※この作品はR-18です。

えっちなエルデンリング   作:性癖を捧げよ

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もうちょっともったいつけようと思ったけどリビドーを抑えきれなかった


魔女ラニの話 その1

 最初に抱いたのは、ごく淡い期待だった。

 

 陰謀の夜に己の体を殺してから、どれほど時が経っただろうか。進むべき路は定め、謀も成った。臣下たちも力を尽くしている。それでも、未だに忌むべき指の呪縛から、完全に逃れられたわけではなかった。目的に至るための、最後の一歩。それだけが埋まらないまま、私の運命はただ停滞していた。

 

 ゆえに期待した。霊馬を駆る褪せ人。強い導きを持つ彼こそ、この停滞した運命を打ち破るに足る存在ではないかと。

 そして褪せ人は狭間の地を巡り、その力を示していく。その足跡が近づく毎に、期待は少しずつ大きくなっていった。

 

 

 

 次いで、期待は強い興味へと変わった。

 

「褪せ人よ、何用があってやってきた? ……招待状を出した覚えは、ないのだがな」

 

「お前を娶りに来た」

 

 あっさりとカーリアの城館を踏破し、魔術師塔を訪れた褪せ人に投げかけた問い。あまりに迷いなく放たれた応えは、まるで戯言としか思えないものだった。

 

「ほう? お前は、己が何を言っているのか、正しく理解しているのか?」

 

 私の、神人の伴侶となる。それはすなわち、王となるということだ。まして、私の行く路は決して正道ならざる暗き路。たとえ伴侶足りえたとしても、最後に私はすべてを棄てて行くだろう。そう、決めている。

 果たして、目の前の男はどこまでを識って、かような言葉を吐くのだろうか。無論、己に王たる力があると思いあがっただけの、ただの愚か者かもしれぬ。だがきっとそれだけではないのだと、根拠のない感覚があった。

 

「面白い。それだけの大言を吐くならば、相応しい働きを見せてくれるのだろうな?」

 

 皮肉な笑みとともに告げる。今まで探し続け、ついに見つからぬノクローンの秘宝。それを手に入れてこい、と。

 そして褪せ人は旅立った。近づく眠りを感じ取りながら、私の心はいつになく沸き立っていた。次に目覚めるまでに、あの男は何を為すのだろうか。ゆっくりと目を閉じながら、独り小さくつぶやく。

 

「私の伴侶などと嘯くのであれば。その運命にあることを、私に示して見せろ」

 

 

 

 果たして。

 

「……ああ、お前だったか。ブライヴでは、なかったのだな」

 

 褪せ人は、指殺しの刃を持ち帰った。私の為しえなかった、そしてブライヴのみでは為しえなかったことを、いとも容易くやり遂げた。

 

「感謝する。これで、ようやく全てが揃った。後は、私が行くだけだ。私だけの暗き路を」

 

 そう。ここからは、私一人の旅路だ。ここで別れなければならない。イジーとも、ブライヴとも、この男とも。

 

 ──もしも私の運命が伴侶を求めていたのなら、それはきっとお前だったのだろう。

 

 ふと、そんな思考が脳裏をよぎった。そして、きっとその感傷が、あの恥ずかしい思いつきを生んでしまったのだ。

 

 

 

 

 

 

「さて。旅立ちの前に、お前には礼をしなければな」

 

 手元で小さな像を弄びながら、魔女ラニはじっと男を見た。

 

「短い間だがよく仕えてくれた。これを渡そうかと思っていたのだが……」

 

 彼女は積み上げた本の上から立ち上がる。小さな像をそっと褪せ人の腰袋に押し込んでから、ゆったりと袖を翻して四本の腕が持ち上がった。差し伸べられた手が、褪せ人の頬に触れる。促されるように、男はやや身を屈めた。吐息が感じられるほどに二人の顔が近づく。

 

「……それとも、こちらのほうが望みかな?」

 

 人形と霊体、並んだ二つの口元に悪戯な笑みを浮かべて、魔女は唇を押し当てた。そっと触れるだけの、ごく軽い口づけだった。ひやりとした柔らかな感触を残して、唇はすぐに離れる。

 

「不思議なものだな。ただこれだけのことに、こうも昂るとは」

 

 そう呟きながら、ちろりと小さな舌で唇をなぞる。ほんのわずかに触れあっただけのその場所が、じんと熱を帯びて感じられた。上目遣いに男を見やる。期待通りに、今度は男から口づけが贈られた。

 

「ん……」

 

 目を閉じて受け入れた彼女の後頭部に、男の手がそっと添えられる。決して力はこもっていないそれに逆らうこともなく、女は唇をより深く、長く交わらせた。男の舌先が唇へと触れる。左から右へとゆっくり動いてゆく熱い感触に、そっと伸ばした舌先を合わせた。ぴとりと触れ合ったそれを、赤子が指遊びをするかのように、幾度もつついては離す。二人の唇の間で、つぷつぷとごく小さな水音が奏でられた。

 ふと、男の手が優しく頭を撫でた。指先が髪をかき分け、うなじをくすぐるように動く。かすかに身じろいだその瞬間、動きを止めた彼女の舌を男の舌が絡めとった。じゅる、とわざとらしいほどに大きな水音を立てて、表から裏へ、そしてさらに奥へと潜り込み、形の良い歯をひとつひとつ確かめるかのようになぞっていく。

 

「れる、んふ……ぁ」

 

 血の通う体であったならば、ようやく離れた顔はきっと熱くのぼせ上っていたことだろう。存分に貪られ弄ばれた口は、半ば開かれたまま赤い粘膜を覗かせていた。誘うように艶めいた吐息が漏れる。口の端からとろりと垂れた糸を指の甲で拭って、ようやく彼女は言葉を発した。

 

「ふふ、手慣れているな、お前。存外に悪くない。悪くはないが……」

 

 彼女は一瞬だけ視線を下に送ってから、男の顔を見上げた。からかうような色が、その瞳に乗っている。

 

「まだ、褒美には足りないと見えるな?」

 

 一対の手を男の顔に添えたまま、もう一対の手が男の腹をなぞって下へと動いてゆく。そして股座にある熱い盛り上がりへと指を這わせながら、くすりと笑みをこぼした。

 

「ああ……俗な、実に俗な欲望だ。だが、何故だろうな。お前になら、そう思われるのも悪くない」

 

 優しく押し当てられた手のひらが、ゆっくりと上下に動く。すり、すり、とひそやかに衣擦れの音が響いた。無意識にか、男の頬に添えられた手もすり、と優しく上下し、こそばゆい感触を走らせる。

 

「……熱い、な」

 

 形を確かめるように、細い指が布越しにその突起をなぞる。間近で向き合ったままの男の顔が微かに歪むのを見ながら、魔女は面白そうに囁いた。

 

「ふふ、気持ち良いか? だが、独りで悦ぶばかりというのは感心しないな」

 

 煽るような言葉とともに、わざとらしく舌を出して誘う。直後、男の腕にぐっと力がこもり、二人の口が強く押し合わせられた。今度は最初から舌を深くねじ込まれる。女は口の中すべてを貪られながら、んふ、と満足げに鼻息を漏らした。

 くちゅ、くちゅと淫らな音が響く。その音に思考のすべてを塗りつぶされながら、彼女は無心に手を動かした。布の下でより硬く、熱く怒張するそれの感触が、彼女をいっそう昂らせる。空いていた男の手が肩口に触れるのも全く気付かぬ風に、ひたすらに手のひらと口腔の熱を感じていた。

 

 

 

 だが、その手が衣服の肩口から侵入しようとすると、ラニは小さく身をよじらせた。ぷは、と音を立てて離れた口から、拒絶の言葉がこぼれる。

 

「やめろ。……生憎、そういう風には作っていなくてな。あまり、人に見せたい体ではない」

 

 男はゆっくりと手を離した。ラニは視線を合わせぬまま、離れてしまった体をまた触れ合わせる。途切れてしまった昂揚を惜しむように胸元に頬を寄せながら、下腹の前で組まれていた手が男の腰へと伸びた。

 

「……だから、これで満足しておけ」

 

 囁きとともに四つの手が器用に指先を走らせ、あっという間に帯革が解かれる。するり、と邪魔な布地を引き下ろされて、いきり立った肉茎が姿を現した。二つの眼が一瞬だけ見開かれて、すぐに甘く細められる。

 

「ん……」

 

 ひやりとした指先が、直接それへ触れた。二つの手が、ゆっくりと両側から挟み込むように撫で始める。思わず声を漏らす男の顔を、女は胸元から甘えるように見上げた。一対の腕が首元へと絡みつく。引き寄せられるようにして、二人は互いの唇を貪った。

 口での交接に溺れながら、魔女の指先は少しずつ動きを変えてゆく。竿を優しく撫でていた手の片方が、そっとその先端へと触れた。そこから漏れ出ていた透明な滴を指先に絡め取って、くるくると円を描きながら亀頭を弄ぶ。更に溢れ出した液が、手との間でぬち、とねばついた音を立てた。先端を丸めた手のひらが執拗に撫ぜる。もう一方の手がぎゅうと肉棒を握りこんで上下し始めると、男は堪えかねたように唇を離し、荒く浅い呼吸を漏らした。

 

「ぷぁ……どうした、これがそんなにいいか?」

 

 愉しげな笑みを浮かべながら彼女は手の動きを早めた。ふ、ふ、と短く息を吐きながら手を動かすたび、ぬちゅ、ぬちゅと淫靡な音が響く。体を震わせる男の耳元に、ふぅと熱い息が吹きかかった。

 

「いいぞ、そら、果ててしまえっ……」

 

 囁き声が耳奥をくすぐる。同時にぐい、と強く押し付けられた手のひらに、ついに男は精を吐き出した。びゅくびゅくと勢いよく吹き出すそれは手のひらの中だけに収まるはずもなく、重力に従ってゆっくりと伸びながらぼたりと滴り落ちる。竿をさすり続けていたほうの手を受け皿のようにして、彼女はそれを溢すことなく掬い取った。男の精に汚しつくされた手をゆっくりと持ち上げ、顔の前で満足げに眺める。そしておもむろに、それに唇を近づけた。

 

「ん……」

 

 精液がちゅるり、と音を立てて、口の中に吸い込まれていく。首に絡められていたほうの腕はいつの間にか解かれ、その手は熱を吐き出してやや柔らかくなった肉茎を弄び始めた。きゅう、と残った精を絞り出すように握りこみ、あるいは張り付いた粘液を拭い取るようにこすりつける。最後に、拭い取ったそれを舐めとるように舌を走らせて、女は満足げにほう、と息を溢した。

 

 

 

 

 

 

 いくばくかの沈黙の後、我に返ったように魔女ラニはくるりと背を向けた。声色は、先ほどまでの甘い熱をわずかに残しながらも冷たく、固い。

 

「満足は、してもらえただろうか。……礼はここまでだ。さあ、お前はお前の路を行け」

 

 ラニはそのまま、背後の気配が衣服を整えて消えるまで、身動きの一つもせず無言を貫いた。そして独りに戻った塔の中で、彼女はそっと、四つの手すべてに染み付いた男の匂いを確かめた。口の中で、思い出すように舌を転がす。

 

「ああ……苦い、な」

 

 そんな呟きは、誰に聞かれることもなく宙へ消えた。

 

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