を持つ触手がカーネイジ、もといコハクの秘所に突き入れられた。
「おごっ!? おっごおおおおおお!!!!」
子宮口を貫かれるような衝撃と激痛に白目を剥いて絶叫する。だが、それは一瞬のことに過ぎなかった。麻酔、いや麻薬の様に放出された粘液が快楽神経以外の全ての感覚をコハクの肉体より消去したのだ。
「さあ、大いに乱れてよがり狂えコハク。私の愛妾として、失望させるな」
「はいいっ♥♥♥ はいっ♥♥♥ あいしてます♥♥♥ デザイアしゃまあぁ♥♥♥ んぎぃっ♥♥♥ ふああっ♥♥♥ すごっ♥♥♥ しゅごい♥♥♥ おほぉっ♥♥♥ おほおおおおおおっ♥♥♥♥♥♥」
快楽と絶頂の波がループする快楽天獄の檻にコハクは身も心も囚われていく。
「おおぉっ♥♥♥ おほっ♥♥♥ おほぉっ♥♥♥ イグっ♥♥♥ イグぅっ♥♥♥ イギっぱなしれすっ♥♥♥ きもちよくって、わらひ、こわれちゃいますううううううううううっ♥♥♥♥♥♥」
「はははっ! 壊れても私が永遠に愛してやるぞ。安心するがいい」
更に数多の触手がピュアトレントたちの処女穴と尻穴を一騎当千の極上雌穴にして搾精器官へと作り替えてゆく。その淫靡にして凄絶な光景を見ながらカーネイジもまた幾度と知れぬ絶頂を迎えていた。
「あへぇ……♥♥♥ しゅごひぃぃ……♥♥♥ あはぁぁ……♥♥♥」
「カーネイジ、そしてコハクよ。そろそろ仕上げといこうじゃないか」
「はひ……♥♥♥」
快楽で蕩け切った表情でコハクはデザイアの玉座の飾りに寄り添い、その唇に己の舌を差し出した。
「あむ……れちゅ……♥♥♥ じゅるるる……♥♥♥」
「そうだ。上手だぞ、コハク」
「あはぁぁ……♥♥♥ うれしぃ……♥♥♥ デザイアさまぁ……♥♥♥」
そして仕上げとばかりに全ての穴に所有者が誰であるかを示すかの様に大量の精液、あるいは隷属粘液が注がれていった。
「「「きゃはあああ〜〜〜っ♥♥♥」」」
淫獄の扉を開かんとばかりに嬌声の斉唱が研究ラボに文字通りに木霊していった。
ー
(ま、またやっちまった……エロゲ主人公だってここまでムチャクチャしないぞ……)
最下層の邪神の褥。もとい今はタケシの寝室にて彼は自己反省モードに入っていた。
(な〜にが壊れても永遠に愛してやるだ! 調子のんなハゲ! いや! ハゲてねえから!)
改めて自分の浅ましさと節操のなさがイヤになる。どの面をして愛と平和などと謳っているのか、とタケシは頭を抱えていた。
「ヌシ様……ヌシ様♥」
そんな彼にそっと転移してきてブルータルは寄り添う。カーネイジ、メガデス、ファトゥムに続いて遂にはマサクゥルにまで出し抜かれた彼女はある意味必死であった。
「お、おう。ブルータルか」
「なにかお悩みでありんすかえ?」
まるでヒルの様にタケシの体に纏わりつき、その豊満な乳房を押し当てる。
「いや、俺はどうにも他人の扱いが下手糞だと悩んでいてな……」
「ならば妾が手ほどきを致しんす。さあ、こちらへ……♥」
「あ、今はそういうのじゃなくてさ」
「はええっ!?」
流石にデザイアの精力はともかく欲望も無限ではない。先の乱痴気騒ぎによる消耗はともかく、マイアバターキャラをこれ以上自らの色欲を満たす玩具にすることへの罪悪感もあった。ある意味賢者モードというものか。あまりに予定外の事態にブルータルはへなへな、と褥にアヒル座りをしてしまう。更に……。
「あ、そう言えばな。ウマーマンとバッファロウから聞いたぞ。またあの2人に八つ当たりしたらしいじゃないか。俺に文句があるのは解るけどさ。彼奴等にパワハラするくらいなら俺に直接言ってくれよ。そういうのは良くないぜ。なっ?」
ポンポン、と頭を撫でながら諭される。
「う、うう……ヌシ様ぁ……!」
「それに、だ。お前のことは大好きだよ。
勿論、メガデスやコハク、カーネイジもな。でも、だからこそ、な。俺は皆のことを愛しているんだ。だから、その、なんだ。あんまり、無理してほしくないっていうかさ」
「い、イケずぅー!!」
ブルータルは流石に暴力は振るわなかったが当に涙目敗走。転移魔法で自室に引きこもりまたしても泣き濡れて1夜を明かしたとか明かさなかったとか……。
そして、その頃とんでもない事態が巻き起こりつつあった。
ー
「おうおうおう! 何者かは知らねえが! この村は今、タケシ様のものでい!! 許可のねえ余所者はとっとと帰りな!」
「そうだそうだ! 今何時だと思ってやがんだこのカッペども!!」
今はノドカナ村の門番をしているウマーマンとバッファロウが夜中にやってきた馬車の一団を堰き止めていた。
馬車はどれもこれも豪華極まる作りなのだがデザイアの所有する黄金の戦車と比べれば子供の玩具の様なものだった。
「ふむ。これはこれは、失礼いたしました。ではこの聖女をお守りする先遣隊を束ねる聖騎士ロベルトが力づくにて押し通ることにしましょう」
何やら蛇のような目つきで色白な美青年が剣を構える。だが、ウマーマンは鼻で笑った。
「おいおい、あんちゃんよお! 武器を構えたってことは俺とやるって意味だぜい!
バッファロウ! 手を出すなよ! このあんちゃんに世の中の仕組みってのをきっちり解らせてやるからよお!」
「おう!」
ぺき、ぽきと指を鳴らしながら鼻息荒くウマーマンは見栄を切る。
「成程、好戦的だな……田舎の召喚獣というのは。馬の糞にも劣る」
ロベルトは心底見下した表情をしながらいやだいやだと首を振る。
刹那、バチバチと抜身の刃から紫電が走る。おそらくはタダの武器ではないだろう。
「んだそりゃ?」
「ふっ、これはシャヨーノ王国に伝わる七大聖剣の一つレイダーエッジ。これにかかれば岩などバターの様に軽く切れる。それに我が剣技が加われば、もはや如何なる敵も塵芥よ」
「バッカじゃねえのかオメー? バターを切るならバターナイフでいいじゃねえか。そんなこと村のガキでも知っているぜ」
はあ……とロベルトは呆れ果てた様子で溜息をつく。このバカな召喚獣とはこれ以上話もしたくない。さっさと始末してドルクニフとタケシとやらに詫びを入れさせ、どんな無理難題をふっかけてやろうか。という聖騎士に相応しくないゲスな考えが脳裏に浮かぶ。
「では死ね。恨むならばキサマをそんな醜く脆弱な肉塊に作り上げた魔界の神を呪うのだなっ!! 四爪裂斬(クアドラル・スラスト)!!」
その自信に相応しく、ロベルトから放たれたのは一瞬で獣が爪を振り下ろすかの様な四連の同時斬撃。これを防げるものはまず王国には存在しない。
だが……。ウマーマンには防ぐ必要もなかった。
「ふんっ!!」
なんと胸筋だけで斬撃のエフェクトを打ち砕いてしまったのだ! 無論、無傷。
「なあ〜んだそりゃあ? 確かにバターを5等分する時にゃあ便利そうだなあ? あと、それ、レイダーエッジじゃねえ。レイザーエッジだ。顔はいいのに頭悪いなおめー。間違えるなバカ」
ぶひひん、とウマーマンが嘲りながら挑発する。明らかに格が違う。傍目にはそれはありありと解るのだがロベルトは違った。
(ば、バカな!! こんなバカな事があるものかっ!! )
自分の誇り、ひいては王国の威信をかけた一撃を、たかが筋肉の鎧に阻まれた。彼にとってはそれが我慢ならなかった。
「ま、まだだっ!! 秘伝・清龍斬!!」
これぞロベルトの秘中の奥義。当に清き流れを龍が駆ける様な流麗にして淀みのない超高速移動。その勢いに乗じて大上段から相手を袈裟斬りにする必殺必中の剣技。これを受けて生きていた魔物は一匹もいない。これが聖騎士ロベルトの伝説であった。
しかし、その伝説も次の瞬間に終了。画竜点睛。ウマーマンの剛拳によりピリオドが打たれたのだ。
轟音と共に馬車へと強制送還され顎を砕かれたロベルトの顔は見られたものではなかった。
「い、いれえ〜……!? ほんな……はがなあ……!?」
「ひいーっ!! ロベルト様がたった一撃で……!?」
「あ、悪魔だ!! 化物だー!!」
恐慌を起こした兵士達は隊長を放って散り散りのバラバラになって蜘蛛の子を散らす様に逃げていってしまった。
レイザーエッジ 光属性の武器で☆3 まあ、フレポで出たらおめでとさんって感じだよね。魔晶石ガシャなら? 溜息がもれる。 重ねても☆5が限界。
レイダーエッジ 魔族性の武器で☆5 アイテム強奪と即死効果を持つ高速周回のお供。だなアイテム保護や効果反転付与は課金勢には常識だからPVPでは使えない。 廃プレイヤーなら☆9まで重ねるのは基本。 なおデザイアは☆9を12本位持ってる。