長くなったので前編と後編に分割しています。
一人の女侍が旅をしていた。
唐笠の下には、黒く艶やかな髪。纏う着物は藍色の、質素ながら品の良いモノ。その腰には、立派な太刀と脇差を帯びている。
彼女は旅の途中、小さな漁村の前で足を止めた。
願わくば、一晩の宿を求めたいところ。しかし、目の前の漁村は何やら寂れており、往来の人々にも元気がない。
港で声を張り上げているはずの男衆は軒先にうずくまり、昼間から飲んだくれている。
何やら、よくない感じがする。
女侍は通りがかった夫人に声をかけた。
「もし」
「……あら、旅の人?」
「何やら、この村、活力が無いように見える。何か困りごとが?」
「そうね……旅の人、少し聞いてくださるかしら?」
◆◆
「そうさね。あんたの言う通りさ。大蛸が沖合に居を構え、船を沈め魚を奪っているのさ。おかげで、男達は沖にも出れず、魚も取れず。村は衰えるばかりさね」
若女房から話を聞いた女侍は、その足で村長の元に向かった。
この村の村長は、年老いた達磨のような老婆だった。彼女は、焚火の前で魚の干物をあぶりながら、村を襲った悲運を語った。
事の始まりは半年ほど前。嵐が収まった海に出た船が、巨大な蛸の姿を見た。
それから何隻もの船が沈められ、網にかかった魚が奪われる事件が多発した。その犯人が、大蛸である事は疑いようがない。
だが、蛸を討伐しようと出向いた若い衆は一人として帰らず、状況は変わらないまま。
老婆のみならず、村人はほとほと困り果てていた。
「……ご老人。であるならば、私にどうかお任せを」
話を聞いた女侍は、己の旅の目的を語った。
目的は仇討ち。道場の看板を奪い、父を殺した流れの侍を追って、女侍は旅に出た。だが、つてもないまま探し続けていては埒が明かない。
仇は、高名な侍を狙って襲撃を繰り返しているという。難事件を解決し、名を上げれば、おのずと相手からやってくる。
大蛸退治。願ってもない、名を上げる機会であると言えよう。
「そうはいうがねえ……若い女が怪異に敗れた末路は悲惨だよ?」
渋る老婆。女侍は腕に覚えがあるようだが、相手は魑魅魍魎の類である。老婆は考え直す様に女侍を諭したが、彼女の決意は固い。老婆はしぶしぶ、彼女に蛸が潜んでいるでいるであろう島の場所を教え、小さな小舟を貸し出したのだった。
◆◆
「どうか気を付けてくだせぇ」
心配そうな村民達に見送られ、女侍は海へと船を漕ぎだした。
やがて港が見えないほどに沖合に出ると、たちまち霧が立ち込め、周囲がまるで見通しが立たなくなる。
それでも動じる事なくまっすぐ漕ぎ続け、半日。ついに彼女は、それと思わしき沖合の島へと到着した。
岩場に船を寄せて上陸する。
「ここか……」
島は真っ黒な岩で出来ていた。木は僅かに生えるばかりで、島というより岩礁に近い。ここのどこかに、大蛸が居る。
腰に帯びた刀の柄に手を乗せて、周囲をしばし探索する女侍。やがて彼女は、不意に足を止めて耳を澄ました。
「現れたか」
振り返る先。
黒い水面が、ゆっくりと持ちあがる。ざざざ、と海水を滝のようにまき散らして浮上してくる巨大な何か。闇の中で、金色の瞳がぎらりと輝く。
大蛸である。
「なるほど、怪異だ」
その威容を前に、女侍はいたって冷静にその姿を観察した。
蛸ではあるが、蛸ではない。その触手は棍棒のように太く、トゲのようなコブがいくつもあり、先端は途中で切れたように末端まで太いまま。その先端には、大きな吸盤がいくつもついている。体色は黒一色で、瞳だけが鮮やかな金色。
漏斗を膨らませながら、蛸が水際で触手を波打たたせて上陸してくる。
その腕間膜の下から、いくつもの子蛸がはい出てくる。子といっても、それぞれが大物の蛸といっていいサイズだ。だらしなく膨らんだ腹は、女侍の頭ほどもある。それが何匹も何匹も、先を争うように波打ち際から上陸してくる。それらが通ったあとには、真っ黒い粘液が尾を引いていた。
「相手にとって不足無し」
腰を低く落とし、女侍は刀に手をかけた。
凛としたその瞳には、一抹の気おくれもない。
「個人的な恨みはお前にはないが、我が父の名誉の為、我が悲願の為。大怪魔よ」
つ、と刀の鯉口が切られ、鏡のような刀身が覗いた。
「お前を……切る!」
そして、戦いが始まった。
最初に動いたのは蛸の怪異だった。低く大蛸が唸り声をあげると、その足元に蠢いていた蛸達が一斉に女侍目掛けて襲い掛かってくる。大蛸に比べれば小さいといえど、普通の蛸としてみれば大物。蛸の力と吸盤を考えれば、手足に絡みつかれれば女の非力では振り払えない。
「はっ!」
それを、女侍は愛用の刀で切り払った。居合にて一匹を一瞬で切り捨て、返す刃でもう一匹を仕留める。磨き抜かれた鏡のような刃が、狙いたがわず蛸の急所を切り裂き、次々と仕留めていく。蛸達も数に物を言わせて包囲し触手を伸ばすが、濡れた岩場を女侍は素早く駆け回り、動きを捉えさせない。
足腰をよく鍛えている。不安定な足場で太刀を振り回しても、その下半身は吸い付くように安定しているのが見て取れた。
忽ちのうちに浅瀬には子蛸の死骸が積み上がり、裂けた内臓から黒い粘液が染み出して海水を染め上げた。
「子供をけしかけて、自分は高みの見物か。血も涙もない化け物め」
その様子を、大蛸は奇妙に黄金の瞳を輝かせて見つめている。そんな大蛸へ、女侍は侮蔑するような視線を向けて刀を構えた。刃と殺意を向けられて、大蛸がのっそりと動き出す。
振りかざされる丸太のような太い触手。それを素早く回避した女侍は、一瞬の踏み込みで大蛸の懐へと潜り込んだ。大上段から、刃が閃く。それを迎撃するように、さらなる触手が女に向けて横から振り回される。
ざんっ、と肉を裂く音が響いた。
切断面から青白い血をまき散らして、大蛸の触手が一本、宙に飛んだ。遠く背後で重い振動を響かせるそれには目もくれず、女侍は間近に迫った大蛸の目の間、人間でいう眉間へと向けて刃を振るった。
「獲った!」
確信を込めた快哉。怪異であろうと蛸は蛸、急所の場所は決まっている。女侍は、先ほどの触手と同じく、刃が大蛸の皮膚を裂き、急所を切り捨てると信じて疑わなかった。
しかし。
「っ!?」
振りぬかれた刃は、しかし蛸の皮膚に浅く食い込んだ所で止まってしまう。太刀筋は完璧だったはずだ、何故、と刃に目を向けた女侍は、刀身の銀色が黒く汚されている事に気が付いて舌打ちをした。
恐らくは子蛸の粘液。てっきり墨か何かかと思っていたそれは、刀の切れ味を大幅に劣化させていたのだ。
そこに、蛸の触手が絡みついてくる。太刀に絡みついてくるそれに、女侍は一瞬ためらったものの、背後へと飛び退った。
触手から距離を取った女侍に見せつけるように、大蛸が太刀を触手で振り回す。そしてそれを、ゴミでも放るように海へと投げ捨てる。太刀は黒い波濤の中に一瞬だけ銀色に煌めくと、そのまま海の底へと沈んでいった。
「く……っ! 父の太刀が……っ!」
歯ぎしりしながらも、女侍は脇差を抜いた。リーチでも質でも劣る予備の刃に過ぎないが、それでも眉間を一突きすれば大蛸を仕留められるだけの殺傷力はある。
子蛸の粘液は想定外だったが、同じ轍はもう踏まない。女侍は身を低くして、大蛸の触手を掻い潜るタイミングを見計らった。
だが、そのような機会が訪れる事はない。
ずるり、という粘ついた物音。はっ、と女侍が気が付いた時にはすでに手遅れ。切り落とされたはずの大蛸の触手が彼女の死角から襲い掛かり、その肢体を締め上げにかかった。
「あ……っ、が……っ!」
全身を骨が軋むような怪力で締め上げられて、悲鳴すら出ない女侍。彼女は手にした脇差でなんとか触手を突こうとするが、手首に巻き付いた触手が力を籠めると、ゴキ、という音ともに関節が外れた。握力を失った指から、頼りない刃が抜け落ちる。
さらに、触手の先、切り落とされたような歪な末端から、ひゅるひゅると何本の触手が伸びてきた。子蛸の触手のようなサイズと長さのそれは、女侍の顔に巻き付くとその口を塞いだ。メキメキと体を締め上げる怪力に加え、呼吸を封じられた女侍の意識が急速に白く掠れていく。
「(と……父さま……っ!)」
脳裏に過るのは、かつての優しく逞しい父の笑顔。怒りに力を振り絞ろうとしたのか、愛する保護者に助けを求めたのか、彼女が思い浮かべた父の遺影はしかし、彼女に何も齎すことはなく。くたり、と意識を失った女侍の首が傾いた。
脅威の無力化を確認して、切れた触手から力が抜ける。その中から力なく零れ落ちた女侍の体を、ひょい、と大蛸が触手を伸ばして抱え上げた。
金色の瞳はしばし女侍の肢体を舐めまわすように観察すると、そのまま彼女の体を抱えたまま波打ち際へと向かった。触手と腕間膜でその体を包み込み、海中へと飛び込む。大きな水しぶきが上がり、それが収まった頃には、凄惨な果し合いの痕跡だけが残されていた。
岩場に突き刺さった脇差が、きらりと日の光を受けて輝いている。
◆◆
「ん……っ」
女侍が気が付くと、彼女はじめじめとした暗い場所に転がされていた。
どこかでヒカリゴケが光りぼんやりと周囲を照らしているが、人の目ではほとんど見通せない。耳を澄ますと、少し離れた場所から波の音が聞こえる。それに加え鼻をつくのは、波の無い入り江の奥のような、腐ったような潮の匂い。
海沿いの、洞窟の中だろうかと考え、反射的に身を起こそうとした彼女は、しかし手足を何かに強く押さえられている事に気が付いた。
「ん、な……っ!?」
両手は頭に掲げた状態で、脚は少し開いた状態で、それぞれ肘と膝から先が動かない。肌には、ぬめぬめふにふにとした絡みつく触手の感触。あの子蛸だ。それが手足に絡みついて、女侍の動きを封じている。
「くっ、離せっ」
力を入れて振り払おうとしても、絡みついた触手とその吸盤はびくともしない。動きを封じてどうするつもりだ、と訝しんだ女侍の脳裏に、村の老婆との会話が蘇った。「若い女が怪異に敗れた末路は悲惨だよ?」、その言葉の意味を理解して女侍はぞっと肌を泡立たせた。
「や、いやっ、離せ……んぐぅっ!?」
生娘のように悲鳴を上げる彼女の顔へ、覆いかぶさる別の子蛸。顔を完全に覆いつくし、触手を絡めて完全に顔を固定する。反射的に口を閉じた女侍だが、すぐに息苦しくなり、酸素を求めて口を開いた。そこを狙って、子蛸のカラストンビがむちゅぅ、とその薄い唇へと押し付けられてくる。
「んぐぐぅっ!?」
反射的に口を閉じるよりも早く歯の間にねじ込まれたカラストンビから、ぬらついた舌が伸びてくる。本来、蛸に舌は無いのだが、小さくても怪異という事だろう。予想外の動きに硬直した女侍の口へと潜り込んだ冷たい異種の軟体は、縮こまった彼女の舌へとぬるりと絡みつき、粘膜を強くこすり合わせた。色事の知識が無い女侍であっても、それが酷く卑猥な行為である事は本能的にわかった。
「ん、むぐぅっ、んぅうっ」
涙目で相手の舌を押し出そうとするが、子蛸はそんな彼女の抵抗を嘲笑うように官能的に弄んだ。柔らかで敏感な粘膜が強く絡み合い、ぞくぞくと女侍の背が寒気とは別の感覚に震えあがる。
と、そこに今度は、どろりとした粘液が注ぎ込まれてきた。甘く、ほんのり苦くて、すこしすえた匂いのするそれは、とろとろと女侍の口内へと送り込まれてくる。カラストンビに口をこじ開けられたままの彼女は、それを受け入れるしかない。明らかに危険なそれを飲まずに必死に耐えているが、口の中が粘液で満たされ息ができなくなる。鼻も塞がれ進退窮まった彼女は、やむを得ず粘液を飲み込み、呼吸を確保した。
ごくり、と細い喉が粘液を嚥下する。
「……っ!?」
途端に、彼女の腹の奥が、かぁっ、と燃えるように熱を帯びた。たちまち肌が湯上りのように赤く火照り、汗が一気に滲んでくる。まるで精のつく食べ物を一気食いしたように、否、それ以上の強壮効果に、心臓がバクバクと高鳴る。だがそれ以上に、別の意味でも体が熱くてたまらない。手足に絡みつく、蠢く触手。その吸盤一つ一つの動きが意識されるほどに、感覚が鮮明になっている。知らず、きゅぅ、と胎が疼き、女侍の腰が浮き上がってしまっていた。
そんな彼女の様子を確認し、よし、と言わんばかりに子蛸が顔から離れていく。解放された女侍は、ぜいぜいと呼吸をむさぼった。
「はぁっ、はぁ……っ、あぁ……っ!」
酸素を求める喘鳴が、しかし、熱を帯びた吐息へとすぐに変わる。息をすればするほど、体が熱く火照り、視界が滲む。
そんな彼女へ、さらに子蛸が群がってくる。一体何匹いるのか、胸へ、腰へ、股へ。次々と触手が絡みつき、彼女の和服を引きはがし、その奥の火照る肌へと触手を絡めていく。
「あ……んぁあっ、あ゛っ!? や、やめ……あっ!」
柔らかな彼女の胸へと触手がとぐろを巻くように絡みつき、もにゅもにゅと揉みしだく。むくりと乳首が持ち上がると、きゅぅ、と吸盤が優しく吸い付き、女侍の腰がぴくっと跳ねた。反対側の胸は、根本から絞るように触手が動き、乳を搾るように揉みしだいている。まだ母乳はでないが、吹き出す汗が代わりのように肌を流れた。へそに潜り込んだ触手が優しくくすぐり、背中や尻に絡みついた触手が、弱い所を探すように蠕動する。
ついには、彼女の秘所へと触手が忍び込む。とろりと蜜を称えた秘唇を優しく撫でまわし、吸盤を吸いつけて左右に引っ張る。露出したグロテスクな果肉へと潜り込み、膨らんだクリトリスへと優しくふれる。自慰もろくにした事のない綺麗な肉をまさぐり、まだ皮を被ったままのそれへ、細い触手が絡んでいった。皮と陰核の間に細い先端が入り込み、何度も何度も、分け目を深めるようになぞり上げた。それによってむくむくとクリトリスが成長し、触手がそれを祝うようにぺろり、と皮を剥いた。
「ひぃ、あぁあああっ! んぃいいぃっ、やめて、あっ、やめてぇっ!?」
その、優しくも怒涛のような蛸の責めに、女侍は涙を流して悶え苦しんだ。
そもそも彼女が育った家において、床では女は男に全て任せればいい、という教えであった。本能的に股へと指を伸ばす事はあっても、僅かに慰めただけで恐ろしく辞めてしまった。そんな性知識の乏しい彼女に、蛸達の手練手管は、あまりにも刺激が強かった。激しく藻掻くも、手足の拘束は外れない。着物はすっかりはだけてしまい、子蛸達の手で邪魔と言わんばかりに引きはがされた。
もはや父の仇討ちを求める強い旅の女侍の姿はそこにはなく、未知の快楽に翻弄される哀れな女の姿がそこにあった。
だが、それはほんの序の口であるのを、彼女はすぐに思い知ることになる。
「ひっ、ああ゛っ!? んあぁ……ああぁっ!!?」
びくんびくん、と女侍の腰が何度も跳ねる。軽いオーガズムに彼女が達したのに合わせて、蛸達が触手で攻める動きを緩やかにした。それによって、粘りつくような疲労と倦怠感の中で、彼女は僅かに呼吸と意識を整える事が出来た。
「はぁ……はぁ……お、おのれ、この屈辱……ひっ!?」
口をついて出る恨み言が、途中で泡立ち消える。それは何故か。
すぐ横の暗闇に、一対の月のごとき目が、女侍の痴態を見下ろしていたのだ。黄金の瞳は、奇妙に濡れたような輝きを纏って、物言わずに彼女の裸体を舐めまわすように見つめている。
露にされた裸体を観察される羞恥、子蛸によって達した無様を見られた恥辱に、女侍は激しく震えた。
「こ……殺せっ、何故、こんな辱めを……あぁっ!?」
憤怒の言葉は、しかしまたしても途中で遮られる。再び体に絡みついてくる無数の触手に、彼女は子蛸の責めが再び始まったのだと考えた。だが、それは違った。彼女の全身に絡みついているのは、大蛸の触手の先から伸びる、無数の細い触手である。恐るべき怪異が、ついに自ら女侍を味わおうとその触手を伸ばしたのだ。
「ひっ!? あぁあっ、んぃぅっ!? あああぁっ!?」
先ほどまでの子蛸は、それぞれが独自に思うように彼女の体を嬲るものだった。だが今度は、一つの意志によって統一された苛烈な攻めが、女侍を絶頂に導く為に繰り返される。一度絶頂を迎えてクールダウンしていた躰が、触手によって燃え上がっていく。何よりも、その全てを金色の瞳につぶさに観察されているという認識が、彼女の背筋を泡立たせた。
「あっ!? あぁあああ゛あ゛あ゛~~~っ!?」
そしてあっさりと、再び達する女侍。腰をカクカクと跳ね上げさせて絶頂に達した彼女からは、愛液がぴゅ、ぴゅと迸った。
快楽の頂き痙攣する女侍の様子を見て、こぽ、と大蛸が小さく鳴くような音を出した。その漏斗に触手の一つが差し込まれ、その奥から何かを取り出す。
精莢だ。海中でメスを妊娠させるための、精子を収めた莢。だが普通の精莢は小さくカプセル状であるのに対し、大蛸のそれは標準的な男性の陰茎よりも僅かに小さなサイズで、表面はごつごつとしており、渦をまくような複雑な形状をしていた。
それを触手で絡めとって保持し、女侍の秘所へと近づけていく。絶頂の忘我と、暗闇に、彼女は自分に近づいているものに気が付いていない。
くちゅり、と秘所の表面に精莢が触れ、愛液が粘ついた音を立てた。
「えっ?! な、なに……っ」
触手とも違う、つるつるした物が触れた事に驚き、女侍が我に返る。だが大蛸は彼女に構うことなく、ずぶり、と精莢を秘所の奥へと突きこんだ。途中で僅かにひっかかる感触の後に、それが千切れる。
「いっ、あ゛っ!? んぅぅっ!?」
痛みに僅かに苦痛の声が漏れたものの、再び始まった全身の責めに、悲鳴はすぐさま嬌声へと塗り替えられる。大蛸は淡々と、しかしねちっこく情熱的な触手さばきで、精莢で女侍の膣をまさぐった。的確に彼女の弱いところを探り出し、そこを責め立てていく。Gスポット、Aスポット、ぐちゅぐちゅと音を立てて愛液を泡立てるように精莢が動かされる。女性の性感帯を露にしていくその巧な責めは、色町の女衒もかくや、と言わんばかり。
今この瞬間まで生娘だった女侍が抗えるものではない。
「ひぃっ!? あっ、んあぁああっ!? ぁああああーーーっ!?」
浅ましくも達する女体、絶頂に膣がきつく締められる。収縮する媚肉が、差し込まれていた精莢を捉え、締め上げた。
男の陰茎ほどの強度を持たない殻は、その圧力に耐えかねて砕けた。透明な莢が細かく砕け、中に満たされていた精液が溢れだす。途端に、むせ返るような精臭があたりに立ち込めた。
溢れだした精液はとろとろと、女侍の発情しきった女性器、その奥へと流れ込んでいく。最奥の子宮口へと白い粘液が泉のように溜まり、ひくひくと震える子宮口から、数適が中へと染み込んでいった。
黄金の瞳が細められる。それは笑みに似ていた。
「ひぃ……はぁ……ん゛っ?!」
喘ぐ女侍の顔へ、再び子蛸が張り付き、とろりとした粘液を注ぎ込む。粘液に溺れぬよう、体を火照らせるそれを必死に飲み干す女侍。その様を見つめながら、大蛸は次の精莢を漏斗から排出した。
再び、ごつごつとした精莢が、女侍の秘所へと差し込まれていく……。
悪夢のような、快楽による蹂躙は、三日三晩続いた。
だがそれが、真の悪夢の始まりであったのだと、女侍はすぐに知ることになる。