※この作品はR-18です。

散弾銃とスモーキング・トーク   作:スナエ

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番外編。


花が咲いたら椅子を買おう

 人間は、不可能性の生き物である。と、何かで読んだ。

 オレは、出来ないことをしようとするのをやめて、出来ることだけすることにしている。

 無理に話すのをやめて、煙たい喋りは卒業したし、戦闘員をやめて、メディア対策室に所属したんだ。

 オレには、夢があった。また、家族5人で仲良く食卓を囲むという夢。

 今は、4つの空席がある。そのひとつを、恋人の諏訪洸太郎が埋めてくれた。

 それは、本当に嬉しいことで。オレは、幸せだ。

 

「なあ、洸太郎」

「どうした?」

「人が、不可能の青い薔薇を咲かせたように、オレの夢が叶う時が来るのかな?」

「直の夢って?」

「おまえを、両親に紹介すること、とか」

「叶う。俺たちは、そこへ辿り着くはずだ」

 

 洸太郎が、オレの手を握る。

 

「そうだよな。それがいい」

「まだ、真実を知るのが怖いか?」

「怖いよ。だけど、おまえがいれば大丈夫なんだ。未来を照らしてくれる気がするから」

 

 月は、ずっと空にあるんだ。だから、オレは平気。

 

「オレのこと、見付けてくれて、ありがとう」

「そんな大層なことしてねーよ。おまえが強くなったのは、ひとりでも頑張ってたからだろ」

「うん。ありがとう」

 

 どうしても、へらへら笑ってしまう。

 おまえは、そう言ってくれるけど、“もしも”を考える。

 もしも、洸太郎がいなかったら、今でも煙を吐いてただろう。居場所を失くしたままだっただろう。世界を呪う歪な化物だっただろう。

 そして、これが一番嫌なんだけど。隣に座ってるのは、おまえじゃない誰かだったのかもしれない。

 オレがボーダーに入った時に、最初に話しかけたのが、洸太郎でよかった。恋した相手が、おまえでよかった。

 おまえを愛することに、見返りなんていらない。今は、そう思えるよ。

 

「洸太郎は、なんか困ってないの?」

「特にねーな。あっ」

「あっ?」

「直が、結構モテてるのがムカつく」

「誰に?」

「俺は、おまえが、お喋りマシンガンと呼ばれてた頃から好きだってんだよ」

「……古参マウントじゃん」

 

 恋人が可愛くて、おかしくて、笑った。

 

「最近、おまえ、スーツだしよ。ふざけやがって」

「しょうがないだろ……」

「スーツ着たくらいで……カッコよく見えて困る…………」

「照れるなら言うなよ」

 

 いつか、不可能の青い薔薇が咲くように、いくつもの幸せが咲いたらいいな。

 幸せは、いくつあってもいい。

 技術の発展により、作ることが出来るようになった青い薔薇の花言葉は、「夢叶う」っていうんだ。

 

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