ただそれだけの話。
1話完結なのでシチュエーションはバラバラ。
別作品として書いた話をコチラに移植しました。
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大学の飲み会の帰り、男は酔った女を自宅に連れ込んでいた。···正確に言えば飲み友達に介抱を押し付けられていた。
『◯◯、平沼のこと頼んだわ』
『家も近いし仲良いし、何より安心安全でしょ』
『確かに◯◯は紳士だからな。頼んだわ』
男の飲み友達に悪意があったわけではないが、暗に据え膳を食わないヘタレDTだと揶揄されたようなものである。
事実だから下手に言い返すことも出来ない。
少しムッとしつつ、女を背中に担いで一人暮らしのアパートへ帰った。
「歩かなくても良いのサイコー。快適快適〜···ひっく」
「この酔っ払いめ。もう降ろしていいよな?めっちゃ重いんだから」
「デリカシー無いな〜。胸が大きいんだから仕方ないでしょ」
「······乳のせいにすんな。全体的に重い」
男は背中にずっと押し当てられていた、あの柔らかな感触を思い出しながら返事をした。
少し苦戦しながら鍵を開けて部屋に入り、とりあえず女をベッドに寝かせた。
「大将〜、ビールくださ〜い」
「アホか」
「いっそ料理酒でもいいから〜」
「アル中かよ。水飲んでとっとと寝なさい」
「凄いママみたいなこと言うじゃん。夜はまだまだこれからだぜ〜っ」
苦笑しつつも、男はこのやり取りを楽しんでいた。何を隠そうこの男は、彼女──平沼レイに好意を寄せている。
普段飲んで帰った後の部屋には誰もいないから、その孤独感が無いのも嬉しかった。
「ほら、明日は1限もあるからとっとと寝て···いや早すぎるわ」
男がコップに注いだ水を持ってきた頃には、女は既に爆睡をかましていた。
少なくとも男にはそう見えている。
「おーい平沼、一瞬起きろー」
「ん···んん···」
ぺろん。
女が寝返りを打ち、スカートがめくれて中身が見えた。
色はピンクで、なんとなく意外だなと思った。
···こういう場面で理性が働いてしまうから童貞なんだろうなと思いつつ、男は女に毛布をかけてそのまま床で寝た。
◆◆
翌日。
「ふぁ···ねむ」
「レイ、今日は1限来ないかと思ったよ」
「眠すぎてサボろうかと思ったんだけど、アラームくんが優秀すぎたわ」
「おいこら、暮らしに便利な機能扱いするな」
「ああ、◯◯の家から直で大学来たんだ」
「そうそう。めっちゃ起こされた〜」
少しばかり聞き捨てならなかったので、男はレイと女友達の会話に割り込んだ。
勿論本気で怒ったわけではないが。
「···で、ヤったの?」
「んなわけ無いだろ。そんな“課題やった?”みたいなノリで聞くなっつの」
「あははははっ!···あ、でも◯◯、昨日私が寝てる横でシコってたよ」
「はあ!?」
「えっちょ、マジ!?」
「ウッソで〜す」
「お前、マジで···っ!」
コイツはもう俺の部屋に上げない。
冤罪になりかけた男はそう決意した。
◆◆
その翌週。
「···まあ結局こうなるんだけどな」
「◯◯〜、2次会行こ〜」
「2次会は無い。あとこのアパートは壁が薄いから静かにしてくれ」
決意はあっさり反故になり、男はまた女を抱えて帰途についた。
前回と同じようにベッドに女を寝かせる。
「ふとんすべすべぇ···気持ちいい···」
「今日こそは水飲んで、あと歯も磨いてから寝ろよ!歯ブラシは予備あるから」
「マジでおかんじゃ〜ん···やば···ねむ」
「おいそのまま寝るな···って···」
寝息を立てる女は、今日も無防備だった。
横向きに寝転がり、表情は上げられた腕に隠れて見えないが、代わりに身につけている下着がこの間よりもはっきり見えている。
「スカート丈短すぎるだろ···膝下くらいあっても良いんじゃねえか?」
情欲をかき立てる女の姿を見て、男は少し不安になった。
いつか悪い男に引っかかるのではないか、と。
「平沼···」
ベッドの上に片膝を乗せ、スプリングをギシリと軋ませる。
「お前···」
そして男は、女に向けて手を伸ばし───
「···
「むぶぶ···バレたか」
───顔面を鷲掴みにした。
「やー、こめんごめん。◯◯はどんな反応するのかと思って」
「こんな事他の奴にもやってんのか?だとしたらシャレになんないから止めとけ」
「んー···」
返答に迷ったのか、少しの沈黙を挟んでから女が口を開いた。
「◯◯以外にはしないよ。···普通はパンツ丸出しの女がいたら魔が差すんだろうけど、◯◯だけはそんな事しないって分かってるから」
「···正直言うと、俺も結構危なかった。だからもう、やめてくれ」
男はあえて突き放すような言い方をした。
好いた女を無理やり犯す位なら、嫌われた方がずっとマシだと思ったから。
「·········私だって。手を出されて嫌な奴にこんな事しないし」
「ホントか?······え、は!?それってどういう意味───」
「んじゃおやすみ〜」
「おい···!」
女はそっぽを向き、それきり口を割らなくなってしまった。
「そっちがその気なら···俺だって“勘違い”するぞ。狸寝入りを続けるんだったら“合意”とみなすからな」
十数秒待っても、女は寝たフリを続けた。
事ここに至っては、覚悟を決める以外の選択肢は男に無い。
女の後ろで寝転がり、ショーツを降ろして···そのままゆっくりと挿入した。
「っ···♡」
プツリという感触が肉棒越しに伝わり、女の秘所から少量の血が流れる。痛いのだろう、女がシーツを強く握りしめている。
「少し、動くぞ」
女が顔を隠したままコクリと頷く。
眠っているという“設定”は既にあって無いようなものだった。
ゆっくり、浅いピストンを数回繰り返す。
「んあっ···♡」
「······ごめん、もう我慢できない。もっと激しく動かすぞ」
多少は加減しつつも、男は先程よりも数段早く、そして大きく動く。
ものの数分で射精感が押し寄せ、寸前で肉棒を引き抜き女の顔にぶちまけた。
一応、最後の理性を総動員して中出しを避けた結果である。
「······不味い。変な味」
「ごめん、悪かった」
「次は···中に出していいから」
「······」
殺し文句だった。
男の理性が消し飛ぶには十分すぎた。
それからは互いに生まれたままの姿となり、獣のような激しい交尾を何度も続けた。
壁の薄さに考慮する余裕は無かった。
朝まで、何度も、何度も、何度も─────。
◆◆
うるさい野鳥の鳴き声で、抱き合ったままの2人は目を覚まし、顔を合わせる。
「まさか、お前とこんな事になるとは思わなかったよ」
「私はずっと、こうなりたいって思ってた」
「俺も···これが初めてだったし。というかお前のこと好きだし···」
「え······本当に?」
「ホントだよ。こないだ平沼が家に来たときも、必死で我慢したんだからな」
「···もう取り消し出来ないからね?酔ってたからノーカンとかっ···」
「するわけ無いだろ」
「···じゃあさ、今日大学休まない?」
「おー···まあ今日は大事な授業も無いし···」
翌日、2人は友人に「昨日は2人でナニをしてたのかな〜?ん〜?」と詰められることになる。
もっとも、当人たちは照れていたが満更でも無かったらしい。