えっちなエルデンリング 作:性癖を捧げよ
貴方と初めて出会ったのは、嵐の丘の破れ小屋でした。私はごうごうと荒ぶ風の中、粗末な板壁に囲われた部屋で、ただ一人震えていました。導きも見えぬまま狭間の地へと逐われた、役立たずの私を守って戦った彼ら。その最期に残した護りの中で、ただの一歩も動けぬまま、うずくまっていたのです。
そんな私の前に現れた貴方に、私はなんと話しかけたでしょうか。定かには覚えておりません。でも、きっとひどい言葉だったと思います。あの恐ろしい城へ挑もうとする貴方を哀れんだのか、嘲ったのか。あの時の私の心には、底なしに深く、昏い絶望のほかに何も感じられなかったのです。
果たして、嵐の城は落ちました。戻ってきた貴方の言葉を、私はただぼうっと聞いていました。あの城の主の恐ろしさを、おぞましさを刻み込まれた私の心には、到底信じられるはずもなかったのです。ただそれも、貴方にそれを手渡されるまででした。
見覚えのあるブローチでした。家族からのお守りだと笑ったその人に、傷がつかぬようにと送った赤いはぎれが、血汚れてもなお、それを包んでいました。……なぜ、忘れていたのでしょう。導きなど見えなくとも、彼らは私に尽くしてくれました。そしてきっと、接ぎの贄となる最期まで、私をよすがとしていてくれたのです。
あの時から、彼らの言葉が。そして、それを思い出させてくれた貴方が。祝福の見えぬ私にとっての、ただ一つの導きになったのです。
それからは、とても早く時が過ぎたように思います。円卓を訪れ、調霊の才があることを知り、ヒューグ様に教えを頂けることが決まって。それすらも、貴方にお世話をしていただいてばかりでしたが。日毎、貴方と共にある霊たちを慰め、交感し、貴方の力になるようにと調える。すべきことがある日々は忙しなくて、それでいて心にはひどく優しいものでした。
でも。そうして日々を送るうちに、私は気が付いてしまったのです。
貴方は、とても強い。私のつたない調霊など、いくらの助けにもならないほどに。円卓の方々のお噂を聞くたびに、貴方のお話を聞くたびに、そう判ってしまうのです。
……ついこの前ヒューグ様には、調霊士として一人前だとお墨付きを頂きました。嬉しいはずの言葉なのに苦しいのです。狭間を訪れたばかりの頃に感じた、母を失った赤子のような、あてどない気持ちが胸を苛むのです。もし、私の取り柄であるはずのこれでさえ、貴方の力になれないというのなら。
──私は貴方のために、何もできないのでしょうか?
調霊を終え、いつも通り、短い礼の言葉とともに遺灰を受け取ろうと伸べられた手のひらを前に、ローデリカはためらうようなそぶりを見せた。顔を俯かせて、常とは異なる様子の彼女に、褪せ人は当惑したように佇んでいる。
「……あの」
ためらいがちに、ローデリカの細い指が褪せ人の手に添えられる。彼にしてみればひどく頼りない力で引かれたその手のひらが、彼女の体に──その柔らかなふくらみへと押し当てられた。
「その……こういうことに、ご興味はおありですか……?」
手触りのよい布地を通して、身体の帯びた熱が、指を押しかえす柔らかな反発が、とくとくと心臓の跳ねる感触が、褪せ人の手へと伝わってくる。顔は伏せられたまま、淡く輝く髪の隙間から覗く耳は、真っ赤に色づいていた。
褪せ人は無言のまま動かない。自身の鼓動だけが煩く響く中で、ローデリカは緊張と羞恥を堪えていた。どれほどこの時間が続いているのか推し量るような理性は、到底残ってはいない。縋りつくように褪せ人の手を握る指の力は、ただでさえ白い五指がさらに白むほどに強くなっていた。
「……受け取っては、いただけないのですね」
果たして。絞り出すように、細い声が漏れた。指の力が緩む。自由になった褪せ人の手の甲に、ぽつりと熱い滴が落ちた。その次の瞬間。
「あ」
男の指が、女の肌に沈み込んだ。硬く大きな掌がやや乱暴なほどに力強く、ローデリカの胸を押し揉む。はっと顔を上げた彼女の、涙で潤んだ視線が、褪せ人のそれと間近で絡み合った。
「んっ」
身構える暇もなく口づけが落とされる。同時に男の腕は胸から背へと回され、気づけば彼女の体は息苦しいほどに強く抱きすくめられていた。唇が離れる。貰うぞ、と短く告げられて、心臓がひときわ大きく跳ねた。そして、驚きに固まっていた体をゆっくりと男に預けながら、彼女は耳元で囁いた。
「はい。どうか、私を抱いてください……」
円卓の片隅にはいくつか、主のない小部屋がある。かつては多くの英雄が集っただろうそこに、いまはただ二人だけがいた。質素なつくりの寝台の上、脚をたたんで座るローデリカは、常の武装を解いて薄い肌衣のみとなった男と向き合いながら、改めて羞恥に頬を染めていた。
「ん……」
顔が近づき、軽く唇が触れあう。緊張ゆえにか、彼女はきつく瞼を閉じ、男の唇についばまれるままになっていた。繰り返し、触れては離れるたびに、かすかに吐息がこぼれる。
幾度目かの交接ののち、期待するかのように口元が緩む。男が舌を唇に這わせると、女はあっさりとその口腔への侵入を許した。ちゅる、と音を立てて、迎えるように舌が絡みつく。
「んぅ、ふっ」
ローデリカは、まるで餌をねだる小鳥のように男の舌を舐った。慣れぬ行為に呼吸もままならず、鼻から浅く細い息が漏れる。ちゅる、れろ、と頭の中で水音が反響する。顔が真っ赤に染まるほどに長く続けられたそれが終わり、ようやく離れた二人の唇の間には、細い銀糸の橋が架けられていた。
そっと肩に手が添えられた。再び唇を合わせながら、彼女は肩を押されるまま、無抵抗に褥へとその体を横たえる。先ほどよりも短く、しかし幾度も繰り返し舌を交わらせながら、男の手が胸へと触れた。優しく、ゆっくりと円を描くように撫ぜられて、布越しに柔らかな乳房が形を変える。未経験の刺激は快楽よりもくすぐったさが優って、彼女の口からはかわいらしい声が漏れた。
横向きに抱き合いながら、男の手はさらに胸から背筋、脇腹、そして尻へと滑ってゆく。女は応えるように身を寄せて、男の首に縋るように腕を回しながら、一層激しく口づけを交わした。いつの間にか、彼女はただ男の舌を招き入れるだけでなく、自ら男の口腔へとその小さな舌先を挿し入れるまでになっていた。
しばらくそうしていただろうか。
「んむぁ、ぷぁ……」
目を閉じ、ただ粘膜の感触に意識を傾けていた彼女は、顔を引き離されて戸惑うように男を見た。体をなぞる手の感触はいつの間にか、触れ合った場所にくすぐったさではなく、じんとした熱を残すようになっている。誘うように舌先を伸ばしたままに蕩け切った女の顔から視線を切り、男は胸元へと顔を埋めた。柔らかな尻に添えられていた掌が、さらに下、太ももをゆっくりと撫ぜる。幾度かの往復の後、その手はするりと服の裾から潜り込んだ。
「ひゃっ」
初めて素肌に加えられた刺激に、彼女は思わず声を漏らし、男の頭をぎゅうっ、と乳房に押し付けるように抱え込んだ。その動きのせいで男の熱い吐息が胸元に当たるのを知覚してしまい、顔に集まる熱がさらに強くなる。羞恥に染まる彼女の心など知らぬ風に、男の手はゆっくりとももの外から内側へ、下から上へと動いていった。
「……ぁっ」
ひときわ甘い声。二本の脚の狭間、その最奥についに手が触れた。反射的にぎゅうっと強く脚を閉じるが、そんな無意識の抵抗など意にも介さず、男の指先は柔らかな毛に覆われた恥丘をくすぐるようになぞり上げた。
「ぅあ、ぃ、いけませんっ」
赤子のように丸まろうとする体をやや強引に仰向けに開き、男は覆い被さるようにして唇を重ねる。同時に、仄かに湿り気を帯びた、まだぴたりと閉じたままの割れ目のなかに、男の指の腹が潜り込んだ。
ちゅぷ、と鳴るかすかな水音は、口内を蹂躙する音にかき消されて彼女の耳には届かない。会陰から秘裂のごく浅くをなぞり、その最上部に隠れた小さな突起を優しくはじく。
そんな動きを繰り返すたび、割れ目の奥からは少しずつ雫が漏れ出ては指先へと絡みついた。ちゅく、ちゅくと、だんだんと水音が淫らさを増していく。ただなぞるようだった指使いは、だんだんと粘膜を強くこするように、そしてさらに奥を探るようなものに変わっていく。
そして幾度目か、ついにつぷり、と指が奥深くへと潜り込んだ。女の腰がびくりと震え、固く狭い穴がきゅうと指を締め付ける。しばしの静止の後、男はゆっくりと指を動かし始めた。
「ふうっ、う、ぁ」
わずかな指の屈伸や緩やかな抽送に合わせて、堪えかねたような甘い声が男の耳朶を揺らす。そのたびに、男は先ほどまでの貪るような交わりとは違う、軽く唇に触れるばかりの接吻を落とした。その刺激はあまりに優しく物足りず、否応なく意識は秘部へと集中させられる。
指の動きに加えて、手のひらが陰核を優しく押さえつけては離すことを繰り返す。じわじわと積み上げられた快感が、その閾値に達するのにそう時間はかからなかった。
「っぅん……!」
押し殺した声とともに、体を大きく震わせて彼女は達した。にち、と淫靡な音を立てて指が引き抜かれる。荒く息を吐き、くたりと全身の力が抜ける。その時になって初めて、彼女は布越しに体に触れていた、熱く硬い感触に気が付いた。
まだ荒い呼吸で上下する双丘の先、彼女の腰の位置に男根があてがわれている。こくりとのどが鳴る。無言のままに、乱れていた裾を自らたくし上げて、ローデリカはそれを受け入れた。
ぴと、と軽い接吻のように先端が触れ合った。そのまま幾度か、狭い穴の入口へと先端を押し当てては離れることを繰り返す。いくぞ、と小さく声をかけられて、彼女は目を瞑った。唇に柔らかい感触が触れると同時に、今までただ当てるのみにとどまっていた入口に、ぐっと強い力が掛けられる。
漏れようとする悲鳴を奥歯を噛んで押し殺す。思わず目じりに涙が浮かんだ。一瞬の激痛が通り過ぎた後、痛みとも熱ともつかない感覚がじんじんと下腹にたまっている。痛いか、と問われて小さくうなずくと、男はあやすように優しく頭を撫でた。
「ん……」
彼女はねだるように腕を伸ばす。近づいてきた首元に腕を絡めて、互いの首筋に顔を埋めた。二人はそのまま互いの首筋に吐息を落とし、口づけを送る。わずかな身じろぎのたびにずくずくと疼く下腹部の熱は、次第に甘いものになっていった。
ふと顔が離れる。男の目に浮かぶ気づかわしげな色に、彼女は微笑で答えた。
「大丈夫です、ですから……お願いします」
ゆっくりと腰が動き始める。最初はごく短い揺らすような動きに始まって、次第に深く長い動きへと変わる。痛みが消えたわけではないが、深く突き上げられるたび、甘いしびれが腹の奥に広がった。
「っ、感じて、いただけて、いますかっ」
問いかけに男は答えず、ただ腰を強く押しあてた。ひときわ高い嬌声がこぼれる。同時にきゅう、と締め付けが強くなり、男の口からも吐息が漏れた。背中に回した手に力がこもる。男の体に自ら押しつぶされ、密着する体の熱を感じながら呻くような喘ぎを漏らした。
幾度も互いに舌を絡めながら、抽送がだんだんと速くなっていく。激しくなる呼吸に、漠然とその時が近づいていることを直感して、彼女は耳元で囁いた。
「お願いですっ、そのままっ……!」
応えるように、ひときわ強い衝撃が体を貫いた。腰がぐっと押し付けられ、下腹の奥深くにどく、どくと熱いものが注がれていく。それが体中を満たすような感覚に、彼女は甘く腰を震わせた。そしてしばらくの間、互いの体を強く抱きながら、二人はただ荒い呼吸を続けていた。
ゆっくりと、男が女の上から体を動かす。体内から熱いものが引き抜かれていく感覚に、ローデリカはまた体を震わせた。男が寝台に体を投げ出すと、彼女はもたれかかるように体を預ける。まだ熱を帯びたままの腹部を無意識に手で撫でながら、彼女は小さく囁いた。
「……お慕いしています、貴方」